「な、なんだこの機体は……」
「じ、地面から現れたわよ……」
「……こいつは……!」
目の前の光景に2人は呆気にとられる。しかし、ただ1人剣護だけはこの機体に何かを感じたようでじっと見つめる。
「な、なんなのだ……あの機体は……」
中継室にいた箒も一夏や鈴と同じ反応をしていた。いきなり地面から現れ、敵のビームから2人を守ったIS。箒の頭の中で様々な思考がぐるぐると回っていた。そのとき中継室のドアがバンッと開いてセシリア、千冬、真耶が入ってきた。
「箒さん!こちらにいらしたんですのね!」
「あ、あぁ……それよりもあのISは……」
「説明は後でします!それより……ちょっと失礼します!」
真耶はマイクをひったくると大声で叫んだ。
『月島くん!聞こえますか!?』
「んあ?山田先生?」
真耶にスピーカーで呼ばれて剣護は中継室の方を振り向く。
「先生!あれは一体何なの!?」
「なんか見た目がロボだけど……」
2人の質問に対して真耶は答える。
『皆さんも良く聞いてください。そのISの名前は[富嶽]。月島くんの専用機です!』
「け、剣護の専用機!?」
『そろそろ届くと思ってたんだがな。こんな状況で来るとは……不幸中の幸いだったな』
「…………」
『月島、時間がない。試運転はこの場でやれ』
『頼む剣護!一夏たちを守ってくれ!』
『私からもお願いいたしますわ!』
箒たちの叫びを聞いて、剣護は自身の愛機[富嶽]に触れる。目を閉じ愛機を感じ取る。そして決心したように箒たちに返事を返す。
「委細承知!!」
富嶽の背部が開いて剣護はそこから乗り込む。すると、ギンッ!と富嶽のセンサーアイが光り戦闘態勢に入った。そして剣護はあのセリフを口ずさむ。
「さあ……ひとっ走り付き合えよ!」
「行け!剣護!」
「やっちゃいなさい!」
敵ISはすぐさま右腕のビーム砲を構えるが、次の瞬間振り下ろされた富嶽の踵に叩き潰された。
「え……な、なんですかさっきの!?」
「ふむ……胴回し回転蹴りか」
「あの巨体で!?」
「あの機体は見た目の割にかなり敏捷なんだそうだ」
「各部に付いてるリアクターが機動力を上げてるということですの?」
「まあそれもあるが……なにしろ剣護が注文したからな」
「「「あー……」」」
「使える武装は……」
剣護は敵ISとの戦闘の最中、現時点で使える武装を確認していた。今使えるのは4つ。掌に装備されたレーザー、近接ブレード「黒鉄」、エネルギーショットガン「フュージョンカノン」、イオンブラスターである。
「よし……来い!黒鉄!」
4つの中で剣護はブレードを呼び出す。右手からパシュンッと光が放出され一振りの刀が現れる。
「は、速い……」
「完全に自分のものにしてるわね」
「そりゃどーも「来るぞ!」わかっとるわそんなもん」
話してる間に来た敵ISの左腕を楽々と受け止める。そして掴み、腕の付け根に黒鉄を突き刺し左腕を引き千切った。
「オオオオオ!!」
さらに剣護は敵ISの突き出した右腕の砲口を突き刺し、さらに地面に縫い付ける。そして左掌をもう1つの武装を向ける。両掌に装備されているビーム兵器、「リパルサーブラスト」である。既にチャージが完了していたようで剣護は遠慮なく撃つ。
「リパルサーブラスト!発射ぁ!!」
キィィィ…………ズドオオオオオンッ!!
放たれたビームは見事に胴体のど真ん中を撃ち抜き破壊、敵ISは完全に動かなくなってしまった。
「や、やった!」
「はぁ〜……疲れたぁ……」
「念のためにもう何発か撃ち込んどこ」
ズドンッズドンッ……ドゴゴゴゴゴゴゴッ!
「「もうやめてえ!?」」
「HA☆NA☆SE!」
「とっくに敵ISのライフは0よ!」
「もう勝負はついたのよ!」
リパルサーを二発ほど撃ち込んだが剣護自身の気が済まなかったのか馬乗りして頭部を何度も殴りまくったので、ちょっと待てやと一夏と鈴に止められてようやく終わった。
「ふー……スッとしたぜえ……」
「やり過ぎだっての……にしてももう乗りこなしてるな」
「本当にね。実は前にも乗ったんじゃないの?」
「いや今回が初乗りだよ」
「そもそもなんでそんなロボみたいな見た目なんだよ」
「ぶっちゃけるとハルクバスターよね。アベンジャーズの」
「俺の趣味だから仕方ないネー」
一方で中継室の方では、
「はあああ……ヒヤヒヤしましたわ……」
「あぁ……だが皆無事でよかった」
「一時はどうなるかと思いましたけど、月島くん見事に富嶽を乗りこなしてますね」
「基礎は大体できてたからな。それにあいつ自身の力のこともある」
「それよりも織斑先生」
「わかっている。頼んだぞ山田先生」
千冬の一言に真耶は静かに頷いた。
場所は変わりピットの中。扉のロックが解除され剣護たちはやれやれと戻ってきたのである。
「いやーそれにしても富嶽もすごかったけど剣護の乱舞もすごかったよなー」
「なんというか……綺麗だったわよね」
「鬼哭流奥義、星撃嵐舞。高速で16連撃を放つ技でいわゆる……」
「「いわゆる?」」
「スターバースト・ストリーム」
「あー……なるほど」
「だから星(スター)撃(バースト)嵐舞(ストリーム)なのね」
「そういうこった」
「それにしても剣護の技はどれくらいあるんだ?」
「……えーと、月島流剣術と鬼哭流剣術と水の呼吸の3つだから……わかんね」
「どんだけあるのよ……」
「俺に伝えてどうすんだよそんなこと!」
「「お前だから聞いてんだろうが(でしょうが)!!」」
「すいません!」
「いーy……危ない危ない」
「本当に危ないじゃないの」
「おう、気をつけるよ……あ、そういえば富嶽はどうなった?」
「こちらになります」
そう言って剣護が出したのはブレスレットと小さな赤いミニカーみたいなものだった。これを見て3人は黙ってしまい、一夏と鈴は剣護を見るが剣護は目を逸らして明後日の方向を向いた。
「「………………」」
「………………」
「あのー……剣護?」
「聞くな」
「これってどう見ても……アレよね」
「言うな」
「これどう見てもシフトブレスとシフトカーなんだが」
「言うなぁぁぁ!」
そう、富嶽の待機状態が何故か仮面ライダードライブのシフトブレスとシフトスピードなのである。
「剣護……ドンマイ」
「ぶち殺すぞヒューマン」
「まあまあ……そのうちなんとかなるわよ」
「はぁ……仕方ないかぁ……」
ガックシと項垂れる剣護に一夏と鈴は苦笑いをするしかなかったのであった。