折木探偵事務所   作:レノ馬使い

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奉太郎「折木探偵事務所?」伊原「その2前編よ」

さて、どこから話そうかな。運が良いのか悪いの時間はたくさんあるんだけど

自分語りは僕の専門分野外だ

まぁ日本語的に言うと『専門』なんて言葉は僕の趣味に当てはまるものではないのだろうけど

 

「奉太郎、話すと長くなりそうだよ」

 

「それはわかりきったことだろう」

 

「チッチッチ、違うよワトソン君」

 

「なんだ突然、伊原とのことを思い出して気でも触れたか」

 

「奉太郎もなかなか意地悪だよね。

僕が言いたいのは、お茶やつまむものは出てこないのかなってことなんだけど」

 

「図々しいな」

 

「話している最中に中断するようなことはなるべく避けたいからね」

 

「……いま持ってきてやる。」

 

奉太郎が立ち上がりキッチンへ向かう。

話す内容をまとめる為の時間稼ぎだって気づいてるだろうなぁ

少しして奉太郎はお茶が2L入ったペットボトルとコップを二つ、袋に入ったお得パックのチョコを持ってきてくれた。

僕はありがとう、と一言いって、話を切り出す。

まだまとまってるわけじゃないけど、こうなったら話すしかないよね。

なんとかなるさ、僕は自分のいままで話してきた経験を信じることにした

 

「さて、まずは僕のことだけど。

高校卒業後一年間フラフラ~っと趣味に生きていたんだ、まぁ、生きていたってほど一つの趣味に夢中になった訳じゃないんだけどね…」

 

ーーーーーーー

 

別に大学に行きたいわけでもなかったんだ。

だから高校卒業後は無難に地元の企業に就職して、自分の趣味を満喫していたよ

けど、いつからだったかな仕事が嫌になったんだ

 

え?いや。そんなめんどくさいことなんてなかったよ、毎日パソコンに向かって伝票を打ち込んで、どこで発表されるかも知らない商品のPRようスライドショーを作ってただけだからね

 

仕事が嫌になった理由かい?

僕もよくわからないんだけどね。

たまたま同じ時期に入社した人が四人ほどいるんだけど。名前つけるのは不特定多数の人を敵に回しそうだしいま話に上がる人を同期と呼ぶことにするけど 

その同期がスライドショーを作るときにやり方がわからなかったみたいで、スライドの順番がめちゃくちゃだったんだ

 

そうかな?いまでもパソコンを扱えない人はたくさんいるよ、それこそパソコンを持ってないなんて人はまだまだたくさんいるんじゃないかな。

話に戻っても良いかい?

 

それでね。スライドがバラバラだったそれを、上司もろくに確認しないで会議の場に持ち出しちゃったらしいんだ。

そう、持ち出したんだよ。同期はそんなこと知らないからね。

次の日に上司に呼ばれたときも首をかしげていたよ。

会社のパソコンは上司のパソコンからすべてのデータを管理できるシステムなんだ、この方がなにかと便利でスムーズに作業が進むのさ

今回はそれが裏目に出てしまったんだ

上司はいい恥をかいた!と同期にあたりちらしたんだ

変な話さ、勝手に持ち出しておいてお前がしっかり作らなかったから悪いとでも言うように責め立てるんだ

でも僕も社会人だったからね。昔みたいにそれをおかしいなんて言うつもりもなく、そのときの自分の仕事を進めていたよ

 

僕が気に入らなかったのはたぶんここからなんだと思うんだ。

その同期は社会に出たことがなかったんだろうね、いや、そもそも人にたいして遠慮したり配慮したりするっていうある種の常識にも近い暗黙のルールを学ぶ機会がないまま育ってきてしまったのかもしれないんだけどね

その上司に対して持論でくってかかったんだ

怒っている上司に対して。だよ?

聞いていただけだったけどそれでも僕は上司の怒りがさらに強くなったのを感じ取れたよ

それもさ、持論は持論でもしっかりと上司のおかしな点を見つけた上で冷静な話をしたらよかったと思うんだ

 

そう!その通りだよ奉太郎。その同期はあろうことか、怒られていることに対して怒ったんだ。

こうなっちゃ本題なんて何のその。どこかへ消えちゃって二人の訳のわからない理不尽な怒りのぶつけ合いになるよね

まぁ、その辺りは省くけども。

あ、奉太郎、省くのは楽するためじゃないよ?奉太郎とは違うって言っておかないと僕の存在が揺らぎそうだからね

 

それでまぁ、どちらも怒りを納めないもんだからね

よく漫画とかで見るじゃないか。例の台詞だよ、二次元の上司がよく言ってるのをみたことないかなぁ

「お前はクビだー」ってさ。

そしたら同期も同期で「やめてやるよ!」って。

それで同期は荷物まとめて帰っちゃったんだけどさ、上司のイライラは収まらないんだよ。

どんどんイライラは募っていって同期が帰ってから一時間もしないで矛先は僕たちに向いたんだ。

四人。いや、三人になった同期にね。

内容はほとんど理不尽な誹謗中傷だったかな。

その中の一言が嫌に気にさわったんだ

なんだったかな。

そう、たしか

「あんな風にすぐに辞めるクズと同期とはお前らも可哀想だなぁおい、それとも同族だから~」

ごめんよ、後半ははっきり覚えてないんだ。

ただ、最後に「どうせろくな生活も送ってこなかったんだろ」って、言われたのは覚えてるよ。

僕に言われる分には問題ないさ。

問題はそれを一番メンタルの弱そうな同期の横で椅子を蹴りながらいっていたくらいかな。

 

あとは早かったよ、気がつかないうちに書いていた退職願いを上司の机に置いて、仕事をやめたんだ。

同期?ああ、それなら大丈夫だよ。

僕が辞めて上司も冷静になったみたいでさ、それからはずいぶん優しくしてくれてるみたいだよ

 

うん、実はいまも連絡取り合ってるんだ

そのときは考えて動いてたかって?そんなわけないじゃないか。

残念だけど僕にそこまで先を見通せるだけの力はなかったよ。

偶然が重なって、運良く他の同期から感謝される立場になっただけさ。

 

 

ーーーーー

 

「さて!これで僕の話は一段落ってところかな」

 

「仕事を辞めてからどうしたのかまだ聞いてないんだが?」

 

「まぁ落ち着いてよ。その話は摩耶花の話をするときにまとめて話すとするからさ」

 

「伊原か」

 

一段落がついたところでチョコを口へ運ぶ。

2Lあったペットボトルはいつのまにか半分と残っていない

 

「ちょっと、トイレを借りるよ」

 

「なら俺は追加でもとってくるさ」

 

まだペットボトルがあるらしい。

奉太郎がそれを取りに行ってる間に僕もトイレへと足を運ぶ。

トイレの便座に腰を下ろしてから、ひとつため息をついた。

 

さっきの話の中で嘘をついた。

本当は同期は誰も辞めてなんかいない。

その子が辞めさせられるのを見たくなくて、代わりにと僕が退職願いを出したんだ。

同期からしたら迷惑だっただろうし、僕自身なぜそんなことをしたのかわからない。

 

ただ、せっかくの晴れの日にこれ以上重たい話もしたくなくて嘘をついた。

奉太郎にはそのうちなにかご馳走するとしよう

 

「里志ー!いつまでトイレにはいってるんだ~」

 

「おっと!うっかり眠るとこだったよ。いま出るさ」

 

「勘弁してくれよまったく」

 

勘弁してほしいのはこっちだよ。

たった一年のことを話すだけでこの疲労感だ、我ながら年を取ったものだと思う。

 

僕はさっとトイレから出ると先程の席に座り、チョコをひとつ口に含む。

甘ったるいくらいの感じがいまの僕にはちょうどよかった。

 

一番の山場も過ぎたんだ。

もうゆっくり話せる、どんなことがあったんだったかな。

のんびり思い出しながら話すとしようか。

奉太郎はなにか不満があるのか少し目を尖らせているけど、やめてほしいなぁ。嘘がバレたかと思っちゃうじゃないかまったく。

奉太郎らしいんだけどね

 

僕は落ち着いた頭でそう考え、もうひとつチョコを口に放り込んだ

 

「さて!それじゃあ続きを話すとしようか」




また懲りもせず書かせていただきました!
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます!
現状、読んでくれている方は少ないですが。
長い時間をかけてゆっくりと読んでくれるかたを増やしつつ、自分の実力を人並みレベルまであげていきたいと思います。

あれなんです、妄想はどんどん出てくるんだけど文章にならないんです

これって自分がバカなだけなんじゃ……
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