従者現代録   作:銀の鰹節

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~前回のあらすじ~
葵の駄々に皆が巻き込まれた。
 ↓
色々とあってその日は2人ずつ分かれて過ごした。



#17 異常?!宝探し大会です!!

【現代入り・17日目】

 

 

露木「グー…グー…。」

 

 

『ニャウン…。(何だ、主人はまだ目覚めねぇのか。)』

 

 

橙「ニャン。(うん。露木さんが目覚めるのは結構遅いよ。)」

 

祐彦「まだ寝ているのか。」

 

藍「ああ…。しかしこんなに明るいというのによく寝ていられるな…。」

 

祐彦「まぁそれがコイツの特徴だろう。一度寝たらなかなか目覚めない。」

 

藍「昔は橙も起きなくてなぁ…。毎日苦労させられた事だよ…。」

 

橙「ら、藍様ッ?!」

 

藍「アハハハ、ゴメンゴメン。つい口が滑っちゃったって感じだ。」

 

橙「むぅー!!もう今日は知りませんッ!!」

 

藍「ちぇ、橙?!悪かった、私が口を滑らせたばかりに…!!だから許してくれ!」

 

橙「幻想郷に帰ったらマタタビくださいよ?」

 

 

『ナウン。(主人、起きそうだ。)』

 

 

露木「ぅあー…!!よく寝たぜ!!おはよう、ストレイキャット!」

 

 

『ウニャ。(起きた瞬間からうるさいな。)』

 

 

露木「アハハハ、おはようってか!お前は頭がいいな~!!」

 

 

『ニャウ…。(んな事は言ってない。ただ苦情を言っただけだ。)』

 

 

橙「(こ、これは翻訳しないでおこう…。)藍様、今日はどうするんですか?」

 

藍「ああ、今日の予定はどうやら『宝探し』らしい。」

 

祐彦「また葵か。」

 

藍「いや、今回は違うらしい。どうやらこの島での大会らしい。優勝者には豪華景品が用意されているとかで、葵が張り切っている。」

 

露木「景品ってどんなの?」

 

藍「いや、詳しく書かれていないんだ。ただ参加賞ありの、無料参加なんだ。」

 

橙「その参加賞って何ですか?」

 

藍「ココナッツジュースだ。」

 

祐彦「成程な。こんな暑い日に一日中外に出歩いていたら熱中症になる。水分補給としてもらえるわけだな。」

 

 

『コンコンコンコンッ!』

 

 

祐彦達の部屋に、ノックが響く。この落ち着きのない叩き方はどうせ葵だろう。

祐彦がドアを開けに向かう。

 

 

『ガチャ…!』

 

 

葵「おっはよー!さぁさぁ皆さん、本日で南国滞在期間は終了となります…!だから今日を一番楽しくしよーう!!」

 

祐彦「そうか、もう最終日だったか。明日は朝早く起きて港へか。露木、さっさと起きろよ。」

 

露木「わーったよ!今、朝飯のバナナ食ってんだから邪魔すんなっ!!」

 

祐彦「とりあえず猿の食事が終わったら俺達も葵達の部屋へと向かう。」

 

葵「ん?いや、ホテルの玄関で待ってるから直接玄関に来て!」

 

祐彦「わかった。じゃあ後でな。―――おい猿、さっさと食え。」

 

露木「ウキャキャキャーー!!」

 

祐彦「五月蠅い。」

 

露木「はい。」

 

色々と準備をしてから、部屋を出て玄関へと向かう。

ロビーへ行くと、やはり島全体で企画したものでもある為、人で混んでいた。

 

 

祐彦「思ったより人が多い…。おい、葵達が見えるか?」

 

 

『ナウ。』

 

 

橙「『ここから20m先、右方向にいる。』って言ってます!」

 

藍「迷子にならないよう、橙は手をつないでおこうか。」

 

橙「はい!」

 

露木「ストレイキャット、いくら俺の頭の上でも限界がある。俺が抱っこするから降りてこい!」

 

 

『ウニャア。』

 

 

祐彦「よし、一気に行くぞ―――!!」

 

祐彦達は人混みの中を何とか移動し、葵達と合流する。

 

葵「あっ、キタキタ!すごい人だねぇ!」

 

祐彦「全くだ。 …? なぁケンの姿が無いがどうした?」

 

葵「トイレに行ってると思うよ。」

 

 

 

 

 

~トイレ~

 

健汰「ふぅ…(あそこまで混んでたらちょっと疲れちゃうよ…。)」

 

健汰はトイレで少し休憩していた。どうやら人混みに負けてしまったらしい。

 

健汰「お姉ちゃん、乗り物には弱いのに人には強いよなぁ…。ちょっと羨ましい。」

 

健汰が鏡を見ながら独り言を呟いている時だった。

自分の後ろをゆっくりと歩いて行った男性の顔、健汰は見覚えがあった。

 

??「…。」

 

健汰「…!?(か、桂井…?!な、何でこんな所に…?!)」

 

 

『ガチャ…バタン…!』

 

 

健汰「(と、トイレに入ったな…?!お、お姉ちゃん達に知らせなくちゃ―――)」

 

 

『何処へ行く気だ…?』

 

 

健汰「ッ!?」

 

健汰が葵達の元へと向かおうとした時、後ろから肩に手を置かれた。

健汰は震えながらも、ゆっくりと後ろを振り向く。

 

健汰「か、桂井…!?」

 

桂井「ガキが…大人を呼び捨てで呼ぶんじゃない…。まぁいい、久しぶりだなぁ健汰。」

 

健汰「な、何で覚えているの…?!優さんに手で記憶は消された筈じゃ…?!」

 

桂井「記憶…?あぁ、確かに消されていたなぁ。だがそんな事はどうでもいい。」

 

健汰「何をする気なんだ…?!」

 

桂井「いやなに、ちょっと人質になってもらうだけさぁ…。もう楽しい日を追及するなんざどうでもいい。お前らを地獄へ落とす。」

 

健汰「は、離せッ!!」

 

 

『バッ!』

 

 

桂井「おいおい、大人から逃げれるとでも思ったか?」

 

健汰「うぐっ?!」

 

健汰は桂井の腕を振り払って逃げようとしたが、すぐに捕まってしまう。

 

桂井「トイレでバッタリ出会っちまうなんて…『運』がついてなかったなぁ、健汰?」

 

健汰「ハッ!(そうだ、運だ!!)運がついていなかった…?それはお前の方だ、桂井!!」

 

桂井「んぅ~?どういう事だ―――」

 

 

従業員A「タベ、タブヤラ!!」

 

従業員B「オベ、ンーダーラ!!」

 

 

桂井「…ほう。」

 

たまたま従業員2人がトイレにやって来て、現場を発見する。

従業員Aは棒のような物を取り出し、従業員Bはスタンガンを取り出す。

 

健汰「また何をしようかたくらんでいるんだったら残念だったな!!運が味方しているこの僕と出会った時点で、お前はもう終わりだったんだ!!」

 

桂井「フッ、フハハハ!!!面白い事をいうなぁ…!!どれ、本当に終わったか確かめてみるとするかァ!!」

 

健汰「がっ?!」

 

桂井はトイレの奥へ健汰を投げ飛ばし、従業員の元へと走っていく。

 

健汰「(相手は武器を持っている!!何の戦闘能力も持たない桂井には勝てない筈だ!!)」

 

従業員A「ンダラァァ!!!」

 

従業員B「ンナペイ!!」

 

桂井「―――――ここだァ!!」

 

 

『パッ!』

 

 

健汰「―――は?」

 

桂井が従業員2人に触れた瞬間、従業員はその場から消えた。

健汰の頭が目の前の出来事を処理できず、フリーズしていた。

 

桂井「【運も実力の内】。だったら運よりも強い力をもってたらいいだけだ。どれ健汰、人質になってもらうぞ―――」

 

 

 

 

 

 

 

露木「うーん…ケンの奴遅くないか?」

 

咲夜「そうね、もうかなり時間が経つわ。」

 

祐彦「…。一度様子を見てくるよ。皆はここで待っててくれ。」

 

祐彦がトイレへ向かおうとした時だった。

 

 

健汰「ふぅ…。(やっぱり人混みが凄すぎて疲れちゃうな…。)」

 

 

葵「あっケン!」

 

祐彦がケンの様子を見に行こうとした時、ケンが帰ってくる。

 

健汰「何、お姉ちゃん?」

 

葵「もう、結構戻って来なかったから心配したんだよ?!」

 

健汰「え?それほど時間を空けたつもりはなかったんだけどなぁ…。でも心配かけちゃったならゴメン。」

 

露木「戻って来たからいいじゃねぇか!もしかしたらこの人混みに紛れて何かに巻き込まれたりしていたかもしれないからな!」

 

祐彦「お前はもうちょっと発言を控えた方が良いぞ。」

 

健汰「巻き込まれたり―――うっ?!(あ、頭が…痛い?!)」

 

咲夜「ケン?!どうしたの?!」

 

健汰「――――…。別に何でもないよ、ただくらっと来ただけだし。」

 

藍「あまり無理はするなよ?」

 

健汰「はい、わかりました。」

 

 

『ゴォーン…ゴォーン…!!』

 

 

島中に、鐘の音が鳴り響く。

鳴り終わると、誰もが目の届く場所に司会者らしき人が現れる。

 

司会者「皆さん、おはようございます。本日はこの島全体を使った宝探しを行います。

優勝した人には見事景品が当たります! そして宝というのはこのようなプレートです。 このプレートを一番多く手に入れた方を優勝とします。

それでは―――――――大会、スタート!!」

 

 

『パァン!!』

 

 

ピストルの合図と共に人々は一気に外へと駆け抜ける。

 

葵「うわっ?!先こされちゃった?!行くよ、皆!!」

 

皆「はいっ!(ああ!)」

 

そして葵達も負けじとホテルを飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

葵「プレート…プレート…。」

 

妖夢「あの大きさでしたら茂みの中とかに…あっ!ありました!!」

 

祐彦「おお早いな!まず一枚目だ。」

 

 

『ニャウン。』

 

 

露木「ん?なんだ、ストレイキャット?プレートを見つけたのか?」

 

橙「あっ!本当だ!でもあそこじゃ届かない…。」

 

ストレイキャットが見つけた所は、高さ5m程の木の上だった。

 

咲夜「流石に飛行する…っていうのは無しよね…。」

 

葵「むぅ~…。あっ!藍さん、ノブっち協力して!藍さんが私を投げ飛ばして、すぐさまノブっちが私の下に来て第2の足場となるの!」

 

藍「そ、それでうまくいくのか?」

 

露木「能力でなら簡単に取れるんだが…やっぱりダメだよなぁ…。」

 

葵「じゃあ行くよ…!!ハァ!!」

 

藍「ま、待て――?!(こうなったら仕方ない、あの木の上へ投げればいいんだな?!)ハアッ!!」

 

葵「うわぁ?!ら、藍さんすごーい…!(あ、あと1m…!!)ノブっち!!」

 

露木「ああ!」

 

 

『グッ!!』

 

 

露木「フボバッ?!(そ、そうか、空中で俺を土台にするって事は地面に打ち付けられるのか…。)」

 

葵「―――よしっ、取った!!ってうわわわ?!!」

 

藍「全く…あとの事もちゃんと考えておいてくれ、葵!!」

 

葵「藍さん!ナイス!!」

 

 

『バフッ!』

 

 

まず葵を藍が投げ、その途中で葵がもう一度ジャンプできるように露木が土台となる。

見事プレートをゲットでき、葵は藍に受け止められて戻ってくる。

 

橙「すごい連携でした…!!」

 

 

『ゴロゴロゴロ…。(おい主人、大丈夫か?)』

 

 

露木「イタタタ…。何かちょっと気にくわないけど、結果的にはうまくいったから良いか。」

 

妖夢「やっぱり思うんですけど、葵さんの身体能力はとても高いですよね。」

 

葵「もっちろん!体育祭とかは男子に負け無し!!」

 

祐彦「ホント、お前はある意味最強かもな…。」

 

健汰「…?何かここに変な箱があるよ?」

 

葵「箱…?」

 

 

健汰が茂みから見つけた怪しい箱を葵は手に取る。

ふたには赤・青・黄の3本のコードとペンチがあった。

 

 

祐彦「これはコードを切って、ふたを開けろって事か。」

 

橙「近くに紙もありますけど、ヒントか何かでしょうか…?」

 

藍「…ふむ、紙には『太陽が出ていて雨が降る時に出る物。条件:外』と書いてあるな。」

 

健汰「太陽…雨…色…。あっ!虹だよ、虹に関係しているんだよ、このコードは!!」

 

露木「じゃあ、条件の『外』ってのは外側からの色の順番通りに切れって事じゃねえか?」

 

咲夜「でも色の配列なんか覚えていないわよ?」

 

妖夢「…どうやらあの人を見た方がよさそうですよ。」

 

皆「えっ…?」

 

妖夢の視線の先には花達にジョウロで水をやっているお爺さん。

花に水がかかるまでの間には、小さな虹が出来ていた。

 

葵「赤…黄色…青、の順番だね!切るよ!」

 

 

『パチン、パチン、パチンッ!!』

 

 

『ガチャ!』

 

 

露木「おっ、開いた!中身はどうなんだ?!」

 

葵「わっ、わっ?!見て見て、プレートが3枚も入っていたよ!!」

 

橙「一気に手に入れれましたね!」

 

咲夜「もし間違っていたらどうなっていたのかしらね…。」

 

咲夜が疑問に思った瞬間、少し離れた場所から悲鳴が聞こえた。

 

 

『アギャーーーーー?!!!』

 

 

皆「…。(あってて良かったぁ…。)」

 

全員、内心ホッとしてその後もプレートを探し続ける。

 

 

 

 

 

 

最初は分かりやすい所にあったのだが、時間が経つにつれてプレートのある場所が異常になってくる。

 

 

健汰「…?」

 

祐彦「ん?ケン、どうした?」

 

健汰「いや、何故かみんな海へ泳ぎに行っているんだ。」

 

露木「あぁ本当だな。今日は暑いから、涼みたかったんだろ?」

 

橙「確かに暑いですよね…。…でもみんな同じ方向に向かって泳いで行くのは何故でしょうか?」

 

咲夜「確かに…。皆ある一点を追いかけているわね…。」

 

藍「ここから見えるか…?」

 

藍は目を細めて、皆が追っている物を凝視してみる。

 

藍「――――!サメだ!!追いかけているのはサメだ!しかも背中には巨大な箱が置かれている!!」

 

葵「さっサメ?!噛まれたりしないの?!」

 

藍「サメにも色々種類があって、大人しい奴もいる。きっとその部類だろう。」

 

祐彦「どうするんだ、見つけた物は取りに行くのか?」

 

葵「流石にサメを追いかけたって、捕まえる事は出来ないよ…。」

 

露木「何を言ってるんだ?泳げなかったら、釣ればいいだろ?」

 

咲夜「なるほど、その考えがありましたね!」

 

橙「でもすぐに道具は揃うんですか?!」

 

露木「この人数だ。3分でどうにかなるだろう。」

 

健汰「でもこの中で釣りに知識があるのって、露木さんぐらいしか…。」

 

露木「大丈夫だ!!じゃあ、藍さんと橙ちゃんは昨日の魚屋さんで生きた魚を2匹ぐらい購入してくれ!」

 

藍・橙「わかった(わかりました)!」

 

露木「んで、妖夢さんと咲夜さんはあそこの店でロープとまな板を買ってきて。日常品店だからきっとある筈だ。」

 

咲夜・妖夢「わかりました!」

 

露木「そして健汰、あの釣具店から大きめの釣り針とナイフを買ってきてくれ。サメ用とでも店員に言えば何とかなるだろ。」

 

健汰「分かった…!」

 

露木「よし、このぐらいか…。」

 

葵「ねぇねぇ、私は?私の役割は?」

 

露木「葵と祐彦は靴でも脱いでいてくれ。後で全員脱いでもらうけどな。」

 

葵「靴…?わかった!」

 

祐彦「…少し砂浜が熱いな。」

 

露木「ちょっとぐらい耐えてくれ。おっ、丁度皆帰って来た。」

 

葵達が靴を脱いでいると、物を買いに行っていたみんなが帰って来る。

 

藍「生きた魚だ。」

 

咲夜「はい、ロープとまな板です。」

 

健汰「大きな釣り針にナイフ、買って来たよ。」

 

露木「よし!!じゃあ葵、釣り針をこのロープでぎっちりと結んでくれ!」

 

葵「わかったよ!」

 

露木「そして健汰達は靴を脱いでいてくれ。その間に餌を俺が作るから。」

 

葵はロープと針を結び、露木は魚を捌き始める。

 

露木「ぐっ…!!(思ったよりも硬い…!!)」

 

祐彦「露木、力の方向が地面と垂直じゃなきゃダメだ。」

 

露木「こ、こうか?」

 

祐彦「はぁ…。ちょっと貸してくれ。」

 

ナイフが祐彦の手へ渡る。

 

祐彦「ここら辺か…。――――フンッ!!」

 

 

『ダンッ!!』

 

 

祐彦は地面と垂直に力を入れ、魚の頭と胴を断つ。

 

露木「すげーな、お前。」

 

祐彦「別に。それよりもこれでいいのか?」

 

露木「ああ!バッチリだ。 葵の方はどうだ?」

 

葵「うん。大丈夫だよ!」

 

露木「じゃあ釣り針と餌を釣りつけてっと…。」

 

露木は大きな釣り針に、魚の胴体を取り付ける。

 

露木「じゃあ葵、サメが行く方向を予測して投げてくれ。」

 

葵「わ、わかった!ムムム…―――多分あっち!」

 

 

『バチャーン!!』

 

 

葵はサメの行動を予測して、少し奥へと投げた。

するとサメは葵の予測通り餌の方向へと泳ぎに行き、餌の存在に気付いた。

 

露木「…気付いた!!みんな、ロープを持ってくれ!!サメとの綱引きだぁ!!」

 

健汰「そういう事か!!」

 

咲夜「竿を作らなくても、これでも釣れるものね。」

 

祐彦「(露木の奴、何気に能力を使わないように努力しているじゃないか…!!)」

 

祐彦は今、露木を頼もしく見ていた。1つの事に情熱を捧げ、皆を先導している男の姿に。

 

 

『………グンッ!!』

 

 

露木「――――!!喰いついた、せーのでいくぞ!!『せーのっ』!!!」

 

皆『フンッ!!』

 

 

『ザババッシャアッ!!』

 

 

皆の力が1つとなり大きな物となる。サメが抵抗する時間さえ与えず、一瞬で浜へと引き寄せた。

 

露木「よし、このまま皆は押さえていてくれ!俺は箱を取りに行く!!」

 

露木はロープを離し、全速力でサメの元へと向かう。そして他の者に取られぬ内に、箱を手に入れたのだった。

 

露木「ゲットだ!!ストレイキャット、この箱を見守っていてくれ。」

 

 

『ニャー。(主人、かっこいいじゃねぇか。)』

 

 

ストレイキャットの傍に箱を置いて、露木は再びサメの元へと立ち寄る。

 

露木「すまねぇな。釣り針痛かっただろ?―――ほら、抜けた。もう1匹の魚、これは詫びだ。貰ってってくれ。」

 

露木は釣り針を外すと、餌とは別の魚をサメにあげた。

サメは魚を口に咥え、大きな水飛沫をあげて水中へと帰っていく。

 

露木には、その光景がまるで自分にお礼を言っているかの様に感じ、無意識に声を発していた。

 

露木「…どういたしまして。」

 

健汰「露木さん、もう皆が箱の方へ行っているので、行きましょう?」

 

露木「ああ。中身はまだ開けてないのか?」

 

健汰「箱はこの場を仕切ってくれた露木さんに開けてもらおうという意見から、まだ開けていません。」

 

露木「そうか、だったら早く開けないとな!葵がギャーギャー騒ぐだろうし!」

 

健汰「ハハハッ、そうですね。急ぎましょう!」

 

露木たちは駆け足で箱の元へと向かう。

 

葵「ほら、ノブっち開けて開けて!」

 

露木「はいはい、ちょっと待ってろよ…。」

 

露木は箱のふたに手をかけ、ゆっくりと外した。

 

 

『カパ…。』

 

 

露木「おぉ…?!」

 

咲夜「こ、これは…?!」

 

妖夢「この束で大量に重ねられている物は…!!」

 

皆『プレートだ!!』

 

何と、箱の中にはプレートが何十枚にも束ねられて入れられてあった。

数えてみると合計『35枚』!!

 

 

葵「すごいすごい、一気に優勝へと近づいたんじゃない?!」

 

祐彦「ああ、この枚数だときっとあるかもしれない!!」

 

橙「景品、一体何なのでしょうかねぇ…!!」

 

露木「箱の中身はそれぐらいだな。さてと、俺ちょっと手が魚でヌルヌルだから海水で洗ってくるわ~!!」

 

露木はそう告げ、海へと走る。

 

 

 

 

 

『ジャブジャブジャブジャブ…!!』

 

 

露木「よしとれたな?――――ん?」

 

露木は前から迫ってくる影に気付く。その影は水面から背びれを出し、露木の方へと向かって行く。

そして、手を伸ばせば触れるほどの距離まで近づいて来た。

 

露木「…なんだ、さっきのサメか…。悪いがもう餌なんて持ってねぇぞ?」

 

 

『ザッパーンッ!!』

 

 

露木「うべぇあ?!(餌を持って無いと分かったとたんに水をかけてきたのか?!)あ、アイツ―――ん?」

 

サメは海へと方向を変え、海へと帰っていく。

すると、先程までサメがいた所に何か光っているものを露木が見つける。

 

露木「何だ?…こ、これは『真珠』だ!?なんでこんな所に…?―――ハッ!!」

 

露木はハッとする。「まさかあのサメが持って来たのか?」と。

そう思った途端、サメに一瞬でも怒りを露わにした自分が許せなくなった。

露木は海へ戻っていくサメへ向かって叫んだ。

 

露木「すまなかったーー!!少しでもお前に対して怒りを持ってしまった…!!そしてサメ、元気に生きろよ…!!」

 

サメは水飛沫を上げる事なく、海へと静かに帰って行った。

 

露木「(全く、この島の動物たちは良い子ちゃんすぎやしないか…?!)」

 

 

 

露木はゆっくりと戻っていき、再びプレート探しを再開する。

その後も葵達は、物凄い勢いでプレートを入手していくのであった。

 

 

 

 

 

 

~夕方~

 

大会の締切時間が迫り、ホテルへ次々と人が帰ってくる。

その中に葵達もいた。

 

葵「カウンターにプレートを提出して来たよー!」

 

祐彦「じゃあ結果発表まで待つか。」

 

露木「ああ、そうだな…!」

 

祐彦「…?露木、お前変わったな。」

 

露木「へっ?何が…?」

 

祐彦「フッ、別に…。」

 

露木「変な奴だなぁ…。お前が真面じゃないと困るからしっかりしてくれよ?」

 

祐彦「ああ、わかったよ。」

 

このような会話を結果発表まで続け、待つのであった。

 

 

 

 

 

――――数十分後…。

 

司会者が再び、朝と同じように皆が見える場所へと現れる。

 

 

司会者「皆さん、お疲れ様でした。怪我人が出る事もなく、無事に終えられる事を喜ばしく思います。それでは結果を発表させていただきます。」

 

 

辺りがシンッ…と静かになる。そして少し遅れたがドラムロールが入る。

 

 

『ドロロロロロロロ…ジャンッ!!!』

 

 

司会者「優勝者は『アオッチ、ノブっち、ゆづっちチーム』です!!」

 

葵「やったぁ!!優勝だよ!!」

 

露木・祐彦「…はぁ?!おま、チーム名をそれにしていたのかよ?!」

 

葵「え?うん。何かあった?」

 

露木「いや、お前な―――」

 

祐彦「そうだ、言ってやれ露木!」

 

露木「めっちゃいいセンスじゃねぇか!!」

 

祐彦「ブフッ?!(そうだ、そういえばこいつもだったな…すっかり忘れてたよ…。)」

 

 

司会者「代表者の『草壁 健汰』さん。前へ出てきてください。」

 

 

健汰「えぇっ?!代表者?!」

 

葵「あれ?言ってなかったけ?」

 

健汰「あ、あとで覚えててね、お姉ちゃん…!!」

 

健汰は葵を睨みながら、司会者の元へと向かう。

 

 

 

司会者「健汰様ですね。優勝おめでとうございます!」

 

健汰「あ、ありがとうございます…!」

 

司会者「それでは優勝景品を今、この場で発表させてもらいます。景品はこちらです!!」

 

司会者が隣にある空間を隠していたシーツをバッ!ととる。

 

司会者「景品は何と『豪華客船・スイートルーム宿泊券』です!!」

 

健汰「スイート…ルーム…?!」

 

 

 

露木「おいおい、マジかよ…?!」

 

祐彦「すこし豪華すぎやしないか?」

 

葵「す、すごいね、景品が…!?」

 

景品の正体を知った葵達は言葉が詰まるほど、驚いていた。

そして盛大な拍手と共に健汰が此方へ帰ってくる。

 

 

『パチパチパチパチパチパチパチ!!!』

 

 

健汰「す、すごい景品だったね…。何かもうお姉ちゃんを怒る気失せちゃった…。」

 

葵「(2つの意味でナイス!!)ホント、超ハッピーよ!」

 

藍「スイートルームが景品だとは思いもしなかったな…。」

 

橙「スイートルームって何人まで泊まれるんですか?」

 

咲夜「券には最大12人まで、って書いてあるわ。」

 

妖夢「スイートルームってどれくらい大きい部屋なんですかね…?」

 

露木「やっぱりビッグでゴージャスだろ!!」

 

祐彦「だろうな。 …さてと、今日は疲れた…。」

 

妖夢「私もです…。最近シャワーしか浴びていないから、お風呂が恋しいです…。」

 

咲夜「私もよ。お風呂ねぇ…入りたい。」

 

 

司会者「では大会は終了です。皆様、本当にお疲れ様でした。」

 

 

 

 

この後、葵達は自室へ戻り、しばらく過ごしてからいつもより早く眠るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~今日の主さん~

 

 

 

-博麗神社-

 

 

霊夢「…本当ね、どんどん結界の存在が薄れて、外の世界と同化しつつあるわ…!!」

 

優「いつの間にか幻想郷消滅の危機、か…。原因は何だと思います?紫さん。」

 

紫「…。」

 

昨日、結界が薄くなっているのを確認し、現在必死に抗っている所だ。

 

魔理沙「遊びに来たのにすげぇピンチになってるな…。」

 

アリス「本当ね…。大丈夫なの、霊夢?」

 

たまたま遊びにきた魔理沙やアリスもこの現状に不安を抱いている。

 

霊夢「…大丈夫っていえるほどの余裕がもうないぐらいよ…。もしかしたらこの幻想郷、あるいは外の世界で影響が出ているかもしれないわ…。」

 

魔理沙「原因、まだわかっていないのか?」

 

優「ああ。だけど、何となく心当たりがある。多分、外の世界で『能力』など非常識な事が行われている、そういう事だと思う。」

 

アリス「『能力』…もしかしてあの『露木』とかいう少年?」

 

優「いや、彼はそこまで能力を乱用する人じゃない筈だ。」

 

紫「だったら…優は何が原因だと思うのかしら?」

 

優「…俺が現代に行った時に追っていた『桂井』という男です。」

 

紫「それはどうして?貴方が薬を飲ませた筈でしょう?」

 

優「あの人は…尋常ならぬ執念を抱いていた。俺には薬で治まるほど、やわな人間じゃないと思います。」

 

紫「はぁ…そうよね。人間って力は弱いけど、並外れた()を持っているのよね。だから厄介なのよ…。」

 

霊夢「じゃあ紫、私が結界制御に集中するから、つい最近のソイツの行動、調査しなさい。」

 

紫「わかったわ。じゃあほんの少しだけお願いね…!!」

 

 

『ズズズ…。』

 

 

紫はスキマの中へと消えていった。

 

優「さてと…魔理沙、アリスさん、力を貸してほしいんです。」

 

優は2人へ向き直り、協力を促す。

 

魔理沙「へっ、そうこなくちゃな!!」

 

アリス「私達は何をすればいいの?」

 

そして2人もそれを承諾、すでにやる気満々である。

 

優「特殊な異空間を作ってほしい。」

 

魔理沙「ちょっ、さすがに難しいぜ?!そんなすぐにはできな―――」

 

優「出来ないからやらないとか、そんなんじゃない。やらなくちゃいけないんだ。」

 

アリス「そうよ魔理沙。いきなり弱音を吐くだなんて、平和ボケしちゃった?」

 

魔理沙「う、五月蠅い!!作ってやるよ、異空間を!!」

 

優「ああ頼む。使える人員は使う事にしよう。空間魔法に関して知識を持った者は…パチュリーさんとかか…。」

 

少女「お父さん、大丈夫なの…?」

 

少女は優を父と呼び、不安そうに問いかける。

優は大丈夫だよ。とあやしながら少女を抱いた。

 

優「じゃあお父さん、ちょっと仕事に行ってくるから、いい子にして待っているんだよ?」

 

少女「うん…。」

 

優「それで良し。魔理沙、アリス。俺はパチュリーさんを此処に連れてくるからそれまでに必要な物を準備しておいてくれ。」

 

 

『ダンッ!!』

 

 

優は力強く地を踏み、その場から瞬時に消えた。

 

魔理沙「全く、優の場合は全然衰えているようには感じないぜ…。」

 

アリス「そうね。ただ落ち着いた、って感じで昔より視野が広く、逆に強くなっていっているわね。」

 

 

 

 

 

 

ひそかに迫ってくる危機。

霊夢達はそれにいち早く気づき、対策をすぐにとるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は葵達が宝探しをしていましたね。露木は動物が好きなのでしょうか?猫やらサメやら、人気ですねぇ。
そして幻想郷では、なにやら危機が迫っている?!動き出した霊夢達、今後はどうなる?!
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!
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