魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~ 作:左近 遼
ウーノ視点
洞窟の中に作られたその研究施設では、ドクターと呼ばれる男がその部屋にある大型ビジョンに映っている光景を見つめていた。
<ドゴーーーーーーーーーーーーン>
<バシュ、バシュ>
<ドゴーーーーーーーン>
ドクターはその画面に映るガジェットとユウ達の戦闘内容をその部屋に用意されてあった椅子に座り腕組みをしながらそれを眺めていた。
画面上では、シグナムが30機目、ユウが丁度28機目のガジェットを撃墜したところだった。
「ドクター、ゼール様が参られました」
「通してくれ。ウーノ」
「わかりました」
突如、ドクターの目の前に画面が表示されその画面に映るウーノから客が来たことが告げられる。
プシュー
それから数分後その部屋の扉が開きそこからウーノと一人の黒いマント、鉄火面といった格好の男が中に入っていくる。
「久しぶりだね。ゼール」
「ああ、そうだな。スカリエッティ」
部屋に入ったゼールは、そのまま画面を見つめるドクターに近づく。
ゼールがちょうど椅子に近づいた所でドクターは、ゼールに声をかける。
それを聞いたゼールは、ドクターの事をスカリエッティと呼びその声に答え、スカリエッティの横にある椅子に座りスカリエッティが見つめる画面を見る。
「どうぞ」
二人の挨拶が終わった所でウーノが二人にコーヒーを用意されているテーブルの上に置いた。
「これが例の連中か?」
コーヒーが目の前のテーブルに置かれたことを確認したゼールは、スカリエッティに質問を投げかける。
「その通りさ。中々面白そうな連中だろ?そういえば、ツバサとツバキの件…了承してくれたそうだね?ありがとう」
ゼールの質問にスカリエッティは、笑みを浮かべながらウーノが持ってきたコーヒーに口をつけその問いに答える。
「元々、使い捨てのような連中だからな好きに使ってもらっても構わない。それにしても、まさかヤツが出てくるとはな?」
スカリエッティの声に答えつつもゼールは、ユウが映っている画面を身ながら答えそして、彼もまたコーヒーに口をつける。
「これには、僕も驚いたよ。なにせ彼の情報は、君が地球であれの試験運用のテストをしていた時の映像で初めて知ったからね?正直に言うとまだ調べている最中なでまだ、データ不足なんだよ。そんな時に彼が現れてくれたことは、私にとっては、まさに願ったりかなったりだよ」
ゼールの答えにスカリエッティは、ゼールの顔をチラッと横目で見その後すぐにその視線を戻しガイゼルの問いに答える。
「そうか…だが、向こうもこちらの行動を予測しているらしい。今まで以上のデータは取らせてはもらえそうにないな。私には、関係ない事だが…」
「ふっ…。それならなぜ君は、君のがジェットを僕にかしてくれたんだい?」
スカリエッティの答えにゼールが画面の方を向いたまま話をする。その表情は鉄火面に覆われているため確認は出来ないが、鉄火面から唯一見える瞳と口の部分からは、ゼールが言った事とは裏腹に真剣な眼差しが見られた。
それが気になったスカリエッティは、彼になぜ自分のガジェットを貸してくれたのか聞いてみた。
「それは、テストの続きだよ。あれは、君が作ったガジェットに私の技術を取り込んだ言わば実験機。データはより多くの魔導士から得られた方がいいと思ってな」
「なるほど…」
<ドゴーーーーーン、ゴドーーーーーン>
二人の会話が続く中、ユウが2機連続でガジェットを撃墜。
これで、ガジェットは全滅しユウとシグナムの撃墜数は30対30となり残りは黒いガジェットのみとなった。
ウーノ視点
コーヒーを出し終えた私は、ドクターの後ろで少し離れた場所に直立不動のままいつどんな指示がでてもいいように控えている。
お二人は、現在ガジェットと機動六課との戦いを観戦しながら何やら話をしている。
その話は、私の耳までは届いていない。
と言うより聞こえないように私がしている。
それは、なぜか言えばゼール様にご不快感を与えないためだ。
ゼール様は、私が生み出される前からドクターとの親交があったとのことだが、その経歴などは一切不明。
彼の声と彼が羽織るマントから垣間見える体格からして男性である可能性が高いのは間違いないがいまいちハッキリとはしない。
ちなみにドクターが言っている彼のガジェット…。
その名をノアールといい、その名のごとく全身の色は黒で統一されている。
その昔、ドクターが管理局に追い詰められた時、彼がドクターをその窮地から助けたことへのお礼としてガジェットの設計図を彼に渡し、その設計図を元に彼が作り出したもの…。
我々が使っている技術とは、違った物を使っているとのことだが…。
(ウーノ。ごきげんよう)
「これは、ルーテシア様。どうかされましたか?」
私は、ドクター達を見つつ思考を巡らしていた所に突如通信画面が表示されその画面の向こうから、紫の髪を靡かせ黒い衣装を身に纏ったルーテシア様が声をかけてきた。
それを見た私は、表情を崩さずルーテシア様に用件を伺う。
「大したことではなんだけどね…あのね、ここの作者さんにちょっと頼まれてね…」
「それは…いったい…」
私は、ルーテシア様に詳細な内容を教えて貰えるよう促す。
すると、画面の向こうのルーテシア様は、1枚のメモ紙を広げる。
そして…
「魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~その17「ユウVSシグナム(後編)」…始まります…」
「…」
魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~その17「ユウVSシグナム(後編)
機動六課隊舎内食堂
なのは視点
<ロングアーチ04、これで30機目のガジェットを撃墜!これで30対30のイーブンとなり残りは、黒いガジェット11機となりました!果たして!勝負の行方はいったいどうなるのでしょう!!どうですか?解説の八神部隊長?>
<そうやね。これは、予想通りの展開といってもいいのではないんやろか?ユウもかなりやるみたいやし。でも、こっからシグナムにとっては初めて戦う相手になるからな。ちょっと今まで通りとはいかんやろな。なんせ、あの黒いガジェットと戦闘経験のあるんは、ユウしかおらへんし。それが、ユウにとって有利に働くんやろうけど…でも、そこは百戦錬磨のシグナムの事や!それくらいのハンデがあってもちょうどええやろ>
<なるほど…。ありがとうございます。>
私の目の前に表示されている画面では、ちょうどユウ君が30機目のガジェットを撃墜しシグナムとの撃墜数をイーブンにした所が映っている。
そして、今までキチンと状況報告をしていたアルトが何時の間にかアナウンサーとなり、はやてちゃんを解説者として迎え、私の目の前にある画面に映されている戦闘をはやてちゃんとアルトは司令室からその戦闘を実況中継していた…。
もう!まじめにやってよ!アルトにはやてちゃん!
「なぁ、なのは?ユウの戦い方…なのはならどう見る?」
そんな私の横で画面を見ていたヴィータちゃんが私にユウ君の戦闘内容について私の意見を聞いて来た。
「そうだね。基本的には、機動力を活かした戦い方ではあるけど昔、シューティンアーツを習っていたってスバルが言っていた通り同じ高速戦闘でもフェイトちゃんと言うとよりスバルの戦い方の方がそれに近いかな」
「なるほどな…」
私の答えに納得した様子のヴィータちゃん。
でも、実際の所スバルそれともちょっと違うんだけど…。
スバルの戦闘スタイルって、その機動力を活かして相手の懐に飛び込みクロスレンジの爆発力で相手に協力な一撃を加え相手を倒す。
もしくは、ヒットアンドアウェイで相手に一撃を加えその後相手の攻撃範囲から離脱する…。
といった形で、私もスバルにそう訓練をしている。
でも、ユウ君の場合その機動力を活かして相手の懐に飛び込む所は同じだけどそこまで行くのにスピードに緩急がつくんだよね。
つまり、相手に突撃したかと思えば急停止して相手の死角に回り込み、相手の攻撃をのらりくらりとまるで木から落ちる木の葉がつかみ辛いのと同じようにその攻撃をかわしつつ攻撃をしていると思えば、いきなり相手に突撃かける。
そして、そのまま一気に相手の懐に飛び込んでその加速を活かした強力な一撃を加える…。
しかも、右手に刀型のデバイスの「紅」と左手に銃型のデバイスである「ゲイル・ファング」を本当に器用に使うんだよね。
例えば、ゲイル・ファングをクロスレンジで放つ砲撃魔法メテオブレイカーっていっていたかな?それを使ったり、中距離から紅の斬撃で風の刃を飛ばす魔法…名前はかまいたちって言うらしいけど…それで、中距離から攻撃したり…とにかくその攻撃パターンがとにかく多いんだよね。
もちろん中距離からのゲイル・ファングでの射撃魔法もクロスレンジで紅による斬撃もやってるしティアナのバリアブル・シュートも使っている。それとユウ君のスピードをフルに活かして相手に向かって突撃しその加速と紅の斬撃による一撃必殺のシューティング・ストライク…。
どれも近代ベルカ式だからその射程距離はミッド式より短いけど、その威力は相当な物。しかも紅には、カートリッヂシステムが付いているみたいだから威力を底上げする事も可能…。
でも、もっともやっかいなのはその移動速度の緩急の差。
その緩急の差が物凄く大きいから、彼を捕まえる事自体かなり厄介な事になる。
なぜ、移動速度の緩急の差が厄介なのかと言えば、それによって生み出されるわずかな間が問題なの。
その移動速度の緩急によって生み出されるであろう、その一瞬の間。
それが、まるで残像ようになって相手に見えちゃうらしく、その残像に相手はつい攻撃をしてしまう。
そして、相手が残像だと気づいた時によって一瞬の隙が生まれ、それを彼が見逃すハズもなくその隙をつかれ何も出来ないまま彼の攻撃を受けるハメになる。
そんな感じで、いつの間にか自分のペースを崩され完全にユウ君のぺースに巻き込まれちゃうの。
その彼独自の戦い方…それ自体がもっとも厄介なことで出来れば彼を敵に回したくはない。
仮にもし、私が戦う事になれば苦戦は必死だし、海鳴で父さんが言っていた事が彼の戦い方を見てようやくその意味がわかった気がする。
でもそれって、余程の戦闘経験がないと出来ないしどうして彼がそれを得たのかが疑問として残る。
話を戻して彼が使う魔法としては、スバルと同じ近代ベルカだけど…。
その戦闘スタイルは、スバルが使っているシューティングアーツとはそのベースにはなっているようだけどまるで別物。
その戦い方は、訓練で培われてきたと言うより実戦を繰り返して得られた物…言うなれば実際の戦場で得た経験を元に作られたユウ君独自の戦闘スタイル…。
それも私達が教える何かを守るための戦いとは違い…そう…あれは昔、ヴィータちゃんやシグナムとかと戦っていた時と似たような…。
まるで何かを守るためには、相手の命を奪ってでも守ると言ったような気迫と言うか覚悟を持った戦い方…。
私は、目の前の画面に映るユウ君を見ているとそう感じずには入られなかった。
ユウ君と私達…同じ何かを守るための戦い方のようではあるけど、私達とはまるで間逆の戦い方をしているような気がする。
そして、その何か危ない感じこそ私がシグナムに彼との模擬戦を控えるようはやてちゃんに頼んだそもそも理由。
彼が六課にくる事になって、はやてちゃんから彼がどんな風に戦うのかを聞いた時に感じた一抹の不安。
その時感じた、彼の戦闘スタイル…と言うか彼そのものが新人達に下手な影響を及ぼすのではないか?…そう感じた私は、はやてちゃんに頼んでシグナムに彼との模擬戦を新人達の教導が第一段階が終わりに近くなるまでまって貰った。
そして、今のスバル達ならその彼から感じることが危険な事だと感じてくれるだろう判断し、ヴィータちゃんとはやてちゃんとも話し合った上でシグナムに彼との模擬戦をしてもいいことを認めた。
でも実際に彼の戦いを画面で見て、私が取ったその行動に間違いがなかったと私は、彼の戦闘を見て今まさに確信していた。
でも、その時はやてちゃんから聞いた彼がユウ君でしかも、まさか整備士で来るなんて…正直、その時は思いもよらなかったんだけど…。
私は画面に映る彼を見ながら心の中でこう呟いた。
ユウ君…あなたは一体何者なの?
「今のユウ兄…なんか…いつもと違ってなんか怖い…」
私がユウ君にそんな疑問を抱いていたら、私のすぐ近くで一緒に観戦していたスバルが画面のユウ君を見てふと声をもらした…。
その言葉を聞いた私やヴィータちゃん…そして、ティアナにエリオ、それにキャロもスバルの漏らした声とどうやら同じ意見のようで無言のまま返す言葉を失っていた。
「これが、紅蓮の跳ね馬の実力ってヤツさ」
私達の無言の空気を切り裂くかのようにヴァイス君がスバルに声をかけた。
「紅蓮の跳ね馬?」
「ユウの二つ名さ。あいつ昔、内戦地域に借り出されたことがあってな。その時ついた二つ名が「紅蓮の跳ね馬」…」
ヴァイス君の声にそれが誰を指すのか聞き返すスバル。
その声を聞いたヴァイス君は紅蓮の跳ね馬がユウ君の二つ名である事。
そして、彼が内戦地域に借り出されていることを告げた。
「内戦地域にだと!そんな事、地上本部が今までやってなかったし、それに、そんな経歴自体ヤツにはなかったぞ!」
ヴァイス君の言葉にヴィータちゃんがそんな経歴が彼になかったことを旨を伝え声を上げる。
「ええ。経歴上はそんな記載は一切ありませんし表沙汰にもなっていません。ただ、ヤツが地上本部の武装隊に配属されたのって…。その時確か、その部隊の中から志願兵を募って内戦地域に兵を送って、その地域の武装組織を殲滅するって言う極秘作戦が進行していましてね?そんで、それを聞いたユウのヤツ…その作戦に志願しちまったんですよ…。
誰にも相談せずに自分で決めてね?
それでその志願したことが切欠で武装隊に移動する事になったんですよ。そして、武装隊に移動してすぐに内戦地域に送られる事になって、1年程内戦地域に行ってたんです。
その時、ヤツの活躍ぶりを見てついた二つ名が「紅蓮の跳ね馬」なんです。
でも、そんな事ミツキ達が気づいたらさせるはずもなかったんですが、その時ちょうどミツキが大ケガして入院等…なんか色々と大変だったらしくて、あいつがその時の事で色々と思いつめている事とか…内戦地域に移動する事自体、ミツキもナカジマ三佐も気が付く事が出来なかったらしいんですよ」
そっか…道理で、彼があの年齢であそこまでの戦闘がこなせるのか…。
そもそもあれ程の戦闘をこなせるともなれば、余程の実戦経験…それも短期間でかなりハードな経験が必要だとは思ってはいたんだけど…それがまさか内戦地域に行っての経験だったなんて…。
管理局が管理する世界ではあるけど実際の話その全てを管理局が管理出来ている訳ではない。
今だその一部の地域で管理局とその地元の武装組織の間で小競り合いが続いている。
その小競り合いをしている地域を私達は総称して内戦地域と呼んでいる。
私は、内戦地域には行った事がなくてこれは教導隊の人から聞いた話になるんだけど、内戦地域では、非殺傷設定を使わない戦闘…つまり、私達の生まれ育った地球で起こっている戦争や紛争と同じく殺傷設定の魔法や質量兵器を使って戦っているみたい。
そして、その事自体は公にはそのままの形では公表されず、
「戦闘での死者は相手側には出ておらずこちら側の死者は武装組織が持つ質量兵器によるものだ」
と言った形で相手側には死者が出ていないことを強調された上でその真実を捻じ曲げられた形として公表されている。
これは上の人達が言っている事で私達やはやてちゃんの立場でもこの事について文句を言う事が出来ないでいる。
はやてちゃんの話では、少将の立場でもあるミツキさんでも私達と同じらしい。
話を戻して、ヴァイス君の話にみんな表示される画面そっちのけで驚きの表情を浮かべる…でも、スバルみんなとなんだか違った表情をしていた…。
一体どうしたんだろ?スバル?
スバル視点
ヴァイス陸曹の話に私は、空港火災に巻き込まれた頃のことを思い出していた。
その時…ミツ姉が大怪我して入院していて私とギン姉の二人で父さんのことろに遊び行くって事になって…そして、私とギン姉は、その火災に巻き込まれて私がなのは隊長にギン姉がフェイト隊長に助けてもらった。
その時ユウ兄は、ギン姉より1年先に管理局に入局していて…その時確か、整備兵としてミッドから離れた場所で働いてたはずなんだけど…。
「そういやあいつ…整備士のくせしてよく武装隊の訓練にも参加してたなぁ~。ヤツが呼ばれたのってその辺の理由か?」
「まぁ、詳しい詳細についてはわかりませんが…そんな所ですかね」
私が考え事をしている内にシゲさんがヴァイス陸曹に話かけていた。
その話にヴァイス陸曹はシゲさんの問いかけに曖昧な返事をしていた。
「シゲさん。アイツの事知ってたんですか?」
シゲさんの声にティアがユウ兄との関係をシゲさんに聞いた。
「知り合いって程でもねぇが、俺は、昔よくミツキちゃんと一緒に仕事をしていてな。その時にミツキちゃんによくユウがくっ付いてきてたんだよ。でもまぁ、そん時あいつとは話すことすらなかったんだが。ユウはミツキちゃんにくっ付いてきては、整備するのはそこそこにその部隊の武装隊の連中と訓練ばかりやっていたよ。ミツキちゃんの心配をよそにな?」
シゲさんの話を聞いた私達は「へぇ~」と言う声を出すしかなかった。
「なんだ、スバルにティアナは知らなかったのか?」
その声を聞いたシゲさんは、私とティアにその事を知らなかった事を聞いてきた。
「はい。ユウとは、スバルと訓練校でスバルと同じ部屋になってからの付き合いですから…その頃のことは…」
シゲさんの問いにティアはユウ兄との関係について困惑の表情で答えていた。
「んで、スバルは?」
ティアの答えを聞いたヴァイス陸曹が今度は私に答えを聞いてきた。
「私は…空港火災に会うまで魔法や管理局に入る事なんて考えてもいなかったし…それにユウ兄もミツ姉も仕事の事をウチで話してなかったんで…それで…」
その頃の私って…自分の力が怖くって…ただ泣いているばかりだった。
そして、ユウ兄達が仕事のことを話す事を嫌がっていた…。
そんな私を見て父さんを含めたみんなが私に気を使ってくれて、家で仕事の話をする事を極力控えてくれていた。
「そっか…なら知らなくて当然だね」
俯いたまま答えた私になのは隊長がやさしく声をかけてくれた。
でも…そんな事があったなんて…私は、正直その時の事を後悔していた…。
もし、私がそんなわがままを言っていなければ…ユウ兄がそんな所に行く事を父さんやミツ姉、それにギン姉やノアがユウ兄の事に気が付いてユウ兄が内戦地域に行くなんて事…止められたかもしれないのに…。
「まっ、とりあえず今は、ユウのヤツを応援しましょ!それであいつが帰ってきたら色々と話すればいい事だし。その時は私も手伝うわよ」
「そうですよ!スバルさん!!その時僕も手伝います!だから今は」
「スバルさん…一緒に応援しましょ!!」
私が気落ちしているのを見かねたティアが、今はユウ兄を応援することを優先させ戻ってきたらいろいろ聞いた方が良い事、そして、ユウ兄が帰って来たら色々と話をすれば良いしその時は手伝ってくれるって言ってくれた。
その言葉にエリオとキャロが続く。
「そうだね!ありがと!ティア!エリオ!キャロ!」
「そんな…お礼を言われるほどでは…」
「そうですよ!僕等もユウさんには聞きたい事が山ほどあるんですから」
「ほら!さっさと応援するわよ!スバル!」
みんなの声に私はその意見に同意し頭の中を切り替えてユウ兄を応援する事にした。
そして、ティア達にお礼を言う。
私の声にキャロ、エリオ、ティアの順で笑顔でそれに答えてくれた。
よ~し!!まずはみんなで応援だ!!
頑張れ!!ユウ兄!!
ミッド海上
ユウ視点
「くらえ!かまいたち!」
俺は、右手に持った紅を黒いガジェットに向かって振り下ろす。
すると振り下ろした所に紅色の「>」の形をした風の刃が形成され黒いガジェットに向かって襲い掛かる。
ガジェットは、その攻撃を交わそうとするがその間に合わずかまいたちによって真っ二つに切り裂かれる。
ドカーーーーン!!
<ロングアーチ04これで32機目撃墜!!これでライトニング02も32と再び撃墜数を同点に追いついたーー!!>
通信から聞こえるアルトの声。
どうやら、シグナム副隊長との撃墜数はちょうど同じらしい。という事は、残り7機…。
現在、俺とシグナム副隊長の2人で残り7機となった黒いガジェットと交戦を続けている。
撃墜数は、通信から確認する限り共に32機。
最初は、黒いガジェットにシグナム副隊長が苦戦してくれる事を願ったんだがどうやらヤツには関係ないらしい。
ガジェット同様に問題なく倒しているよ。
まったく…あの戦闘狂が…。
ビシュ!!
おっと!考え事をしていた俺に新たな黒いガジェットがビームによる攻撃をしてきた。
「んりゃろ!!バリアブル・シュート!!」
俺はそれをひらりとそれを交わしすかさずゲイル・ファング(以降ゲイル)を相手に向けバリアブル・シュートを発射。
ドカーーン!!
黒いガジェットは紅色の魔法弾をもろに食らって大破した。
これで撃墜数33機目っと。
俺とシグナムはミッドの海上で共に飛行魔法を使って空を飛びながら黒いガジェットと交戦している。
そもそも黒いガジェットと普通のガジェットとどう違うかと言えば、性能自体は大して変わりはしない。
だが、黒いガジェットの方は魔導士相手に作られたと言うことだ。
なぜかと言えば、まずこいつは魔法探査に一切ひっかからないと言った点。
それがどうしてなのかは、今姉貴達が調べているが魔法探査にひっかからないって事は、どこに現れるのかわからないってことだしこっちから発見できないってことだ。
それにこの黒いガジェット…。
魔法攻撃がくると瞬時にAMFの濃度をあげて魔法を解除しちまうんだ。
つまり、こいつに対してはAMFの濃度が上がる前に魔法をぶち込むか魔法とは関係ない武器などで攻撃するかもしくは、そんなの関係なしで協力な魔法で撃墜するってところだ。
まっ、魔法を使って別なものに効果を加えて攻撃したり魔法を何かに変換してそれで攻撃するって手もあるが今いるのが海上のためそれはほぼ不可能…けど、海の水を使ってって手はあるがそんな魔法持ってないし、俺には魔力の性質変換なんて能力はないからな。
つまり、普通の魔法しかもっていないヤツにとってはかなりやっかいな相手だってことだ。
<ライトニング02!!これで34機目撃墜!!これで34対33!!ライトニング02が1機のリード!!これで残りは3機!こら~!ユウ!!サボるな~!!>
通信からシグナム副隊長が一気に3機の黒いガジェットを撃墜し残り3機というアルトの実況と俺に対して怒りの声が聞こえてきた。
「おっと…こりゃいかんな…」
俺は、思考を止め黒いガジェットを目視で探す。
「おっ…いたいた」
俺が発見したと同時に向こうも気づいたらしく3機の黒いガジェットが攻撃を仕掛けてきた。
ビシュ!ビシュ!ビシュ!
その攻撃をかわしつつ相手との距離を開ける。
3機の黒いガジェットは連携をとりつつ俺に近づいてくる。
これも普通のガジェットとの違いだな。普通のガジェットは連携なんてしないからな。
だが!!それが命取りだ!!って…あれ?
「ハァ~ーーーー!!」
スカッ!!
「くそ!!外した!!」
俺が黒いガジェットと距離を開けて攻撃のタイミングを図っていたらシグナム副隊長が一気にケリをつけるべく連携し纏まっていた黒いガジェットにレヴァンティンで攻撃を仕掛けてきた。
だが、それに気づいたヤツ等はその攻撃をそこから散開しシグナム副隊長の攻撃を回避。
攻撃を交わされたシグナム副隊長は、悔しいがり声を上げすぐにあたりを見渡す。
「くっ…しまった」
散開した黒いガジェットは、すぐさまシグナム副隊長を囲むように展開しすぐに攻撃態勢に入る。
それに気づいたシグナム副隊長は、声をあげる。
そして、黒いガジェットが一斉攻撃を加えようとした瞬間…
ドゴーーン!!×3
「いったいなんだ?ユウか?」
「その通りですよ、シグナム副隊長。これで俺の勝ち!」
「お前…一体何をした?」
疑問顔のシグナム副隊長。
俺が何をしたかと言えば、シグナム副隊長が囲まれた時にやつ等から少し離れた場所にいた俺は、やつ等がシグナム副隊長に気が向いてる隙に一気にやつ等に近づいて、バリアブル・シュートと紅での斬撃、それにかまいたちでこいつ等を撃墜したって訳。
「つまり…私をオトリにしたと言う訳か」
「そういうつもりはありませんでしたが、結果的にはそうなってしまいましたね。いや~オトリご苦労様でした(笑)ってあれ?どうかしましたか?シグナム副隊長?」
俺はゲイルと紅をヒップホルスターと鞘にそれぞれに収め、頭をポリポリ右手でかきながらどうやってやつ等を倒したか説明した。
それを聞いたシグナム副隊長は、俯きそしてプルプル肩を振るわせながら俺の話を聞いていた。
その様子に気づいた俺は、シグナム副隊長に疑問の声をかける。
「貴様ぁ~ーーーーー!!!」
どうやら俺の説明に怒りを感じたらしく怒りの声を上げる。
そして、シグナム副隊長の周りには、怒りのオーラが広がりその表情はもちろん怒りに満ちて目なんかもう血走っていたよ。こりゃ、まずい…。
「やべぇ!!逃げろ!!」
それに気づいた俺はすぐに逃げる。
「貴様ぁ!!逃げるな!!今すぐそこに直れ!!レヴァンティンの錆にしてやる!!」
シグナム副隊長は俺が逃げ出したことにさらに怒りましたらしくレヴァンティンを振りかざしながら、俺を追いかけてくる。
「やなこった!これで俺の勝ちだからもう模擬戦なんか誘ってくるなよ!この戦闘狂!!」
「うるさい!!私をオトリに使って勝利を得るなど…騎士道に反している!!こんな結果認められるか!!」
俺はシグナム副隊長から逃げつつ後ろを見る。
そして、この勝負をする時に決めた俺が勝ったら模擬戦には誘わない事をシグナム副隊長に確認させるため声をかける。
だが、シグナム副隊長は俺の勝ち方に納得がいかないらしくこの結果は認められないとのこと。
「騎士道なんて知るかよ!!やり方はどうあれ撃墜数では俺があんたを上回っているんだ。俺の勝ちだぜ!と言う事で約束は約束だ!!ちゃんと守れよ!!戦闘狂!!」
そんなシグナム話を聞きつつその話に反論しながら逃げまわる俺。
だれか~!!この戦闘狂、なんとかしてくれ~!!
機動六課隊舎内 ロングアーチ
はやて視点
<逃げるな!!待てぇ~!!>
<やなこった!!>
ウチ等が見つめる画面からは、戦闘が無事に終わった後シグナムがユウを追いまわしている映像が表示されている。
ちなみに上の会話順は、最初がシグナムで次がユウや。
「部隊長…どうしましょう?これ?」
アルトが画面を指差しどうしたらいいのかウチに相談してくる。
「そやね。結果としては、ユウの勝ちやけどあの勝ち方じゃシグナムは納得せえへんやろうな。けど、結果は結果やユウの勝ちや。シグナムにはまた別の機会にユウと模擬戦が出来るようにウチが色々と考えるからとりあえず今は我慢してな。それとヴァイス君にヘリで迎えに行って貰うよう頼めるか?アルト」
「了解しました」
ウチの結論を聞いたアルトはすぐにヴァイス君に連絡を取る。
「ユウとシグナムもそれでええな?」
そして、その結論をユウとシグナムにも伝えそれでいいのか確認をとる。
「わかりました。主はやて」
「了解。とりあえず早く迎えに来るようヴァイスに伝えてください」
「了解や。それならもう追いかけっこもしまいや」
「わかりました」
「助かったぁ~狸…もとい!部隊長ありがとうございます」
通信を聞いたシグナムとユウは、ウチの結論に2人共同意をし追いかけっこが終了した。
それと、ユウから早く迎えを寄越すよう注文が入る。
そのユウの注文をウチは了承する。
「それとユウ今なんかへんな事言ってなかったか?」
「い~え!!そ…そんなことありませんよ!八神部隊長様」
「そうか…ならええんやけど…ほならヘリが行くまで二人とも待っとってな」
「「了解」」
プツン。
通信を終えたウチはフゥ~とため息をし、自分にかけていた緊張感をといていく。
「どうしてそれを言っちゃうんですか!!ヴァイス陸曹!」
ウチが座っている椅子の背もたれにもたれかかったのとちょうどその時ヴァイス君と通信を取っていたはずのアルトが自分の席から立ち上がり大きな声をあげてた。
いったいなんや?何があったん?アルト?
機動六課屋上ぺリポート
ユウ視点
「なんでそんな事になってるんですか?シャーリーさん?」
ガジェット撃墜の任務を終えてヴァイスが操縦するヘリで無事に機動六課に帰ってきた俺を待っていたのは、「参った参った」と言う困惑顔のシャーリーさんだった。
ヘリから降りてくるなり、シャーリーさんにつかまり俺の過去のことでなんかあったらしいとだけ伝えてきた。
なぜ?そんな事になったのか?シャーリーさんに聞いてみた所、帰ってきたのが…
「ユウ君の戦闘シーンを見ていたなのは隊長たちが、なんであんな戦闘が出来るのかってどうやら疑問に思ったらしく…。その疑問にヴァイス陸曹が調子に乗って話ちゃったらしいのよ?ユウ君が内戦地域にいっていたってね。それで、それがアルトにバレて…それでヴァイス陸曹に怒ったのよ」
ズリズリズリ…
「それが、なのは隊長達に聞こえたってことですか?」
「スバル達にもね。それで、詳しく事情を話せって事になっちゃったのよ」
シャーリーさんの話に俺が、それに憶測を付け加えて話を返す。そして、俺の話にシャーリーさんがさらに話を追加する。
「ねぇ?いい加減自分で歩いてくれない?引きずっているのも結構つかれるのよ」
大体の事情を把握したところでシャーリーさんが自分で歩けと言ってきた。
ちなみに今の会話って、シャーリーさんが俺の襟首つかんで引きずりながら会話してたんだよ。
「へぇ~い…」
俺は引きずられる体勢から立ち上がりシャーリーさんの横を歩く。
そして、会議室に入った俺を待っていたのが、なのは隊長を始めとするFW一同としょんぼりしているアルトと八神部隊長だった。
「八神部隊長…全員そろったみたいなんでそろそろ…」
俺とシャーリーさんそして、シグナム副隊長…それぞれ席についた所でなのは隊長が話を始めるよう八神部隊長に促す。
「いや…あと2人…もうちょっとしたら、来るから待っといてくれへんか?」
「あと2人って…いったい…」
八神部隊長の話に疑問の声を上げる。ティアナ。
プシュー。
「ごめん、ごめん。遅れちゃって」
「わりい!遅れちまった」
「ミツ姉?それに…ノア?」
開いたドアから入ってきたのは、姉貴とノアだった。
会議室に入ってきた二人は、遅れたことを詫び二人が入ってきたことに驚きの表情の俺たち…そして、その驚きを声にだすスバル。
「いんや、こっちもちょうど今全員そろったところやから問題ないで」
「そう?よかった」
「あの~八神部隊長?今回の件についてどうしてミツキさんとノアがわざわざ六課に…」
「それはな、ティアナ」
「詳しく説明するなら、はやてやアルトだけじゃ説明不足な部分があるのよ?だから、そういう話になったら呼んでくれって、事前にはやてに頼んでおいたの。そうでもしないとユウの事だから説明しないで曖昧にするだろうから帰ってギクシャクしちゃいそうだからね?」
ティアナの質問に部隊長が、いいかけたのをまるで征するかのように姉貴がティアナに答えた。
「ちぇ…先読みされていたか…」
「だてにお姉ちゃんやっていませんよ」
姉貴の答えに舌打ちをしながら愚痴る俺。
それを見て、エッヘンと胸を張りながら俺の愚痴に答える姉貴…それにしてもそんなに洗濯板を強調しなくても…。
ガン!!!
「いっつぅ~」
俺がそんな姉貴をみながら考え事をしていた所に飛んできた姉貴の拳骨。
「なんか言った?」
「イイエ、ナンデモアリマセン」
ギロリ!といった表情で俺を睨みつける姉貴。
それに対しなんでもない旨を告げる、俺。
ったく…その先読みのすごさは相変わらずってか…
とかなんとか考えていると部隊長が話しを始めた。
なにかと言えばそれは、当然俺の過去の出来事。
まっ…どっから話をしたかと言えば今から約4年くらい前…。
つまり、スバル達が空港火災の巻き込まれるおよそ3ヶ月前…。そう…姉貴が大怪我したあの時からだ…。