黒のIS 〜破壊の使者〜 『更新停止 リメイク予定』   作:煌酒ロード

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はじめまして煌酒ロードです
今回再びISで書いてみました
どうぞご覧ください


誘拐と救出。その後

目を覚ますと真っ暗な部屋だった。ココがどこかわからずパニックになりかけるが、縛られている上に猿轡まで噛まされていて、声を上げることも出来ない。だから少し前の事を思い出して現場の把握に務める。

ああそうだ思い出した。

私――織斑一夏は、攫われたんだ。

 

 

side ?

 

「ツマンネ・・・」

 

俺はそう空に向かってぼやいた。今いるのはドイツ。なんでそんな所にいるんだと言われると困るんだがまあ偶然だ。

モンド・グロッソ――ISによる初の世界大会。それが開催されるのがドイツで、それを見に来たからドイツにいる。そんだけだ。

ISを天災(篠ノ之束)が作り上げてから世界は変わった。白騎士事件とも言われる初めてISが登場した事件。各国の軍事プログラムがハッキングを受け、突如日本海上空に出現したIS――白騎士に向けてミサイルの一斉掃射を行った。当然各国は慌てたが、それ以上に戦慄した。ミサイルを全て叩き落とした白騎士に――現行兵器を一切寄せ付けず。悠々と姿を消した事に。

その後天災(篠ノ之束)は各国にISコアをバラまいた。そして各国は求めた。ISを――軍事兵器を。

ISの本来の目的は単機での宇宙空間行動を目的としたパワードスーツ。つまりは宇宙服だ。

それを作ったにも関わらずアレから十年。未だに人類は宇宙に出てはいない。

 

「女にしか動かせない競技用の機体(オモチャ)・・・それが今のISの常識って訳か」

 

一人ぼやいても意味がない。最強と呼ばれる日本代表。織斑千冬と天才、織斑秋都(おりむらしゅうと)の護衛が今回の俺のミッション――だった。

しかし今はその任ではない。俺は雇われの傭兵だ。金を貰ってドンパチやるのが仕事。しかし織斑千冬は自分の腕の方が頼りになると言って護衛を拒否。織斑秋都も同様に拒否した。つまり仕事がない。

 

「どーしてくれんだよ・・・アイツら拒否ったからギャラ入んねーじゃねーか・・・」

 

別段金に困ってるわけでもなく、むしろ有り余ってるくらいだがタダ働きというのは気分の良いものでは無い。その時電話がコールされる。ディスプレイには〝兎〟の文字

 

『もすもすひねもす?』

 

「巫山戯た用なら切るぞ」

 

開口一番にそれを言い、切ろうとするが、

 

『まったまった!君に正規の依頼だよ!』

 

「それを先に言え・・・ったく、内容は?」

 

『人質の救出』

 

「救助対象は?」

 

『織斑一夏』

 

「織斑一夏・・・聞かねえ名前だな」

 

『こう言えばわかるかな、〝織斑家の無能〟って』

 

憎々しげに吐き捨てる兎の言葉に俺は思い出す。

織斑家には無能がいるという風の噂。

 

「まあソイツが無能かどうかなんざどうでもいいわ。要するに攫われた人間の救出って事でいーんだな?」

 

『うん。いっくんを助け出してほしいのだよ』

 

「つーかなんでそいつは攫われたのに織斑千冬は助けに行かねーんだ?」

 

『アイツが行くわけないじゃん・・・それこそ秋都にしか興味無いんだから』

 

「胸糞悪ィ話だなオイ。まあいいや、それと一つ覚えとけ」

 

『ん?』

 

「この世に無能なんて存在しねー。あるのは才能を殺す環境だけだ」

 

それだけ言って電源を切ると俺は外に出る。携帯にはメールで地図と顔写真が添付されていた。俺はそこに向かって愛機を飛ばす。

 

「頼むぜ、〝黒天〟」

 

そして彼が纏ったのはIS。普通では無い全身装甲(フルスキン)の機体。全身を黒でカラーリングされ、所々にドス黒い赤のカラー。肩から後ろに伸びるユニットと腰につけられたスカートとレールキャノン。頭部も完全に覆われ、髪のようなパーツと二本の角、そして青く輝く両目(デュアル・アイ)その機体は上空に舞い上がると、

 

「黒天、斯波刻斗(しばこくと)出るぞ!」

 

俺は倉庫に向かった。

 

 

 

side 一夏

 

織斑千冬が優勝した。どうやら私が攫われたのは千冬さんの優勝を防ぐためだったらしい。私が攫われた程度であの人が揺らぐはずないので当然と言えば当然の結果だ。

 

「お前さん、棄てられたっつーのに悲しそうな顔一つしねーんだな」

 

私の見張りをしていた人に話しかけられる

 

「・・・あの人は私に興味がありませんから」

 

「・・・ヒデェ話だ」

 

それだけ言ってくれた。むしろさらわれた時の方が人道的に扱われたぐらいだ。ちゃんと食事が出ているんだから。そう思っていると周囲が騒がしくなる。

 

「オイ誰だテメエ!一人で・・・」

 

「あー邪魔だカス共。テメエ等に用はねーんだ」

 

「ギャフッ!?」

 

「ハイハイ邪魔だ邪魔。死にたくなければ引っ込んでな」

 

それと同時に私の前の扉が蹴破られる。そこから黒い人が入ってきた。比喩はない。黒い仮面の様なものを被り、後ろには黒い髪。二本の角に青い両目。そして、黒い全身装甲(フル・スキン)。間違いない。ISだった。

 

「織斑一夏って・・・お前?」

 

「・・・」

 

ほうけてしまった。仰々しい姿に比べて、随分と優しい声だったから。

 

「・・・答えろよ」

 

「あ・・・はい。そうです」

 

「オーケー、依頼人(クライアント)から貰った顔写真とも一致。お前が織斑一夏だっつーのは間違いなさそーだな」

 

そう言ってその黒いISの操縦者は私の方に手を伸ばしてくる。

 

「ほら、こんな辛気臭ェ所で話してねーで、さっさと出ようや」

 

私はその腕につかまって、そして〝助けられた〟

 

 

それからドイツ市内の喫茶店のような場所で、私と黒いISの操縦者――斯波刻斗さんと名乗ってくれた彼と食事をしていた。

 

「お前さぁ・・・喫茶店にも来たことないって・・・飯どうしてたんだよ」

 

「基本的に出てこなかったです・・・食べられるものを食べていたというか」

 

私は出されたパスタを食べながら答える。温かいパスタは凄く美味しくて、嬉しかった。

 

「胸糞悪ぃ話だ・・・っと、失礼」

 

そう言って刻斗さんは電話を始めたので、私はパスタを食べることに集中する。すると電話を終えた刻斗さんが

 

「依頼人がこっちに来るってさ、お前さんのツラを見ておきたいんだと」

 

その言葉に私は首を傾げる。たしかに私の救出は依頼されたと言っていた。しかし私に会いに来るとはどういう意味なのだろうか

 

「えっと・・・依頼人って誰なんですか?」

 

「普通は機密事項だって答えるんだがな・・・、まあいいだろ。俺の依頼人は篠ノ之束だよ」

 

私は驚いた。束お姉さんと言えば、昔通っていた篠ノ之道場で私に優しくしてくれたお姉さんだ。箒から虐められたり、秋都や、千冬さんに虐められた時も助けてくれた。でもISを造ってからは、逃亡中の身のはずだ。

その時扉が勢いよく開き、ウサ耳をつけたメイド少女が飛び込んできた。

 

「いっくん!」

 

「束お姉さん!?」

 

「無事でよかったよ〜いっく〜ん」

 

そう言って抱きついてくる束お姉さん。私の胸に頭をグリグリしながらよかったよ〜と言い続けている。

 

「あー、なんだ。感動の再開の所申し訳ねーんだがな・・・」

 

刻斗さんが私達の方を見て、それから周りを見た後束お姉さんに拳骨を食らわす。

 

「いたいよしーくん!」

 

「やかましい!テメーはどれだけ自分が重要人物か自覚しやがれや!」

 

ギャーギャー言い争う二人を前にして、気になったことを聞く。

 

「束お姉さん・・・、どうして私を助けてくれたんですか?」

 

その言葉に束お姉さんは少しキョトンとした後。

 

「そんなの、いっくんが大事だからに決まってるじゃん」

 

さも当然のように言ってくれた。私はまだ私の事を大切に思ってくれてる人がいる。私はそれが嬉しかった。だから、

 

「・・・あの、刻斗さん」

 

「あん?」

 

コーヒーを飲んでいる刻斗さんに話しかける。私の覚悟を。

 

「私を・・・強くしてください」

 

 

side 刻斗

 

 

「私を・・・強くしてください」

 

一夏にそう言われた。真っ直ぐな目で、純粋な瞳の奥には覚悟が見て取れた。

 

「・・・強くするのは構わない。だが一つ答えろ、お前はなんのために強くなる?」

 

これだけは聞いておかなければならない。

 

「私は・・・無能と言われてきました、言われないように努力をしてもずっと。それでもそんな私を受け入れてくれた人たちはいました。束お姉さんみたいに私のことが大事だと言ってくれる人たちもいます。だから私は、そんな人達を守れるようになりたい」

 

静かな決意。蒼く静かに燃える炎を心に宿して。ここまで言うのなら、俺はその決意に答えなきゃならないな。

 

「了解だ織斑一夏。お前を強くしてやる。ただし俺のやり方は厳しいからな?」

 

「望むところです」

 

決意という名の蒼い炎。その輝きを見ることが出来た。コイツは強くなる。どこかでそう直感し、俺はコイツに戦い方を教える事になった。

 

その日から一年がたった。

 

俺は今一夏にISの技術の教導をしている。この一年でいくつかわかったことがある。

確かに織斑一夏は無能だったのかもしれない。天才である姉や兄に比べれば、と付くが。

結論から言えば、一夏は秀才だ。

天才が天性の素質であるなら一夏は後天的な才能に溢れていた。教えを受け、それを自分の物とし、更にそこから進化させ、強くなる。そしてそれにあぐらをかかず、さらに上を目指す。恐らく今まで無能と呼ばれてきたのは、誰も彼女の才能に気付かず、師に恵まれなかったのだろう。

現に、一夏は剣道をやっていたらしいが、剣の腕前も多少俺が手ほどきした程度で、かなりのレベルにまでたどり着いた。流石に一筋でやってきた者達には劣るかもしれないが、これからの努力次第で追いつき、追い越すことも可能だろう。ISに関しても同じだ。俺は基礎理論を教え、武器に関してもある程度しか教えていない。後は実際に使ってなれさせたが、これもすぐに使いこなすようになった。一度、ドイツ軍のIS部隊の隊長、ラウラ・ヴォーデヴィッヒと模擬戦をさせたが、引けを取らずに戦っていた。

余談だが二人は凄く仲良くなったらしい。お菓子好きで話があったとかなんとか。

 

そんなある日、全世界を震撼させるニュースが放送された。

 

世界初の男性操縦者現る。

 

瞬く間にそのニュースがトップを飾った。

 

「どこにチャンネル合わせても世界初の男性操縦者ってのしかやってねえな。しかもあの織斑秋都だってよオイ」

 

「まあ天才だし、束お姉さんには遠く及ばないにしてもそれ位は出来るんじゃないかな。て言うか最初の男性操縦者って刻斗さんじゃないんですか?」

 

「ああ、それなら俺の存在は束が隠蔽してたからな。一応公式での世界初はアイツって事だろ、まあでも俺の存在もそろそろ露呈するんじゃないか?」

 

「何でですか?」

 

「もう隠しておく理由も無いしな。俺の傭兵って仕事もお前の護衛と教導で最後だしな。後お前がIS学園に入学するっつったからだろうな。多分そろそろ始まるぞ」

 

そう言ってテレビに目を向けると、唐突にテレビにノイズが走ったかと思うと画面が切り替わり。どこかのラボが映し出される。そこに一人でふしぎの国のアリスを体現したような女性が映る。

 

「もすもすひねもす〜、束さんだよ〜。皆織斑秋都が世界初の男性操縦者って騒いでるけどそれは大間違いなんだよね〜」

 

テレビの中の束がそう告げると同時にテレビに俺の写真が映る。

 

「彼こそ世界初の男性操縦者、斯波刻斗君だよ!じゃあ後は好きにしな〜」

 

それだけ言って画面を切る。バラすとは言っていたがやり過ぎだドアホ。と俺は頭を抱えた。




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