城下町のダンデライオン-Begins of KUUGA- 作:ノアJAM
櫻田総一郎と櫻田五月は、相馬雄介の姿を見て驚愕した。
先程まで「人間」の姿をしていた雄介が、突然白い何かに「変身」したのだ。総一郎は変身した雄介と、彼と戦っている蜘蛛のような姿をした異形の何かを見て、震えた声で言った。
「そんな……あの色は…」
「総ちゃん?」
「あの蜘蛛みたいなものからは、破壊と殺戮の色しか感じられないんです。それに、白い存在は、間違いなく相馬雄介なのに……さっきまで見えていた雄介の色が、今は全く見えないんです」
総一郎は、他人の感情を色で読み取る事が出来る能力を持っている。
一方、雄介は蜘蛛のような怪人から「クウガ」と呼ばれるものに変身し、戦っていた。
「何だかよく分かんねぇけど、とにかく戦うしかないみたいだな……おりゃあ‼」
雄介は拳を握り、蜘蛛怪人に向かっていく。
「ギラン、ゴラゲビ、ダゴゲバギゾ、ボン、ズ・グムン・バ‼(今のお前に、このズ・グムン・バは倒せないぞ‼)」
蜘蛛怪人=ズ・グムン・バは、向かってくる雄介に向かって、口から糸を吐き出した。
雄介は咄嗟にその糸を掴む。
「バビ⁉(なに⁉)」
グムンの糸を掴んだ雄介は、そのまま自分の方へ糸を引く。
そして、グムンが雄介の前に来た瞬間、雄介は右足でグムンの胸部にキックを浴びせた。キックと同時に糸は衝撃で引きちぎれ、グムンは奥の遺跡の柱に叩き付けられた。
だが、グムンは立ち上がった。
「ボンデギゾバ?(この程度か?)」
「(流石に、もっと気合い入れなきゃダメらしいな…)」
雄介がそう思った時、先程キックを放った右足が熱くなるのを感じた。
「(…⁉よし、行くか‼)」
雄介は、身構えてからグムンに向かって走り出す。それと同時に、グムンも雄介に向かって走り出す。
「ギベ、クウガ‼(死ね、クウガ‼)」
雄介とグムンとの距離が徐々に縮まっていく。雄介は飛び上がり、先程と同じ位置にもう一度キックを放った。
「デヤァァァァ‼」
グムンは、キックを受けて数メートル程飛ばされた。だが、グムンはもう一度立ち上がった。
「ラザラザザ……グゴ‼(まだまだだ……うぉ‼)」
立ち上がったグムンは突然苦しみだした。
すると、雄介がキックした部分に、何かの紋章のようなものが浮かび上がり、グムンの身体にひび割れが生じていた。
「ラガバ…ボンゴセグ……ギソゴドビビ⁉(まさか…この俺が……白ごときに⁉)」
ひび割れは、腰の装飾品に達した。
「ボソグ……ボソギデジャス…クウガ‼(殺す……殺してやる…クウガ‼)」
グムンは、雄介に言いながら爆散した。
グムンを倒した雄介は、いつの間にか人間の姿に戻っていた。雄介はすぐに、総一郎と五月の所へと走っていった。
「2人とも大丈夫か⁉」
「雄介…君は……一体」
総一郎が言いかけた時、雄介がそれを遮った。
「今の俺は、どう見える?」
「え?」
「お前の目に、今の俺はどんな色に見えるのかって聞いてんだよ」
「分からない……色は見えているのに、どう言えばいいのか…」
「ならいいさ」
「相馬君、どういう事?」
五月が雄介に問う。
「どんな色にしろ、色が見えているのなら、少なくとも俺は人間だって事。今はそれだけでいい…そう思わないか?総一郎」
雄介は笑顔とサムズアップで答えた。
「そう……だな。今は私もそう思う事にするよ」
「あぁ……とにかく、今はここを離れるぞ」
雄介は、総一郎と五月を連れて一度櫻田城へと戻った。
九郎ヶ岳遺跡 am.02:11
雄介が、ズ・グムン・バを倒した地点から、あまり離れていない森の中、月の光に照らされながら森を歩く人影がある。その影は、森を彷徨っているというより、ある場所まで、迷う事無く進んでいるようだった。
そのまま影は森の中を歩いていると、ふと足を止めた。どうやら、ここが影の目的地だったらしく、影は両手を広げて呟いた。
「ジョリガゲセ‼(甦れ‼)」
すると、空から青い雷が影の前に落ちた。
そこから、人間の手のようなものがいくつも地面から這い出るように次々に現れた。
「俺にしか出来ないなら、やるしかないだろ?」
「ボンドグン、ボグギゾ、ゴギゲデジャス…」
「俺がなったのは白だった……本当は赤じゃなきゃいけない気がするんだよ」
「ゲゲルゾ、ザジレスゾ」
EPISODE3 『恐慌』