どこまでも俺様主義 Episode.1:砂漠の国の紛争   作:ホエール

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第6章 「ファイアアーム――Anyone prays for victory.」
1.


  どこまでも俺様主義  Re-meke

  Episode.1:砂漠の国の紛争 第6章 「ファイアアーム――Anyone prays for victory.」

 

  1.

 知らない階段だった。体力が奪い取られていった。

目の前にエレベータ。

トラップは仕掛けられていないか? そして、エレベーターが付く先は安全か?

敵は待ち構えていないか?

状況がわからない幼児たちだが、彼ら彼女らが勝手に動こうと腕の中でもがく。

 

「動くな、よ、守れ、なく、なるだろ……はっ……」

彼ら彼女らが手を伸ばす先に、何かのPDAがあった。

 

「?」

よくわからず、それを与えてみる。するとすぐさまそれを使って何かの指示を施設の管理A.I.に命じたようで

 

『――施設内戦闘を確認。安全地帯及び移動脱出空間を確保します』

奇妙なアナウンスが、流れる。

 

地上。プラズマや毒ガス吹き荒れる地下施設と違い、そこは時折聞こえる爆破音や銃声を除けばきわめて静かな世界が広がっている。

そんな、地上に突如土埃が立ち込める。

開いた扉。地下へ流れ込む地上の土砂。そんな中、木のはしごを使って上ってくる人間。

 

「こんな、脱出口があるとはな。一回限りか……」

見通しの悪いガスマスクをはぎ取り、すぐさま周辺の警戒を始めつつ、場所を移動しようとする翔たちである。

 

(どこだ、ここは――?)

シルビアのおかげでマッピングされた地図を表示。ただし、自分の位置まで完璧に表示してはくれない。

 

(GPS……グロナス、どれだっていい、とにかく今何とかしてくれる位置測定システムは――――)

対空要塞たる――――自立式高射砲塔。

それが、見える。この場所は……。

6基のそれが守るこの町。

放棄された町だが、その町を巡って戦車小隊と自分たちが争っている。

そして、その町にはおそらくは政府軍のものと思われる条約外違法地下機密施設。

翔が取り出すのはあの地下施設の端末。そのまま持ってきたそれを稼働してみる。

もしも彼が望むものがあるというのなら――!

 

 

「音響センサーに感知。6基高射砲塔より」  「了解。やはり稼働している」

戦車兵の一人が無線連絡を聞いて考える。動いている。この町はやはり動いている。

報告にある少年兵とはしんがりなのだろうか? あまりにも少数で行動していると思われているので状況がわからないが、そう考えるのが自然かもしれない。

どうしても死守できないと判断したらすべてを無に帰す気かも知れない。

 

(NBC兵器の類は禁止されているが……RやPは禁止されているわけじゃない。使用解禁もありうる……)

都市用大型重水素駆動炉を何機か使い捨て前提で使用すれば広域において高出力R兵器やプラズマ兵装の類が使えても問題はない。

それで街を一個消滅させる……事も案外可能かもしれない。

 

「……コスパが悪いか、なら素直に地下施設爆破が自然だな」

最もそれが現実だ。

こちらの施設の確保が早いか、それともあちらの爆破処理のほうが早いか。

 

(だから、1個小隊じゃぁ、たりねぇって言ったんだよ……)

政府軍から反乱軍と呼ばれれている正統軍は結局のところ兵力が足りていない。政府軍を相手にするには兵力が不十分だ。

それをカバーするべく、機能しているのが広範囲にわたって展開する最新鋭電子戦兵器の類と『無人兵器(ドローン)』の大量運用だ。

最も、ドローンの類は信用してはいけない。空の世界ではランチェスターが支配しているがゆえにドローンの大量運用はそのまま戦術的戦略的意味を持つが、陸戦ドローン何ぞ基本兵士が一つ一つ動作はもちろんの事あらゆる点を注意して使用しなければただの資源の浪費、敵の射的ゲームのいい的にしかならない。

かといって、条約禁止兵器である自立殺戮型ドローンを使うわけにもいかない。

そもそも、政府軍が兵力に勝るという事はそれだけ経済力があるという事だ。  

当然政府軍のほうがドローンの配備能力は高いという結論が出てしまう。

結局反乱軍こと正統軍が事を進められているのは奇襲効果と世界の巨人共が首輪代わりに投入した『厄介な新兵器』の効果以上の何かでもない。

要するに電子戦兵器とドローンの大量運用は正解だが、正解どまりなのだ。

戦争は理屈が正しいから勝つのではない。戦争は強く合理的だから勝つのだ

だからこそ、次がほしい。実のところ、数の足りない正統軍はすでに攻勢限界ギリギリになりつつあるのだ。

数が足りないからドローンと電子戦兵器で補う……逆に言えばもしも電子戦兵器を撃破されたら、あとは数ぐらいしか役に立たないドローンで戦線を支えるしかない。

おまけに、電子戦兵器とドローンに力を入れるという事は犠牲となった部分があるという事だ。

この2つをそろえるために資金的に削らなくてはならない部分があるという事。

正規戦を行う決勝戦プログラムである以上、それは――――

 

(――兵站。『補給線能力』に重要な各種人員及び、ライフライン構築資材、車両にその他燃料保管機能……)

戦車小隊の士官である以上、燃料の確実な供給能力を気にするのは重要だ。それがなければただの鉄の棺桶に過ぎないのが、戦車である。

精々、戦車としてのそれ以外での活用法など穴掘って車体を埋めて、トーチカにする程度か?

だが、そんなことしたら、砲手以外ほとんどがイラン人間じゃないか! そんなの戦車士官的に困るぞ!

 

「さて、そろそろかな?」

彼はつぶやく。そろそろ……うちの小隊長様の考え通りなら……。

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