ワイバーンステーキ
立香side
清み渡る青空、見渡す限りの平原、時々パチパチと音を立てる焚き火、そして目の前で丸焼きにされてるワイバーン。今僕達は、フランスの平原に居た。
数十分前、僕達はフランスにレイシフトして、この何も無い平原に降り立った。最初に映ったその光景に、冬木の様な状況をイメージしていた僕はあっけにとられていた。それこそ、本当に特異点なのか疑った程である。しかしその疑惑は直ぐに晴れる事になった。
「グワァァォォォ!!」
空からこの時代に居るはずの無い5匹のワイバーンが襲ってきたのだ。まぁ5秒でジャンヌとスカサハさんが槍投げで始末したが。
何故かワイバーンを食べてみる流れになり、スカサハさんのルーンでこんがり焼かれたワイバーンステーキが僕に出された。
しっかりとした食感と、噛めば噛む程肉汁とともに旨味が溢れ出す。僕はワイバーンステーキの虜になっていた。
「美味しいですね先輩。」
「ふむ、美味ですね。」
「まいうーwwwwでござるwwww」
「いちいち草生やさないと喋れんのか猿ゥ!
『確かに美味しいけれどこれワイバーンなのよね……竜種よね?……大丈夫なのかしら』」
「ちと焼きすぎたか?まぁそれでも美味ではあるか。」
どうやら皆好評の様である。
「おかわりなら後4つ有るぞ。焼くのに時間はかかるが」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
遠くの方で声が聞こえた。そろも多くの人間が同時に声を発した時の叫び声だ。名残惜しいが、ワイバーンステーキのおかわりは出来ないみたいだ。
その声は、後ろにある街を守る兵士と数十のワイバーンが戦っている声だった。
すぐさま助けようと駆けつけようとしたとき、一つの影が躍り出た。
「皆さん!ここは私が抑えます!」
その姿は、その声は僕達にとって馴染み深いものだった。
「で、出たぞ、り、竜の魔女だぁぁぁぉぁ!!」
何故か助けている筈の兵士達に竜の魔女と言われ恐れられてるのは、間違いなく
ジャンヌ・ダルクであった。
勿論、僕達だってただ見てるだけなんて事はしない。すぐさま僕達も参戦すれば、2分程で数十は居たワイバーンは全て地に伏した。
そして僕達はこれで終ったと思っていたが
「竜の魔女め、何故二人になっていて、ど、どんなつもりかは知らないが、こ、この街は俺達が守る!」
そう言って、震える手で剣や槍を握りしめた兵士達が、二人のジャンヌに刃を向けていたのだ。
「おうおう、お前らを助けてやった奴に対して刃を向けるとはいい度胸してるじゃねぇか。あぁん!?」
「助けて貰った恩人に対する態度ではありませんね。少しお説教が必要でしょうか。」
それに対して黒髭とランスロットが怒りを顕にしていたが、
それから僕達は
「すみません皆さん、私のせいで貴方達まで巻き込んでしまって」
「気にしないで。それにジャンヌさんのせいじゃ無いよ」
「?なぜ私の真名を知っているのですか?」
あっ、そう言えばこちらのジャンヌは初対面だった。
この章のタイトルで大体お察し