城下町のダンデライオン-Begins of KUUGA-   作:ノアJAM

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EPISODE4 決意

 総一郎と五月は、敷地内の教会に来ていた。

 

「総ちゃん、どうして教会に?」

 

「雄介は、何かあると必ずここに来るんですよ、昔からね。……アレ?いないみたいですね」

 

 教会に雄介の姿はなかった。

 

 しかし、月が満ちる夜に紛れて、二人のいる教会に近づく異形の存在に気づく者はいなかった。

 

「ヅギパ、ガギヅザバ……(次は、アイツらか……)」

 

 

 

 櫻田城付近 pm.20:00

 

 雄介は、自前のバイクに乗って城付近の河原に来ていた。

 

「本来の赤い姿……どうやったら赤になれるんだか……そういや、戦った未確認は、俺のことを“クウガ”って呼んでたな……分からん‼」

 

 雄介は草むらに寝そべり、なにを思うこともなく月を眺めていた。

 

「……こんなに月はきれいなのによぉ、何で未確認なんかが出るんだか」

 

「あなたも、誰かを亡くされたんですか?」

 

 雄介は突然声をかけられた拍子に、勢いよく起き上がった。

 

「うおぁ‼…あぁびっくりした……」

 

「あ、スミマセン…突然声をかけたりして。ご迷惑でしたよね」

 

「いえ、全然。こっちこそスミマセン。誰かいるとは思わなくて……俺、相馬雄介って言います」

 

「私、須藤舞です」

 

 雄介は、出会った女性「須藤舞」と初対面でありながら、どこか落ち着きを覚えていた。

 

「そいえば、舞さん。さっき俺に声をかけたとき、(あなたも)って言ってたけど、舞さんは誰かを亡くされたんですか?」

 

「…はい、先日九郎ヶ岳遺跡で起きた事件で」

 

 舞は、顔を俯かせて言った。

 

「あの時、私はこっちにいたんですけど、遺跡調査団の中に、私の父が参加していたんです」

 

「そうだったんですか…お父さんが……」

 

「…未確認って、何なんでしょう……」

 

「え?」

 

「どうしてあんな簡単に人を殺せるのかって、……父や他の人たちが何をしたっていうんですか、どうして殺されなくちゃいけなかったんですか‼」

 

 雄介は、答えられなかった。いや、それ以前に、自分は答えるべきなのか分からなかった。

 

 あの時の雄介は、目の前にいる総一郎と五月を救ったが、その代わりに調査団は全滅。雄介は無意識の内に、人の命を秤にかけていたことに気づいた。

 

「どうして未確認が出るのか、どうして舞さんのお父さんたちが殺されなきゃいけなかったのか、その理由は俺にも分かりません。でも、一つだけ分かるのは、これ以上未確認を放っておいたら、被害者は増える一方です。そして、その分人々の笑顔も消えてしいってしまう。俺はそんなのゴメンです。例え、誰かが笑顔をなくさなきゃいけないのなら、全て俺が背負います。それが、俺が亡くなった皆さんに対する償いだと思うから」

 

「雄介さん……アレって何でしょう?」

 

 舞が月を指さした。雄介も月を見ると、何やら奇妙な物体が空を飛んでいた。

 

 それは正しく、総一郎と五月を狙う未確認生命体第3号「ズ・ゴオマ・グ」だった。

 

(未確認⁉あの方角って……城か⁉……総一郎、さっちゃん)

 

 雄介はバイクに跨り、エンジンをかけた。

 

「雄介さん⁉急にどうしたんですか⁉」

 

「ゴメン舞さん、俺行かないと」

 

「行くって…どこに?」

 

「笑顔を守りにってとこです……それじゃ、また」

 

 雄介はそのまま櫻田城へと向かった。

 

 

 

 櫻田城・教会 pm.20:17

 

 総一郎と五月は、今の状況を理解できなかった。二人の目の前には、蝙蝠のような異形の者が教会のステンドグラスを割って侵入していた。その者は雄介とも、雄介に倒されたものでもないことから、未確認生命体第3号だと総一郎は確信した。

 

 第3号が教会内に侵入した際に、その翼が、立ててあったロウソクを倒し、その炎が教会を包み始めた。

 

「ボセゼ、バギング、ドググド、ドググ、ビンレザ…(これで、20人目だ…)」

 

 第3号は、五月を見て言った。続いて総一郎を見ると……

 

「ゴラゲパ、ヅギゼザ。ラズゴグザグ、ヂゾグデデジャス(お前はついでだ。マズそうだが、血を吸ってやる)」

 

 五月に狙いを定めた第3号が、五月に襲い掛かろうとしたとき、教会の扉を突き破った一人のライダーが、第3号を跳ね飛ばした。

 

「雄介…⁉」

 

「相馬君…⁉」

 

 そのライダーは、相馬雄介だった。バイクは第3号を跳ね飛ばした後、炎の中に転がり、炎に包まれた。

 

「総一郎、さっちゃん……俺、戦うよ」

 

 雄介は静かに言った。一方、第3号は雄介に襲い掛かる。

 

「こんな奴らのために、これ以上誰かの笑顔が消えていくのを見たくない‼……まず最初は、お前ら二人の笑顔を守りたい‼……だからそこで見ていろ‼俺の…戦いを‼」

 

 雄介が第3号の前に立ち、両手を腹部にかざすと、ベルト「アークル」が出現した。

 

―――――邪悪なるものあらば、希望の霊石を身に付け、炎の如く邪悪を倒す戦士あり

 

(…………変身)

 

 雄介は精神統一をして、アークルに力を込めた。

 

 直後、雄介は第3号に殴りかかる。その拳は、白の時とは違い、確実に第3号の急所を捉えていた。

 

 すると、徐々に雄介の身体が変わっていく。今度は白ではなく、赤い姿をしていた。

 

 やがて、雄介の姿は完全に赤い戦士へと変わった。

 

「バゼ、ゴラゲグビ、クウガ⁉(なぜ、お前がクウガに⁉)」

 

 第3号に対し、戦士「クウガ」が言った。

 

「ゴラゲゾ……ダゴグダレザ‼(お前を……倒すためだ‼)」

 

 赤いクウガ「マイティフォーム」は、第3号を掴み、教会の外へと連れだした。

 

 その直後、クウガは第3号によって敷地内の建設中現場まで飛ばされた。

 

 総一郎と五月は、クウガが第3号を外に連れ出した時に教会の外へと脱出した。

 

「五月さん、大丈夫ですか?」

 

「私は大丈夫。…それよりも、相馬君は……」

 

「今の雄介なら、きっと大丈夫です。……雄介を信じましょう」

 

 

 

 クウガは、第3号との死闘を繰り広げていた。しかし、夜の戦いでは少々クウガに分が悪かった。

 

「ゴラゲゼパ、ボン、ダゴゲバギパ、ズ・ゴオマ・グ‼(お前では、このズ・ゴオマ・グは倒せない‼)」

 

「ダゴギデジャス、ゲガゴゾ、ラロスダレビバ‼(倒してやる、笑顔を守るためにな‼)」

 

 第3号「ズ・ゴオマ・グ」は、夜の闇に紛れながらクウガを襲う。

 

 闇に紛れるゴオマに対し、クウガはゴオマが飛び立つ時に発する僅かな音を頼りに戦っていた。

 

「ゾボザ…………⁉ゴボザ‼(どこだ…………⁉そこだ‼)」

 

 クウガは思い切り自身の真上に拳を突き上げた。すると、滑空してきたゴオマの腹に直撃した。

 

 戦いは長時間に渡り、やがて朝を迎えることとなった。

 

 ゴオマはクウガを殴り飛ばす。

 

「ドゾレザ……(とどめだ……)」

 

 ゴオマはクウガに迫る。……が、朝日が射す地点に射しかかった瞬間、ゴオマが日を拒むように逃走した。

 

「……ビゲサセダバ…(……逃げられたか…)」

 

 クウガは朝日に包まれて、「相馬雄介」の姿に戻り、守るべき友人の下へと戻った。

 

 

 

 櫻田城・教会跡 am.06:30

 

 雄介が教会に到着すると、近くの林で総一郎が五月を抱きながら気にもたれかかって眠っていた。

 

「……無事だったか…」

 

 雄介は、総一郎と五月が目覚めるまでその場に残ることにした。

 

 数分後、目を覚ましたのは五月だった。

 

「……相馬…君?」

 

「…よっ」

 

「アレは……どうなったの?」

 

「逃げられた。…多分、昼間は心配ないと思うよ」

 

「そう……総ちゃんは⁉」

 

 雄介が五月と反対側を指さすと、総一郎が雄介にもたれかかるように眠っていた。

 

「…ハァ、ここにペンがあったらなぁ……」

 

「え?」

 

「いやぁ、コイツの瞼にペンで目を書いてやろうかと思ってさ」

 

「少しは大人になった方がいいと思うぞ、雄介」

 

 総一郎が目を覚まして雄介に言った。

 

「‼……いつから起きてた?」

 

「君が五月さんと話している時から」

 

「マジかよ……」

 

「それより、私はなぜ君の肩に?」

 

 総一郎の問いに、雄介が答えた。

 

「ヒ・ミ・ツ」

 

「……相変わらずだな、君は」

 

 三人は、城の警備隊が到着するまで、つかの間の休息を取ることにした。




「キョグギン、ジャンママ、ズ・バズー・バザ」

「……ガゴビ、バダダ」

「ボボバサ、ダダビゴドギデジャス」



EPISODE5 「跳躍」
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