艦娘転生記〜元男は今日も抜錨する〜   作:ワタリー

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第七話

朝、目が覚めると、高波の可愛い寝顔が目と鼻の先にありました。可愛い女の子の寝顔に感無量、朝からご馳走様です。男と女の子が寝てるとか事案発生とも言い難いが、一応今の俺は長波で、長波である俺に高波も甘えてきてるし何も問題は無い。両者合意の上に成り立っている。

まぁそれは良いとして、俺はすぐにでもトイレに行きたい。だけど、高波が俺に抱きついて離れそうにない。何とか剥がしたいが、気持ち良く寝ている所を起こすのも気が引ける。

昨日、夕雲から長波が来るのを心待ちにしていたと、そんな事を聞いてしまえばこちらも余計離れにくくなる。この状況、ある意味役得なんだけど流石に粗相はできないよな。

ちら、と時計を見やる。時間は5時40分、皆が起きるまでまだ時間がある。できれば起床までにさっさと済ませたい。未だに女の子としての身支度に手間取っているからなるべく時間に余裕を持たせたい。

・・・仕方ない、高波には悪いが起きてもらうか。

 

「高波、起きてくれ高波」

俺の声に気付いてくれたのか、高波は小さく「んぅ・・・」と声を漏らす。もう一押しかな。

「高波?」

再度呼び掛けると、少し目を開けてくれた。

「長波姉さま・・・?」

「おう、おはよう高波」

よし、起きてくれた・・・けど・・・、

「ねえ・・・さま・・・」

離れたくない、もっと甘えていたい。そう言いたいかのように、高波は更に強く長波を抱き締める。やばい、この仕草可愛い過ぎる。時間の許す限り甘えて欲しくなる。でも、名残惜しいが今は我慢してもらう。

 

「高波、トイレに行きたいから離してくれるか?」

「・・・はい」

高波は不満気ながらも解放してくれた。

「悪いな、起こしちゃって・・・」

高波の頭を撫でて、めくれた布団をきちんと被せてやる。そうしたら、高波は温もりの残った布団を、頭まで被って寝てしまった。

可愛い妹に微笑ましくもあるが、今はトイレだ。なるべく音を立てないようベッドから降りる。降りてみれば、下の段で寝ていた朝霜が、豪快に布団をめくりお腹を出して寝ていたのでついでに直してやる。他の子はどうかとぐるっと見てみたが、寝相が悪いのは朝霜だけ。皆スヤスヤと大人しく寝ている。

足音を抑えつつ室内用のサンダルを履き部屋を出る。人が起き出す前の静かな廊下を歩いてトイレに向かう。廊下の窓から外を見れば、数人の艦娘が朝のトレーニングをしているのが見える。

艦これ世界の日常が始まっている。俺から見れば全てが新鮮な風景ばかりだが、その内この廊下もこの窓から見える景色も全部、俺の中でも日常として染まるんだろうな・・・。

トイレに入り、用を足しつつ思考に耽る。

さっきの話じゃないが、元いた世界の事を思うと寂しいと思ってしまう。あの世界はあの世界で良かった事はある。でも、特に目標も無く、無難に生きていくことに毎日必死で、徐々に生きがいを見失っていくような世界だから、ある種転生出来てせいせいとしている節もある。新しい自分とまではいかないが、やり直せるチャンスがここにはある。

死ぬ程痛い思いをする事はあるだろう。でもそれは資材ある限り何度だって直せる。敵との圧倒的な戦力差に負けても、生きて帰ってくればまた行ける。全く違う意味で、生きる事に必死にならなければならないが、前とは違って一人じゃないからやっていける。一人黙々と周りからの重圧に耐えなくてもいい。

無条件に慕ってくれる人達がいるだけで、こんなにも前向きなれるんだなと、昔の自分の寂しさにちょっと呆れてしまった。

 

用を足した後、すぐに部屋へ戻った。総員起こしが掛かる10分前、少し早く起きた夕雲が部屋の皆を起こしていた。

「あら長波さん、早いのね」

「おはよう、夕雲姉。トイレに行ってただけだよ」

自分のベッドに戻って二度寝したい。が、そんな事をしていられないので夕雲に倣って寝ている子達を起こす。

「おい、朝霜、高波、清霜、皆起きろー」

まずは自分のベッドから。三人ともまだ起きてはいない。

「んぁっ・・・もう朝・・・?」

「ん〜・・・?」

「ふぁ・・・おふぁようございまふ・・・」

すぐに起き出す朝霜と高波。清霜は寝ぼけて・・・って、ベッドから少し身を乗り出していて危ない!

「清霜!起きろ!ベッドから落ちるぞ!」

「うぇっ!?うわわっ!!」

体勢を保てなかった清霜はそのまま三段の高さから落ちる。運良くベッドの下にいた俺に、背中から落ちてきた所を冷静にキャッチする。

「何やってんだよ清霜ぉー・・・」

「えへへ・・・ごめんなさい」

謝り方があざといが清霜なら許せる。可愛いから許す。つーか、意図せずして清霜をお姫様抱っこしてしまったな。これも姉の役得だな。

「・・・・・・」

高波が黙ってこっちを見ている。

「・・・言っておくがやらないからな」

そう言うと、プイッと顔を背けて、

「羨ましいなんて思ってない・・・かも、です」

「・・・・・・」

多少の嫉妬は可愛い気があるけど、過度なものはダメだ。甘いのは最初の内だけだ。

「高波、ほら、拗ねてないで降りてきな」

「拗ねてないかも、です」

こじらせちゃったかー。機嫌治すのが大変だなこれ。

「長波姉さまは、私を甘えん坊扱いが過ぎます」

「うん?そうか?」

「はい、私はそこまで子どもじゃないかも、です」

そうかー。俺が妹離れできてないみたいなパターンかー。会ってから一日目でこの仕打ちは酷くないかー?

「わかった、じゃ、今日もう一度添い寝しようかと思ったけどいいんだな?」

「!!」

高波の反応を伺う。少しは甘えたいと思うんだけどどうかな?

「長波姉さまはイジワルです・・・」

かも、じゃないのね・・・ガチなのね・・・。

高波の好感度が下がった事に軽く凹んでいたら、総員起こしの起床ラッパが鳴る。

 

「皆さん、朝です。今日も、張り切って行きましょう」

早霜が皆を盛り上げようとする。爽やかな朝を演出したいらしいが・・・、

「貴女が言うといまいち盛り上がらないわね」

「ひどいです・・・心外です・・・」

容赦の無い風雲の一言に傷付く早霜。空気を読み切れない二人のおかげで、奇しくも着任初日の朝は微妙な空気でオチがついた。

 

ーーー

 

夕雲型の皆は、支度を整えてそれぞれ任務があるとかで出撃して行った。一方で俺だけ自室待機。なんでも俺の訓練を見てくれる艦娘が迎えに来るらしく、今は暇を持て余している。

訓練つっても何やるんだろうな、教官誰なんだろうなー。やっぱり練巡?だったら香取がいいなー。

朝霜から借りた漫画を読みながらゴロゴロしていると、部屋のドアを誰かがノックした。

「やばっ!来たかっ!」

俺は慌てて佇まいを直す。

「はーい!開いてますよー!」

ガチャ、とドアを開けて入ってきたのは・・・、

 

「長波さんいるかしら?」

「お邪魔しまーす!」

如月と皐月。ここに来たって事は、まさか・・・、

「え?如月と皐月?二人が見てくれんの?」

「お、察しがいいねー!そうだよ!今日はボク達が見るからね!」

こいつは僥倖と言うべきか。川内型もしくは長良型の誰かが来たら冷や汗もんだよ。

「長波さん、早速で悪いけど今日の訓練について説明するわ、ついて来てくれる?」

「お、ちょっと待ってくれ」

急いで靴を履く。毎度毎度思うんだが、夕雲型ってどうしてこう半端に長いブーツなんだろうな。いちいち脱ぐ時履く時紐を緩めなきゃいけなくてとにかく面倒臭い。ワ〇クマンで売ってる安全靴みたいに、靴の横にファスナーでも付いてりゃ楽なんだけどな。

 

「・・・睦月型とか特型みたいなローファーが羨ましいよ」

「そうだね、それだと急いでいる時とかちょっと面倒だね」

皐月に同情される。普通そう考えるよな。

「たまのお洒落にはいいと思うけど?」

如月の意見に同意する。毎日コレは面倒臭い。

「ボクは外出する時くらいがいいかなー」

「あ!ねえねえ!今度一緒にブーツ買いに行きましょ♪私が見繕ってあげる♪」

「ホント?任せてもいい?」

如月「ええ、任せて♪ついでに睦月ちゃんの分も買わなきゃね!」

ガールズトークってすげぇよな、どんどん話が本題から逸れていく上に、二人は俺がもう靴紐結び終わってんのに、全く気付かないってんだから。

「あの〜もう準備出来たんだけど・・・」

「あら、ごめんなさい、気付かなかったわ。じゃあ、行きましょうか」

 

俺達は部屋を後にした。如月達に連れられて向かった先は、ドック内に作られたブリーフィングルーム。近未来的な設備という訳でもなく、オフィスの会議室みたいな楕円形の会議机のある部屋だ。

何処からともなく、皐月がホワイトボードを引っ張り出して、如月はマーカーペンと指示棒を持ってくる。そして何故か二人してメガネをしている。それ先生のつもりなの?可愛いね。

 

「それじゃあ、今日の訓練の内容を説明するわ」

「訓練なんて銘打ってるけど、長波の性能テストがメインだからね!」

抜き打ちでやるんか。別にいいけど。

「えと、いきなりだけど質問」

「質問は最後に時間を設けます。全部聞いてからにしてね?」

二人の得意気な表情と、可愛いけど時たまキラリと光るメガネが相まってちょっぴりくどい。

「説明を続けるね?まずは海上での運動能力のテストをするよ」

艦これアニメの序盤に吹雪がやっていたジムカーナみたいなやつをやると、ふむふむ。

「その後は射的。海に浮いてる標的を、立ち撃ちと移動撃ちの二種類に、かつ限られた弾数で当ててもらうよ」

射的かぁ、一発たりとも撃ったことないけど大丈夫かな。まぁ、初めだし腕試しにやればいいか。

「横須賀に来る前に、那珂ちゃんに鍛えられてるんですって?期待しちゃうわぁ♪」

ハードルを上げにくる如月。そして、那珂ちゃんに対するその信頼はなんだ。

「最後に、ボクと模擬戦をしてもらうよ」

「あん?いきなりか?」

「うん!司令官からの指示だよ!」

ロイエンター○め、いきなり皐月改二相手に戦えとか何を企んでやがる。恨むぞロイエン○ール

「主力オブ主力の夕雲型の性能を、きっちり確かめたいんですって。いいじゃない、期待されている証拠よ」

あれか、着任の時に言ったことを真に受けたという事でいいな。つーか、主力オブ主力というワードがただの煽りになってきてんな。

「いいぜ、やってやるさ。夕雲姉達の足引っ張ってらんねぇし」

「その意気だよ!長波!」

「じゃあ、早速演習場へ行きましょうか」

 

ブリーフィングルームを出て、アニメで見たまんまのドックの出撃レーンに乗る。

「すっげ・・・本物じゃん・・・」

「あら?長波さんはここから出撃するのは初めて?」

「ん?ああ、初めてだよ」

「そっか、じゃあボク達が先に出るから見てて!」

如月と皐月が一歩前に出る。

「第三十駆逐隊、如月。出撃します!」

「皐月!出るよ!」

二人は海上に向けて駆けて行った。艤装が海面から飛び出し、それらを流れるように装着する。その後、外へ出ていった。

完全にアニメの通りの出撃の仕方だ!カッコイイ!

やっぱり出撃シーンは男の子のロマンだよなぁ!テンション上がってきた!

「よっしゃ!いくぜ!」

一歩前に出て出撃のパネルを踏む。開口したパネルから出てきたギミックが長波の両腿に魚雷発射管を取り付ける。開かれたレーンに海水行き渡り、カタパルト発進のように一気に滑り出す。

「うおぉー!!きたァーーー!!」

もうこの段階でセルフキラ付け出来てそうな気がした。出撃いいよ!ロマンあるよやっぱり!

アニメ吹雪の時みたいにバランスを崩すことなく順調に滑っていく。艦名の書かれたパネルが長波の名前を表示し、鎖に繋がれた機関部が、連装砲がこっちに向かって飛んでくる。機関部をうまいこと背中にマウント出来るかどうか、この感じ、スキー場のリフトに初めて乗った時の感覚に似ている。連装砲については、手の傍に伸びている鎖に沿っていれば勝手に掴めるだろう。

ガチンッ!と、機関部がうまく装着できた。連装砲は飛んできた所をキャッチした。

「うっし!いける!!」

俺はそのままトンネルを抜けて、外で待っていた二人に合流した。

 

ーーー

 

「嬉しそうね長波さん。ちゃんと上手に出来たのね?」

「ああ、思ったより楽しかったぜ」

「ふふ。良かったね、長波」

若干思わせ振りな如月のセリフで会話の内容がアレだが気にしない。いや、既に気にしているか。

「・・・ところでさ、演習場ってどこにあるんだ?」

「それはね、少し鎮守府から離れた所にあるわ」

「人目の届かない所だから、安心して出来るよ!」

こいつぁいかん。何か演習という言葉が意味深なモノになってきている気がする。皐月に至っては気付いてすらいない。どうか、そのままの君でいて。

 

「着いたわ。ここよ」

港にあるような防波堤と掘っ建て小屋が二つ。思ったより湿気てんな。

「如月、ボクが準備するから説明よろしく!」

「は〜い。お願いするわね」

そう言うと皐月は一人上陸し、掘っ建て小屋に入っていった。あの掘っ建て小屋は倉庫みたいなもののようだ。軍事施設なのにそれでいいのか。

 

「じゃあ長波さん。各テストの説明をするわ」

「あーはいはい」

如月からテスト内容の流れを説明される。

一つ目は、決められたコースを決められた通りに進む事。今回はスピードより正確さに重点を置く。

二つ目は言わずもがな、砲撃、雷撃の命中精度を測る。

三つ目は・・・、

「皐月ちゃんとの模擬戦だけど・・・」

如月は少し言い淀む。何か不安でもあるのか。

「なんだよーもったいぶって」

「司令官からね、言われてるのよ。『2分保てば上出来だ』って・・・」

おいおい相手は皐月改二だぞ。わかってんのか。30秒はともかく一分耐えられるかどうかわからないんだぞ。

「ロイエ〇タールめ、無茶振りもいいトコだよホント・・・」

「ロイエン・・・え?なにそれ?」

おっと、つい本音を漏らしてしまった。

「なんでもない。こっちの話だよ」

「んー・・・わかったわ」

如月の言動を察するに、銀〇英雄伝説はこっちの世界には無いようだな。ならば秋雲に描いてもらおうか、キルヒ〇イス生存ルートでな。

 

「説明は以上ね。何か質問はある?」

「無しだ」

「はい、じゃあ準備が出来るまで待っててね?」

如月は皐月の手伝いに行った。海上には着々とテスト用コースが作られていく。手元にはコースが描かれた紙がある。準備が出来るまでは、これを覚える。

「・・・」

波は外洋と比べれば遥かに穏やか。人っ子一人の細かい機動だ、夕雲型の性能と那珂ちゃんのスパルタが生きてくるのは確かだ。コースを覚えればあとはルートをなぞるだけだ。

 

「長波ー!準備できたよー!」

「おっけい!」

コースが完成した。コース確認のためにメモに従ってルートを辿る。よし、コースの確認は大丈夫そうだ。次は、準備運動がてらに軽く飛ばす。スラローム、ポールの周りを小さく一周、八の字、Uターン・・・うん、順調だな。

「へぇ〜、長波、いい動きしてるね」

「ええ、あれなら一つ目のテストは簡単ね」

運動能力のテストの結果は如月の言う通りとなった。多少慎重にやったのもあるが、失敗らしい失敗は無かった。

 

二つ目のテストは、まず砲撃の仕方から教わった。

「え?長波まだ撃ったこと無いの?」

「えー・・・まぁ、うん・・・」

「ふふっ。撃つのが怖いの?可愛いね♪」

可愛いねいただきました。お前の方が可愛いよ。

「じゃ、試しに一発撃ってみなよ。あそこにある的を狙って?」

皐月が指差した先の的に照準を合わせる。的が目の前にあるのは分かるが、距離とか仰角何度とかよく分からない。妖精さん、そういうのわかる?と、連装砲の妖精さん聞けば、砲身を動かして調整してくれた。流石は俺の乗組員。頼りになる。

連装砲の引き金に指を掛ける。波の揺れは大した事無い。風も穏やかだ。撃つなら今の内。深呼吸を一つして、思い切って引き金を引く。

ドォン!!と、轟音を立て砲弾が飛んでいく。撃った瞬間の排煙や砲塔の衝撃に思わずビビる。飛んでいった砲弾は、的を逸れて着水した。

「・・・」

あまりの呆気なさに呆然とする。初めて撃ったが、引き金を引けばこうもあっさりと飛んでいく砲弾に、いまいち撃った事の実感が湧かなかった。

 

固まってしまっている俺を正気に戻そうと、皐月が俺の肩をつつく。

「長波ー?大丈夫?」

「・・・あ、皐月」

「どーしたの?ぼーっとしちゃって」

「うーん・・・思ったより撃った感じが違う気がしてな」

「・・・なるほどね。確かにそうだね」

多分俺の言う感覚と皐月の言う感覚は違う。俺は“人間”として、現実味の無さを体感しているに過ぎない。一方で皐月は艦艇時代と比較して言っている。認識にすれ違いはあるが、変な誤解を生む程にこじれてはいないだろう。

半ば放心状態の俺を、如月が気遣って声を掛けてくる。

「長波さん、ゆっくりやりましょう。人の身体で撃つのは初めてだから、慌てることは無いわ」

「ああ、そうしてくれると助かる」

その後は二人の指導の下、射撃姿勢から一通り教わった。何発か撃つにつれ発射時の感覚にも慣れ、落ち着いて撃てるようになった。精度は甘いが、移動撃ちも出来る。

 

「長波さんも慣れてきたみたいだし、そろそろテストしましょうか」

「りょーかい。いつでもいけるぜ!」

「長波、気合い入れたとこ悪いけど、弾薬の補充が先だよ」

「おっと、そうだった」

 

弾薬も補給し、ついでに燃料も補給した。さぁ、準備は万端だ。

「準備完了だ。如月、いつでも始めてくれ」

「準備いいのね?では、第一次射撃立ち撃ちから、撃ち方始め!」

如月の合図を皮切りに砲撃を開始する。距離、間隔がまばらに設置された的を可能な限り正確に狙う。何度か練習する内に、装備妖精さんの練度もあがり、素早く狙いを付けられるようになっていた。

射的の結果は10発中6的。初めにしちゃまぁまぁいい方でしょ。

 

「うん。長波いいねー」

「ええ。基礎はもう抑えたわね」

「如月ー!次いこーぜ!」

「は〜い。第二次射撃、移動撃ち、撃ち方始め!」

まず、横並びの的に対して平行に移動しながら撃っていく。それが終わればスラローム射撃。次に横にスライドしながらの射撃。

しっかり狙いは定めたものの五割程外れてしまった。ううむ、難しいな。

 

「んー、こんなものよねぇー」

「今日初めてだからねー。それにしては上出来だけど」

「今後は訓練あるのみ、ね」

二人からの評価は辛くもなく甘くもなく。戦う分には問題無く、後は慣れてくればいい感じに仕上がる。と、言った所か。ならば、いよいよ・・・、

 

「この分なら、模擬戦は出来そうだね」

まぁ、そうなるな。

「二人は一旦休憩と補給をして頂戴。その間に場を整えるわ」

「おっけー。じゃあ長波、休憩しよっか?」

 

如月は標的の撤収、俺と皐月は次の模擬戦に備える。

皐月とまともな撃ち合いか、緊張するな・・・。




次回へ続きます。
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