~前回のあらすじ~
ツアーで商店街を巡った。
↓
スキューバダイビングに挑戦するも、藍と橙が溺れてしまう…(今ココ!)
【現代入り・16日目】
少し曇って蒸し暑い朝。葵達はいつものように賑やかな朝を過ごしていた。
葵「ふんぬー!!!何で、なんで勝てないの?!」
健汰「だからそういう運勝負じゃ勝てないって…。」
葵「ええい、やかましいッ!!もう一回、ジャーンケーン―――」
『ポンッ!』
咲夜「す、凄い…?!ケンの24連勝目…?!」
健汰「飽きて来たからもうやめない、お姉ちゃん…?」
葵「ケン、運には限られた量があるんだよ…!!24連勝って事はかなりの運を使った、つまり私が次で勝つかもしれないのだよ!!」
健汰「えぇ…。じゃあ最後ね…。ジャーンケーン―――」
『ポンッ!!』
葵「…カッ?!ま、負けた…!!」
健汰「お姉ちゃん、そんなお菓子1つの為にこんなに時間をついやすの…?」
葵と健汰はお菓子をかけてジャンケンしていたのだが、葵がどうしてもそのお菓子が食べたいらしく、ずっとジャンケンし続けている。
葵「お菓子は誰にも渡さない…それが私のポリシーよッ!!こうなったら咲夜ちゃん、みんなをこの部屋に呼んできて!そしてみんなでジャンケン大会をするよ!!」
咲夜「え、えぇ…?(に、人数を増やす意味があるのでしょうか…。)」
咲夜は納得してはいなかったが、皆をこの部屋へと呼んでくる。
露木「何だ、また葵が原因かぁ…。」
祐彦「お前の時もあるから人の事は言えんだろう。」
橙「こんな人数でジャンケンをやって勝負がつくのでしょうか…?」
藍「かなりの確率でアイコがでるだろうな。」
妖夢「それにしても何故こんな事を…?」
葵「これからジャンケンをして遊ぼうと思うんだけど、見事王の座に辿り着いたものにはこのお菓子をあげよう!!」
露木「け、景品ショッボ…。」
葵「ええー…でもこれ以外に景品になりそうなもの無いよ…。」
橙「でしたら、一日その人の言う事を何でも聞く、というのはどうでしょうか?」
妖夢「面白そうですね、それ!」
祐彦「まぁこの人数でやるならその景品は妥当だな。」
葵「オーケイ!じゃあ見事、頂点に立った者はお菓子と命令権が与えられるよ!」
健汰「…僕は止めておこうかな…。」
葵「コラッ、逃げちゃダメ!!私はアンタをどうにか倒したいからこの大会を急遽開いたのよ?!」
健汰「で、でも多分僕が勝っちゃうと…。」
葵「やってみないとわかんないでしょー。ほらやるよッ!――――ジャーンケーン」
『ポンッ!』
ポンッという掛け声に合わせて、それぞれ自分の手を出す。時間がかかるかと思っていたが、勝敗はすぐに決した。
健汰以外「…?!!」
健汰「やっぱり…だから止めておこうって言ったのに…。」
何と健汰が1人勝ちしていたのだ。これに、葵は黙っている訳もなく…。
葵「コラ、ケン!!イカサマしているでしょ?!」
健汰「い、イカサマなんてしていないってば?!そもそもジャンケンでどうイカサマするの?!」
葵「ぐっ…?!も、もう一回よもう一回!!―――ジャーンケーン」
『ポンッ!』
健汰「…。」
またしても勝負は直ぐに決着がつく。これにはさすがに皆が驚いた。
露木「お前…何者だ?!」
健汰「健全なるボーイです。」
祐彦「まさか8人でジャンケンをして1人勝ちを連続でだすとはな…。」
妖夢「これはもうギャーギャー言えませんね…。」
橙「じゃあ今日はケンタの言う事をきくのですかね?」
藍「まぁそういう事になるな。」
咲夜「ちょっと信じられないわね…。ケン、何かしてほしい事とかあるかしら?」
健汰「んー…そんな特にはないよ。」
葵「そ、それはそれでつまんないよ?!ちょっとどんな命令されるかドキドキしてたのに…!」
健汰「…じゃあお姉ちゃん、僕に秘密にしている事、あるなら話して。」
葵「えっ…。ちょっとそれはやめてほしいな~、なんて…。」
健汰「お姉ちゃんから命令してといわんばかりに反論したんだよ?それに秘密、あるんだね?」
葵「…怒らない?」
健汰「うん、怒らない。」
葵は健汰に怒らない事を確認すると、隠していた事を言う。
葵「ねぇ、ケン…昨日の夜さ、お腹痛くなってトイレに駆け込んでいたよね…?」
健汰「うん。何?あれはお姉ちゃんの手によって苦しめられていたの?」
葵「実はね、昨日の魚屋さんの食事している時にね、私がこっそり作った料理をケンの食べている料理にほんのちょっとまぜたの…。」
健汰「…料理、作ったの?」
葵「うん。でもちゃんと計画したんだよ?!ダイビング中にお腹を壊さないように、後から遅れてくるようにしたし…。」
健汰「…。祐彦さん、露木さん。僕、2人にお願…命令したい事があるんです。」
露木・祐彦「お、おう…。」
健汰「お姉ちゃんの手と足を持って思いっきり引っ張ってあげてください。これは怒りの制裁ではなく、ただただ興味本位なだけなので…。」
葵「ストォープッ!!ま、まだ動けるからいいでしょ、ケン?!それに怒らないって…。」
健汰「お姉ちゃん。僕は怒ってなんかいない。ただの興味本位でやってるだけだから、ね?じゃあ2人共、お願いね。」
露木「す、すまん葵!!」
祐彦「これはお前が悪い、自業自得だ。という事で俺達を恨むなよ?」
葵「ちょっと待って、ねぇ?!あんた等私の幼馴染でしょう?!そんな私の弟なんかの命令に従うんじゃないわよね?!」
健汰「2人共、お願いします。」
葵「ちょっと―――イダダダ?!!肩と股関節外れるって?!アガアアアッ?!」
健汰「そこで捻ってみて。」
葵「ちょ、ケン―――はぐあァァァ?!!内臓が、内臓が潰れる…?!」
露木「お、おいケン、さすがにやりすぎじゃ――」
健汰「じゃあ次は―――」
葵「ごめん、御免なさい?!ケン、私が悪かったから許して…?!」
健汰「…2人共、お姉ちゃんを床に置いて。」
露木・祐彦「お、おう…。」
2人は健汰の命令道理に葵を床に下ろす。
健汰「じゃあ次は咲夜さんにお願いしてもいい?」
咲夜「な、何かしら…?」
健汰「そんなに怖がらなくてもいいよ。僕からの命令はお姉ちゃんに料理という物を教えてあげて欲しいんだ。」
葵「私はちゃんと料理でき――」
健汰「出来るなら食中毒者でない!!それでどうかな…咲夜さん?」
咲夜「ええ、いいわよ。お姉ちゃんがおいしい料理作れるようにしてあげるわ。」
健汰「ありがとう、咲夜さん。お姉ちゃんも教えてもらうんだから頭下げて!」
葵「ぅぅ…。よろしくね、咲夜ちゃん…。」
健汰「ダメッ!!講師にちゃん呼びは失礼だよ!先生とでも呼んでたらいいんじゃない?」
葵「け、ケン~~!!はぁ…。お願いします、十六夜先生…。」
咲夜「ええ、よろしくね!料理を作れるように頑張りましょう。」
健汰「ふぅ…。(これでちゃんとお姉ちゃんも料理作れるようになるかな…。)」
葵と咲夜は台所へと向かう。そして橙が健汰に問いかける。
橙「ねぇケンタ、私達は何をすればいいの?」
健汰「えっ? うーん…あっ!ペアを作ってホテルの外を散歩しよう!」
祐彦「それはいいが、ペアはケンが指名するのか?」
健汰「うーん…。じゃあ【妖夢・祐彦】【露木・橙】【僕・藍】でいい?」
橙「私は露木さんとですね?」
健汰「うん。嫌だった…?」
妖夢「そんな事ありませんよ!ねぇ、橙ちゃん?」
橙「そうですよ!露木さんは面白い人なので好きですよ!」
露木「橙ちゃん…良い事言うねぇ…!!」
祐彦「気を付けろ、もしかしたらこの男、橙ちゃんを襲うかもしれん。」
露木「ぅおいっ?!何言ってくれてんの?!」
橙「そんな事ないって私は信じてますよ、露木さん!」
露木「橙ちゃん、あとでほしいもの何でも買ってあげる。」
橙「ありがとうございますっ!!」
妖夢「祐彦さん、是非案内をお願いします!私、まだ地形があやふやで…。」
祐彦「ああ。毎朝ランニングしているから大まかな道は覚えてる。」
藍「ケンは私とだが…良かったのか?」
健汰「え?どういう事ですか…?」
藍「いや、私と散歩したって特に楽しい事はないと思うぞ…?露木とか祐彦と一緒に行けばよかったんじゃないか?」
健汰「ん~…いや、僕はこれがいいんです。藍さんとあまり過ごした事がなかったと思うし、楽しい事は絶対にあるはずです。」
藍「そ、そうか。では行きたい所とかあるか?」
健汰「ん~…グルグルをここ周辺を巡ってみよう?小さな事に目を配っていったら小さな発見とかあって楽しくなるよ。」
こうして8人は2人ずつにわかれて、この日を行動するのであった。
~【葵・咲夜】の料理修業グループ~
咲夜「じゃあそうね…。まずは簡単な目玉焼きを作ってみましょう。」
葵「はい!」
咲夜「私が見てるから、自分で作ってみて。」
葵「分かりました!!」
葵は卵を手にする。普通はここで殻を割るのだが、葵は違う行動をとった。
葵「フンッ、フンッ!!」
咲夜「あっ葵さん?!そんなに卵をふっては――」
葵「そしてフライパンに乗せる!!」
『カーン!!』
咲夜「か、殻を割ってください?!」
葵「えっ、そうなの?」
咲夜「まず卵も振りません!!最初に卵を割って、中身をフライパンへ移すだけです!!」
葵「わ、わかりました?!(じゃ、じゃあ新しいのを…ってど、どう割ればいいの?!)こ、こうかな…?」
『パキョォ!!』
咲夜「ま、まず先に殻を叩いて亀裂をいれてください?!そんな直接指を指し込んだりしたら殻が…?!」
葵「そーなんだ!!じゃあもう一回…」
『バッキャアッ!!』
咲夜「ち、力が強すぎます?!もう亀裂を入れるどころか、衝撃で辺りに飛び散っているじゃないですか?!」
葵「んー…難しい…。」
咲夜「で、では私が手本を見せます!それから葵さんもやってみてください。」
『カッ、カッ!!――――パキョッ!!』
葵「おおー…綺麗…。」
咲夜「殻にヒビが入る程度なので力を込め過ぎずに…!!」
葵「はい!ハアッ!!」
『パキッ!パキョッ!!』
咲夜「少し殻が入ってしまいましたけど、何とかできましたね。では焼いてください。」
葵「わかりました!点火!!」
『ボッ!!』
葵「あっ…。」
咲夜「…?!(い、今何が起こったの…?!スイッチを入れたと同時に卵が黒焦げになった…?!)―――フフ、フフフフ…。」
葵「い、十六夜先生…?!」
咲夜「フフフッ、わかったわ…!!こうなったら絶対に料理を出来るようにしてあげるわ…。(メイド長として、一人や二人料理をできるようにしてあげなければ…!!)」
葵「(さ、咲夜ちゃんがいつになく燃えている?!私、大丈夫かなぁ…??)」
咲夜「葵さん!!絶対に料理できるようにしてあげるわ…だからちゃんとついてきなさい!!」
葵「はっはいぃぃ?!!」
葵がどれだけ料理が出来ないか、確認した所で咲夜に熱が入る。
そしてここから料理修業が厳しくなっていくのであった。
~【妖夢・祐彦】ペア~
妖夢「わぁぁ…!!」
祐彦「俺が見つけた気持ちのいい場所だ。リラックスしたい時とかはここへきている。」
妖夢は祐彦の案内の元、散歩をしていた。
その途中で色鮮やかな花が咲き誇る、巨大な花壇のある場所へと辿りついた。
妖夢「花の甘い香り…。(幻想郷にも広大な向日葵畑があるけど、ここまで落ち着けないんですよね…。)」
祐彦「少し休憩しようか、あっちにベンチがあるし。ちゃんと日除けも設置してくれている。」
妖夢「そうですね、休んでいきましょうか。」
祐彦と妖夢はベンチへと向かい、そして座る。
妖夢「はぁ~…!!(祐彦さんと2人きり…ケンさんグッジョブです…。)」
祐彦「スゥ~…はぁ~…(ここは本当に気持ちがいい場所だ…。疲れを癒してくれている気がする。)」
妖夢「あっ見てください祐彦さん、青い蝶がいますよ!」
祐彦「おぉ本当だ。空から照りつける日光が青色の鱗粉に反射して、一匹の幻想的な蝶を作り上げているのか…。南国、いいなぁ。」
妖夢「そうですねぇ~。 …。」
祐彦「…?妖夢さん?」
妖夢は目を瞑り、祐彦の方に頭を預ける。その行動に祐彦はキョトンとしている。
妖夢「もう少しだけ…このままいさせてください…。」
祐彦「(妖夢さんもここにいて気持ちがいいのか…?なら仕方ないか。)ああ、いいぞ。時間はたっぷりあるんだし、のんびりして行こう。」
妖夢「(祐彦さん…。温かい…。)」
2人は静かに、花に囲まれた場所に留まり、ゆっくりと時をすごすのであった。
祐彦「…む?(今、すぐそこの角で桂井と似たような男がいた気がしたが…気のせいだったか。)」
~【露木・橙】ペア~
橙「にゃーん!」
『ウニャ~!』
露木「(そっか、橙ちゃんは猫の妖怪とか言っていたっけ?だから猫同士で会話もできるのか…!!)」
橙と露木はとある広場へやって来ているのだが、島中の野良猫たちがここに集まって来ていて、猫で埋まっている。
露木「橙ちゃん、いっぱい猫いるけど会話できているの?」
橙「はい!あっ、ちょっと待っててください!ニャ、ニャ~ン!」
『ナー!』
露木「?」
橙が再び猫達と向き合って話をすると、猫達がいっせいに露木の方へを向く。
その次の瞬間だった―――
『ウニャニャニャニャーン!!』
露木「ぅアアアーーッ?!!ね、猫が襲ってくるゥゥ?!!」
露木に向かって、ここにいる全ての猫が飛びかかって来たのだ。
橙「あ、その子達は露木さんに襲い掛かっているわけじゃないので、じっとしててください。」
露木「ちぇ、橙ちゃん?!」
『ウニャニャーン!!』
露木「(どんどん俺の上に乗っていく…?!まずい、重すぎて耐えられない―――)」
『フニュン。』
露木「や、柔らけぇ?!って猫じゃねえか?!大丈夫かよ、このまま潰されちまうんじゃ…。」
橙「大丈夫です!それよりも完成しましたよ『猫包み』!たくさんの猫と密着する気分はどうですか?」
露木「き、聞かれてみたら何か温かくて、毛がフワフワしていて気持ちいいな…。それに可愛い…!!」
橙「私はもう猫の王みたいなものなのです!ですので、これぐらいの命令、ちょちょいのちょいです!」
橙はそういって、胸を張る。ふんす、と聞こえた鼻息がちょっとかわいい。
露木「あぁ…やべぇ…。これもう、病み付き…!!」
橙「ニャン!」
『ウニャ~オ!』
橙の鳴き声1つで、露木にくっついていた猫達が離れていく。
これだけ多くの猫を従えている姿はまさに王であった。
露木「ふぃ~、すごい気持ち良かったぜ、橙ちゃん!サンキューな!」
橙「えへへ、そう言ってもらえて良かったです…ってあれ?ニャウ、ニャニャン。」
露木「ん?」
橙はいきなり露木に向かって、猫の鳴き声を発する。
露木「俺は猫じゃな―――」
『ウニャウ。』
露木「へっ?」
突如聞こえた猫の声。その声は自分の頭より上から聞こえた。
橙「あー…露木さんの頭の上、気に入られましたね…。」
露木「もしかして頭に乗ってんの?!何か変わった猫もいるんだなぁ…。肩に乗って『ピッカッチュウ!』とか鳴いてみるか?」
『ナ~ウ。』
橙「『俺はそんなマスコットキャラクターじゃない、ただの猫だ。』って言ってます。」
露木「うぇっ?!人間の言葉が分かるのか?!」
『ニャー。』
橙「『全てが分かるって訳でもないが、多少なりと理解しているはずだ。』って。」
露木「いや、もうバリバリ理解してるって?! …。 よし決めた、お前俺が飼ってやる!」
『ニャン。』
橙「『アンタ、見た感じ日本人だろう?俺を連れて国外に出れるかどうかわからないな。だから飼う事は難しいと思うぜ。』って。」
露木「猫ってあの一言でそんな喋った事になるの?」
『ナー。』
橙「『猫の世界ってのは、人間みたいに長ったらしく喋るのが面倒臭いんだ。だから一言で伝わるように設定されているんだ。』って。」
露木「…そう言うのって、設定されるものなの?神様的なあれ?猫の世界のステータスみたいな?」
『ウニャウ。』
橙「『まぁそうだな。これには抗えないってもんよ。でもまぁ楽でいいわ。』って。」
露木「そ、そうか…。それよりも名前、名前をどうするか…。」
橙「名前ですか…?」
露木「ああ。飼うなら名前を付けないと…。おっ、思いついたぜ!!今からお前は『イギー』だ!」
『シャー!!』
橙「『俺は犬じゃねぇ!!だったらせめて【ストレイキャット】とかにしろ。』って。」
露木「ブッ、お前、何で知っている?!」
『ウニャ?』
橙「『何か無意識に言っていた、俺にもわからねぇ。』って。」
露木「そ、そうか…。じゃあイギーはやめて…『ストレイキャット』でいいか。」
『ナウ。』
橙「『お前さんと一緒だと退屈しなさそうだ…。』って。気に入ってくれたみたいです!」
露木「よし、名前完了!橙ちゃん、今日はこの3人で散歩しよう!!」
橙「3人…。いいですね、こういう事は全くないからちょっと新鮮でワクワクして面白そうです!」
露木「良し、じゃあ食べ歩きと行こうじゃあないかッ!!」
橙「私、お菓子系を食べに行きたいです!」
『ニャン。(俺はココナッツ。あと魚。)』
こうして、橙の翻訳もあって3人で周辺を巡るのであった。
『…。(何だ?こんな暑いというのに薄手の手袋をした人間がいるな…。まぁそれは人間でいう【人それぞれ】か。)』
~【健汰・藍】ペア~
健汰「藍さん、見て!大きい蝶が飛んでる!」
藍「あ、あの蝶は『アレキサンドラトリバネアゲハ』じゃないか?!」
健汰「え…アレキサンド?」
藍「『アレキサンドラトリバネアゲハ』。
← 昆虫系が苦手な方は閲覧注意。
世界最大の蝶とも言われていて生息地はニューギニアの方だ。絶滅の恐れがあるため、輸入など禁じられているはずなのに、なぜこんな所に…?」
健汰「…多分、禁止される前に輸入したり、貨物船に紛れこんじゃったりしたんじゃないかな?」
藍「そうであってほしいな…。」
健汰「それにしても藍さん、前から思っていたけど博識ですね。全くしらない単語がベラベラと出てくる。」
藍「ああすまん、つまらなかったよな…。」
健汰「そんな事ないですよ。むしろもっと聞きたい、何て思っちゃいましたよ!」
藍「そ、そうか?そうか、そうかそうか!!私が知っている事であれば教えてあげるよ、ケン!」
健汰「じゃあ――この花、藍さん知ってるんですか?」
藍「ああ!名は『デザートローズ』。
木から花が出来ているため、盆栽感覚で栽培する者が多い。様々な条件の元でないと開花しないから、地域が限られている。そして美しい花には毒がある、という事で樹液には強い毒性があるので注意だ。」
健汰「ど、毒があったんだ…。じゃ、じゃあこの赤い奴がホワホワ~ってなってる花は?」
藍「それは『パウダーパフ』。
その赤いホワホワは実はおしべなんだ。だから『美しいおしべ』という意味も、名前の中に入っている。」
健汰「(す、すごい…!!藍さん、何でも知っているんじゃないかな?!)じゃああの花は―――」
『ガサガサガサ…!!』
健汰は次に気になった花の元へ行く為、茂みへと入っていった。
その時藍は、健汰の体に『何か』が跳び移ったのを見逃さなかった。
藍「―――?!ケン、今すぐにこっちに戻って来なさい!!」
健汰「え?」
藍「早くしろ、今私が見た奴が見間違いでなければかなりヤバい!!早く戻って来い!!」
健汰「は、はい!!」
健汰は茂みから急いで戻ってくる。藍はすぐさま健汰を隅々までみる。
すると、首元にヤツはいた。
藍「じっとしてろ!!」
『ヒュッ!!』
健汰「?!」
藍が健汰から弾きとばしたヤツ。その正体は『蜘蛛』だった。
健汰「く、クモ…?!」
藍「そいつは『クロコゲグモ』。
← 再び閲覧注意。
神経毒をもっていて、かまれた場合重症だと呼吸困難に陥り、最悪死に至る事もある。」
健汰「死――?!あ、ありがとう藍さん…。それにしてもよく見つけましたね。」
藍「妖怪は何かと視力とか人間よりも優れているからな。たまたま飛び移った所を目撃出来て良かった…。」
健汰「も、もう茂みとかには入らないようにしよう…。じゃあ藍さん、ここからはまったり歩こう。」
藍「そうだな、私もそれがいいと思うよ。」
藍と健汰はホテルを一周する形で、ゆっくりと散歩をするのであった。
藍「むっ?(今、人混みの奥で私達を見ていた男がいたような気が…。気のせいだったか?)」
~ホテル~
散歩を終えて部屋に戻ってくる時間帯となった。
露木「いやぁー楽しかったな~!!散歩があそこまで楽しいものだったとはな。」
橙「そうですね。途中で藍様達にも出会ったりと、いろいろ楽しかったです!」
『ウニャン。』
橙「『俺も楽しかった。しかしあのジュースはやっぱりうまかったな。』って。」
露木「そりゃ良かった!」
【ガチャ…!】
露木たちが部屋へと入る。既に妖夢ペアと健汰ペアが帰って来ていた。
露木「おー、アンタ等早ぇな。 …?」
露木が話しかけるも、4人に反応はない。
橙「皆さんの口が開いていますけど…。視線の先に何があるのでしょうか…?」
反応がなかった4人は皆、同じところを見ていた。玄関からじゃ見えないので露木たちも部屋の中へと進む。
露木・橙・猫『…!?』
そして皆の視線の先のナニカ、それを見たと同時に露木たちも体が硬直した。
咲夜「そ、そんな…!?クッ―――」
葵「あちゃー…また失敗しちゃった…。今度はフライパンが焦げちゃった…。」
咲夜「(い、一体何が起きているの…?!神が葵さんに料理を作らせないとでもいうの…?!)」
目の前に広がる荒れた台所。
卵の殻とよくわからない物体があちこちに散乱している。
全員「…!?」
『ナァ~。(おい、しっかりしろ。何もそこまでじゃないだろう。)』
露木「ハッ!すまんストレイキャット、助かった。おい、一体これはどうなってんだ?!」
全員『ハッ!!』
露木の全力ツッコミで皆が我に戻る。咲夜さんは頭を抱えてブツブツ呟いている。
葵「あー皆おかえりー!まだ料理が出来ないんだよね、何故か。」
藍「な、何を作ろうとしているんだ?」
咲夜「目玉焼きよ…。」
祐彦「目玉焼きでこのありさま…。葵、一体何をしたんだ?」
葵「私は何もしていないよ。焼こうとスイッチを入れたら、卵が爆発したり焦げたりどっかに飛んで行ったりしただけで…。料理って難しいね。」
健汰「そうか、そういう事だったのか…!!」
露木「ケン?」
健汰「お姉ちゃんは料理を全て駄作にしてしまう、天性の才能を持っていたんだ!!」
妖夢「どっどういう事ですか?!」
健汰「咲夜さん、目玉焼きを作ってくれませんか?」
咲夜「構わないわよ。ちょっと待ってて…。」
咲夜は慣れた手つきで目玉焼きを作りあげる。
そしてお皿に移す直前に、健汰は咲夜を止めた。
健汰「待って、咲夜さん!お姉ちゃん、目玉焼きをお皿に移して。」
葵「むっ…それなら私にだってできるよ。」
葵は咲夜からフライパンを受け取る。
露木「移すぐらいなら葵でも出来るだろ。」
祐彦「そうだな。その行動は直接料理に手を入れる訳でもないしな。」
葵「ハアッ!!」
『カンッ!!』
露木「ブッ!?」
葵はお皿を手に持ち、目玉焼きの上に被せる。
祐彦「それじゃあ黄身が下になって―――」
健汰「いや、移し方は何でもいい。それよりも、出てくる目玉焼きを見てて…。」
葵「ホッ!」
葵は手首を捻って、皿をフライパンを上下反転させる。
目玉焼きが皿の上に乗っかっている事を、葵が感覚で確認した上で、フライパンを上げた。
健汰以外『え゙っ?!!』
皿の上に乗っているのは目玉焼き―――ではなく、黒く変色し異臭を放つ物体だった。
咲夜「な、何が起こっているの…?!」
葵「えええーーー?!!な、何で、何でなのぉぉ?!!」
妖夢「さっきまで綺麗だった目玉焼きが…?!」
藍「一瞬で正体不明の物体に…?!」
橙「うっ?!に、ニオイが…?!」
『ニャッ?!(こいつはくせぇッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーッ!!)』
健汰「咲夜さんゴメン!もう一枚目玉焼きを作って!」
咲夜「わ、分かったわ。」
咲夜はもう一度目玉焼きを作る。今度の健汰は途中で止めず、完成まで待った。
健汰「よし…。お姉ちゃん、このケチャップを目玉焼きにかけてみて。」
葵「け、ケチャップ?他にはなかったの?」」
健汰「たまたまそこにあっただけだから。それよりも、早くかけてみて。」
葵「ど、どうせまた異物にしてしまいますよーだ…!!」
葵はケチャップをかけていく。しかしいくらかけども、目玉焼きに変化はない。
藍「こ、今度は何も起こらないぞ?!」
妖夢「普通にトッピング出来てますね…。」
葵「ど、どういう事なの?!」
健汰「目玉焼きは皿に乗った時点で完成している。さっきとの違いは完成しているか、していないかの差なんだと思う。」
露木「完成しているか、していないかの差…?」
祐彦「成程な。皿に乗った時点で完成度100%。100%を越えれば0%にはならないって事か。」
葵「えっ?えっ?」
祐彦「つまり、皿に乗るまでに葵が手を付ければ、料理は駄作となってしまう。だが、完成後に自分でトッピングしたりするのは問題ない。」
咲夜「で、でもそんな事が本当にありえるの…?」
健汰「ありえると思う。近くには時を止める人だっているのだからね…。」
葵「ど、どういう事か私、全く理解できていないんだけど…。」
健汰「はぁ…。はっきり言うと、お姉ちゃんは料理が皿に乗るまで手をつけるな、自分でトッピングするなら別に問題はない。こんな感じ。」
葵「へぇ…。じゃ、じゃあ私絶対に料理作れないじゃん?!」
健汰「そうだね。」
葵「かぁ~!!彼氏とか出来た時に、自分の料理を提供できないなんて悲しすぎるよ!!」
健汰「それが運命なんだよ、お姉ちゃん。」
葵「いぃーやぁーだぁー!!」
健汰「まぁお姉ちゃんは放っておいて…。ごめんなさい、咲夜さん…。一日を奪っちゃった…。」
咲夜「別に大丈夫よ。葵さんが料理をしてはいけない事が分かってよかったじゃない!」
葵「良くない!!うわぁぁーーん!!」
その後、葵は晩御飯を食べるまで泣くのを止めなかったらしい。
~今日の主さん~
‐博麗神社‐
レミリア「霊夢ー!!遊びにきてやったわよー!」
霊夢「もぉ~またー…?」
紅魔館御一行は博麗神社へとやって来ていた。
レミリア「ほら、食材持ってきた!」
霊夢「どうぞあがって
少女「フランちゃーん!!」
フラン「あっ!美華ッ!!」
神社の中から1人の少女がフランに向かって飛び込んでくる。
霊夢「こら、美華。あまりレミリア達を困らせちゃダメよ。」
少女「はぁーい。ほらほら早くコッチ来て!」
レミリア達はフランの後を追いかけるように神社へと入っていく。
レミリア「お邪魔するわよー!」
紫「あら?」
幽々子「どうしたの、紫…貴女は紅魔館の…。」
レミリア「な、何で貴様らが此処にいるーー?!!」
紫・幽々子「ご飯を食べに。あと美華ちゃんと遊ぶため。」
優「はぁ…。ここに頼りに来たら勝負の意味が無いんじゃないんですか?自給自足からかけ離れていますし…。」
3人「何を言ってるのよ!私は別にご飯を食べに来ているんじゃなくて、美華ちゃんと一緒に遊びたいから来ているの!!」
優「…はぁ…。(最近、毎日来るから家族だけの時間が限りなく少なくなってきてる…。)」
もう勝負のつきようがなくなっているこの主たち。
はたして、従者達が無事に帰ってくる日は来るのだろうか。
紫「全く、こんなに賑やかだったら落ち着く事すら出来ないわね…。―――って、あら?結界が…薄くなっていってる?!」
この作品をご覧になってくれてありがとうございます。銀の鰹節です。
今回は8人が2人ずつに分かれて一日を行動しましたね。橙&露木ペアの話が異様に長くなってしまった。勢いで書いてしまったから仕方ないですよね…?
そして前回よりもまた長くなった…。もう詐欺行為をしているような気分…いや、気分じゃなくて事実でしたね…。多分、ここまでくるともう短くするのが難しいです。
気軽に読める物を作りたかったんだけどなぁ…。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!