龍の背中を追いし竜   作:Kurato

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32話 トーナメント

「正気か!竜也!」

 

 

竜也の意見を聞いた桐生が焦りながら聞き返す。

 

 

「本気じゃなかったらこんな事言わないですよ」

 

「ええんやな。それで負けたら俺は東城会戻らんで」

 

「俺が勝ったらいいんですよね」

 

「ええで……それに元々俺が今のチャンピオンやし、あんま変わらんからな」

 

 

「(そりゃそうだよな……この人がおもちゃ見つけて遊ばねぇ訳もねぇし…)」

 

 

「んじゃ先行ってます。…………あぁそうだ。真島さん…」

 

「ん?何や?」

 

「……すぐ行くから待ってろよ。それじゃ」

 

 

真島に殺気を送りながら挑発をして部屋の外に出ていく竜也。

桐生も竜也の後に続くように真島に頭を下げて出ていく。

 

 

「あなた達ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

詳しい事情を知らない狭山が声を荒らげながらも後に続く。

~~真島視点~~

「(ほぉ……なんやえらいやる気みたいやな………)」

 

 

「オモロそうやんけ……」

 

 

そうして真島はドスを抜きながら甲高い笑い声を部屋に響かせた。

 

 

~~黒瀬視点~~

「(ふぅ……あそこまで真島さんに喧嘩売っちまった以上もう引けねぇな。まぁ引く気なんかさらさら無いけど)」

 

 

試合開始までの時間の間にテーピングを巻きながら色々と考え事をする竜也。

 

 

ガチャ

「狭山は先にセレナに向かわせた…竜也、俺が言いたいことは分かるな……?」

 

「……なんとなくは」

 

 

ドアを開けて竜也に問いかける桐生に背を向けながら答える竜也。

 

 

「………勝てる気なのか?あの人に」

 

「先にこれだけは言っときます…もし負けたらすいません」

 

 

話す前に振り返り、頭を下げる。

 

 

「あの人東城会戻すには勝つしかないのはわかってるんですけど…正直言って勝てるイメージはないです」

 

 

包み隠さず自身の本音を伝える。

 

 

「もし、今の話聞いて桐生さんが出るって言うならそれもそれでそれなりに対応しなきゃッスけど………。」

「でもだからってすぐ桐生さんにあげてたら俺が変われねぇんすわ。」

「俺がやりたいようにやる。そんくらいじゃなきゃアイツに挑むなんて啖呵きれないっすから」

 

 

「(もちろん1番挑みてぇ人にも……)」

 

 

「………俺が勝手にお前を連れて来て、その上でたまたま兄さんと接触する機会が出来ただけだ。この事が竜也にとってのメリットだとしても俺には全く関係ない」

 

 

竜也の話を聞き終えた桐生が話しだす。

 

 

「ッ!でもっ!「………悪いが今回はお前に譲るつもりは無い。さて、俺にも準備があるから行かせてもらうぞ。

 

 

 

……久しぶりだからな…『ゆっくり』準備するか」

 

 

部屋を出ていく桐生。

 

 

「(不器用だなぁ……あの人も…

………さて、行くか」

───────────────────────────

「レディース&ジェントルメーン!!

また!あの“竜”がここに戻ってきた!戻ってきた最速の竜はいかなる闘いを我々に見せてくれるのか!?黒瀬〜竜也〜!!」

 

 

ナレーションを聞きながらステージへ向かう。

既にステージには対戦相手であろう男が待っていた。

 

 

「対するは、このトーナメントで今1番旬な男!

勢いに乗るブラジルの超新星!!ロブソン・カエタノ・ダ・シウバ〜!!。」

「さぁ、戦いの女神はどちらに微笑むのでしょうか!?今、ゴングです!!」

 

 

「(普通に斧持ってんじゃねぇーか……別に関係ねぇけどさ)」

 

 

シウバは斧を肩に置きながらニヤついている。

対して特に構えも何もしない竜也。

 

 

「ブラジルつったか?ご苦労なこったな……俺の踏み台になるためにきてもらって」

 

 

ドスッ!

 

 

話終えると同時に懐に入り込みブローを入れる竜也。

瞬間的に蹲るシウバ。

 

 

「ん?入りすぎたか?悪ぃな」

 

 

横に立ち話しかける竜也。

 

 

ブンっ!!

 

 

キレたシウバが立ち上がり豪快に斧を振り下ろす。

 

 

 

しかし平然とした態度で斧の柄を掴む竜也。

それがおかしいのか一気に狼狽える。

 

 

「バカが…そんなモン使うなら亜門一也(アイツ)レベルになってからもっかい来てみろ」

 

 

飛び跳ね顔を蹴飛ばし終わらせる。

 

 

「終わりだろ?」

 

「流石、黒瀬竜也!!“竜”の前では超新星ですら有象無象!」

 

 

「(ん?桐生さんと真島さん一緒の所で見てんじゃん)」

 

 

右から拍手の音が聞こえみてみると真島が拍手をし、隣で桐生が静かに見ていた。

 

 

「さぁ………次の対戦相手はこちらも帰ってきた伝説の男です!。」

「1年前までこのリングに君臨した絶対王者!ゲイリー・バスター・ホームズ!!」

 

「奇遇ですね、黒瀬。即死と安楽死……好みは?」

 

「それは見る方でって意味だよな?てめぇに合うのは安楽だろ」

 

「竜 VS 伝説の元王者!

注目の一戦……今、ゴングです!!」

 

 

ゴングのなる瞬間にきたストレートを避ける竜也、それを読んでいたように左足で網まで蹴るゲイリー。

飛ばしたことを確認すると、針が付いたグローブをはめるゲイリー。

 

 

「(こいつもかよ……まぁいいや。そうすっと、とりあえずヤバいのは……ッ!)」

 

 

ゆっくり考える時間もさせないようにグローブで殴り続けるゲイリー。それを全て数cm単位で避けていく。

 

 

ガシャ!

 

 

勿論ただ避けるだけではいずれ檻の端に着く。

 

 

「(っクソ!………一か八か!!)」

 

 

ブンっ!パキッ

 

 

風を切る程の音がする拳を避け、同時に下から関節を押し上げる。

肘を腕で支えるゲイリーの頭を掴み膝蹴りを繰り出す。

 

 

「どんなもんよ?咄嗟にしちゃ結構効くだろ?」

 

「………」

 

「無視かい。別に構いやしねぇけどよ……さっきのバカ(シウバ)がそんなに大したこと無かったからよ。お前はもっとマシだろ?」

 

 

青色のヒートを纏いながら第1試合、そしてさっきまで構えることをしなかった竜也が初めて構え出す。

 

 

「行くぜ…」

 

 

竜也が動く前に先手必勝と言わんばかりに殴り掛かるゲイリーだがしゃがんで回避しながら猫騙しをする。

 

 

「ちょっと前に本場もん喰らったかんな。イメージしやすかったわ。今のてめぇが聞こえてるかどうかは知らねぇけどな」

 

 

至近距離でかなりの爆音を聞いたゲイリーは耳を抑えながらこちらを睨みつけている。

 

 

「辞めるなら今のうちだぜ……ってよくよく考えりゃ聞こえてるはずねぇか」

 

 

戦車スタイルに変化させ竜也より少しデカいゲイリーの頭を叩き付ける。

 

 

「ついでに言うと安楽でもなかったな」

 

「伝説の元王者も進化した竜には勝てず!!またもや異例の速度で2人目をもねじ伏せる!最速の名は伊達じゃない!!」

 

 

「(さぁて……ウォーミングアップにしちゃまだあめぇけど……とりあえず十分だろ)」

 

 

「さぁ!間もなく決勝戦……そろそろ“あの男”がやってくるはずです。」

「現 地下闘技場チャンピオン!真島〜吾郎!!」

 

 

真島らしい独特のパフォーマンスを繰り広げながらゆっくりとこちらに近づく真島。

 

 

「半年前、突如このリングに現れた“嶋野の狂犬”は今も尚、負けを知らず!圧倒的なパフォーマンス!圧倒的な強さ!彼を倒す事が出来るのは果たして黒瀬なのでしょうか!?」

 

「流石やなぁ黒チャン!ゆっくり見てよう思たらそんな時間無かったわ!」

 

「いや、すぐ行くって言ったじゃないですか」

 

「ケヒッ、亜門戦(あん時)より更にゴツなってるのも分かるで…」

 

 

軽く語り掛ける真島に対して警戒心をあげてどんな時にも対応できるようにする竜也。

 

 

「でもアカンわ。自分」

 

「は?」

 

「俺がやりたいのは今の黒チャンじゃないねん。俺と殺りあった時に出てきた“あの”黒チャンとやりたいねん」

 

「何言ってんのか全くわかんない事言うのやめてもって良いですか?」

 

 

真島の真意が分からず困惑する竜也。

 

 

「強さがあるのは知っとる。でもまだあの時とちゃうねん。」

「あん時の黒チャンやったらもっと楽しくやれる筈やねん」

 

 

うすら笑みを浮かべながら淡々と言葉を繋げる真島。

 

 

「俺はあんた程、腹読むの得意じゃないんですよ。まぁいいや……それ以上言いたい事あるんだったら……」

 

「せやな」

 

 

全く構える事無かった真島が殺気を纏わせながらドスを抜く。

 

 

「今ゴングです!」

 

「あんま簡単に死ぬんやないで……黒チャン!!!」




ホントに恒例なんですがお久しぶりです。
全然書いてない間に気付いたら1年経ってしまいしょうがないと思ってる所存です。
こんな小説をお気に入り登録してくれてる皆様には感謝しかないです。
これからも待ってくれてる皆様の為にも書いていく所存です。
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