クラス対抗戦当日。第二アリーナにて一夏と剣護が話をしている。のだが剣護に関してはかなり苛立っている様子である。
剣護「………………」
一夏「な、なあ剣護?」
剣護「あ"?」
一夏「なんでお前がキレてんの!?」
剣護「いやぁ……人が喧嘩してるとこ見るとさー……なんか腹立つ」
一夏「なんで!?」
「俺に伝えてどうすんだよそんなこと!」
「いやお前のことだし!確かに鈴と喧嘩してるけどさ……」
「どーせお前が不本意に口走ったんだろ。地面に落ちた柘榴にするぞ」
「それ遠回しにミンチにするってことじゃんか……」
「まあいいや、とりあえず頑張れ。終わったら2人仲良く柘榴だ」
「あ、死刑確定なのね……」
「もちろんSA☆」
「はぁ……行きも帰りも怖いってか……もうこうなりゃ腹括るか!」
「ハハッ☆ミンチミンチ☆」
「なんでそんなに殺気立ってんだよもー……やだもー」
「一夏はん、それ女子キャラのセリフや」
「はぁ……じゃあ逝ってくる」
「カッコ良く散ってこい」
メンタルがゴッソリと抉られた一夏はどんよりとした顔で鈴の下へと向かって行った。
「さてと……なんか嫌な予感がするから俺も準備しますかね」
剣護はそういうといそいそと何処かへ向かうのだった。
『それでは両者、規定の位置まで移動してください』
一夏と鈴は指定された位置まで移動するとお互い向かい合い、オープン・チャンネルで言葉を交わす。
「一夏、今謝るなら……って今気づいたけどなんでそんな絶望しかけた顔してんのよ」
「どの道殺されるからな……剣護に」
「そ、そう……ご愁傷様」
「多分鈴も同じく」
「なんで!?」
「もう本人から聞いてくれ。やる前からいろいろ疲れたわ」
「えぇ……何よ怖いじゃないの……あいつの殺気千冬さん並みにエゲツないんだけど……」
「………………」
「………………」
しばらく2人は向かい合ったまま無言になってしまった。そしてまたアナウンスが響く。
『それでは両者、試合を開始してください」
「もうどうにでもなれやぁぁぁ!!」
「ヤケクソよもぉぉぉ!!」
「「ヤロォォブッコロシテヤラァァァ!!」」
もう試合とか喧嘩とかどうでも良くなり2人はやけっぱちに試合を始めた。雪片弐型と双天牙月がぶつかり合い火花を散らす。
甲龍の衝撃砲が放たれ、一夏が吹き飛ぶ。そんな攻防が繰り広げられる。
「なんで2人はあんなにヤケクソなんだろうか……」
「さあ……私には分かりかねますわ」
「そういえば剣護はどこに行ったんだろうか?」
「確かに……折角の一夏さんの試合ですのにどこ行ったんでしょう?」
ピットにいる生徒たちが歓声を上げる中、箒とセシリアはしばらくキョロキョロしていた。
一方でアリーナの方は一夏がかなり押されていた。
「よくかわすじゃない。衝撃砲は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに」
「こちとら必死だからな……いろいろ危ないし」
「それには同意」
(とは言ってもこのままだとマズイ……どこかで先手を打たないと)
そう考えて一夏は雪片を握りしめる。そしてこの状況を打破するには雪片のバリアー無効化しかないと判断する。そう考えて一夏は鈴を真剣に見つめる。
「鈴」
「なによ?」
「本気で行くからな」
「上等。格の違いってのを見せてあげるわ!」
鈴は双天牙月を構え直す。一夏はイグニッション・ブーストを使用し奇襲を仕掛けるべく急接近する。
「うおおおおっ!」
しかし、それは失敗に終わる。なぜなら刃が届きそうになった瞬間に大きな衝撃がアリーナ全体に響いたからだ。
「な、なんだ?なにが起こってるんだ?」
「一夏、試合は中止よ!すぐにピットに戻って!」
「え?ど、どういう……」
言い切る前にISの緊急通告が入ってきた。
ーーステージ中央に熱源。所属不明のISと断定。ロックされています。
一夏はいきなり乱入してきた謎の機体に狙われているのである。
「一夏!あたしが時間を稼ぐから、その間に逃げて!」
「逃げるって……女を置いて逃げられるか!」
「あんたの方が弱いんだからしょうがないでしょうが!」
「うぐ……否定できん……」
「別に、倒すだなんて思ってないし。すぐに先生たちがやってきてーー」
「あぶねえっ!!」
「え?」
とっさに敵の方へと振り向くと、ちょうど敵ISがビーム兵器を放ったときだった。
「し、しまっ……!?」
「鈴!」
一夏はすぐに鈴の方へ向かうが間に合わない。放たれた熱線が今にも鈴を飲み込もうとしていたそのときだった。
「月島流、富嶽鉄槌割り『円錐』!!」
「!!」
IS学園にいるもう1人の男が現れたのは。
放たれた熱線は剣護の鉄槌割りによって相殺され爆煙を上げた。
「け、剣護!?」
「あ、あんた……な、なんで?」
「アリーナの壁に穴あけて入ってきた。大丈夫か?」
「え、えぇ……」
「穴って…………」
一夏がアリーナを見渡すと一夏が出てきたピットの入り口の少し右側に菱形の穴があいていた。どうやら菱形に斬って穴をあけたらしい。
「さてと……どうする?」
「それよりあいつは何者だよ?」
「……おそらく無人機だ。金属の流れしか感じない」
「でも、ISは人が乗らないと動かないはずよ?」
「どっかのアホかキチガイがなんかしたんだろ。全く嫌になるわぁ……」
「やめろよその言い方」
「どうする?向こうはやる気みたいよ?」
「ジョースター家の秘技使う?」
「いや無理だろう」
「っ!来るわよ!」
敵ISは体を傾けて突進してくる。一夏と鈴は回避しようとするが剣護はそれを止める。
「ちょっ何する気なの!?」
「良いから俺の後ろに居ろ。縦一列で」
「いやだから……ああもうわかったよ!」
「鬼哭流火の型五式……」
「「え?」」
一夏と鈴はすぐさま剣護の後ろに縦一列に待機する。そして剣護は体を捻り刀を横に構える。敵ISはもう剣護に激突寸前だったが剣護はそれを薙ぎ飛ばす。
「朱円薙ぎ!」
「うお!横に吹っ飛ばした!?」
「うっそ……どんな馬鹿力よ……」
「ここは俺に任せて先にーー」
「いやここでフラグを立てるなよ!?」
「それよりまた来るわよ!」
「っしゃ!やるぞ2人とも!」
「おう!」「えぇ!」
一夏は雪片を、鈴は双天牙月を、剣護は[鈍]と黒刀[十六夜]をそれぞれ構える。それに対し敵ISはビームを放つ。しかしビームは剣護の鉄槌割りで相殺される。
「俺があいつの攻撃を防ぐから2人は攻撃しろ!」
「わかった!無茶するなよ!」
「任せたわ!」
「おう!連撃必殺……富嶽鉄槌割り!」
連続で鉄槌割りを繰り出し出鼻を防ぐ。その隙に一夏は雪片を振るい、鈴は衝撃砲を放つ。が、ギリギリのところで避けられる。
「クッソ!当たりさえすれば……」
「相手の方が出力が高いのが問題ね……」
「剣護、なんとかできないか?」
「無茶言うなよ。ただでさえ俺の技は威力が高いのに」
「むう……下手したら俺たちが技を受けちゃうのか……」
「……あ、1つだけ方法があったわ」
「なんなの?」
「正面から技をぶつけて動きを止める。2人は背後から殴ればいい」
「なるほど……わかった!」
「頼んだぜ!」
剣護は二刀を構え敵の真正面から突っ込んだ。
「織斑くん!凰さん!月島くんも!聞こえますかー!?」
一方で真耶は焦っていた。プライベート・チャンネルは声に出す必要がないことを忘れるほどに。
「落ち着け山田先生。コーヒーでも飲め。糖分が足りないからイライラするんだ」
「先生……それ塩ですけど……」
「……なぜ塩があるんだ」
「さ、さあ……それより早く救援を出さないと!」
「そうしたいところだが、これを見ろ」
「遮断シールドがレベル4に設定……?扉もすべてロックされて……あのISの仕業ですか!?」
「そのようだ。避難することも救援に向かうこともできないな」
「そ、そんな……どうすれば……」
「月島がいるから大丈夫だろう。もしくは……」
「…………?」
千冬が何か考えがあるようなことを言っていたが現時点では誰も気づくことはなかった。
(動きを止めるには……乱舞しかないな)
剣護は駆けながらそう考える。一撃だけの技だと相手に反撃されてしまう。ならばどうするか、相手が防御しかできないように連続で攻撃するしかない。剣護はそう判断した。
「鬼哭流奥義……」
敵との距離数メートルのところで強く踏み込み懐に潜り込む。そして放つはセシリア戦で放ったあの高速16連撃。
「星撃嵐舞!!」
「!!」
「でぇあああああ!!」
一撃より二撃より三撃と繰り出す度に速さを増し、次第に斬撃は星屑のように舞っていく。敵ISは素早い連撃にガードしかできない。
「すげえ……あんなの持ってたのか剣護のやつ……」
「今のうちにやるわよ!」
「おうっ!」
一夏と鈴は敵の後ろに回り込みイグニッション・ブーストを使うため加速体勢に入る。その時だった。
「一夏ぁっ!!」
アリーナのスピーカーから箒の声が響いた。一夏は中継室の方を見ると箒がいた。しかも剣護の連撃の最後の一撃が防がれたときだった。
「男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!」
「箒……っ!」
「あんのバカ……!」
剣護は焦ったように技を繰り出すが受け止められてしまう。そして敵ISはじっと箒の方を見る。
「箒、逃げーーぐああ!?」
「がはぁ!?」
言っても間に合わない。一夏は突撃しようとするが敵ISは掴んでいた剣護を投げつけた。加速しようとしたときに激突してしまいかなりの衝撃が2人に響く。さらに敵ISはトドメと言わんばかりに砲口のついた腕を2人に向ける。
「一夏!剣護!」
「や、ヤバい……!」
「ぐっ……!」
敵ISの腕は最大出力形態となり強い光を発し、そして最大出力でビームを放った。放たれたビームは2人を飲み込もうと迫り来る。
(だめ……間に合わない!)
鈴はイグニッション・ブーストで助けに向かおうとするが間に合わない。そう思ったときだった。
ーードガアアアアアンッ!!
地面から何かが突き出してビームを防いだのである。
「……あれ?痛くない?」
「てか、喰らってないぞ?」
一夏と剣護は自身に痛みがないのに気づくと前を向いた。そして2人は、いやこの戦いを見ていた全員がポカンとしたような顔で目の前の出来事を見ていた。
なぜなら目の前には赤と金色の機体が仁王立ちしていたのだった。