第3部に入ったら「完結」から「連載中」に戻そうと思って、かれこれ……1年超えてるなぁ、余裕で……
どうも皆様、毛虫です
今年中にもう1本書きてぇ、と頑張りましたくぅ疲くぅ疲
「十年前、私の喧嘩を買える人間は、何人居た?」
「えぇっと……当時の博麗の巫女を除けば、分を弁えない退治屋くらい、ですかね?」
「ああ、そうだ。……まあ、後者は十年前の時点で、私に挑んでくる者等、誰も居なくなったが」
せっかく生かして人里に届けたにも関わらず、運悪く全員死んだらしい。
私に関わった以上は、不運ばかりはどうにもならんが。
「では、十年後であればまだ、霊夢達も現役だろう。
二十年三十年程度なら、動けるだろう。
ならば、四十年、五十年、百年後は、どうだ?」
「それは……」
「居ないだろうさ。居ても精々、一人二人。
こんなにも、私と競える『人間』が居る時代は、今以外にあるまいよ」
霊夢達にも配った、秘蔵の酒を、一息に煽る。
ああ全く、酒が美味い。
「だからこそ、今のうちに異変を起こされた、と?」
「今しかなかった。全く情けないことにな。私はやはり、『人間』と関わらずにはいられないらしい」
迷惑極まりないと、自嘲する。
永く生きれど、『誰か』を求める性根は、まるで変わらない。
実に惰弱。なんたる不様。
「……しかし、これが私だ。私は『これ』だ」
死にたくない、と泣き喚き、独りは嫌だ、とただをこねる。
不様に惨めに情けなく、私は今日も、『私』を生きる。
私、因幡コクト、厄災乃黒兎、前世で人間の男だったことを、確かそうだった事実だけを覚えている者にとって、『人間』とは、何か。
少なくとも、私が求める『人間の輝き』等、前世の私は持ち合わせていなかったろう。
死にたくない一心で今此処に在る、という一点は特異でも、それ以外に特筆すべきものは持たなかったはずだ。多分。
結局、『触れれば壊れる儚いモノ』に、『それだけで終わらない強さ』を要求する、単なる趣味なのかもしれない。
もしかしたら、他の理由があるのか。
何百年か何十万年か過ぎて、あの時の私の本心はこれだったのかもしれないと、何かを思い付く可能性はあるが、それは今現在の私には関係無い。
人恋しさ等と情けない解答に至ったとしても、そんなくだらなさもまた、惰弱な私らしくはある。
つまるところの結論は、十六夜と酒造を語り合い、霊夢に自然体で接せられて、早苗と家族ぐるみの付き合いをし、霧雨に負け、そして、当たり前に、人里の守護者に拒絶にされ。
我慢が利かなくなっただけなのだろう。
「当たらなければどうということも、だったかな。確か」
致命傷になりうる急所から、妖気も妖力も弾いて、『常人より多少丈夫』程度の身体を晒すことで、あらゆる攻撃を『死ぬ可能性』にする。
我ながら、非道で外道で邪道である。分かってやっているが。
とにもかくにも、こうなればもう、私に攻撃は当たらない。
普段よりも激増した情報量に脳髄が軋むが、伊吹とやり合った時に比べれば、耐えられる範疇。
避けて避けて避けて、隙を見て両脚に纏う妖力と混ぜた厄を霊夢に放つ。
ナイフを避け、刀を避け、奇跡的な偶然を事前に読んで避け、その他諸々の弾幕をすり抜け、厄弾を放つ。
霊夢の結界が壊れない、結界で遮断しきれない厄を込めて、少しずつ不運にしていく。
いずれ、霊夢が『飛べなく』なれば、その時点で私の勝ちになる。
だがそれでも、諦めないでくれ。
お前達が、人間の英雄が、
私は、最早、『人間』に期待できなくなる。
お前達の攻撃は、私に当たらない。
私の攻撃を霊夢は避けきれず、お前達は霊夢を守れない。そうできる瞬間を狙って撃っている。
それでも、尚。
諦めず、諦めず、諦めず。
どうか
たかが不運に負けないのだと、立ち上がってくれ。
お願いだ。
そうでなければ──……。
お前達でも足りないのなら──……。
私は──……。
──直後、『霧雨に殺される可能性』が、消滅した。
「…………え……?」
馬鹿な。
有り得ない。
嘘だ。
私は撃っていない。
殺していない。
死んだはずない。
流れ弾か?
私が避けた弾幕に巻き込まれた?
不運のせいで箒から落ちた?
嫌だ。
違う。
駄目だ。
私は、霧雨を、霧雨を……霧雨を……。
ぐしゃぐしゃに掻き乱れた思考のままに、霧雨の気配に向けて振り返る。
まずは確かめる必要がある。
気配だけでは不確かだ。
直接見なければと見開いた視界の中央。
全身を汗で濡らした霧雨が、にやりと笑った。
その隣には十六夜が居て。
瞬きもしていないのに、二人が消えた。
時間停止での移動。
直上に二人の気配と、魔力の高まり。
未だ、危機察知に、『霧雨に殺される可能性』は、現れない。
「弾幕は……パワー……だぜ……!」
高速で降り注ぐ星の雨は、幾つかが、射線上に居た羽虫に当たり、淡くほどけた。
辛うじて『弾幕』として体裁を保っていられている脆さ。こんなもの、何千受けても、死にはしない。死ぬ可能性が無い。
それでいて、弾速、弾数、密度は、私が『妖力を纏わなければ耐えられない速度』で逃げる必要がある程。
今の『常人より多少丈夫』な有り様では、少し駆ければ身体が壊れる。
厄を纏った蹴りによって、弾幕に触れずに相殺することも考えるが、それをすれば、余波だけで霧雨と十六夜が死ぬ。
「……先程までの貴女に、こんなにも繊細かつ大規模な魔力運用はできなかったはずだが……」
全く、見事。
これは、詰みだ。
「存外に悔しいじゃないか……『人間にしてやられる』のは……!」
嗚呼、畜生。
楽しいな。
くそったれめ。
土砂降りの星屑が、幾つも幾つも私に当たって、砕けて淡く消えて行く。
火花の様に、飛沫の様に、花火の様に、彗星の様に。
「…………ああそうだな……満足だ」
僅かな時間を、輝き消える。
【トウホウ・クロカラス 外伝】
異変の顛末を語り終え、黙々と盃を干す黒兎様を眺めつつ、ぽつり、呟く。
「……もしもコクト様が勝っていたら、どうなっていたんでしょうか」
「無論、宣言した以上は実行するだろう。妖怪だからな」
まさか聞こえるとは、況してや応えが返ってくるとは思わず、つい間抜けに呆けてしまう私を横目に見て、黒兎様がくすりと笑う。
「まあ、『不運にも死ねない』程度の縛りで、広域に拡散するからには、そこそこの実力者には大した効果が無いし、運命だか寿命だかで死ぬのは止められん、ささやかなものだがな」
「幻想郷全体が不運になる大異変を、ささやかとか仰らないでいただけますか?」
わざとらしくジト目を向ければ、これまたわざとらしく、すまんすまん、と笑われる。
……あー良かった……今の対応で正解だった。
「そうは言うが、一度霊夢達を倒しても、『完全に準備を整えた博麗の巫女と再戦』するよう紫に頼まれるのを蹴らない限り、死ぬ可能性は大して無い、本当にささやかなものだ」
目を細め、黒兎様が語る。
感覚的にではあるが、まだ言葉は続くのだと、分かった。
「寧ろ、先程の『弾幕ごっこ』で、誤って誰かを殺し、その報復に殺される可能性の方が、高かったさ」
そう言って、それっきり、再び黙々と、盃を干す。
今度は何も応えられなかった。
沈黙が正解かも分からず、黙っているしかなかった。
私には、この御方が殺される姿なんて、想像できない。
彼女が生きることに飽きない限りは実現しないのだから、そんな場面は想像する意味が無い。
だが、しかし。
「何度目であろうと、見知った相手に恨まれ殺される瞬間は、些か堪える」
想像もできない、したくもない情景を、彼女は何度も、何十も、何百何千、或いはもっと、見てきたのだろう。
それこそ、想像もできない、永い日々の中で。
それは、どんな時間だったのか、百数十万年の生も、死を事前に知る能力も無い私には、まるで想像できない。
八雲紫や洩矢諏訪子と違って、私では、この古き大妖怪を、推し測ることしかできないのだから。
「とある現人神の仇として、とある紅葉神に刺し違えられるのを『視た』時は、不謹慎ながら吹き出したが」
「すみません。その話、もう少し詳しく」
「あの娘らが拗れん程度にな。野次馬報道で恋路を邪魔して、
「もちろん大丈夫です心得ておりますとも」
だから、分かる範囲で、分からなくても問題ない範囲で、私は今日も取材して、黒兎様を知っていく。
ゲーム的に黒兎(ボス版)の能力を解説しますと、『プレイヤーの入力と同時で回避している』と『AIの演算で詰まされないように動く』を両立した、『全画面攻撃以外を一撃当てれば勝てる』敵です
入力を一瞬でもしなければ高速誘導弾撃ってきます
クソです
周囲のNPCと高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変適切に協力すれば勝てます
クソです
1戦目で勝てなかった場合、幻想郷中を不運にして不運への嘆きを集めた悪神間際とタイマンです
こっちのルートは霊夢さんが超強化されているので勝てます多分(難易度にもよる
さーて、次回(未定)の毛虫野郎は?
アンケ断トツになりやがった『続・悪神EX』!
に、なる可能性が高いです!
(もしかしたら、2位3位の方が先に湧くかもですが)
あやや「なんでしょう……とても……とても嫌な予感……いえ、悪寒が……寒気が……!」
フラン「?」