遊☆戯☆王DS(デュアル・ソウル)   作:Taga

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-俺は、一体何をやりたかったんだろう。

今日、午後4時39分の出来事である。俺は明日の高校の入学式に向けて、制服を着こなしていた。親からは絶賛され、その姿を妹に見せたら「ハイハイ、似合う似合う」でスルーされた。
軽く傷ついたが、それでもなお反応してくれた事に関しては少し嬉しかった。
そして、母さん突然「醤油が切れた!」と慌て、俺が「買いに行こうか?」と言い出した。そして俺は、いつものようにポーチを腰に付け、醤油を買いにスーパーまで出向いた。
渡された金額よりも少し高かった事に苛立ちながらも、とりあえずは買い終えた俺は寄り道もせずにそのまま家に帰ろうとした。
今現在、信号は赤だ。別に慌てる心配もなくゆっくりと信号が青になるのを待つ。
慌てても、得する事なんて無いからな。そう思いながら、信号が青になるのを確認して道へと赴く。
だが、俺は気づいてはいなかった。慌てる以前に、注意力が掛けていれば元も子もない事に。
道を渡り終える前に、急にトラックと思えるクラクションの音が耳に入った。それを最後に、この俺、入江康介(いりえこうすけ)としての意識が失われた。
気が付けば、俺の視線には・・・・・四肢が全て弾け飛び、臓器の一部が出て更に潰れているのも数個あり、頭が原型すら保っていない無惨にも砕け散った人の姿が目に映った。吐き気さえも覚えた。だが、俺はここにいる。だったらアレは誰だ?
そう思うも、遠のく意識の中でアレが自分だと思い知らされる。自分は魂だ。アレは魂を失った抜け殻だ。抜け殻に意味はない。主を失った犬のごとく、動かない。それが当たり前だ。
これから始まろうとしていた生活を前に、俺は・・・・・交通事故で死んでしまった。
両親に情けないことをしたなと反省する。たかが醤油を買いに行っただけなのに、こんな大惨事になろうとは。全く、最低最悪にも程がある。
だが、すでに時は遅い。このまま意識が失われる1秒でも前まで、自分の反省点を上げる。ほんっと、バカだったな、俺の人生は。
そうして俺は、この世から去ってしまった。


-貴方は、自分の運命を受け入れた。
-・・・・だから何だ? 俺に着せられた運命など、たかが知れたことではない。与えられた運命が絶望なら、敷いたレールの上を走るのが普通だろ。
-・・・・可哀想ね。
-可哀想? 俺は別に、自分が可哀想と思った事は一度もない。
-・・・・自覚はないのが当たり前。それが普通なのは分かっている。でも、まさかここに来る直前まで自分を罵るとはね。余程自分に自信がないと思ったわ。
-そりゃ、どうも。
-・・・・人生を、やり直す気はない?
-やり直す? それだったら転生して遊戯王の世界にでも行きたいモンだよ。俺の趣味はカードゲーム。別に最強の能力なんていらねーから、カードとの絆で相手をぶちどめしたい。それが俺の思惑だ。
-・・・・良いわよ。貴方の願い、叶えてあげる。
-オイオイ、ほんの冗談で言ったつもりなんだが。
-でも、一部に本音が入っていたわ。そう願うのなら、別の世界にでも行きなさい。
-・・・・なぁ、アンタは何者だ? 人生をやり直すだの、俺の願いを叶えるだの、まさか神様とでも言うんじゃねーだろうな。
-・・・・それはあえて言わない。私が誰であろうとも、貴方には関係ない事でしょ
-まぁな。お前が誰であろうとも、必要以上に責め立てる義務は俺にはない。全く、純理に反するよ。こんな会話。
-・・・・ふふっ、そうね。こんな会話、他には聞かれたくないわね。
-はっははは。面白いヤツだな、お前は。
-貴方ほどじゃないわ。だって、この短時間でここまで馬が合うのは初めてなのだから。
-俺って、誰にでも受け入れられやすいのか? それだったら嬉しいよ。
-と言うよりは、ただ単純に慣れやすいと言った方が正しいわ。さて、話を戻すけど。本当にいいの? 魂だけこの世に残り怨念体として生きる手段もある。
−だが、そんな事をやってもただクソつまんない人生となってしまう。んなモン、生きているだけでも面倒くさくていっそ死にたい気分になるだろう。俺は人生をやり直す。そして自分を変えてやる。
−・・・・いいわ。それが願いなら、聞いてあげましょう。別世界の自分を、救うとでも思って。

最後の「別世界の自分を救う」と言う言葉に疑問を抱きつつ。しかし少女の声が聞こえなくなったのと同時に何もかもが面倒くさくなってきたので、考えるのをやめにした。


プロローグ「最初の転生者」

デュエルモンスターズと言うカードゲームをご存知だろうか? 世界的に人気のあるカードゲームの一種で、そのおもしろさは誰もが楽しめる娯楽となった。

そしてそのカードゲームに関するアニメも放映されていた。そこでは全てがデュエルで決められると言った、無法地帯も空いた口が塞がらない暗黙のルールがある。

しかしデュエルが物事を左右する世界は、1つではない。

並行世界、あるいは別次元世界と言うのが存在する。アニメとは違いもっと別の方法でデュエルが主流になった世界や、過去からすでにデュエルモンスターズとして人々に不思議な力の象徴として語り継げられているような世界があってもおかしくない。

アニメも「別次元世界」に似た存在であり、その中の「想像」によって生み出されたのが「物語」である。

だがその分類ではなく、もっと違う。並行世界と別次元世界を組み合わせたような世界。彼が居た世界と人は同じで、しかし性格や物事の判断が違う、または同じと「元の世界に似て似つかない世界」があった。

彼が居た世界で優しかった人が凶暴だったり、逆に凶暴な人が優しかったり。しかし最悪な人が最悪なように「基準」となる判断はどこにもなく、むしろランダムに並べられた外れ混じりのビックリ箱のように、感で人を判断しなければ痛い目を見るような世界なのだ。

そんな世界は国があり、その国に日本と言う国があり。とある地域にて、2人の男女組が何かから逃げるように走っていた。

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・」

「やだもう、何で僕がこんな目に遭わなければならないんだよぉ!」

女性は息を切らしながら、男性は弱音を吐きながら走っていた。

背後からは不良と思える人たちが5人ほど追いかけて来ており、皆が面白がるように笑いながら走っていた。

「オラオラ、その女をタスケルんじゃなかったのかぁ?」

「ヒャーッハー!」

どうにも世界末期にしか聞こえない不良組。しかし恐怖でピンチある事には変わりない。迫り来る危機に男性、入江康介は震えていた。

事の発端は、女性が不良組に囲まれていた事から始まる。

下賤な笑いで脅し、手を積んで無理矢理連れて行こうとしたりとかなりタチの悪い連中であると言えるような行動ばかりをしていた。

そんな中で偶然通りかかったのが、康介だった。

囲まれている人は、同じクラスの美山風香(みやまふうか)。康介が恋心を抱いている人であった。

しかし康介は弱虫で何もかもに消極的。挙句周りからはバカにされ続け、目を逸らしたいと思うばかりであった。

そんな彼に、声をかけてくれたのが彼女である。なので一目惚れと言うのか? 彼女が女神に見える程であり崇めたくなるまでに溺愛してしまっていた。

その彼女が、不良組に絡まれているのだ。助ける意義しかなく、無防備に立ち向かったら返り討ち。しかし隙を見て彼女と逃げ出したのは良かったものの、不良組が面白がって追いかけてくる始末。

自分の無力さを憎みながらとにかく前へ前へと足を動かす。

しかしその追いかけっこもすぐに終わりを告げた。

曲がり角を曲がった。しかしその先に道はなかった。

変わりに壁が行く手を遮るようにして立ちはだかり、後ろを見れば不良組が逃げ道を埋めていた。

「は・・・・お、わり」

「ちょっと、しっかりしなさいよ! ここまで逃げてきておいて呆然とするのは無しでしょ!?」

ユサユサと康介を揺さぶる風香。当の本人はただやられるがままに首を揺らしていた、

「ははっ、良いザマだなぁ。女を救うヒーロー気取りが追い詰められるなんて、ガキでもんな事はしねぇぜ?」

ぎゃっはははは!! と笑い出す不良組。

「そうだなぁ、ここで許してくださいと土下座してそこの女を大人しく引き渡せば見逃してもいいんだぜぇ?」

「っ! 僕は土下座するのは構わないけど、風香さんを引き渡すのだけはイヤだ!」

しっかり恐怖を噛み締め、ギッと不良組を睨む。

するとまたもや不良組から笑い声が聞こえてきた。

「あっははははは!! コイツぁおもしれぇや。ただのヒーロー気取りかと思えば、とんだ恋敵って訳か。この女を渡さないと、ほざきやがってよぉ」

ゼーハーと笑い疲れたのか? 体を上下に揺らすと、その狼のような目で康介を見る。

「いいぜぇ、俺だって男だ。ここは一つ、デュエルで勝負と行こうじゃねーか?」

デュエル!? 康介はびくっと体を浮かせた。

この世界での決めゴトは、全てデュエルによって決着がつけられる。雑魚は雑魚で強者に狩られ、強者は名誉のためにと弱者を狩る。まさにこの世界はそんな世界なのだ。

康介はデュエルの腕が良いとは言えず、しかも良いカードを手に入れたとしても「宝の持ち腐れ」と言う事で悪ガキから取り上げられて来た過去があった。

なので雑魚に近い腕前で、かつ良いカードもろくに持ちはしない。そんな彼に、勝つ術などどこにもなかった。

戦っても負け、諦めたら風香を連れて行かれる。どっち道、諦めるしかなかった。

「僕は・・・・・デュエルを・・・・・」

言いかけ、不良組が笑い出したその時であった。

『・・・・面倒くせぇ』

声が、頭に響いた。

誰のものかと一瞬辺りを見渡す。しかし誰かの声か把握できはしない。それになぜ面倒くせぇと言ったのか? 分かるハズもなかった。

しかしその声が次第に自分を飲み込むように強まっていく。

「え、ちょっと何これ!?」

『はぁ・・・・クッソ面倒くせぇ。あぁ面倒くさいったらありゃしない。いつまでこの時間を過ごさなければならんのだ』

苛立ちを含んだ声。そして、彼自身の意識が途切れ、変わりにそれが現れた。

悶えるように見開いた目は半眼となり、何もかもを諦めていますと言わんばかりに表情が死んでいた。しかもどこか眠たそうで、大あくびをしてだるそうな姿勢で歩き出した。

「あー、面倒くせぇ。だるいし疲れる。何で俺はこんな状況に陥っているんだろうなぁ?」

溜息混じりの声を出しながら、特に目的地すら定まっていない頭でただボーッと歩く。

何がどうなっているのかを飲み込めない不良組+風香はそんな様子を見て、ハッと我に返る。

「・・・・って、待てやゴラァ!」

1人が襲いかかろうと肩を掴む。

気だるそうに嫌な目つきでその人を見ると、舌打ちをして、

「んだよ、うっせーな。こっちは気分が優れないから放っておいてくれっつーの・・・・」

ここでやっと辺りを確認し、ポツンとなって一言。

「えっと、今どんな状況?」

そう言っているにも関わらず慌ててはいない。ちなみにその問いに答えたのは風香だった。

「・・・・え? キミ、自分で私を救っておいて何も覚えていないの?」

あぁ? とガン飛ばすも、風香の姿を見るなりまるで珍しい何かを発見したかのように若干引く。

「ちょっと待って。風香、だよな? アレ、いつものように貶す言葉はどうした?」

「そんな言葉はないわよ!! ってかキミにとって私はどんな性格よ!?」

あっれー? と首をかしげ、まっいいかと自己解決した。

そして目を動かし不良組を見終えると、ある程度の事柄は把握した。

「・・・・なるほどね、どうやらあの野郎は何も考えずに俺をここに送り込みやがったのか」

ボソッと言い、ハァと本日最大の溜息を吐く。

「ったく、しばらく何もない意思の中でさまよっていたにも関わらずこんなクソ面倒くさい事になっているのかよ。こっちの俺は一体何をしでかしていたんだ?」

頭を抱え考え込むも、すぐに吹っ切れる。

「んで、今から何が始まるんだ? 事と次第じゃ、こっちも手加減はしねぇぞ?」

相手を威嚇しながら手を握り締める康介。だが怖がるどころか逆に笑い返される。

「ぎゃっははははははははは!! 何か意味不明な事を言った後に事と次第じゃ手加減しねぇだと、こりゃ傑作だよ!!」

思いっきりバカにされた感があるが、あえて口に出さずにいた。

出したところで、厄介事にしか発展しないと分かっているからだ。

「あぁアレか? 怖気づきすぎてとぼけているのか? だったら教えてやるよ。俺とお前は、今からデュエルを始めようとしているのさ。どうだ、思い出したか?」

不良の1人が言った。しばらく康介は考え込み、

「えっと、それって本気か?」

尋ねる。

「ハァ? 本気も何も、それが常識ってモンじゃねーのか? お前小学校から出直せば?」

挑発するも、康介は乗らない。

体を震わせ、クックックと微かな笑いを出す。

「オイオイ、マジかよ。何か常識的な世界だなと思っていたら、まさか本当にデュエル脳世界だったとは。しかもこの状況、面倒くさいが楽しめる余地はありそうだ」

笑い出し、満面の笑顔をしながら。

「いいぜ。そのデュエル、俺は乗った」

指し、どこから取り出したのかが不明なデッキを手に持つ。

「んで、フィールドはどこだ? デュエルならばフィールドが必要だろ」

「フィールド・・・・デュエルプレートの事か? だったら今こいつらが用意しているから待っていろ」

そう言って、少しの間退屈な時間がやってくる。

康介はただジッと見つめている風香に近寄り、頭をボリボリ掻きながら。

「何だよ、そんな目で睨んできて」

「別に、ただとんでもなく性格変わったなって思って。さっきまでの弱々しさと言うの? 急に毒が抜けた感があって、ちょっと残念だなって思ってね」

呆れながら言い吐く風香に、康介は肩に重りが入り込んだような感触が全身を駆け巡る。

「お、お前。本当に風香かよ!?」

「だ・か・ら、キミにとって私はどんな人だと思っているのよ!!」

ギャァギャァと痴話喧嘩も大抵にしろと言うべき口論が続けられていた。

その様子を、ただ黙って周りは見ているしかなかった。どうにも弱気な僕が、かなり面倒くさがり屋で見ているこっちまでやる気が損なわれるような雰囲気を醸し出すダウナー系男子となっている。

対して美人とも言うべき風香。まるで女神が生まれ変わったような見た目で誰もが惚れ入るだろうと思えるような雰囲気を出す少女。

この似合いそうにない2人の口論など、聞くに値しない。そうリーダーである不良、水竹着等(みずたけぎら)は思っていた。

少し経ってデュエルプレートを用意した2人がやってきて、それぞれにデュエルプレートを差し出した。

「ほらよ、貸してやるから感謝しやがれ」

「・・・・これって、デュエルディスクじゃねーのか?」

「デュエルプレートだ。つべこべ言わずにさっさとやれ!」

怒鳴られ、ヘイヘイと言う事を聞かない生徒のような素振りを見せる康介。

本当にこの男は、さっきまでの男なんだろうかと疑問を抱く。しかしそれはこれから起こるデュエルで全てが分かるだろうと思い、着等は構える。

「覚悟はいいか?」

「いつでも。ってか、なにげに初デュエルディスクじゃね? 結構憧れていたから嬉しいかも」

何やら満足そうに呟き、お互いに目色を変える。

「「デュエル!!」」−LP4000−

先行は、康介からだった。

「俺のターン、ドロー! 俺は聖刻龍−ドラゴンヌートを攻撃表示で召喚!」

立体映像として何やら甲殻が現れると、それが分裂し始め形を作るとまるで粒子みたいな何かを発生させながら龍の形を作り出した。

腕を組み、その威圧を相手に見せつける。

『グルルルルルルルル!』−ATK1700・☆4−

「聖刻? そんなカード、聞いた事がないわね」

「気にするな、気にしたら負けだ。俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

カードが現れ、消えた。

そして相手のターンが始まる。

「俺のターン! 俺はカードを3枚セットして、ターンエンドだ!!」

2枚を伏せるだけ。何やら罠を張られている感がハンパなく、むしろこれで攻撃しようなら必ず返り討ちに合うのが見え見えの戦略だ。

さて、どう来るとばかりの視線。これでもし、このカードらを破壊しなければ落ち着いて攻撃はできまい。と着等は思い、笑っていた。

康介のターンが始まる。

「俺のターン。俺はドラゴンヌートでダイレクトアタック!!」

「なっ!?」

「なんの遠慮もなしに!?」

その場にいた全員が唖然とする。

そりゃそうだ。明らかな戦略を前持っていると知りながらにも関わらず、無防備に立ち向かわせるバカなど世界を探してもここにしかいないだろうから。

「セイクリッド・ナックル!」

ガン! と両手を殴り火花を散らすと、相手に向かって遠慮もなく殴りかかった。

見事にぶち当たり体を空中に放り込まれ、右足から着地して踏み所止まる。

「クッ、その過剰な自信はどこから来ているんだ!」−LP4000→2300−

「過剰? ハッ、舐めた口聞いてんじゃねーよ。お前の策略にあえて乗って、楽しもうって魂胆だ。クソつまらない結果よりも、楽しい結果の方がいいだろ?」

その言葉を聞いて、ただ呆然とした。

この男、一体何を考えているのだろう? そんな興味が、知らずのうちに着等に抱かせた。

「んで、お前の策を見せてくれよ。この俺を興奮させるようなとんでもないモンスターを呼び起こすんだろう?」

気が付けば、康介も楽しそうだった。まるでこれから起こり得る事を予測して、それに打ち勝とうとするバカそのものを連想させる。

面白い、やってやろうじゃねぇか。お前が思う以上の最強を見せてやるよ!

「俺はダメージを受けた時、手札のディプシーティド・グレシの効果発動! 相手からダイレクトアタックをされ戦闘ダメージを与えられた場合、手札から特殊召喚する!」

怨念とでも言うべきなのだろうか。火の玉が1体、姿を表した。

−ATK2000・☆7−

「更に罠発動! 同類による誘い! 自分がレベル5以上のアンデッド族モンスターを特殊召喚した場合、同名モンスターをデッキまたは手札から特殊召喚する事ができる! 俺はデッキに存在するもう1体のディプシーティド・グレシを特殊召喚!」

シュッと燃え上がり、またもや火の玉が姿を表す。

「この流れ、なるほど。エクシーズのためのフラグか」

「ははっ、これで準備は整った。しばらくコイツの出番がなかったから暴れたいとずっと俺のエクストラデッキで暴れていたんだよなぁ。しかし今日この場で、思う存分暴れるといい! 俺のターン!!」

グっと力を拳に集約させ、右手を上へ挙げる。

「俺はレベル7のディプシーティド・グレシ2体をオーバーレイ!!」

2体のグレシが球体となり、康介と着等の間に銀河を思わせる渦が発生した。

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!!」

ボォン! と小規模のビッグバンが発生し、爆発した場所から1体のモンスターが姿を現す。

「現れよ力、墓場より暴れだせ! ダークスカル・フラッシュ!!」

全身は黒い骨だけでできており、支えるモノは何もない。なのに浮いている。まるで見えない何かによって骨と骨を支えられているように。

しかし何よりも驚くのは、その攻撃力だった。

−ATK3000・ランク7・Unit2−

「こ、攻撃力3000! これはなかなかに突破できるもんではないな」

「分かるか? だったら話は早いな! 俺はダークスカル・フラッシュの効果発動! 1ターンに1度、オーバーレイユニット1つを使い、手札を1枚墓地へ送る事により、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊する!」

ドクロ部分に球体の1つが吸収され、目がピカッと光る。

その瞬間、ドラゴンヌートが苦しみもがき、大きな雄叫びを上げた後、パァン! と粒子になって消え失せた。

「チッ、攻撃力3000で破壊効果か。コイツはなかなかの厄介だぞ」

苦虫を噛み砕いたかのような表情を見せ、難しい顔をする康介。

「っは! わざわざコイツを呼び起こしてくれてどうもありがとうな! おかげで俺の勝ちは決まったも同然だ!」

わっははは! と笑い出す着等。

だが、それと同時。粒子になっていたドラゴンヌートが集結し出し、塊を作った。

形が歪だったが、徐々に変形し出したかと思えばキチンとした龍の形になり始める。蒼く、蒼天の空を思わせる体のカラーに周りでバチバチと弾ける電撃。尻尾で起こる雷撃に、一瞬何事かと全員目を疑った。

そう、康介のフィールド上にモンスターが存在しているのだ。さっき破壊したのにも関わらず、そのドラゴンはあたかもそこに元からいました。と言わんばかりに平然と存在していた。

「なっ!? これはどう言う事だ!」

「残念だが、対象にする効果だった事に恨むんだな。聖刻龍―ドラゴンヌートはカード効果の対象になった時、手札、墓地、デッキからドラゴン族通常モンスター1体を特殊召喚する事ができる。俺はその効果でデッキから、エレキテルドラゴンを特殊召喚した! ただしこの効果で特殊召喚したモンスターは攻撃力、守備力は0になる」

−DEF0・☆6−

表示には、確かに攻撃力、守備力は0であった。

これで攻撃を行われても、一応ダメージは受けない。エレキテルドラゴンが守ってくれるおかげで、大ダメージだけは防げる。そう康介は思っていた。

だが、現実は違う。思いもよらぬ仕掛けが待ち受けていた。

「かっ、それがどうした! 俺は罠カード、挑発の十字架を発動! 自分フィールド上にアンデッド族モンスターが存在する場合、相手フィールド上に存在する守備表示モンスターを全て攻撃表示へと変更する!」

「なにっ!?」

−DEF0→ATK0−

気が付けば、攻撃する気で相手をエレキテルドラゴン威嚇していた。

「お前は言ったよなぁ? 攻撃力も0だと! だったらこのまま攻撃を通せばお前は終わりだ! 俺はまだ通常召喚を行なっていない! 俺は手札から十字架を背負う死者を攻撃表示で召喚!」

まるで拷問中みたいな、十字架を重たそうに背負う死人顔の宗教者が現れる。

−ATK1500・☆4−

「これで終わりだ! バトル、ダークスカル・フラッシュでエレキテルドラゴンドラゴンに攻撃! ブラックフラッシュ・スピア!!」

自分の骨を持つと、先が尖る。そして次々と自分の骨をつなぎ合わせ、長い槍となる。それをエレキテルドラゴンに狙いを定め、投げ槍のごとく勢い良く投げる。

エレキテルドラゴンに刺さると、両方光となって消えた。

しかし妙に暗い黒い光の塊が残っており、康介に目掛けて接近し、爆破した。

「ぐはっ!?」−LP4000→1000−

フィールド上には伏せカード1枚しか存在しない。しかも相手はもう1体、十字架を背負う死者が存在している。この攻撃が決まれば、負けたも同然。

「オラオラ行くぜ! バトル、十字架を背負う死人でプレイヤーにダイレクトアタックだ!」

グっと力を入れ、十字架を持ち上げる死人。

よろけながらもしっかりと康介に落ちるように狙いを定めている。ニッと気持ち悪く笑うと、康介目掛けて振り下ろした。

逃げ道などなく、ただ冷や汗をこめかみ辺りから垂らす康介。

「っ、勝ちなさいよ!」

と、その時に風香が叫ぶ。

ただ黙ったまま、康介は話を聞いた。

「勝ちたいんでしょ! ねぇ、私の事はどうでもいいから、勝ちたいんでしょ! だったら勝ちなさいよ、そしてこの場で逆転の劇を、見せてよ!」

その、言葉を聞いてやっと微笑みを見せた康介。

「・・・・それでこそお前だ。人の心をえぐるような言葉に、正直さを隠さない精神。この状況であっても、自分の心配よりも他人の心配をする。それでこそ、俺が憧れ、惚れた女だ」

「・・・・え!?」

サラッと告白されたようにも聞こえ、顔を赤らめる風香。

しかし全く気にする様子を見せず、迫り来る衝撃に耐えようとする様子さえも見せずにいた。

その理由として、罠カードを1枚、発動していたからだ。

「罠発動、ガード・ブロック! このターン自分が受ける戦闘ダメージは0になり、デッキからカードを1枚ドローする!」

薄いバリアが張られ、十字架を受け止める。

「そしてデッキからカードを1枚ドローする!」

手札増強で一歩リードしたかと康介は思う。

だが、上手は着等だった。

「戦闘ダメージだけを無効にしたところで、結局甘い事には変わりない! 罠カード、大地獄の大車輪を発動! レベル4以下の攻撃を行なったアンデッド族モンスター1体を選択して、そのモンスターを破壊する! そして、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを、お前に与える!」

急に十字架ごと爆散し、その破片が康介を襲った。

「クッ!」−LP1000→250−

「本当は警戒目的で伏せていたが、まさかこんな場面で役に立つとはな。さぁ、俺のターンは終了だ! 次のターン、お前が奇跡を起こさない限り、逆転は不可能だ!」

ただ立ち止まっているだけの康介。

髪がただれて表情すら読めないこれは諦めたか? 誰もがそう思った。

『・・・・もう、ダメだ』

康介の中で、誰かが呟いた。それがこの世界の自分だとは既に知っていた。

『相手フィールド上には攻撃力3000のモンスター、それにフィールドにはカードはない。こんな状況で、勝つ事なんて不可能だよ・・・・』

声が弱々しく、彼はすでに諦めているようだ。

・・・・ギリッ! 康介は歯ぎしりをする。ふざけんな、何がもうダメだ?

「お前、本気でそう言っているのか?」

『・・・・うん、こんな状況。僕でも初めてだよ。だからもう諦めても・・・・』

「っざけんな!!」

突然叫ぶ。それは紛れもなく、彼の本音だった、

「ふざけんな、何が諦めるだ! そんなクソ面倒な事、やる訳がないだろ! 状況は常に可能性によって支配されている。まだデッキからカードをドローし、ライフが残っている限り、可能性と言う物は残っている! このまま引き下がれるかよ。俺はお前ではない!」

苛立ちを含めたしわ寄せを見せ、デッキに手を置いた。

「お前が言う不可能が今なら、俺が可能性と言う未来を作り出す! 決して諦めず、立ち向かう精神を宿した本物のお前を俺が見せてやる!」

そして、カードを引いた。

「ドロォー!!」

見る。可能性を信じた結果が、一体どんな結末を見せるのかを。

「・・・・あぁ、俺は信じていたさ。もしこれで答えが導き出せないのなら、終わりを迎えていたからな。だりぃ中でも、面白みがあるのは素晴らしい」

うんうんと頷く康介。

さて。とばかりに気を取り直すと、引いたカードをチラッと見つめる。

『そ、そのカードは!!』

中にいる本来の「康介」が驚きのあまり声が裏返る。

そんなに珍しいのか? と鼻を鳴らし、デュエルプレートに差し込む。

「俺は魔法カード、死者蘇生を発動!」

「な、なにぃ!?」

「死者・・・・蘇生!! 伝説とも呼ばれる蘇生カードを、何でキミが持っているの!?」

全員が目を開いたり、腰を抜かしたりと。唖然と見据える者まで。この状況によって、更に康介の興奮が上がった。

「そこまでのカードだったのか。だったら結構面白い事になりそうだ! 死者蘇生の効果により、自分の墓地に存在する、聖刻龍―ドラゴンヌートを特殊召喚!」

ヴォンと、さっき倒されたばかりのヌートが蘇った。その瞳からは覚悟と根性が感じられた。

「だ、だがこれでもダークスカル・フラッシュには攻撃力が及ばない! どうやって倒そうと言うんだ!」

「確かに、今のままでは倒せない。だが、方法はある」

「なにっ!?」

「俺が一番警戒していたのは他でもない。その伏せカードだったんだよ!」

ほぼ全員が「え!?」と疑問を浮かべた。

「伏せカードは魔法であっても罠であっても警戒すべき罠。それがどんなカードであるかによって戦況は変わる。自らのライフを犠牲にする事によって、ある程度の状況把握が可能になった。まぁそれが故に、大ダメージは避けきれなかったが」

「何言っているの、康介?」

「だが、それがない今。お前を守る罠は削除された! これはつまり、攻撃力3000の壁さえ超えれば何も怖くない!」

「軽々と。そう簡単に超えられるとでも思っているのか!」

「できるかできないか、それはこのターンで全て明白になる。そもそもできなければ、俺はこんな優長とした発言などしていない! 俺は手札からドラゴン・ウィッチ−ドラゴンの守護者−を攻撃表示で召喚!」

守護者と言われ、どんなモンスターが出るのかと思えば。金髪で、後ろで1つにしているポニーテールで、スタイルの良い女性が現れる。

−ATK1500・☆4−

「ハッ、どんなモンスターかと思えば。ひ弱そうなモンスターだ」

「見た目で判断してもらったら困るぜ? 俺はレベル4の聖刻龍―ドラゴンヌートと、ドラゴン・ウィッチ−ドラゴンの守護者−をオーバーレイ!!」

2体が球体になり、地面に描かれた渦に飲み込まれる。

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

小規模のビッグバンが発生し、中から1体のドラゴンが現れる。

「全ての龍に力を! 竜魔人 クィーンドラゴン!!」

現れたのは、半身ドラゴンの少女だった。

片手に琴を持ち、もう片手でバリアを展開しているそれは、下半身が炎に包まれたドラゴンそのものだった。

−ATK2200・ランク4・Unit2−

しかし攻撃力は乏しい。

「・・・・は、ははっ。そんなモンスターでどう立ち向かうと言うんだ? えぇ!」

「誰がこのまま突っ込むと言った? 俺はクィーンドラゴンの効果発動! 1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事により、自分の墓地からレベル5以上のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!」

球体が琴に吸収され、琴が光りだす。

それにつられて演奏し始めると、下からエレキテルドラゴンが光となって現れた。次第に形となり、完全復活を果たす。

−ATK2500・☆6−

「ただしこの効果で特殊召喚したモンスターは攻撃する事ができず、効果も無効化されている」

「はっ、ただの置き物じゃねーか! そんなモンスター、いくら展開しようが俺には勝てねぇんだよ!」

悪あがきだ! と周りの連中も騒ぎ出す。

しかし康介は気にしないどころか、かなり涼しそうな顔で、

「ははっ、面白い事を言うね。お前らは」

そう告げた。

一瞬で皆が黙る。挑発かとも思えたが、目から感じられる威迫に言葉を失った。

「俺は勝つためにコイツを出したに決まっている。そうじゃなければ、悪あがきっつークソ面倒な事はしねぇよ。と言う訳で、遠慮なく行くぞ! 俺は魔法カード、受け継がれる力を発動!」

康介はカードを使う。このカードが、逆転への第一歩として発動される。

「自分フィールド上に存在するモンスター1体を墓地へ送り、同じく俺のフィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する! 選択したモンスターはこのターンの終了時まで、攻撃力を墓地へ送ったモンスターの攻撃力分アップする!」

「なっ、まさか!?」

「そのまさかだ。俺はエレキテルドラゴンを墓地へ送り、クィーンドラゴンを選択して発動する! 攻撃力を、2500ポイントアップさせる! よってクィーンドラゴンの攻撃力は4700だ!」

−ATK2200→4700−

「こ、攻撃力4000超えだと!!」

「まだだ、俺は更に速攻魔法。収縮を発動! フィールド上に存在するモンスターを選択し、そのモンスターの攻撃力を半分にする! 俺はダークスカル・フラッシュを選択、攻撃力を1500へとダウンさせる!」

−ATK3000→1500−

その凄まじい光景に、周りは息を呑んだ。

さっきまでフィールドを圧倒していたのが着等であったにも関わらず、その返しのターンでここまで逆転されたのだ。驚く以外に感情は見せないであろう。

「こ、こんな事が・・・・あって、たまるか」

薄れゆく声。しかし遠慮もなく康介は、バッと手を振りかざす。

「バトル、竜魔人 クィーンドラゴンで、ダークスカル・フラッシュを攻撃!」

その体を炎に包み込ませ、高く飛び上がる。

そして狙いを定め、まるで不死鳥のごとく急降下していった。

「バーニング・ドラグーン!!」

直後、ダークスカル・フラッシュの体を貫き、クィーンドラゴンは後方へと飛び立った。

『グ・・・ギギギギ』

奇妙な声と共に、ダークスカル・フラッシュはギギギと。まるで錆びたブリキ人形のような動きで康介を見ると、体の限界が到来し崩れ落ちた。

死に尽くし腐敗している体が瞬く間に闇へと姿を変え、消滅する。

それも束の間、着等に戦闘ダメージとしての衝撃が波として襲いかかり、その体を吹き飛ばした。

「ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」−LP2300→0−

立体映像として出ていたモンスターは姿を消し、変わりに静寂感が周りを支配した。

誰もが予想もしていなかった結果。アレだけ弱気な僕だった康介がいきなり性格を変化させたように強気に、しかしやる気は見せないダウナーとなった。

それだけでも目の錯覚かと疑ったのに、ましてやデュエルでの勝利だ。これはもう別の誰かが康介に取り付いたとしか考えられない。だがそんなファンタジー的な発想など誰も持ち合わせてはおらず、康介に似た誰かが変わりにデュエルを行なっていたと言う自己解決で終わらせる者もしばし。

なので、それを見逃すようなヤワな真似などはしない。

「オイ、お前は誰だ!! 本物の康介はどうしたんだぁ!! 本物の康介が、あそこまでデュエルを行える訳がないだろうが!!」

不良組の1人が大人げなく首を突っ込む。

だが、帰ってくる答えは。

「ご、ごごごごごごごごゴメンなさい!!」

いつもの弱々しい康介だった。

ピクっと眉を動かし、襟元を掴む。

「あぁ? お前何様なんだよ! さっきのデュエルはモチロンノーカウントだ! もう1度デュエルを・・・・」

「やめろ、見苦しい!」

着等がギロッと睨み、不良の手を放せと訴える。

不良は顔を真っ青にして、すぐに康介から手を引いた。

「ゲホッ、ゲホッ。あ、あの。ありがとうございます」

「あぁ、ありがとうございますだと? 俺は負けた身だ。そんな言葉などいらねぇよ」

後ろを向き、ゆっくりと歩き出す。

その背中からは、不良と言うよりも一匹狼で渡り歩く「漢」を表したような雰囲気を漂わせた。不良組はその背中に憧れ、次々と追っていった。

と、ピタッと足を止める。

あえて顔を振り向かせず、言う。

「・・・・お前、名を何と言う?」

ビクっと怖気る。すると表情が柔らかくなり、苦笑しながら挑発気味に。

「・・・・入江康介。その名、忘れないように脳に焼き付けておけ」

「・・・・フッ、忘れるものか。お前の顔、そして名前。次に出会う時、リベンジさせてもらうためにもな」

その後、交わす言葉もなく沈む夕日に向かって着等は歩き出した。

背中が見えなくなったところで、ヘタヘタと康介は地面に沈んだ。

「あぁ・・・・もう終わった。あんな相手、僕が勝てる訳ないのに。どうしてくれるんだよ、僕!」

しかし当の康介は聞いておらず、逆に、

『・・・・ったく、軟弱だぞ俺。こんな性格だから、あぁやって不良に囲まれるんだろうが。それとも何だ? 俺と戦ってみるか? 結構楽しいぞ、弱者葬り去るの』

「最悪だよ! どうしてそんな人が僕の中にいるんだよぉ!!」

涙目になりながら、どうしようもない心の心境を口にした。

「・・・・ねぇ」

声が耳に届く。誰だと振り向けば、風香が優しそうな表情で康介を見つめていた。

慌てて飛び上がり、ビシッと気を付けの姿勢をすると固言葉で。

「はい、な、何でしょうか!!」

あ、いつもの康介だ。とクスっと笑い、微笑む。

「ありがとうね、私を助けてくれて。キミが助けなかったら、今頃いろいろと大切な何かを失っていたかもしれない」

「そ、そんな滅相もありません!」

「でも、それが事実でしょ? キミ自身が言っていた言葉、状況は常に可能性によって支配されているって。それはデュエリストとして心に響く言葉だったよ。諦めず、ただ可能性を信じて立ち向かう精神。私も羨ましがる話だよ。それに・・・・」

何やらゴニョゴニョと。

「あの時の言葉、本当なのかな? 確実に惚れたと聞こえたけど、でも聞き間違いだったら・・・・」

どこか女の子らしく、康介はドキッと心を跳ねらせた。

「・・・・ねぇ、僕」

『何だ、俺』

どこか気の抜けたような言葉。それでもと康介は自分自身に問う。

「僕は生まれ変わりたいと思っていたんだ。こんな弱々しい自分なんて、もう嫌だと。だから協力してくれないかな。僕の体を使ってもいい交換条件に」

しばらく黙っていたが、すぐに返答が来る。

『・・・・いいぞ。俺はお前の要求に協力してやる。そして、腐った根性ごと消し去ってやるからな。覚悟しておけよ?』

いい雰囲気だったのに、最後の言葉に何やら意味ありげな感がしたので。

「えっと、覚悟と言うのは?」

『具体的にはだな。1日1回の喧嘩に10セット5回の腹筋配筋腕立て伏せの体操。それとデッキ構築だ。これから面白くなりそうだ、なぁ俺よ?』

・・・・・。と固まる。

「・・・・えっと、康介くん?」

「は、はい!? ちょっと待っててね。そこまでやるの、ねぇ!」

『お前の枯れた感情を呼び起こすのには良い薬だ。せいぜい途中でぶっ倒れないように頑張れよ』

思いっきり笑い出す康介。

固まった表情が、徐々に涙目となっていく。

「・・・・や、いやですよ! そんな自分の自由を失ってまで生まれ変わりたくないです!」

「え、今どんな状況!?」

すると涙目だった顔が、どこか楽しげな表情へと変化する。

「あっはっは。お前、いじりがいがあるな。そうだ、ここに来る前に俺がどんな死を迎えたかを教えてあげよう」

「死!? 何の話をしているの!」

「あぁ? 本来の俺に、最も惨たらしい死に方をした俺の死に方を説明して喚かせようって思ってな」

「本来の俺!? ちょっと、キミは何を言って・・・・」

「あーあー、聞こえるか俺。醤油買うために横断歩道渡っている最中にトラックに跳ねられ、脳ブチ撒けた上に形すら残らず、手足全てが千切れ遠くに飛ばされ・・・・」

『いーやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 想像したくない、でも声が脳に届くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』

片方の言葉でもがき苦しみ、片方の嘆きで楽しむ。

どうにも合いそうで合いそうにない2人のデュエリスト。その道のりが、今切り開かれたのであった。

どうしてこの世界に飛ばされたのか? その答えを知るべく、彼らは今日も。

 

デュエルを行う。

 

終わり

 

 




あとがき
ヒマだったんで、短編小説載せました。続きがありそうなフラグですが、短編です。どうしても聖刻出た時に小説考えたので何か凝った小説書きたいなと思い、元々書いていたGXの二次小説を改良し、こうやって作りました。
反省はしていません。ですが後悔はしています。
この小説を書くにいたって、別世界ではオリジナルカードを。こっち世界からはこっちのカードのみを使わせると言うこだわりを持ちました。これは他の世界との違いを見せるための演出です。
その中で、どうやってガチの動きではなく最初の攻撃力3000の壁を越えようかなと思いました。ですが実際聖刻出たのは、ヌートさんだけですが。反省しています。
やはりアニメみたいに最初の3000の壁を作るのって楽しいな。
それにしても、瞬間的に表現を表すって大変だなぁ。そう思います。
では、そろそろこの辺でお暇させてもらいましょう。感想や評価を楽しみに、今日も頑張ってライトノベル用の作品を創造します。
それでは、また会いましょう。



と、二次ファンで書いてはや数年。二次ファンにて小説の規制があって消したのですが、暇だったんで登録して投稿しました。
どうも、初めまして。そして知っている方は久しぶりです。ここでは虎を文字ってTagaとネームにしました。
Pixivにては別のネームで小説を連載中で、更にオリジナル小説も現在進行形で書いております。オリジナルはどこかの出版社に出す予定で、バイトと学校を両立しながら一生懸命書いております。
その中で、この小説も書いていこうと思います。しかし更新は絶対に遅いです。下手すれば1年に1話のペースになるかも知れません。ですが連載する気はあります。
まぁ、暇つぶし程度に見られたのなら光栄に思います。
それでは、そろそろ元の作業に戻りますのでこれで終わりたいと思います。

これから始まる物語は、果たしてどんな結末を迎えるのか? その前に完結するか怪しいですけどね(汗)

それでは次回から第1章のスタートです!
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