怨霊の話   作:林屋まつり

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二話

 

「やっほーっ、芳佳の部、あうっ?」

 豊浦はさっそく屋内に飛び込んだルッキーニの肩を掴み制止、バランスを崩したルッキーニを片手で支える。

「靴を脱がないとだめだよ?」

「え? そうなの?」

「そうだよ。扶桑皇国の家は玄関で靴を脱ぐの」

「ふーん?」

 靴を脱ぐ。屋内へ。

「狭い、ですわね」

「あ、あははは」

 ペリーヌの言葉に彼女の家を知る芳佳は苦笑するしかない。あの規模の家と比較すれば大抵の家は狭いだろうが。

 ともかく居間へ。「ちょっと待ってて」

 豊浦を含めて十一人。さすがに狭い。

「こっちだね」

 豊浦も頷き、襖を開く。そこにも部屋。

「紙で区切られた部屋? なんだそれ?」

「え? 変なの?」

「ねえ、芳佳ちゃん。さっき開けたのって、扉? 壁?」

「…………何だろうね?」

 リーネの問いに芳佳は首をかしげる。襖が扉なのか壁なのか、考えたことなかったな、と。

 ともかく居間と仏間を繋げてそれなりに広くなった。仏壇に突撃するルッキーニを豊浦が抑えたのを横目に、

「……すごい。これは昼寝が進む」

「進むなっ! というか、床に寝転がるなっ!」

 畳に横になってごろごろし始めたエーリカを怒鳴るトゥルーデ。

「これは、……草、ですわね。草?」

 難しい表情のペリーヌに、ふと、リーネは口を開く。確か、

「あ、私聞いたことあるよ。

 タタミ、っていうんだよね? 扶桑皇国独自の床。……床? マットレス?」

「床、でいいと思うよ」

「……寝転がれる床。…………ミーナー、あっちの基地にもタタミを入れようよ。

 これでどこででも昼寝ができる」

「どれどれ、」ごろん、とシャーリーも寝転がって「ミーナ、私もハルトマンに賛成だ」

「やばい、日向がヤバい。これ、半端なく昼寝が進む」

「もう、何もしたくなくなるな」

 日向で畳に寝転がりうとうとし始めたシャーリーとエーリカ。

「寝るなーっ!」

「けど、床に直接腰を下ろすのも新鮮ね」

「あ、座布団ありますよ。……ええと、クッションです」

「私はいいです。タタミ、もっと触れていたい」

 さわさわと畳を撫でるサーニャ。

「私は使わせていただきいますわ。

 床に直接座るなんて」

 ペリーヌはぼやいて腰を下ろす。リーネは室内を見渡して、

「明るいね。窓も大きい。……なんか、不思議な感じがするね」

「気に入ってくれた?」

 物珍しさもあるだろうが、概ね好評らしい。自分の家が好かれるのは嬉しい。

 芳佳の問いにそれぞれの肯定。それを聞いて自然と笑みが浮かぶ。

「僕の国の建物が気に入ってくれたみたいでよかったよ。

 けど、くつろぐのは話をしてからにしようか」

 ぱんっ、と豊浦が手を叩く。

「そ、そうねっ、ほら、さっさと起きなさいっ」

 シャーリーとエーリカはのろのろと起き上がり、ミーナは慌てて声を上げる。

 畳の感触が面白くてついそっちに意識が集中してしまった。遊び始めた仲間をいさめるのは自分の役割なのだが。

「それで、横須賀海軍基地を襲撃したネウロイね。……ええと、鉄蛇?」

 確か、豊浦はそういっていた気がする。豊浦は頷く。

「緊急だったから映像はないけどね。

 全長、数百メートル程度の長さの、黒い蛇。それが大まかな外観だよ。それが、八」

「八っ?」

 大型のネウロイが八体。個体の性能よりけりだが、これで高速の挙動や大出力のレーザーを乱射するようなネウロイとなると、この戦力だけでは厳しいかもしれない。

 扶桑皇国にはまだ海軍基地があるし、欧州の精鋭たちには劣るがウィッチもいる。美緒が駆けまわっているから援軍を要請するべきか、と。ミーナは親友を思い。

「現状はそれがまとめて横須賀海軍基地、……ほぼ跡地になってるけど。

 そこの敷地内に封印した。実際の戦力に関しては不明かな。不意打ちで封印したから交戦そのものはほとんどしていないから」

 緊急の措置。情報はなし。

 とはいえ仕方ない。大型のネウロイが八。そんなものと交戦すれば横須賀市は廃墟になっていてもおかしくない。被害を最小限に食い止めたと思えばそれ以上を望むわけにはいかない。

「といっても、放置はできないな。ネウロイが自然消滅したという話も聞かないし」

「そうね。どうにか作戦を立てて決戦としなければいけないわね。

 封印の外から攻撃は?」

 最良の方法は封印により動けないネウロイに対し、安全圏からの絨毯爆撃。けど、豊浦は首を横に振る。

「一方向からの干渉はできない。制御が追い付かなくてね。

 申し訳ないけど、箱に閉じ込めた、までだね。強度を上げることに手一杯だ」

「そう」

 つまりは先延ばし。となると、今のうちに住民には遠方に避難をしてもらい。横須賀市を無人としたうえで海軍や扶桑皇国のウィッチを配備して、万全の体制を整えてネウロイを解放、撃滅。

 横須賀市は壊滅するだろうが、人的被害を最低限にするためにはこれしかない。

「横須賀市、が」

「芳佳ちゃん」

 もちろん、ネウロイの破壊力は芳佳も知っている。大型のネウロイが八、暴れだしたらここがどうなるか、それは芳佳もわかる。

 故郷が、生まれ育った場所が破壊される。……拳を握る芳佳の手をリーネは取って、ぽん、と。肩を叩かれる。

「壊されても、また作り直せばいいのですわ。

 結構、やればできるものですのよ?」

 ペリーヌは優しく告げる。故郷をネウロイに占領され、けど、解放して今は復興に力を尽くしている彼女の言葉だ。芳佳は頷く。

「ま、……まあ、それに、少佐の国ですし? それに、……世話になったのにお返しが出来ないのもよくないですし? 多少は、寄付もしてあげますわよ?」

「ツンツン眼鏡は自分の国で手一杯だろ、無理すんな」

「芳佳ちゃん。復興は私たちも協力するからね」

「……ま、まあ、どーせ、使う暇もないし、…………そーだな。サーニャここ気に入ってるみたいだし、別荘一つで手を打ってやってもいいぞ」

「あ、それいいね。芳佳ちゃんの家の近くにお家。芳佳ちゃん、私もお手伝いするね」

「むっ、で、では「トゥルーデは妹の世話があんだろ、無理すんな」……ぐぐ」

 勇んで立ち上がるトゥルーデはエーリカの言葉に撃沈。

「うん、……ありがとう、みんな」

 芳佳は笑顔で頷く。……そう、建物はまた作ればいい。もちろん、大変なのはわかる。

 けど、仲間たちがいる。みんながいれば、出来ないことは何もない。

「そうだね。……一体ずつなら、ある程度被害は食い止められるかな?」

 そんな彼女たちのやり取りを微笑ましそうに見ていた豊浦は不意に口を開く。

「そんなことも、出来るの?」

「出来るよ。ただ、制御が大変だから僕はそっちにつききりになるけどね」

 ただ解放するだけではない。一部を解放し、他は維持しなければならない。その複雑さはただ解放するよりずっと高くなるだろう。

 ゆえに制御するために付ききりになる。その言葉に、

「だめです」

 芳佳は、否、と告げる。

「宮藤さん?」

 それは故郷への被害を拡大させる選択。それをした芳佳にミーナは首をかしげる。それは豊浦も同様。けど、

「付ききりで制御っていうと、豊浦さんも近くに残るっていう事ですよね?

 それは、危険です。そんな事、させられません」

 確かに、故郷を壊されるのは嫌だ。けど、それより、誰かが危険にさらされるのは、許せない。

 その覚悟で告げる芳佳。は、

「ふぁっ?」

「いい娘だね」

 頭を撫でられてた。久しぶりの、懐かしい感覚に思わず心地よさを感じて、目を細めて、顔が緩んで、「って、じゃなくて、そういう問題じゃないよっ!」

「違った?」

「違うよっ」

 怒鳴る芳佳に豊浦は笑って「リーネ君?」

「あ、……え、ええと、な、なんでもない、です」

 羨ましい、とそんなことを思ってしまった。それが撫でた豊浦に対してか、撫でられた芳佳に対してかはわからないけど。

「僕は大丈夫だよ。鉄蛇を封じた封印を僕の周りにも展開するからね」

「…………豊浦さんの無事が確保できるのなら、お願いしたいわ」

 一体ずつ相対できるならそれに越したことはない。横須賀市の被害ももちろんだが、ネウロイが一体ならそちらに戦力を集中できる。

 その方が早期の撃滅に繋がる。そして、仲間たちも安全に戦える。

「それに、八体の同時解放になると取り逃がす可能性も出てくるよね? 横須賀市の外にまで鉄蛇の被害が出てしまうかもしれないよ。

 芳佳君、心配は嬉しいけどね。……それに、」

 不意に、豊浦は笑う。

「僕が危ないところにいても、君たちがいれば大丈夫じゃないかな?」

「う、」

 笑顔で言われれば引き下がるしかない。……けど、何も言わず引き下がるのも、なんかいやだ。

 だから、

「無茶、しないで、危なさそうならすぐに逃げてね」

「それ、大抵貴女に言いたくなる言葉ですわ。聞いてくれた記憶はありませんけど」

 唇を尖らせて告げる芳佳にペリーヌは呆れて呟く。同意されて笑われて、今度こそ芳佳は負けを認めた。

 と、呼び鈴の音。

「おや? お客さんかな」

「患者さんっ?」

 ここは宮藤診療所。訪ねてくるとしたら怪我人だろう。

 母も祖母もいないが、自分も治療はできる。立ち上がり駆けだす。

「それじゃあ、私たちもいったん休憩としましょう」

 そして、芳佳がいないのなら話を進めるわけにもいかない。優先すべきは怪我人の治療だ。

「私も、芳佳ちゃんを手伝ってきます」

 リーネは立ち上がる。トゥルーデも立ち上がりかけたが、エーリカは彼女の手を掴んで制し「雑用あったら呼んでくれー」

 大勢で押しかけても邪魔になるだけだろう。頼まれたら動けばいい。エーリカの言葉に立ち上がりかけたペリーヌとミーナも顔を見合わせて腰を下ろす。

「うんっ」

 リーネは頷き、不意に、声。

「杉田さんっ?」

「宮藤さん。よく戻ってきてくれました」

 扶桑皇国海軍の大佐。あの、《大和》の艦長を務めていた軍人の声。ここに集ったウィッチたちも知っている。

 ほどなく淳三郎を伴って芳佳が戻る。彼は深く一礼。

「このたびは対ネウロイに駆けつけていただき、誠にありがとうございました」

「いえ、ネウロイは私たち共通の敵です。

 それに、扶桑皇国海軍には我々にとって大切な戦友です。危難を見過ごすことはできません」

 ミーナの言葉に淳三郎は微笑。と、

「豊浦さん」

「やあ、淳三郎さん」

「あ、お知合いですか?」

 紹介を、と思った芳佳は声を上げる。淳三郎は頷いて「前日に、彼が警戒を告げてくれました。鉄蛇の襲撃も豊浦さんのおかげで被害を最小限に食い止められています」

「前日?」

「ん? 豊浦も未来のことがわかるのか?」

 未来予知の固有魔法を持つエイラは興味深そうに問いかけ、

「わかる、というほどでもないよ。天文道、……ああ、と、星占いみたいなものだよ」

「なんだそれ?」

「豊浦さんも、星が好きなのですか?」

 星占い、サーニャは興味をひかれたらしい。む、とエイラが眉根を寄せる。

「星はいろいろなことを教えてくれるからね。……まあ、それはいいとして、淳三郎さん。素性の知れない民間人の曖昧な警告を真面目に取り合って、被害を最小限に抑えられたのは貴方たちの成果です。その度量には感服しました」

「いえ、民間人とはいっても、その言葉をないがしろにはできません。

 素晴らしい人材もありますので、それに、それ以降も部下の治療でお世話になっていますから」

「治療? 豊浦さんは治療魔法も使えるの?」

 芳佳の問いに、「まさか」と苦笑。

「薬草を見つけて薬を作るのと、簡単な治療くらいはね。

 これでも、典薬寮でこっそり学んだこともあるんだ」

「典薬寮?」

「……ええと、医学校、みたいなところかな」

「え?」

 芳佳は首をかしげる。診療所を継ぐと決めたときから国内の医学校は一通り調べてみた。けど、典薬寮なんて聞いたことがない。

「もう千年以上昔だからね。今は存在しないよ」

「あ、そうだね。千年前の学校が今もあるわけないよね」

「……あの、芳佳ちゃん。豊浦さんが千年以上前の学校で学んだの、変じゃないかな?」

 豊浦の言葉に納得する芳佳に、リーネは苦笑。「はっ」と、芳佳。

「そうだよ。僕は怨霊だから、千年前の学校にも通えてたんだ」

「…………ま、まあ、たまに突拍子もないことを言うが、我々も信頼できる人だと思っている」

 淳三郎も苦笑い。

「千年前の学校に通ってたって、豊浦は何歳なんだ?」

 少し付き合ってみようと、シャーリーは口をはさんでみる、豊浦は指折り数えて「千三百、くらいかな」

「…………ああ、確かにそれなら千年前の学校にも通えるな」

 もういいや、とシャーリーは放り投げた。一応淳三郎を見るが、

「一部を除き、信頼できる人だと思っている」

 少し苦しそうな言葉を聞いて、皆聞き流しているのかと納得。

 淳三郎は姿勢を正す。救援に来てくれた礼は終わり、これからは軍人としての話だ。雰囲気の切り替わりにミーナも表情を引き締める。

「ミーナ中佐。呉や佐世保など、国内の残った海軍基地で軍船の手配が出来た。

 坂本少佐の呼びかけで各地のウィッチたちもそれに同道する。到着は、準備も含めて三日後の予定だ。……ただ、やはりウィッチといっても、その、皆さんと比較すれば未熟者が多いが」

 それはわかっている。ミーナも頷く。それを確認し、

「ミーナ中佐、出現したネウロイ、通称、鉄蛇の撃滅を任せたい。

 そのために、全ウィッチ、および全軍船、ひいては扶桑皇国軍の指揮を任せる」

「へっ?」

「おや? 一国の軍権を預けるなんて、ずいぶん大きく出たね」

 つまり、そういう事。中佐、それも、他国の軍人に預けていいものではない。

 けど、

「我々はネウロイに対してあまりにも無知で、無力だ。

 たとえそれが他国の軍人であっても、中佐であっても、今までネウロイと戦い続けてきた彼女に指揮を任せるのが一番確実だろう」

 軽く言うが、ミーナにはそれがとんでもない決断だとわかっている。

 言葉に詰まるミーナに、のし、と背中にのしかかる誰か。

「すっごいじゃん、ミーナ。何階級特進? 中佐から大将? 五階級特進なんて初めて聞いたよ。私」

「た、確かに聞いたことないわね」

「なに、君たちがもっとも戦いやすいように、確実に勝利し無事に戻ってこれるように、それを考えて使ってくれればいい」

「わかり、……ました。扶桑皇国、軍権を一時預かります。

 代わりに鉄蛇は必ず打倒します」

「うむ、任せた」

「さて、それじゃあ方針の確認ね。……と、それなら、まずは豊浦さんの護衛を任せようかしら。

 扶桑皇国の海軍を護衛につけて、豊浦さんは封印の制御。鉄蛇を一体ずつ解放し、私たちで交戦、撃破。それを八回ね。

 鉄蛇の詳細もわからないし、また変更はあるかもしれないけど、これを大まかな方針としましょう」

「はいっ」

「杉田大佐は近くの港に一度軍船などの停泊をお願いします。

 場合によっては長期戦となるでしょう。補給路の確保なども密にお願いします」

「了解した。それで、君たちの拠点だが?」

「はえ? 芳佳の家じゃないの?」

「さ、さすがに狭い、かな」

 診療所のベッドも使えばある程度の人数は寝泊まり出来るが、さすがに十人以上宿泊できる場所はない。

 それと、

「宮藤さんの通っていた学校だが、一時我々の駐屯地とさせてもらっている。

 そこはこちらで使わせてほしい」

「確か、空き家はあったはずだし、そこでいいんじゃないかな?」

「おお、扶桑皇国の家だーっ!」

「畳ある畳? ごろごろしたなー」

「ハルトマンっ、作戦行動中だっ」

「えー? 大丈夫じゃない?

 だって、ネウロイは、……ええと、鉄蛇だっけ? 鉄蛇は動けないんだし、海軍の合流待ちでしょ?」

 エーリカは指折り「到着まで三日、補給路の確保やらなんやかんやで一日、ほら、四日は暇だよー」

「うぬぬ、だ、だが、それなら鉄蛇の情報収集を「封印には近寄らないで欲しいな。下手な干渉をされて壊れても困るから」では、せめて「目撃情報などはすでにまとめてある」なら、それをもとに会議だっ」

「四日間続く会議なんて、八割以上は無駄だと思うぞ」

 シャーリーは真面目な表情で告げる。反論しようとするが、間違いなく無駄だろう。言葉を飲み込む。

「じゃあ、山っ、山行きたいっ!」

「お、いいなっ、散策楽しそうだなーっ」

「あの、私、この国のお料理、もっと勉強したいです。

 芳佳ちゃん、お願いしていい?」

「うんっ、お母さんもお祖母ちゃんもお料理すっごく上手だよ」

「わ、やったっ」

「サーニャ、私たちはどうする?」

「うん、散歩したい」

「うう、こんな山に囲まれた場所。何が出るかわかったものではありませんわ」

「この前蛇とか熊はいたね」

「わ、わたくし、この魔境を下りたいですわ」

「私の故郷を魔境とか言わないでくださいっ」

「いや、訓練を」

 おずおずと言葉をはさむトゥルーデ。豊浦は頷いて、

「それなら、山岳強歩なんてどうだい?」

「う、む。そうだな。確かに訓練にはもってこいだ。

 よし、ハルトマン。わかったな?」

「私は山より畳がいい」

「ハルトマン君にはあとで炬燵を紹介しよう」

「こたつ? 何それ?」

「あ、炬燵ならうちにもありますよ。

 お夕飯の時に出しますね」

「ふーん? なんかよくわからんけど楽しみにしてるよ」

「ま、……まあ、時間もあるしちょっと外を見てみましょうか。

 それに、寝泊まりする空き家も見ておきたいわね」

 ミーナの言葉に頷く。

「それじゃあ、芳佳君は炬燵と、お夕飯の準備だね」

「はい。あ、豊浦さんは?」

「みんなの案内をしようかな。淳三郎さんもやる事があるだろうしね」

「う、む」

 頷く。この非常事態。大佐としてやるべきことはたくさんある。

 何より、美緒や扶桑皇国各地の海軍の仲間に《STRIKE WITCHES》合流の報を届けたい。

「あ、芳佳ちゃん。大変なら私もお手伝いするよ」

「うー、ん、……うん、お願いしていい?」

 母と祖母も戻ってくる。けど、十人近い人数の夕食作りだ。リーネが手伝ってくれるなら心強い。

「それじゃあ、リーネ君はあとで誰かに案内してもらおうか。

 他のみんなは行こうね」

「芳佳の村、探検探検っ」

「いや、それよりも宮藤の部屋に変なものがないか確認を、だな」

「って、何もありませんっ!」

 難しい表情で告げるトゥルーデ。は、耳を引っ張られた。

「いだっ、な、なにをするミーナっ」

「だから、何しに来たのよ貴女はっ?」

 トゥルーデが引っ張り出されて、ウィッチたちは宮藤診療所を後にした。

 

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