どこまでも俺様主義 Episode.1:砂漠の国の紛争 作:ホエール
5.
シルビアは自分の端末に渡されたチップを入れる。
最初に表記されるのはロック画面。
取り出すのは、専用のアクセサリー。端末に接続後、そのアクセサリーについたカッター上のそれに指を走らせ血をしたたらせる。
彼女のDNAマップデータの解析が始まる。さらに追撃のごとく、両腕の甲の部分をスキャン。
静脈マップデータのスキャニング。続いて表記されるのは3つのパスワードを求めるもの。
「……あっ…………」
彼女の口から洩れる小さな声。しかし、その声は極めて重要な事実を前に驚愕している声でもある。
重要な事実、極めて、そして特別考慮されなくてはならない事だ。
スペック不足でそこからロードが進まない。
「「「…………」」」
状況に気が付いた面々、押し黙る。ついでに自分たちを監視する役割なのか、ついてきた民兵も黙る。
周りには気づかれないようにしているものの、半分涙目で端末をいじっているシルビアに対して不憫なものを見る視線が集中していく。
「……機材お貸ししましょうか」
ついに民兵の一人が彼女に提案し、彼女の笑顔がまぶしいことになった。
民兵としては、そのままついでに内容が見れる……という悪巧みもあるのだが、輝かしい笑顔を前に良心の呵責を覚えざる得ない。
というわけで、ちゃんとしたPCを使ったデータ解析作業が始まる。
表記されたパスワードなどが入力。PCですら少しばかりロックの解除に手間がかかるが…………
「開きましたね」
出てきたのは無数のMAPファイルと暗号文。そして――――遺言書と何かの請願書。
「なんだこれ……」
民兵がそう呆然と呟くのも無理はない。自分たちが根城にしてきたアラフジーク山岳にこんな地下の入り口があるなんて知らなかった。
「……衛星に発見されないように、ここも特殊な素材だの作り方だのをしまくっているのか」
民兵たちも知らない秘密の地下施設への入り口。
あのお兄さんの残してくれたデータをもとにここに行きついた。
そして、地下通路を歩くこと5分、ついにその固く閉ざされた扉を発見する。
「電源はまだ生きているようですね」
扉のわきからジェル状の箱が出てくる。その箱の中に両腕を突っ込み、さらにはジェルで中身がよく見えないがキーボード状の何かへとパスコードを入力する。
ジェルはセンサーになっており、彼女の指紋はもちろんの事あらゆる生体情報を認証していく。
入力されたパスコードも間違ってはおらず、扉が開く音がする。
鋼鉄のロックが外れる音。そして、空気圧の漏れる音と一緒に斜めシャッターが左右へ動き扉が開く。
扉の向こうには水密扉にも似た、手動のハンドル扉が一つ。
ハンドルを回して、扉を開くと――――。
――何もなかった。
ただの通路である。埃っぽく何年と誰も生活していない感がある。
そこからは施設内部の探索である。
そして、残された資料からこの施設が『重大な事故』により放棄されたという事。
「重大な事故?」
「資料を見る限り、バイオハザードを起こしたようですね。おまけにそのせいで通常の点検やらなんやらが行われず、最後は重水素駆動炉のオーバーロードを引き起こしたようです」
「重水素駆動炉のオーバーロード!? 放射能汚染か!? つか、バイオハザードってことは危険な病原体がうようよ!?」
重水素を燃料に利用した移動可能な核分裂炉。それが重水素駆動炉だ。そして、重水素駆動炉は、適切に管理すれば限りなく安全に使用できるというメリットが存在する。
なにせ燃料が重水素故に、核分裂の減速材として使用される性質から何らかの事故が発生しても限りなくメルトダウンは仕方ないにしてもメルトスルーの段階には理論上至らないという特性がある。というか、メルトダウン自体限りなく奇跡のレベルで難しい。
不幸な事故であるはずのメルトダウンの発生が逆に奇跡としてたたえられるというところにその性質を感じてほしい。
もちろん適切な管理をしなければ奇跡のランクも下がっていくけど。それでも、管理不十分でも限りなく事故が起きにくい特性だということだ。
ただし、デメリットもある。
加速器の様な設備があれこれごちゃごちゃ炉心を中心にとぐろを巻くように存在する挙句に、『大熱量電磁物質(プラズマ)』から電力を取り出す電力供出用磁気パイプでおおわれているが故に、連続長期稼働で安定出力を超えた大出力での電力放出させると電力化が追いつかず、放出される熱量がすさまじい。
さらには、あまりの放熱段階にいたると大熱量に、冷却が追いつかず、最悪、その熱量で自壊する事もある。これこそが『適切な管理』が求められる点だ。
故に、こういった施設用の動力源としては通常は3基設置し、1機を予備にしておき、連続稼働・大出力での長期運用には至らないように調整しながら使うわけだ。
だが、ここではどうも設置費用をケチったのか、設置用大型重水素駆動炉が2機しか置かれていなかった挙句、管理用人員も通常の10名弱ではなく6人での管理運用だったらしい。
そういう状況でバイオハザードを起こし、その対処でそれどころではなくなった挙句、様々な〝消毒措置〟や規定されたノルマのとある仕事をするべく日々大量の電力を求められた結果
「放射性物質汚染は……確認されていません。とはいえ、念のために区画は完全に封鎖され、対汚染封印措置用冷却ジェルで区画は水没しているようです」
ジェルで「水没」するとはこれいかに。
「元が燃料重水素で方式が駆動炉ですから、汚染は限りなく発生しないハズ……とはいえ、奇跡みてーなメルトダウンが起きてしまったわけですから――――さらに言うと、区画へとつながる通路、通風孔の類はすべて鉛の板を埋め込んだコンクリートで完全に塗り固めたようです」
「ちょっと待て、この施設は電源が生きているぞ、何処から電力が供給されているんだ?」
「…………」
シルビアが施設のメインフレームへとつながるPCを操作する。そして、彼女に何故稼働しているのかを問う。
「……えーと…………バイオハザード事態は収束しましたし、一応念のために危険地帯はやっぱりコンクリで埋められているようです。で、そういう措置やその管理体制を全自動でやるにしてもやっぱ電力が必要でして……だから」
「まさか、また設置したの!? 大型を!? もうどうせなら、最初っから都市型でも設置すりゃいいのに!」
やけくそ口調でひよりが叫ぶ。小型の重水素駆動炉ならいざ知らず大型2台をダメにするような管理体制でまた大型を設置するとかありえない。
もう、大都市に電力を供給する都市型でも設置して、さっさと暴走させて施設ごと吹っ飛べばいいのに。
施設内を探索するジェンはそれを見つける。水密扉の様なそれで隔離された空間。
開くとそこには簡素な狭い小隊規模の戦闘演習場が広がっている。
最も演習場というよりは教習場と呼ぶのが正しいだろうか。人型の的が並べて隅のほうにまとめておかれている。
そして、見つけるのは散乱しているメモ帳。
拾ってみると、そのメモ帳にはいくつもの企業のロゴが。
気合の入った『MITSUBOSHI』から『G.E.』に『N.S.テロップ』、『R.R.L.』、『イズマッシュ』、『オラスコム・ミリタリーネットワーク』。
どれもこれも五大国に関連が深い財閥……いや、超巨大複合財閥……『半球特権大政商(グローバル・オリガルヒ)』ばかりだ。
そして、その文字を見つける。
『アルコール・グループ』
世界的企業連合という『半球特権大政商(グローバル・オリガルヒ)』すらいくつかその傘下に収める世界規模の超巨大企業連合体。五大国とはさすがにやりあえないが七大国の1国程度ならある程度善戦することも可能ではないかと思ってしまうほどの超巨大資本にして世界経済活動の原動力を動かす世界的企業連合だが、それにしたって限度がある。
ましてや、世界的企業連合の躍進を望まない企業や大資本だって存在する。
五大国の一角、ヴィンランド連邦の特にセグメンタタ関連産業および技術を事実上独占体制においている世界規模の軍需系企業である『アルコール・グループ』。
世界的企業連合に敵対する、同じく世界規模の超巨大企業連合体である『資本共同体』。
学院傭兵軍第3軍団の学生傭兵。それが自分たちの身分。
そして、学院傭兵軍は世界的企業連合の私兵にして教育機関でもあるのだ。
つまりは、敵対企業。最も……学院傭兵軍第3軍団で使用されている主力となるマニュピレート・セグメンタタはアルコールグループが大量生産して世界にばら撒いているGNシリーズであることがいかにアルコール・グループが現在の世界において多大な影響力と技術を保持しているかを示しているのかもしれない。
いかに敵対企業といえど、アルコールが作ったGNシリーズの性能とコスパの良さには国家ではない企業の集まりに過ぎない世界的企業連合にとって魅力的なのだ。
というか、GNシリーズ系統のパーツが世界中ごろごろ転がっているのだ。
何せ、ヴィンランド連邦の本国で使われるLM(リモンチーノ)シリーズと比べると良くも悪くもモンキーモデルで、ハイローミックスにおけるローエンド兵器である。
おまけにヴィンランド連邦としても軍事介入や紛争への参戦時に使われるLMシリーズのパーツは高い。
だが、LMと比べるとGNシリーズのパーツは安く、提供できるとあって、LMシリーズのセグメンタタにGNシリーズパーツを取り付けるのもよく見かける光景である。
メーカーも同じだし、ある程度の互換性を備えているので出来る技だが。
ちなみに、GNシリーズの傑作2.5世代であるGN-11AとGN-11Bは双方ともに中国やらロシアやら日本製の別規格のパーツもある程度なら使用できるという高い互換性を保持してもいる。
おまけに、Bなら兵士一人ひとりに合わせて『専用調整(カスタム・チューン)』しやすいように……というかそれを前提としてしている。
そして、安い。五大国の正規品でもあるし、性能も文句なしだというのなら、敵対企業であろうと採用するのに戸惑いはない。
それが、GN-11BでありGNシリーズなのだ。
アルコール・グループのロゴ、歯車に刻まれたアルコールの化学記号。
そんなロゴが記載された大きな武装コンテナ。
武装コンテナの中身は決まっている――マニュピレート・セグメンタタだ。
このご時世、武装コンテナなんて物騒なネーミングが使われる貨物箱なんぞ、中に入っているものは2つの一つだ。一つは巡航ミサイルあたりのVLS。
もう一つは、マニュピレート・セグメンタタとそれ用の各種付属兵装のたぐい。
何せ、現代に復活した重装歩兵だ。歩兵戦力である以上、最前線でほいほい簡単に使えなきゃいけないのに、いちいち格納庫だったりを用意するには手間暇がかかる。
おまけに、戦車はまだ乗り物として扱えるからいいが、セグメンタタは中に人間が入って動かす人型の兵器だ。整備が非常にめんどくさい。
まぁ、戦車も特に足回りの整備が色々とめんどくさいが、それでもセグメンタタの複雑性と厄介さと比べればまだ比較的マシだ。
そういう代物だからこそ、せめて最低限でいいので専用のスペースを確保したい。
こうして用意されたのが武装コンテナだったりする。
つまり、武装コンテナなんてものを広いスペースに用意するということは中身は――――
「――鎧だよね」
みんなを呼び寄せることにした。何せ武装コンテナは一つではなくいくつも積み重ねられるように置かれているから、中隊規模分は確実にありそうだった。
そして、やはり想像道理、中にあるのはGNシリーズ。
まぁ、GNシリーズの第1世代なんてものが飛び出したときは逆に骨董的な意味で価値が高いので、翔が大騒ぎしたが、それは無視した。
いくつかのコンテナが広げられ、中からGN-11Bを取り出す。
やはり、自分たちが普段使っているやつが一番使いやすい。
最も兵装や細かな調整は別で必要になるので、普段の感覚では扱えないけど。
そして、またしても鍵がかかった武装コンテナが出てきた。そう、シルビアという鍵が必要なものが。
歯車にアルコールの化学式が描かれたコンテナ扉に似合わないロック装置。
そんなもの無視して外側から強引に開くことも可能だが――――
「――……機密保持でそういう事しようとしたら爆破処理されるようになってるね」
なぜそんな面倒なシステムをつけたのか。おそらく、それは――――
「――お兄さんって、ひょっとして、この中に入っている鎧をあんたに着けさせようとでも考えてたの?」
「さぁ、どうだったんでしょうね。ただ、兄さんは時折いろいろな事を話してくれました。本当なら話しちゃいけないんでしょうけど……たとえばこの施設。そこの民兵さんが知らないのも無理はありません。兄さんが全部秘密で進めていたようです。
最も、一応『独立のための将軍委員会』には話自体はいっていると思いますよ。ここは独立派を支援してくれる手はずになっていた五大国の企業たちの根城の一つでしたから」
「だが、実態を見る限り忘れ去られているぞ?」 「たぶん、彼らはこれよりも重要な物に目が行ったからだと思います」
彼女が語る重要な物。
「『W-81』11発。MGM-134が2発。134用に用意された拡散型プラズマフィールド弾頭が3発。まぁ、こんなところかな?」
「くそったれ、対空戦術核弾頭が11発にTEL車両用のICBMだとふざけんじゃねえよ、プラズマ兵器はいざ知らず、どこの馬鹿がそんな物をあんたらに用意したんだ」
「さぁ? 委員会はそれを元に政府軍とある程度取引が出来ると思っているみたい。何しろ、純粋な戦力差だと最弱だから……交渉でなんとか出来る範囲に収めたかったのかもしれません。戦って大勝利は現状あり得ない以上、戦時下の交渉材料が欲しかったのでしょうね」
「けっ、決勝戦プログラムで使い物にならない核兵器を交渉材料……?」
いまいち理解が出来ない面々。まぁ、使うことも出来ない核兵器を交渉材料と言ったところで、決勝戦プログラムの性質から言って何の役に立つのやら。
何せ、決勝戦プログラムでは使ってはいけない条約禁止兵器だ。かといって決勝戦プログラムが終了すれば、勝者が大正義として振る舞えるのだから。
それに安易に異を唱えれば世界中から殲滅される事になっても仕方ないというのに。
だけれども
「けれども、戦後の武装解除という政治のステージがありますからそれように色々と考えているのでしょう。核弾頭はそのための見せ金でしょうね」
シルビアの言葉が、独立派の政治的嗅覚の高さを物語っていた。
「要するに……独立派は戦力よりも政治取引の材料の方が大好きって事か」 「おまけにバイオハザードにメルトダウンですから……近寄りたくないのかもしれませんね」
そして、解放されていく扉。その向こうにある物は――――
――白かった……そのセグメンタタはどこまでも白かった。
「……なんで、アラフジーク山岳のナポレオンはこいつに気が付かねーんだよ。独立派のお偉いさんたちの目線は核弾頭だとしてもナポレオンは知ってて……この施設開けてもおかしくないのに」
「……仲間はあまり裏切りたくないから……いや、疑いたくないから……だと思う。そこに兄さんは良くも悪くも漬け込んだんだよ」
さびしそうなシルビア。彼女のDNAパターンが唯一、この施設の鍵を開ける方法。
彼女の死んだ兄の――面影か、それとも……家族への屈折した思いか。
独立派の王子様なんて揶揄された大スポンサー様の……。
「……兄は言ってました。これは最新式だって。交渉してやっと回してもらったって。第4世代の模索のための……いわば3.5世代試験兵器、技術実証プロジェクト名『アークラム』」
ARK-RAM。
「3.5世代技術実証プロジェクト試験兵器、暫定型式製造番号、ARM-X002アークラム試作Mk-2……兄はそう呼んでました」
第4世代セグメンタタ。
「……よくわかんねぇな……現代の主力は第3世代だ。だが、貧乏組織や大軍組織が一気にすべてのセグメンタタを更新することは出来ない。だから数的主力は第2世代の改良型である2.5世代だ。質的主力は第3世代……この状況下で、第4世代……か。噂だけは聞いたことあるがピンとこねぇ」
「……私もそう思いますよ」
シルビアはアークラムを見て以来、ずーとそれを凝視しながらも会話を続ける翔の横に並びそう答えた。
「……兄貴からほかにいろいろ聞いてるんだろ? ほかには?」
「……不思議に思いませんか? なんで人型兵器だと」 「……セグメンタタはパワードスーツだ。現代に復活した重装歩兵だ。である以上、人の形をしているのは別に問題はない」
「でも、同時に軽騎兵的運用もなされます。あなたは確か分隊砲兵だとか……。自走砲や普通の小隊軽迫撃砲に任せればいいのに、あなたはSAWであると同時に迫撃砲を兼任している。いや、ATM手も兼任しているような状態です。あなたの装備品にはカノンもあるんでしょ?」
SAW……分隊支援火器。それを使うものをSAW手と呼ぶ。分隊と呼ばれる小規模の戦闘チームにおいて火力支援を担当し弾幕などを張って味方を援護する機関銃の持ち主。
そして、カノン砲とそれ以外の砲の違いは、カノンが直射であること、ほかは曲射軌道などを描くことだ。要するに放った球が直線であたるかあたらないか。
全部火力支援という意味ではおんなじで、でも射程距離や役割は全然違う。でもセグメンタタ分隊砲兵は全部やる。
「セグメンタタは通常の歩兵とは違う。歩兵部隊とも違う。役割自体は歩兵的であってもだ。1個小隊の平均人数は30名から50名。しかし、セグメンタタの場合20人。これ以上は多くてうまく統制できないし、そもそも現代の第3世代や2.5世代はドローンとの共同がメインになりつつある。これ以上はコストパフォーマンス的にも面倒だ。だから一人で何役って状態になるんだよ」
「そこが一番不思議なところです。何故20人なんですか? うまく統制出来ないとはいったい何が生じているのでしょう?」
「セグメンタタは現代によみがえった重装歩兵と語られる物だ。だがな、歴史上に登場した重装歩兵って奴は単体じゃクソの役に立たないんだ。横列での集団戦闘でもって初めて、その重装歩兵の名の重装備が機能する。要するにファランクスとかだな。
……まさにセグメンタタだよ。セグメンタタはその戦闘機動でもって、敵を攪乱できるし、それこそ当たらなけりゃどうと言うことは無いを体現する歩兵だ。それに拳銃弾程度じゃやられないし、万が一は防御斥力を展開するだけでいいからな。
けれどもだからこそ、結局はエネルギーの問題を出しちまう。ガス欠になれば動けないからな。だから戦闘機動全開で動き回るのはどうしても控えめになってしまう。そうすると自然弾数勝負になる。でもそれだと持てる弾数がすべてを決定する要因になるし、かといって弾数さえあれば勝てるというわけじゃ無い。
防御斥力という厄介な壁がどうしても存在するから。やっぱり動き回らないといけなくなっていく。つまりは役割分担だよ。けれど役割分担と称して人数を多くすればするほど大きな一塊になっていく。戦車を1両だけ孤立させたら、いくら堅くても蜂の巣にされてぶっ飛ぶだろ? だからお互いをサポートしようとすると一塊になる。通常歩兵がカバーしてくれるのなら別だけど。
けれど、今度は一網打尽の可能性が出てくるし、そもそもセグメンタタは大きいんだ。大人数だと狭い空間だとろくに役に立ちゃしないし、上空から丸見えで狙いやすい。だから、自然とだいたいの場合6人分隊20人小隊編成になっていくんだよ。ところが、そういう編成になると、困ったことが出てくる。
今の前線の歩兵には求められる役割が多い。おまえさんがいったSAW手にATM手、ライフルマンにポイントマン、軽迫撃砲に衛生兵、戦闘工兵に変わり種だとグレネーダーにFACだの何だの……。これを6人に分担するんだぞ。自然と火力を任される人間っていうのは絞られてくるんだ」
「長いです」 「フ○ック」
白いセグメンタタ……アークラムとか言うらしいそれは、そのままコンテナの中に納めたままにすることにした。
何せ、アルコール・グループの最新兵器で、実験兵器。逆にどんなトラブルが待ち受けているかわからないから怖い。その代わり――――
「――なんで、持ち出す話になってんだ!?」 「だって、このまま帰ったところで……立場悪くない? 最新技術をそっくりそのまま鹵獲っていえば最高だよ!」
そうなった。どうやって運ぶつもりなのか。
「陸戦用エアクッション艇があったよ!」 「でかした!」
「ちょっとまてぇ!? 何でんなもんがあんだよ!」
そして、どうやってここから出すのか。施設の扉はなんか狭かったし。
「あったよ大量のC4が!」 「でかした!」
「なんでぇ!? それ仕掛けるの戦闘工兵のわたしぃ!! 仕事がふえまくったぁぁぁぁぁ!?」
ひよりが悲鳴を上げる。
だいたい、ここから出したところで、どうやって反乱軍や独立派をごまかすのか……ちなみに独立派の民兵さんは施設内に保管されてた人間サイズの武器庫にこもりっきりです。
なんか持ち出せそうな物を全部持ち出そうとしているみたいよ。
「と言うわけで任せた!」 「任されましたぁ~」
「ねーちゃん! 大丈夫なの!?」
シルビアの役目になった。