従者現代録   作:銀の鰹節

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前回のあらすじ
咲夜が風邪で倒れてしまう。
 ↓
健汰のマッサージが異常だった…(今ココ!)


#6 事件、発生しました!!

 

深夜の街路時。人気はなく、不気味な空気が漂う場所に、幻想郷からやって来た『博麗優』はいた。

 

優「…(この近くだ、この近くで幻想郷を行き来した時の空間の歪みがある…)」

 

優が壁や地面など隅々を探っていた時だった。後ろから何者かに声をかけられる。

 

??「貴方、こんな時間帯にうろついていちゃ危ないですよ」

 

優「ッ?!」

 

優に話しかけたのは、昨日葵の家にやって来た『桂井』だった。後ろには何人も人を連れている。

 

優「…!!この感じ、そうか。お前が幻想郷を行き来する者だな?」

 

桂井「おやおや何を根拠に言っているんですか?」

 

優「能力を感じたからだ。後ろにいる奴ら、操っているだろう?」

 

桂井「!まったく、貴方は幻想郷から送られた者ですか…?」

 

優「ああそうだ。これ以上幻想郷と現代を行き来するな、と警告しに来た。

それにお前からとてつもなく嫌な感じがする。過去にもあった…これは悪事を行おうとするときの感じ方と一緒だっていう事をな!!」

 

桂井「…!!勘のいい人は嫌いですね…丁度いい、貴方は私の実験台となってください」

 

優「!(霊圧が上昇した…戦うつもりか?!)相手の能力は操作性…不用意には近づけないな。」

 

桂井「行きなさい、貴方達!!あの者を捕まえるのです!!」

 

人間A「あ、ぅ…」

 

人間B「ぷ、りゅ…」

 

人間C「ご、が…」

 

操られている3人が優へと突進する。優はすぐに行動を取った。

 

優「3人か。だったら――『霊刀』!」

 

霊力を具現化させ、刀を作り出す。そして突進してくる3人をその刀で、真っ二つに斬る。

 

 

『ズババンッ!!』

 

 

桂井「なっ?!ひ、人を殺すなんて何を?!」

 

優「殺してなんかいない。ただ2つに分けただけだ!!」

 

桂井「うぐっ?!」

 

優は桂井の腹に拳を叩き込む。そして桂井は脱力し、その場に倒れる。

 

優「さてと…この男の記憶の『幻想郷』に関わる部分だけ消去させてもらおう。」

 

優は懐から1錠の薬を取り出す。

 

優「(永琳さんが作った薬だ…必要以上の記憶が消えなければいいが…)」

 

桂井「うっ…(クソッ、体が動かねぇ!!だったら――)特攻人間(エクスプロージョン)!!」

 

優「ッ!?(何だ?!)」

 

人間A・B・C「あ、わぁ…」

 

 

『ガシッ!』

 

 

優「ッ?!(こいつら、地を這いずって掴んできやがった!?)」

 

桂井「(この距離だと俺の体も無事ではないが、記憶を消去されるよりはマシだ!!)」

 

 

『バンッ、ババンッ!!!』

 

 

優「うぐぁぁ?!!!」

 

桂井「ぐぁ…?!」

 

優を掴んだ人達が一気に膨張し、爆発する。桂は少々爆風を受け、火傷を負う。

だが優は零距離で巻き込まれたため、大怪我を負う。そして衝撃で一気に車道へと吹き飛ばされる。

 

優「ぐ…クソッ…!!(何とか体を霊力で覆ったから致命傷は避けれたが、意識が――)」

 

 

『ププーーッ!!!!』

 

 

そして先程まで一度も来ていなかった車が、このタイミングに限ってやってくる。

 

優「なっ―――」

 

 

『ガシャンッ!!』

 

 

運転手「な、何てこった?!人を轢いちまったぁ~~ッ?!!オチツケ、俺…?!そうだ、救急車だ、救急車を…!!」

 

優はその後、運転手が呼んだ救急車に病院へ運ばれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【現代入り・6日目】

 

 

『プルルルル!プルルルル!』

 

 

藍達が現代入りして6日目の朝。草壁家に一本の電話が掛かる。

 

葵「ぅあ~~…誰よこんな朝に~?!もうちょっと眠らせなさいよ、またっく…。もしもし…?」

 

葵は不機嫌そうな声で電話にでる。

 

英克〔俺だ、葵〕

 

葵「…オレオレ詐欺?」

 

英克〔違う。英克だ。お父さんだ〕

 

葵「ああそう。で、この朝に何なの?おつかい?」

 

英克〔違う、いいから俺の話を聞け。お前は『優』って人、覚えているか?〕

 

葵「ああ藍さん達の荷物を持ってきた人でしょ?その人がどうしたの?」

 

英克〔今日未明、意識不明の状態でこの病院に搬送された〕

 

葵「…は?」

 

葵の頭は一瞬で覚めた。同時に、どう藍さん達に伝えればいいか、という問題が生まれる。

 

英克〔出血が酷く、所々火傷を負っていた。今、何とか一命を取り留めている状態だ〕

 

葵「…病室は?」

 

英克〔444号室だ〕

 

葵「わかった、昼ぐらいに皆で向かう」

 

英克〔そうか。じゃあ俺は仕事に戻る〕

 

 

『ブツッ!』

 

 

葵「…」

 

葵は表情を曇らせたまま受話器をしまう。

 

葵「(ダメダメ、いつも通りにふるまわないと皆が落ち込んじゃう…!!)」

 

藍「どうした、表情が暗いぞ…?何かあったのか?」

 

葵「ひゃうっ?!」

 

藍「す、すまない、驚かしてしまったようだ?!」

 

葵がいつもの表情に戻そうとした時、藍に見られてしまう。

 

葵「あ、え、うん…。藍さん、一度みんなをここに呼んでくれないかな…」

 

藍「ああ、了解した。」

 

葵はそのまま聞いた内容を、みんなに話す事にした。そしてリビングに咲夜達もやってくる。

 

妖夢「どうしました、葵さん?今日の予定についてですか?」

 

葵「まぁそれも含める。さっき父さんから電話がきたの」

 

咲夜「父さん…?確か病院に…」

 

葵「うん。そこに優さんが搬送されたらしいの」

 

全員『何だって!?』

 

全員が口をそろえて言い放つ。葵は話を続ける。

 

葵「意識不明らしいの。だから今日の昼、お見舞いに行こうかなって。」

 

橙「そ、それって本当なんですか…?!」

 

葵「うん。父さんは冗談を言うような性格じゃないから…」

 

咲夜「ど、どうして優がそこまでやられるの…?!いくら衰えたからってそこまで追いこまれるとは思わないわ…」

 

葵「そこまではまだわかってない…。とにかく今日の昼に家を出て、優さんのお見舞いに行くよ」

 

妖夢「分かりました…。」

 

葵は全てを話した。その後病院へ行くまで、重たい空気が漂うのであった。

 

 

 

 

 

~病院・受付~

 

葵「すいません、草壁英克は居ますか?」

 

受付の人「草壁医師なら…あら葵ちゃんじゃない!お父さんなら444号室に居ますよ。」

 

葵「分かりました、有難うございます」

 

妖夢「この病院では葵さん知り合いが多いのですか?」

 

葵「まぁね。お父さんが医師って理由が殆どだけどね…。それよりも急ごう!!」

 

全員「はい!」

 

葵を先頭に藍達は優が居る部屋へと向かっていく。2分ほどで444号室の前に立つ。

 

葵「お父さん、優さんの容体はっ?!」

 

英克「葵、ここはあくまでも病院だ。静かにしなさい。そして容体についてはまず自分の目で見た方が早いだろう」

 

葵達はベッドを覗くように見る。そこには全身包帯で巻かれ、人工呼吸器などで延命されている優がいた。

 

 

『ピッ…ピッ…ピッ…』

 

 

咲夜「ひ、酷い…?!」

 

藍「一体何があったと言うんだ…?!」

 

妖夢「もしこれを霊夢さんがみたらどうなるか…」

 

英克「話しによれば、車に轢かれたらしい。だがそれだけじゃないんだ。何か、爆発のような衝撃を受けないとここまで出血はしないし、火傷もする筈がないんだ…」

 

橙「ま、優さん…」

 

葵「ど、どれくらいで治るの…?」

 

英克「さぁな。意識が戻るのかも今は怪しい状態だ。」

 

心電図を見ながら英克は言った。だが、その時だった。

 

 

『ピーー!!』

 

 

英克「何っ?!」

 

咲夜「な、何この音?!」

 

藍「心臓が…止まった時の警告音だ…。」

 

妖夢「そ、そんな…?!」

 

優の心臓が止まったのだった。それに加え、脳波も弱くなる。

 

英克「は、早い?!早すぎる?!これでは対処が…!!」

 

 

『安心してください』

 

 

全員「…え?」

 

病室に響く、男性の声。健汰のでも、英克のでもない、違う男性の声。

 

葵「今の声…ケン?」

 

健汰「ち、違うよっ?!」

 

 

『ちょっとだけ、我慢してくれよ。俺の体…!!』

 

 

妖夢「この声…優さんです!!」

 

英克「はぁ?!心肺停止の状態、尚且つ脳波ももうないと言っていい程の状態だぞ?!」

 

英克は声を荒げる。それはそうだ、目の前で話す事もままならない者の声を聞いてしまっているのだから。

 

 

『幽体離脱…っていう言葉をご存知でしょうか?』

 

 

葵・健汰・英克「うわっ?!(うおっ?!)」

 

橙「ま、優さん…?!」

 

なんと、優の体から半透明な優が出て来たのだった。

 

優(幽体)「咲夜さん、妖夢さん、俺の体へ霊力をあるぶんだけ注いではもらえないでしょうか?」

 

咲夜・妖夢「わ、わかった!!」

 

咲夜と妖夢は優の手にそれぞれ触れる。同時に、優(幽体)も身体の方へと消えていった。

 

咲夜・妖夢「ハァァァァッ!!!」

 

健汰「咲夜さんと妖夢さん…光ってる…」

 

 

『ピッ……ピッ…ピッ、ピッピッピッピッピッ!!!』

 

 

英克「くっ?!心拍数が…これでは心臓が耐えきれん、破裂する可能性が…!?」

 

藍「大丈夫ですよ、草壁医師。この程度で、死ぬような人間ではないですから…」

 

 

『ボシュゥゥゥ~~~…』

 

 

全員「!?」

 

光が最高潮に達した時、煙が発生し、部屋を包み込んだ。

 

優「ゲホッ、ゲホッ…?!」

 

葵「い、生き返った…?!」

 

英克「アンタ等と関わっていると科学を全否定されるような経験にばっかりあうから本当に困るよ…」

 

優「褒め言葉として受け取っておきますよ…ゲホッ!」

 

煙が晴れると、起き上がった優が居た。そして喜びの再会…と思いきや、直ぐに話へと移った。

 

優「藍さん、妖夢さん、咲夜さん、橙さん、幻想郷と現代を行き来する者を見つけました…!!」

 

咲夜「幻想郷と…」

 

妖夢「現代を…」

 

藍「行き来する者だと…?!」

 

橙「ど、どうやって…?!」

 

優「それを探っている時に、襲われたんだ…。そいつは男性で、白衣を着ていた。そうだな…身長は180~185ぐらいだろう」

 

葵「白衣…?」

 

健汰「どうしたの、お姉ちゃん?」

 

葵「いや…。優さん、もしかしてその人って手袋を付けていた?」

 

優「手袋…ッ!!確かにつけていた、まさか出会っているのか?!」

 

葵「は、はい…?!昨日、変な宣伝をしてきたなーって思いながらその人と対面したんですよ」

 

優「何所に住んで居るかは…!?」

 

葵「さ、さすがにそこまでは…ん?いや待てよ…あった!!」

 

葵はポケットの中から小さな紙切れを取り出す。

 

葵「あの時に名刺をもらったんですよ。えぇっと…『桂井光輝』?何かの住所も書いてあるけど…私の家からそう遠くはないですね。」

 

優「ほ、本当か?!こうしちゃいられ―――ぐはぁっ?!」

 

健汰「うわっ?!ち、血を吐いた?!」

 

英克「当り前だ!!あれほどの傷、いくら何でもほんの数分で治癒するようなものじゃない!!これは医者としての権限で言うが、1ヶ月は絶対安静だ!!」

 

英克はそう言って、優を無理矢理寝かせる。

 

優「うぐっ?!で、でも早くしなければ大変な事に…!!」

 

藍「安心しろ、優。それは私達が引き受けよう。」

 

優「そ、それでは休暇の意味がなくなるんじゃ…」

 

咲夜「それぐらい大丈夫よ。もう6日間も休んだのだから」

 

妖夢「それに少し腕が鈍ってしまっていますしね…」

 

葵「じゃあ私はそこへ案内するよ!」

 

英克「やめなさい。君達」

 

藍達「ッ?!」

 

盛り上がっている藍達を、英克は静止する。

 

英克「この事は警察に任しておきなさい。もしかしたら巻き込まれる可能性がある。」

 

藍「で、ですが…」

 

英克「郷には行ったら郷に従え。わかったか?」

 

橙「でも、これには幻想郷も…」

 

葵「お父さん、3日。」

 

英克「…?何を言っている、葵」

 

葵「3日間経ったら私達は行くよ。」

 

英克「…!!やめなさい、葵。一体どれほどの危険があるのかもわからな―――」

 

健汰「きっと大丈夫だよ、お父さん。日本の警察は3日もあれば逮捕できるから…」

 

英克「ッ?!(な、何故なんだ…昔から、昔からケンの言葉を聞くとどうしても納得してしまう…?!)だ、だが―――」

 

健汰「大丈夫だから、ね?だから―――安心して。」

 

英克「――…ぁ、わかったよケン…。そうだな、3日もあれば捕まるな…」

 

健汰「うん、そうなんだ。だからお父さんはもう仕事に戻っていいよ」

 

英克「ああ…そうするよ…」

 

英克はまるで何かに操られているかのように、この部屋を後にした。

 

妖夢「…?なんか英克さんの様子がおかしくありませんでしたか?」

 

咲夜「えぇ私もそう思うわ…。急に勢いがなくなったって感じなのよ…」

 

葵「…ケン、あんた何をしたの?」

 

健汰「…別に何もしていないよ。それよりも、ほら!その…『桂井』って人の情報とか優さんから聞いた方が良いんじゃないの?」

 

健汰の言葉で、優もハッとする。

 

優「そ、そうだ…。その桂井という男性はおそらく能力持ちだ。操作系とみて間違いない。」

 

葵「操作って…洗脳でもするの、その人?」

 

優「それはわからない。だがその男性の戦闘法は非道的だ。自分は戦わず、人に戦わせる。いざとなったら盾にもするような戦法だ。」

 

妖夢「ひ、酷い…!!聞くだけで怒りが込み上がってきます…!!」

 

優「それに、操っている者の戦闘法まで幅広く出来るらしい。まぁ俺の場合は自爆させやがったがな…」

 

橙「じ、自爆?!」

 

優「ホント、狂気じみた奴だ…。それに、あのタイプは『目的を達成させるなら、いかなる犠牲も躊躇しないタイプ』だ。もし、対面した時は用心しとけ…!!」

 

藍「わかった…。それじゃあ私達は家に帰らせてもらうとしよう。優、安静にな…」

 

優「ぐっ…頑張るよ。咲夜さんに妖夢さん、霊力有難うございました。お蔭で大体の傷は癒えました。」

 

妖夢「それはよかったです!早く治るといいですね!」

 

咲夜「今度、果物か何か持ってくわ。」

 

健汰「優さん、この世界でやらなきゃいけない事が終わったら、話をしたいのですが、いいですか?」

 

優「健汰君…だったね。ああ、いいよ。話せられる範囲までだけどな!」

 

健汰「楽しみにしてます…!」

 

葵達は家へ帰る為、この病院を後にした。

 

 

優「それにしても444号室とは不吉な…」

 

 

 

 

 

 

 

~信寺露木(ノブっち)宅では~

 

 

『ピンポーン!』

 

 

露木「はいはーい、今出ますからね~っと。」

 

 

『ガチャ…』

 

 

露木「(白衣…?変な奴だな…)えっと…何か用で?」

 

露木の目の前にやって来たのは、優や葵の前に現れた『桂井』という男性だった。

だが、露木はこの男性が何なのかを知らない為、追い返そうとはしなかった。

 

桂井「どうも、私『桂井』と申す者です。貴方は、『人生を今より楽しく過ごしてみませんか』?」

 

露木「うんにゃ、いいや俺は。いまでも十分楽しいし、幸せだから。だからさっさと帰ってくださいね~」

 

露木は桂井に背を向け、家の奥へと戻っていく。だが、同時に桂井は表情に笑みを見せ、露木の頭へと手を伸ばしたのであった…。

 

 

『そうか…よろしくね、【信寺露木】君…♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~今日の主さん~

 

幽々子「…」

 

幽々子は飢えていた。見える物が全て食べ物と認識してしまうほどに。

 

幽々子「(妖夢が居ない間は紫がちゃんとご飯を提供するって言ってた…!!)…あ」

 

幽々子の目に、宙をフワフワと舞う魂が映る。幽々子はゆっくりと、ゆっくりとその魂へと近づいて行ったのだった。

 

 

『シャクシャクシャクシャク…』

 

 

 

 

そしてこれが後の新たなる異変―――『人魂消喰異変』―――となるのであった。

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は、幻想郷と現代を行き来する者についての調査をしていた博麗優さんが、大怪我を負って病院へと運ばれてしまいました。しかもその犯人が、葵の前に現れた変な広告男だとは…。
今後の進展に大きく関わってまいりましたね。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!
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