従者現代録   作:銀の鰹節

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~前回のあらすじ~
葵が乗り物酔いで瀕死状態になった…。
 ↓
葵が回復し、ホテルの娯楽施設で楽しく過ごした(今ココ!)


#14 海、海、海ッ!!

 

 

【現代入り・14日目】

 

葵達は4人ずつに分かれて、2つの部屋で過ごした。

そして朝が訪れる。

 

葵「あ゙…。声が枯れてる…。」

 

健汰「お姉ちゃん、あんなに張り切って歌ったからだよ…。」

 

葵が起きるともう既に健汰達は起きていてベッドに居なかった。

 

妖夢「少しお水を飲んではどうでしょうか…?」

 

葵「あ、ありがとう…。」

 

葵は妖夢から渡された水を一気に飲み干す。

 

葵「ぷはー。少しは楽になったよー!」

 

咲夜「葵さん、おはようございます。よく眠れたようですね。」

 

葵「あ、おはよう咲夜ちゃん。よく眠れたけど声が枯れちゃって…。」

 

咲夜は奥から歩いてくる。髪が濡れているので、入浴して来たのだろう。

 

咲夜「葵さんも入浴してみてはどうでしょう?気持ちいいですよ。」

 

葵「んーじゃあ入ってくるよ。ケンも入る?」

 

健汰「何を言ってるの?」

 

葵「冗談よ、冗談♪じゃあねー♪」

 

葵はにゃははと笑いながら浴室へと向かった。

葵の姿が消えたと同時に、健汰はドス黒い声で次の事を言った。

 

健汰「相手が『面白い』と思えない冗談は冗談じゃない、ただの嫌がらせか逃げているだけだ…!!」

 

妖夢・咲夜「け、健汰さん(ケン)…?!」

 

健汰「ん?あ…ごめんなさい、聞こえていたみたいですね…。」

 

2人は健汰から何かを感じ取ったのだった。

 

 

 

 

もう片方の部屋では…

 

露木「ヵー…ヵー…」

 

もう時計の針が8時を示すというのに、露木は小さないびきを掻いて寝ていた。

 

橙「藍様、露木さんが熟睡してます…。それも涎を垂らすぐらいに。」

 

藍「うーん…。これは露木さんには悪いが、起こした方がいいのか?」

 

祐彦「ふぅ…良い汗かいた。ってコイツはまだ寝ているのか…。」

 

藍達が困っている所に、汗をかいた祐彦が部屋に入って来る。どうやらランニングをしてきたようだ。

 

橙「とても気持ち良さそうに寝ていますよ!」

 

藍「これは起こした方がいいのだろうか…。」

 

祐彦「なに、こうすればいいだけの事だ。――おい、いつまで寝ているんだ?」

 

露木「フダラバッ?!」

 

祐彦は露木をベッドからドスンと落とす。その時に顔から落ちていたから、とても痛そうだ。

 

露木「は、鼻が…?!誰だ、こんな酷ぇ起こし方をするのは?!十中八九お前だろォ?!

痛ぇよ?!」

 

祐彦「朝からうっとおしい奴だ…。何時まで経っても起きないお前が悪い。」

 

露木「ぐぅ…?!だったらもうちょっと起こし方を考えろよ?!

例えば『「アナタ、朝ですよ」と声をかける』とか『体をゆする』とか?!」

 

祐彦「俺はお前の妻でもないし、そのような趣味も持っていない。」

 

露木「はぁ…。藍さんだったらどう起こしてくれるの…?」

 

藍「わ、私か?!そ、そうだな…。ほ、ほっぺを引っ張ったりとか…。」

 

露木「何それ羨しい。じゃあ橙ちゃんは?」

 

橙「そうですね…。鼻と口を塞いで呼吸できないようにします!」

 

露木「おぉ…笑顔で結構エグイ事いってるぅ…。」

 

祐彦「まぁ結論から言うと『早よ起きろ』って事だ。」

 

露木「…なぁなぁ藍さん、明日は俺を起こしてくれないか?」

 

藍「じ、自分で起きて下さい…。」

 

 

『コンコン!』

 

 

露木が抗議していると、ノックの音が部屋に響く。

 

祐彦「葵達か?待ってくれ、今行く。」

 

【ガチャ…】

 

咲夜「おはようございます、祐彦さん。」

 

祐彦「おはようございます、咲夜さん。何かあったんですか?」

 

咲夜「いえ、特に何も無いのですが…。3人じゃ退屈で…。」

 

祐彦「3人?確か4人ずつで別れなかったか?」

 

咲夜「葵さんがつい先ほどにおきまして、今入浴中なんです。それで残りの3人は部屋に居るのですけど特に話も無くただただ無音の時が過ぎていくだけだったので…。」

 

祐彦「それはキツいな…。妖夢さんにケンもこっちに呼んできてくれるか?雑談でもしていよう。」

 

咲夜「有難うございます。」

 

咲夜は健汰達を呼びに一度部屋へと戻った。

そして祐彦達の部屋に3人がやってきたら「昨日は眠れた?」など何気ない会話を始めるのであった。

 

 

 

 

咲夜達がいた部屋…

 

葵「はぁ~気持ち良かったぁ~♪…ってあれ?咲夜ちゃん?妖夢ちゃん?ケン?…何処にいったんだろう…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

~午前10時・ホテルロビーにて~

 

ガイド「皆様おはようございます!ぐっすりと眠れましたか?本日はこの島の案内、兼ツアーをご予定しております。」

 

葵「も、もしかしてまた乗り物…?!」

 

ガイド「ご安心ください!この島、ただ港が離れているだけで人が住む場所はここ5kmに密集していますから、散歩気分で楽しんでいただけますよ!」

 

健汰「良かったね、お姉ちゃん。地獄の時間を味わなくていいよ。」

 

葵「うん、ホントに有難いよ…!」

 

ガイド「ではゆっくりと出発していきましょう!」

 

露木「おぉー…こっから海が見えるけど、めっちゃ海水が澄んでいるなぁ~…。」

 

ガイド「ではそこの方が目を付けた、あのビーチについて説明させていただきます!

ビーチの名は『ブルービーチ』!!そこからみる海が青く美しいから…ってそのまんまの名前ですけどね…。あそこは9:00~21:00の時間帯まで利用できます!」

 

祐彦「夜のビーチか。暗闇の中に響く波の音…。想像するだけで心落ち着く感じだな。」

 

葵「やっぱり泳ぎたいなー、海。」

 

ガイド「ふっふっふ…!やはりそう思いますよね!?というわけで今からどうぞ遊んできてください!最大2時間は遊んでも大丈夫ですよ!」

 

葵「やったー!!今すぐ着替えてくる!!ほら皆も水着を買ったんだから着替えに来る!」

 

妖夢「そ、そんなに人前ではあのような服を着た事がないからやっぱり恥ずかしいですよ…。」

 

咲夜「恥ずかしいけど、泳ぎたいっていう感情があるから耐えれるわ。」

 

藍「橙おいで、一緒に着替えに行こっか。」

 

橙「はい藍様!」

 

女子たちはみんな着替えに行くが、男性陣はそのままビーチへと歩いて行った。

 

祐彦「俺は砂浜を歩くだけで十分だ。」

 

露木「俺の糸で魚釣れるかな…!!」

 

健汰「露木さんに僕はついてきますね。」

 

露木「ああいいぜ!一緒にやってみよう!」

 

健汰「有難うございます。」

 

男性陣が海の方へいってしばらくたった頃、葵達がやって来た。

 

 

 

葵「よっしゃあ、泳ぐっ!!」

 

藍「日差しが強いな…。クリームを一応塗って来たがちょっと不安だな…。」

 

橙「私は海辺を歩きたいです!」

 

咲夜「ちょっと潜ってみたいわね、海。」

 

妖夢「海水ってしょっぱいらしいですよ?潜ったら大変な事になりませんか?」

 

 

 

 

祐彦「ん?来たか。」

 

葵「あれ?ケンとノブっちは?」

 

祐彦「あの2人は一緒に釣りをしに行った。ここらへん、大体が浅瀬なのにな…。」

 

橙「釣りっ!?」

 

祐彦の一言に過剰に反応した橙。ソワソワとし始める。

 

葵「別にいいんじゃない、楽しければ?私は泳ぎに行くけどゆづっちはどうするの?」

 

祐彦「俺は砂浜を散歩しているさ。」

 

葵「…ゆづっち、せっかく南国に来たんだから何かしたら?」

 

祐彦「むっ…確かにそうだが…。俺は見守っていたいんだよ。お前らは目を離すと大変な事になるからな。」

 

妖夢「でも見守ってくれる存在がいるというのはとても安心出来る事ですので、本人さえよければいいんじゃないですか?」

 

葵「そ、そうか…。じゃあゆづっち、私達は海の方へ行ってくるね!」

 

祐彦「ああ、気を付けろよ。」

 

 

 

 

橙「あの~…祐彦さん…?」

 

祐彦「…?あれ、藍さん達と一緒に居たんじゃ…。」

 

皆が海へ向かったが、橙だけその場に留まり祐彦に質問する。

 

橙「露木さん達は何処にいますか?」

 

祐彦「あの2人なら多分あっちの方にいるんじゃないか?」

 

橙「あっちですね。わかりました!」

 

橙が駆け足で向かおうとした時、祐彦は橙を呼び止めた。

 

祐彦「やっぱり俺もついて行こう。橙ちゃんみたいな子には1人にさせられないからな。」

 

橙「え?でも私は妖怪なので――」

 

祐彦「いいから。ほら行くぞ。」

 

橙「あっはい!」

 

 

 

 

『バシャ!バシャバシャ!!』

 

葵「いやっほーい!!海水が気持ちいいーー!!」

 

咲夜「波も穏やかでいいですね。」

 

妖夢「あっ!砂浜にある穴から小さな蟹がでてきましたよ!」

 

葵「うわ、可愛い!!人差し指の第一間接までぐらいの大きさしかないね~!!」

 

咲夜「小さいけどハサミはしっかりとしているのね…。」

 

妖夢「もうちょっと深い所に行ったら、もっといろんな生物が居るのでしょうね!」

 

葵「やっぱりそうなのかなー!!ねぇ藍さんももうちょっとこっちにおいでよ!」

 

藍「い、いや私は水とかが苦手で―――」

 

葵「ほら~!!行くよ~!!」

 

藍「ああ、待って―――?!」

 

葵は藍の言葉を聞かずに、無理矢理海へと引き寄せる。

 

藍「わ、私は大丈夫だ、葵?!」

 

葵「何を言ってんのー!―――ってうわ?!(足場が崩れて…?!)」

 

 

『バッシャーン!!!』

 

 

葵が藍を無理矢理引っ張っていたが、気付かない内にお互い物凄い力で張り合っていた為、柔らかい砂場では足がとられてしまった。そして2人はそのまま倒れてしまう。

 

咲夜「だ、大丈夫?!」

 

妖夢「大丈夫ですか、葵さん?!藍さん?!」

 

葵「イテテ…。私は大丈夫―――ってわ゙ーーーッ?!!藍さんを思いっきり踏んじゃってたーー?!!しかも顔をーー?!!」

 

藍「ブハッ…。」

 

葵は藍の顔に尻餅をついている事に気付き、直ぐに立ち上がる。藍はゆっくりと起き上がり、水面から顔を出す。

 

妖夢「だ、大丈夫ですか…?顔色が悪いですよ…?」

 

藍「ちょ、ちょっと海から出て行く…。少し休憩してくる…。」

 

葵「ゴメン!藍さん!私またマイペースに物事を進めてた!!」

 

藍「いや、大丈夫だ。それにそれでこそ葵だろう?だから葵はこのまま楽しんでくれ…。」

 

妖夢「あっ、付き添いますね。葵さん、私も後で戻りますから!」

 

そういって、妖夢と藍は海を出て行く。

咲夜と葵はここよりも深い所へ行く為、奥へと泳いで行った。

 

 

 

 

 

 

藍「ぐっ…すまない、妖夢…。」

 

妖夢「水がここまで苦手だったんですね。」

 

藍「私も驚いているよ…。恐らく海水だから、という理由も含まれているのかもしれないな。」

 

妖夢が藍に手をかし、砂浜へと向かう。先には祐彦が用意してくれた休憩ゾーンがあった。

そこまであと5mくらいの所で2人に不幸が襲い掛かる。

 

モブ男A「あっ兄貴!あそこに超絶美少女がいますぜ!」

 

モブ男B「兄貴の美貌ならあの娘達もイチコロですし、最近お悩みの恋愛が解消するのでは?!」

 

七光り「おいおいやめろよ~お前ら!あの水着とか見てたらあいつら庶民だろ?まぁ確かに可愛いし、体もいいなぁ…。」

 

モブ男A「ですよね!やっぱり男には勢いが必要なんすよ!ささ、一発誘ってはどうでしょうか??」

 

七光り「はぁ~しゃーねぇなー!へい、そこの御嬢さん方、何か困っているようだけど手を貸そうか?」

 

妖夢「え…?」

 

藍「ぐっ…!!(力が――)」

 

七光り「んん~~??どうやら相方さんが危ない状態みたいだねぇ~…。どれ、手を貸そう。」

 

妖夢「あっ!?べ、別にいりませんよ?!藍さんから離れてください?!」

 

七光り「いいからいいから。さっ、いこうか!」

 

モブ男A「さすが兄貴!俺たちにできない事を平然とやってのけるッ!!」

 

モブ男B「そこにシビれる、あこがれるゥ!!」

 

七光りは妖夢の言葉を受け流し、無理矢理藍の肩に腕を通す。

そして事もあろうか、妖夢達が行きたい場所ではなく自分達のスペースへと向かおうとする。

 

妖夢「は、離してください!!」

 

 

『ドンッ!!』

 

 

七光り「ッ?!…痛いじゃないか?せっかく人が親切で助けてあげようとしているのによぉ?!」

 

妖夢「親切…?無理矢理腕を通したあげく、さりげなく胸を触ってくるのが親切なんですか?!」

 

七光り「それは不可抗力だよ。助ける上では仕方のない事だったんだ…!!」

 

妖夢「仕方のない?!私は離れてくださいと言った筈ですよ?!」

 

七光り「ったく、最近の女はなってねぇな?!アァ?!どうせお前らは会社を立ち上げてもいない、年収がちっぽけな庶民なんだろォ?!」

 

妖夢「ッ!!…許さない、私はあなたを許さない!!」

 

七光り「ッ?!」

 

妖夢はもう怒りに満ち溢れていた。まず下心まるだしで接触して来た事。そして、この男にはそのようなつもりはなかったかもしれないが、葵達を馬鹿にした事。

それらが妖夢の逆鱗に触れたのだった。拳に霊力を込め、七光りに殴りかかった時だった。

 

 

『ドムッ!!』

 

 

祐彦「…ッ!!」

 

妖夢「え…?祐彦さん…?!」

 

祐彦が妖夢と七光りの間に入り、妖夢の拳を受けていたのだ。

 

七光り「な、何だテメェは?後ろにいる女共の連れかぁ?」

 

祐彦「はい、そうですけど…何かありました?」

 

七光り「何かありました?じゃねぇーよ?!ハァ?!お前ナメてんの?!そこの奴らが俺の親切を捨てた挙句、暴力までふるって来たんだぞ?!」

 

祐彦「そうなのですか、すいません…。」

 

祐彦は七光り相手に頭を下げる。すると七光りは調子にのり、さらにヒートアップする。

 

七光り「…。おいおい、それじゃあ足りねぇだろ?!土下座だよ、土下座!!もっと誠心誠意こめて謝れやぁ!!」

 

祐彦「…誠に申し訳ありませんでしたッ!!」

 

祐彦は七光りに抗う事なく、土下座する。妖夢はこの光景を見ていて、思考が停止していた。

 

七光り「ホンットーに最悪な気分だぜ!!ペッ!!」

 

 

『ビチャッ!』

 

 

七光りは祐彦に向けて唾を吹きかけた。

その光景をみた妖夢は思考が停止していながらも、体が動いたのだった。

 

妖夢「―――!!」

 

藍「ま、待て妖夢…!!お前がここでアイツ等に手をだしたら祐彦の行いが無駄になる…!!耐えろ、耐えてくれ…!!」

 

だが、それを藍が残り少しの力をすべて使い、妖夢を止める。

 

七光り「おい、お前らも何かしてやれよ!」

 

モブ男A「へい、わかりやしたぁ!…お前の連れ、もう一度小学校からやり直した方がいーぜ!

オラァ!!」

 

祐彦「グッ?!」

 

モブ男Aは祐彦の腹に蹴りをいれる。

 

モブ男B「これに懲りたら今度からちゃんと見張っておくんだな!おらよっ!!」

 

祐彦「がっ?!」

 

モブ男Bはそこらへんに落ちていた、廃材を思いっきり祐彦に叩き付ける。

 

七光り「ははは、お前らやり過ぎだぜ?!ほら、そんな奴らに関わっている程俺らも暇じゃないから行くぞ。」

 

ボブ男A・B「アイアイサー!」

 

男3人はその後、自分達の場所へと帰って行ったのだった。

そして妖夢は祐彦、藍の2人を休憩スペースまで運び、看病するのであった。

 

 

 

 

 

 

20分後…

 

葵「はぁー、楽しかった!!咲夜ちゃん、綺麗だったね!」

 

咲夜「そうですね、とても幻想的でした…!」

 

葵達が妖夢達の元へと向かっていると、別方向から露木たちの姿が見えた。

 

葵「あっ!ノブっちーー!!ケンーー!!」

 

露木「おっ、葵か!海気持ち良かったか?」

 

葵「うん、それはもう!へぇ、橙ちゃんも居たんだ!」

 

橙「はいっ!露木さんの能力すごいですよ!大体200m先まで針を付けた糸を伸ばして魚釣りをしていたんですから!」

 

咲夜「へぇ、釣れたのかしら?」

 

健汰「ミノカサゴばっかり釣れて、ちょっとパニックになっただけだよ。」

 

葵「ミノカサゴって、確か毒を持ってる奴だよね?」

 

露木「ああ、ちょっと怖かった…。妖夢と藍さんは?」

 

咲夜「藍さんの体調が優れなくて、妖夢と一緒に休憩スペースへ行きましたよ。」

 

健汰「そうなんだ。じゃあお姉ちゃん達もそこに行くつもりだったの?」

 

葵「うん!じゃあ一緒に行こうか!!」

 

葵達が合流し、妖夢達の元へと向かう。

現地に着くと、悲惨な状況が広がっていた。

 

 

健汰「…?!」

 

葵「ゆ、ゆづっち?!妖夢ちゃんまでどうしたの?!」

 

パラソルの下には頭から血を流す祐彦の姿と、落ち込んでいる妖夢の姿があった。

 

露木「お、おい祐彦?!その怪我どうしたんだよ?!」

 

祐彦「ちょっと問題が起こっただけだ…。それ以外はなんでもないさ。」

 

咲夜「妖夢、妖夢!!一体何があったの?!」

 

妖夢「ごめんなさい…!!ごめんなさい…!!」

 

葵「と、取りあえずホテルに戻ろう!!ケンはガイドさんにこの事を伝えてきて!!露木は祐彦を、私は藍さんを、咲夜ちゃんは妖夢ちゃんを背負っていくよ!!」

 

露木「おい祐彦――」

 

祐彦「いや、俺は大丈夫だ。それよりも妖夢さんを…今は精神的な傷が大きすぎる。ひと肌で温めてあげてくれ。」

 

露木「(何も知らない人から見れば変態かもしれんがこの場合だと致し方ない!!)妖夢さん、今行くからな…!!」

 

露木は祐彦の言う通り、妖夢を抱きしめて持ち上げる。

この後、健汰がガイドさんを連れてきて、ホテルへと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方…

 

【ホテル・部屋】

 

祐彦「すまんな、あの時は機嫌が悪くて話したくなかった。」

 

部屋で少しの間過ごし、落ち着いた頃。祐彦が話し始める。

 

露木「いや、むしろ話そうと思ってくれて有難う。それで一体何があったんだ?」

 

祐彦「どうやら妖夢さん達が強姦にあっていたらしく、妖夢さんが相手に殴りかかろうとした時に俺が割り込んだのさ。」

 

健汰「祐彦さんはその後どうしたの?闘ったの?!」

 

祐彦「いや、とりあえず謝った。そしたら相手が調子に乗り、俺を蹴るなり唾かけるなり酷い事をしてきやがった…!!」

 

葵「…!!どうして抵抗しなかったの?!」

 

祐彦「ここはセレブも来る場所だ。一度目をつけられれば裏ルートを使って、徹底的に潰しにかかるだろう。だから俺はあからさまなやり返しはしなかったんだ。」

 

健汰「あからさまな…?」

 

祐彦「人っていうのは意識にブレがある。一秒間の間に、感覚が鋭くなったり、鈍くなったりを何回も繰り返しているんだ。その鈍くなった時に、タイミングよく攻撃されると人は気付かない。その原理を利用した。」

 

露木「で、でもそんな一瞬じゃ何も―――」

 

祐彦「できる。俺は剣道をやっているが、勝負は一瞬の世界だ。駆け引きなんだ。俺はその駆け引きが得意で、相手の隙にくらいつく。その性能を理解して剣道をやっていた。相手の意識が俺から離れた瞬間に『指を叩いた』。」

 

葵「叩くって…だとしてもそれじゃあ――」

 

祐彦「ただ叩くだけじゃない。攻撃する時、対象物に接触する瞬間に力をいれる。

最初っから力を込めて叩くのと、瞬間的に力を込めるのは威力が大分違うんだ。

きっと(骨に)ヒビくらいは入っているだろうな。」

 

健汰・葵・露木「…!!」

 

話しを聞いた3人は人間の恐ろしさを改めて知った。

相手を懲らしめる為ならば自分の持てる技術を全て駆使しようとする姿。

そのような凶暴性を秘めた人間に3人は恐怖し、時に露木は自分にも恐怖した。

 

祐彦「―――だが妖夢さんにはとても悪い事をした。俺が間に出てきた所為で心に傷を負い、自分を責め続けているんだ…。」

 

葵「…。何か、遊びに来たというのにトラブルばっかり起こっているね…。」

 

露木「そうだな…。海外ってのはこういう物なのか?」

 

健汰「…祐彦さん、妖夢さんはきっと自分の所為で祐彦さんが怪我をした、そう思っている筈です。ですので、妖夢さんをどうにかするには祐彦さんしかできないと僕は思うんです。」

 

祐彦「…そうか。」

 

藍「妖夢は何とか落ち着いたがそっちはどうだ?」

 

葵「あ、藍さん。ゆづっちも何とか落ち着けたみたいなの。」

 

祐彦「すいません、藍さん…。俺が、もうちょっと早く戻ってきたらこんな事にはならなかったかもしれません…。」

 

藍「謝らないでくれ、祐彦…。過去の事をどうこう言ったって、何もかわらない。今はせめて妖夢の近くに行ってはもらえないだろうか?」

 

祐彦「やっぱり…俺の事ですよね。」

 

藍「ああ。妖夢の話によれば、思いっきり殴ってしまった上に何もできなかった、との事だ。」

 

祐彦「(そういえば間に入った時、背中に強い衝撃があったきが…。)そうですか…。」

 

葵「じゃあ私達は別の部屋に行っているから、妖夢さんとちゃんと話をしてあげて…?」

 

祐彦「わかった。努力、してみるよ…。」

 

咲夜が別室から妖夢を連れてくる。そして葵達はササッと部屋から出て行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

妖夢・祐彦「…。」

 

 

2人だけの空間にしてくれたのは良いが、あるのは沈黙。

お互い、何かに遠慮して黙っている、そのような感じだ。

でもこのままでは何も変わらないので、祐彦が話し出す。

 

祐彦「…。ゴメンな、妖夢さん。俺の所為でとてもつらい思いをさせてしまった…。」

 

妖夢「…?!そ、そんな?!私は何もできませんでした…!!本当なら自分達で解決しなくちゃいけないのに、祐彦さんにも怪我をさせてしまって…!!謝るなら、私の方です…ごめんなさい!!」

 

祐彦「そんな事はないさ。君たちはこの未知の世界へ来ているんだ。本来なら俺達が君達を護らなくちゃならない。でも出来なかった。」

 

妖夢「そ、そんな事ありません!!祐彦さんはちゃんと私達を護ってくれました!!」

 

祐彦「…妖夢さん、優しいね。でも、妖夢さんにつらい思いをさせてしまった時点で、護ったとは言えないんだ…!!」

 

妖夢「わ、私だって祐彦さんを本気で殴っちゃいましたし…!!ですので私が護られる『権利』なんて…。」

 

祐彦「妖夢さん。護られるのに『権利』だなんて物は必要ない筈だ。」

 

妖夢「だって私は祐彦さんがせっかく体を張って護ってくれていたのに、それを無駄にしようとしました!!だから、もう護るとか護らないとかそんな――――」

 

祐彦「護りたいから護る。ただそれだけなんだ。妖夢さん、もうちょっと俺達に身を、心を委ねてくれないか…?」

 

妖夢「…!!!で、でも…。」

 

祐彦「俺達はもう…共に戦った事だってあるんだ…。遠慮なんか必要ない『仲間』な筈なんだ、俺達は…!!」

 

祐彦は妖夢の顔を掴み、無理矢理目を合わせる。妖夢の瞳に、一切の迷いなき男性の瞳が映り込む。

 

妖夢「…!!仲間だと…思ってくれるのですか…?!本当に…遠慮、しなくてもいいんですか…?!」

 

祐彦「当り前だ。だから、もっと俺達に甘えてくれ、妖夢さん。」

 

妖夢「ぅ…ぅぁああぁ…!!うああああ~~!!!!ごめんなさい、ごめんなさい~!!!」

 

祐彦「ありがとう、妖夢さん…。(そして、俺からもゴメン…。)」

 

妖夢は祐彦の胸にうずくまり、思いっきり泣いた。その場にはもうしんみりとした空気は存在せず、温かい空気が漂っていた。

 

 

 

 

 

葵「…ゆづっち達、ちゃんとうまくいってるのかなぁ…。」

 

健汰「祐彦さんなら大丈夫だよ、きっと。それとお姉ちゃんの番だよ。」

 

葵「あ、うん…。」

 

露木「うげっ?!おま、ここで革命するか?!」

 

葵「祐彦達、大丈夫なのかな…?」

 

咲夜「こちらに集中していないというのにこの強さ…?!葵さん、すごいですね…。」

 

健汰「いや、集中できていないからこそ強いんだと思う。ここまで強いお姉ちゃんは初めて見たから…。」

 

葵「はい、3。」

 

露木「はぁぁ!?」

 

こちらは大富豪をやっていて、葵が連続で大富豪になっているのであった。

そしてこの後、祐彦達が戻ってきて大富豪に参加すると、葵がとたんに弱くなったのだった。

 

 

 

 

 

――――その夜…

 

皆が寝静まり窓から月光が差し込む。そんな夜遅くに祐彦のいる部屋を訪ねる者がいた。

 

 

『ガチャ…』

 

 

妖夢「(祐彦さんももっと甘えていいって言ってたしほんのちょっとだけなら大丈夫ですよね…。)し、失礼します…。」

 

祐彦「クー…クー…」

 

妖夢「(やっぱり、思いっきり泣いた時もそうでしたが祐彦さんの胸は温かいです…!)

    ……。 …。 …スヵー…。」

 

 

 

 

 

 

 

また、別な場所では…

 

七光り「ぐぎゃあああ~!!?イッテェ?!お、俺の小指が曲がってるゥ~!!?」

 

モブ男A「だ、大丈夫ですか兄貴――― ッ?! うがぁぁ、俺もだぁァァ~?!!」

 

モブ男B「ぐぁああ~?!!い、一体どうなっているんだこりゃぁ~!!?」

 

あの3人の脳が、攻撃されていた事にやっと気付き、今頃痛みが襲ってくる。

その夜は悲鳴がやまなかったとか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は皆さんが海で満喫していましたね。
でもちょっとトラブルが起きて事態が急変しましたね…。そのお蔭でまたツアーが延期に…。
巻き込まれている本人達も可哀想ですけど、ガイドさんも可哀想ですね…。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!

(それとすいません、今回も長くなりました…。)
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