オルレアンの覇王   作:球磨川べネット

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味方が強ければ敵も強くなるなりするのは当たり前だよなぁ!?


Fate/stay night

 空より降ってきたヒロインXに対しカルデア陣営はスカサハと赤ジャンヌによる槍投げ―スカサハにいたっては真名開放すらしている―の対空攻撃は―――――――海より飛来した矢の爆発により防がれた。

 

「ほう……」

「なっ!?」

 

 この矢に対して最も驚いたのは赤ジャンヌであった。

 何故ならば赤ジャンヌの目は完璧に捉えていた。そう、あの螺旋状の剣を無理矢理に矢にしたような(・・・・・・・・・・・・・・・・・)物は、そしてあの爆発、あの攻撃方法は間違いなくエミヤシロウの仕業だと。

 そして冬木にてエミヤシロウと戦った事の有る立香とランスロットとマシュも同じ考えに至っていた。

 そしてこの時点で敵がヒロインXだけでは無いことが発覚し、即座に彼等のマスターたる立香は指示を出した。

 

「海だ!海の方に不自然な点がある!きっとあれはエミヤの乗ってる船だ!!赤ジャンヌ!宝具を展開しろ!」

 

 実際の所マスターのその指示は正しく、約2km程の沿岸にてエミヤ()が乗っている船があったのだ。

 そして赤ジャンヌに対する宝具展開指示も適切であった。何せ降ってきたのはヒロインXだけでは無かったのだ。

 

「それ、師匠にお返しだ!『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)!!』」

 

 ヒロインXの影に隠れる様にして一緒に降下していたのはかつては冬木で共に戦った、此度ではランサーで召喚されたクーフーリンだったのだ。

 

「皆さん私の後ろに!『仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!!」

「『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!!」

 

 それを受け止めるはカルデアの誇るメイン盾のマシュと白ジャンヌの宝具。二人の宝具により自慢のゲイ・ボルクあっさりと止められたのを見たクーフーリンは、非常に獰猛な笑みを見せた。

 そう、既に二人は表情が伺える程に近付いていた。

 

「へぇやるじゃねぇか。師匠まで居ることだし、久々に面白そうな戦いになりそうだ!!」

「あの四人、特に赤いの二人は私の獲物です、手出ししたらぶち殺しますよ?」

「んな野暮な事はしねぇさ。つぅかそれは俺よりもよっぽど手出ししそうな奴に言ってくれ」

 

 そんな軽口を叩きつつ地面ギリギリまで落下した二人は地面に衝突する前に、クーフーリンがヒロインXに捕まり、ヒロインXの魔力放出と口から風遁忍術みたいな技をつかい、逆噴射着地の要領で軟着陸に成功した。

 

「ガリアの時のリベンジマッチです!今度こそぶち殺してやる!」

 

 意気込んだヒロインXは早々に多重分身を使用、それに対しクーフーリンも深紅の槍を構え交戦体勢に移った。

 そしてそれらの情報から赤ジャンヌは最悪の想定に行き着いた。

 

(アルトリアにクーフーリンにエミヤシロウだと!?まるっきりstay night組じゃねぇか!!まて、まさか、他のstay night組も!?ヤバイ!もし、もしアイツ(・・・)まで居たら今の戦力じゃ勝ち目が………ッ!?)

 

 そして、赤ジャンヌの想定した最悪が、具現化した。

 

「ふむ、ペガサスの乗り心地というのも存外悪くはない。」

「まぁ確かに速いでしょうけど私としては自分で飛んだ方が楽ね」

「なら今すぐ自分で飛んでください。こっちは既に船を引っ張って、上空まで二人を乗せ、船まで戻って貴方達を乗せてきたんです。正直もう限界です」

 

 沖の船の方から高速で飛来して来たのは純白のペガサスであった。そしてその背に乗るのはペガサスの主であるメデューサと、NOUMINの身で有りながらTUBAMEを切り、第5次聖杯戦争では剣の技量で騎士王すら上回ったアサシン、佐々木小次郎、そして第5次聖杯戦争にて、サーヴァントの身で有りながら小次郎(サーヴァント)を従えていたキャスターの中でも最上位クラスの強さをもつ神代の魔女、メディアであった。

 

 

 

 

 ヒロインXは間違いなく頭のネジが2.3本とれているが、別にバカではない。彼女はガリアでの戦闘を鑑みて、仲間を増やして再挑戦しようとした。そしてその為にこのローマでの黒幕()に話した所どうやらその黒幕がカルデアの誰かに対して強い恨みを持っていたため、聖杯によって即座にヒロインXを回復させた上にヒロインXの影響か、それなりに面識の有るサーヴァントを次々に呼び、こうしてあっという間に再戦を挑んできたのだ。

 

 

 

 

 

 赤ジャンヌは、勝てないと悟った。この面子が揃っているなら、かの王(・・・)は微妙でも、間違いなくアイツ(・・・)は居ると確信したのだ。

 故に赤ジャンヌは微かな希望を頼ろうとした。

 

「師匠、出し惜しみは無しだ!すぐさま門を!!」

「…………解った。『死溢るる魔境への門(ゲート・オブ・スカイ)』」

 

 その宝具は、カルデアの切り札と言っても過言ではなかった。

死溢るる魔境への門(ゲート・オブ・スカイ)』とは、簡単に言えばあらゆる世界から隔絶されたスカサハの統治する「影の国」へと強制的に拉致する宝具である。この宝具は、スカサハが認めない限り、命ある状態(・・・・・)での「影の国」への入国を拒否する性質があり、つまるところ、例え命のストックが幾つ有ろうが(・・・・・・・・・・・・・)死ぬのだ。

 だからこそ、この宝具の使用は控えるべきであった。いや、タイミングが早かったと言うべきか。

 

 

 

 

 

 その門は、狂戦士にとっては明確に自らを一度に殺し尽くせる脅威であった。故に真っ先に破壊する事にしたのだ。

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 

 死の門に、神代の戦斧が九度、叩き付けられた。

 かの者は、海の中から突然に現れ、その恐るべきステータスによる驚異的な速度にて、妨害の一切を無視して、本来の聖杯戦争ならば、バーサーカー状態なら発動できない筈のその宝具をもって、門を粉砕した。

 絶望の体現者が、その身を現した。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

「逃げろ!!勝てない!俺が時間を稼ぐから黒髭の船に皆乗って速く逃げろ!!『流水制空圏第三』!!」

 

 そこからの赤ジャンヌの判断は早かった。即座に撤退命令を出した。ここに居るのが立香やマシュだけならばきっと嫌だと言い残っただろう。しかし幸いなことにこの場には力量や戦力差を的確に見極める事の出来る者か多数存在しているのだ。

 そしてそれは立香も理解した。きっと抵抗してもスカサハ師匠やランスロット辺りから無理矢理にでも撤退させられると。だからこそ、立香は直ぐに判断を下した。

 

「令呪によって命ず。赤ジャンヌよ、必ず僕達が撤退するまでの5分足止めを続けろ!!重ねて令呪をもって命ず。必ず生き残れ!!」

「……………………………………ありがとう」

 

 その言葉を最後に、彼等は速やかに撤退を始めた。

 当然ヒロインX達は撤退などさせまいと動くが、彼女達の前に、赤ジャンヌと、部下達が立ちはだかった。

 

「令呪まで使われたんだ。        別に、君達を倒してしまっても構わんのだろう?」

「今度こそ姉御を先に逝かせる訳にぁいかねぇ。本気でやるぞテメェら」

『『『『当たり前だ!!』』』』

 

 

 ここに、絶望的な撤退戦の幕が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一方とある姉妹の間でアイコンタクトにて交わされた会話

(あら?何故貴女がいるのかしら?ねぇメデューサ?)

(う、上姉様!?な、なんで上姉が!?)

(へぇ、私が居ることも知らずにこの島に……それも敵として来たのね?ふ~~~ん)

(ち、違うんです!!け、決して上姉様に逆らおうとかそんなのではなく、た、ただ友人……………顔見知りに頼まれたのでちょっとタクシー代わりになってあげてただけなんです!)

(あら、なら貴女の役目は終わったのだし当然私の味方としてあの強そうな筋肉ダルマを倒してくれるのでしょう?)

(え"。いや、あの………その………。)

(あら?私の言うことが聞けないのかしら?メデューサの分際で)

(ヒエッ)

 メデューサは究極の二択を迫られていた。なお実質一択なのだが。




何か皆がstay night組をご所望だったので(ゲス顔)

赤ジャンヌの自分からフラグを建てるスタイル。

本格的な戦いは次回…………出来るだけ頑張る(震え声)

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