従者現代録   作:銀の鰹節

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~前回のあらすじ~
葵が目覚めていなかった間の露木たちの行動がわかった。
 ↓
夢から目覚めた露木はその日、1日ずっと部屋に籠っていた。(今ココ!)



最終回 『またね』!!

 

葵が目覚めてから3日がたった。

今まで何の変化も無かった健汰に『変化が現れた』との情報が届き、葵達はすぐさま健汰の元へとむかっていた。

 

 

葵「えーりんさーーん!!!」

 

祐彦「おい、静かにしろ!!」

 

露木「ケェーンタァァァ!!!!今行くからなァァァーーー!!」

 

祐彦「お前もだ、露木!!」

 

鈴仙「あっ!?屋内では走らないでください、皆さーん?!」

 

 

『ドタドタドタ!!!』

 

 

葵を先頭に、健汰がいる所まで全力疾走で駆け抜ける。すると其処には永琳と紫が居た。

 

永琳「あら…意外に早かったわね。」

 

葵「はい、もう全力で走ってきました!!ケンは、ケンはどうなったんですか?!」

 

紫「見ての通り、息を吹き返したわ!」

 

 

『ガバババ、ゴブ、ゴボボボゥ?!!!』

 

 

葵「ギャー?!溺れてるー?!」

 

露木「鬼か、アンタ等鬼か?!」

 

祐彦「お、おい白目を向きかけているぞ?!」

 

健汰は息を吹き返したようだが、パニックに陥ったようで、もがいている。

 

紫「ちょ、ちょっとはやくパスワード解きなさいよ?!」

 

永琳「ちょっと待ちなさい、電気系統の不備なのか原因は不明だけど電源が―――」

 

葵「んなこたぁどーでもいいッ!!ただ全力で目の前のガラスを砕くだけよッ!!」

 

露木「ああ!!いくぜ五色糸(ゴシキート)!!」

 

祐彦「牙突(がとつ)-零式(ぜろしき)!!」

 

 

『ガシャンッ!!バリーンッ!!!』

 

 

葵、祐彦、露木の攻撃がガラスにあたり、厚さ1mもあるガラスを一瞬で粉々にして見せた。

そして健汰が流れ出てきた。

 

健汰「ゴホッ、ガアッ、ゲホッ?!」

 

葵「ケン~~!!!アンタ、本当によく生き返ってくれたね!!もう絶対に死なせないから、ちゃんと姉として護るから…ッ!!」

 

 

『ギリギリギリ…!!』

 

 

健汰「お゙っ…?!死゙ぬ…息が…?!」

 

祐彦「葵、もう少し力を緩めてやれ。白目むいているぞ。」

 

葵「あっゴメン…。」

 

健汰「ハァー…ハァー…!!や、やっとまた会えたね、お姉ちゃん、露木さん、祐彦さん…!!」

 

露木「俺は今この瞬間が今までで一番嬉しいぞ、ケン!!」

 

祐彦「いつもなら素っ気なくふるまうんだが、今回だけは別だ!よく帰って来た…!!」

 

葵達が健汰の周りに集まって喜びを噛みしめていた所に、紫が前へ出る。

 

紫「健汰君、貴方の勇気ある行動に敬意を表します。よく、戦いましたね…!」

 

健汰「え、あ…どうも…。」

 

少し静かな時間が挟んだ所で、紫は話を切り替えた。

 

紫「…そして桂井の事ですが、もともとは幻想郷の住民らしいのです。」

 

全員「えっ?!」

 

紫の発言に、その場に居る者全てが耳を疑った。

 

紫「数十年前、兄弟が忽然と消える事件が人里で起こったんです。その兄弟の名は『桂井 紗枝美(さえみ)』と『桂井 正助(しょうすけ)』です。」

 

葵「桂井…。」

 

紫「そして実はその事件が判明した数日前に、現代である出来事が起こっていたんです。」

 

祐彦「現代で…?」

 

紫「一夜にして町が消失したのです。」

 

紫の口から予想外の言葉が出て来たので、皆はまた驚く。

 

露木「なっ…?!俺のおじいちゃんがそんな話をしていたことがあったけど、本当の話だったのかよ?!」

 

紫「あまりにも非現実的な事件なのでおとぎ話のような存在となっています…。それと、皆さんは博麗優と出会いましたよね?」

 

健汰「はい、あの人の話はとても面白いもので、今でも覚えています!」

 

紫「その人が、その消失した町に住んでいて唯一の生存者でもあるのです。」

 

祐彦「唯一の…生存者…?!」

 

紫「さらに申し上げますと、露木さんに能力が宿ったのにはしっかりと理由があるのです。」

 

露木「理由…?」

 

紫「博麗優、彼の旧姓は『佐藤』です。露木さんの家系図を辿っていくと『佐藤』という苗字に辿りつきました。」

 

露木「さ、佐藤…?!…じゃ、じゃあつまり優さんは俺の…?!」

 

紫「その通りです。少し薄いですが、彼と共通する血を流しているのは確かです。」

 

露木は自分の体をまじまじと見る。

紫はそのまま話を進める。

 

紫「露木さんの血縁上にある優が能力を取得した事により、露木さんにも能力が生まれやすい体質となったのでしょう。」

 

露木「優さんと俺が…!?ま、優さんはこの事を知っているのですか?!」

 

紫「ええ。彼はどうやら露木さんと出会った瞬間に似たような血族だと感じ取っていたらしいです。」

 

露木「…ま、まさか親族がこの幻想郷に居たとはなぁ~…。」

 

紫「大きく話がそれてしまいましたが、その時の町の消失により、一時幻想郷も不安定になりました。同時に現代と幻想郷を隔てる結界にも緩みが起きてしまったらしいのです。」

 

葵「つまり…偶然が重なった悲劇…って言う訳ですか…?」

 

紫「…はい。」

 

その場に流れる沈黙の空気。その空気がとても重くて、皆の口を塞いでいた。

しかし、健汰は自分の胸を強く握りしめた。

 

健汰「…!!この再び貰い受けたこの命…。僕――いや、俺が2人分の人生を生き抜けて見せます…!!」

 

葵「ケン…。」

 

健汰の目は誰よりも、強く、芯のある物となっていた。

 

健汰「僕は今まで何もかもを軽く受け流し、逃げていた。だけど、こんな話を聞いたら…逃げる事なんてできないよ…っ!!」

 

露木「…ケン、めっちゃかっこいいじゃん…。」

 

健汰「露木さん、かっこいいとか言わないで…。これは使命なんだ、これからの俺への使命なんだッ!!例え目の前に障害物があったとしても、決して足を止めてはならない、そんな人生を送らなくちゃいけないんだッ!!」

 

健汰は声を張って、誓うように言い放った。

 

祐彦「その心、絶対に捨てるなよ…!!そして俺達もそうだ。俺達は多くの人の上に立って生きている。これからはもっと、もっと真剣に、全力に生かなければならない…!!」

 

葵「そうだね、今までが平和だったからちょっとボケていたのかもしれない。前までなんて、普通に明日があるなんていつも思ってたもん。」

 

露木「俺、もうちょっと常識を学んでみるわ。アニメだけじゃなく、もっと勉強しなくちゃいけなんだ…!!」

 

輝夜「やっぱり地球の人は美しいわ。短い時間でしか生きれないけど、その短い時間を桜の花のように華やかに、力強く主張するんだもの。」

 

永琳「私もこの幻想郷へ来て人間の素晴らしさを改めて実感しました。」

 

紫「皆さん…。これからも強く、生きてくださいね…!!」

 

4人「ハイッ!!」

 

4人が元気よく返事した時、葵達の元に妖夢達もやって来た。

 

妖夢「健汰さん…良かったです…!!」

 

咲夜「ケン…!!良かった…ちゃんと戻って来れて…!!」

 

橙「ケン、久しぶりの太陽、浴びに行こうよ!!」

 

健汰「…!!うん!行こう、橙ちゃん!!」

 

橙と健汰は手をつないで、外へと駆け出して行った。

 

藍「もう走れるまでに回復したのか…!?」

 

葵「私は輝夜さんに捕まらないと危なかったのにねぇ~…。」

 

このまま会話が続きそうなとき、傍にいたレミリアが急に何かを思いついたらしく、咲夜に命令を下した。

 

レミリア「咲夜、大至急人里へ買い物を頼んでいいかしら?」

 

咲夜「はい…?いいですけど…何か欲しいものでも?」

 

レミリア「宴会の準備よ。これでやっと解決したんだもの、現代と幻想郷の存在が危ぶまれる異変がね!」

 

レミリアの考えを理解した咲夜はニコッと笑って答えた。

 

咲夜「――!!わかりました、お嬢様!」

 

妖夢「あっ、じゃあ私も手伝います!!」

 

レミリアの発言を聞いていた妖夢も、ハッとして咲夜についていく。

 

露木「え、宴会ぃ?!」

 

藍「幻想郷では異変解決後、当り前のように宴会を開くんだ。今回の事件も異変レベルと同等、またはそれ以上だろう。それを解決した葵達にも是非出て欲しい。」

 

紫「そうね、今日ぐらいは皆で喜びを分かち合いましょう!」

 

永琳「はぁ…。お酒に酔ってしまった人の為の薬をいっぱい作っておかないとね…。」

 

 

『ゴゴゴゴゴゴ…!!』

 

 

屋内に居てもわかるほどの風を切る音が、どんどんこっちへ近づいて来ているのが分かった。

そしてその正体はすぐに目の前に現れた。

 

??「あやややーー!!ものすごくおいしいネタの存在を感知しましたよー!!」

 

輝夜「あらあら…。やってくるのが早いわねぇ。文屋さん?」

 

文「ネタを見つける為なら、たとえ火の中水の中だって探しますよー!!」

 

レミリア「今回だけは褒めてあげるわ。至急、宴会開催のビラをまいてらっしゃい!!」

 

文「了解しましたーッ!!」

 

文は一瞬でやって来て、一瞬でどっかへいってしまった。

 

葵「げ、幻想郷の人達って凄いねー…!…よし、咲夜ちゃーん妖夢ちゃーん、私は荷物持ちを受け持つよぉー!!」

 

 

『ダッ!』

 

 

葵は叫びながら、咲夜と妖夢を追って走り出した。

 

露木「じゃあ俺は会場設営を!」

 

祐彦「俺もだ。あと少し料理の手伝いを!」

 

紫「材料費とかは任せなさい!私が受け持つわ!!」

 

藍「どれ、私は橙とケンを見守っていようかな!」

 

皆はやる事が決まれば行動がとても速かった。

昼から始めた宴会準備が、夕方にはすでに完成するほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――陽が沈み、月が上がって来た時…

 

紅魔館のとある大きな一室に、葵達はもちろん、幻想郷中の人達がやって来ていた。

そしてステージのような場所に文が現れる。

 

文「それではみなさん、乾杯の用意は出来ましたでしょうか??それではいきましょう――――」

 

 

『かんぱーい!!!』

 

 

葵「す、凄い人達だねぇ…?!」

 

健汰「も、もう既にお酒の匂いが…?!」

 

祐彦「それにしても女性ばかりだな…。どうも慣れなさそうだ…。」

 

露木「おーい、お前ら何でそんな所に突っ立ってんだー?こっちに来いよぉー?」

 

露木の声掛けで気付いたが、露木は既に席に座っており、隣のロングの緑髪の女性と楽しく会話していた。

 

緑髪の女性「いやぁ~外来人同士、今日は楽しみましょう!とは言っても私は数十年前に幻想郷へ来たんですけどねー!」

 

露木「んなもん、関係ないさ!目の前にうまい料理があるから食べる、それ以外に何かあると思うか?!」

 

緑髪の女性「それもそうですね!」

 

露木・女性「アハハハハ!!」

 

祐彦「何でアイツは他人と普通に楽しめているんだ…!!」

 

その様子を祐彦は見てて理解できなかった。そんな時、妖夢がやって来た。

 

妖夢「祐彦さん、いっしょに食べましょうよ!」

 

祐彦「あ、ああ…。なぁ葵達も―――」

 

祐彦は葵達も誘おうとして、振り返るとそこに葵達の姿はなかった。

 

祐彦「あれ…?」

 

 

『ギャー?!お、お姉ちゃん、何をやってんのー?!!』

 

 

祐彦「…この叫び声って…。」

 

祐彦は叫び声が聞こえた方に恐る恐る振り向く。

 

葵「うるへー!!私だってぇ…ヒック、決意したんだよぉ…ヒック。」

 

レミリア「ちょ、私のワインを間違えて一口飲んだだけなのにこんなに酔っぱらうの?!」

 

祐彦「お前は未成年だろうがーー?!!」

 

祐彦が葵に全力のツッコミを入れた時、横から文がやってくる。

 

文「いやぁすいません、祐彦さん…。ちょっとお話を聞かせてもらってもよろしいですか?」

 

祐彦「ん…?(この人、宴会を知らせていた…。という事は記者って感じか?)いや、すまないな。聞きたいのならアイツから聞いてくれ。」

 

祐彦は露木の方を見る。すると文は「あやや…」と呟く。

 

文「じ、実はあの人に言われてこっちへ…。」

 

祐彦「…はぁ。」

 

妖夢「(祐彦さん、祐彦さん。彼女、かなりのゴシップを書いている強者です。ですのであまりしゃべらない方がいいと…。)」

 

妖夢は祐彦に耳打ちをする。祐彦は少し考えた所で、決断した。

 

祐彦「じゃああの酔っぱらった女の子を止めてくれたら話そう。」

 

文「本当ですかーっ!?わかりました、少々お待ちください!」

 

 

『バッ!』

 

 

文は葵の方へと飛んで行き、葵を押さえつけた。そこまでは良かった。

 

葵「今の私は手強いぞーーーッ!!」

 

文「あっあやややーー?!こっこの人、本当に人間なんですかーっ?!」

 

葵は文を強引に引きはがし、そのまま関節技へと切り替えた。

 

葵「オラオラオラオラァ…!!」

 

 

『ギリギリギリギリ…!!』

 

 

文「はうあっ?!ちょ、ちょっと待ってください、痛い痛い痛い痛い?!折れちゃう、折れちゃいますよー?!」

 

 

 

祐彦「悪いが答えはノーだ、記者さん。いくらネタになりそうでも、提供できるような内容じゃないんでね。」

 

妖夢「祐彦さん、こっちです!」

 

祐彦「お、おい?!わかったから、引っ張られると歩きにくい…?!」

 

祐彦は妖夢に引っ張られて、席へと誘導されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

―――…一方、露木は…

 

露木「へぇ~早苗さん、巫女をやっているんですねえー!」

 

早苗「はい!妖怪の山に守矢神社っていう名前の神社があるのですけど、そこに住んでいるんです。そして目の前にいる、この2人が神様です!」

 

露木「神様…?んん~…俺にはモヤしか見えないぞ?」

 

早苗「あっ…そういえば神様を見れる人と見れない人がいるのを忘れていました…。」

 

 

『仕方ないさ、早苗。私は信仰してくれるだけ有難いさ。姿が見えなくたってね。』

 

 

『そーそー。あと、そろそろ早苗も相手を探さないと、色々とまずいよ?』

 

 

早苗「すっ諏訪子様?!」

 

露木「面白い神様だなぁー!!アッハッハッハッハッ!」

 

早苗「えっ…?声、聞こえるんですか?」

 

露木「ああ、声は聞こえたさ。多分女性だろ?何かやけに幼い声も混じっていたような気もするけど。」

 

 

『幼っ…プッ!アハハハハ、諏訪子、アンタの事じゃないかい?!』

 

 

『えぇっ?!こ、このぉーー!!』

 

 

露木「うおおっ?!モヤが近づいてきたぁ?!」

 

 

『このっ、このっ…!!』

 

 

露木「ちょ、ちょっと待って?!すいません、すいませんって?!か、神様殴ってきたよ?!」

 

早苗「す、諏訪子様、おやめください…?!」

 

 

『むー…!早苗に免じて今回は許してあげる。次はないよっ!!』

 

 

露木「はい。」

 

露木は思う、この幻想郷ではあまりはっちゃっけない方がいいと。

少し静かにしようとした時、後ろから頭を掴まれる。

 

 

『ガシッ!』

 

 

露木「うんぎゃ?!」

 

早苗「えっ?!あ、アナタは―――」

 

幽香「久しぶり、露木。宴会に私も来たわよ♪」

 

露木「ど、ドウモデス、幽香サン。今日モ オ美シイデスネ。」

 

幽香「あら有難う。何故カタコトなのか聞きたい所だけど今はいいわ。ねぇアナタ、お願いしてもいいかしら?」

 

露木「ナイヨウニ ヨリマス。」

 

幽香「こ、ここじゃ言いづらいのよ…。その…場所を変えましょう…?」

 

露木「…いっイヤ、ココデ頼ム。」

 

幽香「えっ…。本当にいいの?きっとアナタなら、何でそこで言うって突っ込むと思うわよ?」

 

露木「…(よし、何とか恐怖心は落ち着いて来たぞ…!)べ、別に構わないよ、うん。一度生死を彷徨うようなお願いをされたからねぇ。うん。」

 

幽香「わ、わかったわ…。その…アナタの子供が欲しい!」

 

全員「ブーッ?!!」

 

その場に居る者全員が耳を疑う、あるいは口に含んでいた物を吐き出した。

 

露木「な、な、な…馬鹿か、お前ぇ?!」

 

幽香「だ、だから言ったのに…。」

 

露木「もっと耳打ちとかあるだろう?!というか、何故子供という結論に至ったんだー?!結婚しようとかならまだ理解できる範囲だが、俺にとっちゃその発言自体がすでに理解不能なんだよォーーッ!!」

 

 

『おや…。もう既に先着が居たとはねぇ…。』

 

 

『それなのにさっきは早苗のお相手なんて言っちゃって悪かったねぇ…!!』

 

 

露木「おい神様?!例え姿が見えなくてもわかるぞ、今絶対に笑ってるだろォ!!」

 

幽香「どうしてその結論に至ったかというと、その貴方のズバ抜けた戦闘能力と頭脳!私にも欲しくなったのよ!」

 

露木「そしてお前はもっと静かに理由を言えェェーーッ!!」

 

幽香「…で、答えを聞きたいの。どうなの…?」

 

露木「もちろんお断りだ!まず付き合う相手だったら『腐女子』『秋葉原出身』『身長160cm』『体重40kg~45kg』『スリーサイズ上から95、65、90』が条件なんだァァーッ!!」

 

早苗「うわぁ…露木さん、それきっと一生彼女できないかもしれません…。」

 

露木「何…だと…ッ?!」

 

幽香「だったら問題ないわね。」

 

露木「俺は、嫌だッ!!お前と子供を作るくらいだったら、究極生命体になって宇宙を漂った方がまだマシだねッ!!」

 

幽香「この手は使いたくなかったけど…仕方ないわ!エリー、くるみッ!!」

 

 

エリー・くるみ「ハッ!」

 

 

露木「あっ?!お前らはこの前の人さらい――――うぐあっ?!」

 

エリー「幽香様、押さえつけました。」

 

くるみ「意識はあるので【ピー】していればできますよ~!」

 

幽香「そのままじっと押さえつけてなさいよ…!」

 

露木「ちょっ、まさかここでおっぱじめるつもりかぁ?!」

 

幽香「だってアナタ逃げちゃうし…。さぁ、諦める事ね。」

 

露木にゆっくりと近づく幽香。彼女は既に勝利を確信していた。だが、彼女は露木の事を侮っていた!

押さえつけたぐらいでジッとしている程大人しくない事を忘れていたのだッ!

 

露木「くっ―――ウオオオッ!!」

 

 

『シュルルルル…!!』

 

 

エリー「ちょ、ちょっと何これ?!腕に巻き付いて――うひゃあ…。」

 

くるみ「えっエリー!?って私にも―――ふぁああ…。」

 

露木「知ってるか?酒ってのはなぁ…血液の中に直接入れた方が酔いやすいんだぜ?」

 

露木の体から伸びた糸の内1本は、酒瓶の中身へと伸びていた。

そしてエリー達の腕に巻き付いた糸は、皮膚に突き刺さっていた。

 

幽香「まっまさか2人が酔い潰れるなんて…?!」

 

露木「同時に大量の力をこの2人から分けさせてもらいましたぁ…!!よって、俺の糸は今までで一番丈夫だぜ?」

 

幽香「――ッ?!」

 

露木「一丁あがりッ!」

 

幽香は露木の早業により、既に縛られていた。

 

露木「おおっと…そういえば俺の特技を言ってなかったな。俺の特技は糸を使う作業を迅速かつ丁寧に行う事だ。うんじゃあ、俺は他の所へ行ってるぜー!」

 

露木はそういって、その場から離れていった。

 

 

『あの風見幽香を押さえつけるなんてすごい奴じゃないか…?!』

 

 

幽香「フフフ、本当に恐ろしい人間だこと…。」

 

幽香はそんな露木を笑いながら見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――…一方、葵と健汰は…

 

美鈴「お、落ち着いてください、葵さん?!」

 

葵「どれ…少し自分の力を確かめてみるのもいいかな…。」

 

健汰「お、お姉ちゃん?!(ひ、人って酔うとこんな感じになるの?!)」

 

レミリア「め、美鈴止めてちょうだい?!」

 

美鈴「くっ…!!すいません、葵さん―――」

 

葵「遅いなぁ…。もっとこうやるんだよぉ~…!!」

 

葵は美鈴の手を弾き、脚と腕を掴んで持ち上げる。

 

露木「はぁ…ったく。何なんだ、アイツ…。」

 

その時、露木がこちらへやって来た。

 

美鈴「え、えぇ…?!(う、動く事ができない…?!)」

 

葵「ウオオオオッ…ラアッ!!」

 

美鈴「うばっ―――」

 

健汰「ろっ露木さん危ない?!」

 

露木「ん?ちょっ――――ぐおおーーっ?!」

 

葵は美鈴を投げ飛ばしたのだが、そこに丁度露木が居て、飛んで来た美鈴と衝突する。

 

露木「い、イッテェよ?!」

 

葵「ふぅぅー…。こんなもんじゃ私の力はわからない。」

 

露木「ま、まさか酔ってるのか…?!」

 

レミリア「さ、さっき間違えて私のワインを飲んじゃったの…。まさかこんな事になるなんて…。」

 

露木「おいおい、一口でこれってさすがに酔いすぎじゃねぇか?!」

 

美鈴「アイタタ…。に、肉体には少し自信があったのですがこうもあっさりと負けてしまうとさすがに落ち込んじゃいますね…。」

 

露木「…。リンさん、アンタは酔いに対して耐性があるか…?」

 

美鈴「え、はい、ありますけど…。」

 

露木「じゃあこの糸を持ってくれ。」

 

露木は1本の糸を美鈴に渡す。

 

美鈴「…?――ッ!ちょちょちょ、これ糸が刺し込まれたんですけど?!」

 

露木「ちょっとの間我慢して欲しい。この糸を葵にも繋いで、酔いを供給させ、葵を落ち着かせるんだ。」

 

美鈴「そ、そんな事ができるんですか?!」

 

露木「ああ、出来る。――――葵、我慢してくれよぉ!『糸の結界』

 

『シュルル…!!』

 

 

葵「んぎゃ?!て、手を縛られた?!」

 

露木「そこだ!!」

 

葵「イタイッ?!――――ふぁあ…。あ…あれ、ノブっち…?」

 

露木が糸を葵に刺すと、葵は正気を取り戻してきた。

 

美鈴「…。特に私には変化がありませんね。」

 

葵「ふぅー、何かスッキリした!ご馳走食べまくるぞー!!」

 

健汰「…はぁ。(お姉ちゃんは何もわかっていないみたいだね…。)露木さん、有難うございます。」

 

露木「別にいいさ。それよりも一緒に飯を食べようぜ?久しぶりにケンとも話をしたいしよ!」

 

健汰「はい、わかりました!」

 

露木と健汰は近くの席に座り、会話を交えながら料理を食べていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――…一方、祐彦は…

 

幽々子「何でアナタがここにいるのよ、この泥棒っ!!」

 

祐彦「西行寺さん、落ち着いてください…。」

 

妖夢「もう幽々子様ったら…。」

 

先程から怒る幽々子を祐彦がなだめ、妖夢はそれをみて呆れる、というルーティーンを何回もしていた。

しかし、妖夢達に声がかかった。

 

咲夜「妖夢、祐彦さん!料理が減って来たから追加するわよ!」

 

祐彦「これだけの人がいたらそりゃそうか。わかった、今行くよ。」

 

妖夢「ちょっと急いだ方がいいかもしれませんね、このペースで減り続けるのならば…!!」

 

幽々子「…!そうだ、祐彦君。」

 

祐彦「はい?」

 

祐彦達が厨房へ向かおうとした時、幽々子が引き留める。

 

幽々子「アナタの料理、おいしかったら認めてあげるわ。」

 

妖夢「ゆっ幽々子様?!わわ私と祐彦さんはまだそんな関係じゃ…!?」

 

祐彦「何を認めてくれるかはわからないけど、おいしい料理を作ってみせますよ。」

 

祐彦はそう言って、妖夢と再び厨房へと向かった。

 

幽々子「フフフフ…!!(妖夢は絶対に渡さないわ…!例えおいしくてもマズイっていってあげる…♪)ウフフフフ…♪」

 

 

 

 

――――…40分後…。

 

 

祐彦「妖夢さん達は料理を皆の所に配ってくれ。俺は幽々子さんに料理を渡してくる。」

 

咲夜「わかったわ。妖夢、行きましょう。」

 

妖夢「はい。祐彦さん、調理を手伝ってくれて有難うございます!」

 

咲夜と妖夢は大量に作った料理を再び、全員の元へと運んでゆく。

そして祐彦は幽々子の元へ、料理を持っていく。

 

幽々子「意外に早かったわねぇ…。もしかして雑に扱ったのかしら?」

 

祐彦「そんな事はしませんよ、ましてや自分以外の人に料理を出すのですから。それではどうぞ、召し上がってください。」

 

 

『コトッ…』

 

 

幽々子「…?何かしら、コレ…?麺…?」

 

幽々子の前に置かれた皿の上には、汁のない麺が置かれていた。

 

祐彦「ピリ辛ナポリタンです。トマトの酸味を無くさずに調理しましたよ!」

 

幽々子「フフ、フフフフ…!!(勝った…!私はトマトがそれ程好きではない、そして辛いのだと尚更!!)じゃあ、いただくわね。――――あむっ。」

 

幽々子は麺を一口分すくい、口へと運ぶ。

 

幽々子「う~ん…私、辛いのは苦手なのよねぇ…。それにトマトもあまり好きじゃ『パクッ』ないのよねぇ~。」

 

祐彦「…あの、西行寺さん、言ってる事と行動が違うのですが…。」

 

幽々子「えっ―――ハッ?!(わ、私は今、もう一口食べたの…?!)『パクッ』」

 

祐彦「む、無理して食べなくてもいいですよ…?」

 

幽々子「そ、そうよ…私は貴方の料理が苦手『パクッ』だから認め『パクッ』ないようにしようと思ったのに…?!『パクッ』」

 

幽々子の手と口は止まらなかった。喋りながら否定するも、何度も、何度も口へと運んでいる。

 

幽々子「(と、止まらない…?!この少し辛い味が、私の食欲をかきたたせているの?!)『パクッ』」

 

祐彦「だ、大丈夫ですか…?!」

 

幽々子「…!『パクッ』『パクッ』『パクッ』!(認めたくないのに…体が認めてしまう!?)」

 

幽々子はただただ食べ続けた。するとほんの5分で完食したのだった。

 

幽々子「…?!(も、もうなくなっている?!もっと、もっと食べたい…!!)」

 

祐彦「あの…おいしかったですか?」

 

幽々子「か、完敗だわ祐彦君…!!まさかこの私に完食させるだなんて…。(これで、妖夢も彼の手に―――ハッ?!)」

 

幽々子はある事に気付く。彼が妖夢の婿となれば毎日彼の料理を味わえるんじゃ、と。

そして幽々子の頭の中で、以下の物語が構成された。

 

妖夢と祐彦が結婚 → 毎日料理が提供される → 妖夢と祐彦の間に子が?! → 孫【誕生】!!

 

幽々子「~~!!」

 

祐彦「お、おいしかったなら作った側としても嬉しかったです。」

 

幽々子「――――祐彦君、是非妖夢と結婚を!!」

 

祐彦「…へ?」

 

妖夢「―――――…?!?!!」

 

幽々子の言葉に対して、祐彦は腑抜けた声を出した。

そして丁度帰って来た妖夢もその現状を見て、顔が真っ赤に紅潮した。

 

妖夢「ゆっゆっゆっ…幽々子様ァッ?!ななな、何を仰って?!」

 

祐彦「な、何を言っているんですか、西行寺さん?!多分俺達あともうちょっとで現代に帰りますよ?!」

 

幽々子「ええーーー?!!!ちゃ、ちゃんと責任をとりなさいよ、祐彦君?!」

 

祐彦「そっそんな事言われましても妖夢さんだってきっと困るはずですよ?!な、なぁ妖夢さん?!」

 

妖夢「えっ、あっそのぉ…!!」

 

祐彦「えっ?!(な、何か最近妖夢さんが話しかけて来てくれると思ったが、まさかこれ…。)」

 

祐彦は焦り出す。そして妖夢の満更でもない反応を見て、より焦りが高まる。

 

妖夢「ぅぅ…!!」

 

祐彦「…。ご、ゴメン妖夢さん、俺がもうちょっと早く気付いていれば…。」

 

妖夢「そっそんな?!謝らないでください、祐彦さん!?私と祐彦さんは違う世界の住人同士、別れがやってくるのは仕方のない事なんです…。」

 

幽々子「うぅ~…!!紫、何とかならないの?!」

 

紫「こ、これだけは私にも無理よ…。諦めなさいとしか――――」

 

幽々子「くぅ~!!紫なんかこうしてやる、えいっえいっえいっ!」

 

紫「ちょ、ちょっと?!扇子で叩かないでよ?!」

 

妖夢「…。そ、それでは私達も宴会を楽しみましょう、ね?」

 

祐彦「あ、ああ。そうだな、妖夢さん。」

 

妖夢と祐彦はその後、ゆっくりと宴会を楽しんだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

―――――宴会終了後…。

 

 

紫「健汰さんの安全が確認できたから、明日に貴方達を現代へ返しますね。今回は本当に有難うございました。」

 

葵「そっか、もうこれでお別れなんだね…。」

 

健汰「…。いつか来るのは分かっていたけど、実際にくると想像していたよりも怖いや、俺…。」

 

祐彦「そうだな。だが、同時に強くなる時でもあるんだ。ケン。」

 

露木「幻想郷に残らないかって、誘いを受けたけど俺は断ったさ。現代の方に親とかいるしな。」

 

紫「それでは明日の早朝、博麗神社に集まってください。現代へ送りますので。」

 

葵「わかりました。…すいません今日、最後の日だけでもいいから橙ちゃんと藍さんと一緒に寝たいのですけど、いいですか?」

 

紫「ええ、構わないわ。後で一緒に行きましょう。貴方達はどうするのかしら?」

 

健汰「俺もお姉ちゃんとついていくよ。」

 

露木「俺はどうしようかなぁ~…。ついて行こうかなぁ…?」

 

レミリア「あら、どうしたの。露木が悩んでいるなんて珍しい。」

 

露木が悩んでいると、レミリアが横からやってくる。

 

露木「リアっち…。いや、最後の日の夜はどうするか悩んでいて…。」

 

レミリア「何だ、だったらここで皆で寝らたいいじゃない。」

 

葵「いや、だってそしたらレミリアさんが困るんじゃ…。」

 

レミリア「だって見なさい、もう皆酔い潰れてその場でウトウトしているわよ?」

 

祐彦「…本当だな。」

 

紫「そうねぇ…。今日ぐらいなら藍も橙もここに泊まっていってもいいわ。どうせなら皆で過ごしなさいよ。」

 

葵「…!!紫さん、レミリアさん有難うございます!」

 

この後、藍や妖夢に紅魔館で夜を過ごす事を伝え、起きている者で宴会の後片づけをするのであった。

 

 

 

 

 

 

――――紅魔館、とある一室…。

 

藍「そうか、明日で幻想郷から…。」

 

葵「はい。今まで、本当に有難うございました。とても楽しかったです…!!」

 

咲夜「お礼を言うなら私達の方ですよ、葵さん。現代に滞在中、助けてくれて有難うございました。」

 

妖夢「そうですよね、私なんて命を救われちゃいましたから…。」

 

健汰「命を…?」

 

葵「ほら、あのお婆ちゃんのソルトスプラッシュの時じゃない?」

 

妖夢「うぅ…。思い出しただけでも怖いです…。」

 

祐彦「ハハハ、あの時俺は塩が目にかかってもがき苦しんでいたっけな…。」

 

露木「俺はヴァリヴァリセンヴェを買ってたっけ…?懐かしいなぁ…。」

 

橙「私は南国で、露木さんと一緒に行動した時が一番楽しかったですね。」

 

露木「そういえばお前と出会ったのは橙ちゃんのお蔭だもんな。」

 

 

『ニャウン。(そう考えたら主人と出会えなかったのか。有難うな、嬢ちゃん。)』

 

 

橙「ニャン!(そんな、私も楽しかったですよ!これから楽しく生きてくださいね!)」

 

藍「――――本当に、色々あったなぁ…。」

 

藍は目の前に広がる温かい光景を見て、今までで一番楽しく思えた。同時に嬉しくも思った。

その思いは藍だけに限らず、隣にいる葵も思っていた。

 

葵「うぅ…!!今までの事を思い出すと涙が出てくるよぉ…!!」

 

健汰「お姉ちゃん…。」

 

妖夢「そ、そういわれると私も目頭が…!!」

 

露木「なっ何だぁ…?!ひっぐ、お前ら泣゙いでいるのがよ…!!」

 

祐彦「お前の方が泣いているだろう。顔が真っ赤だぞ?」

 

露木「う、五月蠅ぇ!!これは別に違うんだ、その…猫アレルギーなんだよっ!!」

 

 

『ニャウン。(あ、嘘言った。)』

 

 

橙「アハハハ、露木さんってば…!!」

 

葵「うっ、うっ…!!ゆづっちと咲夜ちゃんは平気なの…??」

 

咲夜「いえ、私だって平気な訳ではありませんよ。ただ堪えているだけです。」

 

祐彦「俺は別れ際には涙を出さないと決めているんでな。」

 

葵「まだ別れる時じゃないよ…?!」

 

祐彦「…ここで耐えないと俺も危ないんだよ。」

 

露木「耐゙えれるお前が凄ぇよ…!!」

 

祐彦「(そろそろ俺も限界か…?!)ちょっと外の空気を吸いに行ってくる。」

 

祐彦は背を向け、扉へ手をかけようとした瞬間、背中にズンッと誰かがのしかかった。

 

祐彦「ッ…?!」

 

妖夢「むー…!!1人だけ逃げるのはなしですよー♪」

 

祐彦「よっ、妖夢さん…?!」

 

露木「そうだそうだ!!お前を縛りつけてやる!!」

 

 

『シュルルルル…!!』

 

 

祐彦・妖夢「うおっ?!(ひえっ?!)」

 

露木「あっ…妖夢さんも縛っちゃったけどゴメン、このまま我慢してくれ!」

 

祐彦「お、おい?!」

 

妖夢「し、縛られちゃいましたね…♪」

 

祐彦「あれ…?妖夢さん、もしかしてお酒飲んだか?!」

 

祐彦は妖夢から漂うアルコールの匂いに気付く。

 

妖夢「そんなわけないじゃ~ないですかぁ~!!エヘヘ~♪」

 

祐彦「明らかに飲んでいるな…。おい露木―――」

 

露木「ヵー…ヵー…。」

 

祐彦「寝てるっ?!ま、まぁいい。誰か――――」

 

葵「スヤァ…。」

 

藍「スー…。」

 

健汰「クー…クー…。」

 

橙「ヒュー…ヒュー…。」

 

 

『ゴロゴロゴロゴロ…。(主人の腕の中は温かい…。)』

 

 

祐彦「う、嘘だろ…?!妖夢さ――――」

 

妖夢「ふぇ…。スー…スー…。」

 

祐彦「みんな寝ている…のか?!」

 

 

『ガチャ…』

 

 

祐彦が諦めかけたその時、咲夜がドアから入って来た。

 

咲夜「あら…もう皆寝ちゃったのね。」

 

祐彦「えっ…?あれ…??咲夜さんはさっきここに…。」

 

咲夜「ああ、時を止めてホットミルクを作りに来たの。寝る時は毎日飲むようにしているの。」

 

祐彦「時止めって恐ろしいですね…。そしてこの縛り付けている糸を切って欲しいのですが…。」

 

咲夜「ちょっと待ってて。よいしょっ…!!」

 

 

『プチンッ!』

 

 

咲夜「はい、切れたわよ。」

 

祐彦「有難うございます。さてと、妖夢さんを布団に運んでっと…。」

 

妖夢「ん~…祐彦ひゃん…。」

 

祐彦「寝てこんな直ぐに夢を見ているのか…。」

 

咲夜「ホットミルク、もう1つ用意しちゃったのだけど飲む?」

 

祐彦「それは有難い。頂くよ。」

 

咲夜と祐彦は軽く話を交えながらもホットミルクを飲み、眠気を感じた所で布団に入り、夜を過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――次の日の朝、博麗神社で…。

 

葵「キャー可愛いこの子ー!!」

 

少女「ひっ…?!お、お父さんなんか怖い、この人…?!」

 

優「あ、アハハハ…。」

 

露木「優さん、俺は現代で過ごしますね。もし何かあれば来てください、手を貸しますから。」

 

優「有難う、露木君。もし力を借りたい時が訪れたら君に頼らせてもらうよ。」

 

紫「そう何度も幻想郷と現代を行き来されると、その後の処理が大変何ですけど…?」

 

優「自分から今回の種をまいといてそんな事を言えるんですか?」

 

紫「うっ…。そう言われると反論できないわね…。」

 

優「でも今は別れの時です。しっかりと葵さん達を見送りましょう。」

 

紫「ええ、そうね…。」

 

 

 

幽々子「うわーん、行かないでぇぇーー!!!」

 

祐彦「ちょ、ちょっと西行寺さん?!」

 

幽々子「私の孫はっ?!料理はっ?!一体何処に行ってしまうの~!!」

 

妖夢「ちょ、ちょっと幽々子様、恥ずかしいので止めてくださいよ?!」

 

祐彦「西行寺さん、幻想郷滞在期間中に白玉楼に泊めて下さってありがとうございました。とても楽しかったです。」

 

幽々子「いやぁぁー!!妖夢、祐彦君を抑えなさい!!」

 

妖夢「いえ、私は幽々子様を抑えます。」

 

幽々子「どーしてぇぇーー…!!!妖夢ぅ~…!!」

 

祐彦「妖夢さん、これあげる。」

 

祐彦は、幽々子を取り押さえている妖夢に自分の木刀を差し出す。

 

妖夢「これは祐彦さんが愛用していた…!?」

 

祐彦「ああ。妖夢さん、毎朝剣の練習していたし、応援の意味を込めて贈るよ。」

 

妖夢「で、ですがこれを受けとる訳には―――」

 

祐彦「俺、現代に戻ったら剣道をやめようと思うんだ。だがらこの木刀も誰かに使ってもらえると嬉しいだろうし受け取ってくれないかな。」

 

妖夢「…。わかりました、私、頑張ります…!!頑張って、幻想郷最強の剣士になって見せます…!!」

 

祐彦「うん、頑張れ!妖夢さん!」

 

 

 

 

露木「リンさんもリアっちも来てくれたんだ、サンキュー!」

 

美鈴「露木さんとは何回も手合せをしたものですから当然ですよ!」

 

レミリア「最後までその変なあだ名は変わらなかったけど、楽しい時間を過ごせたわ。有難う。」

 

露木「およよ…リアっちが素直にお礼を言ってくるとは…。明日は槍が降るかな?」

 

レミリア「ひっ人が素直にお礼を言っているっていうのにコイツは…!!」

 

咲夜「はぁ…。お嬢様にその呼び方はやめなさいって…。」

 

露木「おおっと、これは失礼♪」

 

橙「露木さん、外の世界へ帰っても元気に過ごしてくださいね!それにストレイキャットも!」

 

 

『ニャン。(主人と共に楽しく生涯をすごすさ。)』

 

 

露木「ああ、橙ちゃんも元気でな!」

 

 

 

 

藍「葵、現代でも元気でな…。そしてケン、君は将来、社会にとってとても大きな存在となるだろう。自分の意思を強く持て…!!」

 

葵「藍さんも元気でね!紫さん、あまり藍さんをこき使わないようにしてあげてくださいね?」

 

紫「え、ええ。今回で藍の有難さを改めて身に染みたわ…。」

 

藍「もう…。遅いですよ、紫様…。」

 

健汰「紫さんには命を助けてもらっちゃったから一生頭があがらないな、俺は。」

 

紫「いいえ、藍達を外の世界で見守ってくれた、それだけで十分な対価ですよ。」

 

健汰「どう考えても俺の方がお世話になっちゃったんだよなぁ…。」

 

 

各自が別れの一言をを言い終わった時、霊夢が合図を出した。

 

 

霊夢「そろそろいいわ。紫、お願い。」

 

紫「わかったわ。」

 

 

『クパァ…!!』

 

 

葵達の前にスキマが展開され、露木は空間の模様を見た途端に顔を歪める。

 

露木「うひゃぁ…前にも見たけど慣れねぇなぁ…。」

 

紫「仕方ないでしょう。アナタが能力持ちでそれでも現代に帰りたいというのだから…。」

 

葵「へぇー…。何か綺麗だね~!!」

 

霊夢・優「えっ?!」

 

紫「ほっ、ホント?!」

 

葵の予想外の発言に皆が驚く。そして紫に今までにない感情が生まれてきていた。

 

葵「だってほら、目がキラキラしていて何か綺麗でしょう?」

 

紫「――~ッ!!アナタ、本ッッッ当にいい人ね!」

 

葵「えへへ~、良い人だってぇ~…!!」

 

健汰「もう、お姉ちゃんってば褒められると直ぐに調子に乗るんだから…。」

 

葵「褒められた事は適度に受け止める。それが一番よ。」

 

祐彦「だがどうしても入る時は躊躇してしまうな、俺は…。」

 

幽々子「残る?!ねぇ残る?!」

 

祐彦「―――だが、いい。これでいいんだ。皆さん、有難うございました。お元気で!」

 

祐彦の片足がスキマに入った時、妖夢は前へとでた。

 

妖夢「――――ゆ、祐彦さんコレっ!!」

 

 

『ヒュッ!!』

 

 

祐彦「ん?――おっとっと…?!これは…―――」

 

妖夢は祐彦へ手のひらサイズの小さな物を投げ渡す。

 

妖夢「お守りです…。現代でも、怪我をしないようにって。」

 

祐彦「―――フッ。有難う、妖夢さん。じゃあね―――――」

 

 

『ズプンッ!』

 

 

祐彦は妖夢のお守りを受け取り、そのままスキマの中へと入っていった。

 

露木「す、すげえな祐彦…。何の躊躇もせずに入っちまったぞ…?!」

 

魔理沙「お前とは大違いだな、露木!」

 

露木「う、五月蠅ぇ!!…キリサメ、あん時有難うな。お蔭で俺、ここにいる。」

 

魔理沙「別にいいんだぜ!困った時はお互い様ってな!ほら、お前も早くいったらどうだ?」

 

露木「ああ!みんなっ有難うな、楽しかったぜー!!」

 

 

『ズブンッ!』

 

 

露木は手を振りながら、そのままスキマへと走って行った。

 

健汰「…?お姉ちゃん、俺達も行こう?」

 

葵「うん。咲夜ちゃん、妖夢ちゃん、橙ちゃん、藍さん。またね!」

 

妖夢「…!はい!」

 

咲夜「また幻想郷へやって来たのなら紅魔館へ来て頂戴。総出で迎えるわ!」

 

藍「またね、か。もう一度ここへ来るつもりか?」

 

橙「私もまたいつか会いたいので、またね、って言います!」

 

健汰「…!そうだね、どうせならまた会えるという希望をもって別れた方がいいよね。じゃあ『またね』!」

 

葵「フフッ…!(有難う、皆…!!私、頑張るよ…!!)」

 

 

『ズブンッ!』

 

 

葵と健汰は同時にスキマの中へと入っていった。

 

 

 

 

 

2人は暗闇の中をまっすぐと歩き続ける。

 

健汰「お姉ちゃん、俺ね…。一度死んだあとの記憶もあるんだ。」

 

葵「え…?」

 

健汰「仇、取ろうとしてくれて有難うね。嬉しかった!」

 

葵「ケン…。」

 

健汰「あっ、出口だ!!」

 

健汰が指さす先に、光がもれている場所が見える―――出口だ。

 

葵「!――――――ケン、走ろうっ!」

 

健汰「えっ?!……うん、走ろうっ!!」

 

2人は光がもれる場所へ向かって走り出した。

その2人の走りは、決して誰にも止める事が出来ないだろう。

この先、大きな壁にぶつかるだろう。だが2人は止まらない。固く決意したその思いがある限り。

進め、走り続けろッ!!過ぎた時間は戻らないッ!!

人の上を走る者の後姿が、今!!世界を駆け巡る――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は冒頭から健汰が目覚め、一気に進展していきました。
物語に追いつけない事もあると思いますが、その時は質問コーナーを活動報告に設置しますのでご質問ください。
そしてこれでこのお話はお終いとなります。まだあと一話を用意してあるので、それも読んでいただけると有難いです。
それでは次回もゆっくりしていってね!



~今までの登場人物~

#プロローグ
八雲 紫  西行寺 幽々子  八意 永琳  聖 白蓮  八坂 神奈子
魂魄 妖夢  レミリア・スカーレット


#1 外の世界に行ってきます!!
レミリア・スカーレット  十六夜 咲夜  八雲 紫  八雲 藍  橙
魂魄 妖夢  西行寺 幽々子  小悪魔  草壁 健汰  草壁 葵


#2 こんな現代、現代じゃない!!
草壁 葵・健汰  八雲 藍  橙  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
カフェの店員  凶器を所持する男  ノブっち?  ゆづっち?


#3 危機、襲来…!!
草壁 葵・健汰  草壁 英克  博麗 優  八雲 藍  橙
十六夜 咲夜  魂魄 妖夢  TV  八雲 紫(声)


#4 おばあちゃんは強い!!
草壁 葵・健汰・英克  信寺 露木  古森 祐彦
魂魄 妖夢  十六夜 咲夜  八雲 藍  橙  駄菓子屋のお婆さん
レミリア・スカーレット  フランドール・スカーレット  紅 美鈴


#5 ストレス、溜まりました!!
草壁 葵・健汰  八雲 藍  橙  魂魄 妖夢  十六夜 咲夜
桂井  八雲 紫  博麗 霊夢


#6 事件、発生しました!
博麗 優  桂井  人間A・B・C  運転手  草壁 葵・健汰・勝英
八雲 藍  橙  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢  受付の人  西行寺 幽々子


#7 怪力、発揮します!!
草壁 葵・健汰  八雲 藍  橙  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢  桂井
強盗犯の男  警察  古森 祐彦  妖怪N・O  幻想郷に迷い込んだ男性
???(女性)  ???(女性)


#8 目と目が合ったら勝負の合図、です!!
人々(10人くらい  信寺 露木  霧雨 魔理沙  アリス・マーガトロイド
上海人形  妖怪N・O  古森 祐彦  魂魄 妖夢  草壁 葵・健汰
八雲 藍  橙  十六夜 咲夜  桂井


#9 き、際どいのです…!!
少女(声)  草壁 葵・健汰  古森 祐彦  魂魄 妖夢  十六夜 咲夜
八雲 藍  橙  信寺 露木  霧雨 魔理沙  アリス・マーガトロイド
博麗 霊夢  向日葵畑の女性  八雲 紫  福引の店員  桂井


#10 現代だけど『戦闘』しました!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  魂魄 妖夢  十六夜 咲夜  八雲 藍
橙  桂井  操られている人達  信寺 露木  博麗 優


#11 遊園地に行きました!!
草壁 葵・健汰  信寺 露木  古森 祐彦  十六夜 咲夜  八雲 藍
魂魄 妖夢  橙  遊園地の従業員


#12 トラブル多発です!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  痴漢男  駅員  占い師


#13 ついに来た、南国です!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  箔ヶ丘(ガイド)  レミリア・スカーレット
フランドール・スカーレット  紅 美鈴  パチュリー・ノーレッジ


#14 海、海、海ッ!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  箔ヶ丘(ガイド)  七光り  モブ男A・B


#15 ビバ、南国ツアーです!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  箔ヶ丘(ガイド)  ココナッツジュースの店員
スターバースト・ストリーム(スタバ)の店員  筋力測定?店の店員
ご当地グッズ屋の店員  料理店の店長  スキューバダイビングのお兄さん


#16 ペアで観光です!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  ストレイキャット  博麗 霊夢・優  少女(霊夢達の子供)  
レミリア・スカーレット  フランドール・スカーレット  西行寺 幽々子
八雲 紫


#17 異常?!宝探し大会です!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  ストレイキャット  桂井  従業員A・B  大会の司会者
サメ  博麗 霊夢・優   少女(霊夢達の子供)  八雲 紫  霧雨 魔理沙
アリス・マーガトロイド


#18 恐ろしき執念、です!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  ストレイキャット  箔ヶ丘(ガイド)  桂井  人A・B
少女(桂井の妹)  とある医師  


#19 動き出す世界、です!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  ストレイキャット  桂井  霧雨 魔理沙  博麗 霊夢・優
西行寺 幽々子  レミリア・スカーレット  フランドール・スカーレット
鈴仙・優曇華院・イナバ  空間に響く声(パチュリー・ノーレッジ)


#20 葵に隠された生命の本能、です!!
草壁 葵  信寺 露木  ストレイキャット  十六夜 咲夜  八雲 藍
八意 永琳  蓬莱山 輝夜  因幡 てゐ  鈴仙・優曇華院・イナバ  魂魄 妖夢
射命丸 文  河城 にとり  犬走 椛  博麗 霊夢・優  少女(霊夢達の子供)
霧雨 魔理沙  アリス・マーガトロイド  上白沢 慧音  寺子屋の男子生徒
西行寺 幽々子 レミリア・スカーレット  フランドール・スカーレット
紅 美鈴  小野塚 小町  牛肉を抱いて死んだ人間の幽霊


#21 フラグをたててはいけないのです!!
草壁 葵  古森 祐彦  信寺 露木  魂魄 妖夢  エリー  くるみ
西行寺 幽々子  人魂  風見 幽香  フランドール・スカーレット


最終回 『またね』!!
草壁 葵・健汰  古森 祐彦  信寺 露木  十六夜 咲夜  魂魄 妖夢
八雲 藍  橙  ストレイキャット  博麗 霊夢・優  少女(霊夢達の子供)
レミリア・スカーレット  紅 美鈴  八雲 紫  西行寺 幽々子  射命丸 文
蓬莱山 輝夜  八意 永琳  東風谷 早苗  八坂 神奈子  洩矢 諏訪子
風見 幽香  エリー  くるみ
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