毎日投稿している方々に尊敬を向けるrenaultです。
今回短いし、後半駄文です。申し訳ございません。
プロ試験 五日目
「結局四勝が伊角、進藤、和谷、塔矢の四人だろ」
「伊角は強いのわかるけど、残りの三人ガキどもだぞ」
「小学生であのレベルって俺たち勝てる気しねぇんだけど」
「訳のわかんねぇおっさんは三勝だし、あのかわいい奈瀬ちゃんも三勝だろ?」
勝てる気しねぇー等と呑気に話す人達のことを無視しながら和谷は、今日ある進藤との対局に向けて集中していた。
(何時も手合いの時負けてるけど今日こそは勝つ! 勝たないとプロに成れないし)
「おはよー! 伊角さん」
「ああ、進藤。おはよう。あそこで和谷が無言のまま動かない」
「そんだけオレに勝ちたいんだと思うよ」
(現に和谷君はヒカルに勝ちきれてないですからね)
「そろそろ時間だぞ? 進藤」
「うん、行くよ」
ぞろぞろと受験者が広間に向かう。
「進藤。調子はどうだ?」
「急にどうしたんだよ塔矢」
「いや、僕と当たるまで負けないで欲しいからね」
「負けるかよ。そんなことより自分のこと心配しとけよ、伊角さんと対局だろ?」
「僕は君に勝つまで負けない」
「ハイハイ、寝言は寝てから」
「いいか! 僕は君に勝つまで負けない!」
「こっちだこっち!」
ヒカルが対局席を見つけて座る。
「無視するな!」
「ねぇねぇ」
誰かが肩を叩く。
「塔矢くん声おっきいね」
「ごっ! ごめん。ふ? 福井君?」
「うん! よろしくね? 今日の対局も」
「あっ、ああ、よろしく」
「こっちの席だよー?」
「ああ」
全員が席につく。
「おはようございます。時間です。始めてください」
五日目の対局が始まる。
●○
「何で進藤に負けたんだ?」
盤の前で項垂れる和谷。
「どうせ右上隅をこれで固めれたと思ったんだろ?」
問題の場面まで手を並べる。
(ここは惜しかったですね)
(普通ならこれで固めれているだろうしな)
後ろの二人を無視していく。
「まずさ、森下先生ってお前と打っててこんな感じに成ったらどうしてた?」
「何でそんなこと聞くんだよ」
「必要なことなんだって」
宥めるように言う。
「先生は……たぶん……」
悩みながら指を指す。
「ここじゃないかな?」
「なるほど」
((…………))
後ろの二人が急に黙り混む。
(どうしたの二人とも)
(小僧、こやつにそれは打たなかった方の手か? とな)
虎次郎が真剣に伝える。
「和谷、それってさっきやめた方の手?」
「そうなんだけどさぁ……でも打たないかな?」
それを聞いて虎次郎は何か納得してまた考え始めた。
「お前の時、お前の先生はどうしてたんだよ」
「オレが和谷で、佐為がオレだったら笑ってる」
「お前の先生、藤原佐為っていうの?」
「うん。まぁ、それはよくて佐為だったらこの場面で笑ってる」
「笑ってんの?」
「個々のツケで普通なら諦めだろ?」
ヒカルはツケからの
「まぁ、ここから返すのは博打だしな」
「そういう時に佐為は逆転の道が有ったら笑ってるってこと、だから自分より上の考えを……借りる? みたいな?」
「なるほどな」
そういう考え方か。と和谷は納得する。
「ヒカルマジックってそういう時の手?」
「多分そうだと思う」
わからねぇけどなと付け加え、検討を終わる。
●○
五日目終了時点結果
五勝
進藤、塔矢、和谷、伊角、本田、
一敗
礒部
二敗
奈瀬、福井
三敗
小宮、足立
五日目終了時点(塔矢以外院生のみ)
●○
「そういえば進藤知ってるか?」
ワクドナルドに対局後皆で来ていた。
「何?」
「最近ネット碁でさ、『kuwatora』っていうやつがいるんだけどな? そいつが秀策のコスミを使うんだ! 一回観たけど化けもんだぜ! お前の先生並みに」
「へぇー、そんなやつがいるんだ」
(私達の事ですよね?)
(以外にいねぇだろ)
(何故確認するのだ?)
「藤原さんと打ってみて欲しいぜ」
「ネット碁みてたらいるかな?」
「この前は一週間くらい前だったかな? いる時間がバラバラだからわかんねぇ」
「ときどき見とく」
「おう! ああ~っ! あそこで打つかよあんなとこ、普通死路だろ?」
「またその話かよ! もう終わっただろ?」
「いいや、納得いかねぇ~!」
どんどん和谷の機嫌が悪くなる。
「明日研究会の日だろ? 全員で考えてみる? 冴木さんとか変な手出してくるかもよ?」
「明日皆に聞くか」
そうして二人は家へ帰った。
ヒカルの一手は森下でも返せないということになってヒカルの完全勝利になった。
「kuwatora」となっているのは本因坊秀策の幼名の寅次郎と彼の俗姓の桑原から取ってます!
(ヒカルが佐為の名前を出しているためww)
桑原のじいちゃんもここから来てるんだろうなぁー。
10/6 修正