超融合! 次元を越えたベジータ 作:無敵のカイロ・レン(シス見習い)
世界は平和になんかならなくて、一つの戦いが終わった後にはそれ以上の戦いの日々が続いていく。
悪の根は絶えず、人が信じる神さえも世界を裏切った。
こんな世界では真面目な者ほど……正しい心を持った者ほど苦しんでしまう。
世界がこんな形である限り、誰も救われはしないのだ。
──孫悟飯や、散っていった仲間達のように。
だから、こんな世界は間違っていると思った。
だから、もう終わらせなくてはいけないと思ったのだ。
これ以上、悲しみを広げない為にも……。
──たとえ恩人達や、尊敬する父親を敵に回してでも。
次元の壁を隔てた向こう側の世界だと言うのに、彼らの戦いから発散されていく圧倒的な力の奔流は、水晶玉越しに見ているGT次元の者達にも伝わっていた。
弛まぬ研鑽の果てに、強さの極限を極めた超サイヤ人4ベジータ。
憎悪の果てに無限を超える力を創造した、超サイヤ人0のメタフィクス。
二人の拳がぶつかり合う度に、まるでありとあらゆる時空の宇宙が悲鳴を上げているようだった。
「すごい戦い……」
「なんて奴らだ……! ここからでも力を感じるぐらいだぜ……」
二人とも、五年前の孫悟空をも遥かに超えたレベルで死闘を繰り広げている。
自分達では同じ土俵に上がることも考えられないほどに、文字通り次元の違う戦闘であった。
だが、そんな彼らの攻防に感激している余裕など一同には無い。
少しずつ、ベジータが押され始めているのだ。
「今のベジータさんでも、勝てない相手なのか!」
自分達とは似て非なる体系の変身である、超サイヤ人0の恐るべき力に一同は戦慄する。
歯軋りしてベジータの戦いを見守る悟飯達は、自分達がこの戦いの役に立てないことを悔しく思う。
尤も、仮に一同が駆けつけたところでベジータはこちらの救援を拒むであろう。そんな様子をありありと脳裏に浮かべながら、ふとトランクスが水晶玉に映っている彼の表情の変化に気付いた。
「父さんが……笑っている?」
「え?」
戦況が劣勢に傾いた中で、戦闘民族の王は微かに笑っていた。
気が狂ったとしか思えない笑みである。それはまるで、自分が追い詰められたこのピンチを楽しんでいるかのようだった。
「はああああっ!!」
「でああああっ!!」
超サイヤ人4のベジータと超サイヤ人0のメタフィクスの戦闘は加速していく。
拳と拳のぶつかり合い。力と力のせめぎ合い。
高速で乱舞していく二人のオーラは荒々しくありつつも、どこか優雅ですらある。
殴打の応酬を繰り広げる二人の死闘は苛烈さを増していき、凄まじい地響きが瞬く間に名も無き惑星の寿命を削っていく。
光が弾けたその瞬間、ボクシングのクロスカウンターよろしく互いの拳を顔面に打ち付け合った二人は体勢を整える為、互いに距離を取る。
邪神メタフィクスが、これまでのベジータの戦いを賞賛する。
「驚きました……この姿になった私と、よもやここまで渡り合えるとは思いませんでしたよ。貴方や孫悟空がこの世界に居なかったことが、この次元最大の不幸でした」
「わかりきったことを言いやがって……反吐が出るぜ」
「そう……この次元に英雄は居なかった。真に悪を打ち倒す存在は……希望など、始めから無かったのです」
冷淡さを保っていたメタフィクスの表情に、様々な感情の色が浮かび上がっていく。
それと同調するように、彼の身体から奔流している虹色のオーラがさらに光の勢いを強めていった。
「ここにあったのは絶望だけ……正しい者ほど苦しみ、決して救われぬ未来でした。そんな世界に一体、どんな幸福があるというのか……」
濁り切った眼光を細め、メタフィクスがベジータを睨む。
威圧的な鋭い眼光には、自らの神を切り捨てた者にしか浮かべることの出来ない覚悟の色があった。
「かああっ!」
ベジータが攻勢に打って出る。
黄金色のオーラを発散し、防御さえ捨てて放った渾身の拳は、はっきりとこの戦いに決定打を与える意図を持って放たれたものだ。
光の速さを超えて繰り出したベジータの一撃はメタフィクスに避ける隙すら与えず、その頬を──
──捉えられなかった。
ベジータの拳が彼の頬へ到達するよりも速く、メタフィクスの左手がその拳を掴み取り、受け止めたのだ。
「まだだ……!」
想定外な事態にも平静を装い、ベジータが再度攻撃を繰り出す。
しかし、彼の横顔には微量ながらも冷たい汗が流れていた。
右手を掴まれたベジータは密着した体勢のまま、左足を振り上げた蹴りを彼の首筋へと叩き込んでいく。
そんなメタフィクスの首を捉える筈の一撃は、今度は彼の右手によって容易く受け止められた。
「ビッグバン……アターック!」
防御に両手を塞がれる格好になったメタフィクスに対してベジータが左手のひらをかざし、至近距離からビッグバンアタックを放つ。
豪快に放たれた強烈な気弾に対して、メタフィクスは上体を後ろに反らしてかわしながら、その両足をベジータへ繰り出した。
アクロバティックな体勢から放たれた蹴りによってベジータの身体は瞬く間に吹っ飛ばされていき、彼方に位置する岩場へと轟音を上げて沈んでいった。
「……もう、やめましょう。私は、貴方を絶望させたくない」
蹴り飛ばしたベジータの姿を眺めながら、虹色のオーラを放つメタフィクスが虚しそうにそう言い放つ。
戦闘開始から経過した時間によって、二人の間にある力の差は明らかになり始めていた。
今しがた受けた一撃は重く、ベジータの視界はぼやけ、徐々に闇の色が滲んできた。
超サイヤ人0という敵の変身は、どうやらこの超サイヤ人4をもってしても届かない領域にあるようだ。
自分を超えたのが未来の息子だと言うのなら、案外そう悪い話ではないのかもしれない。かつての自分では絶対に思わなかったであろう感情が脳裏を掠めたところで、そんな馬鹿な話はあるかとベジータはその意識を覚醒させた。
どうやら想像していた以上に、邪神メタフィクスの執念──真の力は凄まじいものだったらしい。
しかしベジータの視線は虚ろ気にこちらを見下ろしている白色の超戦士を見つめていながらも、別の男の姿を映していた。
(カカロット……)
魔人ブウとの戦いでナンバーワンだと認めるまで、長年倒すことを目標に背中を追い続けていた地球育ちのサイヤ人──
ベジータが当時彼をナンバーワンだと認めた根拠は、自分を超えるその戦闘力に対してではない。
単純な力で劣る戦いなど、幾らでもあった。
常に劣勢を強いられる状況も珍しくはなかった。
しかしそれでも、最後には必ず悪を砕き、彼はその戦いを勝利へと導いていた。
そう言った「絶対に負けない為に極限を極め続ける姿」こそが、ベジータに彼という男の「強さ」を認めさせていったのである。
(こんな状況だろうと……貴様はいつも笑っていやがったな……戦える人間が自分だけになっても、貴様は何一つ絶望などしなかった)
超サイヤ人4すらも上回る変身を見せ、単純な戦闘力では今の自分さえも凌駕する邪神メタフィクス。
もしもベジータの知る孫悟空が彼と対峙していたとしても──その心は決して折れなかった筈だ。
そしてどんな危機的な状況に陥ったとしても、彼ならば必ず打開してくれるという不思議な信頼感があった。
(……つくづく、ムカつく野郎だぜ)
今のベジータには、若かりし頃ほど悟空に対する対抗心は無い。
魔人ブウとの戦い以来のベジータは彼が何をしようと自分は自分だという確固たる自己を持っており、純粋に己の限界を知る為に戦うようにあり方を改めていたのだ。
ただそんなベジータにも、この時ばかりはかつてと同じ感情を抱いていた。
それは
「はあああっっ!!」
黄金色の気を解放しながら、ベジータは立ち上がる。
「貴様に教えてやる……俺
この超サイヤ人4は、自分だけの力ではない。
地球で平穏を知ったベジータが、家族と共に作った力なのだ。
サイヤ人の王子としての誇りとその絆がある限り、ベジータは絶望などしなかった。
地を蹴り、再びメタフィクスとぶつかり合う。
ベジータの力が高まる。
呼応するようにメタフィクスが己の力を引き上げれば、超サイヤ人4の力もまたさらに膨れ上がっていった。
劣勢の中で尚も衰えない闘志とエネルギーを前に、彼の拳から何発かの打撃を受け、メタフィクスはその表情を歪めた。
「ここまでやるとは……! しかし、私にも負けられない理由がある。貴方とは、背負っているものが違うのだ!」
「くっ……! でああああっ!!」
メタフィクスがベジータの拳を左手で受け止め、右手で殴り返す。
吹っ飛ばされたベジータは地面へと墜落していき、追い掛けたメタフィクスが猛スピードで降下する勢いのまま両足で踏み潰そうとするが、間一髪のところでベジータが立ち上がり攻撃を回避した。
「私の居た世界も! トランクスの居た世界も消し去られた! 頂点に立つ絶対者に希望は蹂躙され、何もかもが消え失せたのだ!」
メタフィクスの拳を一発は防ぐが、二発目を防ぎきれなかったベジータは右腕のガードの上から吹き飛ばされ、荒れ地の岩盤へと叩き付けられていく。
そんな彼の姿を睨みながら、メタフィクスが叫んだ。
「この次元はっ……! この世界はあまりにも狂っている! 世界を導く筈の神はただ世界を壊すことしか出来ず、人並みの情緒すら持ち合わせていない! 彼らにとって今を生きる人々の命など、機嫌一つで握り潰されていく宿命だ! 私はその世界を終わらせる為に……新たな世界を始める為に生まれてきた!」
ベジータに向かって突き出すように両手を伸ばし、右手の甲を左手のひらで押さえるように構える。
そしてその両手に集中されたおぞましい「気」を、メタフィクスが一気に解放した。
「魔閃光ッ!!」
トランクスの師である、孫悟飯からの譲り技。
迸り出た閃光に込められたその威力は悟空のかめはめ波の比ではなく、射線上の全てが跡形も残らず消滅していった。
だが、ベジータの「気」はまだ残っている。
迫り来る魔閃光に対して、彼は咄嗟に跳び上がり上空へ逃れたのだ。
そんな彼の姿を見上げながら、メタフィクスは悲痛の表情で尚も叫んだ。
「故に私はこの時間、この世界から神を滅ぼした! 命を大切に扱えない者など、人の上に立つ資格も! 神を名乗る資格さえも、ありはしない……! そんな神擬き共に未来を委ねていた世界に平和は訪れない! 全ての存在が間違っていたのだ!」
メタフィクスが飛翔し、一瞬にしてベジータの目の前へと移動する。
再び攻撃を仕掛けてくるかとベジータが身構えるが、彼が取った行動はその拳を向けることではなく、ベジータに対してそっと手を差し伸ばすことだった。
「ベジータ、貴方も私と来なさい!」
「……なに?」
戦いを避け、自らの元へと招こうとする──勧誘の発言である。
怪訝に表情を歪めるベジータに向かって、メタフィクスが言った。
「アルファボールで全ての時間を巻き戻した暁には、過去未来あらゆる時間軸から神を抹消する必要がある。私と共に神と戦い、彼らの存在を消し去るのです!」
自分とお前は、敵ではないのだと。
それは決して命乞いなどではない。ベジータが押されている中、このまま戦えば軍配が上がるのはメタフィクスの方だ。
彼は本心である。
ここまで戦った果てに、彼は本心からベジータを共に来るように誘っているのである。
傲慢なまでの物言いに、ベジータは沈黙する。
そんな彼を説得するように、メタフィクスは語りかけた。
「貴方にも叶えたい願いがあるのでしょう? アルファボールの力があれば、貴方を
「……こっちの事情は、お見通しってことか」
「貴方には私を倒す理由はあっても、この世界を守る理由は無い筈だ! 貴方が望むなら、全てが終わった後で私を滅ぼしてもいい!」
僅かに声を震わせながら、彼は手を差し伸ばしながら言い放つ。
その苦しそうな声音と表情は、間違いなく彼の中に居るベジータの息子のものであった。
「だから、私と来なさい。私は貴方を……父さんを殺したくない……!」
自分の勝利を微塵も疑っていないからこそ、彼はそう言ったのであろう。
父親をその手に掛けたくないと。
──これ以上、父親と殺し合いたくないと。
そのサイヤ人らしからぬ優しさと甘さは彼の長所であり、また短所でもある。
ベジータもまた、気付いてはいた。
メタフィクス──彼の中に居るトランクスの魂は、決してこの戦いを望んではいないことに。
彼の言う通り、ベジータには自分達とは全く別の次元であるこの世界を、我が身を削ってでも守る理由など無い。彼の言う孫悟空に会わせてやるという言葉も今のベジータにとっては魅力的な話であり、この次元のベジータの記憶を覗いた際に見たザマスのような神々を各時間軸から倒し回るというのもまた、退屈嫌いな戦闘民族としては何ともそそられる話ではある。
だが、だからこそ、ベジータの返答は決まっていた。
──ファイナルシャインアタック!
言葉もなく、ベジータは手を差し伸べてきたメタフィクスに向かって渾身の必殺技を浴びせた。
内なるエネルギーを全て注ぎ込んで放った一撃を、両腕を交差させて凌ぎ切ってみせたメタフィクスであるが、その返答は彼にとって意外なものだったのか、予想していたことだったのかは窺い知れない。
だが、彼は生き残った。
不意打ち気味とは言え避けることも出来た筈の一撃を正面から受けた上で、彼はその光に耐えてみせたのだ。
「……っ、そうまでして、私を殺したいのですか……!」
和平の手を気功波で返したベジータの対応に、メタフィクスが表情を歪める。
その態度は、彼の中に居る名も無き界王神の魂の影響なのであろう。その言葉も行動も、ベジータの方からしてみれば不愉快極まりないものだった。
「貴様がトランクスなら、言われなくてもわかる筈だ。この俺が、そんな言葉に従う筈が無いとな」
身に纏う黄金色のオーラがプツリと途切れ、ベジータの姿が超サイヤ人4の状態から通常の姿へと戻っていく。
今のファイナルシャインアタックの一撃で、とうとう彼の内包するサイヤパワーが尽きたのである。
これで戦いは、一気に不利になったと言える。
しかしそれでも尚、ベジータの闘志は揺るがなかった。
「俺はベジータだ。サイヤ人の王子として誰よりも誇り高い……生憎、戦いの大好きな「地球人」なんでな。貴様の指図は受けん」
誰が邪神なんかの言いなりになるかと、はっきりとそう宣言し、ベジータは口元を緩める。
戦闘民族としての闘争心や孫悟空を追い求める野望よりも、今の彼には成し遂げなければならないことがあったのだ。
それは自らの息子を救い、メタフィクスという哀れな邪神を倒すことだ。
「……ここまで、ですね。トランクスの父親よ」
力強く言い切ってみせたベジータの強い意志を悟り、メタフィクスの表情が冷酷に染まる。
ほんの僅かに見せた父親への情を捨て、彼は「邪神」へと戻ったのだ。
そんな彼は一瞬でベジータの背後に回って彼を地面へと叩き落とすと、この次元の父から受け継いだ「ギャリック砲」の構えを取って敵の姿を見下ろした。
「貴方を消して、私は悲願を成し遂げる! 過去を救い、在るべき未来を作ってみせる!」
この星ごと纏めて消し去る為に、メタフィクスが自身の気をさらに肥大化させていく。
そんな彼を前に、超サイヤ人4の変身が切れた今のベジータに成す術は無い。
だが、彼は諦めなかった。
これで終わりではないことを、確信しているからだ。
メタフィクスの中に居るのがこの次元の未来のトランクスだと言うのなら、この次元の自分が何も動かないわけがないことを知っているから。
自分自身の誇り高さは、自分が一番良く知っていたから。
メタフィクスがギャリック砲のエネルギーを両手に集束させようとしたその瞬間──青い光が、名も無き星の全てを包み込んでいったのである。
「なに……!?」
新たに出現した凄まじい強さの「神の気」の存在に、メタフィクスの意識が逸れる。
その場所は、この次元の孫悟空とベジータが居た筈の場所である。この瞬間、そこに誕生した新たな戦士の存在を認めるなり、ベジータは一人呟いた。
「……アイツらも、まだ捨てたもんじゃないな」
あそこに居る彼も「自分」なら、魔人ブウとの戦いが終わった後のベジータなら、既に知っている筈だと思っていた。
そして、それは当たっていたらしい。
──この世には、自分のプライドを守ることよりも、大切なものがあるということを。
それがまさに今、自分自身の家族を救うための戦いだ。その為には気に食わない野郎だろうと関係なく、共に結託して邪神に挑んでいくことが必要だった。
「この力は……?」
超サイヤ人4のベジータに勝るとも劣らない力を秘めた戦士の誕生に、メタフィクスは眉間を歪める。
そんな彼の視線を一身に受けながら、この次元における最強の融合戦士が答えた。
「俺は悟空でもベジータでもない。俺は──貴様を倒す者だ!」
二人の男の声が混じり合った声で高らかにそう宣言した男の名は、ゴジータ。
孫悟空とベジータがフュージョンしたことによって誕生した、最強の超戦士である。
その彼は既に超サイヤ人ブルーの姿へと変身しており、慢心一つ無い眼光でメタフィクスを見据えていた。
「フュージョン、ですか……まさか、この次元の二人がゴジータになるとは……そうまでしても、私を倒したいのですね」
その姿を分析しながら、メタフィクスが呟く。
融合した二人が抱いていた並々ならぬ思いをゴジータの姿から感じたメタフィクスの声には、淡々としたものではない確かな感情を感じた。
そしてその感情を──彼は再び爆発させる。
「今更……今更遅いのだ! そんなものはっ!!」
虹色のオーラを発散し、彼は叫ぶ。
群れから居場所を失った獣のように、彼は思いの丈を込めて叫んだ。
「貴方がたがそうやって立ち向かわなければならなかったのは、全王だった筈だ!! 未来を踏みにじり、命を弄び! ザマスのような悪神共をのさばらせた! この世界の神々が人の命を軽視するのも、奴が全ての元凶だ! 貴方がたはたとえ破壊神を許そうとも、奴だけは許してはならなかった……!
奴の存在を肯定した孫悟空もベジータも、私を倒す英雄にはなり得ない! でなければ、私が生まれる必要など始めからなかったのだ!!」
憎しみ──まるでその心が悲鳴を上げているかのように、狂乱した邪神の叫びは内なる気の上昇と共に大地を深く抉っていく。
そんな彼の姿を青い双眸で見据えながら、ゴジータが言う。
「……お前に三つ、言いたいことがある」
戦闘の構えを取らずひび割れた大地に佇んだまま、彼は感情の読み取れない声で続ける。
「一つ──悪かったな。ザマスの野郎は、始めから全力で挑まなかった俺達が甘かったとしか言いようがない」
両手に握り拳を作り、静かに目を閉じる。
「二つ──全王は、俺がぶっ倒す。……この戦いが終わった後でな」
その目を大きく見開き、青色のオーラを膨張させながら構えを取る。
「三つ──俺はお前に勝つ。お前の言い分はよくわかったが、俺達にも失いたくないものはあるんだ」
そうして彼は、宣誓のような三つの言葉の最後を締める。
思いと思いのぶつかり合い。
それは既に、聖戦と言っても良かった。
その聖戦に挑むゴジータが、地を踏み締めて赤いオーラを放出する。
「無理とわかっていても、やらなきゃならないことはある。お前の言う他の「次元」の孫悟空のように、悪人には最後まで足掻かせてもらうぞ……界王拳!!」
超サイヤ人ブルーという大きな力による未知のフュージョンに加え、界王拳という技が三十分という本来の制限時間からどこまで削るのかは未知数だ。
──決着は、一瞬でつける。
力を一気に限界まで引き出したブルーゴジータが、自らの可能性を見せつけるように超サイヤ人0へと挑んでいった。