「…久しいなぁ。櫻井美鈴~。会いたかったぜぇ」
現世。上空――
穿界門で合流した櫻井、夜一、西園寺、二ノ宮の4人は現世に着いた途端、奇襲を掛けられていた。
「初めて見る顔だけど攻撃仕掛けてきたってことは敵で良いんだよな?普通こうゆうのって隊長と感動の再会果たしてからじゃないの?展開早すぎんだろ…」
「隊長の霊圧も感じますのに…。お会いできないなんて恋に障害はつきものですのね…ねぇ、櫻井副隊長?」
西園寺と二ノ宮は斬魄刀を天海に向けてはいるものの、その後もぶつくさと文句を並べ緊張感の無い様子をみせる。
「あんたら…少しは緊張感持てっていつも言ってるでしょうよ…本当、朝比奈隊長が居ないと自由なんだから…」
溜息をつく櫻井の横で、夜一も緊張感なく笑っていた。
「こりゃ、朝比奈も大変じゃのう」
全く緊張感をみせない様子に天海は殺気立ち、霊圧を上げた。
最初の一言以降全く言葉を発さずに不気味に笑う天海に、先に話しかけたのは西園寺だった。
「ねぇ、あんた櫻井副隊長のなんなわけ?っていうか、俺らの隊長知らない?捜してんだけど!」
「…朝比奈は…もうお前らの元には戻らない」
天海は再びにっこりと笑った。
「…そうかい」
天海の言葉と同時に西園寺はにっと笑い、瞬時に斬りかかった。
ドゴゴゴゴォォォォォンッッッ!!
途端に天海は地面へと突き飛ばされ、付近の建物を破壊した。
「あ~あ、西園寺…結界張ってなかったら始末書ですわよ」
後方に避難していた二ノ宮は上空でガッツポーズを決める西園寺に注意を投げかける。
「戦闘は派手じゃねぇといけねえだろうが。俺ら零番隊様に逆らったことを後悔させてやるよ……って、なっ!?」
確かに感じた手ごたえに西園寺は一瞬喜んで見せるも、土埃の向こうに現れた天海の姿に目を疑った。
瓦礫と化した建物の向こうで彼は仁王立ちで立ち、先程と同様にっこりと笑っている。
そして次の瞬間、その場から姿を消したのだ。
ドゴゴゴォォォォンッッッ!!
次に吹き飛ばされたのは西園寺だった。
「…くっ」
「「…拓ッ!!」」
すかさず櫻井達は西園寺の元へと飛んでいく。
死魂装には血が滲み、赤黒く変色している。傷が開いてしまったようだ。
「二ノ宮!!あんたはすぐに西園寺の手当を!!…夜一さん、二人をお願いします」
一気に上がる櫻井の霊圧に二ノ宮も緊張の色をみせた。
「美鈴!!どうする気じゃ!!」
「あいつは私が殺る!!…咲け、箏唄(そうか)」
櫻井はその言葉と同時に始解をすると、瞬歩で空へと飛んだ。
彼女の刀は刃先から柄までが真っ白な刀へと変化している。
「…あなた、やはり処刑からは逃れていたのね。でもどうして今さら…」
一進一退の攻防線が続いていた。
始解もせずに遊んでいるかのように笑う天海に、櫻井は苛立ちを募らせていた。
「俺の目的を果たしてないからさぁ。戻ってきたんだよ…手に入れるまでは…そのために朝比奈は抹殺しなければならない」
「目的?あなたの狙いは湊なの?一体何がしたいのよ」
「俺は…欲しいんだ。そのために力を手に入れた。虚と契約をして…」
櫻井の問いかけに天海は相変わらずの笑顔で答えていたが、だんだんにその表情と声色に苦しさが混じっていく。言葉も途切れ途切れにしか聞こえてこない。
「(なんなの?様子がおかしい…目的?虚と契約って…そんなまさか)」
その瞬間、いきなり空が割れその向こうから複数の虚達が顔を出し始めた。
「…虚…なんで?」
櫻井がそう呟き、空へと一瞬視線を向けた時だった。
「っく…きゃぁっ!!」
一瞬の隙をついてきた天海の攻撃を寸前で防御するも、その衝撃に耐えられず櫻井は大きく飛ばされてしまった。そのまま瓦礫の山へと激突する。
「…いった…」
続けざまに飛びかかってきた天海は、既に目の前で刀を振りかざしにっこりと笑っていた。
「(しまった…間に合わないっ)」
櫻井は斬魄刀を前に出し、防御の体勢を取ると衝撃に備え固く目を瞑った。
ギィィィィィンッ!!
刀同士のぶつかり合う音が鳴り響く。
重みを感じない自身の腕に、櫻井は疑問を感じそっと目を開けると、目の前には櫻井の斬魄刀を手にした朝比奈の姿があった。
「…み、湊ッッ!?」
「櫻井ッッ!!大丈夫か!?」
朝比奈は天海からの攻撃を打ち返すと、慌てた様子で櫻井に振り向いた。
櫻井はそこで初めて自分の手に斬魄刀を持っていないことに気づく。
「散れ…千本桜…」
「月牙天衝ッッ!!」
「咆えろッ蛇尾丸!」
朝比奈に跳ね返され、上空に引いた天海にさらなる攻撃が降り注ぐ。
天海からは先程の余裕そうな笑顔が消え、逃げるように更に上空へと登っていく。
空の割れ目からは虚が次々と現れている。
朝比奈は地面に座り込んだままの櫻井に斬魄刀を返すと、ルキアを呼び止めた。
「櫻井はここに居ろ。朽木!!悪いが櫻井を頼む!!」
「はいっ!!」
「…まっ、待って!!」
櫻井はすぐに応戦に向かおうとする朝比奈を呼び止め、一本の斬魄刀を投げ渡した。
「っっっ。…これ、俺の…」
「忘れものよ…隊舎から持ってきた…」
「さすが副隊長…ありがとうな…」
瞬歩で空へと向かった朝比奈を、櫻井は座り込んだまま黙って見つめた。
久しぶりに見た彼の姿は相変わらずで、私を安心させてくれる――
「櫻井副隊長…大丈夫ですか?立てますか?」
「…腰が…抜けちゃった…ははは」
心配するルキアに櫻井は笑顔でそう告げた――。