魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~   作:左近 遼

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クラナガン市外 ファントムナイツ隊舎内格納庫


楓視点

「嘘…でしょ?(いや、事実だ)ねぇ?…嘘でしょ?(あちらの世界まで行って、確認してきた。紛れもない事実だ)嘘だと言ってよ!!大地!!」

(いいかげん!!事実は、事実と認めろよ!!お前んとこの上司にも、もう何回も確認してきたんだろ!?それに、今姉貴がいる時代の未来の管理局からもすでに次元犯罪者として指名手配されているしちゃんとした裏づけもとれている!!証拠もだ!!)

「う…うん…。で…でも…」

ファントムの格納庫でここにある次元航行艦「ひなぎく」の整備と改造をしていた私は、大地からの連絡を受けその作業を一時中断。倉庫の隅へと移動した私は、彼から告げられた残酷な事実を聞き周囲の事など関係なく大声をあげていた。

それを聞いた大地もまた…それに呼応するかのように声を荒げそれに反論。でも、彼が告げるその数々の事実を聞き私は反論出来なくなっていた。

(ったく…。まぁ、今すぐにも、自分であの時代に行ってあいつを止めたい気持ちはよくわかる。だが、今は、そこにいろ。まだ、誰かにただ利用されていると言う可能性が残ってはいるが…。あいつは…ユアは、俺がいるこの時代にはあれ以来…一度もこの時代には戻って来てはいない。それに、畢からの情報によると…次に現れるのは、今姉貴がいるその時代。そして…)

「狙われるのは、この時代のティアナさん。(そういう事だ)それにしても、やっぱり止められなかったんだ…。畢ちゃん?」

しょんぼりしていた私に対し大地は、自身の苛立ちを押さえながら落ち着いた口調で話を続ける。それを聞いた私は、私達とは違う時代にいる友人…南光太郎さんとその世界のスバルさんの娘…畢ちゃんが今回の事に関わっている事。そして、彼女の目論見が失敗している事を大地に確認する。

(ああ…。何度言い争っても話は、平行線のまま…。だからと言って、拳で語り合おうとしてもあいつは「そのパターンには乗らない」とそれには応じない。ただでさえ、話し合う事が苦手な畢が、拳で語り合う事を封じられたらもう何も出来なくなっちまうからな?特に、畢を含めた俺達の場合?(まぁね?)まったく…鳶が鷹を生むとはよくいったが、とんでもないのを産んだもんだ?ユウとアルトは?)

「うん…。天才だよ…あの子は。だって、ユウさんとアルトさん…ユアちゃんが赤ん坊の時によく言っていたもん。あの子は、ミツキさんを超える天才だって…」

私の話に大地は、畢から聞いた話を要約した内容を告げその後やれやれといった様子でボヤき始めた。それに対し私は、当時の2人の様子を思い出しながらその話に付き合う。

(ただの親バカなだけなんじゃないか?)

「でも、その親バカが事実になっている」

(それは!!どっかのバカが、そんな親バカ夫婦にそそのかされてあれこれ教えた挙句の結果だろうが!!)

「だってぇ~。あの時代には、もうミツキさんはいなかったし~それにユアちゃんにミツキさんの事を話したらとっても喜んでくれていたし…。それに…ツバサちゃんやツバキちゃんも協力してくれてミツキさんに関しての情報とか色々教えてくれたし…それに…」

(だぁああああ!!とにかくだ!!姉貴は、このままこの時代に残って…。(大兄ぃ!!ごめん!!あのね?…)なんだって!!ツバサが病院を抜け出しただと!!(ごめん!!俺がトイレに行っているスキに…)あんのバカ!!医者の方から絶対安静と言われて…ったく!!どいつもこいつも…。飛鳥(D)!!お前は、畢に連絡を取って今すぐツバサを追え!!(わかった!!でも、ツバキの方には?)俺の方からツバキ本人に話をしておく!!だから早く行け!!俺も後から行く!!(わかった)と、いう訳だ!!姉貴は、ヤツを止めろ!!俺は、飛鳥(D)と一緒にツバサを追う!!いいな!!(ブツン!!))

ツーツーツー…。

私の話を落ち着いた様子で聞いていた大地は、あれこれ言い訳をしだしたため再び怒りを露にする。そんな時だった。大地の元に新田飛鳥君が、血相を変えた表情で彼に近づき緊急事態が起きた事を告げる。それを聞いた大地は、慌てた様子で飛鳥君に指示を与えそして、一方的にこれからの事を話しその通信終了させた。

私の目の前には、「通信終了」と表示された画面だけが残っていた。

「まったく、相変わらず…。でも、頼むよ?大地…。それじゃ、私も行きますか!!」

表示されたままの画面を見ていた私は、そうボヤいた後…その画面の向こうにいるであろう頼りになる弟に対しそう声をかけ自身の行動を開始…するハズだったんだけど…。

「いったいどこに行こうって言うのかな?楓さん?」

「ええっと…。ミツキさん?一体どうされたんですか?そんな怒った顔して?」

私が、格納庫の出入り口へと移動を始めた所…。私のとなりには、怒った様子のミツキさんがいつの間にか立っていた。

そんな彼女に私が、声をかけた所…。

「そりゃ、格納庫に来て見たら楓さんと通信していた大地君と新田飛鳥君にウチの娘が迷惑をかけているみたいだからね?詳しく事情でも聞こうかな?と…」

「い…いやっ!!大地の話は、この時代のツバサちゃんではなく…」

どうやら、さっきの大地の通信をミツキさんが聞いていたらしく…。その事情を聞くためとの事。

ま…まずい…。この世界で、一番この話を聞かれちゃいけない人の中の1人であり…。こういった事に巻き込んじゃいけない人に聞かれてしまった。

でもなんでそうか言うと…。ユン先生直々に私やお爺ちゃん達の所へ来てこう言ってたんです。

「いいかい?今のミツキに戦闘行為をさせるな!!ようやく有効な治療法が見つかったんだ。だから、治療が開始され前に戦闘でもしてケガとかされたら困るんだ。だから…もし、あいつを巻き込んでそれが元で戦闘でもする事になったら…。いったいどうなるのか…わかっているんだろうね?(怒)」と…。

ちなみに、この話を聞いたウチのはやてさんにお爺ちゃんのお母さん…。さらには、ノルウェール一等空将もそれを了承。

だからもし…この事にミツキさんを巻き込んで、戦闘でもされたものなら…私の命が…。

「へぇ~…。という事は、未来のウチの娘が迷惑をかけているのね?(えっ!?(し…しまった!!ミツキさんの誘導尋問にひっかかった!!)…ええっと…その…)それじゃ、もっと詳しく話を聞かなきゃ?さっ?こっちで話を聞かせてもらえる?」

「ってぇ!!私の意見は完全に無視ですかぁ!!(大丈夫よ?カツ丼を何杯でも出してあげるから?)ちょっと、なんで行き先が取り調べ室になってるんですかぁ!!(その方が話しやすいでしょ?)私は、犯罪者ですかぁ!!!!」

ミツキさんの誘導尋問におもいっきり引っかかってしまったその場からなんとか逃れようとした。でも、ミツキさんがそんな事を許すハズもなく…。私は、ミツキさんに耳を引っ張られながら取調室へと連行される事となった。

無論、私の意見など…。聞かれる事などないまま…。


「魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~最終話「明日への扉(前編)」始まります」



最終話「明日への扉(前編)」

魔法少女リリカルなのはStrikers~影の守護者~再戦~最終話「明日への扉(前編)」

 

 

クラナガン市街地内 中心部

 

 

スバル視点

 

「よぉ~し!!これで、巡回任務終わり!!ねぇ?ティア?六課に帰る前に…ちょっと、寄り道してもいい?」

 

「ダメよ。あんたの事だから、この周辺にあるアイス屋めぐりでもするつもりでしょ?そんな事始めたらいくら時間があっても足りないでしょ?さっさと六課に帰るわよ?」

 

「(ぎ…ギクゥ!!)ど…どうしてそんな事すると思ったの?」

 

クラナガンでの巡回任務を終えたスバルは、一緒に任務をこなしていた私に対し六課に帰る前に寄り道をしていかないか?提案してきた。

 

でも、スバルがどこに寄り道をしていきたいのか?を既に察していた私は、その提案を即座に却下。その理由を聞いてきたスバルに対し彼女の目論見を論破してみせた。

 

「あんた…。巡回中にアイス屋の横を通る度に涎を必死に押さえていたからね?そこから推察すれば答えは自ずと出てくるわよ?」

 

「もう!!ミツ姉みたいな事言わないでよ!!」

 

驚くスバルに対し私は、どうしてそれに気づいたのかその訳とそれにいたった彼女の行動について説明。それを聞いたスバルは、声を荒げていた。

 

「私なんてまだまだよ。でも、これから執務官補佐の資格試験に合格して…フェイト隊長の所で経験を積んで…その合間合間にミツキさんの所に行ってその知識を学ぶ。そして、いずれは…ミツキさんを…」

 

「お~お~。ティアは、やる気満々だぁ。だったら、ツバキちゃんには、感謝しなきゃ。そもそもこの方法を考えてくれたのは、あの子だからねぇ?」

 

「ツバキだけじゃないでしょ?この方法を認めてくれたクロノ提督やリンディ統括官。フェイト隊長にミツキさん。それに、この方法を認めさせるために奔走してくれたあんたや部隊長…それにアルト達にもね?」

 

私の話に対しスバルは、笑顔でそれに答えそれを聞いた私も笑顔でそれに答える。

 

「…やっぱり…その中には、ユウ兄は入っていないんだ」

 

「一応…感謝は、するけどお礼はいわないわよ。なんだかんだ言って、あいつの思惑通りになったんだから」

 

「…だよね…」

 

スバルは、私の話の中にユウが入っていない事に疑問を覚えた様子で話を続ける。

 

彼女の話に対し私は、なぜユウをその中に入れなかったのかその訳を話す。そして、それを聞いたスバルもその話に同意してくれた。

 

そんな時だった…。

 

「よけるのだ!!!お姉ちゃん達!!!」

 

「な…ナニッ!?」

 

「ティア!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――ッ!!

 

突然、女の子の声が聞えたと思ったらスバルが私を突き飛ばした。

 

私が、地面に倒れ込んだその直後…私が元いた所に大きな「<」の形をした赤黒い魔法が飛んできてそこにあった建物を破壊。周囲には、それにより発生した土煙と爆発音が響き渡っていた。

 

「ティア!!大丈夫!?」

 

「ええ…。でも、今の…」

 

「ユウ兄のかまいたち…」

 

土煙がようやく晴れた頃、スバルが私の元へと駆け寄ってきてその安否を確認してきた。

 

スバルの問いかけに私は、問題ない事を確認した上でそれに答える。その後、今私を狙ってきたその魔法についてスバルと話始めた。

 

「やっぱり…。今の魔法は、あいつの…」

 

「でも、ユウ兄がそんな事する訳が…」

 

スバルと同じ意見だと結論づけた私は、なぜ?そんな事になったのかその訳を模索し始める。それに対しスバルは、ユウが私を狙う理由がそもそもない事上げるも、それ以外の可能性もまだ見つかっていない事から疑問の声をあげる。

 

「どっちにしろまずは、この事を六課に報告して以後の指示を仰がなきゃ。ついでにあいつのアリバイも確認してもらった上でね?」

 

「うん。わかった」

 

そんなスバルの様子を見た私は、その思考を一時中断しとりあえず今の私達が出来る事を上げ行動を開始するよう告げる。私のそんな話を聞いたスバルは、二つ返事でそれに答え私達はその行動を開始した。

 

 

 

それから、それから…。

 

 

 

クラナガン市街 機動六課隊舎内 部隊長室

 

 

はやて視点

 

「はぁ?俺が、お前を狙っただと?」

 

「そうよ!!スバルも一緒にみたんだから!!あんたのかまいたちを!!そうでしょ?スバル!?」

 

「う…うん…」

 

「まぁまぁ…。ちょっと落ち着くんやティアナ?ユウのアリバイについては、こっちで既に確認済み。ユウは、白や」

 

「で…ですが…」

 

事件処理を終えたティアナとスバルは、何のケガもなく六課へと無事帰還。

 

その報告を受けたウチは、スバルとティアナ。それにユウと…そのアリバイを証明しているアルトとシゲさん。それに、今後の対応の協議するために呼んだグリフィス君になのはちゃん。フェイトちゃんにシャーリーと共に部隊長室でその話を聞いていた。

 

一連のやり取りを終えた後、ティアナは、ユウに対しその怒りを露にする。さらに、それを見たのが自分だけではないとスバルにも同意を求めていた。

 

自分には、関係ないと声を上げるユウといまだ信じられないといった様子でティアナの話に同意するスバル。

 

そんな2人のやり取りにこのままではタダの水掛け論になると感じたウチは、そのやり取りに割って入りユウは関係ないとティアナに説明。

 

でも、ティアナはそれに納得してはいない様子。

 

「とりあえず、現場検証の結果と現状を報告してくれへんか?シャーリー?」

 

「あっ、はい。現場検証の結果、周囲の監視カメラの映像からティアナを攻撃したその魔法は、ユウ君が使っているかまいたちと判明。現場に残っていた魔力からも、ユウ君に酷似した魔力が発見されました。(ほらね?)ですが、アルトとシゲさんの証言と六課の監視カメラの映像。それにここから現場までの移動距離とその時間を計算するとおおよそユウ君では犯行に及ぶ事が出来ないとがわかりました。(でも、ユウが監視カメラをいじってその映像を消した上で現場まで飛行魔法とかを使ったら…)それでも、ダメなの。(いったいどういう事なんですか?シャーリーさん?)確かに、ユウ君だったらティアナが言っていた通りの事が可能なんだけど…。犯行時間…ユウ君は、ここにいて部隊長とシゲさん、それにアルトと一緒に六課のシステムについて話をしていたの?それに私もここにいたしティアナからの報告の時だって彼はここにいた。もちろん、ここについても色々と調べてみたけど…。その結果、ユウ君が幻術を使っていた反応は一切なかったし部隊長もそのような素振りはなかったと証言しているわ。そうですよね?部隊長?」

 

「そうや」

 

そんなティアナの様子に対しウチは、話を進めようとシャーリーに現場検証やら現状の報告を指示。

 

シャーリーは、現場からの報告でユウが犯人だと言う証拠が上がっている事をまずは説明。

 

それを聞いたティアナは、となりにいたユウに対し「ほらね?」その態度を露にしそれを見たユウは、ムスッと様子。

 

次にシャーリーが、報告したのは、さっきとは間逆の内容…つまりユウは犯人ではないとの報告。それに対しティアナが、反論。でも、シャーリーは、ティアナが言ったその可能性が不可能であるその訳とその証拠を次々と提示。さらに、その場にいたウチにも確認を取ってきた。

 

「それと、気になっているのは、この映像。(フェイト隊長?これは?)これは、現場付近の監視カメラにあった映像。ティアナを狙った犯人が映っているんだけど…。これ、よく見て。この映像に映っている犯人の顔」

 

「この顔…なんだかアルトに似ている…」

 

「わ…私ぃ!!!」

 

ウチが、シャーリーの問いかけに答えた後、今度は、フェイトちゃんが気になっているものとしてティアナを狙った犯人が魔法を放っている映像をみんなに見せた。

 

その映像に映っていた犯人は、フードとマントで全身を覆っていたため男か女かよくわからんかったけど…。でも、そいつが魔法を放ったその瞬間…一瞬やけど被っとったフードがずれそいつの顔が見えた。

 

フェイトちゃんが、その画面を静止画で表示させさらに顔が見え易いように映像をアップにした所…。そこに映っていたのは、赤茶色の髪の無造作ヘヤーにし顔がアルトに似た中性的な顔立ちをした子供であった。

 

映像を見たスバルは、その子の顔がアルトに似ている事をあげる一方…そう言われたアルト本人は、驚きの声をあげる。

 

「アルト…お前、まさか…。って、言うか、いつの間に魔法使えるようになったんだ?」

 

「んな訳ないでしょ!!」

 

その場にいた全員が、驚きを露にする中、ユウが冗談じみた顔をしながらアルトに声をかえる。それに対しアルトは、そんな訳ないと声を荒げユウにツッコミを入れる。

 

「まぁ、ユウが言った事は冗談として…。この映像から変身魔法とかを使った形跡は?」

 

「その周辺には、そのような形跡は無く…。残っていた足跡は、ユウ君のものとは違いました。それにこの人物の魔力ランクを測定した所…そのランクは、SS。通常のユウ君の魔力ランクは、Aランク…。ユウ君は、普段からミツキさんにリミッターをかけられていると言う話なので、それを自身で無理やり開放したとしても…。」

 

「ミツキが、先に気づく…という訳やな?(はい…)なるほど…と、言うわけで、とりあえず、この映像に映っている子が犯人って事や?これで納得してもらえるやろか?ティアナ?」

 

「はい、納得しました」

 

2人のやり取りを他所にウチは、そいつが変身魔法を使っていた形跡はないかをシャーリーに確認。すると、シャーリーは、その形跡も残っていなかった事…さらに、その現場に残っていた足跡からユウのものではない事をウチに報告。それを聞いたウチは、ティアナに対し納得したかどうかを確認。

 

どうやら、ティアナも完全にユウを疑っていた訳ではなかった様子で、ウチの話にホッとした様子でそれに答える。

 

「ですが、この犯人がユウじゃないとなると…。やっぱり変ですよ?なんせ、この犯人…アルトに似た顔をしてユウと似た魔力をもっている人物…。って事になるんですから?」

 

「それにユウのかまいたちを使える人物…。あんた等?隠し子でもおるんか?」

 

「「んな訳ないでしょ!!」」

 

ティアナにようやく納得してもらったと思った所、今度は、グリフィス君が疑問の声をあげる。

 

それを聞いたウチは、その意見に同意しつつも冗談めいた顔でユウとアルトに対しまずありえなそうな可能性について聞いて見た。

 

すると、ユウとアルトは、2人共顔を真っ赤にしながらその事を即座に否定しおったわ。

 

「…ユウが、変身魔法を使っている訳でも…ユウとアルトの隠し子でもない。と、なると…ユウとアルトの遺伝子を使った人造魔導士…もしくは…」

 

2人の全否定する様子を見たウチは、真剣な表情で自身の思考をめぐらせる。

 

ブツブツと小声でありとあらゆる可能性をツブやいていた所…。

 

「それについては、こっちで説明するわ」

 

「あ…姉貴!!(せ…先輩!!)(ミツキさん!!)(ミツ姉!!)」

 

ウチを含めたその場にいた全員が、各々その思考を巡らせていた所部隊長室のドアが開きその奥からミツキがそう言いながら部屋の奥へと入ってきた。

 

いきなりのミツキの登場で、驚くユウ、アルト、ティアナ、スバルはそれぞれの呼び方でミツキの事を呼ぶ。

 

「いったいどういう事や?ミツキ?」

 

「それについては、まず楓さんの話を聞いてから。さっ、楓さん?私に話した事をみんなにも話してあげて?」

 

「はい。わかりました」

 

部屋の奥へとやってきたミツキに対しウチは、今話していた内容とここに来た訳を聞いて見た。すると、ミツキは、ウチの話に返答するとドアの向こうにおった楓を呼び寄せみんなに話をするように声をかけていた。

 

ミツキの声に部屋に入ってきた楓は、はぁ~っと深いため息をつきながら彼女の声に答えウチ等に話始めた。

 

 

楓視点

 

「皆さん…。特にユウさんとアルトさん。それにティアナさん…驚かないで聞いてくださいね?」

 

「ああ…。(う…うん)」「わかったわ」

 

ミツキさんに促され部隊長室にある応接用ソファーに座った私は、全員の顔を見回し最後にユウさんとアルトさんの顔を見た上さらに驚かない前置きをした。

 

そんな私の様子に戸惑いを隠せないユウさんと息を呑むアルトさん。それに真剣な表情をするティアナさん。

 

3人の様子に私は、「これで、確実に大地に怒られる」と思いながら一息ついた後その重い口を開いた。

 

全ての始まりは、今から約10年後の未来のこの世界…。

 

ミッドからある次元世界へと向かっていた次元航行艦の中で起きました。

 

順調に予定航路を航行していたその艦が、暗礁空域に差し掛かった所突如その艦の後方部が爆発。その場で、待ち伏せをしていた海賊の襲撃を受けました。

 

当時の捜査資料によると…。その宙域には、当時…次元航行艦に乗るお金持ち等を狙った海賊団が存在。次元航行艦を襲っては、略奪行為を繰り返し抵抗する者は全て皆殺し。そして、最後には、その証拠隠滅のために襲った艦を爆発させて沈めていたそうです。捜査本部の当時の見解は、その海賊達による一連の犯行と断定。

 

そして、その艦には、籍こそ入れてはいませんでしたが事実上夫婦となり当時8歳の女の子を授かっていたユウさんとアルトさんと…。彼等とは、別に事件捜査のためその艦に乗っていた執務官となったティアナさんが乗っていました。

 

ユウさんとティアナさんは、協力して即座に応戦。でも、2人がいくら強いからと言っても多勢無勢。管理局からの応援も遅れ次第に2人は追い込まれていきました。

 

そして、戦闘の影響により火の手が上がりその艦のエンジンにもから脱出しようとしようとしていたその矢先…。

 

ユウさんは、アルトさんを庇い海賊からの攻撃を受けその場に倒れたそうです。

 

でも…当たり所が悪く自分にもう後が無い事を悟ったユウさんは、ティアナさんにアルトさんとその女の子を託しその場に残り3人の脱出を援護する事を選択。

 

彼のそんな選択に対し、アルトさん猛反対。結局、ティアナさんが強引に2人を連れて行く事で事なきを得ましたが…。その艦の脱出ポッドがある所についた時、ある問題が発生しました。

 

それは、正常に稼動する脱出ポッドが、今回の航路途中でテストを行うためにその艦に搭載されていた1人乗り用のもの1つしかなかった事。

 

艦に進入した海賊達は、乗員上客を逃がさないために事前にいくつもあった脱出ポッドを破壊。アルトさん達が見つけたポッドは、通常とは別の場所に置いてあったためその破壊から偶然にも免れていたそうです。

 

ティアナさんは、それを知り魔導士であり執務官でもある自分がこの場に残り他の脱出方法を探しアルトさんとその子が脱出ポッドに乗るよう彼女を説得。その時は、それで彼女も納得したそうです。

 

でも、実際に乗り込む際…まずはその女の子の乗せ…次にアルトさんが乗り込もうとした時…。突如アルトさんは、ティアナさんの手を掴み彼女を自分の変わりに脱出ポッドに乗せそのポッドのドアを閉めてしまったそうです。

 

ティアナさんは、その場に残ったアルトさんの操作により発射体制がとられる中そのポッドの中にあった通信機を使いアルトさんにそれを辞めさせるように何度も何度もいったそうです。

 

「あんたまでいなくなったらこの子は、どうなるのよ!!あんたこの子の母親でしょ!!」

 

と…。

 

ティアナさんの通信に対しアルトさんは、それには一切答えずに操作を続行したそうです。

 

そして、その脱出ポッドの発射体制が整った時…アルトさんがその通信を使い…最後にこう言ったそうです。

 

「…ごめん…。やっぱり私…ユウ1人を置いてはいけないや。これじゃ、母親失格だね…。この子の事をお願い…。バイバイ…ティアナ…」

 

その直後、脱出ポッドが発射されそれから数分後…ユウさんとアルトさん…それにティアナさんとその女の子以外の乗員上客全員。さらには、襲撃した海賊達を巻き込む形で次元航行艦が爆発し轟沈。

 

生き残りは、ティアナさんとその女の子の…2人だけだったそうです。

 

無事ミッドに旗艦したティアナさんは、本来ならミツキさんにその子を預ける所でしたが…。ミツキさんは、その事件が、起こる数年前に有効な治療法が見つからないまま体調が悪化したのが原因でこの世を去り…。それにより、ノアもこの世には存在出来なくなっていました。さらに、その養女であったツバサちゃんとツバキちゃんは、この時代の2人とは違い…。色々と問題行動を起していたため、刑期が延長。その時まだ、海上隔離施設で保護プログラムを受けている真っ最中であったため預ける事が出来ませんでした。

 

スバルさん達対しティアナさんは、自身が知る事実を捻じ曲げ「自分がユウさん達を見殺しにした」と説明したそうです。その事が原因で、スバルさん達機動六課の皆さんやファントムの皆さん共疎遠になってしまったそうです。それで、自分で預かろうにもアルトさんとユウさんを見殺ししたその罪悪感から引き取る事が出来ず…。結果的に、その子の後継人にもならず…その子を施設に預ける事にしたそうです。

 

そして、自分自身を責め続けたティアナさんは、その半年後に…突如行方不明となり…現時点でもその行方は、わかってはおらず…周囲の人たちは、その事を苦に自殺したのではないかと…。

 

ツバサちゃんとツバキちゃんが、ようやく隔離施設から出られるようになった頃にはその子も各所を転々としていたらしく…。その行方もつかめなかったそうです。もちろん、私や大地。それにユウさんとアルトさんが生きていた頃、その子と仲良くしていた新田飛鳥や畢ちゃんも時間が許す限り2人に協力して一緒に探しました。

 

でも、結局行方は知れず…。それから5年の月日が立ちました。

 

ずっと、その子の事を探し続けていたツバサちゃんとツバキちゃんの元にある事件の一方が入ってきたそうです。

 

事件は、5年前に起きた次元航行艦襲撃事件のその犯人だったその海賊団全員がその事件が起こる数年前に全員抹殺されたというもの。

 

それが、最初の事件。その後、その事件の関係者が最初の事件と同じようにその事件が起こる前に殺されるといった事件が多発。

 

ツバサちゃんとツバキちゃんは、その事件にあの子が関わっているかもしれないと思い捜査を開始。無論、私達もそれに協力しその犯人を割り出す事に成功しました。

 

でも、その結果は…私達が予期していた最悪の結果でした。

 

犯人は、その次元航行艦襲撃事件の最後の生き残りであり…ユウさんとアルトさんの娘さん…だったんです。そして、その時代の管理局もその子が、犯人だと断定。次元犯罪者として現在指名手配を行ってその行方を捜索しています。

 

それを知った私は、職場の上司に何度もかけあって確認してもらったんですけど…その結果は全て同じ。さらに、この時代の遠い未来の管理局にある「過去の時代への干渉や未来の人が過去で起す事件や事故等を管轄する部署」からもウチの部署に協力要請が来ていて…。

 

ツバサちゃんと畢ちゃんは、何度もその子に対し説得を試みました。でも、その全ては失敗に終わり…。その際、ツバサちゃんは、その子に重症を負わされ私が大地から連絡を受ける直前までその時代の病院に入院していたそうです。でも、ツバキちゃんと交代で看病をしていた新田飛鳥君が目を離したそのスキに病院を抜け出し現在行方知れず。

 

「現在、新田飛鳥君と大地がツバサちゃんを追ってくれていて…。畢ちゃんは、その子と行動を共にし説得を続けているそうです。大地からその連絡を受けた私は、その子を止めるために今この世界で受けている仕事を一時的にストップさせてもらっています。それで、その子がどうしてそんな事をしているのかはわかりませんが…おそらく…次に彼女が狙う…次のターゲットと言うのは…」

 

私の話が、ひと段落ついた頃…部隊長が今までの話をまとめようとその周囲を見まわしていた所、何かに気が付いた。

 

「ティアナって事やね?さて、大体の話は、聞けたやんけど…。あれ?なぁ?スバル?ティアナがおらんようやけど?」

 

「えっ!?嘘っ!!ティアがいない!!」

 

「部隊長!!ユウも…それに先輩もいません!!」

 

「なんやて!!なら、念話で…。くそっ!!誰もでぇへん!!」

 

部隊長の声を聞いたスバルさんとその場にいた全員が、その周囲を確認。

 

すると、いつの間にかティアナさんがいなくなっていた。さらに、アルトさんがユウさんとミツキさんがいない事を確認。即座に部隊長が、彼等に念話を試みるも誰もそれに応じず悔しさを露にする。

 

「さ…最悪だ…。だから、話したくなかったんですよ?特にミツキさん達には…」

 

「と、とりあえず!!アルトは、グリフィス君達と共に司令室へ!!機動部隊は、ユウとティアナ、それにミツキを探しながら犯人の潜伏先を捜索!!ウチは、ここに残って全体の指揮と楓に犯人の特徴とかもうちょい詳しい話を聞いてそれを随時みんなに知らせる!!行動開始!!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

周囲の状況に対し私は、頭を抱えその一方部隊長は、即座にその思考を切り替え各員に指示を飛ばしそれを聞いた彼等は即座にその行動を開始した。

 

「さて、話を再開しようか?まずは、その犯人…いや、ユウとアルトのその娘はいったいどんな子や?」

 

「名前は、ユア・クラエッタちゃん。さっきも説明しましたが、ユウさんとアルトさんは、籍を入れてなかったのでユアちゃんはアルトさんの姓を名乗っています。もちろん、ユウさんは、その子の事を認知しています。年齢は、現在13歳。魔力ランクは、SS。7歳の時に飛び級で、大学を卒業。その際、数々の発明や発見を行いそれにより博士号を3つも取得した…IQ300の超天才なんです。でも、普通ならそんな子を管理局が、ほっとく訳がないのですが…。その子の母親…アルトさんの「子供の頃は、おもいっきり遊んで、おもいっきり学ぶ」と言う教育方針により管理局に所属こそしていませんが、事件捜査にも協力し数々の難事件を解決に導いています。そもそも、例の次元航行艦に載ったのも管理局に協力して解決した事件のお祝いで旅行する事なって…。それで、その旅行先に向かう途中だったそうです」

 

「そっか…。でも、なんだか…その子?「リトルミツキ」やな?」

 

「ええ…。なんせ、ミツキさんがファントム・ナイツの総司令で姫って呼ばれていた事と彼女自身の明るい性格から…。ついた異名が「プリンセス・フェアリー」…ですし…。事件捜査をする際、ユアちゃんは、本名で捜査に協力はせず、コードネーム「ファントム」で活動。そして、彼女の事を手助けしていたその時代のティアナさんやギンガさん。それにユウさん達の事を総称して「ファントム・ナイツ」って呼ばれていました?まるで、今のミツキさんの周辺を再現するかのように?さらに、民間協力者である事がバレないよう生前ミツキさんが着ていた制服を身に纏い彼女が愛用していた眼鏡の中のひとつをユウさんからもらいうけそれをかけていたり、ミツキさんの髪形と同じカツラまで被ったり…。ユアちゃん自身が、ミツキさんになりきっているようでした。そんな彼女の状況も含めて部隊長が今言っていた「リトルミツキ」がぴったりな状況で…。実際な話…彼女の事をミツキさん同様「姫」呼んでいた子までいました。それに…本人は本人でその状況が、楽しかったのか?それを止めるどこかノリノリでしたから?もう誰も止められません…というか一緒になってその状況を楽しんでいました」

 

「なるほどな?でも、なんであの面倒くさがり屋とアルトの娘がそないな天才になったんや?ミツキが、おれへん事もかんがみても…普通…そうはならへんやろ?」

 

私の話を聞いた部隊長は、神妙な面持ちになった後。自身が、感じたその子の印象を話だしそしてその後、ユアちゃんがなぜそうなったのかその訳を聞いてきた。

 

「それは…」(困惑)

 

「なんや?なんだか言いづらそうやね?もし、言いたくなかったら言わへんでもいいけど…。(本当ですか!!)なんせ、あんたには、黙秘権って言うのがあるからな?(な…なんで、いつの間にか取調べになってるんですか?)それは、それや。あっ、そうやぁ!!そういえばこの間…組長から「いつでも入れ替わる事が出来る権」ちゅうのをもらっとるからそれを使って楓への取調べを変ってもらうか…。それとも、今から光太郎さんの世界に行ってそこにおるライダーティアナにでも取り調べをしてもらうかな?」

 

部隊長の問いかけに対し私は、その返答に困った様子を見せていた所それに対し部隊長は、一旦はそれを言わなくても言いとそれを聞いた私は喜びを露にする。

 

でも、それは一時の事…。私のそんな様子を見て「やっぱりこいつが犯人か…」と言わんばかりの顔を見せ後、まるで私に脅しをかけるかのように声をかける。

 

そんな様子の部隊長に対しそんな事をされるのが、絶対嫌な私の答えはもちろん…。

 

「わかりました。ちゃんと話をします」

 

極刑を免れるには、これしかないですよね…。

 

 

機動六課隊舎内 小会議室

 

アルト視点

 

「えっ!?私が、この子を…ユウとの間に?それにこの子が…ティアナを…」

 

「そうや?楓から聞いた話によるとそう…なるわな?」

 

スバル達が、行動を開始した後私は、彼等のバックアップを行うために司令室にいた。

 

その後、部隊長から話があると六課にある小会議室に呼び出されてそこである書類を言われるよう言われ会議室にあった椅子に座りその書類に目を通した。

 

そこには、楓さんが持っていたその子が、8歳の頃の写真と共に楓さんの話を部隊長がまとめた内容が書かれた。

 

「それにしても…。いくら楓さんが、その時代のツバサちゃんとツバキちゃんの協力をその子に先輩の持っている知識や技術。それ以外の事も含めた様々な事を楓さんが、教えたとしも…。IQ300の超天才が、私の未来の娘だぁ…なんて事…正直言って信じられませんよ?」

 

「まぁ、いきなりそう言われると…。誰もがそう思うやろな?(ですよね?)それに、楓の話によると、未来っちゅうのは、その時々の選択によって変るもんであり、その選択肢を選んだ人は、未来はひとつしかないと思っている。でも、その選択肢を同じ人間、同じ場所、同じ選択肢だったとしても必ずしも前回と同じ選択を選ぶ事とはかぎらん。だから、未来は、まるで枝葉のようでありそして、その選択肢の分だけその世界が存在するちゅう事なんやと。つまり、今のアルトからするとその子の存在は、これから起こる可能性の結果のひとつ…ちゅう事になるやろうか?なんせ、必ずしもユウと結婚するという未来はないやろうからな?」

 

「えっ!?そ…そんなぁ!!」

 

部隊長の話を聞いた私は、その場から立ち上がり驚きを露にする。

 

「なんや?その態度は?ほほぉ~…。と、いう事は、今のアルトの中には、ユウと結婚するっちゅう選択肢しかないんか?」

 

「そ…それは…(顔真っ赤)(そこんところは、いったいどうなんや?アルトぉ~)その事は、いいですから!!って、言うか、なんで私にこんなものをみせたんですかぁ!!」

 

私のそんな様子に対し部隊長は、ここぞと言わんばかりに以前から気になっていた事をニヤニヤしながら聞いてきた。それに対し私は、その話をさっさと切り上げ部隊長が私をここに呼んだその訳を聞いてきた。

 

「そ…そうやったわ。んで、なぜアルトにこれを見せたかと言うと…。上からの指示で、今回の件からアルトを外すため…。(えっ…どうしてですか?)その容疑者…ユア・クラエッタは、アルトの娘。例えそれが、未来から来た人物であろうとも…」

 

「つまり、容疑者の母親である私は、司令室にはおいておけない…って事ですか?」

 

私の話に対し部隊長は、先ほどまでの笑顔を一変させ真剣な様子でその訳を私に話をする。

 

それに対し私は、その話の最中…まるで部隊長の話を切り上げさせるかのうにその話の結論を告げる。

 

「はっきり言うとそうや。本来ならユウとミツキさらには、狙われとるティアナにも同じ措置を行うハズやったんだけど…。楓の話が、終わる前にどっかに行ってもうたからなぁ?でも、なのはちゃん達にそいつ等を探してもらって見つかったら…。すぐに、ココに連れてきてもらって待機してもらう。それで、アルトには、悪いんやけど…」

 

それに対し部隊長は、それを認めさらに今いまここにはいないユウ達にも同様の措置を取るといい私にもその指示に従って欲しいと頼んできた。

 

普通なら命令すればいいだけのに…部隊長ったら…。

 

「わかりました。指示に従います」

 

そんな部隊長の様子に対し私は、その支持に従う事を了承した。

 

「ありがとうな。それで、事が収まるまでの間…必ずここにおってな?あんたを信じて部屋の鍵は、開けとくさかい」

 

「待ってください!!それじゃ、通常の対応とはちがっ…んぐ!!」

 

部隊長が、そういった所…。私は、こういった場合の通常の対応…。すなわち、事件の被疑者に家族等がその捜査の指示を行う部署にいた場合。その関係者…つまり、今回で言う所の私を待機と言う理由で、隊舎内の一室に隔離。その部屋には、鍵をかけ何かあればその部屋のドアの向こうにいる警備担当者に確認。その人の許可を取った上、その人に付き添ってもらってその用件をすませるといったもの。

 

なせ、そこまでしているのかと言うと…。捜査する側の情報を今回の件で言う所の私が、その情報や捜査状況等の漏洩やその行動を被疑者に伝えさせないため。

 

それに気づいた私は、その部屋を出ようとする部隊長に対し声をかえる。その最中、突如こちらの方を振り返った部隊長が私の口を塞ぎ周囲の人には聞えないくらいの小さい声で…。

 

「そないな大声を出したらアカンやろ?なんせ、JS事件のお陰で今の機動六課は色んな所から注目されとる。変な連中に今の事を聞かれたらすぐに問題にしようとするからな?…ええか?アルト?今から1時間後…。あんたに協力して欲しいっちゅうヤツがここに来る。その際、一時的にこの部屋周辺警備システムをダウンさせる。あんたが、そいつについて行きたいならそうしてもええ。警護のためにこの部屋の外にいるヤツにも既に話を通してある。もちろん、リンディさん達にもや?こうなるのも犯人は、予測しとるやろうからその裏をかくため…。それと、あんたならその容疑者も話を聞くんやないか?って、思うてな?でも、ウチが、あんたに出来る事はここまで?まっ、ユウ達に自由させておいてあんただけここに閉じ込めとくのは、なんだか不公平やからな?(ぶ…部隊長…)そないな顔すんな…全てはJS事件の時の…ツバキと大地のお陰…って事や。でも、それ以外…絶対に動いたらアカン。もし、そんな事をあんたがしてそれが問題になったらウチやリンディさん達でもあんたの事を庇いきれへんからな?わかったな?(は…はい…)さてと…。鍵を開けとくとは、通信機がすぐには用意出来へんからなぁ?一時的な措置って事で。んで、何かあったらドアの外にいる警護担当者に言ってな?通信機は、後でもって来るさかい。それじゃ」

 

「は…はい。わかりました」

 

部隊長のその話を聞いた私は、その事を了承。その後、部隊長は、何事もなかったかのようにドアに鍵をかけないその理由を話した後私の返事を聞きながらその部屋を後にした。

 

 

 

それから約1時間後…。

 

 

 

「そろそろ部隊長が、言っていた時間か…。でも、一体私に協力して欲しい人って…一体誰なんだろう?大地さん?それとも楓さん?でも、その人達ならこんなまどろっこしい真似なんかしないだろうし…。それがもし、力さん達なら六課の入り口から乗り込んで来て私を誘拐とかしていきそうだし…。(トントン)あっ、はい…どうぞ…」

 

部隊長が、その部屋を後にしてから1時間がたった。

 

その間、何もする事がなかった私は、ドアの向こうにいた警護担当者にお願いしたまっていた書類仕事が出来るようにようにしてもらった。

 

でも、六課のネット環境にはアクセスさせてはもらず…。出来た書類は、記憶媒体に入れて警護担当者に渡しその人がその中身を確認した上で提出先に届けてくれる事となった。

 

こうして、時間を潰していた私は、自身の腕時計でそろそろ部隊長が言っていた時間が来た事を確認。一体誰が来るのか…そんな事を考えていた所ドアをノックする音が聞えた。

 

その音に対し私は、すぐに反応。ノックに返事するかのように声をあげる。

 

「(ガチャ)失礼します。アルトさん、通信機とお飲み物をお持ちしました」

 

「あっ…ありがとうございます…」

 

部屋に入ってきたのは、二十歳代半ばくらいの管理局の制服を着た女性。身長は、私よりも少し高め…。黒髪のロングヘヤーをストレートに伸ばし、おしとやかな雰囲気を持った綺麗な人。そのスタイルは、所謂…ボン!!ギュ!!ボン!!ってヤツで…。

 

でも、この人…なんだか先輩に…。

 

「どうぞ?」

 

「あっ、どうも…」

 

その女性は、私の元へと近づきお盆に載せていた通信機とペットボトルに入ったお茶をテーブルの上に置いていく。そして、それを終えたその女性は、私の顔を見てくすりと笑みを浮かべた。

 

「クスッ…。(あ…あの…何か?)いえ…。やはり…これだけ近づいても…気づきませんか?やはり、飛鳥君達の言っていた通り…もう少しわかり易い格好の方がよかったのでしょうか?」

 

笑みを浮かべたその女性に対し私は、いい思いはせず何か用か聞いて見た。

 

すると、その女性は、先ほどの口調を変え少し考え込んだ後…持っていたゴムを使いその髪型をポニーテール変えながらそれに答える。

 

この口調…この髪型…。それに、一見して見るとおしとやかなように見えるんだけど実は、人を小バカにしているようなこの態度…。

 

「もしかして…ツバキちゃん!!」

 

「ようやく気が付きましたか?お久しぶりです、アルトさん。と、言っても…この時代にいる私ではないのですが?」

 

彼女のそんな様子を見た私は、その口調と態度からその女性が未来から来たツバキちゃんである事を確認。それに対しその女性…ツバキちゃんは、それに同意してくれた。

 

「気が付かないのも当然だよ!!私が、知っているツバキちゃんは、まだ10歳の女の子なんだから…。それが、こんなに綺麗な女性になるなんて…。(お褒め頂きありがとうございます)あっ…。さすがに「ちゃん」は、まずいか…」

 

「いえ…。そのままで結構です。(でも、どうしてココに?)八神さんから聞いていませんか?ここにあなたに協力して欲しい人物が来る…と?」

 

「それって、ツバキ…さんの事?」

 

ツバキさんの話に対し私は、気づかなくて当然と声をあげた後ココに来た訳を聞いて見た。

 

すると、彼女は、部隊長から聞いていたその人物が自分である事を示唆。その事を確認する私の声に対し彼女は、静かに頷いていた。

 

「でも、私に協力して欲しい事って?」

 

「時間がありませんので、単刀直入に言わせて頂きます。まずは、これを見てください」

 

私の問いかけに対しツバキさんは、制服の中に隠してあったある鍵か何かでロックされた日記帳を取り出しそれを私の目の前に置いた。

 

「これは…日記帳?」

 

「はい。これは、つい先日…。管理局の方から今回の一件に関してそのきっかけとなった事件現場を再度調査した際に発見されてあるお方の遺品として回収。私の元へと送られてきたものです。(えっ…)これには、パスワードが設定されておりそのパスワードを入力しない限りその中身を確認出来ません。本来なら回収された際、管理局の方でその中身を確認され最悪の場合そのロックをこじ開けられていた可能性がありましたが…。事件には、関係ないと中身を開封されないまま…。そのお陰もあり、当時のままの状態でこちらに送られてきました。パスワードについては、こちらの方で既に確認しております。それで、アルトさんにお願いしたいのは、この中身をご確認頂いてからこの内容をあの子に伝えていただけないでしょうか?私はまだ、その中身は見ていません。なにせ、これは、彼女のプライベートな内容…いくらあの子を止めるためとは言え私如きがみるのはどうかと思いまして?ですが、恐らく…この中には、あのお方の最後の言葉が書いてあると思います。ですから、それをあなたから伝えては頂けないでしょうか?あの子に?」

 

「わ…私に…出来るのかな?そんな事…」

 

ツバキさんは、私の問いかけに対しその訳を話し始める。彼女の話を聞いた私は、なんだか自身が無い様子でそれに答える。

 

彼女の内容を要約すると、その日記帳のその中身をユアって子に伝え彼女を説得しろって事。

 

失敗すれば、私の命もどうなるのかわからないし…。それを言っているその最中に攻撃される事だって…。

 

私の中では、あの子を止める事よりも先に不安の波が押し寄せてくる。

 

そんな私に対しツバキさんは…。

 

「不安になるのは、当然です。何せ、魔導士ではないあなたを戦闘真っ只中かもしれない所に送り込もうとしているのですから…。ですが、あなたは、決して殺させはしません。私の命に代えても…。ですので、お願いします!!あの子を…ユアを…。あの子の中にある心の闇から救うのに手を貸してください!!

 

そう言いながら彼女は、私に対し深々と頭を下げてきた。

 

「ツバキさん…」

 

「お願いします!!貴方だけが頼りなのです!!」

 

困惑する私に対し彼女は、頭を下げ続けた。正直言ってこんなに真剣に頭を下げる彼の姿を私は、見たことが無い。つまり、彼女…いや、彼女達に取ってそれほど手詰まりな状態でありワラにもすがる思いで私に頼み込んでいるって事…。

 

でも、これが、罠かもしれない。誰かが、ツバキちゃんの未来の姿を語って…楓さんや部隊長とかを騙しているかも?もし、そうであったら…今単独で動いているユウ達が!!

 

頭を下げ続けるツバキさんに対し私の頭の中では、様々な憶測が流れる。

 

そして、ようやく出た私の結論…。

 

それは…。

 

「わかったよ。上手く出来るかわからないけど…。協力するよ?だから、頭を上げて?ツバキさん?」

 

「あ…ありがとうございます!!」

 

彼女に協力する事を約束した私は、ツバサさんに頭を上げるよう告げた所…。彼女は、私の手を両手で握り何度もお礼を言っていた。

 

でも、その心の中では…。

 

…確認しなきゃ…。私自信の目で…。それがもし、罠であったとしても…あいつの足手まといになったとしても…。あいつが、ピンチの時には私だってあいつの盾になるくらいには…。

 

今だ疑心暗鬼のままであった私は、自分の目でその事を確認するために彼女とその会議室を後にする事となった。

 

 

クラナガン市街 とある廃倉庫内 可変型超次元航行艦 インフィニット・ロディマス艦内 共有スペース

 

畢視点

 

「何も言わないのか?(何を?)お前が、ティアナを殺そうとしていたのを私が邪魔したのを?」

 

「べっ…つに~。(なぜだ?)だってぇ~。今回は、挨拶みたいなもんだもん。それにぃ~もう次の手は、打っちゃったし…。全ては、これからこれから~」

 

ティアナへの攻撃を終えたユア・クラエッタは、拠点としていた廃倉庫にあるプレハブへと私と共に戻り被っていたフードを外しながらその声に答えていた。

 

真剣な様子で話す私に対しユアは、いつもと同じ能天気な様子。

 

こいつは、いつもそうなのだ。私が、真剣に話をしてもああしてのらりくらりと…。

 

「いったい何を企んでいる?そもそもなぜ?ティアナを狙う!!彼女はお前を!!まさか…お前、あの約束を!!(変らなかったから…)なぬ!?」

 

「あいつ等全員殺しても…私が、2人を助けようとしても…。パパとママは…あの事故で死んじゃう。相手が、海賊じゃなくて強盗団やテロリストとかに変ってはいるけど…。(だからと言って!!)…旅行を中止させようとしても!!その行き先を変えても!!…4人に未来を教えても…ダメ!!あいつの任務先も変えてみた!!それに、旅行に行く理由にもなったその事件を起さないようにしても…結局…あいつと私…それに私のパパとママは、あの艦に乗っちゃって…そして…。そのために、魔導士としての力も…ミーちゃん(ミツキの事)とパパが持っていたあの力も…。それに、パパしか出来なかったアレだって手にしたって言うのに!!」

 

ユアのそんなに腹が立った私は、その思いのたけをユアにぶつけて見た。

 

すると、ユアは、先ほどまでのヘラヘラした様子を一変させ自身の右手を強く握り…そして、その瞳は…怒りに満ちていた。

 

「だからと言って、こんな事を…。ユウ達がゆるすと思っているのか!!それに!!希だって…あの世のユウ達と一緒に…」

 

「希(のぞみ)ちゃんの事はそんな風に言わないで!!」

 

「…すまんのだ」

 

その瞳を見ながらも私は、彼女に対し強い口調で語りかける。

 

だが、私が思わず口走ってしまった彼の事がどうやら彼女には悪いように聞こえてしまったらしく…。声を荒げその怒りを露にする。

 

ユアのそんな風な態度に対し私は、自分でもそうは考えたくない最悪の結果を口走ってしまった事を反省。彼女に謝った。

 

確かに…。ユアの言うとおりなのだ。

 

通常、未来から過去へと来た人物が過去の事象に関わった場合…それに応じ未来も変化する…と、言う話なのだが…。

 

どういう訳だが、何をどうしようともその時代のユアとユアのパパとママ…すなわち…その時代のユウとアルト。それにティアナは、あの艦に乗り…そして…ユアが体験した時と同じ末路を歩む事となる。

 

まるで、それが運命だと決め付けているかのように…。

 

ユアは、その運命を変えようとしている。そのために両親に止められていた魔導士としての力…。そして、ミツキの力とユウだけが持っていたあの力までも手にしにし、それを自由自在に使いこなせるようにもなった。さらに、あの事件を一から調べ上げ…自身の力でタイムスリップが可能な魔法を開発。

 

そして、どの時代、どんな場所でも生活出来るように家財道具一式、まるで、私の要求に答えるかのように用意した料理器具一式と料理店等にある本格的なキッチン、バストイレも付いた生活スペースを有しタイムマシン機能。カモフラージュ機能そして、各種武装までも搭載した可変型超次元航行艦「インフィニット・ロディマス(通称:ロディマス)を生み出した。

 

ちなみに現在のロディマスは、外からこれが次元航行艦だとはばれないようベース(基地)モードに変形。そして、外からは、これが古びたプレハブにしにか見えないようにするために艦に搭載されたカモフラージュ機能を使いカモフラージュされている。

 

正直言って、自身が大好きなピザを焼くための薪を使った石釜や業務用のオーブン…。さらに、楓や私や私のママとかが一度に来ても対応出来るように大型の冷蔵庫数台や関西の家庭にしか置いてないであろうたこ焼き機まで…あるとは思わなかったのだ。

 

ちなみに、家事全般があまり得意ではないユアはこの艦の倉庫の中に大量のカップラーメンを常に備蓄。私が、いないとすぐにそれに手を出すから「勝手にしろ!!」とここを出て行く訳にはいかないのだ。

 

だからと言ってこのままではいかないので、私が料理を教えてはみたが…。覚えた料理が、たこ焼きにお好み焼き。それに、焼きそばにスパゲッティナポリタン等々。

 

ユアは、私がいくら教えようとしても簡単に出来た上、自分が好きなものしか覚えようとせんのだ!!!!

 

面倒っちぃとか抜かして!!

 

まったく…。こんな所まで、あの父親の性格を受け継がなくてもいいのだ!!せめて、母親の方であればまだなんとか…。

 

話を戻すだ!!

 

全ての準備を終えるのにユアは、5年と言う月日を要した。いや、ユアだからこそ5年ですんだと言った方がいいかも知れないのだ。

 

そして、行動を起したユアは、法を犯したのだ。

 

全ては、幸せだった…あの日々を取り戻すために…。

 

私は、ユアが最初の事件を起した後…ツバサ達から連絡を受け彼女の事を探した。

 

そして、ようやく彼女を見つけそれから行動を共にしながら幾度となくこんな事はもう止めろ!!と説得を続けているのだが…。

 

せめて…あいつが入れば…今のユアでも話を聞いてくれたかもしれない…。でも、ヤツは…希は…。

 

槙村 希…。

 

ユアの時代にいた局員。ある事件においてユアの警護を担当。以来、姉妹のいないユアに取ってと姉と呼べる存在へとなっていった。

 

その時代のユウ達とも仲が良くもし彼女が生きていたのなら、家族になっていたかもしれない。でも、その希は、ユウ達の事件が起こるおよそ1年前。任務中に突如発生した次元振動により行方不明。

 

ユアは、未来を変えようと行動しながらも…。訪れた様々な時代で今でも彼の事を探している。生きているかどうかさえもわからない彼女の事を…。

 

もしかしたら、今回の件が上手くいったら…次は…。

 

「ふぅ~…。やめやめ…。この話…もうや~めた!!っと~。ここで、畢ちゃんとケンカしても何か変る訳でもないし…。(ユア!!)んでんで?今日の晩御飯は?」

 

ユアが、怒りの声をあげたてから数秒後…。先ほどまで怒りの表情を見せていたユアは、ふぅ~と大きなため息をした後いきなりこの話は終わりと言い出した。それに対し怒りが収まらない私は、声を荒げる。でも、そういったユアは、すぐに頭を切り替え今晩の夕食のメニューを聞いてきた。

 

結局こうなのだ。

 

ユアは、いつもこういった後その話を一切しなくなる。こいつは、こうやっていつも話をはぐらかした後強制的に話を終わらせる。

 

仮にもし、こんな時に私が拳で語り合おうとしてもユアは、そんな事は意味がないとそれには応じず一方的に私に殴れるだけ…。周囲からみれば、こんな様子のユアに対し私が一方的にその怒りをぶつけ憂さ晴らしをしているとしかみえないし私自身…嫌な気持ちにしかならないのだ。

 

結局…今のユアを止めるにはもう…。

 

だが、今の私は、その最後の手段は行わず…。自身の怒りを沈めながら…。

 

「ック…。き…今日は、ユアが好きなピザなのだ。(ぴ…ピザぁ!!それってもちろん…)ああ…。アルトから教えてももらったユアスペシャルなのだ」

 

「やったぁ!!!じゃあ、私…洗濯をしてくるから…夕ご飯の方…よろしく!!」

 

私は、苦虫を噛むような表情をしながらユアの問いかけに答える。

 

それを聞いたユアは、諸手を上げて大喜び。そして、予め決めてあった2人分の洗濯物がおいてあった籠を持ち洗濯機が置いてある場所へとこの部屋を後にした。

 

「ユウ…アルト…それにお菓子のお姉ちゃん。私は、いったいどうしたらいいのだ?…希…お前は、今いったいどこにいるのだ!?」

 

ユアが出て行った後、その部屋で1人になった私は、そこにあるテーブルに置いてあった生前のユウ、アルト、それにミツキが書き記したレシピ集「ユアが、大好きな料理ベスト100」と言うタイトルが付いたノートとポケットの中にしまっておいたオレンジ色の宝石が付いたハート型のカチューシャを手にしその表紙を見た後、その近くの棚に飾ってあった生前のユウとアルト。それに笑顔で映ったユアと希達の写真…。それに寂しそうな顔をしながらそう呟いた。

 

 

クラナガン市街 とある廃倉庫街

 

ティアナ視点

 

「確か…。送られてきたメールに書いてある場所は、この辺のハズ…。クロスミラージュ!!」

 

<周辺に魔力反応1…。魔力ランクは、SS。先ほど襲撃された際、現場に残っていた魔力と酷似しています>

 

「つまり、ココがあいつのアジト…って訳か…。さて、どうする?ティアナ?」

 

クラナガン市街にあるある倉庫街へとやってきた私は、セットアップを済ませ楓さんの話を聞いている際、私にいきなり送りつけられてきた犯人からのメールに書いてあった場所と同じ所なのかどうかを確認。クロスミラージュに対し周囲の魔力反応を確認させた。

 

私の指示に対しクロスミラージュは、周囲に魔力反応が1つあるのとその反応がさっき私を襲ったその犯行現場に残っていた魔力と酷似している事を告げてきた。

 

それを聞いた私は、クロスミラージュを構え周囲の安全を確認した後指定された倉庫の壁に寄りかかりながら自身を落ち着かせ…そして、次の行動をどうするのかを考えていた。

 

相手は、ユウの魔法を使う…。そして、魔力ランクは、SS…。今の私では、とうてい歯が立たない…。

 

だったら、六課に連絡して…応援を…。ダメッ!!例えなのはさん達が、来てくれたとしても…私は、それに参加させてはもらえず六課に連れ戻されるだけ。

 

でも、あんなふざけたメールを送りつけられたら私だって黙ってはいられない。

 

あのメールの内容…。あの言い回し…。楓さんの言っている事は、どうやら本当みたい。

 

さすがは、親娘。私を苛立たせる方法は、事欠かないって事かしら?

 

<マスター!!周辺に転送反応3を確認。この建物の中からです>

 

「―――――――ック!!仕方がない。中に侵入しまずは、様子を見る。後は、それから考える…。それしかないわね。行くわよ?クロス・ミラージュ?」

 

<了解>

 

試行錯誤をしていた私をまるで、現実に引き戻すかのように周囲を警戒してくれていたクロス・ミラージュの声がその耳元に入ってきた。

 

それを聞いた私は、その思考を一時停止。そして、建物内の様子を確認するべくその中へと足を踏み入れる事にした。

 

クラナガン市街 とある廃倉庫街 倉庫建物内

 

…反応は、この奥から…。

 

倉庫内に侵入した私は、周囲を警戒しながら転送反応が場所へと進んでいく。

 

建物内は、暗く…。通常の倉庫…と言うより、何かの製品を作っていた工場の跡地…。私は、3階建ての大きな建物内の1階の廊下を慎重に進んでいく。

 

反応があったのは、この建物の下。つまり、この建物内には地下がありそこから…。

 

…?何?この音…。

 

地下へと続く階段を下りた私の耳に微かだが何かの音が、聞えてきた。

 

そこは、何かを貯蔵していたのか巨大な空間が広がり私は、その中の入り組んだ階段と廊下をつたいその声が聞える方へと向かう。

 

(…めろ!!…)

 

(ダメですよ!!……状態じゃ…)

 

(2人は、手を出さないで…。ここは、ボクが…)

 

この声…聞き覚えが…。

 

声がする方へと近づくにつれ、次第にその声が大きくそして鮮明になっていく。

 

私は、その聞き覚えがある声にある人物を思い浮かべる。そして、それを確かめるべくその歩みを速める。

 

そして…その声の主が見える所まで来て…物陰に隠れ、その様子を伺う。

 

すると…そこにいたのは…。

 

「ツバサ!!なんとかしたい気持ちは、わかるけど今のお前じゃ!!」

 

「そうですよ!!お医者さんの方からまだ絶対安静って、言われてるんですから!!」

 

「楓さん!!それに飛鳥(D)!!ちょっと離してよ!!ボクが、ユアを止めなきゃならいんだ!!ママと…ユウちゃんや希ちゃん達の代わりに!!」

 

私が、その様子を伺ったその先では、大人びた様子ではあったが金色の髪を首の後ろでまとめた…。今のツバサと同じ髪型のツバサ。それと、新田飛鳥君(以降、飛鳥(D))と楓さんが2人がかりでその前を行こうとするツバサを抑えている様子であった。

 

でも、今、私の目の前にいるツバサは、大人の女性。それに、とても、ミツキさんと似た遺伝子を使っているとは思えないほどのスタイル抜群な容姿へと変貌。

 

まるで、モデルでもやってるんじゃないか?と思わせるその豊満な胸元と形のいいヒップ…。そして、くびれた腰…。

 

なんか…いろんな意味で負けた気がしてきた…。

 

(こんな時にそんな事を考えなくても?)

 

うっさい!!ツバサ!!…って!!話を戻すわよ!!

 

そして、そんな様子の彼女達のその先にいたのは…。

 

「ツバサちゃん…。君も懲りないね?せっかく、命だけは助けてあげたのに…」

 

あれが、ユウとアルトの娘でありさっき私を狙った…。ユア・クラエッタ。

 

私は、その様子を確かめながら事前にクロス・ミラージュへと送られてきた楓さんの話を部隊長がまとめた資料と楓さんが持っていたという彼女が映った画像を見比べる。そして、画像の人物と目の前にいる人物が、おおよそ同一人物である事を確認した。

 

「ユアちゃん!!ツバサちゃんが、こんなに心配しているのにそんな言い方!!」

 

「ユア!!こんな事は、もう止めろ!!お前が、これ以上手を汚しても2人は!!」

 

私が、画像と目の前にいる人物を見比べていた頃その目の前では3人の様子を見ていたその女の子…。つまり、ユアがとても冷たい目をしながら声をかけていた。

 

彼女の今の格好は…間違いない。ユウのバリアジャケットと同じ格好。それに装備しているデバイスも…おそらくなんらかの方法で知りえたユウと同じ紅とゲイル・ファング。

 

「これ…パパのだよ?それに、これ…どっかから情報を得て再現したものじゃなく…。パパが使っていたのと私用に合わせたもの…。つまり、本物…。これね?ユアが、事件現場を探しまくってようやく見つけた…正真正銘パパの物…。」

 

えっ!?なんで?今、私…声にも出してないのに…。

 

私が、その様子を伺いながらその思考を巡らしていた所…。楓さん達の目の前にいるユアが、こちらの方を見ないまま…。まるで、私の心の声が聞えていたかのようにその考えに答えてきた。

 

「隠れていても無駄。あなたが、ここの敷地内に入った時からその存在はわかっていたし…。それに、今何を考えているかなんて…その表情をみればすぐにわかる」

 

―――――まさか!!監視カメラ!!―――――

 

動揺する私を尻目に話を続けるユア。彼女のその声を聞いた私は、すぐにその周囲を確認。

 

すると、私が隠れていたその場所の天井近くには、移動可能な監視カメラがこちらの方を映していた。

 

「さすがは天才。凡人の私の考えなんて、とっくの昔にお見通しって訳?」

 

「「ティアナさん!!」」

 

「ティアナ!!どうして来ちゃったの!!…もしかして!!」

 

監視カメラを確認した私は、ここにいても無駄…と考えそこから楓さん達がいる所まで出て行った。

 

そんな私の様子を見た楓さんと飛鳥(D)君が、驚きの声をあげそしてその後、ツバサが驚きの声を上げた後…。何かに気づき、2人に抑えられたまま…ユアの方を睨みつける。

 

「…さすがは、ツバサちゃん…正解。街で巡回したいたその人を攻撃した後、ここに来るようメールを送ったんだよね?それにしてもすごいよね?ツバサちゃんのハッキング。ツバサちゃんから教わった通りにハッキングしたら簡単に…。それも、何の痕跡も残さないで本局にあるサーバーに入る事が出来た上…局員のプライベートアドレスまで確認出来ちゃうんだから?」

 

「そんな事をさせるために、ボクのハッキングを教えた訳じゃない!!」

 

それを見たユアは、彼女言いたい事がわかっていたかのようにその視線に答える。彼女の声を聞いたツバサは、声を荒げながらそれに答える。

 

「それにしても以外だなぁ~。てっきり、あなたの事だから1人で来ると見せかけておいて実は、この時代のパパや機動六課の人達をこの周辺に待機させていると思っていたのに?」

 

「そりゃ、もちろん…。あんな事を書かれた上、1人でこいって言われたら…来なきゃいけないでしょ?なのはさん達には、もちろん内緒でね?」

 

ユアは、そんな様子のツバサを無視し私の方を意外そうな顔をしながら声をかけてきた。それに対し私は、彼女を睨みつけそしてクロス・ミラージュの銃口をその子向けながらそれに答える。

 

「…クス。あのメールの内容って、パパの受け売り。よく、ああやって…ママが働いていたミーちゃん(ミツキの事)のお店…「喫茶猫の目」で…。パパと私の時代のあなたが、そう言い合っていたのをただ引用しただけ?あの時は、本当…楽しかったなぁ…。あのお店にママと行くと…。いつもみんな笑顔で迎えてくれて…。常連さん達も私に色んな事を教えてくれたし、クリスさんやナリアさん…。それに、ヴィヴィオやエリオにスバルさんや希ちゃんも…よく遊んでくれた。特に希ちゃん…。ユアには、本当優しかったなぁ…。地方に任務とか行くと…必ずユアにお土産とか、買ってきてくれたし…。行った先の事、よく話してくれた…」

 

私の声に対し彼女は、少しだけ笑みを浮かべた後…まるで、その時の様子を思い出しながら話していた。

 

この子…。似ている…かつての…。兄さんが、亡くなった当時の私と…。

 

彼女のそんな様子に対し私は、兄が死んだ時の自分と今の彼女の事を重ね合わせながら武器を捨て投降するよう促すよう彼女に語りかける。

 

「…あなたの気持ち…。わからないでもない。でも…。ユア・クラエッタ、殺人未遂の容疑であなたの事を拘束します。…お願い…武器を捨てて…」

 

「…それは、ダメ。だって、そんな事しても何も変わりはしないし…パパとママも戻っては来ない。それに、あなたを殺してもいいって…私の時代の貴方と約束しているんだから?」

 

―ッ…。「ユア!!(ユアちゃん!!)」

 

そういった彼女は、ホルダーに閉まってあったゲイル・ファングを取り出し私の方にその銃口を向ける。そして、それを見た飛鳥(D)君と楓さんが声をあげる。

 

互いにその銃口を向け合った2人の間に一瞬の静寂の時が流れる。そして、辺りをえたいの知れない緊張感が私達を包み込む。いつ、その銃口が火を噴くのか?楓さんと飛鳥(D)君は、その緊張感に飲み込まれた2人は、その瞬間…息を呑みながらそれを待ってしまう。そのため、ほんの少しだけ…彼女を抑えていたその力がゆるんでしまい…その結果…。

 

-ッ!!

 

「つ…ツバサ!!ちょ…ちょっと、どきなさい!!」

 

「イヤだ!!(ツバサ!!)ユア?前にも言ったよね?みんなの事を殺すつもりなら、まずは、ボクの事を殺せって…。そうじゃないと、何度だってユアの目の前に現れるって?」

 

私が、クロス・ミラージュのその銃口を彼女に向けたままにしていた所、楓さんと飛鳥(D)君が抑えていたのを振りほどいたツバサが大の字の格好をしながらその間に割って入ってきた。

 

その様子を見た私が、声を荒げ彼女の事を退かそうとする。でも、彼女は、それに応じようとはせず私の前から動こうとはしない。

 

「…そう?なら…」

 

ツバサのそんな様子に対し彼女は、そう呟いた後構えていたゲイル・ファングの引き金に指をかけようとする。

 

「…殺ってみなよ?でも、ボクだってただで殺られる訳には…」

 

引き金に指をかけたのを見たツバサは、誰が見ても満身創痍な状態の体をそのままに少しだけ笑みを見せ何かを企んでいるような仕草を見せながらそれに答えていた所…。

 

ぎゅぅううううううう!!

 

「…い…痛い!!誰だよ!!こんな時にボクの耳を引っ張るのは!!…ま…ママ!!」

 

「み…ミツキさん!!それに畢!!」

 

突然、誰かに自身の耳を引っ張られたツバサは、それをした人物が一体誰かを確認した。すると、そこには、いつの間にかミツキさんがムスッとした様子でツバサの耳を引っ張り…。さらに、彼女と一緒に現れた畢が、ツバサの事を拘束でもしようと言わんばかり手にしていたロープをツバサの体に巻きつけ始めていた。

 

2人のいきなりの登場に対し私が驚きの声を上げていた所…。

 

「畢ちゃん?抵抗したらぶん殴ってもいいから?とっとと締め上げて?」

 

「わかったのだ。と、いう訳なのだ。大人しく縛につくのだ。ツバサ?」

 

「どうして、こうなっちゃうの!!捕まえるのは、ボクじゃなくってぇ!!」

 

「それは、そうなんだけど?それは、私がしちゃうとダメらしいのよ?だから私は、病院を抜け出したあんたをまずはこの時代のユン先生の所に連れて行く事。んでもって、畢ちゃんは?」

 

「お菓子のお姉ちゃんのお手伝い…なのだ」

 

「そ…そんなぁ~!!って、言うかそんな事ママに言ったのは一体誰だよ!!」

 

「それは、後のお楽しみよん♪」

 

混乱する私達を他所に畢ちゃんに指示を出すミツキさん。

 

それに対し説明を求めるツバサ。そして、彼女の拘束が、半分くらい済んだ所でようやくミツキさんと畢がその説明を始め、それを聞いたツバサが目に涙を浮かべながら声を荒げる。

 

「…そうやって…。やっぱり、来ちゃうんだ…。パパとママの時は、来なかったクセに…」

 

「違う!!あの時のママは!!…もう…」

 

そんな様子をただ黙って見ていた彼女は、銃口を構えたその怒りを露にする。ツバサは、畢に拘束されながらも彼女の声に声を荒げそして、一瞬だけミツキさんを見た後…なんとも言えないような顔をしながらシュンとしてしまった。

 

「悪いけど?今の私に貴方の事をどうこう言う事は出来ないし、それを辞めさせる言葉も持ち合わせてはいない。けどね?…」

 

「…ったら…。だったら!!!私の…ユアの邪魔しないでぇ!!!!!シューティング…ブリッツ!!!ファイヤ!!!」

 

そんなツバサの事を見かねたミツキさんは、悲しい顔をしユアの方を見ながらそう…語りかけた。

 

でも、そんなミツキさんの話に対しユアは、その話を強制的に切り上げそして自身の怒りを爆発させるかのように声を荒げた後私達に向けてその引き金を引いた。

 

―――!!!

 

彼女が、発射した魔力弾は私達を直撃したかのように爆発。

 

それにより、周囲にはその爆風より発生した煙により一時的にその視界は遮られ…そして…その煙が晴れた所で…。

 

「遅いわよ?ユウ?」

 

「悪りぃ。大地と一緒にあいつにあれこれ聞いていたら、時間がかかっちまった」

 

「ユウ!!(ユウちゃん!!)」

 

私達の目の前には、バリアジャケットを着たユウが自身の前にトライシールドを展開。どうやら、それで私達をあの魔法弾から救ってくれたらしい…。

 

私が、その状況にようやく気づいた所…その状況がまるでわかっていたかのようにミツキさんが私達の目の前に立つ彼に声をかけていた。

 

彼のいきなりの登場に驚く私とツバサ。彼は、そんな私達を他所にミツキさんの声に平然とした様子で答える。

 

「やっぱり…来ちゃうんだ。こういう状況…。黙って見ていられないもんね?この時代のパパ?」

 

「やっぱり、あいつの言う通りか…。どうやら、今の俺と同じみたいだな?お前とあいつが、知る…未来の俺も?だったら、俺がこれから何をするのか…。お前にならわかるだろ?」

 

私達の様子をジッと眺めていたユアは、まるでこの状況を予測していたかのように先ほどまでの怒りを沈め…静かにユウに声をかける。

 

それに対し彼は、展開していたトライシールドを解除。いつもの楽な体制をとりながら彼女の声に答える。

 

「ダメだよ!!!2人が、戦ったら!!」

 

――――そうだ…―――――

 

「んなのしょうがねぇだろ?ったく…。面倒くせぇ…」

 

「そうだよ。この時代のパパ達が素直に引いてくれたら楽なのに…面倒っちぃ…」

 

――――そうだ…戦え…―――――

 

互いにゲイル・ファングを構える。それを止めようとするツバサの声にそう答えながら…。

 

「そりゃ、悪かったな?だが、そうさせる訳にはいかねぇんでな?」

 

「そう…。でも、私ももう後には引けない…」

 

―――――殺し合え…―――――

 

2人の会話は、いつもの私達の戦いとは違う…。そう…まるで…これは…。

 

「ママ!!!2人を止めてよ!!!このままじゃ、2人のどちらかが死ぬまで終わらない!!」

 

「大丈夫。あの子は、そこまでバカじゃないから?さっ、私達は行わよ?すぐに戻ってくるからお願いね?畢ちゃん?」

 

「わかったのだ」

 

「ちょ、ちょっと!!ママ!!ママ!!」

 

ツバサが、声を荒げミツキさんに声をかけ続けるも彼女はそれを無視。畢にそう声をかけたミツキさんは、ツバサを引きずりながらユン先生達が手薬煉引いて待っているであろう病院へと強制連行していった。

 

2人は、まるでその様子を確かめるようにそれを眺め…そして…。

 

「「メテオ…ブレイカーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」

 

――――――――――――――――!!!!!

 

2人の砲火によりの死闘?の…幕があがった。

 

 

はやて視点

 

―――――!!!

 

―――ッ!!!

 

「あかん!!!もう始まっとる!!」

 

ユウ達の行方と犯人の捜索をしていたウチ等は、急な魔力反応の変化からそこにユウ達がおると断定。

 

フェイトちゃん達ライトニングを後詰の戦力として隊舎に待機させ、ヴァイスが操縦するヘリでなのはちゃんとヴィータ、スバル共に現場へ急行。

 

倉庫の地下へとたどり着いたウチの目の前では、ユウとその犯人が戦闘を繰り広げている光景が目に入った。

 

広い空間の中、音を点てながら交差する赤い星々。

 

その星々から流れる赤い閃光。

 

まるで、流れ星が流れているようにも見えそうなその光景もそれがぶつかる度に聞こえてくる激しい轟音が、そんなファンタジーにも似た光景を現実へと引き戻す。

 

「みんな!!2人をまずは止めるで!!!あのまま未来の家族同士を戦わせる訳にはいかん!!」

 

「やめとくのだ。(なんでや!?畢!!)2人は今、共に紅天の石と蒼天の石の力を合わせた力…。つまり龍凰の石の力を使って戦っているのだ。(ジュ~…)そんな化け物級の力がぶつかり合っている中…。お前達魔導士など…その戦いに割って入る事等出来ないのだ。ちなみに、あんな化け物級の力がぶつかり合ってもその周囲に対した被害が出ていないのは、ノアがあのこの建物周辺に強力な結界を張ってくれているからなのだ。だから、今あいつを食べたくても食べられない。お菓子のお姉ちゃんからそう言われたら、我慢するしかない。じゅるるるるるる…」

 

2人の戦っている様子を見たウチは、後から来たなのはちゃんとヴィータそれにスバルに対しその戦いへの介入を支持。

 

だが、そんなウチ等の行動を見た畢が、この雰囲気にはまるで似合わない焼きそば屋の屋台で焼きそばを焼きながらそれを止めてきた。

 

まるで、ツッコンでくれと言わんばかりのその光景に対しウチは…。

 

「ってぇ!!!何あんたは、焼きそばなんて焼きながらそないな事言うとるんや!!焼きそばの屋台まで出しおってからに!!」

 

「ハァ…。これは、お祭り好きなユアの気を引いて戦いを辞めさせようとお菓子のお姉ちゃんが考えて屋台とか材料とか…全部用意してくれたのだ。いくら私達でも、あの2人の戦いに割って入ればただではすまない。それに…私達があの戦いに割って入っても、2人が戦いを辞めようとしない限り全てが無駄に終わる。だから、お菓子お姉ちゃんが、私に取って一番会う方法…。つまり!!料理人である私に取って、一番の戦いの止め方を教えてくれたのだ。だから、料理を使ってこの戦いを止める!!お前は、私達の邪魔をするな。料理をただ食べるだけなら許してやる」

 

「わ…私達?」

 

ウチのツッコミに対し畢は、それをまるで受け流すかのように焼きそばを焼く手を止めないままため息をついた後その説明を始めた。その話の中で気になった点がありそれを聞き返す。

 

「そうなのだ。みんな私のやり方に協力してくれているのだ」

 

畢の話を聞いたウチは、畢が焼いている焼きそば屋の屋台の横を覗いて見ると…。

 

「りんご飴に綿飴ぇ~。それにお面なんか…いかがスッか!?」

 

「か…楓ぇ!!!」

 

「こっちは、たこ焼きにイカ焼きだよ!!今日朝イチで取れた、新鮮なものばかりを使っているよぉ~!!それにおでんなんかもあるよぉ!!」

 

「チッ!!(怒)なんで、この俺がたこ焼きなど…」

 

「さ…サイモン!!それに北斗!!!」

 

「こっちは、お酒だよぉ~」

 

「あ…飛鳥!!ってぇ!!あんた、ただ飲んでいるだけやないか!!それにあんた等以外全員まだ、未成年や!!(そうだっけ?)そうや!!そもそもなんであんた等が、いきなり登場しとんのや!!」

 

畢の焼きそば屋のそのとなりには、楓が営んでいるりんご飴、お面屋など等が一緒になった屋台。その横には、サイモンが売り子で北斗がたこ焼き作りを担当しているたこ焼き屋の屋台。さらに、その横には、用意されていた売り物のウイスキーを飲んでいる飛鳥が営んでいるバーフェニックスの出張屋台…。

 

それぞれの屋台に対しまるで、登場人物の紹介のような事を行ったウチは、ここに八神組が現れた事について聞いて見た。

 

「あん?いきなり登場した訳?そりゃ、ミツキさんが畢だけが屋台やっていたら寂しいからって?(んで?ミツキの本音は?)その方が、面白いからじゃない?それにウチ等、ヤクザだし?」

 

「そういや、昔のヤクザって、自分達の土地の祭りとか…よく仕切っとったらしいからな?ってぇ!!あんた等、任侠ヤクザにでもなるつもりかぁ!!」

 

「そういうつもりはないが…。ただ、ウチ等は、ノリがよければいいのさ?」

 

ウチの話に対し、すでにほろ酔いかげんの飛鳥が答える。

 

「そういや力君は?」

 

「あっち?(あっち?)」

 

飛鳥とそんなやり取りをしていた所、力君がこの場にいない事に気づいた。その事を彼の相棒でもある飛鳥に聞いて見た所?彼女は、自身のとなりの屋台を刺していた。

 

んで、そっちの方を見てみると…。

 

「ねぇ?力さん?当たりくじって…どのくらい入れたらいいの?」

 

「んなの、一枚か二枚くらい入れときゃいいんだ?いいか飛鳥(D)?当たりくじって言うのは、お祭りの初日には大して入れずに最終日だけ多く入れとくんだ?それに、型抜きの方は、いくら上手く言っていてもなんだかんだ理由をつけて金を取られないようにするんだ。わかったか?」

 

「うん!!わかった!!」

 

「あんたは、何本業でやっている人みたいなこと言うな!!」

 

飛鳥の横の屋台では、力君と彼の手伝いをしている新田飛鳥君の2人が、景品が玩具のくじ引き屋と型抜き屋の屋台を始めようとしていた。

 

彼の説明を聞いた飛鳥(D)君は、手にしていた当たりくじが入ったビニール袋から当たりくじを2,3枚取り出し、くじ引きをする箱の中に入れそれを混ぜていた。

 

その一方、力君は、まるでその屋台の親方気分でその様子を見ておった。

 

「まったく…。ウチの作者は…。力君達にこないな事させておいて…。最後までバトルシーンを省きおるつもりやな!!そないな事ウチがゆるさん!!なのはちゃん!!ヴィータ!!それにスバルにティアナ!!全員防護服展開!!全員突撃や!!」

 

「「「「了解!!!!」」」」

 

そないな状況に呆れたウチは、バリアジャケットを展開し終えたなのはちゃん達に攻撃開始を指示したんやけど…。

 

カランカラ~ン!!

 

「大当たり!!五等賞!!烈斗頑駄無のぬいぐるみとタカヤ君人形!!」

 

「ええ~!!一等賞のタカヤ君特性スペシャルスイーツじゃないの!!」

 

「おい力?本当に当たりクジって入っているだよな?」

 

「ああ!!もちろん入っているぜ?」

 

「よし!!ユア!!いけっ!!もう一回やらせてやる!!狙いは、特賞!!「キャピトラのお食事&スイーツ件!!」

 

「えっ?10等の楓さん貯蔵…ママのセクシー写真集じゃないの?(んなのいらん!!とにかく引け!!)おっけー!!よぉ~し!!引くぞぉ~!!」

 

ズデデデーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

ウチ等が、攻撃を開始しようとしたその矢先…。いつの間にかその戦闘を辞めていたユウとユアが、畢が作った焼きぞばやたこ焼きと…力君達のクジの屋台でその前に引き当てた景品を両手にいっぱい抱えた状態で力君達のクジの屋台で今度こそその特賞を当てようとしていた。

 

その声を聞いたウチ等は、まるで吉本新喜劇のようにその場におおげさに転んだ。

 

「お前等!!さっきまでのシリアスな展開!!いったいどこに放り投げてきおった!!」

 

「えっと…その辺に…。(んな訳あるかぁ!!)だってぇ~。この時代のパパが、「せっかく畢ちゃん達が、屋台出してくれたんだから戦闘なんて面倒っちい事なんて辞めて一緒に楽しもう」って言うから…」

 

「なんせ、いいにおいがしたからな?」

 

「ってぇ!!お前等親子して面倒くさいだけやろ!!」

 

ウチの声に対しユア、ユウの順番でその問いにさっきまでの事を忘れたかのように…。

 

「まぁまぁ…。部隊長、どうやらユウ…というよりミツキさん…。何か考えがあるみたいだよ?」

 

「んな…こんな状況で…。どうユウやミツキを信じろと…」

 

ユウとユアが、楽しんでいる中呆れた様子のウチに対し少しお酒の匂いを漂わせた飛鳥が小声でウチに声をかけてくる。

 

飛鳥の声に対しウチは、呆れたまま…その問いに答えていた。

 

そんな事をしていたそのすぐ上では…。

 

 

クラナガン市街 とある廃倉庫街 最上階 会議室

 

 

クリス視点

 

ドン!!

 

「なぜだ!!なぜ戦いを辞める!!せっかく最高の舞台を用意してやったと言うのに!!」

 

ユウ達が、力君達の屋台で楽しんでいる様子をその倉庫の最上階にある会議室でその映像を眺めていた初老の男性が座っていた椅子の手すりを自身の手で叩きながらその怒りを表している。

 

その様子をこっそりその場所へと潜入していた私は、その死角から…。

 

「やっぱり…。希の言うと通りだったね?」

 

「く…クリス・レイアスタッド!!なぜここに!!」

 

彼の死角からその姿を現しながら声をかける私に気づいた彼は、座っていた椅子から立ち上がりこちらの方を振り返りながら驚きの声をあげる。

 

「希が、教えてくれたの?あんたの事だから一番いいところは、そのすぐ側でみているだろうって…。美味しい所だけ自分ものにするために…。あの子の時と同じに…って…」

 

「バカな!!ヤツは…。槙村希は、虫の息の状態で次元の狭間にこのワシ自身の手で…」

 

私の声に対しその初老の男性は、まるでそれを否定するかのように大声をあげる。

 

「そうよ?だから、希…こんな姿になってまでもこの時代の私達に教えてくれたの?」

 

「ま…まさかその剣…」

 

声を荒げる彼に対し私は、それに答えながら手元に赤い大刀を呼び寄せそれを彼に見せる。

 

その剣は、通常の大刀…と言うよりいくつもの変形可能なシステムが組まれたメタリック調の装飾が施された剣。色は、彼女の魔力光なぞらえ…ガーネット…。

 

「…あんたは、この子と…そして、この子が契約してその肉体を宿主としていた龍神石…「紅凰の石」を見くびっていた。このまま次元の狭間に放り込んでしまえば邪魔ものを消した上でその死体も出てこないだろうってね?でも、希達は、あんたが次元の狭間に放り込むその間際…口にした今回のこの計画の事をちゃんと聞いていたのよ!!あんた達が、ロストロギア「メイク・フューチャー」を使ってユアちゃんの時代のユウ達に変えられない死の未来を与えた上でこの時代のユウとユアを戦わせて弱った所でその場にいる全員を殺害し復讐を果すって事を!!自分達が、望んでいた人々の喚起をユアが受けていた事を自分勝手な理由で逆恨みしていた事をね!!!!」

 

「…なるほど…。だが、私がこの場でもう一度「メイク・フューチャー」を使ったとしたら…。いったいどうなる?」

 

私の声に対しその男は、冷静さを取り戻しながら着ていた服の中から黄金色に輝いている球体を取り出す。

 

「残念ながらそんな脅しは、通用しないわよ?(なんだと?)だって、そのメイク・フューチャー。通常なら、一回の使用に付き…1人の人間…その人生の中で、1日分の未来しか固定する事が出来ないんでしょ?それを2人分…。しかも、旅行に行く2週間前からその未来を固定するなんてムチャな事…。ロストロギア内にあるその力を一度に全部使わないと出来ないでしょ?」

 

「そんな脅し…。このワシに通用すると思っていたのか!!」

 

「だったら使って見なさいよ!!この場でそれを!!」

 

彼のその声に対しその全てをすでに知っていた私は、まるでその模範解答を読み上げるかのように答える。

 

それに対しその男は、にやけた表情を崩さないままその声に答える。そんな様子の彼に対し私は、まるで彼を追い詰めるかのように声を荒げる。

 

「うぬぬぬ!!だが、それは、貴様とてお…同じ事!!その剣が、紅凰の石の最終形態であるのであれば…。それを使用する事が可能なのは、蒼天、紅天の龍神石の契約者とその石と契約していたもの及び親族の関係者のみ!!(斬!!!)な…なぜ?なぜじゃ…お…お前は、槙村希の関係者でもその親族でも…龍神石の契約者でもないハズ…。それに!!ヤツの親族の関係者で連中がらみといえば…。ヤツの母親とアルト・クラエッタが学生時代の友人だったのみのハズでは…?」

 

私の声に対しどうやらそれが本当だった様子の彼は、悔しさを露にする。でも、次の瞬間…まるで新たな手段を思いついたかのように声をあげる。

 

それを聞いた私は、手にしていた剣を振り下ろし彼の側にあった彫刻を切り裂いて見せる。

 

砕けたその彫刻を見た彼は、自身の部下にでも調べさせたのであろうその件の使用条件とそれに該当する希の母親とアルトの関係について声をあげる。

 

「それは、あなたがいる時代での話。その時代…私…彼女と再会する前に死んでいたみたいだから?(な…なんじゃと!!バカな!!)そうよ?まだ…タツミが、生きていた頃…。この子に会っていたの?希は、お母さんと一緒に私達の家のすぐ近くに住んでいてね?その母親とウチの両親が同じ職場で働いていた関係でよく近くの公園やウチで、母親が迎えに来るまで私とタツミで彼女の面倒をみていたの。私達や希にあんな事さえなければ今頃、希とタツミは…きっと…」

 

「バカな!!と…当時、ふ、風華のあの地域には、再開発の予定があって大規模な地上げを行い反対するもの共を炙り出すためにそいつ等見つけ我々に連絡してきた者達には報奨金を与える事でその地域の連中に猜疑心を植え付け…。それにヤツの別れた父親が、ヤツによほどの執着をあったらしく…その仲が良かった反対派を根絶やしにするのを手伝わせるのを条件にその家も…。ま…まさか!!き…貴様の両親は!!」

 

私の話を聞いた彼は、驚きの声を上げ同様しながらも彼が知る当時の事を語り始める。そして私の両親と希のお母さんの関係に気づいたのを聞いた私は…。

 

「そうよ!!私の両親は、その再開発に最後まで抵抗し続けた反対派のメンバー…そして!!今、あんたが言っていたその仲が良かった反対派のメンバーっていうのが私の…私とタツミの両親よ!!」

 

彼に対し私が声を荒げる。そんな中…私の中で…何かが切れた…。

 

「あんただったのね?ウチの両親を…タツミを…あんな目に合わせたのは…」

 

「み…みなのもの!!出会え!!出会え!!!」

 

「「「「「「「「ハッ!!!!」」」」」」」」」

 

私は、手にしていた剣をまるで鞘に収めいつでもその鞘からその刀がように構えながら彼に向かって歩き始める。

 

そんな私の様子に彼は、周囲に待機させていた自身の部下達を招集。

 

でも…。

 

「「「「「「「「「「「「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」

 

私に襲いかかってくる連中に対し私は、その歩みを止めぬまま歩き続ける。

 

周囲には、襲ってきた連中の断末魔の叫び声と血飛沫が飛び散り構えたままの剣のその切っ先から滴る人の血が地面に滴り落ちる。

 

うめき声をあげその場に倒れ込んだ連中の山をまるで何事も無かったかのように私は、静かに…そして、自身の中で湧き上がるその怒りを胸に秘め…彼に一歩一歩近づいていく。

 

「あ…あれが、クリスの…」

 

「そう。クリスの「紅夜叉」。でも…あれでも本気の半分程度。(嘘ッ!!ボク!!その剣筋すら見えなかったよ!!)やっぱり…希ちゃんに人殺しはさせたくはなかったのね?クリス?」

 

彼にあと2、3歩といった所で私がいた場所には、病院にいったハズのミツキとツバサがその様子を見ていた。そして、ミツキが私に声をかけた所で私はその歩みを止めた。

 

そして、彼女の方を振り返りこう答えた。

 

「まったく…。あんた…は…。ツバサを病院に連れて行くって話は、いったいどうなったのよ?」

 

「ちゃんと連れて行ったわよ?そこにたまたま力君の所のシャマル先生がいたから力君みたいに治してもらったの」

 

「たまたま…ね…」

 

ミツキの声を聞いた私は、大きく深呼吸した後いつもの調子で声をあげる。すると、ミツキは、その声をいつもの調子で答える。

 

大方…。私が、この場にいた全員を殺してしまうのではないか?と心配したミツキが力君の世界にいるシャマル先生をユン先生の病院まで呼び出してツバサのケガを瞬殺で治してもらった上でこの場に駆けつけてきたんでしょうけど?

 

でも、ミツキが言っていた事は本当の事。だって…未来の…それも死んだタツミと結婚の約束までしていたあの子に人殺しなんてさせたくないもの。

 

…例え…その姿が変わってしまったとしても…。

 

「わ…ワシを…。このワシを!!殺さなかったのをこ…後悔させてやる…(カチッ!!)」

 

私がそんな事を考えていた所、その場に倒れ込み失禁までしていた彼は、服の中から何かのスイッチを取り出し…往生際の悪い事を始めた。

 

「あらあら。そのスイッチ…。大方、私達じゃなくって、直接ユウ達を狙って仕込んで予め仕込んでおいた召喚魔法発動させて数で責めようって所かしら?」

 

「そうだ!!ざまぁーみろ!!今頃連中は!!」

 

――――――――――――――――――――――ッ!!!

 

彼がそういった途端…。私達の地面から大量の爆発音が聞え始める。

 

「ハァーーハッハッハ!!これで、私の勝ち…(ガン!!)グフッ!!な…なんだ!!こ…これは、私が召喚したロボット兵器の…」

 

自らの勝利を確信した彼は、その場から立ちあがりながら大声で笑い始める。でも、次の瞬間…。地面から下からの爆風によりこの部屋の地面を突き破ってきたものが彼の腹部に直撃。それが当たった場所に手で押さえ前のめりながら彼は、自身に当たったそれが先ほど召喚しユウ達を攻撃させたロボット兵器の残骸である事を確認しそれを声にあげる。

 

「そんな事、ユウでも気が付くわよ?(何っ!!)それに、ミツキがなんで畢や力君…それに飛鳥(D)や北斗さんにまであんな屋台を開かせたのか…。ちょっと考えればわかるはずよ?あんたが仕かけていた罠にかかったフリした上でそれを撃滅出来る状態しているって事くらい?」

 

「そんなバカな!!」

 

彼の様子をみた私は、呆れた様子でそれに追い討ちをかける。

 

私の話をまったく信じていない様子の彼は、声を荒げる。

 

すると…。

 

(ディバイーーーーーーン…バスターーーーーーーーー!!!)

 

――――――――――――――ッ!!

 

今度は、彼のすぐ側を桜色の閃光が地面から飛び出しその頬をかすめる。

 

「さすが、高町さん。こっちの要求通りの精密射撃。おみごと」

 

「そんな…バカな事が…」

 

ミツキの声を聞きさらにその砲撃に対し彼は、自身の頬から出る血をぬぐう事すら忘れ地面に座り込み茫然自失な様子。

 

「それじゃ、現場の様子を見てみよか?現場のティアナちゃん?ティアナちゃん?」

 

すると、その様子を見ていたツバサがその場に画面を開きまるでニュース等で中継先を呼ぶかのようにティアナを呼んでいた。

 

…ティアナ…本当にやるの?中継先のアナウンサー役?

 

 

 

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