従者現代録   作:銀の鰹節

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『従者現代録』。特に言う事はありませんのでそのまま本編へお進みください。
楽しみながら読んでいただけると有難いです。


#1 外の世界に行ってきます!!

~幻想郷・紅魔館にて~

紅魔館の地下にある広大な図書館にて、多くの人達が集まっていた。

何をするのかというと、とある者達が幻想郷から離れて現代へ、つまり外の世界へと旅立とうとしているのだった。

 

??「お嬢様…!!私は貴女様の元で働ければ幸せなのです!!ですからもう一度お考えを…!」

 

メイド服を着た銀髪の女性『十六夜 咲夜』は、紅魔館の主『レミリア・スカーレット』の腕を掴んで訴える。

 

レミリア「ちょっ、咲夜…(言えない…酔っぱらったノリでこうなったとは言えない…!!)咲夜、貴女の世界は狭すぎる。外の世界へ行って知識を蓄えてきなさい」

 

咲夜「そ、そんなぁ…」

 

?「紫様、本当に大丈夫なんですか?帰ってきたら幻想郷が壊滅状態って事はありませんよね?」

 

狐の尻尾9本生やした金髪の女性『八雲 藍』が、この世で一番幻想郷を愛する者、そして主でもある『八雲 紫』に問う。

 

紫「藍、大丈夫よ。心配する事なんて1つも無いからゆっくりと休みなさい」

 

藍(心配だ…)

 

藍と紫の横では、白玉楼の主の『西行寺 幽々子』と従者の『魂魄 妖夢』が似たような会話をしていた。

 

妖夢「ほ、本当に大丈夫ですか?!長期戦になってしまえば2週間以上もかかりそうな予感がするのですが…?!」

 

幽々子「大丈夫よ!妖夢の事を考えたら2週間だなんて短い短い!…その分しっかりと(外の世界の料理を)取得してくるのよ…?」

 

妖夢「幽々子様…失礼ながらお聞きしますが、料理と私、どっちが好きですか?」

 

幽々子「それは妖夢に決まっているじゃない!」

 

妖夢「幽々子様…!!わかりました、しっかりと休んで参ります!!」

 

幽々子(妖夢がいなかったら料理が食べれないしね♪…あれ?それって結局は料理が…まぁいいや!)

 

これから現代へ旅立つ者達が一言いい終わった事を確認し、紫が前に出る。

 

紫「それじゃあメイドさん、藍、庭師さん。これから現代への休暇、という訳で楽しんでらっしゃい」

 

藍・妖夢「はいっ!」

 

咲夜「うぅ…お嬢様ぁ…!!」

 

紫「それじゃあスキマオープン―――」

 

紫が3人の足元に、スキマを作り出した瞬間だった。

 

 

『藍様ーーーッ!!やっぱり橙も行きますーーーッ!!』

 

 

紫「えっ―――アダッ?!」

 

なんと見た目が10才ぐらいの少女が、紫を押しのけて藍に飛びついたのだった。

 

 

『ソプッ!』

 

 

そしてそのまま4人はスキマの中へと消えていった。

 

紫「…!!しまった、今の衝撃で座標がずれた!!」

 

レミリア・幽々子「えぇっ?!」

 

紫「それに1人増えた所為でスキマも安定していない…!現代には送り届けれた可能性が高いけど、何処にいるかが全く分からなくなったわ…!!」

 

そして紫はもう1つ重大な事を思い出す。

 

紫「あ、お金を持たせるの忘れてた…」

 

レミリア「ハァァ?!!」

 

幽々子「早く、早く連れ戻して!!」

 

紫「直ぐには無理ね…私の体力的にも捜索は1日に4時間が限界ね」

 

幽々子「そ、そんなぁ…」

 

紫「大丈夫よ。あの子達は幻想郷育ちなのだから少しの間は自力で生きていけるわよ…(そしていかに早く見つけだせるか。もし並行世界へ飛ばされているとしたら厄介極まりないわね…)」

 

紫が焦りを見せているその時、追い打ちをかける出来事が起こる。

この図書館の管理をしている『小悪魔』があるものを見つける。

 

小悪魔「あの…このバックは何でしょうか…?」

 

3人「え…?」

 

紫「まさか…あの子達何にも持たずにいってしまったの?!(ま、マズイ!!飲まず食わずだったら咲夜か妖夢が先に死ぬ…!!何とかしないと…!)」

 

 

 

 

 

~一方、スキマに落ちた4人は~

 

藍「ちぇ、橙?!何故ついて来たんだ?!」

 

橙「うぅ~…藍様と離れたくなかったんですぅ~~!!」

 

妖夢「こ、これではもう連れていくしかありませんね…」

 

咲夜「あぁ…お嬢様、お嬢様ぁ…!!」

 

藍「す、すまないな。迷惑を掛けてしまった…。橙、もうついて来てしまったから責めないけど、現代では私から離れないように!」

 

橙「はいっ!藍様!」

 

4人が少しの間、スキマの空間で漂っていると、奥に光が見えた。

 

藍「あれが出口だ。さて、気を引き締めろ…!!」

 

妖夢「げ、現代への扉がすぐそこに…!!」

 

咲夜「…よし、もう大丈夫。覚悟は出来たわ…!!」

 

そして4人はそのまま光の中へと飛び込んでいった。

 

 

『ズンガラガーンッ!!』

 

 

4人「イテ(イタ)ッ?!」

 

4人とも着地は出来たが、狭く物が多く置かれた所に落とされた。そしてジメジメして熱い。

 

妖夢「せ、狭いです…これが現代…?」

 

咲夜「…違うわね、ここへとある家の部屋のようね」

 

橙「ひゃうっ?!ら、藍様ぁ、水が、水がありますぅ!!」

 

藍「水…?!いや、お湯だ……お湯だと?!このようにジメジメしていてお湯のある場所といえば、まさか…?!」

 

藍はこの空間を見回す。視線を下に向けた時、居たのだった。

 

 

『ポカーン…』

 

 

橙と同じくらいの男の子が1人、湯につかっていたのだった。そしていきなり現れた4人に驚いたのか、ずっと口と目を開けていた。

 

 

『ドタタタ…!!』

 

 

そしてこちらへ何者かが走って向かってくる足音も聞こえた。恐らく異常を察して駆けつけて来たのだろう。

その者はこの部屋のドアの前に立つと、勢いよくドアを開けた―――。

 

??「ケン!どうしたの、何があったの?!」

 

ドアの目の前にいた咲夜を押しのけて開けたドアから、1人の女性が出てくる。すると、男の子も我が戻ったかのようにハッとする。

 

男の子「お、お姉ちゃん…!?この人達が…勝手に…」

 

妖夢「ま、まずい雰囲気なようですね…(ここで叫ばれても厄介…少々手荒ですが、仕方ありませんね…!!)動かないでください!!」

 

女性「い゙っ?!」

 

妖夢は気が狂ったのか、その女性の首元に向けて背に掛けている刀を抜く。

 

妖夢「叫ばずに、じっとしてください…!!」

 

男の子「お、お姉ちゃん!!?」

 

藍「お、おい、何をしているんだ?!」

 

咲夜「(そういう事なの妖夢…これ以上大事にしない為になの?!だったら私も…)そこの僕、泣き叫ばないでね。じゃないと大変な事になっちゃうから…」

 

男の子「…?!」

 

咲夜はそう言って、ナイフを取り出して男の子に向ける。

 

女性「(な、何なのよ、コイツ等は?!でも…)ケンッ、アンタだけでも逃げなさいッ!!!!」

 

妖夢「えっ?!」

 

咲夜「ッ?!」

 

藍「この力…(人間の力なのか?!)」

 

橙「にゃにゃにゃにゃ?!!!」

 

女性は力ずくでドアの反対方向へ4人を押した。妖怪である藍さえも押し負ける程だった。

 

女性「―――――くっ、早くして!!死ぬんだよ?!!」

 

咲夜「くっ…?!(近すぎて…)」

 

妖夢「ぐぅ?!(刀を振れない!?)」

 

その女性のお蔭で男の子は浴室から慌てて出て行き、逃げる事ができた。

 

女性「あ、アンタ等は何者なのよ!!金目の物が目的なの?!だったらくれてやるわよ!だから命だけは勘弁してちょうだい!」

 

藍「待ってくれ、落ち着いてくれ!!私達にはそういうつもりなど一切ない!知人が切りつけようとした事も謝る!!だから話を聞いてくれないか?!」

 

妖夢「ら、藍さんっ?!」

 

藍「お前らもお前らだ!!ここは外の世界、直ぐに抜刀したり刃を向けるのは犯罪だ!!そのような行動は今後慎め!!」

 

藍は咲夜と妖夢を睨みつけ、殺気と似たような気を2人に向かって放つ。

 

橙「ら、藍様…怖い…?!」

 

女性「だったら、その物騒な物をしまってくれると有難いんだけどね…!!」

 

藍「早くその凶器をしまえ!」

 

咲夜・妖夢「はっはい!!」

 

咲夜と妖夢は直ぐにナイフと刀を収めた。すると女性は落ち着きを取り戻す。

だが、先程まで極度に緊張していたためか女性はその場に座り込む。

 

女性「あ、あれ…力が抜けて…」

 

藍「当然の事だ。誰だって死ぬと思えば恐怖し、体がこれでもかと力むからな。それが解けたから反動が今来ているのだろう」

 

女性「…(あれ、頭がボーッとして…)」

 

 

『ドサッ!』

 

 

藍「気絶してしまったか…。この人は私が運ぼう。3人はここで待っていてくれ」

 

藍は気絶した女性を持ち上げ、浴室から出る。すると、奥で男の子がチラチラとこっちを見ていた。

 

藍「そこの僕。さっきは驚かせてすまなかった。この人を寝かせてあげたいのだが、寝かせる場所へ案内してくれないか?」

 

男の子「…」

 

男の子は何も言わず、ただ指をさした。

 

藍「あっちか。教えてくれて有難うな」

 

藍は男の子の指さした方向へ歩いた。すると奥には1つのドアがあって、開けると部屋の角にベッドがあった。

とりあえずそのベットに女性を寝かせ、部屋を後にする。

 

藍「これでよし。…!そこの僕、他に家族は居ないのかい?」

 

男の子「…」

 

藍はじっと見つめてくる男の子に問う。男の子は顔を横に振って答えた。

 

藍「そう…。僕、私達が怖いか?」

 

男の子「…」

 

男の子は顔を縦に振った。それはそうだと思う。刃物を突きつけられたら誰だって怖がるものだ。

 

藍「そうだよな…。すまないな、私の連れが本当に悪い事をした。それで申し訳ないのだが、君の…お姉さんの様子を見ててはくれないだろうか?」

 

藍はしゃがみ、男の子と視線の高さを合わせて問う。

その答えに男の子は小さく「うん」と答えて、その女性が眠っている部屋へ入っていった。

 

藍「さてと…3人にはきつめに言っておくとしよう」

 

藍は3人の元へと戻っていった。

 

 

   ★

 

   ☆

 

   ★

 

 

女性「う、うぅ…」

 

男の子「お姉ちゃん!!」

 

女性が目覚めた時には既に日が沈もうとしてるころにだった。数秒間ボーッするも、意識が覚醒する。

 

女性「…ハッ!ケンッ、大丈夫?!」

 

男の子「う、うん…僕は大丈夫…。お姉ちゃんは…?」

 

女性「そう、良かった…。私ももう大丈夫よ!」

 

男の子「起きてすぐにで悪いんだけど、お姉ちゃんとお話がしたいってあの人達が…」

 

女性「お話…?…わかったわ、行きましょう」

 

女性はリビングで待っているという藍達の元へと向かった。

 

 

『ガチャ…』

 

 

女性「話って、何ですか…?」

 

女性は身構えながら4人の前に立つ。いつ攻撃されても対処できるように。

 

藍「色々と、謝罪させていただきたいんだ。本当に申し訳ありませんでした…!!」

 

3人「申し訳ありませんでした!!!」

 

女性・男の子「?!」

 

4人は女性と男の子に向かって土下座する。その様子を見て女性は口を開いた。

 

女性「まずアンタ等はどうして浴室にいたの…?そして何が目的なの?あと貴女に生えている狐の尻尾がなんなのかを今一度はっきりと聞きたい」

 

藍「し、尻尾?!(しまった、隠すのをすっかり忘れていた…?!これは…包み隠さず話すしかないな…)」

 

藍は女性に今までの経路を話す。そして幻想郷から来た異世界の住民だという事も。

全てを話し終わった頃にはもう既に日は沈み、夜となっていた。

 

 

女性「…そう。大体の内容は掴んだわ。でも信じられないわね…そんな世界が実在するなんて」

 

藍「だろうな。誰もが口をそろえて言う言葉だから聞きなれてしまったよ…」

 

女性「そう…。ふぅ…さてと、もうこんな時間だしご飯を作らなくちゃね…」

 

男の子「い゙っ?!」

 

藍「今日は本当に申し訳ありませんでした。それでは…」

 

女性「?アンタ等何処に行くのよ?ご飯食べないの?」

 

4人「?!」

 

藍達がこの家を出ようと玄関へ向かおうとした時、女性の口から考えられない言葉が出てきた。

 

咲夜「ど、どういう事ですか…?!」

 

女性「あれ、アンタ等の話を聞いていたら何処にも行く当てが無さそうだと思ったんだけど…あったの?」

 

藍「い、いや確かにないが…」

 

妖夢「でも私は貴女に刃を…」

 

女性「その『幻想郷』って所はそれが当たり前なんでしょ?だったら仕方ないじゃない。貴女が私だったら私も同じ事しちゃうって感じるもの」

 

ケン「(お姉ちゃん…ポジティブすぎるよ!!)」

 

藍「しかし、お互いの名を知らぬ者同士で…」

 

女性「ん、ああ、そういえば名前を言っていなかったね…。私は『草壁 葵』。ほら、ケンも自己紹介!」

 

ケン「あ、わかった…。おれ…僕は『草壁 健汰』。得意な事は『運ゲー』…です」

 

女性「敬語を無理に使おうとしなくていいよ…。なんかギクシャクしているから。そしてアンタ等の名前は?」

 

藍「貴女のご厚意には感謝してもしきれません…!!私は『八雲 藍』という者です。」

 

橙「『橙』です!」

 

咲夜「『十六夜 咲夜』です。得意な事は投げナイフです。」

 

妖夢「『魂魄 妖夢』です。得意な事は剣での戦闘です。」

 

葵「よし、これで自己紹介は済んだわね?」

 

健汰「(剣とかナイフ投げとかに違和感を感じないんだね、お姉ちゃん…)」

 

葵「さてとそろそろ夕食時だし、張り切って料理を作ろうかしら―――」

 

健汰「い゙っ?!(しまった、忘れてた!?)お姉ちゃんやめて!!あ、貴女達の中で料理できる人は?!」

 

藍「私は出来ますよ。」

 

咲夜「私も少しなら…。」

 

妖夢「専業職ですけど…。」

 

健汰「お願い助けて!!死人が出ちゃう?!」

 

葵「ケ~ン~?!どういう事よ?!」

 

健汰「だ、だって前にお姉ちゃんが作った料理を食べてみたら、味が酷い上に、1週間も食中毒になって学校に行けなかったんだよ?!」

 

葵「大丈夫!すこしは本で勉強したから」

 

健汰「じゃあせめて味見しながら作ってよ!!」

 

葵「ケン、一流の主婦は味見をせずに料理を作るのよ?」

 

健汰「絶対に違う~~~!!!」

 

 

この後、なんやかんやで藍が作る事になり、妖夢と咲夜は現代の調理器具を見て、新たな知識を蓄えたのだった。

 

 

健汰「あ、ありがとう…!!家の食材でご飯を食べたのはいつ以来だろう!!」

 

葵「まぁね。食材は買っていたけどここ半年は出前で食べていたもんね。それに人数も増えて楽しくなったって感じ」

 

橙「ふぁああ…藍様…」

 

藍「ん?橙、眠いのかい?」

 

葵「おっと、もうそんな時間か!布団ならちゃんと4人分あるから安心して。運ぶの手伝ってもらえないかな?」

 

藍・妖夢・咲夜「わかりました」

 

葵たちは押し入れの中にある布団をリビングまで持って来て、家具を端っこに寄せた後、布団を広げた。

 

橙「ふにゃああ…」

 

健汰「俺、昼にお風呂入ったからもう着替えて寝るね」

 

葵「わかった。おやすみ」

 

健汰は「おやすみ」と、返してリビングから出て行った。

 

藍「ところでお聞きしたいのだが、この家には2人しかいないのか?」

 

葵「ん~~本来なら4人だけどほぼ2人で生活しているといっても過言ではないね。お父さんは医者でずっと病院で待機しっぱなしだし、お母さんは研究者で施設からあんまり出てこないし…」

 

咲夜「それじゃあずっと2人で…」

 

葵「そうなの。健汰には家族の温もりって物を感じさせてやりたかったけど、私だけじゃ限界があるのかもしれない…」

 

妖夢「で、ですがお父さんやお母さんの了解なしで私達を泊めてしまってもよろしいのですか?」

 

葵「大丈夫だって。健汰の為にも、貴女達がこの世界に居る間はこの家に住んでくれないかな…?」

 

藍「…本当に私達は運に恵まれているな…。こちらから、よろしく頼む…!!」

 

葵「もちろん!よろしくね、藍、咲夜、妖夢!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は藍達が思いもよらぬ展開で、現代へとやって来ましたね。はたして、紫は藍達を見つけ、連れ戻す事が出来るでしょうか。また、これから葵たちとどう過ごすのか、必見です。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!


~人物紹介~
No,1 『草壁 葵(くさかべ あおい)』
高校2年生で、見た目はどこにでもいるような女子。でも力はかなりあるらしい。
でも若干Sな性格も持ち合わせている(本人は気付いていない)。
まだ出会ったばかりなので謎が多い。


No,2 『草壁 健汰(くさかべ けんた)』
葵の弟で小学5年生。人見知りでおとなしく、弱気な男の子。藍達にまだ恐怖を抱いている。
こちらもまだ出会ったばかりで謎が多い。
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