オタク剣士がIS学園で剣技を舞う!   作:ケルさん

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第11話 夏だ!海だ!臨海学校だ!

 

「おはよーっす…………何してんだお前ら」

 

朝の一年寮食堂。制服の上に羽織を着たいつもの格好の剣護は朝食を食べに行くとラウラと箒が一夏に口移しをしようとしていた。

 

「よ、よう剣護……」

「何って……夫婦では当然のことだろう?」

「お前どっからそんな知識吹き込まれた」

「羨ましいか?」

「いや全く。俺は別にそういうのは」

「わああっ!ち、遅刻っ!遅刻する!」(ドンッ)

「イェアアアッ!?」

 

ラウラと剣護が話してる途中でバタバタとシャルロットが駆け込んできて剣護とぶつかった。剣護は少しふわふわしてたのか簡単に体勢を崩した。

 

「よお、シャルロット。寝坊か?」

「う、うん。二度寝しちゃって」

 

シャルロットは朝食を受け取ると一夏の隣に座るとせっせと食べ始める。遅れて剣護もシャルロットの横に座り受け取ったうどんを一気に瞬食する。

隣の隣では一夏がラウラと箒に失言を零したのか2人に踏まれていた。

 

キーンコーンカーンコーン……

 

「やばい!予鈴が鳴った!」

 

予鈴が聞こえ一夏は立ち上がる。しかし他の4人はすでに猛ダッシュしていた。

 

「お前らオンドゥルルラギッタンディスカー!」

「私はまだ死にたくない」

「同じく」

「ごめんね」

「クロックアップすればギリチョンいけるぜ」

 

5人は全速力で玄関に着くと靴を履き替える。一夏はシャルロットが手を引いてISを展開して飛んだ。剣護は持ち前の身体能力を活かして跳ぼうとしたその時ピタッと動きが止まった。

 

「到着っ!」

「おう、ご苦労なことだ」

「あ……」(スパァン!」

「敷地内でも許可されていないIS展開は禁止されている。意味はわかるな?」

「は、はい。すみません……」

「デュノアと織斑は放課後教室を掃除しておけわかったな」

「「はい……」」

「それよりも月島はどうした?」

「あれ?一緒に来てたよね?」

「確かに……あいつ何してんだ?」

 

そのとき一夏の携帯が鳴り画面を見ると剣護からだった。一夏は千冬に許可を貰うと電話に出た。

 

「剣護?何してるんだ?」

『悪い、ちょっと織斑先生呼んでくれね?』

「代われ織斑」

「あ、はい」

「おい月島。貴様何をしている」

『あ、先生?両足釣って動けません』

「「「…………」」」

 

なんと剣護は跳ぶ瞬間に足を釣って動けなかったのである。一夏とシャルロットはえぇー……という感じの顔をして、千冬は眉間を押さえた。

 

「はあ……わかった。他の先生を向かわせるからそこにいろ。あと動けそうなら軽く伸ばしておけ。良いな」

『承知』

そう言うと千冬は電話を切り一夏に返す。そしてSHRを始まるのだった。

 

 

 

 

「おー、よく晴れたなぁ」

「ソウダネ……」

 

週末の日曜日、一夏とシャルロットは臨海学校の準備で街に来ていた。ストーカー付きで。

 

「「………………」」

「よし、行くとしよう」

 

鈴とセシリアとラウラである。3人は茂みから出ると2人の後を追って行く。

その間にも一夏とシャルロットは同じ試着室に入ってしまったり、そこを出たときに真耶と千冬に出くわしたりした。

 

「水着を買いにですか。でも試着室に2人で入るのは感心しませんよ」

「す、すみません……」

「ところで先生たちはどうしてここに?」

「私たちも水着を買いに来たんですよ。それと他の物も買わないといけないので月島くんにも来てもらってます」

「おっす、2人とも」

「そうなんですか……ところで」

「そろそろ出てきた方が良いんじゃね?」

「そ、そろそろ出てこようかと思っていたのよ」

「え、えぇ。タイミングを計っていたのですわ」

「嘘だっ!!」

「そこまで否定する!?」

 

一夏と剣護に言われ鈴とセシリアは柱の影から出てきた。

 

「あ、そういえば買い忘れたものがあるんでした。凰さん、オルコットさん、デュノアさん、月島くん、ついてきてください」

「あ、すみません先生。俺ちょっと救急セットを買い足ししないといけないんで……えーと、シャルも来てくれね?」

「うん、わかった」

「わかりました。では凰さんにオルコットさん行きましょうか」

「「は、はい」」

「やれやれ……山田先生は余計な気を遣う」

「?」

 

真耶と鈴とセシリアの3人は何処かへ、剣護とシャルロットは薬局に行ってしまい、一夏と千冬だけがこの場に取り残された。

 

 

 

「おっ!海が見えてきた!」

「ヒャッホーイ!最高だぜぇぇぇ!」

「ぐかー……」

 

臨海学校当日。行きのバスの中でみんなが騒ぐ中で1人だけ大爆睡していた。

 

「剣護ってば出発してからずっと寝てるよ?」

「5分あたりからウトウトしてたからな」

 

剣護はIS学園を出発して5分ぐらいから舟を漕ぎ始めて10分経った頃には完全に眠りこけていた。そしてバスが旅館に到着すると同時に起きた。

 

 

 

「「………………」」

 

海に行くため着替えようと一夏と剣護は別館に向かう。その途中で箒と出くわして、今は目の前の光景に沈黙していた。

旅館の庭に謎のうさ耳がぶっ刺さっているのである。

 

「……なにこれ?」

「知らん、私には関係ない」

「えっと……引き抜くぞ?」

「ご自由に」

「よし。せーのっ!っとうわぁ!?」

 

勢いよくうさ耳を引っ張った一夏はすぽっと抜けた反動で盛大にすっ転んだ。

 

「何をしていますの?」

「お、セシリアか。今このうさ耳を……あ」

「っ!?」

 

すっ転んだ体勢から見上げて一夏は思い切りセシリアのスカートの中を見てしまい、セシリアは顔を赤くしてババっと後ずさった。

 

「上から来るぞ!気をつけろ!」

「「え?」」

 

剣護の叫びに反応して2人が見上げるとにんじんミサイルが高速で飛んできて思い切り地面に突き刺さった。

 

「なぁにこれぇ?」

「に、にんじん……?」

「あっはっは!引っかかったね、いっくん!まさに計画通り!」

 

ばかっと割れたにんじんから現れたのはISを開発した人物、篠ノ之束だった。

 

「お久しぶりです、束さん」

「うんうん。おひさだね。本当に久しぶりだねー。箒ちゃんはどこかな?さっきまで一緒にいたよね?」

「どこでしょうね」

「まあ、私が開発した箒ちゃん探知機があれば問題ナッシング!じゃあね、いっくん。また後で!」

 

スタコラサッサと走り去る途中で束と剣護は目が合った。

 

「んー?君は?見ない子だね」

「ども、月島剣護っていいます」

「ふーん…………君、なかなか面白いね。不思議な何かを秘めてる気がするよ」

「はい?」

「ふふっ……それじゃあまたね」

 

束は剣護に笑いかけると箒を追って走り去った。剣護は束の言ったことが理解できずしばらく首を傾げていた。

 

 

 

 

「夏だ!」

「海だ!」

「臨海学校だ!」

「そしていざ……」

「「「全速前進DA!」」」

 

女子生徒たちは皆それぞれの水着を着て海へと突撃していく。一部某社長のセリフを言ってた気もするが。

 

「いやぁ、なかなか綺麗だな」

「そうだなー。しっかりと楽しませていただきますかなっと」

「おうっ。で、なんでお前はその格好なんだ」

「気分ってのもあるけど、まあ傷が目立たないように?」

「なるほどな」

 

一夏は水着だけだが、剣護は水着のハーフパンツに上は闘魂と書かれたTシャツにいつもの羽織を着ていた。

 

「あ、織斑くんだ!」

「わ〜。体かっこい〜」

「月島くんはいつもの……くっ!見れない!」

「考えるんだ……脱がせば良いのだと……」

「やっべえ逃げないと」

 

いつものごとく女子たちは一夏にロックオンして向かってくる。しかし一部は剣護を脱がそうと向かってくる。当然、一夏と剣護は逃亡することを選ぶ。

 

「「逃げるんだよぉぉぉぉぉ!!」」

「者ども!出会え出会えい!」

「逃がすな!追えー!」

「みんなで捕まえるのよ!」

 

ドドドドドッと砂埃を上げ追いかけてくる女子たち、一夏と剣護はジョースター家の秘技で突っ走るがなかなか引き離せない。

 

「け、剣護!どうする!?」

「ええい!ならば牽制するまでよ!イヤーッ!」

「グワーッ!」

「みんな!気をつけて!スリケンよ!」

「オラァ!レッグナイフ!」

「目が!目がぁぁぁ!」

「ヘルタツマキ!」

「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」

「スリケンは後で拾っといて!」

「りょうかーい」

「ってスリケン切れた」

「なにぃぃぃ!?」

「者どもー!囲め囲めー!」

 

追ってくる女子たちをスリケンやレッグナイフと言って砂を蹴り飛ばしたりしてなんやかんやで剣護の手持ちが切れて、2人はあっという間に囲まれてしまった。

 

「さあ!観念しなさい!」

「くっ!ここまでか……」

「まだだ……まだ終わらんよ!」

「この状況で何ができるんですの?」

「……あんまし使いたくないんだけどな……っと!」

 

ボムンッ!と隠し持っていた煙玉を使い、拡張領域に入れていた刀を呼び出す。

 

「いくぜ!月島流、富嶽……」

「させないわよ!」

「ぎゃぼむ!?」

「剣護ぉぉぉぉ!?」

 

剣護は力技で乗り切ろうとしたが背後から鈴の奇襲を受けて撃沈し、羽織とTシャツをはぎ取られた。一夏はセシリアと鈴に攫われいろいろとやっている。最初はみんな剣護の体を見て唖然としたがすぐにキャーキャーと騒ぎ出したのを見て剣護はホッとした。

 

「ツッキー大変だねー」

「はあ……まあなんともなかったから良かったよ」

「はいこれ〜。回収しといたよ」

「サンキュー」

「月島くんってこういうのは初めて?」

「そりゃな。こんなの滅多にないわ」

「ふふふ……まだまだこんなものじゃないからね」

「織斑くんなんて今は鈴と泳ぎで競争してるよ?」

「あいつ超鈍感の唐変木だしー。ん?鈴のやつ溺れてね?」

「本当だー。でもおりむーがすぐに助けたー」

「そうだなー……」

 

 

 

「ほら、着いたぞ鈴」

「ええ、ありがと。ここまでついたら後は歩けるから」

 

陸に着くと一夏は鈴を下ろし、鈴はおんぶが恥ずかしかったのか頬を赤く染めながら別館へと歩いて行った。

 

「あ、一夏に剣護。ここにいたんだ」

「ああ、シャルか」

「なんだそこの化け物は」

 

一夏と剣護の目の前に居たのは全身をバスタオルでぐるぐるに覆い隠している人だった。

 

「ほら、出てきなよ。大丈夫だから」

「だ、大丈夫かどうかは私が決める……」

「その声は……ラウラか?」

「ラウラだな。この流れは」

「うーん、仕方ないか。一夏、一緒に泳ごう」

「な、ええい!脱げばいいのだろう!」

 

半ばやけくそになってバスタオルをかなぐり捨てラウラは自身の水着姿を露わにした。

 

「なんだ、よく似合ってるじゃないか」

「なっ…………」

「髪はシャルがやったのか?」

「うん、そうだよ。剣護はどう思う?」

「いいセンスだ」

「そ、そうか……」

 

「織斑くーん!ビーチバレーしよー!」

「おっと、そういえば約束してたっけ」

「行ってこいよ。お前とシャルロットとラウラでちょうどだろ」

「剣護はどうするの?」

「んー……とりあえずのんびりするよ」

「そっか。それじゃあ行ってくる」

「ガンバー」

 

そう言うと剣護は近くの木の下へと向かい木にもたれかかりのんびりとくつろぐ。潮風が吹いて丁度いい心地よさを感じる。

そんなとき、シャルロットがボールを変な方向に弾いてしまい剣護の方へとボールが迫る。

 

「け、剣護!危ない!」

「……!うおりぃやぁ!」

 

シャルロットの声に反応した剣護は立ち上がると同時に拳を振るい回転して飛び後ろ回し蹴りを繰り出してボールを蹴り飛ばした。

 

「おぉ!レーザーみたい!」

「いや絶対あれ真似しただろ」

「ツッキーお見事〜」

「ふぃー……シャルロットが言ってくれなかったら当たってたわ」

「やれやれ……相変わらず妙に格闘が得意だなお前は」

「おや、織斑先生」

 

いつの間にか千冬がやってきていた。この間一夏が選んだらしい黒のスポーティーな黒の水着を着て。

 

「そら、お前たちは昼食でも取ってこい。あと月島は残れ。少し話がある」

「わかりました。みんなは先に行っててくれ」

「お、おう。変なことするなよ剣護」

「誰がするか斬るぞ」

「相変わらず怖いなぁ!!」

 

剣護の脅しに冷や汗を流しながらも一夏たちは旅館の食堂へと向かっていった。そして剣護は千冬の隣に座る。

 

「それで話とはなんです?織斑先生」

「そう張り詰めるな。楽にしろ」

「はいな」

「まあ……お前をこの学園に入れてから二、三ヶ月ほどになるが……どうだ?この学園は」

「そうですねえ……トラブルが多いですね」

「……そこは否定しないが」

「ま、それともかく楽しいですよ。毎日友達と過ごしてとても充実しています」

「……そうか。それとお前には感謝している。対抗戦の無人機乱入やトーナメントのことなど、二度もあいつらを助けてもらっている」

「お安い御用ですよ。俺の剣は守るための剣ですから」

「そうか……」

「それに俺も先生には感謝してます」

「ほう?」

「あの時織斑先生が誘ってくれたから一夏たちと出会えたんですよ」

「……それなら良かったさ。これからもよろしく頼む」

「えぇ、こちらこそ」

「そら、お前も行ってこい」

「では、失礼します」

 

剣護は千冬に一礼すると食堂の方へと走っていった。

 

その日の夜はシャルロットが山盛りわさびを食べたり、正座に苦しむセシリアに一夏が食べさせようとして自分もと他の女子たちが押し寄せてきてそれを剣護がスリケンとネイルガン(ゴムピック)を撃ち込みノックアウトしてさらに山盛りわさびを突っ込んで追い打ちしたりした。

 

そしてその後。

 

「おーい剣護。千冬姉が呼んでる」

「あいよー」

 

部屋で剣護が刀の点検をしていると一夏が呼びに来た。どうやら千冬からお呼ばれのようである。剣護はいつもの羽織を着て刀を腰に差し教員室へと歩いていった。

 

「失礼しまーす。月島剣護、参上いたしました」

「よし、来たか。入れ」

「では…………なにこれお通夜?」

 

部屋には女子専用機持ち全員が正座していて、いつもの騒がしさは何処いったと言いたくなるほど暗かった。

 

「適当に座れ。お前にも飲み物を奢ってやる。何がいい?」

「じゃあコーヒーで」

「ほれ、受け取れ」

「ども、それで?なんですか?」

「ああ、お前何か持って来てるか?」

「まあ一応、おやつがありますよ」

「そうか。なら何かツマミをくれ」

「はあ……わかりましたよ。少々お待ちください」

「ああ、それともう一つ」

「……なんすか」

「お前はいつもその着物を着ているなぁ……他には無いのか?」

「別に良いじゃないですか。それにこの羽織はご先祖様の物で着てると落ち着くんですよ」

「ふぅん……そういうものか」

 

そう言うと千冬はグビグビとビールを煽る。箒たちもチビチビと受け取った飲み物を口にする。

剣護は一旦部屋へ鞄を取りに行き、その間に専用機持ちメンバーは千冬の話にビクビクしながらも聞き入るのだった。

 

 

 

 

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