2人の魔法使い   作:黒いファラオ
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ただいま!受験が無事に終了したので帰ってきましたよ!
なお、合格発表が終わったとは言っていない。

ごちゃごちゃ言うのはやめましょう。それではどうぞ


2段目

「私たちが……ライブに?」

「そう! アタシのバックで、ちょうどこんな感じの子たちを探してたんだ★」

「島村、渋谷、本田か。でもいいのか? そんな簡単に決めて」

「美嘉ちゃんの担当からはOKを貰いましたけど……どうしますか?」

「うーん……個人的には早すぎるとおもうんだがなぁ……」

「遼哉さん、そこをなんとか!」

「武内、お前はどう思う?」

「……自分としては」

 

「うん、いんじゃないかな」

 

 プロデューサールームの応対スペースから、賛成の声が上がった。

 

「今西さん」

「遅かれ早かれ、この子たちもステージに立つわけだ。こういう始まり方も……また有りなんじゃないかな」

 

 今西さんがそういうこと言うなんて珍しいな……。そんな彼を見て本田が声を漏らす。

 

「……誰?」

「見覚えはあるんですけど……」

 

「ねえ、部長もああ言ってることだし!」

「「「部長!?」」」

 

 3人が驚きの声を上げる。

 

「あれ、お前ら知らなかったのか?」

「知らないよ!」

「いや、今西さんからエレベーターでちょうど会ったって聞いたんだが?」

 

 俺がそう言うと、島村が気づいたのか

 

「あっ、そうです! エレベーターでボタンを押してくれた……」

「ああ……」

「そういえば!」

 

 今西さんはしてやったりと言った顔で頷いている。満足そうな顔しやがって……

 隣の武内を見て肩を竦める。武内も一つ頷く。

 

「では、ライブの資料をお願いします」

「はい。早急に」

「え……OKってこと?」

 

 ポカンとした顔で訊く美嘉に、千川がにっこりと笑って答える。

 

「はい」

「やった!」

「その代わり、ちゃんと面倒見ろよ?」

「もちろん、まっかせて! 3人とも、ライブ楽しもうね!」

 

 本田と島村は状況を掴めなかったのか、最初はボーッとしていたが

 

「「は、はい!」」

「よろしくお願いします!」

 

 嬉しそうに返事をした。だが、

 

(……ん?)

 

 渋谷だけが終始不安そうな顔をしていることが気にかかった。

 

 

 

 島村達や、美嘉、今西さんが部屋から出ていき、部屋に俺と武内しかいない状況になってから、隣の武内に訊く。

 

「武内。渋谷の様子……気づいてたか?」

「はい」

「気にかけておけよ。あの3人の中でムードメーカーは間違いなく本田だろうが、一番の鍵になるかもしれない」

「いいか悪いかはともかくとして……ですよね?」

 

 的確に俺が続けようとしていた言葉を武内に言われた。

 

「良く分かったな」

「浅葱さんの仕事上での口癖ですからね。良く覚えています」

「俺、そんなに言ってるか? まあいいや。俺も考えてはおくけど、あの3人はお前がしっかり見ておけよ」

「分かっています。お気遣いありがとうございます」

「俺もシンデレラプロジェクトのプロデューサーだからな。……千川もそれでいいか?」

 

 声をかけると、驚いた顔をしながら千川が入ってくる。

 

「うわ、本当にいた」

「え、あれ、私に気づいてたんじゃないんですか!?」

「いや、いるんじゃないかと思ってカマかけてみただけだ。お前が出てこなければ俺は誰もいない所にドヤ顔で声をかけた可哀想な奴だった。サンキューチッヒ」

 

 からかわれたことに気づいた千川は顔を赤くしながらボードで肩を叩いてくる。痛い痛い。地味に骨に響いて痛いから。

 

「ともかく、聞いてた通りだからそれとなくでいいから気にしておいてやってくれ。孵化前どころか、アイドル候補生という卵として生まれたばかりの状態でいきなりバックダンサー抜擢だ。不安になるのも頷ける」

 

 渋谷はそれだけじゃ無さそうだが。

 

「分かりました。私で良ければ」

「おう。んじゃ頼むわ」

 

 ふぅ、と一息ついてコーヒーを飲む。そこでふと沸いた疑問を武内に投げる。

 

「そういやお前、千川が入ってくる時大して驚いてなかったよな?」

「……なんとなくいらっしゃるような気はしていましたので」

「お前、そんなに気配に敏感な奴だったか? その顔で気配に敏感とか暗殺者みたいだぞ。八極拳でも使う気か?」

「いえ……分かるのは千川さんぐらいですね。辛いのが苦手なのは浅葱も知ってるでしょう」

 

 千川が少し頬を赤く染める。いや、お前の気持ちは知ってるし分かるけど……

 

「なんなの、お前らの間にテレパシーか何か繋がってるわけ? 武内大人しく受けとけば良かったじゃん」

「…………」

「…………」

 

 俺以外2人が顔を赤くしてお互いに顔を合わせようとしない。なんとも言えない面白い雰囲気中、俺はまたコーヒーを口に含んだ。

 

 心做しか、さっき飲んだ時よりも甘い気がする。

 

 

 

 

 

 固唾を飲んで見守る。

 

「後から遅れてきた新人が先にステージに立つなんて納得いかないにゃ! どっちがステージに相応しいかみくと勝負にゃ!」

『……勝負?』

 

 卯月、凛、未央の3人がレッスンルームに入るや否や、プロジェクトメンバーである前川みくに謎の勝負を仕掛けられた。その結果は

 

「辛く苦しい戦いだった……」

 

 周りに散らばる激闘の跡。勝者(未央)は額の汗を拭い、敗者(みく)はやはり無茶した様子、略してヤムチャした様子で床に倒れ伏してした。

 

「ちょ、ちょっと欲張りすぎただけにゃ! みくは負けてない! フシャー!」

 

 本物の猫であれば毛を逆立てて威嚇しているような声を出すみくだったが

 

「これって……アイドルに関係あるのかなぁ?」

「ふにゃぁ!? 〜〜〜〜」

 

 卯月の何気ない疑問によってトドメ刺された。や島畜。天然であるというのがなおタチが悪い。

 

「みくちゃん大丈夫?」

 

 智絵里がトドメを刺されたみくを心配する一方で、3人はかな子から焼いてきたというお菓子を貰っていた。美味しいと言ってくれた3人に笑顔を返しながらかな子も自分で食べようとするが

 

「三村ァ!」

「ひゅくっ!?」

 

 レッスンルームに入ってきたベテラントレーナーである青木聖、通称ベテトレさんに止められた。

 

「お前もアイドルなんだから体型のことも少しは気にしろ。今は標準体型だからいいかもしれんが、遠慮無しに食べていれば……分かるな?」

「は、はいぃ……」

「分かればいい。ところで城ヶ崎はどうした?」

「おっはよー!」

 

 そのタイミングで美嘉がレッスンルームに入ってくる。

 

「ごめんごめん、取材が押しちゃってさぁ」

「いいから。さっさと着替えてこい。全員お前待ちだぞ」

「はぁい」

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┄┄

 

 自分のトレーニングウェアに着替えた美嘉に聖が声をかける。

 

「まずはお前が指導しろ。ある程度揃ったら見てやる」

「はい」

 

 ダンス前の柔軟をしながら美嘉が3人に問いかける。

 

「アンタたち、ダンスの経験は?」

「良く学校の友達と踊ってました!」

「わ、私は養成所で……」

「ほとんど無いかな……今回のダンスはDVD見て覚えてきたけど……」

 

 まあ、五十歩百歩と言ったところだろう。いや、卯月は養成所上がりという境遇から基礎の部分は出来ているだろうし2人よりは上か。

 

「ふーん……まあ、やってみないと分かんないよね! ここはババーンとアタシにまっかせて!」

 

「「………………!」」

 

 先輩(美嘉)の頼もしい言葉に卯月と凛はジーンとくる。そして感極まった未央に至っては

 

「今日から、美嘉ねぇと呼ばせて貰います!」

「み、美嘉ねぇ……」

 

 美嘉はその呼び名に面食らってはいたが、嫌がっているようではなかった。元来の面倒見の良さからか。それとも『姉』と呼ばれることになれているからだろうか。今回の場合はどちらかというと『姐』な気がするが。

 そんな先程までの和気藹々とした和やかな雰囲気からは一転、レッスン始まると

 

「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト! 

この時、キチッと止まってるとカッコイイよ!」

「き、キツイ……」

 

 自分たち事務所に入ったばかりでデビューもしていないひよっこアイドルと、売れっ子アイドル『城ヶ崎美嘉』との実力差をまざまざと見せつけられていた。凛と未央はバテバテ。卯月も2人までとはいかないまでも、養成所で行っていたレッスンとはケタ違いのハードさにぐったりと疲労の色を隠せないでいた。

 

 それもそのはずだ。美嘉のソロ曲『TOKIMEKIエスカレート』はダンスの激しいことで有名であり、そのハードさは同じ346のアイドルである日野茜らからも一目置かれるほどである。

 そのダンスの難しさと短い練習時間、そして何よりも本人達の未熟さ。これらがあったからこそ、遼哉は3人の美嘉のバックダンサーとしての参加に難色を示したのだ。

 

「彼女達はどうですか」

「現段階ではかなり厳しいだろうな」

 

 途中からレッスンを見に来た武内の質問に聖は肩を竦めながら苦笑いで答えた。しかし、『現段階』と付け加えた聖の隠された意図を武内はしっかりと読み取っていた。

 

 

「あの……少し分からないところがあるんだけど」

「どこ?」

「えっと……」

 

 美嘉に該当部分を訊かれ、凛はそのパートを口ずさむ。その歌声は現役のアイドルである美嘉さえも感心するほどのモノだった。

 

「〜〜♪ ってところなんだけど」

「へぇ〜! アンタ歌もイケるじゃん!」

「しぶりんやるぅ〜!」

「凛ちゃんカッコイイです!」

「~〜〜〜! そこはいいから!」

 

 綺麗な凛の歌声に3人が絶賛する中、武内と聖も驚いていた。

 

 武内は数々のアイドルを見出してきた経験から。聖はダンス担当ではあるが、ボーカルが苦手という訳でもない。今までアイドルを指導してきた経験から。少し口ずさんだ歌からでも、凛の歌唱力の高さが良く分かった。

 

 褒められ慣れていない凛が照れてほんわかしている雰囲気に割って入る猫娘が。

 

「ちょっ〜と待つにゃぁ! さっきはちょっと失敗しただけにゃ! これでもう一度みくとしょう、ぶっ」

 

 ルービックキューブを持って突き出した腕と頭がガッシリと掴まれ、声が2つの方向から聞こえてくる。

 まずは腕を掴んだ聖。

 

「お前はお前で別にやることがある!」

「ふにゃぁ〜…………」

 

 そして、みくの頭を片手でわしづかみ────いわゆるアイアンクローの状態────にしている誰か。

 

「前川……レッスンサボってふらふら出歩くなんていい度胸してんじゃねぇか……」

「痛い痛い! みくが悪かったからアイアンクローはやめてほしいにゃ!」

「……仕方がない」

「ひどいにゃ! 女の子の頭をいきなりアイアンクローしてくるだなんて一体だ……れ……」

『アイドルに……興味はありませんか』

「武内プロデューサー……はみくの隣にいるのにゃ!」

「浅葱さん……。というよりも、相変わらずやけに私の物真似上手いですよね……」

 

 後ろからみくの頭を掴んでいたのは遼哉だった。

 

「本物目の前にいるし、誰かも分かってたのに本物かと思った……」

「私もビックリしちゃいました……」

「私あのセリフで誘われた」

「あの物真似、遼哉さんのお気に入りなんだよねぇ」

「そうなの? 美嘉ねぇ」

「そうそう。昔から良くやってたよ。最近またクオリティ上がったかな」

 

 思いの外、別の所で反響を呼んでいた。

 

「頭が割れるかと思ったにゃ……」

「流石に女の子相手にあれ以上の力は入れねえよ。それに、レッスンをサボって3人の代わりになる方法なんぞ探してるお前の方が悪いだろうよ」

「それは……確かににゃ」

 

 すると、責めるような顔から少し申し訳なさそうな物になる。

 

「まあ、お前の気持ちもわからんでもない。あの3人がいきなりステージに立てることが納得いかないんだろ?」

「……うん」

「確かに前川は初期のメンバーで、ずっと一生懸命レッスンしてたのは俺も武内も知ってるし、待たせてたのは申し訳ないと思ってる」

「あ、いや……みくはプロデューサーたちを責めたいわけじゃ……」

「大丈夫、それは分かってる。俺達も早くお前たちをステージに立たせたいと思ってる。でも、今回美嘉が求めた……『オファー』をしたのはあの3人だ。誰でもいい中から俺達(プロデューサー)があの3人を選んだんじゃなく、あの3人の雰囲気が欲しかったんだ」

 

 遼哉が美嘉に目を向けてみると、美嘉は笑顔で頷いた。

 

「前川みく」

「はっ、はい!」

「お前はあの3人の代わりにはなれない。あの3人にはあの3人の持ち味があって、お前はそれを持っている訳じゃない

。逆にお前にもあの3人にはない自分の個性があるだろ?」

「猫キャラ……」

「そうだ。前川、お前は無数に輝く星空の一部になりたいのか? それとも、誰も自分の代わりが務まらないような星空の中でも輝く星になりたいか?」

「みくは……誰より目立つ一番星になりたい!」

「それでいい」

 

 堂々と宣言したみくの頭を撫でる。そして、周りを見渡す。

 

「あ〜、すみません。全然周りのこと考えてませんでした。まったく……歳を取ると説教くさくなってダメですね」

「私の一つ下で何を言っている。こっちのことは気にするな」

「すみません。島村、渋谷、本田」

『は、はい!?』

「さっきのは別にお前らを責めたかったとか、お前らには代わりがいるとかそういうつもりで言ったわけじゃないからな。ちょうどいい例だったんだ。さっきのを別に気に病まないでくれ」

「はい、大丈夫です」

「嘘つけ。顔が暗くなってただろ。なあ、武内」

「……はい」

 

 みくと話しながらも、遼哉は自分たちも話が出た所で卯月たちが少し暗い顔になっているのを見逃していなかった。

 

「そう思うんだったら、シンデレラプロジェクトの初デビューだ。私たちはこんなにやれます!ってのを他のファンに見せつけてやれ」

『はい!』

「いい返事だ」

「ほんっと、遼哉さんは相変わらず不器用だよねぇ」

「静かに、城ヶ崎。プロジェクトメンバーにお前のデビュー当時の失敗談を面白おかしく語ってもいいんだぞ」

「やめて!?」

 

 美嘉を弄って遊ぶ遼哉に武内がずっと気になっていたことを質問する。

 

「ところで浅葱さんは何故レッスンルームに?」

「ああ、そうだった。3人のレッスンの様子を見に来たってのも確かにあるが、1番の目的はお前を呼びに来たんだよ」

「私を……ですか?」

 

 何か予定が入っていただろうか、と自分のスケジュールを頭に浮かべながらクエスチョンマークを浮かべる武内。

 

「ああ、最初の予定にはなかったんだがな。シンデレラプロジェクトのメンバーが出るんだから段取りの会議にお前も参加して欲しいって河合がさ。それでなくとも、お前の意見を聞きたい人がいるらしい」

「……今西部長ですよね」

「ご明察。わざわざ千川に書類の手配までさせてやがった。準備のいいこった」

 

 呑気に微笑む昼行灯の顔を思い浮かべた2人は揃ってため息を吐く。

 

「分かりました。確か―――からの会議ですよね」

「ああ」

「そういうことですので、トレーナーさん後はよろしくお願いします」

「分かった」

「では、失礼します」

「色々とお騒がせしました。じゃあレッスン頑張れよ」

 

 そうしてシンデレラプロジェクトの2人のプロデューサーはレッスンルームから退室した。




約2ヶ月ですか。お待たせしました。忙しい時期にスランプが重なりここまで遅くなってしまいました。
女難に至っては2ヶ月半ですか……あっちも中々いいプロットが書けないんですよね……

まあ、近いうちにあちらも更新しますので読んでいない方はあちらを読むと色々分かりますよ。(彰が何者かとか)
ただあちらはアニメ終了後の世界なのでネタバレ注意ですよ。

そして、アイマスと小説垢を作りました。こっちでは、小説の自論とかアイマス関連の戯言とブチブチ漏らしてます。フォローして絡んでくれると嬉しいです。
IDは@kuroifarao となっておりますので。

さて、一体俺は来週も更新出来るのか!それでは感想などお待ちしております






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