ダンジョンなんだから探求を深めて何が悪い   作:省電力

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ところで皆さんダンメモやってます?



過去

 ベルは声のした方角を進み、17階層と18階層を繋ぐ連絡路に辿り着いた。

 そこには既に【ロキ・ファミリア】の見張り役が集まっており、彼らの視線の先には、彼の主神の姿があった。

 

「おおおおお……!? 何とか逃げられた……」

「あっははははは! 死ぬかと思ったー!」

 

 その隣には地面に座り込み、大笑いしている男神がおり、それ以外にも肩で息をしている冒険者達がいた。

 

「……あ」

 

 続々と集まってくる人々の中から、ヘスティアは自らの眷属の姿を見つけ、走り出す。

 人々が道を開けると、一直線に飛びついた彼女を受け止めきれず、ベルは尻餅をついてしまう。

 周りの視線などお構いなしに、彼らが感動の再会を果たしていた。暫くすると、ベルは自分達の状況に気付き、顔を赤くする。

 すると、この中で最も(主にヘルメスによって)疲弊しているアスフィが、あることに気づいた。

 

「!? 彼らがいないではないですか!?」

 

 その言葉に、周りに集まっていた冒険者達だけではなく、ベルやヘスティアも注目する。

 彼ら、とベルが疑問符を浮かべるのも束の間、再び17階層の階段から大きな音がしたかと思えば、何かがごろごろと転がってきた。

 

「ぐあぁぁあああああ!?」

「貴方は本当に馬鹿だ! 死にたいのですか!?」

 

 その転がる物体?は顔面から地面に勢いよく滑り込み、停止する。さらにその後ろから、ベルがよく知るエルフの、とても聞いたことのない剣幕を帯びた声が響いた。

 その人物は息を荒げて階段を駆け降りると、このお馬鹿!と転がってきた人のお尻を木刀で思い切り殴っていた。

 余りの恐怖にベルは絶対にリューをこれから怒らせるようなことだけはしないでおこうと心に誓う。

 むくり、と殴られた人物が体を持ち上げる。

 

「ふふふ、ふはははははははっ! あーっははははは! 『階層主(ゴライアス)』だ! リュー! もう一度行こう!!」

 

 突然高笑いを始めた人物にベルは見覚えがあった。以前ギルドでエイナと共にアイズのことについて教えてもらった、その時は落ち着いた印象を抱いた人物だった。

 

「ラプラス!?」

 

 その声は【ロキ・ファミリア】の人混みの中から響いた。すぐにこちらに駆け寄ってきたのは、先程ベルを質問攻めにしてきたアマゾネス姉妹の妹の方だった。

 

「嘘……!? ホントにラプラスなの!?」

 

 そこにいるのが信じられないといった様子でラプラスの方に近付いていくティオナ。

 ようやく興奮が収まったのか、ティオナの存在を確認したラプラスは、いつもと変わらぬ様子で、おう、と手を振った。

 

 

 

 

 

 

「いや〜、突然押しかける形になってしまって申し訳ない! まさかベル君達を先に保護してくれていたとは」

 

 フィン達は天幕に通された客人達の一人、ヘルメスを見つめていた。彼の後ろにはアスフィもおり、アイズと目配せで挨拶をしていた。

 

「確認させて頂きたいのだが、神ヘルメス、貴方方がこの階層にやって来たのは、ベル・クラネル一行を救出するため、間違っていないだろうか?」

「ああ、そうさ。ヘスティアに依頼されてね。ちゃんと依頼書もある」

 

 ヘルメスは懐から依頼者を取り出す。

 

「先にこちらの要望を伝えてもいいかい?」

 

 ヘルメスはこの場に救助隊の代表として訪れていた。この場にいる【ロキ・ファミリア】の面々は、フィン、リヴェリア、ガレスの首脳陣、ベートを除くアイズやティオナ、ティオネといった幹部が連なる。そこに、外で宴の片付けをしている他団員達に情報を共有するため、ラウルも同席していた。

 ヘルメスが口を開いたところで、フィンが手を挙げ、それを遮った。

 

「と、その前に何故()がここにいるのか、それを説明してもらいたい」

 

 フィンの視線の先には、簀巻きにされ、床に転がされた上で口も塞がれ、しくしく泣いている放置されたラプラスがいた。

 彼はあの後、直ぐに遠征隊の負傷者テントに行き、重症者にある分の薬を渡し、その場で確保されこの場に連れてこられていた。

 

「彼がここにいるのは、彼の意思さ。オレも彼がこの旅に同行するのは驚いた」

 

 ヘルメスの言葉に嘘はなかった。話し合いを聞いていたラプラスもその言葉に偽りがないことから、何も言うことはなく、ただヘルメスの言うことに首肯した。

 

「はぁ、こうならないように制約をつけたのに、存外皆君に甘いようだね」

 

 フィンは大きくため息を吐く。

 

冒険者依頼(クエスト)に参加した以上、必ず完遂すること。一人の冒険者として、これは当然の責務だ。その場にいなかった僕達がどうこう言えるものではない」

 

 それはそれとして、君は後でここに残るようにと伝えられるラプラス。漸く解放された彼はヘルメスの隣に立った。

 

「それならば、早速で厚かましいが彼らをここの野営地に滞在させてやってくれ。そして18階層を出発する際の部隊にも同行させてやってほしい」

 

 先程のヘルメスの要望をラプラスが簡潔に伝える。それにヘルメスが付け加えた。

 

「君達がモンスターの襲撃に合ったことはもちろん知っている。だが、オレ達もベル君達を助けるために急いでいたからね、野営の準備を持ってきていないんだ。それに、あの宿場町(リヴィラ)に泊まるのもね」

 

 ならず者の街であるリヴィラは実力主義の場であり、新参者でただでさえ目立つ彼らがその街に泊まるのはリスクが大きすぎた。

 

「食料等は何とかするし、出費が出たら地上に戻ってからオレ達の【ファミリア】に請求してもいい」

 

 言葉巧みに交渉を続けるヘルメスに、ラプラスは思わず舌を巻く。中立を気取る彼の話術はやはり侮れないものだと再認識する。

 とんとん拍子で話がまとまる中で、ヘルメスはふと、思い出したかのようにフィンに微笑んだ。

 

「ああ、そうだ。遅くなったけど、『遠征』お疲れ様。戦果は挙げられたのかい?」

「おかげさまで、犠牲者もゼロに抑えられた」

「それはすごい! 流石は【ロキ・ファミリア】だ!」

 

 フィンが淡々と答えると、喜びを露わにしていたヘルメスは、口元に笑みを浮かべたまま、その目を細めた。

 

「それで、59階層では何を見たのかな?」

 

 突然、探りを入れる彼に、ティオナやティオネは顔を強張らせ、アイズでさえも僅かに目を見張る。しかし、首脳陣は取り乱した様子もなく、堂々とそんなことを宣う神に凄んだ。

 

「我々はロキの眷属だ。得体の知れない神に話す義理はない」

 

 隣にいるラプラスも気圧される程の威圧感に、思わずたじろぐが、ヘルメスは気にした様子もなくそのまま言葉を続ける。

 

「それもそうだ、悪かったよ。だけど少し事情が変わってきてね。オレはロキやディオニュソスと同盟を組んだんだ」

「!」

「所謂被害者同士の繋がりといったところだよ。あの極彩色のモンスターや闇組織(イヴィルス)の残党に対するね」

 

 遠征に向かっていた彼らにとって思いもよらない情報がさらりと告げられるが、フィンは冷静に返答した。

 

「生憎、確認が取れるまではその情報は信用できない」

「それもそうだが、()()その会合に居た人物がいるんだよなあ」

 

 ヘルメスは隣にいるラプラスと肩を組むと、にこりと笑みを浮かべる。

 

「まあ、その時のことは彼から聞いてくれ。そして、これから言うことは聞き流してくれても構わないんだが……オレ達神はダンジョンの入り口がバベル以外にも存在するということで結論付けた」

 

 アイズ達は息を呑む。

 

「君達が地上に帰還したのち、本格的にオラリオ内部の調査をする必要があると考えている」

 

 少ないけど、宿代さと言い残し、神は眷属を従えその場を後にする。

 一方的に情報を与えて去っていったヘルメスに、残された彼らは動揺を隠せなかった。

 

「……君は、この話を聞いていたのかい?」

 

 静寂が訪れた天幕に、フィンの声が響いた。

 ラプラスは彼の視線を受け、口を開く。

 

「……ロキは帰ってから伝えるつもりだったと言っていた。地上に残ったおれ達では出来る事も限られてくるしな」

 

 ラプラスの言葉に、フィンはやれやれと、ため息を吐く。

 

「地上に戻ってからも忙しくなりそうだ」

 

 

 

 

 

 

 天幕には派閥首脳陣とラプラスだけが残されており、ラプラスは彼らの前に立たされていた。

 

「まさかこんなに早くダンジョンに来るとはのう。お主も我慢ならん奴じゃ」

「……ガレス、あまり甘やかすな。此奴は私達との取り決めを破ってここまで来たのだ。それ相応の罰は必要だろう」

 

 ガハハ、と笑うガレスに対して、リヴェリアの反応は辛辣なものだった。間にいるフィンは暫く何も言わなかったが、徐に口を開く。

 

「リヴェリア、今回の事は大目に見てあげよう。彼は正確には約束を破ったわけではないからね」

 

 リヴェリアはその言葉に口を挟むことはなく閉口する。

 

「……さて、ロキ達をどう言いくるめたのかは戻ってから確認するとして、君が薬を持ってきたことは大きな成果だ。【ファミリア】の利益に繋がる行いに咎を言うつもりはない」

 

 フィンは淡々とラプラスに向けて言葉を告げる。てっきり懲罰でも下ると読んでいたラプラスはその酌量に驚きすらしていた。

 しかし、フィンはただし、と付け加えると、目付きを変える。

 

「ただし、今回のことに関しては、地上に帰ってからまた話し合いの場を設けることにする。このように例外的措置を他の団員に真似されては困るからね」

 

 フィン達首脳陣が言わんとすることが良く伝わったと、ラプラスは首を縦に振る。彼らが懸念しているのは、下級団員達ではなく、寧ろ歯止めの効きにくいやんちゃな幹部達のことだった。

 

「軽率な行いに対する、寛大な処置に感謝する」

 

 ラプラスは深くお辞儀をすると、フィンは一つため息を吐いた。

 

「まあ、今回は18階層までが目的地だからね。ここにいる間は、久しぶりのダンジョンを見て回るといい」

「元よりそのつもりだ。それでは、失礼する」

 

 フィンの言葉に、にやりと口元に笑みを浮かべたラプラス。

 すると、天幕の外から何やら騒がしい声が聞こえて来る。

 

「はぁ、ティオナ達だな……」

 

 そう呟くリヴェリアは深いため息を吐くと、フィンに目配せをした後、ラプラスの方を見た。

 フィンは片目を瞑るが、何か言うことはなく、リヴェリアに任せるといった様子だった。

 

「お前も来い。私からの罰として、この騒ぎを止める手伝いをしろ」

「……なかなか無茶なことを言う」

「文句を言うな。そら、着いて来い」

 

 心底嫌そうな顔をしたラプラスを連れて、リヴェリアは天幕を後にする。

 

「それにしても、随分と甘いのう、フィン」

「ラプラスに関してかい?」

 

 残されたガレスとフィンは後のことはリヴェリアに任せようと、一先ず息をついた。

 先程のラプラスに関する処遇に関してフィンの対応を思い返したガレス。その言葉にフィンは苦笑する。

 

「ここまで来てしまったのなら、僕達が何を言ってもしょうがないさ。それよりも、今後こういった事態にならないよう再発防止に努めないとね」

 

 それに、と付け加えるフィン。

 

「最後にこちらに向かって笑った時の彼の瞳を見たかい? 爛々と青く輝いて……スキルとはいえ、もっと隠す努力をしないとね」

 

 ガレスは困ったもんじゃ、と豪快に笑い飛ばす。

 ラプラスの瞳は彼のスキルの影響で、感情の高ぶりに呼応して無意識に青く輝く。この癖が未だに治っていなかったことを、フィン達首脳陣は知ることになるのと同時に、彼が心から今回の探索に歓喜していることがわかったのだった。

 フィンとガレスは先程天幕から出たラプラスと、彼を連れて行ったリヴェリアのことを考える。

 

 

「リヴェリアも存外あやつのことを気に入っておるからのう」

 

 罰と言っていたが、殆ど口実のようなものだとガレスとフィンは見抜いていた。

 

「そりゃ3歳の頃から世話をしているんだ。情が移らないといったら嘘になるだろうね」

「そうか、もう15年も前か……」

 

 感慨深く呟くガレス。

 しん、と静まる天幕の中で、フィンはラプラスの様子を思い返していた。

 

(しっかりと立ち直れているようで安心したよ)

 

 フィンの心の声は誰にも聴こえることなく、迷宮の空に溶けていった。

 そして、リヴェリア達が去った天幕に訪れた人影が一つ。

 

「フィン、話って……?」

 

 金髪の少女はその瞳に困惑を携えていた。

 

 

 

 

 

 

 本営を出たリヴェリアとラプラスは、先程大騒ぎしていたティオナ達の天幕へと向かっていた。

 

「リヴェリア、頼むから実力行使だけは勘弁してくれ。そういうのはガレスだけで間に合っているからな」

 

 必要以上にビクビク怯えるラプラスに、珍しいものを見たとリヴェリアは笑みを浮かべる。

 

「ふ、何を怯えている。そんなことには恐らくならんだろう、安心しろ」

「……絶対ではないのだな」

 

 天幕に近づくと、中から聞こえてきたのは、精霊、アイズという単語だった。会話の意図が掴めなかったラプラスだったが、リヴェリアはその言葉に少し顔を顰めると中へと入っていった。

 

「……あまり詮索してやるな、お前達」

 

 リヴェリアの不意の登場に驚く面々。ラプラスが中に入ると、そこにはティオナ、ティオネやレフィーヤ達第二級冒険者達数名、そして椿が確認できた。

 一体何を話していたのやら、とラプラスが思念する中でティオナが口を開いた。

 

「ねえ、リヴェリア。アイズの秘密って、あたし達には教えられないものなの?」

 

 ティオナの悲痛な様子に、ラプラスは彼女達がアイズの何か重大な秘密について話していたことを知る。59階層にて『精霊』と戦っていたことを知る由もない彼は、何故アイズの秘密について彼女達が知りたがるのかわからないのも無理はなかった。

 ラプラスが話についていけない中で、リヴェリアは告白する。

 

「アイズには『精霊』の血が流れている」

 

 さしものラプラスもこれには驚愕した。

 『精霊』など御伽噺の存在である。その血が流れているということは、彼女はある意味、神に近い存在であると言えるからだ。

 

(アイズに『精霊』の血が……)

 

 彼女の鬼神のような強さの一因はその血であるのかと考えるラプラス。

 彼が思考に陥る間に、ティオナ達はアイズを支えると奮起していた。

 

「……」

 

 すると、リヴェリアの後ろにラプラスがいることに気付いたレフィーヤは、真っ先に気付きそうなティオナが何も言わないことに疑問を持った。

 

「あれ、ティオナさん。ラプラスさんがいるじゃないですか。どうして声を掛けたりしないんですか?」

 

 レフィーヤは当然のようにその質問を投げかけたのだが、ティオネを含む周りの団員達は、揃って顔を見合わせる。

 レフィーヤは何かおかしなことを言ったかと疑問符を浮かべたが、こちらに向かって顔を向けたティオナの濁った瞳と口元に張り付いた笑みを見て、自らの選択が大きな過ちを犯していたことを瞬時に悟った。

 

「そりゃあもちろん気付いてたよ? 天幕の外からラプラスの足音と声が近づいてきているのはわかってたし、誰かと話しているのも知ってたよ。でもラプラスはあたし達が『精霊』と会ったことを知らないし、多分リヴェリアについてきたのも嫌々だったんじゃないかな? 天幕に入ってきた時の表情が少し歪んでいたからね。多分外で会話の流れだけでも掴もうとしたけど、自分の知らない、関係ない言葉が聞こえてきて、取り敢えず情報を集めるところから始めようとしたんじゃないかな。あと、入ってきてすぐに誰がいるか確認した時に、椿のことを見つけたラプラスの表情がちょっと曇ったのも見逃せないよね。ラプラスは椿のことが苦手だから、余計なことを言ったら何かされると思って最初は何を話していたのか知ろうとしたんだと思う。それに『精霊』って単語が出た時に何かを考えている時の顔になったから、しばらくはトリップして戻ってこないと思うよ。ラプラスはこの状態に入っちゃうと自分が納得いく結論が出るか、無理やり起こすかしないとずっと考えちゃうから。ちなみにだけどラプラスはこの状態の時ってホントに何しても気付かないから、ちょっと突っついてみたり、食べ物あげたりしても食べてくれるの! すごい可愛いよね! 昔、あたしと一緒に打ち合っていた時に、急にこの状態になった時があって、あたしびっくりしたんだけど、その時チャンスだな〜と思って色々実験してみたの! 縄で縛ったりしても気づかなかったけど、【ファミリア】の団員以外の人がいる時にはこの状態にあんまりならないから、多分信頼できる人といるとなっちゃうみたい。あ、でもレフィーヤはいくら信頼されてるからって悪戯しちゃダメだよ。これを最初に見つけたのはあたしだからね。もう試せることは試したし、ね。それにレフィーヤでも抜け駆けなんてしたら絶対に許さないからね。あれ、でも確かレフィーヤって【ファミリア】に入った頃にラプラスから色々教わってたよね? アイズに憧れてっていうのは知ってたけどラプラスもその頃暇してたって言ってたけど、新人教育なんて普段しないのにレフィーヤの時だけどうして? やっぱりリューさんなのかな、あの人が一枚噛んでてもおかしくないよね。レフィーヤはあの頃、ラプラスから何か聞いてたりしてた? 例えば、エルフが最近気になっているとか。あ、もしかしてアマゾネスが好きとか!? どうしよ〜ラプラスがそんなこと言ってたら! でもラプラスはポーカーフェイスに見えるだけで表情には出やすいタイプだから、多分レフィーヤのことに関しては他意はないはずなんだよね。でもやっぱりレフィーヤだけ特別に新人教育なんてされたのやっぱり何か訳があると思うんだけどどう思う? レフィーヤ、ねえ? ねえ?」

 

 レフィーヤは深く後悔した。

 まさかそんな所にティオナのスイッチがあるとは思わず、完全に捕まってしまった。

 他の団員達は早々に避難しており、レフィーヤは自分の目の前にいつも明るく輝く瞳を若干濁らせたティオナが迫ってくるその視界の隅で、ティオネがひらひらと手を振り、他の団員達が手を合わせ、椿は笑いながら、リヴェリアですら非常に申し訳なさそうに天幕を出るところを捉えていた。

 

(こんなのって、こんなのって……)

 

 未だにレフィーヤに向けてラプラスの魅力について、延々と語り続けているティオナ。

 誰も助けはおらず、この天幕に残されたのは彼女とティオナ、そしてその元凶であり、未だ思考の渦の中にいるラプラスだけであった。

 

「あんまりです〜〜〜〜!!!!」

 

 レフィーヤの絶叫は18階層全域に響き渡ったという。




一番頑張ったのはティオナの長文

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