魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~ 作:左近 遼
機動六課施宿舎内 休憩室
ティアナ視点
「…なるほど…。確かにたちが悪い癖ね?その…トウゴ・カシマ一等陸士って人?」
「でしょ?ごめんね?スバル?面倒な事に巻き込んじゃって?」
「う…ううん!!そんな事ないよ!!アルトのせいじゃないから!!」
「…羨ましいわね…。あ~あ…私にもないかなぁ?そんな事…ヒック!!」
「しゃ…シャーリーさん…。今はそういう問題では…」
ユウが、私とスバルのデバイスの修理を行っているちょうどその頃…。
私、スバル、アルトそれにエリオとキャロの5人は、宿舎の休憩室でそこにあったテーブルを囲うように座りそれぞれが用意したお菓子を食べながら昼間スバルが受けたその「プロポーズ」についてあれこれ話をしていた。
その最中、その噂を聞きつけたシャーリーさんとロングアーチ所属し平時の時は、経理事務を行っているルキノ・リリエがその話に参加。
まずは、アルトからスバルに対し「プロポーズ」をしたトウゴ・カシマ一等陸士について彼女達が言うその「癖」について説明があり…以後の会話順は、私、アルト、スバル、少し黒いオーラーを身にまとっているシャーリーさんに最後がルキノって所。
ちなみに…シャーリーさんは既にお酒がかなり入っており…どうやらルキノに対しアルコールの力を借りて管を巻いていたみたい…。すんごいお酒くさい…。
尚、その詳細については、その内容をみてわかるだろうから割愛させてもらうわ。
「それで?あんたはどうするつもりよ?そのプロポーズ?」
「ぷ…プロポーズって!!(だって、あんたそういう風な事を言われたんでしょ?)まっ…まぁ…。(なら、プロポーズされたんじゃない?)で、でも!!まだその人の事…私!!何もしらないんだから…いきなりそう言われても…。それに…私にだって…ゴニョゴニョ…」
「と…とりあえず!!スバルさんが答えを出す前にまずは、その人の事を!!」
そんなやり取りの中、私がスバルに対しそれにどう答えるのか?を単刀直入に聞いて見た。
すると、スバルは、プロポーズを受けた事を一度は否定するもそれに対し私が追及すると彼女は顔を真っ赤にしながら何か言おうとした後口をもごもごさせ俯いてしまった。
それを見たエリオが、慌てた様子で彼女をフォローしていた。
…まったく…この際だからあのバカに言っちゃえばいいのに…。
エリオがフォローしている様子を横目で見ていた私は、そんな視線を送りながら念話で彼女に対しその本音をぶつけてみた。
すると…スバルは…。
…だ、ダメだって!!わ…私!!まだ…。そ…それに…(チラッ)
私の念話に対しスバルは、うつむいたままそう答えた後横目で彼女の方を見ていた。
「あ…アルトさん?その人ってどんな人なんですか?…確か、特急隊にいるって事ですけど?」
「どんな人って言われても…」
その視線の先では、キャロがアルトに対し例の彼について聞きそれについて「う~ん」と考えている様子が見えた。
彼女の視線を追った私は、その様子を見ながらさらに念話を続ける。
…恋を取るか友情を取るか…。でも、あっちの方は、今のあんたよりも2歩も3歩も先を行っているのよ?いくらあんたが、先にあのバカの事を好きになったとしても?
そんな事わかっている!!で…でも…私自身…その気持ちが本当かどうか…。
はぁ~~~~~…。これだからこの子は…。
私の念話に対しスバルは、自身の気持ちに対しまだ疑心暗鬼であることを明かしその背中を押そうしている私の言葉を毎度お馴染みの台詞でそれを交わそうとする。
それに対し私は、念話の中で大きくため息をついた後これ以上その件に対し話を続けるのを諦めた。
これについては、スバルと知り合ってから再三言い続けている事。
私が最初にその事に気づいたのは、あのバカがその当時いた訓練校にきてミツキさんの変わりに各々のデバイスを始めて整備してもらった時の事。
彼の技術に疑いの目で見ていた私とは裏腹に…スバルは、彼の横に座りその作業に対し興味深々な顔で会話していた。
~回想~
訓練校宿舎内 スバルとティアナの部屋
カチャカチャ…。
「…ったく…。いったいどういう訓練をしたらこんな事になるんだよ?お前等?」
「スバルの物覚えが悪いだけよ?(ティア!!)」
部屋の床に大きなビニールシートを広げその上に私とスバルが使っているデバイスと自身が持ってきた整備道具を広げたユウは、その作業を進めながらあきれたような声を上げる。
それを私は、その部屋のドア側の壁に止しかかりながら…そして、スバルは彼の横に座りながらその声を聞いていた。
彼の声を聞いた私は、その答えにどう答えていいのかわからないでいたスバルの変わりに「自分は関係ない」といった様子でそれに答えその声にスバルが「そうじゃない!!」といわんばかりに声をあげる。
「ふ~ん…。なぁ?ランスター?(何よ?)お前、最近精密射撃の訓練の成績…落ちてねぇか?」
「(ぎ…ギクッ!!)そ…それが、どうしたって言うのよ?あんたには、関係ないわよ?」
私の声を聞いたユウは、なんだが納得しえないような声をあげた後私のデバイスを手に取りながら声をかけてくる。
その話を聞いた私は、最近訓練で彼が言うとおりの結果しかでていない事を思い出しドキッとした後それを彼に気取られないのにそれに答える。
「確かに…。だが、スバルから聞いた話にじゃお前…姉貴を目標にしているんだろ?だったらもう少し照門(リアサイト)の調整を毎日ちゃんとしておくんだな?(どうして?)これの砲身に使っている素材、使っているのは、安もんだからな?打ち続けていると発射時に砲身に発生する熱でまっすぐだったのがすぐに歪むんだ。まっ、いい奴を使えばそんな事は無くなるが…。(ふ~ん…)いくらお前の腕が、良くてもこんなに照準がズレてりゃ当たるものも当たらない。(うるさいわね!!あんたには、言われたくないわよ!!)なら、「デバイスの機能に頼りすぎだ」って、姉貴に怒られる前になんとかするんだな?姉貴は、こういう初歩のミスにはとにかくうるさいのはお前だってよく知っているだろ?」
「…どうにかしろって…言われても…」
そういわれた彼は、「やれやれ」といった様子をした後スバルからの疑問に対しそうなった理由をえらそうな態度でそれを説明。
感心している様子のスバルとは、裏腹にその話を聞いた私はそれにカチンときたかのように声を荒げる。
すると、彼は、まるで以前…彼自身がミツキさんに言われていた事を思い出すかのように私のデバイスを見つめながらそういった意味を告げた。
彼のその声を聞いた私は、私自身もミツキさんからその事を言われていたのを思い出しその態度を変えどうしていいのかわからないと戸惑った様子でそれに答える。
「とりあえず、今回は俺の方でやっておくが…。次からは、お前自身でやってみるんだな?方法なら姉貴が、お前達それぞれに渡してある「デバイス・メンテナンスシート」に書いてあるからそれを見てやってみな?もし、見てもわかんなかったら俺じゃなくって姉貴にでも聞いてみな?その方が、お前にとってはいいだろ?こんなわけのわからん奴に頭を下げるよりかは?」
「ええ。そうさせてもらうわ?」
私のそんな様子に対し彼は、その態度を変えぬままその方法を私に教え以後の事をミツキさんに聞くよう告げる。
まるで、私が彼の事をまだ信用していない事を見透かしているかのように…。そして、ここまでで形成された私とのその距離感を保つかのように…。
彼の声を聞いた私は、彼との間で出来たその距離感に心地よさを感じながら笑顔でそう答えていた。
今思えば…この時だったかも?彼との間で出来たこの「知り合い以上戦友未満」といった互いにとって居心地がいい距離感が出来たのも?
「ねぇ!!ねぇ!!私のは!!私の方はどうなの!!ユウ兄!!」
「お前のか?(うんうん!!)そうだな…。とりあえず、クイントさんの墓の前にこのリボルバーナックルを持っていってお説教でも食らって来い。いくらなんでも、雑に扱いすぎだ」
私と彼との会話に対しおいてけぼりを食らっていたスバルは、その時2人の中に出来ていたこの居心地のよい空気にムスッとしながらそれを聞いていた。
そして、「今がチャンス」と言わんばかりに彼と私との間に自身の顔を割り込ませ自身のデバイスについて彼に問いかけていた。
彼女の声を聞いたユウは、私のデバイスからスバルのデバイスに持ち替えその結果を彼女がわかり易いのうに端的にため息をつきながら説明し始めた。
「むぅ!!私!!そんない雑にあつかってない!!前にユウ兄に言われた通り毎日ちゃんと綺麗に磨いてるんだから!!」
「ああ…確かにちゃんと磨いているみたいだな?(でしょでしょ!!)でも、たまにはちゃんとメンテナンスをしてやるんだな?外装ばかり綺麗にしたって、その中の部分の方もちゃんとしてやらんとそのうち壊しちまうぞ?」
彼のその結果を聞いたスバルは、ムスッとしながらそれに答え自らの正当性を彼に訴える。
それに対しユウは、彼女を宥めながらその訴えを認めた後自身が言いたかった事を私の時とは違った表現方法でそれを説明していた。
ユウの説明を聞いたスバルは…。
「そうなったら、ユウ兄に直してもらうからいいもん!!」(ぷいっ!!)
「…お前なぁ…」
と、まるで彼の困らせたいかのようにムスッとしたフリをしながらそう答えそれに対しユウはそれにまんまとハマッたかのように困った様子でそれに答えていた。
~回想終了~
その時の…彼女のそんな女の子な様子にピーンときた私は、彼が帰った後その事をスバルに確認。
最初こそ、そんな私の直感に対しそれを完全否定していたものの…その後彼が来るたびにまるで飼い主にかまって欲しい子犬のようにしている彼女の様子を見た私はその事を追求。
ようやくその本音を聞きだす事が出来…事ある事にそれを告げるよう彼女に告げ続け…現在に至った。
そして、六課に来てから…彼女の存在を知り…その行動パターン等から私とスバルはそう仮定している。でも、本当にそうなのかは…まだ確認出来ていない。
でも…おそらく…アルトは…。
「おっ!!アルト!!ここにいたのか?」
「ば…ヴァイス陸曹?私に何か?」
「ちょっとした特別任務だ。(特別任務?)ああ。ちょっと来い」
「わ…わかりました。ごめん!戻ってきたら詳しく話をするから?」
「わかった」
私とスバルがそんな事をしていた所、そこに現れた六課でヘリパイをしているヴァイス・グランセニック陸曹がその答えを考えていたアルトに声をかけていた。
どうやらヴァイス陸曹は、アルトの事を探していたらしく彼の声に疑問の声を上げるアルトに対し彼は特別任務があると彼女をその場から連れ出そうとしていた。
特別任務?なんでこんな夜更けに…まさか!!ユウ達がいるっていう例の…。
「「ガンバって下さい!!アルトさん!!」」
「ありがと!それじゃ」
彼の話を聞きそして、エリキャロの声に答えるアルトが答えるのを見ていた私はある事に気づき…そして…。
「あっ…あの!!その任務に私とスバルも!!」
「てぃ…ティア!!」
「いいから!!お願いします。ヴァイス陸曹!!」
その場から立ち上がり、その場を去ろうとしていたヴァイス陸曹に声をかける。
私の声に対しスバルは、どうやら先ほどの話に業を煮やした私がそれを行動に移したと勘違い。
顔を赤らめたまま、私の事を止めようと声をあげる。
そんなスバルの様子を見た私は、そうではない事を告げる時間もなかったためそんな彼女を勇めるように声をあげ…そしてヴァイス陸曹にその特別任務に参加出来るよう懇願。
「…と、言われてもなぁ?」
私のそんな様子に対しヴァイス陸曹は、困惑した様子で声をあげる。
その時だった…。
「心配しなくてもいいわよ?ヴァイス君?スバルとティアナは、私が預かるから…ヒック!!ささっ、行って行って!!」
「あっ、はい!!そ…それじゃ…」
「ちょっ!!ちょっと!!(2人は、だぁ~め!!)え…ええっと…。シャーリーさん?いったい…」
私達のそんな様子を見ていたシャーリーさんが、酔った勢いのままその間に割って入り私達を止めた上さらにヴァイス陸曹とアルトをその任務に行かせるよう声をあげる。
その声を聞いた私は、なんとかしようとするも結局シャーリーさんに止められついにはそれに参加する事は出来なった。
2人が、休憩室を去った後私は、それを止めた理由を彼女に聞いて見た。
「これ?なんだかわかる?(盗聴器…?ですか?)正解!!これはね?念話の内容が盗聴出来ちゃうってすんばらしい装置なのよ!!ヒック!!」
「ね…念話を?ですか!?」
「そうよ♪ちなみに今の2人の念話…聞いちゃった♪てへっ♪スバル?あんた…ユウ君の事?…ンぐっ!!ぐぐぐぐーーーーーーーー!!」
「それを言っちゃダメーーーー!!」
「ってぇ!!そんなものいったいどこで!?」
疑問の声をあげる私に対しシャーリーさんは、酔っ払ったまま笑みを浮かべながら自身の服のポケットから○の中に「楓」と書かれた盗聴器のようなものをその目の前に出してきた。
そして、その機械がいったいどういうものなのかを笑顔で説明。そして、その証拠としてつい先ほど私とスバルがしていたその念話の内容を口にしだした。
彼女のその話を聞いたスバルは、その話の最中…その内容に驚きシャーリーさんの口を塞ぎながら声をあげる。私もその声に驚きの声を上げた後その入手方法について聞いて見た。
「なんでも、ユウ君のお友達って人がさっき突然現れて…「これをつけてティアナ達の所に行けば面白い事がある」って…言われて…」
「私もその機械を使って全部聞きました!!でも、大丈夫です!!私もその時彼女にもらったこの「勇気が出る飴」(惚れ薬)を使ってグリフィスさんに!!」
私の声を聞いたルキノが、スバルに口を塞がれているシャーリーさんの変わりにその入手方法を説明。
さらに、その盗聴器を渡したのと同一人物からもらったと盗聴器かかれているのと同じマークがその包み紙に描かれた大玉の飴を私達に見せてくれた。
「てぃ…ティア!!この盗聴器と飴についている○の中に「楓」って!!」
「すぐに大地さんに連絡を取ってその確認を…(ガシッ!!)しゃ…シャーリーさん?」
「そんなの後でもいいでしょう?ヒック…今大事なのは~…。スバルにどう告白させるか?でしょ?(えっ…ま…まぁ…)それじゃ!!この恋愛の達人?シャリオ・フィニーノ様がルキノを含めた3人のために特別講義をしてあげる!!キャロも来る?(はい!!もちろん!!)それじゃエリオはそれを言われる相手役をお願いね?(は…はぁ…)それじゃ私の部屋へ出発進行!!」
「「「はい!!」」」
そのマークを見たスバルは、どうやらそれを作った人が誰なのかわかったらしく私に向け声をあげる。
彼女の声に対し、私もまたその人物に気づき彼女に対し鉄拳制裁を加えてもらえるべく彼女の弟に連絡をとろうする。
でも、その様子をみていたシャーリーさんがスバルが口を押さえていたのを彼女の左右腹部をくすぐる事でそれを振り払いそれを止めようとする。
そして、通信をしようとしていた私の腕を掴みながら声を上げ…そして、さらに私達が要求もしていないのにも関わらず「私に任せろ」と自身の部屋でそのための特別講義を行うといいだした。
もちろん、その場にいたエリオとキャロを巻き込んだ上で…。
ズリズリ…。
「わ…私はそんな事まだ一言も!!」
「なんで私までぇ!!」
「いいから、いいから~遠慮なんかしなくてもいいわよ♪ヒック」
「「遠慮なんかしていませんから~!!」」
結局、シャーリーさん達のその勢いに屈した私とスバルは、いつの間にかキャロにバインドかけられた上でその部屋まで引きずられる事で強制参加が決定。
そんな状態の中、スバルと私が声を上げながら最後の抵抗を試みていた所…笑顔のシャーリーさんが上機嫌のまま声をあげる。
彼女のそんな声に対し、私とスバルがそれを否定するもそれを受け入れられる事は無く…。
六課の宿舎には、私とスバルの声だけが響き渡っていた。
「魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~その6「それぞれの想い…」」…始まります」
魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~その6「それぞれの想い…」
機動六課施設周辺 湾岸地域
アルト視点
「ユウ!!こっち!!こっち!!」
「遅いせぇぞ!!ユウ!!時間ギリギリじゃねぇか!!」
ヴァイス陸曹に呼び出され「特別任務」のため、彼と共に六課隊舎の直ぐ近くの湾岸地域に訪れていた。
この海岸は、六課の隊舎の直ぐ近くにあるもののそのレーダーには、引っかかりづらい所。
その事は、部隊長達も既に気づいてはいるものの私達とファントムとの接触するために六課の方が指定してきたポイント。
ここの警戒をファントムが行い六課は、この場所に関しての防衛等を放棄するという取り決めがすでになされているため何も気にせずこの場を使う事が出来ている。
尚、ここを使う場合、他の隊員達への説明については「特別任務」としその詳細については一切明らかにしない。と言うのが、六課隊長陣の間では、の暗黙の了解とされている。
それ以外にも六課とファントムの間では、部隊長達がファントムの隊舎に訪れていた際に決めたいくつかの取り決めがある。
今まで、そんな事自体ありえなかったため…その理由について部隊長に聞いて見た所、その時部隊長が…。
「ファントムの隊舎に行った時、そこの司令にちょっとした脅しを受けてな?それを聞いたウチの後見人(特にクロノ)の方々が、それにビビッて「出来るだけファントムの間とは、波風をたてないように」ってそう指示があってな?それで、こうなったって訳や?まっ、このお陰でウチは色々とやり易くなったんやけど…フェイトちゃんの方は、随分とやりずらくなったようやで?まぁ、アルト達にこういう事を言うのもなんやけど…フェイトちゃん自身あまりファントムのやり方をよく思ってないようなんや?と、言っても彼女の両親や家族の側に入る取り巻き達が、フェイトちゃんにある事無い事吹き込んでいるせいなんやけどな?ちなみになのはちゃんは、これを気にミツキを一度六課に招待してスバル達の訓練をみてもらう事でミツキとの関係性を近づけて地上本部で聞きそびれていたものを聞き出そうと考えているようやけど?」
とか…言っていたっけ?まぁ…そのお陰もあり、私とユウはなんの気兼ね無しにファントムの任務に従事出来るようになったんだよね?
海岸を背にし時間を気にしていたヴァイス陸曹は、この「特別任務」に参加する予定のユウの到着を待っていた。
大急ぎで私達の所へと向かっていたユウを見つけた私とヴァイス陸曹は、その順番で彼に声をかける。
そして、ようやく私達の所へとやってきたユウは、上がっていた息を整えた後その声に答えてきた。
「悪い悪い。スバル達のデバイスの整備に手間取っちまってな?って、なんでヴァイスがここにいるんだ?お前、ファントムとは関係ねぇハズだろ?」
「オーリスに呼ばれたんだよ?(あのお嬢にか?)ああそうだ。なんでも、六課が稼動した事に関して一度ファントムとその行動方針を確認してくれって中将に命じられたらしくて…俺にもそれに参加しろってさ?…どうやら中将は、お前達をハラオウン派に取り込まれたくはないらしい。俺にその監視と連絡役を頼みたいんだと?」
「…んな事するかよ…」
私達の声に答えたユウは、その視線を本来この場にはいれないハズのヴァイス陸曹へと向けその事を聞いた。
それに対しヴァイス陸曹は、この場にいられるその訳を素直に話しそれに対しユウは、その話に呆れた様子で答えていた。
ヴァイス陸曹は、元々先輩と同じ部隊に所属。そんな中で、レジアス中将の娘さんであるオーリス・ゲイツ三佐をナンパした際に一緒にいた先輩と知り合い以後様々な任務を共にこなす一方プライベート面でも友人関係を形成。でも、ある事件を境にその関係が薄れてきたものの今でも何かと先輩の事を気にしている様子。
私とは、訓練校時代にそのOBとして知り合いその後、私が陸曹にユウを紹介。陸曹が、暇な時に一緒に遊んだりしていた。
ユウにとって陸曹は、かつてはいい兄貴分。でも、ある事を境にその距離を置いている。でも、今回再会して以来そんな素振りは今の所見せてはいない。
でも、今日は久々に出そうかな?ユウ…陸曹がここに入る事自体…いいとは思っていないみたいだし…。
ちなみに私に取っては、他人に知られたくない事まで知られそれを同じ部隊になる度にネタにされてしまうといった迷惑な先輩…それに尽きる。
「ん?もしかして…それって、お前が幼少時に自分の事を「男の子」と思い作り上げた数々の伝説の事か?なんだ?言ってくれればこの場でその伝説の数々を…」
「言わなくてもいいですから!!」
いきなりの私の説明に割り込んできたヴァイス陸曹の声に対し私は、声を荒げそれを静止する。
あっ!!話が脱線しちゃった!!…話を元に戻して…。
「なんせ、六課にはミツキと友人関係にある部隊長がいるからな?中将は、それを注視している。そして、少将としてのミツキに対しその関係を使って協力を申し込んだって話だ。それもフェイト隊長となのは隊長を連れ添ってな?」
「それで、ヴァイス陸曹は?」
私があれこれ説明していた所、陸曹がユウに対しその話の続きを話していた。
それを聞いた私は、陸曹が今後どう動くのかを聞いて見た。
「なんにもしねぇよ。(えっ…それじゃ中将の方には?)それについては、オーリスから中将に話をしてもらっているし部隊長の方にも言ってある。俺は、派閥争いには手をかさねぇってな?(なら、どうしてここにいるんだ?)念のためさ?(念のため?ですか?)ああそうさ。特にこれといった理由はないんだが、俺の感がささやいているのさ。あいつが、やべぇ事に巻き込まれるってな?それに、なぜ?部隊長が六課にミツキの関係者をこれだけ集めたのかも気になっている。単に部隊長達が、「リストアップしたらそうなった」っていうなら俺の勘違いって事で終わる事。でももし、それに違った意志が入り込んでいたとしたら…。俺は、もうこれ以上あいつに…。まっ、いちヘリパイの俺が出来る事は限られてはいるがな?」
「はぁ…。だったら、このまま何にもしないでヘリパイのままでいろ(ちょ、ちょっと!!ユウ!!)姉貴は、お前にそんな事を望んじゃいねぇ…。特に、姉貴に尻拭いと責任を押し付けてその場から逃げだしヘリパイなった奴なんかに…」
「…」
その声に対し陸曹が答えるのを聞いた私とユウは、その真意を確認。彼の真意を聞いたユウは、ため息をした後その視線を冷たくしながらその視線同様陸曹に対しその旨のうちを明かした。
彼のそんな声を聞いた私は、慌てながら声を上げる一方陸曹は悔しそうな素振りを見せながらユウの声に何も答えなかった。
「ゆ…ユウ…」
「時間だ」
彼の声を聞いた私は、心のどこかで彼に同意しつつも陸曹の事も気遣いユウの名を呼んだ後合えてそれを口にはしなかった。
静寂が私達を包み込んだ。
3人の間に出来た異様なまでの緊張感。そんな中、私は、どう話を切り出していけばいいのかドギマギしながらこの時間が早く終わってほしいと願っていた。
すると、その静寂を切り裂くように時計を見ていたユウが声をあげる。そして、彼の声が辺りに響き渡ったと同時に海面が上昇し始める。
そして…。
ザザザザザザザザザザザッパーーーーーン!!
<確認を行います。各自所属と姓名を>
私達の目の前に海面から突如見た目、某ロボットシュミレーションゲームのオリジナル版に出てくる敵側の旗艦。名前に年末に待っている赤い服を着たおじさんが主役のあるイベントを冠した白と赤の戦艦の姿を模したような外見の蒼色と白の戦艦がその姿を現した。
その戦艦は、「カグツチ」といい通常の次元航行艦の1/4サイズで私とユウが所属している「ファントム・ナイツ 本部特務隊「ゲイル・ミラージュ」の旗艦。
その小ささを活かし単艦での拠点潜入、征圧に特化しておりその機動性はファントム随一。
設計・開発を先輩自ら行いシゲさんもその開発に参加。もちろん、私とユウもその開発を手伝ったもの。
元々、先輩がメイファ財団から新たな次元航行艦の設計と開発を依頼されたのを総帥のご好意によりその時新設された「ゲイル・ミラージュ」で運用させてもらえる事になりその開発が始まった。
開発費については、総帥から「いくらつかってもよい!!」とのお言葉を受けた事により、その開発を担当した先輩とシゲさんのやりたい放題…。
開発費を湯水のように使い…最新装備と技術が満載され…その結果、通常の次元航行艦を数艦購入出来るくらいの開発費をかけその完成に至った。
主な装備として上げられるのは…。戦艦クラスでは、まず装備されてはいない戦艦用に改良された「オプティック・ハイド」と最新鋭のステルス装備。さらに、シゲさんが開発した魔導兵器と通常火器を数種類と主砲としてその艦首には、先輩が元々有しているファントムの総旗艦「ひなぎく」に装備されている高出力の魔導砲「ラグナ・ブラスト」を小型化した高出力魔導砲「インフィニット・ブラスター」を装備している。その破壊力は、管理局が有している高出力の魔導兵器「アルカンシェル」に順ずるとされるもの。それだけでも、すごいのにそれにはさらにもうひとつの形態がある。
それは、「インフィニット・ブラスター」で使用するためのエネルギーで艦全体を包み込むエネルギーフィールドを展開。その状態で、敵機に対し突撃する「インフィニット・ブラスター バースト・レイ」まで用意しちゃって…。ただでさえ、ひなぎくの主砲「ラグナ・ブラスト」が、アルカンシェル以上の破壊力があるって…本局からクレームがついた事があるのに…。
先輩とシゲさんの暴走は、それだけでは終わらず…。「運用面において必要人員の軽減のため」として専用に開発されたAIが2つも配備。
名前は、「ルナ」と「リナ」といいその容姿は、CGで作られたSDサイズの先輩とクリスさんの姿をしている。
どっちがどっちかって言うと…「ルナ」が先輩で、「リナ」がクリス。
そうなった経緯としては、私がたまたま書いた2人をデフォメル化した落書きを見たユウが2人に内緒でAIに見せた所2人が気に入った事で採用。
ユウが、それをCGにして艦内のみその姿で表示できるようにしているの。
これに対し2人は、AI達が気に入ってしまったためそれを止める事も出来ずただ苦笑いしていたけどね?
特にどっちがどれの箇所を担当するのかは、決められてはおらずそれぞれが独立したAIとして艦内を統括している。AIが2つもある理由としては、どちらのAIがウイルスなどの感染により敵にジャックされた場合やその機能が停止された場合のバックアップと即その際の艦内への影響への対処のため。
さらに、2つのAIがその両方ともその機能を停止した場合のためのバックアップと即座の手動操作への切り替え等そのための対策は特に重要視。
これ以外にも、様々な防御プログラム等が搭載されており…通常のハッカーではまず潜入不可能な上AI達には、自身のハッキング方法を伝授。AI自身が先輩なみのハッキング技術を持たしてしまっている。
さすがは、先輩とシゲさん…。ここまでやります?普通?
ちなみに、完成した「カグツチ」を知った本局はひなぎくの時同様「過剰装備だ」としてファントムに対しクレームをつけてくるもご隠居様とファントムの相談役による所謂鶴の一声により開発された当初のまま実戦配備されている。
とまぁ…カグツチについての説明は、ここまでとして…。
海面に現れた「カグツチ」は、ついているスポットライトを私達に当てると同時に事前に登録されているメディカルデータとそんな事を考え入る私とユウ達を照合。
そして、音声認識を確認するためにその所属と姓名を確認しようとその指示を装備されているスピーカーから声をかけてきた。
おそらくこの声は、リナかな?ちなみに2人の音声は、ルナが私でリナがナリアちゃんが担当。私達と被らないよう、各AIに入力した音やしゃべり方を2人自身が変え使用している。
私は、カグツチから聞えてきたその音声がルナなのかリナなのかを確認しながらその指示に従った。
「ファントム・ナイツ 本部特務隊「ゲイル・ミラージュ」所属 ユウ・サエグサ」
「同じく準隊員、アルト・クラエッタ」
「機動六課所属 ヴァイス・グランセニック」
<…確認しました。乗艦を許可します>
ピカーーーーー!!…シュン!!
3人それぞれがその指示に従い私とユウは、ファントムでの所属と自身の名前を。そして、ヴァイス陸曹は、ファントムには在籍してはいないためその所属を六課としその後自身の名前を口にする。
そして、それから数秒後その確認を終えたカグツチの方からその確認を終えた事と乗艦を許可する声が聞えた後自身の足元に転送魔法を展開させ私達を艦内へと入っていった。
ファントム・ナイツ 本部特務隊「ゲイル・ミラージュ」専用艦 XXX クォーターひなぎく級次元戦闘艦「カグツチ」艦橋
クリス視点
「ユウさん達の乗艦を確認。周囲にレーダーに反応無し」
「注水開始を確認。各計器類異常無し。ルナにリナ?そっちは、どうだ?」
<周囲に問題はないよ?>
<うんうん。こっちも以上無し!!全システムオールグリーン!!グレイ!!いっちゃって良いよ?>
ユウ達を艦内へと転送させた私達は、「カグツチ」のその艦橋で次の行動のための確認作業を行っていた。
この艦に装備されている各種レーダーを確認していたこの艦で、通信士を務めてもらっているナリアちゃんが声をあげる。
それを聞いた操舵担当のグレイ・ニールソンが、各計器類を確認しながら潜行作業を開始すると同時にこの艦の全機能を統括するAIである「ルナ」と「リナ」に艦内の状況について確認していた。
彼の声を聞いたリナとルナは、彼が座る席の両サイドに以前ユウとアルトが作ってくれたCGにてその姿を現しリズ、ルナの順で問題ない旨を声にあげ彼に対し報告する。
「了解。潜行を開始する。いいな?クリス?いや…艦長?」
「うん。わかった。カグツチ、潜行を開始してください」
「潜行開始」
2人の声を聞いたグレイは、その後方に私が座るキャプテン・シートの方を向きその行動開始を確認。それを聞いた私は、それを了承。カグツチを再び海の中へとその身を隠すために潜行を開始した。
「予定水域に到着。…六課レーダー圏内を脱しました」
<艦内に問題…なし!!>
<周囲にも敵影…ないよ!!>
「わかったわ。リナとルナは、警戒レベルを通常レベルへと移行。グレイ?通常航行に切り替えて」
<了解>、<は~い!!>
「了解。通常航行に移行する」、
「ふぅ~…。これで一安心ですね?クリスさん…じゃなかった。艦長?」
「本当。一応、六課との取り決めがあるとは言え今回初めてだからね?なんにもなくってよかったわ。それにしてもごめんね?こんな遅くにまで?ひなぎくの艦長業務とか色々と忙しいんでしょ?」
カグツチが、潜行を開始して数分後。
ナリアちゃんから、六課のレーダー圏内を脱した事と予定されていた水域に到着した事が艦橋にいる前任に対しその報告がなされた。
それを聞いたリナとルナが、艦内の状況と周囲の敵影がない事を報告。2人の報告を私が、今までしていた警戒レベルを下げる事と通常航行へと切り替えを指示。
私の指示を聞いたリナとルナ。さらに、グレイがその指示を了承する声をあげその作業が終了した所で一息ついたナリアちゃんが私に声をかけてきた。
それを聞いた私は、ホッとしながらその声に答えた後ナリアちゃんの労をねぎらった。
なんせ、彼女…。ココ以外にもいくつか業務を兼務しつつさらにファントムが誇る総旗艦でありミツキが搭乗する次元航行艦「ひなぎく」の艦長でもあるからね?
その業務は、多忙…。今回こっちの任務参加するのをお願いするのもさすがにためらい…彼女には、内緒でやろうとしていたんだけどそれを彼女がどこかから聞きつけこの任務への参加を私に懇願。その頑固さに私が屈指今回参加してもらっている。
本当なら、こういう平時の時くらい…彼女には、休んでもらいたかったんだけど?
「いえいえ。ひなぎくの方は、今オーバーホール中で私が入なくっても大丈夫なんです。それに、こっちにいる方が落ち着くんです。私がこっちに入るって事は姫(ミツキの事)がファントムには関わってはいないって事ですし…それに「ひなぎく」も動かす必要もないので…」
「それにノアにどやされなくてもすむってか?」
私の問いかけにナリアちゃんが答え聞いたとちょうどその時、艦橋に通じるドアが開きその奥からユウ達が彼女の話に答えながら艦橋に上がってきた。
「そんな事はないです!!って…ユウさん!!」
「おっひさ~!!元気だったナリアちゃん!!」
「はい。アルトさんも相変わらずの様子で」
「もちろん!!」
「その様子だと…相変わらずのようね?ヴァイス?」
「まぁな?それで、オーリスは?」
その声を聞いたナリアちゃんが、彼の声に答えながら艦橋に上がる彼等の姿を見て驚きの声を上げる。
彼の後に続きアルト、ヴァイスが入ってきてまずはアルトがナリアちゃんと挨拶を交わしその後に私がヴァイスと会話を交わす。
私の声を聞いたヴァイスは、彼をここへと呼び出した張本人である地上本部のトップであるレジアス・ゲイツ中将の娘…オーリス・ゲイツ三佐の所在を聞いてきた。
「会議室の方でスタンバッてるわよ?臨戦態勢整っているって感じでね?」
「うげぇ…。こりゃ時間がかかりそうだ…」
「…かもね?それじゃ私達は、会議室の方に行くから…。グレイにナリアちゃん後の事をお願いね?」
「わかりました」
「ああ」
彼の問いかけに対し私がその所在と彼女の様子を伝えた所、ユウが嫌そうな顔をし私に声をかける。
その声に対し私は、座っていたキャプテンシートから立ち上がりながらそれに答えグレイとナリアちゃんにこの場を任せる旨を伝えユウ達と共に会議室へと向かおうした。
<<クリス!!私達は!!>>
「ごめんごめん。リナとルナもお願いね?」
<<りょうか~い!!>>
すると、私の目の前に少しご立腹の様子のリナとルナが現れまるで私に無視されたのを怒っている様子で声を上げる。
それに対し私は、その様子から2人が怒っているその真意を確認。2人に謝った後彼女達にもこの場を任せるように告げその返事を聞いた後彼等と共に艦橋を後にした。
ファントム・ナイツ 本部特務隊「ゲイル・ミラージュ」専用艦 XXX クォーター級次元航行艦 「カヅツチ」艦内 会議室
オーリス視点
「以上が、ここ最近我が「飛脚屋 韋駄天」に集まった情報になります」
パッ!!チカチカ…。
会議室に集まった私、クリス、ユウ、アルト、ヴァイスがそこにあるテーブルを囲むように座りその部屋の奥にある大きな画面に表示されている内容とその説明を暗がりの中聞いていた。
その画面には、それに私の父やファントムが昔から付き合いのある情報屋「飛脚屋 韋駄天」が集めた機動六課及びレリックについての情報がまとめられたものが次々と表示されていく。
画面の横では、飛脚屋韋駄天の従業員で茶髪をおかっぱにした成瀬えみるちゃんが立ったままその画面を操作しさらにその内容を説明するその声だけが響く。
一連の説明を終えたえみるちゃんの声と同時にその画面も終了。そして、今まで暗かった室内の証明が点灯する。
「ありがと。それにしても、こんなに遅くまで仕事していて大丈夫なの?」
「…まったく…瞬がくればいいのに…。えみるちゃんだって色々と大変なのに…」
時間は、すでに夜遅く。
その時間を気にしたクリスは、えみるちゃんが10歳の子供でありながらこんな遅くまで仕事をさせている事に申し訳なさを感じ彼女に声をかける。
さらに私が、ここにはいないそこの社長であり彼女と8つ上の兄である成瀬瞬がこの場にいるべきとクリスの後に続く。
「いえいえ!!お兄…じゃなかった!!社長は、他の案件が忙しく…寝る間を惜しんで働いております。そんな社長1人に働かせる訳にはいきまんから?それにファントムの担当は、私ですので社長や龍幻には迷惑はかけられません」
「って…事の奴、瞬はえみるに発破をかけられたな?最近売り上げが悪いって?」
「さすがは、「飛脚屋 韋駄天」の影の社長って所か?」
「まぁ…ウチも、待っているだけでは商売になりませんから?って!!違いますからね!!これは、社長が自発的に!!」
私とクリスの声を聞いたえみるちゃんは、驚きながらとんでもないと瞬がここに来れない理由等を説明。
それを聞いたヴァイスとユウが、しっかりものの彼女に発破をかけられている楽観的主義の兄の様子を頭に思い描きながらニヤニヤしながらそれを声に出す。
2人の声を聞いたえみるちゃんは、それに乗りながらその本音を言った後ここにはいない兄を必死にフォローしていた。
飛脚屋 韋駄天…。
この世界に唯一ある陰陽師の一族である「孫一族」に組している「成瀬家」がその能力を活かし秘密文章を自らの足で届ける「飛脚」をその生業としてその生計をたてていたのがその始まり。
その後、目的地までに到達するまで見聞きした情報を売り買いする「情報屋」としてその事業を拡大。かつては、この世界の古代ベルカ王朝の歴代の王や貴族達がその顧客リストに名を連ねていた一族。
でも、情報伝達の方法が手紙から電話…さらにはネットへと進化していく中過程で彼等はその存在意義を失い衰退。
かつては、数百人規模を誇っていたその従業員も今や社長を含め3人…となり家族経営の中小企業となり…一時は倒産も危ぶまれていた。
だが、広がりすぎたネットが逆にがけっぷちの彼等に対しひとつの光明を生み出す。
それは、ウイルスやハッキングにより昔に比べ機密情報が流れ易くなっている事。
ある意味、イタチごっこと化した今のネットセキュリティよりも他人の除かれず密かに機密文章を届ける事が出来る彼等のその技と能力がより安全って局の上層部とかが彼等の事を再認識したって言う訳?
その関係で、ミツキも彼等の事を知りファントムが持つINS-αの情報収集の協力者として彼等と契約を交わした。
以来、こういう場所で自分達が集めたISN-αに載せる前の情報を提示しその作戦行動等に役立てるようになっているの。
もちろん、情報に対しての対価をファントムが払うって形でね?
「とりあえず、そういう事にしておきましょうか?それで?オーリス?中将は、私達にどうさせたい訳?まさか、ミツキの指示とは逆の事をしろ!!なんて言わないわよね?」
「そういう事はないわ。今回、中将は、ファントムには政治的な意味合いでの活動はさせないとのお言葉を受けているの。ただ…」
「ただ?」
「ただ、今後、六課が、政治的な意味合いを持った指示の元その行動を起した際、それによりミツキやユウ君達にその影響が及ぶ事を危惧されておられるの。それで、そういう予兆なんかをヴァイスに見てて欲しいの。そして、それが現実となった場合…」
そんな様子を見ていたクリスが、話を進めようとその話に一旦区切りをつけ私に対し私の父であり地上本部のトップであるレジアス・ゲイツ中将のその真意を確かめようと声をかけてきた。
今回私は、中将からの使者としてある指示を受けこの場を訪れている。その目的は、彼等に対し任務の依頼。その内容は、ファントムがユウ達のバックアップをしようとしている機動六課について。
さすがのクリスも、ファントムの総司令であるミツキからの指示と中将から依頼内容が間逆だったらたまったもんじゃないってわよね?
その顔には、板ばさみは勘弁!!って書いてあるわよ?
中将は、ファントムの立ち上げを後押しした人物の1人であり一時は相談役としてその運営に協力していた。
でも、本局との間での溝が広がる中その独立性を維持させるために相談役を自ら辞任。
今は、影から彼等の事のバックアップをしたり彼等に任務の依頼等をしたりもしている。
私は、中将からの指示が彼女達に対しキチンと伝わるよう言葉を選びながらその説明を始める。
「私達が、六課と一戦交える…って事かしら?」
「ええ…。でも、その相手は、あくまで六課部隊長八神はやてと各分隊の隊長と副隊長…そして、部隊長が持つ私有戦力のみ。末端の局員達には、手出しする必要はないわ」
「随分と限定するんだな?」
その説明を聞いたクリスが、その話を要約しその確認を取ってくる。
彼女の声を確認した私は、それを認めつつもその全てと戦う必要がない事を告げそれを聞いたユウが疑問の声をあげる。
「そりゃそうよ?なんせあそこには、地上本部から出向している局員達が何人もいるのよ?いくらなんでも、彼等とは戦う理由なんてないわ?まっ、あの八神はやてに洗脳されたとすれば…話は違ってくるけど?」
「ぶ…部隊長が六課の人達を洗脳をするなんて事…」
彼の声を聞いた私は、その理由を説明。さらに、すこしきつい口調で八神はやてがしそうなその可能性を示唆。
すると、今度は、アルトが戸惑った様子で疑問の声をあげる。
「言葉がマズかったら謝るわ。でも、八神はやては、今は局員でも元次元犯罪者。いくら闇の書に操られていただけとは言えそれはぬぐいきれない事実。仮もし、彼女がそれを苦にし今回の事に手を上げたとしてもそれを利用しようとする輩も…。この局内には、存在しているし彼女の周りにはそんな輩がたくさんいる。もしくは、単なる自身のイメージアップのためにしている事かもしれない。そんな連中…あなたもファントムに入ってかたたくさん見てきし…そして、その耳にしてきたでしょ?そんな輩の身勝手で自己中心的な考えを?」
「え…ええ…。でも…」
それを聞いた私は、すぐに今私が口にした事が彼女の不快に思わせたのでは?と感じそれを謝る。でも、これに関しては私自身や中将も引けない部分がありそれを彼女に対し話し始めた。
それを聞いたアルトは、それに対しどうやら納得してはいない様子。
「中将のレアスキル嫌いは今だ健在って訳だ?(そうね?)でも、今のところ部隊長にそんな所は見えてねぇけどな?っていうか、なんで姉貴だけ中将の「レアスキル嫌い」には引っかからないんだ?」
「それは、ミツキがレアスキルだけでのし上がろうとしなかったからよ?」
「どういう事だ?」
納得できない様子のアルトの様子を見たユウが、まるで彼女の変りをするかのように声をあげた後自分の中で感じていた疑問を私にぶつけてきる。
それを聞いた私は、あっけらかんとした様子で答えそれを聞いたユウがその説明を要求してきた。
「言っとくけど、中将は、単に「レアスキル持ち」の全ての人の事をお嫌いになっている訳ではないの。「レアスキル」を持っているって事だけで通常の局員が数十年かかってようやくたどり着けるかもしれない階級にたった数年でのし上がっている人間がお嫌いなだけよ?それも、特に…元犯罪者の分際で、自ら犯した過ちの事を忘れ…上位階級にのし上がり大腕をふって街を闊歩している連中なんかわね?例えば…あれだけ大きな事件を起しておいて置きながら、今や一部隊の部隊長や次元航行艦の執務官と分隊の隊長や副隊長をしている人間とか…。それ以外にも、局員の健康を預かる医務官や教導資格まで取っている輩とか…。あの事件で、身内や大切な人達を失った局員だっているのにも関わらず…。いくら更正プログラムを受けたとはいえ…。一度法を犯した人間が、法を守り続けている立場の人間のその上にたちあれこれ指示とかを出すなんて…その事自体…中将はおかしいとお考えになっておられるの。でも、ミツキは違う。最初こそ、中将が彼女をスカウトした事で入局しその以前には、犯罪に手を染めていたという疑惑はあるけど…。それは、今の所立証されてはいないし今の立場にいるのは、全てあの子自身の実力と実績で手に入れたもの。その時のあの子の苦労は、あなたも知っているでしょ?(ああ…)ちなみに、機動六課には、そういう輩が多く集まっていてしかも自身の身内ばかり…。いつ、その手の平を返して再び管理局にその刃を向ける可能性だってゼロではないと…中将がお気になさっているの。そして、そうなった場合…まず、その矛先を向けられるのがユウとアルト…。貴方達と…ヴァイス、そして、スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター両二等陸士になる。まぁ、両二等陸士については、ファントムには関わってはいないしその存在についてもまだ明かしてはいないから…。その危険性については、貴方達よりかは幾分マシだとは思うけど…」
彼の様子を見た私は、ユウは中将の本心を勘違いしていると思い彼に対しミツキと八神はやてとの違いについて説明した。
「なるほど…。そういう事だったら問題ないと思いますよ?」
「?どういう事かしら?アルト?」
それを聞いたアルトは、今度は納得してくれた様子。さらに何かを思い出したらしく明るい顔をしながら私に対し声をかける。
彼女のそんな様子に対し私は、その詳細な内容を説明するよう彼女に告げた所…。
「だって、そういう事ならもうユウが宣戦布告しちゃって来ていますし?」
「お…俺!?」
彼女の声を聞いたその場の全員が、驚いた。
中でも、ユウは一番驚いていたらしく…自分の顔を指差しをしながらその事を彼女に確認していた。
「そうそう。だって、初めて部隊長と会った時…部隊長室でそう言っていたじゃない?「もし、部隊長や隊長達が今まで姉貴にやってきた事と同じ事をすればその時は容赦しないって!!」
「あっ…。ん…んなの、ここで言うんじゃねぇ!!」
彼のそんな様子に対しアルトは、ユウが八神はやてと会った時彼が口にしていた事を暴露。
それを聞いたユウもその時のことを思い出し少し顔を赤らめ彼女に対し声を荒げる。
「だったら、私達がここでどうこうする事はないわね?なんせ、もう宣戦布告はしちゃってるんだし」
「そうね?だったら、ここはユウに任せようかしら?どうやら、めずらしくやる気になっているみたいだし?それにしても言うようになったわね?彼?」
「なんでも、「超甘党でひねくれた…空を青い道を作って翔るあっちの彼女の事が好きな彼の影響じゃないか?」ってミツキが言っていたわよ?」
「そう。だったら彼にお礼を贈らなきゃ?「ユウにいい影響を与えてくれてありがとう」って?」
「いいわね?だったらいいお店知っているわよ?(どこなの?)別世界にあるんだけど…。ほらっ!?ユン先生の所でアドバイザーをしている先生のお孫さんが経営している…」
「あ…あのお店ね!!あそこ…一度中将に連れて行って頂いた事があるんだけど、美味しかったわ?お願い出来る?クリス?」
「まかせておいて。とっておきのを彼に贈ってもらうから?」
「お願いね?」
「お前等ぁ!!!」
彼女の暴露を聞いた私は、クリスと一緒になってユウを茶化すかのように彼にいい影響を与えてくれた彼に対しそのお礼をしようとその相談を開始。
その話を聞いていたユウは、そんな私達に対し声をあらげいた。
アルト視点
ユウがクリス達に対し声を荒げている様子を見ていた私は、さっきの話のその続きの事を思い出していた。
あの時…ユウが、部隊長に言っていた事にはまだ続きあって…。
それが…。
(特に…こいつ(アルトの事)になんかしたら…その時は、なんと言い訳しようが容赦はしない。俺の事は、あんた等もう調べてるんだろ?だったら…俺を怒らせるな。俺としては、このまま良好な関係のまま六課が終わればそれでいいんだから?それに、なんでもアリになったらどっちの方に分があるかってこと自体…あんた等にだってわかるだろ?)
って…。
あの時のユウ…本当に怖かった。でも、私にとって彼のあの言葉は、とても嬉しかったと同時に改めてこう思ったんだ…。
ユウを…守ってあげたいって…。
でも、私にはそんな力も魔法もないし…いきなり特別な力が手に入るなんて予定もない…。
それにティアナは、ともかくとして…ギンガさんの話によるとスバルは…ユウの事を…。
今のところは、私の方が彼の側に入る事が多い。でも、窮地を乗り越えた際、男女の関係って急速に近づくって言われているし…。それに、有事の際…私はロングアーチに缶詰となりあいつの側に入る事は出来ない。せいぜい出来て通信で色んな情報を伝える事くらい。
それに…もし…一緒に戦場にいる事が出来たとしても…彼の事を手助けするどころか…完全な足手まといになるだけ…。
場合によっては、あの時の先輩のような事をあいつが…。
でも、スバルは…。あいつと一緒に戦う事も…守る事も出来る…力と魔法がある。
そして、私なんかよりもあいつの事をよく知っているし…あいつもまんざらではないみたい。
先輩は、「そのまんまでいいのよ?今のあの子にとってアルトがユウの側にいるってことだけで助けになっているのよ♪なんだか羨ましいわね?」って言ってくれてはいるけど…。
心の奥では、私なんかよりもスバルとの方が…。
頭のいい子なら、トウゴ君を上手く使って2人をくっつけようとするけど…。私、そういうのあまり好きじゃないし…スバルとは友達として仲良くしていたい。
それと同時に、同じ人を好きになった女の子として…正々堂々スバルとも勝負がしたいって気持ちも…。
あいつは、いったいどう思っているんだろう?私とスバルの事を?
「そういえば、今日は、ミツキは来ないの?」
「ええ…その予定で…今頃自宅にいるハズなんだけど?」
私がそんな事を考えながらユウの顔をチラチラ見ていた所、いつの間にかクリスとオーリスさんの所謂“ユウいじり”から先輩の所在についての話に変っていた。
オーリスさんのそんな疑問を聞いたクリスは、自身の記憶を辿りながらその所在について話している。
「おかしいわね?こっちに来る時、ミツキが1人でどこかに出かけている姿を目撃したのよ?帰宅するには、まだ早い時間だったから…てっきりこっちに来ているって思っていたのだけど?」
「ユウ達は、何か聞いてない?」
「いや?何にも…」
「私も…」
「おっかしいなぁ?「ノアも今日は、通常勤務だけだ」って言っていたのに…。まさか…ルナ!!いますぐミツキの所在を調べて!!」
クリスの答えを聞いたオーリスさんは、疑問の声をあげ彼女が先輩を見た時の様子を始める。
その声を聞いたクリスは、私とユウにその事を確認。私達もクリス同様そんな予定は聞いていないと首を振りながらそれに答える。
私達の答えを聞いたクリスは、聞いている予定と違う事を疑問に感じた後ある仮説に到達。慌てた様子でルナに対し先輩の所在について確認するよう指示を出す。
<りょうか~い…。あれっ?でない?ねぇ!!クリス!!姫…どうやらGPSのスイッチ切っているみたいだよ?そうでしょ?リナ?>
<うん。私の方でも、ルナと同じ結果が出ている…。ちなみにノアの反応も無し…。ちなみに、ゲンヤちゃんとギンガちゃんにもメールで聞いて見たけど帰ってきてないって>
「んもう!!あの子、今日は寝ていてってアミから言われているのに!!」
クリスの指示を聞いたルナが、その場に現れた後彼女の声に答えその指示通りに先輩の所在を確認。
でも、ルナが調べた所その反応がない事を確認。その原因を口にした後リナに対しその確認を取るよう声をあげる。
すると、ルナの横にリナが現れその確認を即座に開始。ルナと同じ結果である事をクリスに伝えた所クリスは、アミ先生からの指示を無視してノアと共に行動している先輩に対し声をあらげる。
「ご心配には及びません。今現在、姫とノアは、わが社の龍幻と接触しているとの報告を彼から受けています。ですが、その所在などについては、彼女達の身の安全のために明かせないとの事でしたが…」
「龍幻っていや、あのフードを深く被った大男の事だよな?」
「はい。そうです。彼は、ウチの従業員で主に姫等を担当で…。彼女と会う場合は、いつもこんな感じで会っている様子なんですけど?」
クリスが声を荒げているのを聞いたえみるちゃんは、まるで彼女を落ち着かせるように優しい顔をしながら先輩のその所在について自身が知る内容を話し始める。
それを聞いたユウが、えみるちゃんが言っていた飛脚屋 韋駄天の従業員である「龍幻」と言う男の人の事を確認。彼女は、それを認めさらに先輩と会うときはいつもこうだとその話に追加情報を付け加えていた。
「あいつか…。(ユウは知っているの?その龍幻って人?)お前も知っているハズだぜ?アルト?あの無口で陰湿な…(わかった!!あの人の事かぁ!!)あいつが側にいるなら問題ないな?」
「うんうん。すぐに家に返してくれますよ?龍幻さんなら?(どうしてそう断言出来るの?)だって、先輩を見るあの人の目…とっても優しいんです。ユウなんかとは違って?」
彼女の話を聞いたユウは、話に出ていた彼の事を思い出しならが声をあげる。
彼の話を聞いた私は、彼に対しどんな人なのかを質問。するとユウは、私も知っていると彼についての印象を話した所…。私は、すぐに彼の事を思い出し先輩が安全である事をユウと共に確信しそれをクリス達に伝えていた。
その時私は、ユウを引き合いにもだしその信頼性をアピールしていた。
「お前なぁ…。でも、信頼出来るに値する男だぜ?その辺は、保障してくれるよな?えみる?」
「はい。もちろん。ウチの社長よりも数十倍信頼出来ます!!」
「ひでぇな?その言われようは…」
私のそんな話を聞いたユウは、その話に呆れならが自分も私と同じだと告げさらにそれをえみるちゃんにも確認していた。
ユウの声を聞いたえみるちゃんは、瞬さんをその引き合いに出しその信頼性をアピール。その声を聞いたユウが、先ほどの私の話を思い出しながらさらに呆れた様子でその感想を口にしていた。
「仕方が無い。えみるは自分の兄には厳しいって瞬が嘆いていたからな?今頃、どっかで泣いてるんじゃないか?」
「かもね?」
彼女の声を聞いたヴァイス陸曹がその話のフォローをした後ここにはいない瞬さんの事を話し始めその内容に対しクリスが同意。
その後、この和気藹々な空気の中…私達は、今後行動について詰めの話をする事なり…。
結果、六課の隊舎に帰る頃には日が上がっていた…。
ユウ達がオーリスと話をしている頃…。
機動六課隊舎内 部隊長室
はやて視点
「ぶぇクシュン!!クシュン!!」
「なんや瞬?風邪か?」
「いや…。おそらくえみるの奴が、俺の悪い噂でもしているんだろうぜ?」
「なるほどな?あの妹ならありえるわ?(それ、どういう事だよ?)見たまんまの事を言うとるだけやで?(あのなぁ!!)」
部隊長室で、六課の後見人であるクロノ君とリンディさん、さらに聖王教会の騎士カリムとの間で映像通信による会議を行っているその最中…。
ウチが、座るデスクの前に立っておった「飛脚屋 韋駄天」の社長である男やのに茶髪の髪を三つ編みにした成瀬瞬が突然クシャミをし始めた。
それを聞いたウチは、少しの間会議の緊張感を緩め彼に笑顔で声をかける。
すると瞬は、自身の鼻をすすりながらそれに答えその後ちょっとしたお笑いのボケとツッコミがウチと瞬の間で始まる。
でも、そんな時間は長くは続かず…ウチがもう少しだけ瞬をイジろうとしていた所…。
(それで?彼は、本当にあの情報網の代わりが務まるのかしら?はやて?)
(「飛脚屋 韋駄天」といえば、ファントムとも繋がりがある。こっちの情報をファントムに流す危険性にが…)
(それに彼等の情報により我々の部下の数名が、その役職を終われている経緯もある。あまり信用が出来んな?)
ウチの周りに展開されていた通信画面の向こうで自身のデスクに座っていたリンディさん、カリム、クロノ君の順で話を進めようと次々と瞬を疑問視する声があがった。
まぁ…そう言われても仕方がないやろ…。
なんせ、瞬達は、今までクロノ君達の部下がやらかした収賄やら汚職の情報をミツキ達とか売りつけておったからなぁ…。
後見人の声を聞いたウチは、心の中でそう呟いていた。
瞬とは、ミツキと知りおうて一緒に仕事をしていた際知り合い以来、あれこれ彼から情報を売ってもらっている。
んで、この間のファントムとの話し合いにおいて彼等が有する情報網INS-αを使って「レリック」の情報を集めようとしていたのが実質的に失敗に終わりその代役としてその情報網にも関与している瞬達にその白羽の矢を立てた。
そして、今回、六課の後見人の方々にその審判を仰ぐためにこの場を用意しこんな夜遅くに瞬に来てもらっている。
「へぇ~…。どうやら俺達の事を少しは調べているらしいな?だが…」
ペラペラ…。
後見人達の声を聞いた瞬は、そう笑みをこぼしながらそういい自身のズボンのポケットから手帳を取り出し…。
そして…。
「クロノ提督?あんた…この間の晩…。クラナガンの繁華街で…いったい何をしていましたか?」
(なんでそんな事をお前に答えねばならん!?)
「なら、答えなくてもいいです。こっちで掴んだ情報をそのままリンディ提督に伝えるだけですから?」
(へぇ~…。それって、クロノ提督にとっていい話?それても悪い話?)
「それは、そちらで判断してください。(そう、それで?)クロノ提督は、その日…繁華街にある一件の飲み屋に入り…そこで勤めていたホステスと…」
メモの中からクロノ君に関しての情報を見つけた瞬は、不機嫌な様子であった彼の話をあっさりと返した後それに興味を持ったリンディさんにその話を始める。
(な…なんでお前がそんな事を!!)
「いや~。つい最近、そういう情報がこっちに転がり込んできたもんで?」
「き…貴様!!プライベートの侵害だ!!」
(いいじゃない?クロノ?それで?その後彼は、そのホステスさんとどうしたのかしら?)
すると、彼の話を聞いたクロノ君の顔がみるみると青ざめて行き…それを止めようと声を荒げる。
一方、リンディさんの顔がみるみると鬼の形相へと変貌していきそれをそのままクロノ君を威圧。
そして、それに屈したクロノ君を他所に瞬に対しさらに詳細な情報を要求しておった。
(ま…まぁ、それは、この後じっくりとして頂いて…。それで、あなたは、どうなされるおつもりですか?あなたのような情報を扱う方々は信頼を第一に考えていると以前、耳にした事がありますが?)
「それについては、問題ないんよ?カリム?」
(どういうことですか?)
そんなやり取りを他所にカリムが、瞬に対し声をかける。
彼女の声を聞いたウチは、彼の代わりにそれについての説明をかってでる。
「要するに、ファントムとぶつかるような情報があれば瞬にはまずその情報をユウに流す。そして、その情報をユウがどうするのかを判断。問題なければウチ等にその情報を流してもらうって事や?」
(つまり…今六課に来ているサエグサ少将の弟であるユウ・サエグサを?まさか…以前、なのはさんがギンガ・ナカジマ一等陸士から聞いたという彼の本心を利用して?…それでは、はやてが…)
「そうや?あいつを利用し…それがユウにとって悪く動けば…奴の報復を受けるのはウチや?…それでええ…」
ウチの話を聞いたカリムは、その話の本心を推測。そして、最悪の場合…ウチが貧乏くじを引くことになる事を想定。心配した様子で声をあげる。
それに対しウチは、カリムが考えている事とウチの考えが同じである事を認めた上で最悪の結末を口にする。
(はやて!!それは!!)
「いいんや?カリム?(ですが!!)元々、ミツキかユウを六課に呼ぼうといいだしたんはウチや。それに、もう奴からそうなった場合の宣戦布告も受けとるからな?」
ウチの話に納得していない様子のカリム。それに対しウチは、それでいいとまるで自ら自分に対し言いつけるかのように彼女を説得しようとしていた。
でも…。
「ったく…。いいかげん…そのなんでも背負おうとするのを辞めるんだな?はやて?」
「なんやと?」
「騎士カリム…。さっきの話の答えなんだが…。あんたが言った通り俺達の商売は、信用が第一。情報によっちゃ…ファントムやユウ達にとって悪い方に傾くかもしれん。だが、情報っていうのは、それをどういう風に扱うかによって…180度違ったものとなる。だから、全てはあんた達次第だ。まっ、俺もそれなりにアフターフォローはするつもりだ。ユウと…そして、はやてには特に手厚くな?」
その時、瞬が突如ウチとカリムの間に割って入り先ほどの質問の答えを言い始めた。
(そうですか…。わかりました。その言葉…しかと私の心に留めて置きましょう。互いの大切な者達を路頭に迷わせないためにも)
「ああ!!なら、この子狸の事はお願いしますぜ?騎士カリム?」
「だれが子狸や!!」
(わかりました。)
「って!!2人ともスルーかい!!」
瞬の話を聞いたカリムは、どうやらその話には納得したらしく彼に対し笑顔で答えそれに瞬も笑顔で答える。
ウチが声を荒げてツッコンでるのを完全に無視して…。
その後、ウチの提案を後見人の方々が了承してもらい今回の話はそこで終了となった。
ちなみに、その後…クロノ君はリンディさんに先ほどの件について事情聴取を受けたそうな…。
某所 ミツキの隠れ家
ノア視点
「ふぇ~…食った、食った…ごっつぉさ~ん…」
「お粗末様でした。ゼロ…じゃなった。龍幻はもういいの?」
「ああ…」
「んじゃ、話を始めるとすっか?」、「そうね?でも、後片付けが終わってからね?」
「へぇ~い…」
あたいとミツキは、「飛脚屋 韋駄天」の従業員であり昔からの知り合いである龍幻から「渡したいものがある」と言われ仕事を早めに切り上げクラナガンにあるミツキの隠れ家にきていた。
ここは、クラナガンの繁華街から少し離れた静かな所。
そこにある古いレンガ風の空きマンションをミツキがその土地ごと買い上げ倉庫件隠れ家として使っている。
マンション内は、その外観とは打って変わりミツキこだわりの綺麗な壁紙と最新設備とセキュリティシステムを完備。
それだけではなく、隠れ家として使っているスペースにはこれまたミツキこだわりの家電と食器…そして厳選された食材の数々があり…。
スバルやギンガような大食らいの連中が来ない限り数ヶ月は生活出来るような設備類がそろっている。
そこで、あたいとミツキ…それに龍幻の3人は、再会を喜びながら彼女が作った夕食を平らげた後自然とその話は本題へ移っていった。
後片付けが終わったミツキは、元いた席に座りその横に通常サイズのあたいがその横のテーブルの上に立った。
そして、それを合図にミツキの向かいに座る黒い忍び装束を着て同じく黒の口の部分が大きく開いた仮面を被った筋肉質の大男龍幻は自身の胸元にしまってあった数枚の写真と手紙のようなものを彼女に無言のまま手渡した。
「へぇ~…。あの子達…こんなに大きくなったんだ…」
「ああ…。組織の任務にも参加している。そして、その最終ターゲットは、裏切り者のお前だそうだ…」
「…そっか…」
彼から写真と手紙を受け取ったミツキは、その内容を微笑みながらその感想を述べそして、あたいは、ミツキの肩の上に上がりそれを一緒に見ていた。
だが、龍幻からの話を聞いたミツキは、それを聞いた途端…その笑顔が曇り出した。
「すまん。出来れば、そうはさせたくはなかったのだが…」
「ううん!!いいの!!だって、ミツヨが彼女達の側から外されたって聞いた時点からこの事は覚悟していた事だから」
それを見た龍幻は、ミツキに対し頭を下げこの状況になっていた事を詫びそれに対しミツキは、「とんでもない」と慌てながらそれに答える。
「今、あいつ等はどこにいるんだ?」
「今は、管理外世界で組織からの任務をこなしているとの事だ」
「なら、当面は安心って訳だな?」
「いや、実を言うとそうではないらしい」
「どういう事?」
そんなやり取りを見ていたあたいは、彼女達の現在地を確認。その答えを聞き安堵していた所その話にはまだ続きがあるらしくそれを聞いたミツキが彼に詳細な内容を聞き始めた。
「ミツヨの話だと…。どうやら、かつて彼女がいる組織の研究に参加しその資金面とかを援助してくれていた人物が2人に再び興味を持ったらしい。まだ正式決定はされてはいないがもしそれが決まれば…」
「なるほど、最悪の形での親子対面…って事になるって事か?んで、どうするつもりだ?ミツキ?今まで、こうするためにスバルやユウ達の心配を他所に派手に動いて入退院を繰り返して来たのだろ?もし、目の前にお前を殺そうと現れたら…」
龍幻の話を聞いたあたいは、心配そうな顔をしながらミツキの方をみた。
そんなあたいの心配を他所にミツキは…。
「心配しないで?ノア?大丈夫よ?なんとかなるって?」
「でもよ?あいつ等にお前が会うと…2人のウチどちらかが…。だってお前、前に「2人共助ける」って…。その手段だってまだ…」
あたいの様子を見たミツキは、その顔を笑顔に戻しそれに答える。でも、あたいはそれに納得せずさらにその話を続ける。
「ミツキ…。もうお前は無理をするな。今日も会議中に発作を起したとか…」
「もうそっちに流れているの?一体誰が…」
「アミからだ。(アミちゃんが?)ああ。どうやら彼女。俺達が極秘であっている事をえみるからその情報を入手しているらしい。それで、今日ここに来る前えみるからアミからその情報を流した事とお前の体調の事を気にするようアミから伝言があったとの連絡を受けている」
あたいのそんな様子にを見た龍幻は、まるでそれに続くかのようにミツキを説得し始める。
その話を聞いたミツキは、その情報元について彼に質問をしそれに対し龍幻があっさりとその事について話をした。
「うっそぉ!!でも、アミちゃんって確か…韋駄天の事知らなかったんじゃ?」
「ユン先生からの紹介だ。俺もあの先生の患者の1人だからな?その関係で…」
彼の話を聞いたミツキは、その話に驚き彼にアミの事を確認。
その質問に対し龍幻は。包み隠さずその事について話をしてくれた。
「ふ~ん…。んで?そっちはどうなの?あんただって、あの時のダメージがまだ?」
「俺の事は、心配無用。元々、あの時一度失いかけた命だ。今更それがどうなろうと…」
彼の話に曖昧な返事をしたミツキは、彼の体の事について聞いて見た。すると、彼は、それに対し自虐的な答えを言う。
結果、それがミツキの逆鱗に触れ…。
「何言っているのよ!!(ドン!!)あんたね!!あの“約束”の事を忘れたなんて言わせないわよ!!「全部終わったらあの子の気持ちに答える」って言うあの約束の事を!!あの子は、それを支えに組織に残って頑張ってくれているのよ!!それを!!」
「わかっている!!だが!!その約束を果たさせるためにお前が囮となり連中を炙り出そうとしているのは関係ない!!お前は、俺達ではなくお前の事を心配している周囲にいる人間達の事をもっと気にかけるべきだ!!特にあの弟やその友人…その隣に住んでいるあの家族やお前によくしてくれた先輩の妹とかに!!」
「やっているわよ!!でも、あんたは…!!ゲホッ!!ゲホッ!!」
彼の話に対しミツキは、まるで自身の怒りを表すからのように自身の両手でテーブルを強く叩きながらその場に立ち上がり彼に対し声を荒げる。
龍幻もそれに合わせるかのようにその話の後、その場に立ちあがり声を荒げ反論。
それに対しミツキがさらに反論しようと声をあげた所、突如…右手で自身の胸元の服を掴み左手をテーブルの上に置きそれで自身の体を支えるかのように前かがみの状態でテーブルの上に倒れそうになっていた。
「大丈夫か?ミツキ?すまん、ついカッとなった」
「はぁ、はぁ、はぁ…。大丈夫…。こっちこそ、ゴメン…」
「問題ねぇよ?こんなに怒れるんだから問題ねぇよ?」
咳き込むミツキに対し龍幻は、彼女の背中をさすりながら優しく声をかける。
ミツキは、息を整えながらそれに答え彼のエスコートにより元の席に戻る。そして、2人の様子をただ黙って見ていたあたいが彼を安心させようと声をあける。
「そうか。だったら、今日はここまでにしよう。家まで送ろう。こんな状態のお前をこのままにしておけば、ミツヨに何を言われるのかわからんからな?」
「わかった。なら、あの子達がミッドに来たら教えて?(ああ…)」
それを聞いた龍幻は、あたいの話に答えた後話を切り上げようと彼女に声をかける。
ミツキは、彼のそんな提案に対し2つ返事で答える。
やれやれ…。いつもいつもこの2人は…。
だが、いいかげん…なんとかしてやんねぇと…。
と、なると…あいつに連絡をとらねぇと…。でも、あいつと会うと色々と面倒くせぇし…。ご隠居とあの一族にその情報が筒抜けになっちまって…ミツキが動きずらくなる。
あの一族が動くとなると、話が大きくなっちまうし…そうなるとユウ達まで…。
「ノア!?行くよ?」
「あっ!?待ってくれよぉ!!今行くから!!」
あたいが、そんな事を考えていた所龍幻にその体を支えられその部屋ドアから外に出ようとしていたミツキがあたいに対し声をかけてきた。
それを聞いたあたいは、その考えをまたの機会とし急いでミツキ達の後を追いその部屋を後にした。
更新が遅れてすいません。
今回は、六課を含めた周囲の状況など等をお送りしました。
次回からは、いよいよ本編に突入したいと思います。
ギャグ的なものも…入れていければ…と考えておりますのでよろしくお願いいたします。