従者現代録   作:銀の鰹節

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~前回のあらすじ~
島全体を使った宝探し大会が開催される。
 ↓
葵達が見事優勝し、景品をゲットした(今ココ!)



#18 恐ろしき執念、です!!

 

【現代入り・18日目】

 

小雨がパラパラと降る朝。いつもの部屋に葵達はいなかった。

 

 

~港~

 

葵達は日本へ帰るため、港に居た。

 

ガイド「皆様、南国楽しんでいただけましたか?」

 

葵「はい、もう本当に!!」

 

露木「それにペット用のカゴまで用意してくれて本当に有難うございます!ほら、ストレイキャットも。」

 

 

『ニャーン。(礼を言うぜ、御嬢さん。)』

 

 

ガイド「どういたしまして。それではそろそろ船が出港しますので、お乗りください。」

 

葵達は船へ乗り込む。

南国へ来てからの6日間。葵達はその1日1日にとても濃厚な思い出を作る事が出来た。

 

葵「本当に…楽しかったなぁ…。」

 

祐彦「おい、ちゃんと前見ないと壁にぶつかるぞ。」

 

 

『ガンッ!!』

 

 

葵「あだっ?!~~~ッ!!!も、もうちょっと早く言ってよ?!」

 

橙「大丈夫ですか、葵さん?」

 

葵「うん、大丈夫…。」

 

健汰「ほら、お姉ちゃん。ガイドさんが手を振ってるよ!」

 

葵「あっ今行く!」

 

葵達は身を乗り出し、見送ってくれるガイドさんへ手を振る。

 

咲夜「有難うございました、とても楽しかったです!」

 

妖夢「私、この島好きになりました、有難うございます!!」

 

藍「お世話になりましたー!!」

 

ガイド「お気をつけて~!!」

 

 

船が動き出して数分後、ガイドさんの姿が豆粒のように小さくなっていた。

 

 

露木「はぁ~…終わっちゃったな…。」

 

橙「あっという間の6日間でしたね…。」

 

葵「さてと、まず荷物を置きに部屋へ行こう!」

 

藍「あっちのようだな。行くぞ、橙。」

 

橙「はい、藍様!」

 

露木「ストレイキャット、部屋についたら頭に乗せてやるからな~!それまで待ってろよ~!」

 

 

『ニャッ。(まさか本当に俺を連れて行くとはな…。付き合ってやるよ、主人。)』

 

 

祐彦「葵、酔いは大丈夫なのか?」

 

葵「うん。こんなに船が大きければ、揺れも小さくて問題ないよ。」

 

健汰「船にテレビがある…!!こんなの初めてだからちょっと興奮してる…!!」

 

咲夜「妖夢妖夢、すごいわよ!ここにはジャグジーバスがあったのよ!!」

 

妖夢「ほ、本当ですか?!」

 

咲夜「それなりの広さだったし、葵さんや藍さんたちも一緒に入りましょう!」

 

藍「い、今か?!」

 

橙「あっいいですね!藍様、行きましょう!」

 

藍「えっ?!あっ、うぅ~~…!!わかった、行こう!!」

 

露木「(じょ、女性って風呂があったらすぐにでも入りたいのか?!)早ぇ~なぁ…。」

 

葵達は浴室の方へと向かう。男性達はストレイキャットの方へと近寄る。

 

露木「ほら、ストレイキャット。でて来て良いぞ~!」

 

 

『ニャウ。(シャバの空気だ…。あそこは狭苦しいぜ…。)』

 

 

健汰「ストレイキャットって足とかすらっとしていて美人猫だよね…。」

 

祐彦「そうだな。見ていると和むな。」

 

 

『ニャーウ。(こっちみんな。)』

 

 

健汰「あっ…あっち行っちゃった…。」

 

祐彦「見つめられるのが気にくわなかったのだろう。」

 

露木「まぁ時間経てば甘えてくるから大丈夫だ。」

 

健汰「…なにかないの、露木さん…。」

 

露木「ん~…。じゃあ覗きにいくか?」

 

 

『―――ザクッ!!』

 

 

露木「…。」

 

露木がそのような案を提案するのは予測していたようで、後ろからナイフが飛んで来た。

 

健汰「そ、それはダメだよ、露木さん…。現時点でナイフが後頭部に刺さってるし…。」

 

露木「すっげー痛い。アイツ等は冗談すら通じないのか?」

 

祐彦「俺は頭にナイフが刺さっても喋り続けるお前にちょっと興味があるぞ。」

 

露木「お、俺に興味って…すまんな、祐彦。俺は―――」

 

祐彦「どっこいしょっ!!」

 

露木「うげらばっ?!」

 

健汰「えっ?!ゆ、祐彦さん?!」

 

祐彦は露木の腕を掴み、背負い投げを決めてみせる。

その衝撃で、先程よりも深くナイフが刺さる。

 

露木「いってぇよ?!背負い投げやるならせめてナイフを抜いてからにしろよ?!」

 

祐彦「よし、じゃあ抜いてやるぞ。」

 

露木「待て、お前はダメだ!――…ケン、お前が抜け。」

 

健汰「自分で抜くという発想は?」

 

露木「抜くとき絶対に痛いから自分ではやりたくない。」

 

健汰「わかりましたよ…。我慢してくださいね。」

 

露木「あ、抜くときはゆっくりと―――」

 

 

『ズッポッ!』

 

 

露木「ウギャアァァァーーッ?!!!」

 

 

 

 

 

 

『ウギャアァァァーーッ?!!!』

 

咲夜「あら?随分と遅く悲鳴が聞こえたわね…。」

 

葵「どうする?ケン呼ぶ?!」

 

藍「な、何故葵は前からそんなにケンと風呂に入りたがるんだ?」

 

葵「だって、あの子女子耐性が低くて同年齢の女の子の友達が全くといっていい程いないの。」

 

橙「そうなんですか?私はそんな感じ全くしませんけど…。」

 

葵「そりゃあまぁ、少し同じ家で暮らしたからね…。だから一緒にお風呂でも入って、女子耐性をあげなくちゃって思うの。」

 

妖夢「健汰さんはもしかしたら女子が苦手なのかもしれませんよ?」

 

葵「やっぱりお風呂を一緒に―――」

 

藍「いや、むしろその所為で女子を避けてしまうのではないか…?!」

 

葵「…。そんなわけないない!と、いうわけでちょっと強行手段に移るよ。」

 

咲夜「え、いやでも…?!」

 

葵「大丈夫大丈夫!あの子に下心なんてないから!ノブっちーー!!健汰を糸でぐるぐる巻きにするとかして、身動きできない状態にしてー!!」

 

 

 

露木「な、何だ?!」

 

健汰「またお姉ちゃん…?」

 

 

『ほら早く!!早くしないと後で顔面バッキバキの【ピー】にするよ!!』

 

 

露木「げっ?!(そ、それだけは嫌だ?!ケンの身動きを封じればいいんだよな?)」

 

健汰「えっ?!ちょ、露木さん?!」

 

露木「すまん、葵が何をたくらんでいるかはわからんが【ピー】にされるのは嫌なんだ!!」

 

露木はそう言いながら、素早い手つきで健汰の足と手、そして体をサメを釣る時に使ったロープで縛る。

 

 

『縛ったならこっちにケンを持って来てーー!!』

 

 

健汰「ま、まさかお姉ちゃん…?!」

 

露木「えぇっ!?ふ、風呂場だぞ?!」

 

 

『いいのー!!あっ、露木はこっちに来ないで!』

 

 

露木「じゃあどーしろって言うんだ?!」

 

 

『ケンを投げて!!』

 

 

健汰「ふざけるなーッ!!!」

 

露木「ケン、アディオス!!」

 

健汰「露木さん~!!?」

 

露木は葵の言う通りに、風呂場へと健汰を投げる。

地面にバウンドする度、グエッ?!などの苦しむ声が聞こえたが、露木は聞こえないふりをした。

 

露木「すまん、ケン…!!」

 

祐彦「お前、葵に【ピー】されたのか…。」

 

 

『ニャウン。(主人…。アンタは頑張ったよ。)』

 

 

 

 

 

 

『ガンッ!!』

 

健汰「ウガッ?!~~~ッ!!お、お姉ちゃん何でこんな事をするのさ?!」

 

葵「いいからいいから~♪」

 

健汰「お姉ちゃん、タオル、タオルを体に巻いて!!」

 

葵「ケン、あんたもうちょっと女の子に耐性もちなさいよ~。」

 

健汰「ふっざけんなっ?!余計なお世話――――」

 

葵「それ、投下~♪」

 

健汰「ちょっ?!」

 

 

『バッシャーン!!!』

 

 

葵は健汰を軽々と持ち上げ、そのまま皆が入っている風呂へを投げ入れた。

 

 

藍「あ、葵?!ケンは縛られているから自力で立てないぞ?!」

 

葵「…あっ?!そうだった!!」

 

 

『ブクブクブク…!!』

 

 

咲夜「だ、大丈夫?!」

 

健汰「ブハァッ?!ゲホッ、ゴホッ!!お姉ちゃん…後で覚えてろよ…!」

 

溺れかけていた健汰を咲夜が引き揚げ、何とか呼吸を確保させる。

 

葵「いやぁゴメン!」

 

健汰「それよりも早く縄を―――ってうわぁっ?!」

 

健汰は目の前に広がっている光景を見てしまい、顔を紅潮させる。

手で顔を隠す事が出来ない為、健汰は全力で目を閉じる。

 

葵「も~それじゃあ意味ないじゃん!」

 

健汰「お姉ちゃんのバカ?!こんなの直視できるわけないじゃん?!」

 

葵「はぁ…。それよりもまず服を脱がせようか。さすがに着衣アリの入浴は気持ち悪いでしょ?」

 

健汰「ちょっ?!服に手をかけないで?!ズボンもダメだってば?!」

 

葵「よいではないか~よいではないか~♪ってあら…?ケン、アンタお腹になんかできものがあるわよ?」

 

健汰「えっ?」

 

葵の言う通り、健汰の腹部にへんなでっぱりがあった。

 

健汰「なんだコレ…?いつからあったんだ?」

 

藍「…。ケン、ちょっと触るぞ。」

 

健汰「えっ?あっはい…。」

 

健汰は断ろうとしたが、藍の真剣な表情から何かが違うのを読み取り、藍にそのでっぱりを触らせた。

 

藍「…。(硬い…。明らかに骨とは別の物だ…。)日本へ帰ったら病院へ行った方がいいだろう。」

 

咲夜「結構大きいわね…。ケン、押してみるわよ?」

 

 

『グッ…!』

 

 

健汰「それ程痛くない…。」

 

咲夜「大きさ4cmぐらいね…。」

 

妖夢「何かの病気なのでしょうか…?」

 

健汰「こればっかしは病院で検査しないとわからなさそう…。とりあえずこの縄をほどいてくれない?あと、出来ればみんな、隠すところはかくしてほしい。」

 

葵以外『あっ?!ご、ゴメン!!』

 

葵「何か災難ね、ケン。」

 

健汰「お姉ちゃんのお蔭で見つけられたから、あまり怒れないんだよなぁ…。運が悪いのか良いのやらよくわからないや…。」

 

健汰は葵に縄をほどいてもらい、トボトボと浴室を出て行った。

 

 

 

 

露木「おっ、無事に戻って来たか!…ってどうした、元気ねぇな?」

 

健汰「ま、まぁちょっと色々と疲れちゃった…。着替えてくる。」

 

健汰はそういって、隣の部屋へいった。

 

祐彦「葵の奴、ちょっと暴走気味だなぁ…。ちょっとストッパーをかけとくか。」

 

露木「おう、ぜひ頼む!」

 

 

 

それから数分後、葵達も浴室から戻ってきて全員が部屋に揃う。

 

 

葵「よし、そろそろお昼だし、ご飯食べにいこう!」

 

露木「何処に行けばいいんだ…?」

 

健汰「どうやら地下に巨大なフロアがあって、そこに飲食店があるらしいです。」

 

咲夜「じゃあそこへ行きましょう。」

 

祐彦「成程、ハンバーガーの店が多いんだな。」

 

藍「ピザとかハンバーガー系の物が多いな。」

 

橙「ハンバーガーを食べてみたいです!」

 

妖夢「じゃあ行きましょうか。地図の前に立ってても何も変わらないので。」

 

葵「そうだね、じゃあいこーう!!」

 

露木「ああ!―――っと忘れる所だったぜ…。ストレイキャット、お前はここでお留守番な。キャットフード、置いておくから食えよ。」

 

 

『ニャー。(わかった。主人も行って来い、他の人はもう部屋を出てるぞ。)』

 

 

露木「ん?って、おい?!俺を置いてくなよぉ~?!」

 

 

葵達は部屋を出て、地下の巨大フロアへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「凄いわね、船の中に木があるわよ?!」

 

妖夢「本当ですね!それにおいしい匂いがこの空間に充満していますよ…!!」

 

健汰「うん、俄然食欲がわいてきた…!!」

 

葵「皆は何を食べたいとかある?」

 

橙「私はハンバーガーがいいです!」

 

葵「他にはいる?」

 

祐彦「いなさそうだし、ハンバーガーでいいだろう。じゃあ注文してくるからメニューを選んでくれ。」

 

葵「あれ?祐彦が奢ってくれるの?」

 

祐彦「このぐらいの値段なら奢る事も可能だ。」

 

露木「よっしゃあっ!!じゃあ俺はこれとこれと~♪」

 

祐彦「露木、お前は別だぞ?」

 

露木「何ィッ?!お前、裏切ったな…?!」

 

祐彦「冗談だ、冗談。実は葵の親父さんから食費を少し渡されていたんだ。」

 

葵「えぇっ!?何で私に渡さなかったの?!」

 

祐彦「本人によれば、過去の行いから不安だから、といってたぞ?お前、何をしたんだ?」

 

葵「(ま、まだショッピングモールの事を根に持ってたんだ…。)」

 

祐彦「それよりも決まったか?決まったのなら順番に1人ずつメニューを言ってくれ。」

 

葵「ノーマルバーガー!」

 

健汰「チーズバーガー。」

 

露木「チーズで!」

 

橙「ノーマルバーガーです!」

 

咲夜「私はチーズで。」

 

妖夢「私はノーマルで。」

 

藍「私と橙もノーマルで頼む。」

 

祐彦「何だ?他にもメニューがあるけどいいのか?みんな同じ奴を頼んでいるけど…。」

 

葵「大丈夫、個人で選んだ結果だから!」

 

祐彦「まぁ俺もチーズなんだけどな。わかった、オーダーしてくるから席でも確保して待っていてくれ。」

 

祐彦はメモを持って、カウンターへと向かって行く。

葵達はその間に、場所を決める。

 

藍「あそこの角でどうだ?」

 

葵「そうだね、あそこならあまり周りにも迷惑をかけなさそうだね。」

 

露木「じゃあ行こうぜ!」

 

葵達は椅子に座り、祐彦を待つ。

 

 

 

 

―――5分後…

 

祐彦「ちょっと時間がかかったが出来たぞ。」

 

祐彦は4枚もの御盆を、究極のバランスで葵達の元へと運んでみせた。

 

妖夢「あ、危ないです?!」

 

祐彦「ありがとう、妖夢さん。テーブルに並べてっと…。これがチーズ、これがノーマルだ。」

 

葵「おお~、出来たでで温かい!じゃ、いただきます!!あむっ…! …。 …!!うん、おいしい!!」

 

露木「な、何だこのハンバーガーは?!肉を噛んだら肉汁がブワッと出て来たぞ?!」

 

藍「この香り…レモンか?!この溢れる程の肉汁でくどいと思ったら、そうではなく、少量いれられたレモン汁がサッパリした感じをだし、口を進ませる…!!」

 

妖夢「それだけじゃない、このピクルスもです!!酸っぱすぎず、素材本来の味を残し後から優しくやってくる甘さ!!これ、本当においしい…!!」

 

咲夜「チーズの場合も凄いわ…!!中にケチャップが多めに入っていて、トマトの酸味がガツンときた後に、チーズの濃厚な味で包み込む…!!」

 

祐彦「本当だ、咲夜さんの言う通りケチャップとチーズが合うな。それに肉もだ…!!」

 

健汰「す、すごい食レポ…?!」

 

橙「皆さん、これをかけてみてください!」

 

皆『…?』

 

橙が持っていたのは葉っぱの粉末。匂いを嗅いでみるとバジルの匂いがした。

 

葵「バジル…?」

 

祐彦「なるほど、橙ちゃん。それ俺にもかしてくれ。」

 

橙「はいどうぞ。」

 

祐彦「ありがとう。―――あむ。 …。うん、橙ちゃん、いい発見だね。」

 

葵「私、そういう系が苦手だけどおいしい?」

 

祐彦「ああ。香りを際立たせるんだ…!!肉とバジルの香りが混ざり込み、そこにパンの風味もやってくる…。まさに絶品だな。」

 

露木「ど、どれ俺も…。 …―――ウマァァイィッ!!!なんっじゃこりゃ?!革命だ、革命だぞ?!」

 

葵「そ、そこまで凄いなら私も…。 …!! ほ、本当だぁーッ!?何これ、香りってこんなに重要だったんだ!!」

 

咲夜「…!ホント、おいしいわね!」

 

妖夢「と、止まれません!?止める事が出来ません?!」

 

健汰「本当に、このハンバーガー今までで一番旨いよ…!!」

 

 

葵達は凄い勢いでハンバーガーを食し、5分も経たない内に全員が完食した。

 

 

祐彦「おいしかった。それじゃあお盆を返却するから待っててくれ。」

 

祐彦が4枚のお盆を持っていく。そして返却したと同時の事だった。

 

 

 

 

『ボゴォーン!!!』

 

 

葵達『何ッ?!』

 

大きな爆発音が聞こえ、同時に悲鳴が起こる。

 

祐彦「今の音、爆発だ!!」

 

露木「機械の故障か?!取りあえず地下じゃ危険だ!!部屋へ一旦戻ろう!!」

 

葵達は全速力で階段を駆け上り、部屋へと辿りつく。

 

葵「あっ、煙があがってる!!」

 

健汰「ちょっとまって、あそこって…?!」

 

咲夜「なにかマズイの?!」

 

健汰「うん…本当にヤバい。煙の出ているあそこ、燃料タンクだよ…。」

 

露木「―――ッ!!ストレイキャット、カゴに入れ!!」

 

 

『ニャウン。(そうしておくぜ…!!)』

 

 

妖夢「(外は大雨…!!波も高くなっていているし何て最悪な状況…!!)」

 

葵「よし、甲板で救命ボートを出しているから私達も手伝いに行こう!必要最低限の荷物だけをもっていくよ!!」

 

皆『はい(ああ)!』

 

甲板へ向かおうとした時、この船全体にアナウンスが入る。

 

 

『ピーンポーンパーンポーン…!!』

 

 

祐彦「アナウンス?避難の呼びかけか?」

 

 

『乗客よ…。この船は占拠した…!!命が惜しければ以下の8名を拘束しろ。』

 

 

葵「この声…?!」

 

妖夢「ま、まさか…?!」

 

祐彦「何故だ…アイツは俺達が倒して、優さんに記憶を消してもらった筈じゃないのか?!」

 

露木「この声は…『桂井』ッ!!」

 

アナウンスから聞こえた声。それは桂井の声であった。

葵達は困惑した。「なぜ桂井が此処に?!」と。

 

 

『その8名の名は…【草壁 葵】【草壁 健汰】【信寺 露木】【古森 祐彦】【十六夜 咲夜】【魂魄 妖夢】【八雲 藍】【橙】。以上8名を拘束し、操縦室へと連れて来たものは助けてやろう。』

 

 

葵「…ッ!!アイツ…ッ!!」

 

健汰「ァァ…アァァアアァァァ?!!!」

 

露木「ケン?!どうした、ケン?!」

 

祐彦「急に頭を抑え込んでどうした?!」

 

健汰「何かが…何かを忘れている…!!ア゙ッ――ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ?!」

 

藍「まずいッ?!(ケンの精神が削られて、生命までもが揺れている!!)――とりあえず、ちょっと休んでてくれ。」

 

 

『ガッ!』

 

 

健汰「あぅ…。……。」

 

藍は健汰の頭に衝撃を与え、気絶させる。

 

藍「よし…。健汰は私が背負う。それよりも操縦室へ行こう。桂井は必ずそこにいる!」

 

葵「わかった…!!(もしかしたらこの状況を打破できるかもしれない…!!だったら多少のリスクは仕方のない事…!!)」

 

葵達は部屋を出て、操縦室へ向かって走り出す。すると途中で、人々が前に立ちはばかる。

 

 

人A「あの顔…。アイツ等だ、アイツ等を拘束して操縦室に運べば助けてくれるんだ!!」

 

人B「くっ…!!すまない、少し手荒だが、少しで終わる…!!」

 

咲夜「あの紙…私達の顔写真が載っているじゃない?!」

 

妖夢「これでは操縦室に行くまでに人達が…!!」

 

藍「ハァー…(仕方ない、緊急事態だからな…)――――――――『失せろ』…!!」

 

人々『っ?!うわぁぁ?!!』

 

藍が大きく息を吐いた後に、言い放った声。

その声はこの世の物か分からなくなるほど悍ましく、何人たりとも抗う事を許されない絶対的王者の覇気を纏っていた。

そのお蔭で前に立ちはばかる人々は腰をぬかし、ある人は泡を吹いて気絶までしていた。

 

藍「すまない、時間がもうないんだ…!!マップは頭に入れておいた!!全速力で走るからついて来い!!」

 

露木「は、速ッ?!姿を見失わないように追いかけるのがやっとだぜ?!」

 

祐彦「おい露木、横に避けろ!!」

 

露木「へっ?!」

 

葵「―――――!!」

 

露木「うわっ?!」

 

葵は藍とほぼ同じスピードで走り抜ける。しかも背中には橙、両手には咲夜と妖夢を持っていた。

 

露木「ば、バケモンか、アイツ?!」

 

祐彦「喋ってないで、俺達も行くぞ…!!」

 

露木「ああっ!!」

 

2人も藍達を追いかけて、操縦室へと向かう。そしてほんの30秒で辿り着くのであった。

 

 

藍「…。全員、準備は良いか?」

 

皆『コクン。』

 

藍「よし、じゃあ行くぞ―――」

 

 

『バンッ!』

 

 

全員「ッ!?」

 

扉を開け、勢いよく入ると、目の前には地獄絵図が広がっていた。

 

葵「うっ…?!(血生臭い…?!)」

 

露木「こ、この部屋…一面血でびっしりだ…!!」

 

床には、人が無残な姿となって散乱しており、壁や天井には血が滴るほどびっしりとついていた。

そして部屋の奥、操縦機の主電源の上には桂井が座っていた。

 

 

藍「桂井、これはどういう事だ?!」

 

桂井「どういう事…?これは『復讐劇』だよ…。」

 

咲夜「貴方は記憶を消されたんじゃなくて…?」

 

桂井「あぁ…一時期な。―――そうだ、このままお前らを殺したっていいんだが昔話をしよう…。」

 

妖夢「昔、話…?」

 

桂井「あぁ。俺が何故前まであんな事をしていたか、そして今お前らに復讐しようとしているか全てが分かる話だ…!!時はさかのぼる事30年―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――幼い頃から俺にはまず両親が居なかった。…だが妹という家族はいた。俺は妹と孤児院で暮らしていた。

 

 

少女「お兄ちゃん、何か今日明るいね!いいことあったの?」

 

 

少女「えっ?!科学分野で新発見?!やったね、お兄ちゃん!」

 

 

 

 

―――けれど、俺が二十歳になった日に、最悪な事件が起きた。

 

 

少女「いっイヤ?!ヤダ、誰かぁ?!誰か助けて――――」

 

 

 

 

―――俺の妹は…孤児院に新しく配属された男性に襲われた。怪我もしていて病院に搬送された事を俺は聞いて、すぐさますっ飛んださ…。

 

 

医師「貴方の妹さん…怪我は問題なかったのですが、心身的な影響が激しく―――」

 

 

少女「いやぁっ?!来ないでっ?!やだっ?!いやあぁぁっ?!!」

 

 

 

―――妹は心に大きな傷を負い、男が苦手となり、俺にすら怯える様になった。それからわずか三日後、妹は全ての記憶を捨てた。

 

 

少女「…。」

 

 

 

―――いや、記憶を捨てたというよりも心を捨てた。話しかけても反応せず、生きたお人形状態となった。それから9年後、絶望的な言葉が医師から告げられた。

 

 

医師「…末期のがんです…。もうすでにあちこちに転移していて、余命あと――――」

 

 

 

―――がんだった。しかももう既に進行が進んでいて、ただただ抗がん剤治療をするだけだった。だけどその3か月後、神様は私を助けてくれるかのように幸運な事が起こった。

 

 

桂井「はぁ――!!完成したぞ!!やっと、完成したぞ!!あは、アハハハハッ!!」

 

 

桂井「な、何だ…?この感じ…?俺は人を操れるのか…?!――これなら、これなら実験も可能だァ!!」

 

 

 

―――私が研究していた物が完成し、妹を助けられるかもしれないと思った。その時は人生で一番うれしく、楽しい時だった。その時から、人生を楽しく行きたくはありませんか?と家を訪ねては操り、訪ねては操りを繰り返していた。薬の効果があと少しで完成、という所で不運にもお前らと出会った…!!

 

 

祐彦「ウオオオオッ!!!」

 

 

桂井「グハアッ?!(クソッ?!ここで終わる訳にはいかないんだ…!?あと少し、あと少しで完成なんだ…!!)まだだ、まだ―――」

 

 

葵「ハアッ!!」

 

 

桂井「ガ…ハ…?!(ここで終わ…る訳、には…いか、な…い……。)」

 

 

 

優「すまないな、記憶を消去させてもらう――!!」

 

 

桂井「ぅ…ぁ…?!!(私は妹を…助けなくてはなら――――)」

 

 

 

―――ここで私の人生は尽きた。机の上にあった日記、私は何気なく開いてみた。するとどうだ?!妹の、健康状態が記録されていたじゃないか?!俺はすぐさま妹の所へ走って向かった。

 

 

医者「…お電話をかけたのですがつながらなくて…。×月○日――時~分の事でした…。」

 

 

桂井「あ、う…あぁ?!(そんな…馬鹿な?!研究は間に合った筈じゃあ…?!――――ッ!!)」

 

 

 

―――亡き妹の目の前で全ての記憶が蘇った。ものすごい復讐心に襲われ、自分には能力も再び宿り、まるで神様が力を貸してくれているようだった。

 

 

桂井「そうか…。神様も、あの8人が許せないんだね…?いいよ、一緒にタオソウ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葵「妹を助けるため…。」

 

桂井「あぁそうだ。あともうちょっとで間に合ったのに、お前らの所為で間に合わなかった―――お前らが妹を殺したんだーッ!!」

 

桂井は怒号を発する。

 

桂井「お前らの所為で、妹は死んだ!!私は―――俺はお前らが憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いィィーーーッ!!!ぶっ殺す!!」

 

桂井が今にも襲いかかって来そうなとき、葵は叫んだ。

 

葵「桂井!!お前は妹を助ける為に何人もの人間を犠牲にしてきたのか?!」

 

桂井「ッ?!あぁ、そうだ。妹を助ける為には必要な犠牲だ…。それがどうした!!」

 

葵「そんな非人道的な行為によって生まれた薬で、妹は生きていきたいと思うのか?!」

 

桂井「ッ?!――――ぅああ、黙れ殺人鬼ィィーーーッ!!!」

 

葵「――ッ?!」

 

桂井は葵に向かって、飛び込んでくる。

 

咲夜・妖夢「ハアッ!!」

 

桂井「ぐぉぉ?!!」

 

 

『バンッ!!』

 

 

そこに咲夜と妖夢が反応して、桂井を弾き飛ばす。

 

桂井「クッ、クソォ…!!(俺とした事が…冷静さを失ってむやみに突撃したらこのざまだ…。だがいい、次から気を付ければいいのだからなぁ…!!)」

 

露木「今回は俺も居るぜ―――」

 

祐彦「待て露木!!無暗に突っ込むな!!」

 

露木「――ッ!!っとと、危ねぇ…。あのまま突っ込んでたら死んでた…。アリガトよ、祐彦。」

 

桂井はただ立っているだけ、とでも思ったら違った。全身に意識を集中させ、全方位の感覚を研ぎ澄ましていた。

 

桂井「中々冷静な奴だ…始末するなら奴からだな…!!さてと…ステージを変えようじゃないか…!!」

 

藍「ッ?!何だ、その力は―――?!」

 

桂井「フハハハッ、砕けろォ!!!」

 

桂井は掌に濃縮された霊力の塊を生成し、自分の真下へと放つ。

 

 

『ズギュン!!』

 

 

霊力の塊は容易く船を貫通させ、海底で爆発した。

 

 

『ボゴォォンッ!!!』

 

 

桂井「フハハハッ、どれこっちにも―――!!」

 

藍「マズイ、全員伏せろ!!」

 

 

『ズギュン!!』

 

 

桂井は霊力の塊をもう一個生成し、今度は藍達に向けて発射する。

藍の声掛けにより、何とか回避する事が出来たが、今度は付近で爆発が起きる。

 

 

『ズガァァンッ!!!』

 

 

葵達「くああっ?!!」

 

桂井「フフフ…!!来い、甲板へ移るぞ!!」

 

桂井は操縦席の天井に穴を開け、飛行して出て行った。

藍達もそれを追う。

 

桂井「さて、第2ラウンド開幕だ…!!」

 

咲夜「こうなったら能力を使って戦わないと死ぬ…!!」

 

桂井「おいおい、能力を使っていいのかァ?!幻想郷と現代、どっちの世界(・・・・・・)にも能力なんて(・・・・・・・)あったら幻想じゃ(・・・・・・・・)なくなる(・・・・)んだぞォ!!」

 

藍「―――ッ!?咲夜、能力は使うな!!」

 

咲夜「えっ?!でも―――」

 

桂井「そうだ、それでいい。でなければ幻想郷とこの世界を隔てる壁が無くなり、全てが消失しちまうんだからなァ…!!」

 

藍「やはりか…!!」

 

葵「ってうわわ?!船が傾いて来ているよ?!」

 

祐彦「船底に穴を開けられたから沈んでいっているんだ!!」

 

露木「救命ボートでここの乗客は粗方逃げたか…。だが、その方がいいな。全力で、アイツを止める事が出来るし、死傷者も出なくて済むだろう…。」

 

桂井「死傷者が出ない?何を言っているんだ?よく見とけ、あの救命ボートを!!」

 

桂井は再び掌に霊力の塊を生成させ、今度はそれを救命ボートがある方向へと向ける。

 

露木「なっ―――ふざけんな?!やめろおいッ?!」

 

桂井「いいや、ダメだねェ!!俺は元からこの船に乗っている全員、あわよくば全世界を消し飛ばそうとしているのだからなァ!!死ねいッ!!」

 

 

『ズギュン!!』

 

 

藍「くっ…!!葵、健汰を頼む―――」

 

葵「えっちょっ、藍さん?!」

 

 

『ズガァーンッ!!』

 

 

桂井から放たれた霊力の塊は見事着弾し、大きな爆発を見せた。ただし、救命ボートへの軌道線上で…。

 

藍「グフッ…?!(この威力…?!奴は全てを殺す気だ…!!)」

 

葵「らっ…藍さぁぁーーーん!!!」

 

藍は救命ボートに乗っている人達を助けるべく、軌道上に移動し被弾した。その光景を見た桂井は快感に溺れていた。

 

桂井「アハ…アヒャヒャヒャヒャ!!!まずは1人ィーーッ!!」

 

咲夜「『咲夜の世界』」

 

 

『ヴーン…!!』

 

 

咲夜「藍さんには使うなといわれたけれど…それは無理ってものがあるわ…!!貴方を許さない…ッ!!」

 

咲夜は桂井の四方八方にナイフを投げつける。逃げ場など桂井には残されていなかった。

 

咲夜「『そして時は動きだす―――』」

 

 

『ググググ…!!!』

 

 

桂井「んっ?!(時止めか――)それは対策済みだ、咲夜ァ!!!」

 

 

『ヴンッ!!』

 

 

咲夜「えっ?!」

 

時が動き出すと同時にナイフも桂井の方へと行った。そこまでは良かった。

だが当たる直前にナイフが消え、地面に気付けば落ちていたのだ。

 

桂井「どれ、面白い物を見せてやろう!!」

 

桂井は落ちているナイフを拾い、咲夜へ投げようと予備動作で腕を上げた。

 

 

『ザクッ!!』

 

 

咲夜「ガッ?!(えっ――― 体に…ナイフが刺さっている、の…?!)」

 

葵「咲夜さん?!」

 

桂井がナイフを投げる瞬間が訪れる前に、咲夜にはナイフが刺さっていた。そして刺さったと同時に桂井は投げる動作を終えた体勢であった。

 

 

祐彦「何か…何かがまずい!!(一旦、船の中へ体勢を整えに逃げたいが、逃げればあの救命ボートの人達が襲われる…!!一体、どうすれば良いんだ…!!)」

 

露木「祐彦、桂井の奴の能力が明らかに変異していやがる。俺がゆっくりと闘うから祐彦は奴の能力を暴いてくれ…!!」

 

祐彦「ま、待て露木!!」

 

露木「行くぜ―――『五色糸(ゴシキート)』!!」

 

 

桂井「ッ?!」

 

 

『ギャキイン!!』

 

 

露木「『弾糸(タマイト)』!!」

 

桂井「そんなもの、話にならん…!!」

 

露木「…!!(まただ…、また被弾せずに通過した…!!一体、どういう事なんだ?)まだまだぁ!!」

 

 

祐彦「くっ…!!(露木の為にも早く謎を解かなくては…!!まず弾が被弾せずに通過する。そして投げる動作をしなくても次の瞬間には投げ終わっていた…!!)」

 

 

露木「…試に撃ってみるか…。『弾糸(タマイト)』!」

 

桂井「学習しねぇな?!だから無駄だ、つってんだろ!!――――グハッ?!」

 

 

祐彦「何ッ?!」

 

露木「当たった、当たったぞ!!祐彦、今俺が撃ったのはだんだん弾速が遅くなる弾だ!目の前から急に消えたと思ったらすでに奴に命中していた!!つまり、瞬間移動能力系だ!!」

 

祐彦「瞬間移動…?!(いや、だったらさっきのナイフ投げの説明がつかないぞ…?もう一度考えろ…。投げ終わっている…弾が被弾せずに通過…弾速遅くだと被弾…。)ッ!!」

 

祐彦の頭の中に、ある1つの言葉が浮かび上がる。祐彦は早速それを露木へ伝える。

 

祐彦「露木、時間だ!!時間を飛ばしていたんだ!」

 

露木「時間を消し飛ばすぅ!?」

 

祐彦「ああ!ビデオを見る時、早送りではなく時間飛ばしの機能もあるだろう?きっとそれに等しい筈だ!!」

 

露木「なるほど、時間か…!!(でも能力がわかったからといって、どう攻撃すればいいんだ?!)」

 

桂井「ほう…面白い!!じゃあ今度は俺の番だァ!!」

 

露木「もっもう一度、『弾糸(タマイト)』!!」

 

 

『ズガンッ!!』

 

 

桂井「フッ、ただ避ければいいだけだ!!」

 

露木「うげぇ~?!や、やっぱりそう来る~?!」

 

桂井「死ねェェ!!」

 

祐彦「避けろ、露木!!」

 

桂井が露木へ手を伸ばした、その時だった。

露木の表情が、少しニヤついた。

 

露木「ダメだ、死ぬ――――とでも言うと思ったか、マヌケがァ!!」

 

桂井「グハッ?!」

 

露木へ突進していた桂井が急に後ろへと引き戻される。

そして船の壁に打ち付けられたまま、動けなくなっていた。

 

露木「俺がさっきから無暗に弾糸を撃っていたと思うか?!いいや、違うね!

俺は糸を完全には切り離していなかった!!そしてさらに、俺が撃っていた弾は全て糸でつながっている!!今まで撃った弾がめり込んでいるその壁に、お前が左右に動かなかったから引っ掛かったのさ!!妖夢さん、その大きな刀でアイツをぶった切ってくれ!!」

 

妖夢「やっと、捕まえれましたね…!!さすがです!あとは私にお任せを―――」

 

 

桂井「フハハハ、素晴らしい!!まさか俺を陥れるだなんてなぁ!!だが、詰めが甘い…。俺の能力が時間を飛ばす事だといったかァ、マヌケ共ォ?!」

 

 

妖夢「ハアッ!!」

 

 

『ズパンッ!!』

 

 

妖夢の刀は、桂井を縛っている糸ごと、桂井を斬った。

 

 

桂井「グフッ!!」

 

妖夢「よし、終わりましたね…。」

 

 

露木「――――…ッ?!妖夢さん、下がって!!」

 

 

妖夢「えっ?―――クッ?!」

 

桂井「アヒヒヒヒ!!逃げられちゃったぁ~!!」

 

 

祐彦「なんだ、アイツは…?!体を斬られたというのに笑っている…!?」

 

 

桂井「ほら、クソカス共ォ…この傷をよく見とけェ!!」

 

 

『ジュゥゥ…』

 

 

祐彦・露木・妖夢「なっ?!」

 

桂井の傷はみるみる癒えていく。その再生スピードは吸血鬼にも勝るぐらいだった。

 

桂井「治ったぞ…!!これが、妹に投与するはずだった薬の力よッ!!」

 

露木「何て奴だ…!!訳のわからない能力だけじゃなく、圧倒的再生力をも持っているのかよ…!!」

 

 

桂井「さて、と…そろそろ良いだろう…。」

 

 

桂井は葵達の方へと向き直る。

 

露木「おい…?!まさかアイツ―――」

 

 

桂井「草壁葵!!お前らが妹を殺したなら、俺はお前の弟を殺してやるよ!!」

 

 

葵「…。させはしない。絶対に守って見せる…!!」

 

葵は倒れている藍達を護るように桂井の前へ立つ。

その時、気を失っていた健太の意識が覚醒する。

 

健汰「ん…んぅ…?ぼ、僕は確か…―――ハッ!!(…思い出した、僕は一度南国で桂井と出会っている!!そしてその時にこのお腹の中にある異物は…!!)」

 

葵「ケン、私から離れないでね…!!」

 

健汰「ダメだお姉ちゃん、早く俺から逃げて!!」

 

葵「ケン…?」

 

健汰「ハッ!(藍さんに咲夜さん…?!ここじゃダメだ、自分が移動するしか―――)」

 

 

桂井「言っておくが、草壁健汰を殺すのは簡単だぞォ…?このボタン押すだけだからな…!!」

 

 

健汰「桂井の持っているアレ、アレが恐らく起動させるんだ!!(もう、間に合わない…。ゴメン、皆…。)」

 

葵「ケン…?!アンタ何処に行くの、待ちなさい!!」

 

健汰は走り出した。誰もいない方へと向かって。そして葵は気付いた。

健汰の顔から滴る水は、雨水などではなく涙なのだと…!!

 

 

桂井「んぅ…?記憶を取り戻したのか?まぁいい。草壁葵ッ!そこで貴様の弟が散り散りになるのを見てるがいい!!」

 

 

葵「待って、ケン!!」

 

健汰「お姉ちゃん来ちゃダメだ!!僕の体には―――」

 

 

桂井「死ね、草壁健汰ァ!!!」

 

『カチッ!』

 

 

桂井が手に持っている装置のボタンを押すと同時に、健汰の腹が光り出し、健汰は一瞬にして肉片と化した。

 

 

 

葵「え―――」

 

露木「なっ―――」

 

祐彦「くっ――――」

 

妖夢「あ―――」

 

4人『―――健汰ァァァァ!!!?!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は南国から出て、日本へと帰り始めましたね。しかし、その途中で何と桂井が…!!
圧倒的力を見せつける桂井。はたして、葵達はどう立ち向かうのか!!
それでは次回も楽しみにして待っていてくれると有難いです。
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