やはり俺達が世界の銃爪を引くのは間違っていない   作:シャルルヤ·ハプティズム

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35話:彼等は、新たな戦いと邂逅する。

ROUND2終了後、宇佐美と千佳と別れた修と遊真は、米屋・古寺・緑川とともに、個人ランク戦ブースに来ていた。ブースに来てすぐに、遊真と緑川は、対戦を始めた。その対戦は、丁度終わったところだ。

 

 

緑川「あー、だめだね。やればやるほど勝てなくなってくるなー」

 

遊真「よし、だんだん分かってきたぞ」

 

緑川「よねやん先輩、トータルいくつ?」

 

米屋「21対9だな」

 

緑川「それ、10本勝負でどれくらい?」

 

古寺「ちょうど 7対3 だね」

 

7対3か。緑川の腕も上がってるな。

 

緑川「7対3 か〜。前よりはマシだけどな〜」

 

遊真「成長してるぞミドリカワ」

 

米屋「前半は割と五分ってたじゃん·······お?荒船さん、個人ランク戦すか?」

 

談笑していたところに、荒船さんが来た。

 

修「あ、荒船さん。さっきはどうもありがとうございました」

 

荒船「お待ちも来てたのか。そして、ありがとうございましたってどういうことだ?」

 

修「いや、言葉通りの意味ですよ?」

 

それ以外にどうしろと·······

 

荒船「·····まぁそういうことにしといてやる」

 

緑川「どしたの?荒船さん。2人に負けて熱くなったの?」

 

荒船「あ?てめー俺が負けるって予想してたらしいじゃねえか」

 

今日はヘッドロックする光景をよく見るな·····さっきも、宇佐美さんが菊地原さんにやってたし。

 

緑川「遠距離に逃げてちゃ近距離には勝てっこないよ?」

 

荒船「いい度胸じゃねえか。ブース入れ。ぶった斬ってやるから」

 

その時、周りがざわついた。

 

修「······?」

 

あの人は確か······攻撃手4位の村上さん?周りもそう言ってるし、あってるな。

 

荒船「·······綱」

 

村上「荒船か。こっちにいるのは珍しいくないか?あ、試合見たぞ?弧月使ったの久々だな」

 

荒船「····見んなよ」

 

遊真「また人が増えたな」

 

緑川「攻撃手5位の村上綱さん。遊真先輩達の次の相手の鈴鳴第一の人だよ」

 

遊真「ふむ······攻撃手5位か·····」

 

そこで、村上さんと遊真の目が合った。

 

村上「はじめましてだな。鈴鳴第一の村上綱だ」

 

遊真「ご丁寧にどうも。玉狛第2の空閑遊真です。そこにいるのが隊長のオサムです」

 

遊真が僕の紹介もしたので、会釈する。

 

修「はじめまして。玉狛第2隊長の三雲修です」

 

村上「よろしく。鈴鳴第一の村上綱だ」

 

米屋「·····綱さんもこっちにいるの珍しいっすね。もしかして、こいつの対策?」

 

村上「そんなところだ。荒船を斬り倒す新人攻撃手に、弧月を抜かせたチーム戦術。かなり手強いだろうからな」

 

随分と買ってくれてるな。あと、荒船隊が噛ませみたいだ。

 

荒船「俺を噛ませみたいに言うな」

 

村上「緑川がいてくれてよかった。対策付き合ってくれ」

 

村上さんがそう言うと

 

緑川「やだね」

 

緑川は両手でバツの字を作って拒否した。

 

緑川「今ごっそりポイント取られたんだもん。今日これ以上ポイント減らしたくない」

 

緑川が負けること前提で話してるな。4位が名前だけなわけがないか。流石に。

 

米屋「俺でよければやりますよ〜」

 

村上「それはありがたいんだがお前グラスホッパー使わないだろ」

 

米屋「ありゃそっちの対策か·······」

 

そこで、遊真が口を開く。

 

遊真「·····じゃあ、俺とやろうよ。直接対策した方が早いし、こっちもそっちの戦い方知りたいし」

 

村上「······それは」

 

荒船「やめとけ。次の試合が不利になるぞ」

 

修・遊真「「········?」」

 

米屋「う〜ん、口出すのも出さねーのもあんまフェアじゃない気がすっけど、まぁ、荒船さんの言う通りにしとけ。勝負は試合までとっとけよ」

 

どういう意味だ?何か仕掛けがあるのか?

 

遊真「ふむ····余計戦いたくなってきた」

 

緑川「遊真先輩·······」

 

遊真「こっちが戦うと損するってとこは分かった。3人とも嘘ついてないのが分かるし。でも、なんでなのか知りたくなった」

 

村上「······なるほど。データが少ない分、願ってもない話だ。ただ、2つ頼みがある。一つは10本勝負。2つ、5本目が終わったら15分のインターバルをとる。それでいいか?」

 

遊真「いいよ」

 

何で15分のインターバルが必要なんだ?そこに仕掛けがありそうだな。確か······向こうで、記憶能力がやたら強化されたサイドエフェクトを持った奴がいたが、その類いか?

 

 

 

ラウンジ。

 

迅「やぁ、熊谷ちゃん」

 

そう言うと、迅は熊谷の尻を触る。そして、熊谷に思いっきり殴り飛ばされる。

 

迅「·····相変わらず健康的なパンチだ······」

 

迅の右頬は真っ赤になり、煙が出ている。

 

熊谷「迅さん······いい加減にしないと、ガチで訴えますよ?」

 

迅「アハハハ、まあまあお詫びにいいこと教えてあげる。今、個人戦のブースで、熊谷ちゃんの次の相手2人が10本勝負してる。でも急がないと、終わっちゃうかもね」

 

 

 

 

あの後、結局遊真は 6対4 で負けた。村上さんのサイドエフェクトは、〈強化睡眠記憶〉というらしい。古寺さんと米屋さんに聞いた。

 

 

村上『俺の脳は、人より少し極端らしい。〈強化睡眠記憶〉····それが俺のサイドエフェクトだ』

 

遊真『こりゃ手強いね』

 

 

その後、遊真と村上さんは、チーム戦後にもう一度ランク戦をする約束をもう取り付けていた。早い。

 

修「どうだった?攻撃手4位は」

 

遊真「想像以上だ。·······でも、チーム戦は俺にやらせて欲しい」

 

修「分かった·······米屋さん」

 

米屋「ん?どーかした?」

 

修「あそこでさっきから2人のランク戦見てた人誰ですか?」

 

バレないように、指を差す。

 

米屋「あいつか?あいつは、那須隊の攻撃手の熊谷だよ。お前らの次の相手じゃなかったか?」

 

修「そうですね。挨拶してきます」

 

米屋「おー」

 

 

 

 

少し移動し、熊谷さんという方に、挨拶する。

 

修「那須隊の熊谷さんですね?」

 

熊谷「·······あんたは?」

 

修「玉狛第2の隊長の三雲修です。次のチーム戦はよろしくお願いします」

 

熊谷「·····よろしく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュース「本国に関することは、如何なるものでも回答するつもりはない」

 

林藤に連れられて、ヒュースは会議室にいた。その場には上層部以外に菊地原がいる。

 

鬼怒田「·······全く。玉狛に置くと捕虜まで態度がでかくなるわい。近界民よ。我々は玉狛と同じではない。必要ならば荒っぽい手も使う。貴様らにこちらの法は通用せんからな」

 

そこに忍田が反論する。

 

忍田「鬼怒田さんの話は性急すぎる。捕虜をもう少し丁重に扱ってはどうだ」

 

八幡「(·······何に使えるかは分からないんだがなぁ····)」

 

八幡は、アフトクラトルの、特にハイレイン側の内情を少しは知っていたため、忍田に反論はしないもののヒュースがアフトクラトルとの取引に使えるかは分からなかった。

 

忍田「八幡、向こうでは捕虜の扱いはどうなっているんだ?」

 

八幡「そっすね·······情報目当てで拷問とかはあんまやらないですね」

 

忍田「何故だ?」

 

八幡「助かりたくて適当なこという場合がありますから。まともな情報を手に入れたいなら、それなりの人数を用意して情報のすり合わせしないといけなくなるんで。憂さ晴らしとかで拷問とかはありますけど」

 

ヒュースが捕虜なら、いくら反論しても最終的にこちらが強引に決めることも出来るが、捕虜を丁重に扱うべきとの忍田に、八幡は反論しようとは思わなかった。ヒュースの育ての親である、«エリン家»ではヒュースは家族に近い扱いなので拷問しようものならば、もし交渉にヒュースを使う場合、こちらが不利になるかもしれないということもある。

 

忍田「ヒュースだったな。私は、この組織の軍事指揮官の忍田だ。私個人としては、君を捕虜として全うに扱いたいと思っている。君が一兵士で、命令に従ったことも分かっている。あくまで、責任を君一人に負わせようとはしていない」

 

忍田は、エネドラがミラに串刺しにされた場面を間近で見ていたので、ミラが初めからエネドラを殺すつもりで、ヒュースも初めから置き去りにされることが決まっていたのでは、と踏んでいた。八幡から、ヒュースを置いていくことが決定事項として扱われていたことを聞きていたため、忍田はそれで間違いないと思っていたため、流石に口を割るだろうと考えていた。

 

忍田「·····込み入った事情は私には分からないがアフトクラトルが君を故意に見捨てたなら、もう忠義を立てなくもいいのではないか?」

 

ヒュース「·······侮るなよ。遠征に出る以上死ぬことも覚悟の上だ。それしきで本国の情報を漏らしたりしない」

 

菊地原が内部通信で城戸に話しかける。会議室のように一部の設備があれば、トリオン体というだけで内部通信を使用することが出来る。

 

菊地原『心音に変化はないです。これ以上の揺さぶりは無駄ですね』

 

城戸「·······分かった。今日はここまでにしよう。林藤支部長、ご苦労。さがらせろ」

 

林藤「了解」

 

城戸「鬼怒田開発室長は開発室に戻って元々の任務を。比企谷は空閑隊員を開発室に連れていけ」

 

八幡「分かりました」

 

城戸「今回の会議はこれにて解散とする」

 

 

 

 

 

八幡は、修と遊真を探しにランク戦ブースに来ていた。もうボーダーに馴染んでいる遊真は、ランク戦をしているだろうと踏んだのだ。修は、遊真の付き添いにいるだろうとも考えていた。

 

八幡「お、いたいた」

 

遊真「ハチマン先輩じゃん。どうしたの?」

 

遊真と修は、村上や荒船達と一緒にいた。

 

八幡「どうも鋼さんに荒船さん。修と空閑、ちょっと借ります」

 

修「何かあったの?」

 

八幡「鬼怒田さんがお呼びだ」

 

修「分かった。すいません、失礼します」

 

米屋「じゃあな~。次は俺とも頼むぜ〜」

 

八幡「あ、米屋いたんだ」

 

米屋「ハッチ酷い!」

 

 

 

 

 

修と遊真は、八幡に連れられて会議室に来た。

 

鬼怒田「遅いぞ八幡。やっと来たか空閑。で、何で三雲までおる?」

 

八幡「えぇ、その言い方はないでしょ·····」

 

修「えっと·····?」

 

遊真「何で呼ばれたんだ?」

 

鬼怒田は八幡と遊真の突っ込みを軽く躱し、雷蔵に指示を出した。

 

雲母坂「まぁいい。雷蔵、あれを起こせ」

 

雷蔵「了解です」

 

修・遊真「「··········«あれ»?」」

 

八幡「あぁ、あれだよ」

 

そう言って八幡は指で2人の疑問の答えを指差す。

 

修「·······黒いラッド?」

 

強化ガラスで仕切られた空間の向こう側には、台に黒いラッドが置かれていた。

 

雷蔵「トリオン注入します」

 

修の疑問には誰も答えず、雷蔵が黒いラッドにトリオンを注入する。トリオンを注入されたラッドから黒い角が生えた。

 

 

「やっと来やがったか。遅せぇんだよ······」

 

 

黒いラッドからは修に聞き覚えのある声がした。

 

修「この声·····エネドラ?」

 

黒いラッドから聞こえた声の正体は、エネドラのものだった。

 

鬼怒田「察しがよくて助かる。彼奴は、死体の角をラッドに移植したものだ。奴らの角には、生体情報を収集する機能があるようでな。しかも、こいつの角は脳の一部と同化していた。人格や記憶までバックアップされとったようでな」

 

修「人格までバックアップ出来るのか·······(レプリカみたいな自律型のトリオン兵がいるから、おかしくはないのか?)」

 

遊真「なるほど。だからあっさりヒュースを見逃したのか」

 

八幡「そういうこった。代わりに、俺達の力を貸す。林藤さんの城戸さんとの取引らしい」

 

遊真「OK。俺の役目は分かった」

 

 

 

そこから、エネドラへの質疑応答に近い形の尋問が始まった。

 

鬼怒田『近界民よ。これから質問に答えてもらう。つまらん嘘をついたらトリオンを抜いて川に捨てるからな』

 

エネドラ『あ~はいはい。とっとと始めろよ』

 

鬼怒田『まず一つ。貴様らの侵攻の目的は何だ?』

 

エネドラ『あ?んなもん兵隊として使うからに決まってんだろ。ウチ以外からもちょろちょろ来てんだろ?』

 

鬼怒田『そんなことは分かっとる。聞きたいのは、何故今回に限って、黒トリガー4本というまたとない大戦力までつぎ込んだのかということだ』

 

エネドラ『そりゃ、アフトクラトルの「神」がもうすぐ死ぬからさ』

 

八幡・修「「(······やっぱり神問題か)」」

 

やっぱり、と八幡と修の2人は同時に考えていた。

 

エネドラ『ウチの国の「神」は、あと何年かで死ぬ。そうなりゃ、風も吹かねえ。雨も降らねぇ。夜も明けねぇ。だからあちこち遠征してんだよ』

 

鬼怒田『うちから攫った隊員を生贄に、か?』

 

エネドラ『そう簡単にお眼鏡に適ったら苦労しねぇよ。「神」がショボけりゃ星も小さくなる。そうなりゃ、今いる雑魚市民が飼えなくなる。ウチが「神の国」だなんてダッセェ名前で呼ばれてんのはねちねち「神」を厳選してっからだ。·········お?そいつらがまだここにいるってこたぁ、ハイレインのヤロウしくったか?ざまぁねぇな!』

 

エネドラは八幡と修を見て言う。

 

鬼怒田『黙ってとれ。質問するのはこちらだ』

 

エネドラ『早くしろよ』

 

鬼怒田『黙れ。·····何故貴様は基地に侵入して一般人を殺した?』

 

エネドラ『俺の仕事は撹乱さ。砦に乗り込んで雑魚をぶっ殺してこいってな。命令だから仕方ない』

 

遊真「はい嘘」

 

エネドラの嘘は、遊真のサイドエフェクトによってあっさり見抜かれた。

 

鬼怒田『いらんことを抜かすな。情報自体は他の捕虜から手に入れとる』

 

エネドラ『他の捕虜ぉ?·······ヒュースか!ざまぁねぇな!あいつ置いていかれやがったか!········けど嘘はいけねぇなオッサン。あの犬っころが国裏切るわけがねぇ。死んでも情報吐かねえだろうよ』

 

八幡「分かってたか······」

 

 

 

 

そこからも尋問は続き、エネドラはヒュースに比べるとかなりの量の情報を話した。遊真のサイドエフェクトにも、殆ど引っかからなかった。今は、エネドラからトリオンを抜ききったところだ。

 

遊真「·······う〜ん。部分的にだけど、嘘ついてたね。でも、こっちの味方をするってのは本当っぽい」

 

鬼怒田「ふん·······まだ聞きたいことはいくらでもある。尋問の時には、また来てもらうぞ」

 

遊真「いいよ。夜とか大体空いてるし」

 

八幡・修「「(空いてる、か········)」」

 

八幡と修にとって、その発言には思うところ、がやはりあった。

 

 

 

 

 

 

 

あの後、そのまま家に直帰する八幡と別れ、修と遊真が本部を出た時に修に電話が掛かってきた。

 

 

修「ごめん、電話がきたから待っててくれ」

 

遊真「いいぞ」

 

遊真から少し離れた場所で電話に出る。

 

修『もしもし·······どうも、お久しぶりです。·······頼み事?······はぁ、分かりました』

 

 

遊真「誰からだったんだ?」

 

修「親戚だよ」

 

僕自身の親戚ではないが、三雲家の親戚ではある。結構な遠縁だけど。嘘は言ってない。

 

遊真「そうか」

 

ヒュースのこともあるし、後で兄さんにも相談しとかないと。

 

 

 

その日の夜、玉狛支部。

 

桐絵「······遊真が負けた?誰に!?太刀川?風間さん?」

 

桐絵が想像以上に驚いていた。

 

遊真「むらかみ先輩って人」

 

桐絵「村上·····綱さん!?」

 

宇佐美「あちゃ〜先に戦っちゃったか。帰ったら話そうと思ったんだけど······」

 

修「サイドエフェクトですか?米屋さんと古寺さんから軽く聞きましたけど」

 

あんな感じのサイドエフェクトを持った奴は、向こうでは、強かったけど、突然想定外の攻撃をすると、割と脆かった気がする。

 

宇佐美「綱さんのサイドエフェクトは攻撃手界隈では知られた話だよ」

 

遊真「なるほど。だから15分の休憩を挟んだのか」

 

レプリカ『オサムは、あのようなサイドエフェクトを持った敵と戦ったことはあるのか?』

 

修「少しね。あの時は····確か、僕が引き付けて兄さんに奇襲をかけてもらった筈」

 

遊真「ふむ·····奇襲か·····」

 

桐絵「それで?何対何で負けたの?」

 

遊真「6対4 。後半で5本一気に取られた。あれ以上やったらもっと取られてたな。でもまぁ、先に戦っといてよかったと思うよ。情報ないと対策立てらんないし」

 

そして、遊真は部屋から出ていった。

 

桐絵「·····修はどうするつもり?」

 

修「今回は、村上さんに遊真をぶつけようと思う」

 

桐絵「······何で!?」

 

修「その方が楽なんだよ。条件があえば狙撃出来るかもしれないけど。今回は遊真がそうしてくれって言ったし」

 

桐絵「修はどうすんのよ」

 

修「僕は、村上さん以外の鈴鳴と那須隊から点を貰っていこうかと。那須隊に用事が出来ちゃったし」

 

桐絵「用事?······修?」ジトッ

 

う〜ん、やましいことは何もしてないのに心が痛む·····

 

修「大丈夫、桐絵が考えてるようなことじゃないよ。ちょっと頼み事を引き受けただけだよ」

 

桐絵「·····最近色々と抱え過ぎじゃない?」

 

心配してくれるのはありがたいけど、そんなに色々抱え込んできたわけじゃないし、これからするつもりもない。

 

修「大丈夫だってば。何かあったら頼るかもしれないけど」

 

桐絵「そこはどんどん頼って欲しいわ」

 

修「じゃあ、何かあったら頼むよ」

 

桐絵「任せてちょうだい!」

 

修「ありがとう桐絵」

 

桐絵「いいのよ。あたしと修の仲なんだから」

 

その頃·····

 

宇佐美「(誰かー!ブラックコーヒー持ってきてー!!)」

 

一瞬で空気と化した宇佐美は、心の中で思いっきり叫んでいた。

 

 

 

 

翌日。ボーダー鈴鳴支部。

 

来馬「······昨日玉狛第2の子と戦ったんだって?」

 

村上「はい。4対6 で勝ちました」

 

来馬「綱相手に4本か····!相手まだ中学生だろう?凄いね!」

 

今「でも、綱君が勝ったんならもう一対一なら負けないわね」

 

村上「それはどうだろう。昨日は全力じゃなかっただろうし、なにより·······」

 

来馬「どうかしたの?」

 

村上「あそこの隊長は色々やばそうな気がしたんですよね。昨日戦った子より」

 

来馬「隊長がかい?昨日は狙撃で凄い技やってたけど、接近戦なら綱は負けないよ」

 

村上「ありがとうございます来馬先輩」

 

村上「一対一の場面があれば俺が倒します。でも、チームで仕留められるならそっちの方がいいです」

 

来馬「そうだね。太一とも連携して·······」

 

 

 

 

 

同時刻那須邸。

 

熊谷「······これ、昨日の村上先輩と空閑君の10本勝負ね。空閑君の情報少なかったからデータが貰えて助かったよ」

 

志岐『村上先輩相手に前半 4対1 とかヤバイっすね』

 

熊谷「荒船さんと駿君にも勝ってるし、昨日のランク戦見ても間違いなくこの子が玉狛第2のエースだろうね」

 

修 対 緑川のデータは、那須隊は手に入れられなかった(本当は、修と八幡が裏で画策して、ROUND2の直後、裏で色々やってデータを全消しした。あと、風間を圧倒した噂も完全に消してて、那須隊はその噂を知らない。やりすぎである)。

 

那須「そうだね。三雲君も狙撃が凄いとは思うけど、メインで動いているわけじゃないし」

 

志岐『作戦とかもこの空閑君が考えてるんですかね?』

 

熊谷「そうなんじゃない?昨日三雲君には会ったけど、そこまで強そうには感じなかったし」

 

感じさせないのは、修がそう装っているからである。

 

那須「この雨取ちゃんも、トリオンが凄いけど·····」

 

志岐『なんだかんだで1点も取ってないですからね。大砲での«崩し役»がメインっぽいです。ポイント取りに来るのは空閑君ですね。他の2人は空閑君に取らせるための援護ですかね?』

 

那須「そうでしょうね。しっかりイメージしておけは、問題ないわ」

 

熊谷「問題は鈴鳴だよね·····昨日も乱戦に持ち込んだけど、結局村上先輩を崩せなくて······これで、鈴鳴には6連敗か·····荒船隊くらいとんがったやり方じゃないと有利取れそうにないわ·····」

 

志岐『それなんですけど、今月1日の第一戦で、諏訪隊が2人残して勝ってるんですよね。鈴鳴に』

 

熊谷「うちが防衛任務の時?」

 

志岐『はい。見逃してました。その試合、諏訪隊は攻撃手の火力を捨てて、村上先輩の間合いに絶対に入らないようにしてました。村上先輩さえ封じれば勝てるっていう戦法だと。このあたり、鈴鳴と玉狛は似てますよね。攻撃手が強くて、他はそうでもない』

 

熊谷「確かにそうかも·····」

 

志岐『だから、うちも那須先輩の間合いで戦うのはどうでしょう。中距離に限って言えばうちがかなり有利だと思います。諏訪隊ほど火力あるわけじゃないんで、引き気味に戦うことになりそうですけど』

 

熊谷「じゃあMAPもそれに因んだ所選ばないとね」

 

那須「·······あとは、茜ちゃんがどうなるかね·····」

 

熊谷「········そうだね」

 

志岐『········そうですね』

 

 

 

 

同時刻。日浦家。

 

茜「お願いしますお父さん。どうしてもボーダーにいたいの!」

 

茜は、涙を浮かべて頭を下げる。その茜の必死な懇願に、茜の母親・葵が折れた。

 

葵「少し話を聞いてあげてもいいじゃないの?この子がここまで言うのは初めてなんだし」

 

妻の言葉を聞いた茜の父親・碧也も折れる。

 

碧也「分かった。なら、条件を変えよう。俺の知り合いにボーダー関係者がいるんだ」

 

茜「··········!!!」

 

碧也「その知り合いに、お前のチーム戦の様子を見てもらう。お前がボーダーに残れるかはその結果を見て考える」

 

茜「ありがとうお父さん!じゃあ私、玲さんの家行くね!行ってきまーす!」

 

機嫌を取り直した茜は、すぐさま家を飛び出して行った。

 

 

 

葵「全く·······あなたっていう人は·····」

 

碧也「ここまで食い下がる茜が初めてだって言ったのは葵だろ?修には申し訳ないけど協力して貰う」

 

葵「はぁ、後で修君に謝っときなさいよ。こんなことに付き合わせて·······」

 

 

 

 

 

再び那須邸。

 

茜は、全力疾走で那須邸まで走って行った。呼び鈴を受けて出てきた那須は、茜が肩で息をして、汗だくになっていることに驚きつつも、自室に茜を招いた。

 

 

那須「茜ちゃん慌ててどうしたの?」

 

茜「実は·······

 

 

 

ということらしくて······」

 

茜は、先程の父親との話を全て話した。

 

那須「その知り合いって誰なのかしら?」

 

茜「分かりません······お父さんの知り合いにボーダーの関係者がいること自体初めて知ったので·····」

 

熊谷「ほら茜!今その茜のお父さんの知り合いのことを考えても分からないんだから!今私達がやるのは、ランク戦を全力でやることなんだから!」

 

茜「·····はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、玉狛支部屋上。

 

遊真は、レプリカと夜空を眺めていた。そこで、屋上に通じるドアが開く。林藤が出て来て、遊真にカップに入ったホットミルクを渡す。

 

林藤「寝ないのか?遊真」

 

遊真「俺は眠らなくていいんだ。この身体になった時から」

 

林藤「······八幡と同じか·····」

 

遊真「?何でハチマン先輩が出てくるの?」

 

レプリカ『ハチマンも普段はトリオン体だからだ』

 

遊真「どういうこと?」

 

レプリカ『ユーマと同じだ。ハチマンも、昔死にかけて、父親が黒トリガーになるとこで生き延びたらしい』

 

林藤「あいつはこっちに戻って来た時に、生身の治療が間に合ったから黒トリガーとは別のトリオン体なんだ。生身だと、右目と左腕が欠損しちまったけど」

 

遊真「そうだったのか·····」

 

林藤「·········ってか、お前派手に負けたんだって?また修が心配してたぞ?」

 

遊真「全く······オサムは面倒見の鬼だな。俺は別に凹んでなんかないよ。俺が強くなったって、周りだって鍛えてるんだから強くなっていく。オサムも分かってると思うんだけどな」

 

林藤「ははっ、そういう所も含めて面倒見の鬼なんだろ」

 

遊真「·····にしても、ランク戦の仕組み作った人はなかやか考えてる。特に、誰も死なないところとか」

 

林藤「はっはっは、作ったのは俺と鬼怒田さん。あとは八幡と陽乃だよ」

 

遊真「なんと、ボスだったのか。あと、ハチマン先輩とハルノさんとな?」

 

林藤「で、システム自体を考えたのは、お前の親父さんだ」

 

遊真「·····親父が?」

 

レプリカ『あのシステムはユーゴが考えたのか』

 

林藤「ボーダーが、まだボーダーじゃなくて、10人もいなかったような大昔に、ご機嫌で未来のこと語ってた。その頃は、小南あたりは、話が始まってすぐに寝てたな」

 

遊真「·····へぇ····そうか······」

 

林藤「遊べよ遊真。楽しいことはまだまだたくさんある。八幡達も、昔に比べてずっと表情が柔らかくなったんだ」

 

遊真「········」

 

2人のカップからは、温かな白い湯気が立ち込めていた。レプリカは、黙ってそれを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして··········B級ランク戦 第3戦 試合当日

 

 




情報に踊らされる那須隊が少し見たくなってしまった。ファンの方々申し訳ございません。作者は那須隊嫌いじゃありません(アンチなわけがない)。寧ろ好きです。
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