オルレアンの覇王   作:球磨川べネット

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前準備って大事だよね(ゲス顔)


誰だお前!?

立香side

 現地に居たジャンヌをついつい、いつもの感覚でジャンヌと呼んでしまい、何故名前を知っているのか聞かれてしまった。

 

 でも良く考えたら別に隠す必要の無い事だし正直に喋ろうとした時

 

「どうも初めまして、私は彼等に召喚されたルーラー(・・・・)ジャンヌ・ダルクです。」

「「「「!?」」」」

 

 うん?可笑しいな、僕の後ろからいつも聞いてる声で、もし、もしもその声の主が僕の考えてる通りなら絶対にしないような物腰柔らかな言葉が聞こえた。

 

「あ、すみませんてっきり私のそっくりさんかと思ってました。初めまして?自分に挨拶するのは不思議な気分ですね。」

「そうですね、私もそうでした。」

 

 横から見てる僕の視覚的情報だけを見れば双子のように同じ顔した美女が花の様に笑いあっている美しい光景だ。

 だからこそ信じられない。なんせ片方はあの(・・)ジャンヌだぞ!?口を開けば男言葉から放たれる煽り、暴言、ネタ言語のオンパレードだぞ!?

 きっと今皆の心は一つだろう

 

 誰 だ お 前!?

 

「私はこの特異点の記憶を持って召喚されました。だから記憶に基づいて私も思いきって髪を切ったんですよ。」

「そうだったんですか。では私も髪を切る事になるんですね。」

「そうなりますね。あ、すみませんマスター、マスター達の紹介がまだでしたね。すみません、ついお喋りが過ぎてしまって。」

 

 くるりとこちらのジャンヌが振り向き、現地のジャンヌに背を向けた。

 その瞬間さっきまでの花の様な笑顔が消え、横顔でも、心の中で「計画通り!!」と言わんとしている事が解る程のゲスい顔をして、口チャックしてろとジェスチャーしてきた。あ、いつものジャンヌだった。あれ?なんかデジャヴ。

 とりあえず、自己紹介を振られたからにはしないと。

 

「えと、初めまして、あのジャンヌのマスターをやってる藤丸立香です。」

「初めましてデミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトです。」

「初めまして、美しいお嬢さん、ランスロットと申します以後お見知りお「ランスロットさん?」はい、何でも無いです。」

「スカサハだ。」

「デュフフフフフフ、拙者の名はエドワード・ティーチでござるよ」

「皆さんは私の頼もしい仲間です。だから貴方の仲間でも有ります。何か困ったことが有れば私達が助けましょう!」

 

 完全にジャンヌが何か企んでいた。既に幸先不安で仕方ない。

 はたして僕の胃はこの特異点を乗り切れるのだろうか......

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 新たにジャンヌさんを仲間に加えて、僕達は先程行った街とは別の街に向かっていた。

余談だが、こちらのジャンヌの提案より、こちらのジャンヌを赤ジャンヌ、現地のジャンヌをジャンヌさんと呼ぶことにした。

 ジャンヌさんの話では、今向かっている街はこの森を抜けてすぐの所に有るそうだ。

 しかし、僕達は楽観視していた様だ。先程の街が無事だったからといって、近くにある街が無事とは限らない。

 森を抜ける前から、焦げ臭い臭いが漂ってきた。直ぐに僕達は駆け出したが、森を抜けた先に有ったのはワイバーンに襲われ、蹂躙されている街並みだった。

 

 

 

 

 僕達が全てのワイバーンを倒したのは、手遅れになってからだった。

 冬木には死体が無かった。だからこそ、この街は冬木より悲惨に見えた。

 初めて見る人の焼死体。ワイバーンに膓を食い千切られた人の死体が至る所に転がっている地獄だった。

 そして、追い討ちをかける様に、ワイバーンとは比にならない巨大な竜に乗った黒いジャンヌがやって来たのだ。

 

 

 今ここに、3人のジャンヌが揃った




まだ人の死に慣れていないぐだ男。
多分そのうちスカサハとジャンヌのスパルタ修行で克服する。

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