城下町のダンデライオン-Begins of KUUGA- 作:ノアJAM
それでは、お楽しみください。
私の名は、櫻田総一郎。今、この時代では「アンノウン」や「アギト」なる存在が語られているが、これは今突如として現れていた訳ではない。今から20年程前にはもう、今とは違う存在「未確認生命体」が出現していた。無論、それを倒す存在も。
公には、「未確認生命体第4号」とされているが、私は彼の本当の名を知っている。
彼の名は、「相馬雄介」。またの名を……「クウガ」
九郎ヶ岳遺跡 pm.23:12
相馬雄介は、櫻田王家直属の使用人である。
雄介は、主人である「櫻田総一郎」と「櫻田五月」と共に、先日古代文明の遺跡が発見された九郎ヶ岳に来ていた。
「雄介、君はもう少し使用人らしい事は出来ないのかい?」
「は?ちょっと待てよ、俺は使用人である前に、お前の幼馴染でもあるんだぜ、総一郎」
「公私混合するなって事でしょ?そのくらい自分で考えなさいよ、相馬君」
「さっちゃん……お前もかよ」
すると、遺跡から発掘チームの一人がベルトのような装飾品を持って、雄介たちの下へ駆け寄って来た。
「陛下、遺跡の中からこのような物が」
そのベルトを見た瞬間、雄介の脳裏に突如イメージが流れ込んできた。
そこは、現代ではない場所。化石化したベルトをつけた20歳前後の青年が、人間とも動物ともとれない異形の生物に向かって戦っているイメージだった。
その時、青年はベルトを中心に赤い身体をした戦士に姿を変えていた。
「ボソギデジャスゾ、クウガ‼(殺してやるぞ、クウガ‼)」
イメージはそこで途切れた。
現実に戻った雄介は、ベルトを見ながら呟いた。
「……何だったんだ、今の?」
「雄介、どうかしたのかい?」
「相馬君?」
「いや…何もない」
雄介は誤魔化していたが、総一郎と五月にはそれが嘘だと分かっていた。
突然、遺跡の中からとてつもない爆発音のような音が聞こえてきた。
「…⁉」
「様子見てくる。総一郎とさっちゃんはここにいて‼」
雄介は、総一郎と五月の制止を振り切って、遺跡の中に入っていった。
遺跡に入った雄介が見た光景は、正に地獄だった。
自分の足元から奥の棺にかけて、何人もの遺体が転がっていた。
「何だよ……これ」
雄介はゆっくりと奥の棺を見る。すると、突然棺が轟音を立てて転がり落ちた。その奥から人の形をした何かが姿を現した。
「何だ…人…なのか?」
「ゾボザパ、クウガ……(クウガは、どこだ?)」
その何かは、雄介が持っていたベルトを見て呟く。
「ゴセパ、デスドン、クウガ(それは、クウガのベルト)」
「何を……言ってんだよ」
そして、その何かは雄介に襲い掛かった。
雄介は、目の前まで迫った何かから身を守るため、咄嗟に殴り飛ばした。その時、拳が一瞬緑色に変色したことには雄介本人も気づかなかった。
異形の何かがよろめいた時、雄介は外に飛び出した。
雄介が外に出ると、そこはまるで戦場だった。
発掘チームの簡易テントは全て炎上し、地面には何人もの人の遺体。
炎上するテントの光で、雄介は総一郎と五月の姿を見つけ、駆け寄る。
「2人とも無事だったか‼」
「雄介⁉一体これはどうなっているんだ…」
「分からない、何か化け物みたいな奴が遺跡から出てきて……」
雄介は総一郎の背後から白い縄のような物体が迫っている事に気づいた。その物体の主は、人の形をしているが、明らかに人間ではなく、蜘蛛を人の形にしたような姿をしていた。
「2人ともどっかに隠れてろ…」
「相馬君⁉」
「コイツつけてみる‼」
雄介は迷う事なく、ベルトを自分の腰に付けた。
その瞬間、ベルトは雄介の身体に入り込んでいった。その時雄介は、自分が何をするべきなのかをぼんやりとだが見えた。
(……このままじゃ、俺もあいつらも死ぬ‼)
「俺が、守らなきゃいけないんだよ‼」
そう叫んだ雄介は、迫り来る怪物を殴り飛ばした。
すると、雄介の腕が白を基調とした別のモノに変わった。その事を確認した雄介は、一心不乱に怪物を攻撃する。
次第に雄介の身体は、白い異形の姿に「変身」した。
「バゼザ……バゼ、ゴラゲグビ、クウガ‼(なぜだ……なぜお前がクウガに‼)」
雄介は、後々の世に伝説として語り継がれる戦士「クウガ」になった。
「ギベ、クウガ‼」
「戦うしかないみたいだな……」
「ギラン、ゴラゲグビ、ダゴゲバギゾ、ボン、ズ・グムン・バ‼」
「ジョリガゲセ‼」
「今の俺は、どう見える?」
EPISODE2『変身』