龍の背中を追いし竜   作:Kurato

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12話 父と子

目を覚ますとそこは見覚えのある場所だった。

 

「ここは…ッ!」

「まだ起き上がんない方が良いぜ」

「秋山さん…」

「何せ、両足の骨はバキバキに折られてて、腹や、その他色んな場所に銃弾喰らってんだから」

 

そう言えばそうだったと思い出す。

 

「ここは…?」

「俺の家、まぁ家らしいもの何かほとんど無いけどね。花屋がいなかったら治療も出来なかった」

「でもありがとうございます。でもあれから何時間位立っているんですか?」

「九時間」

「九時間……」

 

「(そんなに時間が立つなんて……)」

 

「竜也調子はどうだ?」

「花屋か…」

「また随分とやられたもんだな」

「うっせ…でもどうやって俺の事を……」

「カメラの取り付け数を増やしておいて良かったな」

「勝手に自分で納得した言い方してんじゃねぇよ」

「まぁまぁ……でもこれからどうする訳?」

 

俺はあまり体を起こさず自分の状況を見てみた。

 

「とりあえず歩ける気はするんで、気分転換がてら散歩してきます」

 

ちょっと力を入れて立ち上がり二人を見ると、驚愕の顔でこっちを見ていた。

 

「どうした?」

「いやいやどうしたじゃないでしょ!」

「あぁ…俺もあまり歩く事は進めないが」

「まぁ、あくまで気分転換ですよ」

 

俺は二人の注意もろくに聞かず外に出た。

 

「ふぅ…少しの痛みはあるけどこれくらいなら大丈夫かな」

「おい!竜也」

「秋山さん。どうしたんですか?」

「どうせ止めても散歩止めないだろうからってこれ花屋から」

 

秋山さんから貰ったのは松葉杖だった。

 

「花屋にありがとうって言っといて下さい」

「あぁ分かったよ」

 

「(さぁどこ行こうかな)」

_______________________

何やかんやで俺がやって来たのはセレナだった。

 

「今、人いるかな?」

 

特に心配する必要もなく伊達さん以外の人がいた。

 

「竜也!?お前どうしたんだその足」

「まぁちょっと…」

 

「(まぁ普通そうだよな)」

 

「足の事は別に気にしないで下さい」

「そうか……」

 

俺は心配させない様に言ったが桐生さんは心配してるみたいだ。

 

「これから何処か行くんですか?」

「あぁ、新しい情報を手に入れようと思ってな」

「俺も手伝いますよ」

「だが、その足では上手く動く事は無理だろう。気を付けろよ」

「はい」

 

俺と桐生さんは寝ている遥ちゃんを置いていき、セレナの外へと出た。

 

「とりあえずどうしますか?」

「そうだな……ん?あれは」

 

桐生さんが目をやった方を見ると、ホームレスの一人がこちらへ来ていた。

 

「桐生さん、竜也くんちょっと良いですかね?」

「確かあんたは…」

「モグサです。いつもはボスのモニターの管理をやってます」

「そんなあんたが俺達に何の用なんだ」

「実はですね、ボスの身内にトラブルらしくてずっと不機嫌なんですよ」

「あいつが?」

「ええ。それでそれとなくボスにどんな状況なのか聞いてくれませんかね」

「どうする?竜也?」

「別に良いんじゃないですか?ここらで花屋に恩を売っとくのも悪くないですし」

「そうか。竜也が良いなら俺も別に断る理由は無いしな。聞いてこよう」

「あ、ありがとうございます!」

 

「(まぁ俺も散歩って言った以上一回はあっちに顔出さねーとな)」

 

モグサさんは俺と桐生さんが見えなくなるまで頭を下げていた。

_______________________

花屋の所に行くと、デカイモニターにはバッティングセンターの中にいる二人の男女が映っていた。

 

「これのどっちがお前の身内な訳?」

「竜也か……男の方だ」

「あれがあんたの息子か」

「桐生もいたのか…お前ら何時からそこにいるんだ!?」

「いい女だなぁ 趣味のいいガキだ」

「まぁ 悪かぁねぇ。ただどこぞの組長の娘じゃなかったらな」

「この町の組な訳?」

「いや、浅草のケチな組さ。桐生お前が来るような情報は来てないぞ。無駄足だったな」

「そうか」

 

俺は花屋から少し離れた所で桐生さんに話しかけた。

 

「どうします?」

「決まってる。花屋を助けるぞ」

「はい」

_______________________

「竜也、お前その足で松葉杖ついているとはいえ、大丈夫なのか?」

 

桐生さんは俺の足の事を聞いてきた。

 

「ええ、まぁ。でもおそらく“今日は”喧嘩出来ないですね」

「そうだよな………ん?お前今“今日は”って言ったか?」

「はい。どうしました?桐生さん」

「いや……なんでもない」

「?……とりあえず、急ぎましょう」

「あぁ…」

_______________________

~~桐生視点~~

「こっから先は俺一人で行ってくる。お前はここら辺で休んでろ」

「はい」

 

「(何も無いとは思うが何かあったとき、こいつは喧嘩するだろうしな)」

 

バッティングセンターの中にはあのモニターに映っていた男女二人しか居なかった。話し掛けるべきか悩んだが、一度素通りする事にし、素通りすると

 

「うぉぉぉ!!」

「何の真似だ?」

 

花屋の息子の方が持っていたバットを手に殴りかかった。

 

「逃げろ!京香!」

「うん!」

 

女の方に逃げられた。

 

「(あの女の方は竜也がどうにかするだろう。それよりも問題は……)」

 

「一人か?」

「待てよ。何か勘違い…」

「うるせぇ!…組長に言っとくんだな。娘さんは……京香は俺が幸せにしますってなぁ!」

 

「(俺をあの女の組の一員だと思ってんのか?……誤解を解くのも面倒だ。少しお灸を据えるとするか)」

 

振りかざされたバットを掴み、そのまま無防備になった顔面に拳を入れた。

 

バキッ!

 

鼻が折れ、鼻血が止まらない様だが時期止まるだろう。

 

「ぐぁぁ!?」

「大人しくしろ。これ以上怪我をしたくなかったらな。俺はこう見えてもカタギだ」

「……カタギ?あんたがか?」

「あぁ。分かったら一回座れ」

 

しばらくこっちを見つめていただけの息子は時期に座った。

 

「何でさっきは俺を襲ったんだ?」

「京香の親父の組かと思って……」

「何か追われるような訳でもあるのか?」

「あぁ。実は俺と京香は逃げてきたんだ」

「それは、その親父さんの組からか?」

「そうだ。……ってこんな事話してる時間は無いんだ。早く京香の所に行かなくちゃ!」

「俺の仲間が外にいるんだ。そいつが引き留めてるかもしれない」

「本当か!?早く行こう!」

 

一度バッティングセンターから出て周りを見ると、そこにはジュースを飲んでる竜也しか居なかった。

 

「竜也…さっきここから出ていった女が居なかったか?」

「え?あぁ確かにさっきここから出ていった女の人がいましたけど……もしかしてさっきの人って……」

 

「(こいつは数分前に見たモニターに映ってる人の顔すら一致しないのか……)」

 

俺は竜也の記憶力に呆れつつ、息子に話を戻した。

 

「おい、あの女は何処に向かったんだ?」

「多分だけど…劇場前広場にある“デボラ”ってクラブのはずだ」

「よし、そこまで急ごう」

「ダメだ」

 

ふと、声の方向を見ると数人の人数で固まっていたギャングらしき奴らがいた。

 

「おい、タカシお前チーム抜けるって大事な事メールだけで済ますってのはどういう事だ?」

「……後で…筋は通すつもりだったんだ」

「いいや、お前の事だからそのままトンズラだろ。そんなんだからよぉ…パシりで鍛えてやったんだろうが」

「今いそいでんだよ」

「なめた事言ってんじゃねぇぞ!」

 

「(らちが空かないな)」

 

「竜也、こいつ連れてデボラってクラブに行け」

「はい。お前早く行くぞ」

「あ、あぁ」

「話はまだ終わってねぇんだよ!」

 

ドスッ!

 

竜也が持っていた松葉杖で捕まえようとした奴の腹を刺した。

 

「てめぇらの相手は俺だ」

「邪魔すんなよオッサン」

「俺が、オッサンか。笑えるな」

「あ?どういう事だよ」

「今からお前らはそのオッサンに負けるんだよ」

 

リーダーらしき奴を始め、さっき竜也に殴られダウンしてるやつ以外は全員笑い出した。

 

「あんたが俺らを倒すだって?あはは、笑わせんなよオッサン。タカシの奴が鼻血を出してたのはあんたがやったからかもしんねぇけどあいつと俺らを一緒にすんなよ」

 

「(話を聞いているのも面倒だ)」

 

一番近くにいた、二人の意識を顎に一発放ち素早く刈り取った。おそらくやられた二人はやられた事にすら気づいてないだろう。

 

「あははは…は?」

 

他の奴らも仲間がやられた事に気づいたらしい。

 

「これでもまだやるか?」

「なめんじゃねぇ!」

 

リーダーの男はやる気の様だが、他の連中はというと。

 

「リ、リーダーこいつヤバいですよ」

「う、うるせぇ!やると言ったら殺るんだよ!」

「はぁ……そう言うことならお前一人だけで来いよ」

「じょ、上等だ!ぶっ殺してやる!!」

 

「(フゥ…自分と相手の実力差も分かんないのか)」

 

もちろん、分からないのは俺が殺気を出していないからなのかもしれないが。

 

「ふっ」

 

特に危険視する必要もジャブ。それだけで奴は吹っ飛んだ。しばらくは痙攣していたが、それすらも止まった。

 

「終わりだな。そこを開けろ」

「……ど、どうぞ」

 

「(確か劇場前広場にある“デボラ”だったな)」

_______________________

中に入ると、既に事態は終了していた。

 

「あ、桐生さん少し遅かったですね」

「あぁ。まさかとは思うが、ここに伸びている連中は竜也がやったのか?」

 

周りを見ると、ヤクザ風の男共が伸びていた。

 

「いや、少し松葉杖で殴っただけなんですけどね」

「何があったんだ?」

「はぁ、それが………」

 

竜也の話によると、デボラに入ると既に女の組“跡部組”が中にいたらしく構成員共はタカシの奴を痛め付ける気だったようなので、それにキレた竜也が全員ボコボコにしたらしい(松葉杖でこいつらを伸せる程殴るとは……)そしてその後にタカシがエンコ詰めそうになったり、跡部組の組長からの伝言で二人共一緒に暮らせる様になったらしい。

 

「まぁこんな所ですかね」

「なるほどな。しかし、松葉杖で喧嘩するとはな」

「これのおかげで、武器の良い使い方が分かった気がします」

「ふっ、そうか。一回花屋の所に行こうと思ってるんだがお前はどうする?」

「じゃあ、俺も」

_______________________

「オッス、花屋」

「竜也と桐生か。あぁ、そうだ。さっきタカシの連れの親父さんがあんたら二人にってこれをくれたぞ」

 

花屋から貰ったのは木刀二本だった。

 

「京香って女の親父さんからか……ありがたく使わせてもらおう」

「ここで一緒に見ててな、お前らに感謝していた。俺からなんだが、竜也は知ってるがここにはカジノがあってな。そこにお前ら二人共入れる様にしておいたぞ。暇な時にでも入ってやってみてくれ」

「あぁ」

 

花屋の所から出てきた俺に竜也が話しかけてきた。

 

「桐生さんこれからどうします?」

「一回セレナに戻るつもりだ。竜也は?」

「まぁ帰っても良いんですけど、どうせやることないですし、俺も行かせてもらいます」

 

こうして俺達はセレナへと歩き出した。




今回もギリギリの投稿です。
次回は3月5日迄に投稿します
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