オルレアンの覇王   作:球磨川べネット

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後一話間話してダイジェストネロ祭とグダグダ本能寺を一つの章として数話、3章に入る予定です


感想は返信してなくてもちゃんと見てはいます。返信は申し訳ないですが余裕が有るときに一気にしますので……
いつも誤字報告大変ありがとうございます。この前は感想にて61話でヘラクレスが全てヘラスレスになっているという大ガバをしてたのが発覚した駄作者ですがどうかこれからも生暖かい視線でお願いします……。


間話 赤ジャンヌといふもの

立香side

 

 夢を見ていた。

 夢な筈なのに手に感じる風の感触や、太陽の光の暖かさは妙にリアルな、夢だと自分で認識してる明晰無の様な不思議だけど、カルデアに来てからはそこそこの頻度で見るタイプの夢だった。

 

「……今回は誰の記憶だ?師匠?師匠なの?昨日夢修行したばっかりだけど二日連続とか無いよね?」

 

 そう、これは僕が契約してるサーヴァントの記憶の夢なのだ。

 記憶の夢なのになんで師匠の夢だと漏れなく修行になるのだろう………

 とりあえず辺りを見回してみる。

 

「……ちっちゃいアルトリア顔?誰だろう……えと確かうちに居るアルトリア顔は赤ジャンヌに黒ジャンヌ……は事情があれだから無いな。白ジャンヌに最近来たえっちゃんの誰か」

 

 そこには、平原のど真ん中で目を閉じて大の字で寝転がってる白いワンピースを着たアルトリア顔の幼女(推定年齢10~13歳)が居た。

 

「ハァーン!!」

 

 そしてその幼女が突如目を開いた瞬間変な雄叫びをあげ、大の字で寝転んでた体勢から片手の指を地面に突き刺しそれを機転に腕力のみで逆立ち、そこから更に片手の力で飛び上がり、空中で体勢を変え、落下する勢いを利用した足刀蹴り、そこからまるでまともに落ちたようにみえる特殊な受け身、そして最後に全方位に掌打、突き、蹴りを繰り出しながら縦横に移動する、この前アイツが師匠との模擬戦で使ってた地尚門の奥義を使っていた。

 うん、赤ジャンヌだな間違いない。

 

 そう確信した瞬間場面が切り替わった。

 

 川と森の間に有る道をいつもの赤い戦闘服を着た赤ジャンヌと、アヴェンジャーズの皆さん、そしてたぶんフランス軍の皆さんが馬に乗って進軍してる場面だった。

 

「姉御、救援の知らせから既に1日が経っています……まだ耐えているでしょうか?」

「確かジルが居たよな?だとすれば心配せずともたかが1日程度耐えられるだろうよ」

 

 赤ジャンヌとアヴェンジャーズのリーダーであるシャルルさんがそんな話をしていたらなんと、川の中から三ツ又槍(トライデント)が、森の中からかえしの付いた銛の様な槍が何十本も飛来してきた。

 

「!?」

「うわぁ!?」

「ぐわぁ!」

 

 咄嗟の攻撃でもきっちり槍をかわしたり弾いてるアヴェンジャーズや、飛来してきた槍をキャッチし、フランス軍の人へと飛来する槍に向かって投げて叩き落としてる赤ジャンヌは流石としか言いようがないが、フランス軍の外側に居た人達はほぼやられ、内側に居た人達にも少なくない被害が出てしまった。

 そしてまだ混乱の収まらない内に川からは、トライデントを持った魚人が現れ、森からは人の身長ほども有るカエルの様な体に、頭となる部分には無数の触手が蠢く、冒涜的な生き物が現れたのだ。

 

「はぁ!?ムンビ!?てことはあの魚人ら深きものか!?」

「えぇ、その通りですよ。良く解りますねジャンヌ」

 

 フランス軍が悲鳴をあげながらそのおぞましき生物との戦闘をしている最中に、今度は森から男が歩いてきた。

 白銀の鎧を身に纏い、傍らに見ることにすら生理的嫌悪感を抱かせる本を携え、その深きもの達の様なギョロリとした目の騎士が、ゾンビの様な不安定な足取りでゾロゾロと歩く、正気には見えないフランス軍を後ろに控えて現れた。

 

「おいおい、ジルテメェ………裏切った…いや、後ろのを見るにまさかシャンとか、なんかに操られてるとか?」

「いえいえ私は正気ですよジャンヌ。ただ私は貴方を愛している事に気が付いただけですよ。殺したい程に。だから、私はイギリスに付くことにしました。その挨拶をと思いまして」

「あぁそうかいそうかい。なら死ね」

 

 馬に乗った状態から一瞬でジルの目の前に移動し、ジルの顔面を殴り抜いた   瞬間赤ジャンヌの拳が砕け、赤ジャンヌが後ろに吹き飛ばされた。

 

「最近『衝撃の受け流し』という魔術を覚えまして、これが非常に便利なのですよ」

「………俺の殴った衝撃を俺の拳に受け流したって事かよ」

「えぇ、その通りです。この魔術は詠唱が短くて優秀ですね。そして『ヨグ=ソトースの拳』という魔術も最近のお気に入りでして、ついつい部下にも教えてしまったのですよ」

「………まさか」

「ふふふふ………やりなさい」

 

 ジルの合図と共に後ろに控えていた呻いているかの様に見せかけて呪文を唱えていた兵達から、一斉に衝撃波の様な物が放たれた。

 

 

 

 

 

 そしてそこでこの記憶は終わっていたが、その後も幾つかの場面を転々とし、そのつどそのつどジルとの熾烈な戦いを繰り広げていた。

 

 

 そして最後の記憶は、絞首台にて赤ジャンヌが立たされている場面から始まった。

 

「ふーん、てっきり火刑だと思ってたけど絞首刑?の割にはなんで下に大量に兵が居る上に皆ガチガチに武装してるわけ?」

「……………………」

「おう、だんまりかよ。あ、辞世の句は『クソヤロウ アイツは絶対 許さない』だからヨロシク」

 

 

 絞首台の下では藁が敷かれ、その藁に火が放たれた。燃え盛る火の中に首に縄をかけられた赤ジャンヌが落ち、吊られてる赤ジャンヌ目掛けて下に居た兵達が次々と矢を放ち、槍を投げていた。そしてついには火により縄が焼け、ボトリという音と共に矢と槍が無数に突き刺さった赤ジャンヌの死体は燃え盛る藁の上に落ちそのまま燃え続けていった。

 

 

 

 

 えっなにこの殺意の塊みたいな処刑方法は(ドン引き)

 絶対に殺すという意思しか感じない、惨すぎで吐きそう………遠巻きに見ていた民衆も吐いてる位にはヤバイ…うっおえ…。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「……………………最悪な寝起きだな……」

 

 赤ジャンヌの最期が余りにも酷すぎる。なんだあれは、まともな死に方じゃない。明らかにオーバーキルだ。

 なんで赤ジャンヌはあんな死に方をしておいて笑っていられるんだ?白ジャンヌの方も別ベクトルだけど結構酷い死に方なのに誰も恨んでない辺りアレだけど……。

 それに赤ジャンヌの世界のジル元帥はフランス裏切ってたり、こっちの世界のジル元帥も海魔とかがアレだけど、向こうのジル元帥はガッツリクトゥルフに染まってたり色々突っ込みたい……。

 でも聞き辛い…そもそも俺はどんな顔で赤ジャンヌに会えば良いんだろう…………とりあえずもう少し赤ジャンヌには優しくしてあげようかな。

 

 

 

 

 

「はい、今日から修行にハサンも協力してくれる事になりました。マシュと立香は今日からランダムにハサンに襲われます。逃げて他のサーヴァントに助けを求めるか返り討ちにすればOK。逆にこのゴムナイフが本物だったら死んでた状況になったらアウト。20回アウトになる毎に罰ゲームとして薄い本をカルデア職員に配布します。とりあえず一冊目タイトルは『海魔と魔力供給(意味深)♂』と『ドスケベマシュマロ』まで決まってるから出版されない様に二人とも頑張ってね」

「」

「」

「野郎と触手の絡みとか要らないからマシュマロ早く欲しいでござる」

「では早速対暗殺者用の修行をやろうか。前からではあったが私からの直接指導を受けられるのは幸運だぞ」

「私が許可するわけないだろ!!」

「えっちゃん」

「ドー……ドー……落ち着いて。……ちゃんと押さえ込むからショートケーキ忘れないで…」

「私も許さないからな!?正義の味方うんぬんとかじゃなくて普通にアウトだ!!」

「坊や、後で私の部屋に来なさい」

「既にメディアさんやえっちゃんとは取引済みなんっすよ(ゲス顔)」

 

 やっぱり赤ジャンヌには優しくしなくてもいいや。

 最初の方こいつに惚れていた事を無かった事にしたい。心の底から。

 ……聖杯有るし願ったら叶えてくれるかな。

 

 

 

 

「あぁ、そう言えば新しい体、完成したわよ」

「「「…………えっ」」」

 

 メディアさんから爆弾発言飛び出たぁ!?

 

 

 

 

 




深きジル「私は正気ですよ(SAN値0)」


この作品では本人がそう言ったからといって真実とは限りません。本人はそう思ってるだけというのも当然あります。

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