どこまでも俺様主義 Episode.1:砂漠の国の紛争   作:ホエール

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 あの馬鹿を止めろ! 

そんな声が各所で響き渡る。正統軍に属する第17連隊戦闘団、現地編成選抜突破中隊を率いるジャッカル大尉としてもその声には同感であった。

 

「第1小隊は我に続け、あのロケータもどきを叩くぞ!」  「キャプテン! 一瞬でいい、アレの足を止めて! 後はこちらで処理する!」

ジャッカルは駆け寄ってきた1人の傭兵の少女の声を聞いて一瞬のうちに決断を下す。

若い女、いや少女と形容するべきロシア系のそのセグメンタタ傭兵は確かな実力を持つベテランであり、コレまでも助けられてきた。

正統軍に雇われたのはごく最近であったが、信頼を得る程度の能力をすぐに発揮してくれた。

……駆け寄ってきた少女と形容したが、それは中身が見えるから言えるのであって、外見はロシア製第3世代、クラカジールの個人用改造品(カスタム・チェーン)。

その両肩の長方形の箱形の兵装は、巨大なワイヤーアンカーであり、近接戦闘の補助兵装であり、普通に考えてまともに使いたがる人間が少ない代物だ。

だが、それだけでは無い。少女が保持する射撃武器はAKS-74のセグメンタタ用の大型化兵装、エーゴル=カラシニコフバリエーションが2丁。それも両方とも銃剣がすでに取り付けられているソレと、セグメンタタ用の大型拳銃が1つ。

たったそれだけ。後はすべて近接兵装だけで構成されている。

いや、両腕と両足、それぞれに備え付けられたワイヤーアンカーを入れれば別かもしれない。

或いは、長方形の箱形の兵装も入れればもっと変わるか。だが、それでも直接的な攻撃手段は銃剣を付けたマルチ・アサルトライフルが2つとマルチ・ハンドガン1つと言う風景。

そこまで絞るならいっそ、ライフルも1つ捨てろと冗談の一つも言いたくなる。

よくよく見ると、腕にはワイヤーアンカーの他に、伸縮式、展開型のブレード、爪が装備されている。徹頭徹尾、近接戦闘、特に格闘戦を想定した彼女のスタイルは、実際それで戦果を上げているからたまに彼女の武装をしたり顔で品評するアホがさらなるアホ面を晒す結果も作り上げている。

 

「一瞬でいいんだな? 少し時間がかかりそうだが、アレを押さえられる方法がある。後は任せていいんだな?」

「あのクソロケータ歩兵は、足を止めればいくらでもぶち殺せる。動きから確信した。奴の瞬発力や動体視力はいくらでもぶち殺せる程度でしか無い!」

「了承した」

中隊は、その指揮ネットワークにある物を加える。そいつは、サンドクラーケン4号機と正統軍(反乱軍)では扱われている個体。

政府軍や学院傭兵軍では、シエラ・ワン(S1)と呼称される個体。

 

「大尉、DPI-01の使用許可申請認められました」  「OK分かった。反撃と行こうじゃ無いか」

 

アークラム:モード『アサルトロケット・アーセナル』はさらに、戦闘機にも使われているF110-GE129ジェットエンジンが完全稼働を始める。

アークラム:ARAは本来のヴィンランド連邦の技術特性樹形図的に、異端な存在だ。

大型ロケットモーターも使用しているが、それ以上に数が多いのは小型のロケットモーターを束ねたシステム。それらはロシア系が得意とする技術であり、本来は大型ロケットモーターですべてを片づけるのがヴィンランド式である。

が、それをしなければならなかったのはひとえに、大型ロケットモーターを搭載すれば、確かに楽であり加速も進むが、細かな調整ができないという事だ。

パーツの排除によって重量を減らしての再加速、加速用ロケットモーターを排除したことで広がる特殊なロボットアーム群による特殊な戦闘活動。

例えば、そう、まるでレイピアのような細長い大型の高振動ブレードがプラズマをまといながら、騎兵のランスチャージがごとく、1両の装甲車に突き立てられるような動きが。

ブレードはあえて、あらかじめ折れるように専用に作られている。だから、多少速度が落ちる程度で、そのままアークラム:ARAはそのまま突っ走っていく。

突き刺さった装甲車はそのまま二度と動かなくなる。エンジンはもちろんのこと、中の乗員は果たして大丈夫だろうか。いや、おそらくは。

このような数々の行動を大型ロケットモーターを1~2発乗せてカバーするのは、そもそももともとのマニュピレート・セグメンタタが結局人の形をしているという制約がある以上、限度があると設計担当者たちは考えた。

では、そもそも人を乗せるのをやめる。人型をやめればいいのかというと、そう簡単にはいかない。

そもそも重装歩兵たる、セグメンタタを内部の盛り込むことで効果を発揮する戦術兵器だ。

一騎当千の重装歩兵を敵陣に火力とともに突撃させるというコンセプトであるがゆえに、それをやめたら本末転倒である。

最初っからドローンでよかったら、こんなクソみたいな突撃火力兵装作らない。

大量のミサイルをぶつけるだけで十分だ。

にもかかわらず、それをしない。できないからこその、大量の小型ロケットモーター。

あえて、苦手なクラスターロケットもどきで仕方が無いと判断した。

が、それだと安定した揚力などを得られないのでは無いかと危惧された結果、ジェットエンジンを一つ積み込むことにした。

それが、F-16と言ったマルチロール戦闘機にも使われるF110ジェットエンジン。

が、それがもたらした恩恵にこんな物がある。小型ロケットモーターがさらに2基、パージ(分離)されていく。

そして、そのままロケットモーターはシーカーの誘導に従って――――――敵性地上目標へ。

限定的ながら、ロケットモーターは対地ロケット弾としての運用も可能であり、多少そういう乱暴な使い方をしても速度は落ちないという事だ。

残るロケットモーターは大2本、中2本、小型が12本。全16基。

最も対地ロケット弾としての運用可能なのは小型ロケットモーターの半数、つまり基の数16本のウチの8基に限定されているが、残りの8基だって対地攻撃能力を保持している事から、実質対地ミサイルもどきが16本あると言える。

本来の空対地ミサイルがたった親子型の2発しか無いのもたぶん、これがあるから大丈夫。むしろこれ以上は他の兵装のペイロードが確保出来ないと言う判断。

最も携帯式対戦車ミサイルベースの多目的ミサイルも8発くらいあるので、対地攻撃能力山盛りなのだが。

基本的に歩兵でしか無いので、空対空やSEAD(防空網突破)なんて考えずロケットでぶっ飛ばすと言う物だからこその無茶苦茶な対地火力。

 

「ぐぅ……」

最も中の歩兵にかかるGも相当な物だ。調整されているナリウスだから大丈夫だろと言う案外軽い判断も効いてるかもしれない。

もしもそうなら、翔はアルコールの設計担当者を恨んで良い。

 

「が……」  『――ソルジャーの肉体負担、人体想定許容量46%と推定。まだいけますね』

いや、本当に恨むべきは、アレスの基本プログラムや学習内容を組んだクソ野郎かもしれない。

何にせよ、翔は次の武装を展開する。マルチ・ターゲットロックシステムが稼働し、政府軍ネットワークを通じて対人レーダーの情報が共有化。

 

『――敵歩兵全個体照準開始。最良タイミングは4秒後。 YOU Have controll』

「あん!? 人間の意味あんのか!?」

叫びながら翔は網膜に映し出される映像の数値がゼロの瞬間を狙って引き金を引く。解き放たれるのはオレンジ色の翼。

いや、翼に見えたのは一瞬ですぐさま、それは飛び散っていく。

ある種、武器としてはきわめて原始的な『火炎放射兵装(フレイム・スローワー)』によるオレンジ色の破壊の翼は燃料とそれに引火した炎獄を大地に振りまいていく。

 

『――まもなく、モード:アサルト・ロケットアーセナルは燃料及び残弾数から終了します。モード:ドラグーンへの変更までのカウントを開始』

小型のロケットモーターが新たに2基、分離(パージ)。対地ロケットとして目標へ。

残るロケットモーターは、大型2基、中型2基、小型が10基、全部で14基。

 

対砲兵レーダーが感知。敵砲兵の大規模砲撃。

 

『――全燃料、強制再燃焼加速(リ・ヒート、アフターバーナー)!』

「お、I、ば――――」

翔が何か言う前に強烈なGが襲いかかる。そして、右旋回。内蔵が右側に寄りそうだ。

マウスピースがなかったら今頃舌をかんでいる。

敵の対空戦車、CV-90AAVを発見。最もレーダーやセンサー系統は以前からそれを発見しているが翔が目視でソレを発見。

小型ロケットモーター、分離。対地ロケット弾がそれへ。迎撃。

さすがは対空戦車。その90mmと40mmの計3門の機関砲は所詮は対地ロケット弾でしかない空対地ミサイルもどきを打ち落とす。

乗員はおそらく悩んだであろう。アークラムを撃つか。それともミサイルもどきを撃つか。とっさの判断はミサイルもどきを落とす。

それは正しい。間違いではない。けれどもアークラムのその無駄に盛りだくさんの兵装の一つ、火炎放射兵装(フレイム・スローワー)がその車両を地獄に叩き落す。燃料が車体に張り付き、灼熱と獄炎が車両が見えるすべてを支配する。

車長は結論を出せなかった。センサー系統は火炎であぶられ、マヒ状態。レーダーは稼働しているが、同時に敵がチャフやフレアと思わしき何かをばらまいたのか多数の敵性を警告してきてうるさい。

空気循環系の設備が悲鳴を上げて、そして車長の意識が途切れる。

車両頭頂部に突き刺さるのはプラズマをまとったレイピア状の大型高振動ブレード。

そして、車体に張り付いた灼熱の燃料が車両内部に入り込む。

 

『――方向転換に問題発生。搭載された液体燃料タンクが原因、重量バランスにエラー。燃料タンクを分離します。アークラム:ARAはあと17秒後に完全終了します』

アレスの機会音声。アークラムの状況は政府軍ネットワークを通じてこのゲノポス戦域おける全軍に共有されていく。

最も未知の兵器がいきなり割り込んできたためか、後方の戦況分析官はパニックになっている。

 

『――爆撃要請』  「どうせなら、ありったけのクラスターを! 無理なら数発にドンガラ山盛り!! ないよりはましでブラフになる!」

こうした要請を機械的に受ける側はともかく、分析官は半分『お前誰だ』と叫びながらマニュアル道理に仕事を行う。

 

『――マルチ・ターゲット』

アークラムの各種レーダー系統やセンサー系統が全力稼働。敵の携帯式対レーダーミサイルがそれに反応。アークラムへと――――

――迎撃短針。射出、空中で起爆。

空中に広がる爆炎の黒煙。その黒煙を突き破ってアークラムはさらにロケットモーターをパージ。

小型ロケットモーター残り8基。そのすべてを排除。ジェットエンジンF110-GE129が金属の轟音をかき鳴らしながら強引に揚力を作りアークラムの高度を上げていく。高度といっても所詮は歩兵の突撃。

高さは20~90メートル前後の低空飛行だ。通常の航空機なら危険すぎてアクロバティック飛行でもない限りはやらない高度。

固体燃料の大型ロケットモーター2基、同様の中型2基、しかしそれも燃料警告。

 

『――弾道選択……配置終了。3秒後に適切なターゲットを選び排除してください』

3秒といわずに、翔はトリガーを引く。待てない。

 

『――パージ&ファイア。タイミングが早すぎます。修正不能』  「うるせえ! なら1から全部テメェがやりやがれ!」

アレスの応答に対して答える。修正不能といわれたが、4発の大中ロケットモーターは対地ロケット弾としての役割を果たすべく、自力で軌道修正。

この誘導性能、どこら辺がロケット弾だって翔はのちに愚痴りたくなったらしいが、この時点ではそれを知る機会はない。

ロケット弾が向かう方向は、敵性のAPCの群れ、並びにレーダー車両へと。サンドクラーケンによる迎撃レーザー。

天空向けて解き放たれる8本の瞬く輝き。

2基の大型ロケットモーターを対地ロケット弾としたそれが空中で発火を始める。

だが、液体燃料や弾道の炸薬では無く固体燃料の塊に衝撃波で大量のキャニスターをばらまく形式をとっていた大型ロケットモーター転用対地ロケット弾は起爆しない! 発火しながらそのまま走り――――だが、役目を果たす前に迎撃ミサイルによって迎撃される。

撃破の衝撃波によって『IMSキャニスター(空中炸裂型指向性散弾、形式・空中起爆型自己鋳造弾)』が地上へ。

それらは1発1発がセンサーで敵を探す。見つけたら自動的に敵性に有効な弾頭に変化すると同時に空中で起爆して敵の頭上に確実に墜ちるように活動する!

最もそれをゆるす前線防空プラットフォームたるサンドクラーケンでは無い!

8本のきらめきはさらに増量しIMSキャニスターを1つ1つ処理していく。所詮はロケットモーター。本当のロケット弾やミサイルに比べてキャニスターの数が少ないが故にこれだけで効果がある!

最もサンドクラーケンが前線防空プラットフォームであるが故にこれくらい出来なきゃ使い物にならないという開発メーカーの判断があっての能力であるが。

各種外装が外れていく、アークラム・モード:アサルト・ロケットアーセナル。

ロケットモーターの力でかっ飛ばすことが前提にされていた外部装甲の類。ロケットモーターを排除した状態では重くて動けなくなる。

中から現れるのは特別製のブースターウィングに身を包んだアークラム。滑空翼に左右1基ずつの小型ロケットモーターと小型ジェットエンジン。

特別製だと分かるのは通常のブースターウィングとは別に下部、騎乗するかのようにF110-GE129ジェットエンジンが備えられているようなブースターウィングが存在しないと言う事とこの状態で初めてその存在が明らかになるGAU-8 アヴァンジェー航空機関砲。

アークラム・モード:ドラグーン。

 

『――滞空時間、推定3分41秒。アベンジャー全力稼働時は10秒以上減ります。気を付けて』

『――警告。危険地帯。警告』

画面に表示されるのは、敵の砲撃によって打ち上げられた砲弾がこのエリアにもうすぐ大量に同時着弾するという表示。

敵の砲兵は想像以上にやる奴らだ。未来予測の果てに、エリア一帯に同時着弾さえてこちらを粉砕するという確かな意図。

大規模砲撃の砲弾がなかなか落ちないと思ってたが、翔は分野は違えど同じ砲兵として、思わず敬意を抱く。

が、それはそれとして、危機である。翔はとっさの判断で片側のロケットモーターを捨て、もう片側にロケットモーターとジェットエンジンの出力を最大に設定。

アベンジャーの弾薬さえも半分捨てて、舵を切る。空中でスピン。力加減を間違えた。しまった。タイムロス。

 

『――自動防御。斥力、ラフテル89%で出力。方向設定。砲撃来ます。爆風を利用して一気に距離を取ります! 対ショック防御!』

そして――

    ――同時着弾。

無数の破壊衝撃波が爆風がそれらがアークラムに襲い掛かる。防御斥力を用いての脱出。

 

『――あなたのスピンは役には立ちました。三体問題の成立だけは回避するのに成功しましたので』

「そうかよ。フォローする機能までついてんのか」

アレスの言葉にちょっとだけ苛立ちながらも返す。最も翔の咄嗟の判断がなければ対応しきれなかったのも事実だ。

アレスはいまだフレーム問題を解決するほどの能力を手に入れていない。

その辺は人間のほうがその瞬間に限り、最善手と考えられる最も妥当な選択肢を選ぶ事ができる。

けれども、アレスに支援される事がもたらす効能にびびりまくってる翔にはまだ分からない。

同時着弾がもたらしたのは多量の砲弾が作った巨大な大穴、クレーター。そして爆炎衝撃波によって生まれる無数の火災。

最もそこら中で燃えてるので、何かが変わったかと言われると空から墜ちる土砂とすすが増えたと言ったところか。

いや、一つだけあった。

アークラム:DRは防御斥力を展開し、衝撃波や爆風を活用して、無理矢理軌道修正を果たした。

翔自身が、爆心地に巻き込まれないように手を加えてもいる。

 

『――あと9秒後にシエラ・スリー(S3)と接触』

サンドクラーケンが目の前だ。

 

『――迎撃レーザー発起装置稼働を確認。来ます。対レーザー爆破反応装甲、今』

軽い衝撃。アークラム:DRの前面装甲が小さな音とともに破裂する。装甲板の破片が細かな輝くチリとなってアークラムのカメラの前を支配する。

迎撃レーザーの光は見えない。何故ならレーザーは一直線にしか進まないが故に、間に何かが無いと光が拡散して見えないから。

もしくは空気のチリや空気その物などが一瞬で燃え尽きて輝かんばかりの大出力レーザーなら話は別か。

装甲板の破片が輝くチリとなった為なのか、緑色の光にアークラム全体が包まれていく。

軽い水蒸気爆発。アークラム:DRの速度が墜ちる。

翔は引き金を引く。FCSに従い、携帯式多目的ミサイルがサンドクラーケン、シエラ・スリー(S3)へと。

しかし、アークラム自身がレーザーにあぶられているのに、ミサイルが迎撃されないはずが無い。空中でミサイルが起爆。

 

『――変更!』

アークラムの滑空翼のフラップが動き回り、その場を離脱していく。

現状では、アレを破壊する事は無理だ。

敵の重装歩兵たちが徐々にシエラ・スリー(S3)の元に集まりつつある。あのアラクレとか言う鎧どもだ。

(嫌がらせに徹する。もうじきこいつは空に浮かんでいられなくなるなら!)

アヴェンジャー航空機関砲。30mmの砲弾。それをぶっ放して敵へと牽制。

と、そこに迫撃砲弾が次々と落ちてきた。

敵軍に動きがある。ネットワークを通じて共有される戦況分析図によると、どうも敵軍に状況立て直しの動きが加速しつつある。

サンドクラーケンを戦車のように使い、その周りを重装歩兵たちが、随伴歩兵として戦車たるサンドクラーケンを防衛しながら進む。

サンドクラーケンが形成する対空砲火の傘に守られた重装歩兵の群れが責め立てる。

 

「クソ……! もう一度シエラ・スリー攻撃狙えるか!? 今を逃したら、随伴歩兵どもが防御態勢を整えちまう!」

『――アークラム・モード:ドラグーンの滑空稼働時間の問題があります。警告。それは危険。敵陣に取り残されます』

『 なら、我々であなたを回収します』

唐突に入ってくる無線。相手は学院傭兵軍第3軍団の陸戦司令官の『紅』。

 

『 GO! 単独突撃を許可する! 絶対に生きて回収するから必ずやれ!』

 

政府軍ロケット砲兵の全力砲撃を感知。学院傭兵軍第3軍団総員に通達。

『 総 攻 撃 』、『 全 軍 突 撃 』。

 

無茶をやる。それが翔の一言感想。

しかし体はすでに動いている。揚力調整。残った揚力をサンドクラーケンへの突撃とその撃破に全力を注ぐ。

残された燃料をロケットモーターとF110ジェットエンジンに注ぎ、加速開始。

 

『 SA8! タイミングを合わせてください!』

久しく聞いてなかった分隊長ジェニファーの言葉。

 

『 翔! こちらもブースターで突撃する! 1分でいいから大暴れでも何でもして生き残っといて!』

工兵ひよりの声。

 

『 クソ森野! 1人でかっこよく突撃して無駄死にしてんじゃねーよ!』

ポイントマンであるサルヴァトーレ(トト)の声。

どうやらS分隊総出でブースターウィングを使ってこちらに突撃強襲を仕掛けるらしい。

いや、S分隊だけでは無い。すでに強引な突撃による落着の衝撃が大地を揺さぶり始めている。

重なるのは、政府軍ロケット砲兵隊の砲撃。

サンドクラーケンはそれに対処するために全力稼働。迎撃レーザーや迎撃短針、迎撃ミサイルに20mm砲弾が天空に向けて幾重にも放たれていく。

敵兵も次々と対空砲火に参加を始まる。

それに対して、ブースターウィングで滑空突撃を図るこちら側の重装歩兵はブースターを捨てて落ちることでの緊急離脱をするか防御斥力とブースター出力をともに最大にして突撃を続行するかの2つに分かれる。

空を輝かせる無数のチャフとフレアにデコイの火炎。いや、それに銃弾砲弾誘導弾の乱舞と迎撃レーザーが作り出す水蒸気爆発とそのチリが作る輝きが加わり大空を黒煙と瞬く無数の流星群とこぼれんばかりの星空を作り出す。

翔はそんな中、アヴェンジャーの30mmの矛先をサンドクラーケンに向けて、トリガーを引く。

回る銃身の群れ。『円環連装銃身(ガトリング)』方式のアヴェンジャー航空機関砲はその破壊力をサンドクラーケンへと――――

――敵の歩兵が防御斥力を展開して、数発を明後日の方向にふっとばした。

それどころか、反撃のロケット砲。

弾切れ寸前のアヴェンジャーを放棄。そして――――

――翔は、アークラムのブースターウィングを強制的にアークラムから外した。ありったけの燃料だけをロケットモーターとジェットエンジンに次ぎこんで。

当然、揚力を失ったアークラムは地上へと落ちて――

                             ――そして、重荷を失ったブースターウィングはそのまま反撃のロケット砲を受けて空中で大爆発。

その隙間だった。翔は、アークラム:DRに装備されていた対地ロケット4連装ポットを全門ぶっ放した。

再び特別巨大で圧倒的な衝撃波が地上全体に波及したのはそのあとだった。

政府軍、そして反乱軍(正統軍)、双方のネットワーク上に次の情報が表示される

 

『シエラ・スリー(S3)撃破』  『サンドクラーケン1号 LOST』

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