嫌いな人は名誉を捨ててまで抹殺しますが、仲間は大切にする所存です 作:タクティス・ハルバード=レミィ
膝を地面につけるジョー、半分に砕け散ったオルタブレイドを手放す私。
『必殺スキルまで避けられるなんて。俺はまだまだなのか』
「私の方が強いに決まってるでしょ。感覚的に癖を覚えてるから」
ジョーに近づき、私はカラドボルグを持つと、銃口を突きつけ、
『ねぇ! 私の勝ちでいいでしょ?』
実況に聞こえるように、観客に掻き消されないように、私は声を上げる。
『あーっと! こ〜れは〜! 勝利宣言です! どう見ても新米の勝ちです! 瞬刻の豪気は致命的だった様です』
「俺の負け……なわけないだろ」
私から素早く距離を取ると、また腰から緑色の斧を取り出す。
『ジョー式インフィニティ・エナジー』
そして、ジョーの体から光の粒子が吹き出す。
『ジョー式瞬刻の豪気』
さっきと同じ速度で、私に詰め寄ると全方位から斧がなだれ込んでくる。
避けては弾き、避けては弾く。その繰り返しだ。
「もう慣れたという事をジョーも知るべき、そうするべき」
「はっ? この瞬刻に慣れる?」
カラドボルグを大きく振り上げると、斧が空に舞い上がる。
「そんな!」
『致命傷は避けようと思ったけど、もう許さない』
手ブラで慌てるジョーを気にせず、急接近すると、カラドボルグで突き刺して持ち上げる。
「よし、私の勝ちだよね」
嬉しそうに点滅する私の、
「あちゃー……これは俺の負けだな。救護室で会おう」
『カオス・インフェルノ』
武器から放たれた紫のエネルギーは、ジョーを貫通し、闘技場の天井に穴を開ける。
穴から顔を覗かせる太陽は私には眩しい。
『あぁっ!? 決死の逆転も儚く散りましたねー! ジョーは床で転がっております!』
「やったー」
『さぁ、勝利者は敗者から武器を一つ手に入れる事が出来ます』
そう言えば、そんなルールもあった。
正直欲しい武器はない。だって、要らない武器は取らない主義だもの。
「要らないから、早く次の相手寄越してよ」
その間にジョーは輪っかに吸われて消えていく。
『強気ですねー挑戦者は……あぁ! 居ました! どーぞお入り下さい』
突如、闘技場の中心に輪っかが現れると白い狐の耳をつけた、赤い瞳の女の子が尻餅をつく。
「いたた……あれ!? なんでここなんですか!」
その気持ちわかります。突如召喚される気持ち。
「盾職の私が勝てるわけないでしょう……」
黒くて赤いスカートに付いた砂を振り落としながら立ち上がると、銀髪が照明の光を照り返してキラキラしている。
「名前は? 私は言わなくても分かるだろうけど」
まるで髪と揃えたような袖なしの白シャツに赤が混ざりこんでいく。
『……名前は幻想歌』
「ゲンソウですか」
「それでいいですよもう」
幻想歌が手のひらを上にすると、真っ赤な炎が風に揺れる。同時に観客も静まり返った。
『ジン・ヴァイス』
息を吹きかけると、炎が倒れ込んだ方向に武器が姿を現していく。
「盾職でも、ルークがあるんです……」
黄色と白で所々尖っている剣に似合わない真っ赤な炎は更に広がりを見せる。
『幻想さん凄そう』
「それ何処かで聞いたセリフですね」