朝、ノブっち(露木)とゆづっち(祐彦)が葵達の元へとやってくる。
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家周辺の案内を行った。(今ココ!)
【現代入り・5日目】
『ジメェ~…』
藍達がこの世界へ来て5日目。この日は猛暑+雨で蒸し地獄となっている。
橙「にゃ、にゃあー…」
葵「はぁー…だるいー、気持ち悪いー、呼吸するだけで死にそー…」
藍「くっ…尻尾を隠していると蒸れて気持ち悪い…!!」
妖夢「はぁ…刀の手入れを今日は入念にしないと…」
咲夜「はぁ…はぁ…」
健汰「…」
健汰はこの光景を見て、少し思う事がある。
健汰「(みんな蒸し暑さに対して弱すぎじゃない…?)」
目の前で5人の女性が座り込んだり、寝っころがったりして脱力してる。
健汰「お姉ちゃんは大げさなだけだから放っておくとして…」
葵「ひ、酷くないケン?!」
健汰は葵の事を無視して藍達に聞く。
健汰「妖怪って暑さとかダメなの?」
藍「いや、種族によって異なるな。私は狐、橙は猫。橙は暑さに多少なりと対抗できるが、私は苦手なんだ」
健汰「じゃあどうして橙ちゃんは…」
橙「し、湿気が…水が苦手なの…」
健汰「そうなんだ…じゃあ妖夢さんはどうしたの?湿気が多いと刀が錆びるの?」
妖夢「確かにその理由もありますが、この刀の性質上ですね。この刀は妖怪が作り上げたという妖刀です。それ故なのか、とても繊細で少しの事で傷がついてしまうんです…」
妖夢はそう言いながら、刀身を軽く当てるように綿で拭いていく。
咲夜「はぁ…ふぅ。」
その横で咲夜がゆっくりと立ち上がり、おぼついた足取りでこの部屋から出て行った。
健汰はその瞬間を見逃さなかった。
健汰「…(咲夜さんの様子がおかしかったように見えたんだけどな…ちょっと聞いてみるか)」
健汰は咲夜の後を追って部屋から出て行った。
咲夜「はぁ…はぁ…(何かしら…頭が、ボーっとする…力もあまり入らない…)」
健汰「咲夜さん」
咲夜「ひっ?!け、ケン…どうしたの?」
後ろから急に呼ばれたため、驚いて変な声を出してしまった。後ろを振り向くとそこにはケンが立っていた。
健汰「あっごめんなさい…驚かそうとは思わなかったんだ。…咲夜さん、大丈夫?何か苦しそうだよ?」
咲夜「だ、大丈夫よ…。心配かけてゴメンね…?」
健汰「だったらいいんですけど…無茶をしちゃダメですからね?」
咲夜「ええ、分かったわ。」
健汰は来た道を戻ろうと後ろを向いた瞬間だった。背中にドサッ、と重い物が寄しかかる感じがした。
健汰が後ろを振り向いて目に入ったのは、倒れた咲夜だった。
健汰「え?さ、咲夜さん、咲夜さん?!お、お姉ちゃん咲夜さんが?!」
健汰が声を荒げると部屋から葵をはじめ、皆がやってきた。
葵「ちょっ、咲夜ちゃん?!大丈夫?!」
藍「…!すごい熱だ?!何故こんなになるまで我慢を…」
妖夢「とにかく寝かせてあげましょう!」
葵「だったら私の部屋のベッドを使おう!すぐ目の前の部屋だから!」
葵はそう言って、ヒョイッと咲夜を持ち上げる。健汰がすぐに部屋のドアを開けて、葵がベッドに咲夜を寝かせる。
橙が気を利かせて、水の入った洗面器と湿らせたタオルを持ってくる。
葵「よし、お父さんに一応電話しておこう…!!」
葵は部屋へと戻り、電話を掛け始める。運が良く繋がる事ができ、簡略化した問診を行った。
その結果普通の『風邪』と断定されたのだった。
葵「お父さんの話だとただの風邪だって。安静にして、しっかりと栄養をとればすぐに治るって言ってたよ!」
藍「そうか…。では消化しやすい料理を作ろう。お粥などでいいだろう」
妖夢「あ、私も手伝います。藍さん」
橙「橙も手伝いますっ!」
葵達はそう言って部屋から出て行く。それに健汰もついて行こうとした時だった。
『キュッ…!』
健汰「?!さ、咲夜さん…?」
咲夜「お、嬢さ…ま…」
健汰の服を咲夜が掴んでしまったのだった。
健汰「お姉…ってもういない…。はぁ…(大声を出すわけにもいかないし…)仕方ない、じっとして居よう…」
健汰は咲夜の額にのっけているタオルを再び濡らし始めたのであった。
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藍「失礼する。起きてはいるか?…ってケン、ずっとそこに居たのか?」
健汰「あ、うん…咲夜さんが僕の服を離さないから…」
太陽が南中へと昇った頃、藍が昼食を食べれるか確認する為に咲夜の元へとやって来た。
藍「離せばいいのではないか?」
健汰「それは僕も試みたよ。でも咲夜さんの握力が強すぎて…」
藍「なに…?」
『ギリギリリッ!』
藍「…」
藍は、咲夜が健汰の服を物凄い力で握っているのを見て思わず言葉を失った。
健汰「こんな力…僕じゃ到底敵わないよ…」
藍「じゃ、じゃあ脱げばいいだろう!手伝ってあげるから…」
健汰「いや、いいよ藍さん。それよりも昼食を持って来てくれないかな?僕の分と咲夜さんのを」
藍「わ、わかった…。しかし良いのか?このままではケンにもうつってしまうかもしれないんだぞ?」
健汰「大丈夫。その時はその時だから。」
藍「そうか、了解した…。」
藍は昼食を持ってくるために部屋を後にした。
そしてその後、健汰は昼食を済まして咲夜の近くに居続けたのだった。
~一方、葵は…~
『ピンポーン!』
降っている雨の音をかき消すように、家に音が鳴り響く。
葵「こんな雨の中誰なの…(連打しないって事はあの2人じゃないわね…)は~い…」
葵は気の緩んだ返事をしながらドアを開けた。目の前には白衣を着た男性が立っていた。
葵「(こんなジメ暑い日に薄手の手袋…?何か変な男性ね…)」
男「こんな雨の中に申し訳ございません、少しよろしいでしょうか?」
葵「(白衣って事はお父さんの知り合いかな?)はい、良いですよ。」
桂井「有難うございます。私『桂井』と申す者です。それでは…」
桂井は持っていた手さげカバンから、1枚の紙を取り出して葵に見せる。
葵「え~と…『日常が退屈だと思っていませんか?そう思っているそこのアナタ!毎日が楽しい生活を送れる方法がある事を知っていますか?!』…って何ですかコレは…」
桂井「その表紙に書いてある通りです。私はある日を境に人生がとても楽しくなりました。そしてふと思ったんです…『もしかすると今までの自分の様に退屈な人生を送っているのではないだろうか?!』と…」
葵は正直その話についていけていなかった。漫画であれば頭の上に?マークが10個ぐらい出てきているだろう。
つまりそれぐらい話の意図が掴めなかったのである。
葵「あの…一体どういう事なのでしょうか…?」
桂井「あっさり言いますと、楽しい日々を送る為に私と一緒に事業を起こしませんか?!という勧誘です」
葵「いえ、もう毎日が楽しいので結構です。お引き取りください…」
桂井「まぁまぁそう仰らずに…。お家族はどうでしょうか?もしかしたらアナタだけ、かもしれませんよ~…?」
葵「(う、うざいわね…)いいですから、もう何処かに行ってください!!」
桂井「チッ…(しぶとい奴だ…。仕方ない、
妖夢「葵さん、どうかしましたか…?」
葵が男性を追い返そうとしてる時、妖夢が騒ぎを聞きつけてやってくる。
葵「あ?!妖夢ちゃん、来ちゃダメ―――」
桂井「…?!―――そうですね、私は失礼させてもらいます。今回、わざわざ時間を割いていただき有難うございました。それでは…」
『バタン…』
妖夢「?一体何だったんですか?」
葵「…?(あの人が妖夢を見た瞬間、何かに怯える様に去って行った…?気のせい、よね?)ううん、何でもないよ妖夢ちゃん」
妖夢「は、はぁ…」
―草壁家前…―
桂井は扉を閉めた後、少しの間だけその場に佇んでいた。
桂井「(何なんだ…あの少女は?!俺に似たような力を感じ取れた…。とにかく、あまりこの家には近寄らない方が良い…!)」
桂井は傘を開き、雨の中何処かへと歩いて行った。
『ザァァァ…!!』
~その日の夕方…~
この時間帯には既に雨が止み、雲と雲の間から夕陽が差し込んでおり、部屋を赤く染める。
その時、咲夜は意識が覚醒する。
咲夜「んっ…ふぅ…あれ、私は…」
健汰「すかー…すかー…」
起きてまず目に入ったのはベッドに寄しかかって寝ている健汰だった。
そして咲夜はだんだんと思い出してくる。
咲夜「…!そうだ、倒れたんだったわね…。ケンがここにいるって事はもしかしてお世話をしてくれたのかしら…」
健汰「ん…うぁ、寝てた…。あれ、咲夜さん大丈夫なの…?」
咲夜「ええ、ケンのお蔭ですっかり良くなったわ。ありがとう…!」
健汰「僕はただそこに座ってただけだよ。そしてはい。藍さんが、起きたら食べてくれって」
健汰はそういって咲夜の前に小さな土鍋を差し出す。
咲夜「中身は何かしら…。これは、お粥かしら?卵と一緒に作られているわね…それにほんのりと温かい…」
健汰「(もう大丈夫そうだな…)じゃあ咲夜さん、ゆっくりと食べてね。僕はみんなに咲夜さんが起きた事を知らせてくるから…」
咲夜「えぇ、分かったわ。」
健汰はみんなの元へ行く為に、部屋を後にする。そして咲夜はお粥を食べ始めるのであった。
咲夜「!(おいしい…!)」
―リビング―
『ガチャ…!』
リビングのドアが開くと、部屋に居た者は皆その方向へ視線を向けた。健汰が入って来たのだ。
藍「!咲夜が目覚めたのか?」
健汰「うん。今お粥を食べているからちょっと時間を空けてあげて。」
葵「ケン、咲夜ちゃんの熱とかどう…?」
健汰「うーん…見てた限りじゃ、顔色もいいし食欲だってあったから無いんじゃないかな…」
妖夢「良かったです…。ですが半日で風邪を治すのは凄いですね!」
健汰「僕もそう思う。僕は3日間ぐらいかかるな…」
藍「今回の風邪の原因は『疲れ』だろうな。現代という未知の地で生活しているんだ。妖夢や橙も気を付けてくれ」
橙「はい、藍様っ!」
葵「…」
健汰「?お姉ちゃんどうしたの…?」
葵は顎に手を当て、少しの間考え事をしていた。健汰の声にも気付けない程に。
葵「…よし、今日から少しでも疲れを感じた時は休むようにしよう!うん、それがいい!」
全員『…えっ?』
葵の言う事に対して、全員は同じ反応を見せる。
葵「特に藍さんや妖夢ちゃんは気を付ける事。いいね?」
藍「あ、ああ…」
妖夢「わ、わかりました…」
葵「そしてケン!アンタは観察眼に優れているんだから藍さん達をちゃんと見ててね!」
健汰「え、あ、うん…わかった。」
葵「そして私は全力で皆の疲れを癒す!これ以上にない名案だわ!」
全員『 ・ ・ ・ 』
全員は葵の話についていけていなかったが、その場の雰囲気でやり過ごすのであった。
『ガチャ…』
ドアが開くと、鍋をもった咲夜が入って来た。すると葵は直ぐに行動へ移った。
葵「咲夜ちゃん、大丈夫?!だるくない?!寒くない?!あ、お鍋は私が持つよ!」
咲夜「えっ、あっ有難うございます…?!」
葵は咲夜の持っている鍋を素早く受け取る…というか奪った。
葵「ほら咲夜ちゃん、ソファに座って座って!あ、そうだケン!アンタ咲夜ちゃんにマッサージしてやって!」
健汰「えぇっ?!お姉ちゃんがやればいいじゃん…」
葵「何を言っているの…。アンタの方がマッサージは得意でしょ!!」
健汰「はぁ…わかったよ…。咲夜さん、肩でいい?」
咲夜「別に強制している訳じゃないからやらなくてもいいのよ、ケン?」
健汰「いや、やるよ。いくよ…」
健汰は咲夜の方へ手を伸ばす。そして親指でグリグリと押し始めた。
咲夜「んっ…ふっ、くぅ…!!」
健汰「あっゴメン、痛かった…?」
咲夜「いいえ、とても気持ちいいわ…。(凄い…肩の力がどんどん抜けていく…)」
健汰「そう…。(あ…ずっと力みっぱなしだったけど力が抜けてきている…)」
健汰が咲夜の肩を揉んでいると、とても硬い部分があった。
健汰「(ん?なんだこのコリコリしているの…?押してみるか。)フッ!」
『パキッ!』
咲夜「ひゃうっ?!」
パキッと大きな音がなった。同時に咲夜はビクンッと大きく反応する。
健汰「す、すいません咲夜さん?!大丈夫ですか?!」
橙「今の音…肩から鳴ったんですか…?!」
藍「だ、大丈夫なのか…?」
妖夢「さ、咲夜さん?!」
咲夜「あ…あぁっ…」
咲夜はソファに横たわり、体を震わせている。
するとそこに葵が戻って来た。
葵「どうー咲夜ちゃん、気持ちよくなった―――って、えぇっ?!何で倒れちゃってんの?!」
健汰「な、なんか肩に硬い部分があったからそれを押したんだ。そしたらこうなって…」
葵「あ、アンタまさか骨を押したわけじゃ…」
咲夜「ち、違います…くっ!私は大丈夫ですので…うっ!し、心配しないでください…ハァッ?!」
全員『(いや、絶対に大丈夫じゃないよ、それは…)』
健汰「ほ、本当に御免なさい咲夜さん!?ぼ、僕はどうすれば…」
咲夜「お礼を言うのは私の方よ、ケン…!肩の重みが一切なくなったわ…!」
葵「肩の重みがなくなっているけど、言葉に重みがあるよ?!」
咲夜「はぁ…はぁ……ふぅ。や、やっと落ち着きました…。」
妖夢「だい、大丈夫なんですか…?」
咲夜「えぇ。ちょっと気持ち良すぎて意識が飛びそうになったわ…。ケン、アナタのマッサージは凄すぎるわ…。」
葵「そ、そんなに…?!ちょっとケン、私にもやって!胸の所為で肩が凝りやすいのよ~」
健汰「お姉ちゃんは別にいいでしょ…。」
葵「お願い!じゃあマッサージ代として5分で500円払うから!」
健汰「…はぁ。分かったよ、やればいいんでしょ、やれば…。お金はもらうからね」
葵「分かったってば!ほら早く早く…!」
健汰「いくよ…。フッ!」
『パキッ!』
葵「アンッ?!」
妖夢「い、一発?!」
橙「し、白目を向きかけてます…?!」
咲夜「私でさえ意識を失いかけたのですから、葵さんがやればもう…」
藍「それにしてもまさか最初の一揉みで、揉み当てるとは…」
健汰「(揉み当てるって何だろう…)いや、お姉ちゃん全体的に硬い所がある…!!フッ!」
『パキッ、パキパキパキッ!!!』
葵「あ゙、あ゙…」
健汰が全ての箇所を揉みほぐした時、葵の意識が無かったのは言うまでもない…。
~今日の
紫「…」
ただ一人。自分だけしか居ない家。もし、咳をしたとしてもただ空しく音が響くだけ。
紫「…お腹減ったわね…。霊夢の所にでも行こうっと…」
『ズブッ!』
こうして、今日も紫は霊夢の所へとご飯を食べに行くのであった。
紫「霊夢、ご飯ー」
霊夢「帰れ」
この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は咲夜さんが風邪をひいた、という回でしたね。そして健汰の得意な事も見つかりましたね。まさかあそこまでマッサージがうまいとは…。
短いですが、今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!