バカとテストと僕たちの戦いはこれからだ(仮)! 作:ハッピー23
sideは戻り明久になる
「明久。悪いがシャンプー取ってくれ」
「はいよ」
「……これは?」
「石鹸だけど?」
「俺が頼んだのはシャンプーだ」
「石鹸でも洗えるでしょ?てか、シャンプーが見当たらないからこうして僕は石鹸で洗ってるんだけど?まあ、家でも石鹸だったりするんだけどね……」
見つけられないものは仕方ない。
「……ムッツリーニ。シャンプー取ってくれ」
「……了解」
雄二の手に渡されたものはもちろん
「ここには石鹸しかねぇのか!?」
石鹸だ。
「……案外石鹸でも髪は洗える」
「ちっ……仕方ねぇ。女湯にいるやつに聞いてみるか」
「なんでそんなにこだわるのさ?別に石鹸でもいいじゃない?」
「……」
え、なに?そのお前の頭おかしんじゃねぇの?みたいな目は?
「あのなぁ……石鹸とシャンプーは役割が違うんだ。知ってるか?」
「バカにしないで!それぐらい知ってるよ!てか、知らない人とかいるの!?」
僕の場合はゲームとかマンガにお金を注ぎ込んでて金欠なだけで……、実際に余裕があれば僕だって……。
「おーい、誰かにいるかー?シャンプーがあれば借りたいんだが?」
女湯に向かって雄二が呼び掛ける。
「……その声、雄二?」
「翔子か……。悪いがシャンプー貸してもらいたいんだが」
「代表?何してるの?そんなところ立って」
「……あ、愛子」
「ん?工藤か?シャンプー貸してくれ」
「坂本くん?うん、いいよ♪」
壁の向こう側でトタトタと足音が聞こえる。
「ムッツリーニ……覗きはダメだからね?」
「……(ブンブンブン)」
必死に首を振って否定しているが、手に持っているカメラのせいで疑われても仕方ないだろう。
「坂本くん、投げるよ~」
「おう、サンキュー」
上を見上げる雄二。おかしい、雄二の顔が険しくなって……。
「……私も」
僕たちも上を見上げる。なんと、雄二の真上一面がシャンプーによって埋められていた。つまり、だ。
「うおっ!?」
それは雄二に降り積もるってことだろう。
ドサドサドサ……コロン
「……(ピクピクッ)」
シャンプーによって下敷きになる雄二。
「大丈夫?雄二」
「殺す気か!?俺を生き埋めにするつもりだったのか!?」
いや、そんなので死なないし、生き埋めにもならないと思う。
「ったく、こんなにも使わねぇよ。投げて返すから少し離れてろよ翔子、工藤」
軽く壁を越す感じに上へと放り投げていく。
「あれ?先に来てたのね代表、愛子」
「……優子?」
「私もいますよ」「ウチもいるわよ」
「こんなところで何してるのーーーって、ビックリした!?」
「……あ」
「なんでシャンプーが上から……?」
「優子たち気をつけて!」
壁越しから慌てるような声が聞こえる。
「ちょ、ちょっと雄二?」
「……すまんな。止める前に全部投げ終えてしまった」
「このバカ!もし怪我でもさせたらどうするのさ!ーー大丈夫?みんな!」
壁越しに声をかける。
「大丈夫よアキ」
「大丈夫心配ないよ」
「一体誰が投げてきたのよ!」
「……雄二が」
「坂本くん?……あんまりおふざけが過ぎると痛い目に合うわよ?」
「仕方ないだろ!そもそも先にそんだけ投げてきたのは翔「言い訳は無しよ」……チクショウ」
このあと壁越しで木下さんの説教は続いた……。
ちなみに、この時秀吉はというとーーー。
「また一人で風呂かのう……」
秀吉専用の湯に浸かっていた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆
「くそ……なんで俺が…」
「まあ、しょうがないんじゃないかな?タイミングがタイミングだったし」
「……どんまい」
「ワシの知らぬところで何があったのか気になるが、まあ、そんなに落ち込むのではない」
「……実際あまり気にしてはないがな」
「「え?」」
「明久」
「なに?」
「俺との約束を覚えてるよな?」
「……えっと、教えなきゃダメ?」
「ムッツリーニ、ペンチ持ってこい」
「……了解した」
「待って、わかった!わかったから!ていうか、ムッツリーニ!そこはまず、何故ペンチを求められているか疑問に思うよね!?」
「……明久の爪を剥ぐためでは?」
え……?なんでわかるの?
「……これぐらい常識」
「待つんだムッツリーニ。いつも何か仕出かす度に爪を剥がれてるみたいな言い方をするんじゃない!」
そんな痛いこと毎回やられては、ここにいられるわけがない。
「で、明久ーーー」
「はいはい……名前は必要?」
「一応教えてもらおう」
「『因幡 てゐ』っていうーーー」
「ああ、すまん。因幡 てゐって人探してんすけどーーー。あっち?サンキュー」
「え……?」
名前を聞いた瞬間、雄二はここで働いている従業員の人に居場所を聞き出して走り去ってしまった。さっき一応って言ったよね!?
「待って雄二!?」
僕も後を追うように走り出した。
「やれやれじゃのう……」
「……どこにいても変わらない」
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「ハァハァ……やっと追いついた!」
「なんだ、お前も来たのか」
「一応ね……」
目を見ればわかる。こいつなら本気で鍋にぶちこんでしまうかもしれない。
「そんじゃ……因幡てゐ!お前に話がある!」
襖をバンッと開ける。
「っ!?この匂いは……酒か!?」
「見て雄二!ババア長がいるよ!?」
「アンタらねぇ……いい加減学園長と呼びな!」
少し酔ってる感を出した学園長がいつも通り注意してきた。
「おしひょうしゃま~…今日もまひゃ、てゐの落とひ穴に落ちちゃったんれすよ~……」
「あらあら、それは災難だったわね」
「うぅ~……、毎回落ちひぇる私の身も考えて~……」
「鈴仙ってお酒に弱いんだね。ぷは~、中々いけるねこのお酒」
な、なんだこの宴会ムードは……。
「……で、私に何の用かね少年?」
てゐは雄二を指さした。
「お前に言っておきたいことがあるんだが」
「言いたいことだって?……言ってみな。聞くだけ聞いてやるさ……ヒック」
両者は睨み合った……。