嫌いな人は名誉を捨ててまで抹殺しますが、仲間は大切にする所存です   作:タクティス・ハルバード=レミィ

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クエストマイナススリーがっくの既視感

 このログレス王国の城下町で一番有名な人?

 

 もう1人しか居ないよ、無名だけどさ。

 

 黄金の鎧を纏ってるから皆は閃光の騎士(ホーリーセイント)って呼んでる。

 

 昼間の中、金色の鎧を反射させている人が。

 

『よっ! 閃光の騎士さんよ、今日もマンドラジュースあるぜ』

 

騎士(きし)さんよく来たわねー、このカラドボルグはいかがかしら? 至高だからお得よ?』

 

「あー悪い、今日はいらない。ありがと」

 

『『珍しい』』

 

 城下町でそんな会話が聞こえると、僕は噴水に座る。

 

 隣にはクエストボードがあって、高難易度のクエストが多い。

 

 颯爽とボードに歩み寄ると『これジョーにやらせるか』とか言いながら

 

 彼女は慣れた手つきで、高難易度の赤い紙を引きちぎる。

 

「なんか飽きたわ……って、君見ない子だね」

 

 僕は素っ気なく「別に」と答える。

 

「釣れないねー。こんな美少女が」

 

 肩まで伸びているピンク色の髪をかきあげ、フッと見てくる。

 

「自称しちゃうんだ」

 

「別にそんなに可愛くないですよぉ……と、どれがいいの?」

 

「自称された方が女としてマシです」

 

「でしょでしょー」

 

 歯を見せて笑うと、馴れ馴れしく僕の側に座り太ももをくっつけるレベルで近く座る。

 

『あれ、君って男の子じゃないんだね』

 

「白い髪で尻尾のように背中まで伸びてるんですが、それで女じゃないって」

 

「だって……ほら」

 

『あっちょっと』彼女は僕のある様で無い胸に手のひらを当てた。

 

「もしかして……AA?」

 

「言わないで、Aに近づいてるから」

 

「そんな私もないけど。鎧を着てるのも誤魔化すためだから」

 

 胸の為に重たい鎧を?

 

「さて、クエスト行くけど……来ない?」

 

「来てもいいの?」

 

「丁度草原だからさ、直ぐに着くし帰れる」

 

 フワッと立ち上がり、彼女は僕に手を出す。

 

「どんな敵?」

 

 がっしり掴み立ち上がらせてもらう。

 

「デス13」

 

「強敵じゃないですか!」

 

 危険種は強い、強すぎる……。

 

 それに僕は丸腰だ。武器を所持すらできない。

 

『即死の瞬殺だから』やたら笑みを零す彼女。

 

「死んだら呪いますよ……」

 

 信じて草原まで、門を潜って行く事になった。

 

 行く道中、僕が丸腰だと言うことを言ってないけど大丈夫なのかな?

 

「デス13ってアレですよね?」

 

「うん、危険種」

 

「かっ勝て?」

 

「るよ?」

 

 信じてみるしか……?

 

 さっと草原に出ると、本来なら晴れている天気が曇っている事に気づいた。

 

『まさか』

 

「近くてよかったね」

 

 目の前に蒼ドクロが浮いてる、電撃を発しながら。

 

「こっこわい……」

 

 生命の危機を僕の体は感じ取ってるはずだ。

 

「はい、これもっとけ」

 

 そう言って僕に至高カラドボルグを渡してきた。

 

「持ってるんだ!?」

 

「専用スキル使って」

 

 僕は全力で振りかざす。

 

『エンシェント・フィールド』

 

 どんな効果かわからないけど、僕は気持ちを込めて唱えた、それはもう必死に。

 

「お、いいね。武器を持ってないのはなんでか知らないけど、いずれは応えてくれる」

 

「本当に死んだら呪いますんで」

 

 彼女はデスの側に接近すると、レイヴァルト・テインを振りかざす。

 

『オシリス・ダイト』

 

 すぐさま投げ捨てると、僕が見たことない武器を何も無い空間から引き抜いた。

 

 光のオーラを纏い、握っている手を隠すように伸びた緑の葉は、キラキラしてる。

 

『刹那の豪気』

 

 唐突に、彼女から光の粒子が吹き荒れだす。

 

 強そうだ……いや、強い。

 

『全力で来な、本気出さないから』

 

 恐ろしい速さで剣を5回振ると、与一を唱え、命中を掻き集める。

 

『ベルセルク』

 

 何処からか出てきた斧を振り上げると、それを投げ捨てた。

 

 そして、光の粒子が消え去る。

 

「止めだ!」

 

 地面を蹴って空中に飛び上がると、有無を言わせず振り下ろして着地する!

 

『ゼクティス・ドライブ』

 

 遅れて白い斬撃がデス13にまとわりつくと、呻き声をあげながら光の粒子を散らす。

 

 あれ、本当に倒したの?

 

 デス消えた……。

 

「あっあぇ?」

 

「さて、がっく! 付き合ってくれてありがとね」

 

 剣をその辺に投げ捨て、僕にハグを交わす。

 

「うん」

 

「そうだなー。報酬もあるし、一緒に何か食べない?」

 

 

 

 

 というわけで、城下町に戻るとクエスト報酬を受け取り、宿屋の食堂に向かった。

 

 来ることは初めてじゃないけど、そんなに来てない。

 

 名物はバトムおばさんのキノコスープ、その為に来る人は多いらしく、僕達も同じ。

 

 木でできた丸いテーブルと6本足の椅子は、心地良いね。

 

『がっくは、これからどうするの?』

 

「ぼっ僕? 将来は……1人前のハンターに」

 

「ほう? どんな武器使う?」

 

「お古の妖刀で、青いオーラが僕の時だけ薄いんで嫌われてるかもです。色々お掃除したんですけど」

 

 彼女は頷き『なるほどね』と納得していた。

 

「嫌われてるわけじゃない」

 

「本当ですか?」

 

『武器にしても無駄だよ。自身が変わらないと』

 

 彼女が言い終える前に、机にキノコが大量に入ったお皿が置かれる。

 

「おっ、バトムさんありがとね」

 

「ありがとうございます」

 

『騎士さんも、仲間さんもクエストお疲れ様。キノコの味を楽しんでね』

 

 にっこり微笑むバトムさんに『えへへ』と照れくさそうに返す彼女は、変な人だなと思った。

 

 こんなに、可愛い時がある女の子なのに、なのに。

 

 どんな敵も片っ端から消し去る強さ。

 

――なんとも言えない気持ち

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