夢を見ていた。
そこは薄汚い牢屋の中だった。その牢屋の主は、鎖の服を纏っていると形容しても間違いでは無いほどの有り様であった。見るからに急いで取り付けましたと言わんばかりのお粗末な鎖が牢屋の至るところから伸び、顔以外を覆っている。そして、俯いているせいでその顔も見えないが、何故か僕には直ぐにジャンヌで有ることが解った。
僕がそんなジャンヌを見ていると、カツンという足音が聞こえた。その足音はどんどんこの牢屋に近付いて、牢屋の扉の前で音が止まった。それこら少しの間が空き、その後牢屋の扉が開かれた。
護衛の衛兵を引き連れて扉から入ってきたのは小太りな30代前後の男だった。
『無様な姿だな、オルレアンの赤い悪魔よ。』
彼女からの反応は無かった。
『貴様の処刑は1週間後に決まったぞ』
彼女は動かなかった。
『だが、取引をしないか?取引に応じればここから出してやろう。』
初めて、ジャンヌがピクリと反応し、それにより鎖がジャラリと音を立てた。
そしてその反応に手応えを感じたのか、男は笑みを浮かべながら更に言葉を続けた。
『私の物となれオルレアンの赤い悪魔よ。そうすればお前は処刑されることもなく、ここから出られるぞ。』
『………それは……本当か?あ、貴方の元につけば………命は…助かるのか?』
その声は、普段のジャンヌからは考えられないほど弱々しい声だった。
そして、男は下卑た笑みを浮かべたのだ。
「駄目だ!」と叫びたかった。男の顔を見れば、この下衆が何を考えているか等明白であった。そして何より、この男は決して"自由"にする約束はしなかった。
『あぁ、約束するとも!君の"命"を助けてやろう。』
ジャンヌが、顔を上げた
『だ が 断 る。』
『おぉそうかそうか受け入れて………なに?』
『この俺の最も好きな事の1つは自分の立場の方が上だと思ってる奴に対してNOと断ってやる事だ!』
あ、いつものジャンヌだったわ(白目)。
『この、この小娘がッ!!』
激昂した男はジャンヌへと近付いていった。しかし、3歩進んだ所で、男の歩みはピタリと止まり、激昂により真っ赤だった顔がみるみる青ざめ、最後には泡を吹いて気絶した。その間ジャンヌは
『おい豚ども。』
『『はいジャンヌ様!』』
『そのゴミ片付けておけ。それと起きたらこう伝えろ。
まずはその汚い腹を†悔い改めて†、最低1000万円用意してから来れば議論してやろう。
ってな』
『『畏まりましたジャンヌ様!!』』
豚呼ばわりに対して恍惚とした表情をする衛兵を見て大体察した。
そんな光景を見ていたら段々意識が薄れてきた。恐らくそろそろ目が覚めるのだろう。
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「…………ジャンヌって生前からあんなノリなのか……てか何か体に違和………感……が……はい?」
目が覚めたら女になっていた。もう一度言う、女になっていた。
…………………
「何でだぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
後々になってから思い返せば、この時きっと大声で叫んだのがいけなかったのだろう。
「何だぁ!敵襲か!!清姫か!……………は?」
「どうしました先輩!!……………え?」
「大丈夫ですかマスター!!…………………美しい」
朝から胃が痛くなってきました。
祝!通算UA1万越え!
早くない?(震え声)