個性把握テスト。入学式もガイダンスも何もかもすっ飛ばして、テストを行うという相澤先生。
ボクとしては願ったり叶ったりだ。原作知識があるからこの流れも知っていたけど、自分の個性でどの程度のことが出来るのかいち早く知りたかった。だから、だから…
ワクワクが止まらない!何この胸熱展開!みんなの個性が生で見れて!相澤先生に指導して貰えて!あぁ!楽しみ過ぎる!!
とか内心思っていたら、相澤先生の説明を殆ど聞き逃していた。うわ、勿体無い。超勿体無いんだけど…
「翼色、お前中学のソフトボール投げ、何mだった?」
「66mでした!」
「じゃあ個性使って投げてみろ。円から出なきゃ何しても良い。早よ」
「はいっ!」
相澤先生から名指しだもの!!いや、入試一位だったから分かってたけど!!
絵の具を塗ったボールを思いっきり投げる。普通だとすぐに失速するんだけど……
「オレンジ灰色あわせて荒れろ!
個性ありなら話は違うよね!
爆破と突風の絵の具を混ぜると、よく分からない色となって暴風を引き起こす。
暴風がボールを吹っ飛ばした。何処まで行ったかな?
『867m』
「「うおおっ!!」」
「まずは、自分の『最大限』を知る。それがヒーローの下地を形成する、合理的手段」
「凄ェ!867mって!」
「何だこれ!!」
「面白そう!!」
面白い!!
何これ楽しい!飛んだ!ボール飛んだよ!ハァ!(錯乱)
「面白そう、か。これからの3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのか?」
雰囲気の変わった相澤先生に、はしゃいでいた(ボクを含む)1-Aの面々が静まり返る。
「……よし。トータル成績が最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分とする」
「っ、」
「「「えぇえええーーーっ!?!?」」」
この展開は知っていた。流石に細かいセリフまわしまでは覚えてないけど、大まかな流れは知っていた。
「
でも___
「ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
___この緊張感は、知らない。
この先を知っていようが、優れた個性があろうが。ボクは単なる一生徒なのだと、改めて自覚した。
切り替えよう。ビビってちゃ何も始まらない。流れ自体は原作通り。底なしの明るさがボクの持ち味なんだし。
「21番、翼色彩人!いっきまーす!」
「ぶん殴るぞお前」
「すいません、粛々と進めます」
ごめんなさい、ふざけました。この場を明るくしようと思って……。
よし、切り替えよう!派手に行こう、何事も!
「FIRST BOOST オレンジ絵の具!
種目は50m走。ボクは21番で1人で走るため、割と好き勝手できる。
後方の地面にオレンジの絵の具をぶち撒け、爆風で飛ぶ。この時点で走ってないけど許して下さい。個性だから!
「SECOND BOOST 灰色絵の具!
今回の灰色絵の具(
「着地をミスっ………らない!」
ちょっとだけ膝がガクってなったけど!許容範囲内!
『3秒17』
「victory!」
「無駄に良い発音してねェで、行くぞ」
「お、待っててくれたのかい轟くん!優しいじゃないか!そんなキミが大好きさ!」
「うるせぇ」
「あ、ハイ」
クラスメートに素で怒られました。ごめんなさい。
「握力!おや、轟くんは素手でやるの?あ、そっか!半冷半燃だって言ってたね!」
「お前、その個性でどうやるんだ?」
「はっはっはー!ボクの個性はパレットだけじゃないのだよ!」
体操着の上着を脱いで腰に巻く。折り畳んであった翼がブワッと広がった。
「そういや言ってたな。
「YES!」
悪魔の方の能力である肉体強化を、両手に集中させる。測定器を握った。
『94kgw』
「(´▽`)ゞ<ドヤァ」
「どういう顔だ」
「ボク凄くない?みたいな」
「もう一回」
「(´▽`)ゞ」
「分からん」
「HAHAHA!つれないな!」
轟くんは首を傾げてさっさと行ってしまった。流石公式イケメン!coolだね!とか何とか騒ぎながら、後ろをついていく。
「立ち幅跳びだね!」
「そうだな」
轟くんはボクの相手をするのが面倒になったのか、次の種目について考えているのかは分からないけど端的に言葉を返した。
轟くんが15番、ボクが21番なためどうしても待たせてしまうのだけれど、ちゃんと待っててくれる轟くん!優しい!
両翼を広げ、地面を蹴ってはばたく。
「FLY AWAY!」
『∞』
「無限出た!」
「それアリか!?」
「個性ですから!」
「謎の説得力!」
葡萄っぽい頭の小さい男子と、メッシュが入った金髪の男子。何処からどう見ても峰田実くん、上鳴電気くんですね有難うございます!!
「俺、上鳴電気!宜しくな!」
「ボクは翼色彩人。よろしく上鳴くん!」
「おいらは峰田実!よろしく!」
「宜しくね!」
お友達ゲット!思ったよりもフレンドリーだね!そういうの好きだよ!
その後もサクサクとテストを進め、途中にはしゃぎ過ぎて相澤先生のお叱りを受けつつ、個性把握テストが終わった。
「んじゃ、パパッと結果発表だ。トータルは単純に各種目の評定を合計した数な。
口頭で説明するのは時間の無駄なので一括開示する」
……来た。この成績次第で、除籍処分か否かが決まる。
ボクがいる時点で原作通りではないこの世界。事態がどう動くかは予想出来ないため、ちょっと緊張する。
「ちなみに、除籍処分はウソな。
君らの『最大限』を引き出すための、合理的虚偽」
「合理的ぃいー!!」
「「「「はぁああああーー!!??」」」」
しまった、フライングした!原作通りに行くんだったらコレを叫ぼうと思ってたのに!!
「………何を愕然としてるんだ、お前は」
「フライング………ッ!してしまった………!」
「50m走か?そうは見えなかったが」
「ううん、50m走はちゃんと走れたよ」
轟くんと話ながら、開示された順位を見ていく。あ、緑谷くんの順位が21位になってる。ボクが入ったからか。
轟くんが3位で八百万さんが2位で__
「__ボク1位!?」
「見てなかったのかよ」
「見てなかった!え、わー、え!」
信じられないような気持ちで順位を見る。喜びで翼がバタバタと動き、ちょっと浮いた。同時に、腰に巻いたままの上着がはためく。
「おい、翼色」
「ん!今行くよ!」
相澤先生はとっくに去っており、クラスメートも大半は戻っていた。ボクも轟くんと共に更衣室に向かう。
初めての登校日、出だしは上々。
夢に見たヒーローへの一歩を踏み出せました!まる!