どこまでも俺様主義 Episode.1:砂漠の国の紛争 作:ホエール
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どこまでも俺様主義 Re-meke
Episode.1:砂漠の国の紛争 第5章 「FCS――A fight of the desert which is not over.」
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戦争記念館。一体いくつ設置されているんだと思わず苦笑する。
(つい最近いった場所と――内装はかわらねーな)
一つの街に一つの戦争記念館。
そんなに――――
(――幸福感を……感じていたのか? 当時の人類は。泥沼をはるかに超えた絶望的な大戦争をしながら――――。こんなどうしようもない今の時代と世界より)
つい、そんなくだらないことを考える。考えてしまう。
あらゆる民族が、あらゆる文化圏が、あらゆる国籍が、あらゆる人種が、あらゆる………………そうしたあらゆる何かが――地球人類という種の存続を巡って人類軍として結託した時代は、ひょっとして人間同士で殺しあう今よりはるかに……幸せではなかったのか? と……。
最も――
――――民族コーナーに入る。戦争記念館の中でも最もホットなエリアだ。何しろちょっとしたことで放火されかねないエリアである。
何しろ――
――――映像メディア。そのボタンを押せば円柱状の透明の筒がプロジェクターとなり、立体映像(ホログラム)が投影される。
その――筒のボタンに書かれた言葉。
『ゴール民族の宣言』
そして、そのすぐわきの筒。
『神州不滅論――日本民族最終戦争生存説』
そして、その隣の筒。
『神にたたえられた大地の選民たち、マニフェスト・デスティニイ』
さらにその右隣
『デーンの栄光』
そして
『イニチェリ不滅論』
そして
『アッパースの再興』
ほかにも
『ゴ・グェンの再来とチャンフンダオの生誕』
『 神の血門 』 『 歴史の勝者 』 『 優越 』 『 超越 』 『 不滅 』 『 優生民族 』 『 選民 』 『 門中 』 『 高等文明 』
「……ナショナリズム(民族主義)」
今の時代の火種はすべて――あの、世界を戦火で焼いた大戦争で勝利を得るための。
『化け物(レメンゲトン)』との長きにわたる大戦で人は勝利を得るために悪魔に魂を売った。
売り払った魂という名の財貨、それは別名『人倫』と呼ばれる。
手にしたものは、あらゆるものだ。
『民族主義(ナショナリズム)』という名の強力な麻薬にして、血を好むようになる戦闘強化剤。
『遺伝子操作(ジュネティック)』という名の兵器の生体パーツ製造技術。
『生命機械化(サイボーグ)』という名の兵隊型の兵器量産ライン。
『勝利独裁主義(D.ac.)』という名の軍事経済政策にして、人類勝利のためのファシズム理論。
そして――
「――――抑圧と独立」
宗主国からもたらされる『独立』の約束。
今まで優位にあった民族や他国を合法的に蔑み、奴隷の様に扱える抑圧の公認権。
人類は団結し勝利した――――歴史上もっともどす黒い団結をして、勝利した。
1歩踏み出し、戦争記念館には必ずある大戦期の武器展示へ進もうと――――
『 ―― 私たち人類は、レメンゲトンという大敵と戦うために偉大なる団結と勝利の結束し戦いました ―― 』
「クッ――!」
翔が入ってきたのをセンサーが感知、解説用のプログラムが勝手に起動していく――。
(いや――俺様だけじゃない!)
解説の音声が反響する。どこかで、勝手に鳴り響く。
『『『 ―――― 私たちは戦ったのです ―――― 』』』
『『『 ―――― 人類種を脅かす最強の敵と ―――― 』』』
響く床。足音が――
(――絨毯ッ! どこだよ! 敷物が敷いてある場所は! ガラスみてぇにピカピカした床してんじゃねぇよ! 86%で!)
コツリと響く。足音が、コツリと響く。
ああ、そうだ……。古ぼけた戦場用スニーカーを履く、翔と、軍靴を履いた敵兵。
響き方に――差異が……。
とっさに、翔は耳を床に着けた。
聞こえる足音。床板が足音を反響させて――正確な音源位置を教える……。
『『『 ―――― しかし、われらは敗退したのです。レメンゲトン雑兵級自体は問題ありません。こちらも対抗数量と対抗火力を少し優勢に用意すればいいだけ ―――― 』』』
(クソッ、うるせぇ!)
『『『 ―――― ナンバーレの大会戦において、人類合同軍はブラックアフリカ防衛の最重要拠点と引き換えに偉大なる事柄を学んだのです ―――― 』』』
『『『 ―――― それは、伯爵級レメンゲトン1体と戦う際は、核兵器の大量運用が必要不可欠であることだったのです。最低でも12発以上 ―――― 』』』
『『『 ―――― そして、動員兵力は最低でも15個師団以上であること。それでもなお、戦闘が始まれば、時に5分と立たずに10個師団は文字通り蒸発するのだと ―――― 』』』
……間違いない。敵はここに一直線に向かっている――なぜ?
翔はこれでも、一直線にわかりやすく移動した覚えはない。マニュアルどうりに順路を守って移動なんてしてない。
(あっ靴裏の泥か?)
だが、床を見る限り、特にそういう足跡はない。だが――
(そういう専用の光源ライトで見れば、ある程度足跡は浮き上がってくる……)
急ぎ、荷物の中から、プラスチックケースの小瓶を取り出す。中には無色透明な液体が満たされている。
そして、同じように別の小瓶を取り出す。その小瓶は逆に真っ赤な液が。
(……溶かす!)
プラステックの小瓶が2つ。その2つの小瓶に鉄釘を突き立て、穴をあけて、そのまま床に捨てる。
真っ赤な液体と無色透明な液体がふれあい、徐々に比重がやたら重い特殊な無色透明な煙が発生し始める。
(よし……)
そして、翔は駆け足気味に、だが足音がならないように警戒しつつ先へ急ぐ。
しかし――
(――追跡してくる感覚が離れないッ!)
比重がやたら思いあの煙は無色透明。明るいところで、よく目を凝らしてみない限り気が付かないだろう。そして、あの煙は足跡の微妙な泥やらなんやらを地面のごみと一緒になって焼き溶かす。
酸性で。
だから、あれを炸裂させた地点にとどまればそのうちこちらの足も焼かれるが、こうして急ぎ移動している限りそうはならない。
何故だ、足音は可能な限り抑えている。足跡だって、隠ぺいを――
『『『 ―――― ゲノポスの撲滅戦にて、人類合同軍は ―――― 』』』
響き渡る解説音声――そして、感じる妙な感覚。まさか。
(音響センサー……クソッ、呼吸音まで探知してんのか!?)
次の瞬間、翔はそのライフルの安全装置を解除した。
そして、周囲の筒を銃撃でぶっ壊しまくる。
『 ―― 敗退し ―― 』 『 ―― それらの事として ―― 』
『『 ―――― ガンバレル・ウラン型核兵器の大量運用において、最大級はおそらく1時間のうちに37発 ―――― 』』
『 ―― デストラの戦いで ―― イギリス本土決戦の行方は ―― 例え100万人が死のうとそれで優良民族たるわれらが生き残り、伯爵級を1体倒せればそれでいい ―― 』
次々と筒から、乱れた映像が立ち上がる。壊れた筒から立ち上がる映像メディアの数々。
ボタンを押さなくても壊せば一度は起動する。こうすることで少しでも情報を後の世に伝えるため、回収させるために――。
翔はその展示の筒を次々と撃ちぬいて雑音を増やしていく。
敵が呼吸音を探知する屋内索敵センサーを利用しているのだとすれば、こうして雑音を増やして隠すのが一番だ。
とはいえ、この方法は限界があるし、第一ライフルの銃声という新たな手がかりがこの場には残っている。
目に見える範囲のすべての筒を破壊した。移動を開始する。
行き先は武器展示――であったが、職員用通路へ入り込んで予想外のものを発見する。
無数のワイヤーとプラスチック爆弾そして……。ブービートラップには最高の素材が山の様に積み込まれていた。