どこまでも俺様主義 Episode.1:砂漠の国の紛争   作:ホエール

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 もはや何度目かわからない衝撃波が大地を荒れ狂う。

それを見るものは、だから感じる。戦争っていやなものだと。

或いはこうも感じる。この腹からくる重い地響きは一種の快楽だ。戦争とは極限にまで興奮し胸の高鳴りが爆発する最高の瞬間だと。

3機の虎の子のサンドクラーケンの撃破。正統軍(反乱軍)にとって、そろそろ次を考える時が来た。

 

「デザート・サルガッソーを失う前に撤退する」

アレは、サンドクラーケンをもっとうまく使うための兵器だ。サンドクラーケンを失った以上、アレは単なる的に成り下がろうとしている。

やってる事は単純だ。特殊な粒子をばらまき、その粒子は吸気機構を通じて、航空機エンジンの内部に入り込む。そしてエンジンを焼き殺す。

それが、デザート・サルガッソーのやってる事に過ぎない。高高度の特定の機体を狙い撃ちにしたのは、結構単純な話で、サンドクラーケンの対空レーザーを利用したレーザー推進で特定の空域に粒子空間を展開するというシステムだ。

対空レーザーの有効限界高度を超えて展開出来るのはそういう事だ。慣性の法則までは消えないし、対空の有効性を失っても光が持つ運動エネルギーが即時に消滅するわけでは無い。

こうして、特定の領域や行動に飛行妨害粒子空間を展開するのだ。

けれど、それはサンドクラーケンの補助があってこそだ。サンドクラーケンはサンドクラーケンで、デザート・サルガッソーの援助があってこそ防空性能を極限にまで発揮する事が出来ると言う事。

そして、サンドクラーケンは失われた。

 

「ゲノポスを放棄し、リスティアへと――――」  「――警報です! ノースポイントで政府軍が攻勢に!」

 

子豚と嗤われた小男の周囲には参謀たちが忙しく走り回っている。

 

「ゲノポス・リスティア両戦線において、攻勢発起し、どちらでも構いませんので、ある程度反乱軍の防衛ラインを貫通したところで、ノースポイントで攻勢に出ます。これに空挺作戦を組み合わせて、最終的には両翼包囲を持って反乱軍を包囲殲滅する。これが今回の作戦の本命です」

「ゲノポスに拘らず、リスティアでも良かったと言う事か」  「いえ、可能なら両方抜きたいと言うのが本音です。なので、両方とも力を抜くこと無くやるべきです」

「3方向からの攻勢で、中途半端にならないか?」  「いえ、なりません。ロシア共和連合の顧問団からは突破口が小さいとおしかりを受けましたよ」

あらかじめ、知っていたとはいえ、途中かなり危険な状況に陥っていたゲノポス戦線にひやひやしていた子豚は参謀たちとの会話で徐々に実感していく。

コレは、勝てる。少なくとも敗北ではないと。

 

「ゲノポスに現れた敵の厄介な大型ドローンは全部撃破されました。傭兵たちがやってくれたようです。後ほど彼らへの報酬をはずみましょう」

「うむ、我が軍がそれを仕留めたとして、適任なのは第57大隊かと」

「…………」

参謀たちは、大型ドローン撃破の栄光をあくまでも政府軍が成したと言う事にしようとしている。子豚が口を開く。それは違うと。

 

「ドローン撃破の名誉は我が軍を選んだ優秀な精鋭傭兵たちだ。栄誉は彼らの物だ。我らが成すべき事は、それを――我が軍のプログラムの完勝とつなげる事だ」

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