やはり俺達が世界の銃爪を引くのは間違っていない   作:シャルルヤ·ハプティズム

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37話:彼等は、"頼み事"を全うする。

ROUND3終了後。玉狛第2作戦室。

 

喜びの声をあげていた玉狛第2の面々。そこで、隊室のドアが開いた。

 

八幡「う~っす」

 

修「あ、兄さん」

 

遊真「ハチマン先輩どうしたの?」

 

八幡「あ〜······悪いんだが、修借りるわ」

 

修「あ、もう時間?」

 

八幡「ん?ああ。陽乃が外で待ってっから早くしろ~」

 

修「分かった。ということで、すいません先に失礼します。何かあったら、碧也さんの所に行った。と、言ってないおいて下さい」

 

宇佐美「いいよ〜·····碧也さんって誰?」

 

修「あ、親戚です。·····僕は失礼します。あ、そんなに時間かかるわけではないんで、後で玉狛に寄ります」

 

遊真「じゃな~」

 

修は、八幡と、外で待っていた陽乃と碧也の家に向かった。

 

 

 

那須「失礼します。三雲君はいますか?」

 

修達が去った十数分後、那須隊は玉狛第2の作戦室を訪れていた。

 

宇佐美「あ、玲ちゃん?ごめんね~修君もういないの」

 

遊真「確か······ヘキヤさん?の所に行くって言ってたよ」

 

那須「ありがとう。用件はそれだけなの。栞ちゃん、今度お茶しましょう」

 

宇佐美「いいね〜!あ、玲ちゃんまたね〜」

 

 

 

 

 

日浦邸。

 

修「お邪魔します」

 

八幡「お邪魔します」

 

陽乃「お邪魔しま〜す」

 

碧也「········よく来たな。上がってくれ」

 

修達3人は、日浦邸に来ていた。陽乃が来た理由は、ただの付き添いというのが、正直なところである。

 

碧也「······早速本題に入るんだが······ランク戦の映像を送ってくれて助かった。修は合格だと判断したんだろ?」

 

修「····そうですね。あの気迫があるなら、那須隊はもっと上に上がって行けるでしょう」

 

尚、ランク戦の映像は、八幡が終了直後に碧也に送っていた。

 

八幡「それで、碧也さんは娘さんをどうなさるんですか?こっちとしては、ボーダーに残って貰った方が都合がいいんですけど」

 

碧也「そうだな·······現段階なら、茜はボーダーにいて問題ないだろう。そこで、だ。お前達の一つ頼みがある」

 

修「またですか······?」

 

碧也「ああ··········

 

 

 

 

 

 

というわけなんだが、頼めるか?」

 

修「分かりました。そういうことなら、受けます」

 

陽乃「大丈夫?」

 

修「大丈夫です。桐絵は·······当初のように遊真と模擬戦させておけば、時間を作ることは可能です(本当はちゃんと教えたいけど)。今なら加古隊もいますし」

 

陽乃「あ、なるほど」

 

そこで、那須隊と茜が帰って来た。志岐は、他に任せて家に帰った。

 

茜「ただいま~!」

 

那須・熊谷「「お邪魔します」」

 

茜「·····って、何で八幡先輩いるんですか!?陽乃さんに······三雲君まで?」

 

修「お邪魔してます」

 

八幡「知りたいが一人だけなんて誰も言ってないだろ。·····あ〜突然で悪いんだが、今日からお前ら俺達の弟子な」

 

熊谷「は?」

 

八幡「あ、那須の師匠は修な。この中で修が一番バイパー使うのが上手いから。日浦は今まで通り奈良坂に狙撃を習うと同時に、陽乃が近接戦闘を教える」

 

陽乃「よろしく~」

 

八幡「で、熊谷には、弧月での立ち回りと、射手用トリガーの扱いを俺達3人で教える」

 

那須「ちょ、ちょっと、いきなりどうしたの?ていうか、師匠!?」

 

八幡「まぁ事情を説明するから」

 

 

 

 

俺達は、日浦達に説明を始めた。

 

八幡「先ず最初に言っておく。日浦茜、お前は「神」だ」

 

茜「·····神?」

 

熊谷「·········は?」

 

八幡「ああ。向こうの世界······俗に言う近界にたくさんの国があるのは知ってるよな?」

 

茜「何となくは聞いてますけど·······」

 

八幡「お前は、その中の国の一つ、アフトクラトルの従属国の一つでもあるロドクルーンの母トリガーの適合候補者だ」

 

那須「母トリガーって言うのは?」

 

修「母トリガー····近界の国は、国そのものが巨大なトリガーなんです。先の侵攻でアフトクラトルが攻めてきた理由が母トリガーなんです。母トリガーは数百年に一回死んで、新たな適合者を見つけられないと国そのものが死ぬんです。超巨大な黒トリガーだとでも思っていただけると」

 

母トリガーの適合候補者は、「神」と呼ばれている。日浦が神だって分かったのは、碧也さん達が凄いんだが。

 

熊谷「······なるほど」

 

八幡「······で、ロドクルーンっていう国が、今こっちに接近している。日浦の存在が向こうにバレてるかってのは把握してないが、万に一つが起こらないとも限らないからな」

 

那須「それで突然師匠とか言い出したのね」

 

八幡「ああ。で、ここまでで何か質問は?」

 

茜「あの〜」オソルオソル

 

日浦が恐る恐る手を挙げた。

 

八幡「ん?」

 

茜「お父さんもお母さんもボーダーじゃないけど話してて大丈夫何ですか?」

 

そうか。碧也さん達は日浦の中では一般人か。何も聞かされてないのか。

 

八幡「あ、そこからか。言って大丈夫ですか?」

 

碧也「ああ。問題ない」

 

八幡「そっすか。問題ない理由。それは······日浦碧也と日浦葵が元々ロドクルーンの国民だからだ。こっちで言う近界民ってところか?」

 

茜「え?····う、嘘········じゃあ、私、は、近界民?」

 

日浦は、自分の両親が近界民だと知って、取り乱し始めた。

 

那須「あ、茜ちゃん落ち着いて·····」

 

八幡「落ち着け。せいぜい·····日本人か、アメリカ人かの違い程度でしかない」

 

熊谷「しかないって·······」

 

八幡「·····そもそも人型近界民ってのは、城戸さんが差別化するために作った造語でしかない。向こうの世界に住むのも俺達と何一つ変わらない人間だ。別段考えるような違いでもない」

 

向こうがトリガーの文明だってことくらいか?大きな違いは。

 

茜「何で·····そう言えるんですか?」

 

八幡「向こうの世界で嫌ってほど見てきたからな。·····話がズレた。で、何で俺達が2人が近界民かを知ってるかってのは、俺達がボーダーを設立する際に接触した人物の内の一人だからだ」

 

那須「まるで比企谷君達が設立したみたいな言い方ね」

 

八幡「いや、俺達3人は、ボーダー設立時からのメンバーだからな。修だけ一回抜けたけど」

 

熊谷「何で三雲は抜けたの?」

 

修「それは·······家庭の事情というやつです」

 

熊谷「·······ふ~ん」

 

熊谷は修の言い方に疑問をもってんな。

 

修「(·······流石に警戒されるか)」

 

八幡「で、日浦が母トリガーの適合者で、攫われるのを阻止したいってのが、俺達の話だ」

 

那須「じゃあ聞くけど、何で私の師匠が三雲君なの?」

 

八幡「俺が知る中で、修よりバイパーを上手く使える奴がいないからだ。修が日浦に狙撃教えるってのも考えたんだが実力差が離れすぎてるからな」

 

那須「でも、バイパーが出来たのってボーダーが今の体制になる直前に出来たって聞いたことがあるけど、三雲君が何でそこまで上手く扱えるの?」

 

八幡「あ〜これは現ボーダーにいる奴は誰一人として知らないんだが、バイパーってのはもともと修のトリガーの装備をグレードダウンしたものなんだよ。そのまま使おうとしたら修以外の奴が誰も使えなくってな」

 

本当にあん時はガチでびっくりした。弟が使ってたのがこんな扱いに困るレベルの色物だとは思ってなかった。バイパーまでグレードダウンしたら、最初は、威力が今の二割にも達してなかったからな······開発室ホント様々だわ。

 

那須「三雲君のトリガーって?」

 

八幡「クオリア······修の黒トリガーだ」

 

「「「黒トリガー!?」」」

 

八幡「黒トリガーの装備を、通常トリガーで使えるわけがなかっただけだがな」

 

修「まだ僕も完全に扱えるわけじゃないんですけどね」

 

八幡「というわけで頑張れ。あ、お前ら暫く玉狛預かりになったからな。これ辞令だから。ちゃんと上層部に話を通してある」

 

那須「いや、突然言われても······」

 

陽乃「鍛えるなら、玉狛の方が楽なのよ。知らないと思うけど、玉狛には空間を作るトリガーがあるから、スペースをいつでも確保出来るの」

 

熊谷「空間を作るトリガー!?」

 

空間に干渉するって凄ぇよな。門のシステムとかは未だによく分からん。スピラスキアってかなりおかしな性能してんな。

 

修「アフトクラトルにワープ出来る黒トリガー使いがいたんで、そこまで不思議な話じゃないですよ」

 

熊谷「そりゃ、そうかもしんないけど······」

 

碧也「今日からもう玉狛に行くのか?」

 

八幡「そうですね。顔合わせは早い方がいいでしょう」

 

八幡がそう言うと、碧也が立ち上がり、頭を下げる。葵も続いて頭を下げた。

 

碧也「頼む。茜を強くしてやってくれ」

 

葵「お願いします」

 

八幡「分かりました。精一杯やらせていただきます」

 

碧也「済まない、恩に着る」

 

葵「ありがとう皆」

 

俺達は、那須達とともに日浦邸を後にし玉狛に向かった。

 

 

 

 

玉狛支部。

 

宇佐美「あ、修君おかえり~。ハチ君と陽乃さんも来たんだね~·····あれ?何で玲ちゃん達いるの?」

 

八幡「よぉ宇佐美。那須隊は暫く玉狛預かりになったからな。俺達の弟子なった流れで(·······何で二宮さんが?)」

 

玉狛に戻って来て、八幡は いち早くサイドエフェクトで二宮の来訪を察知した。

 

宇佐美「········また弟子増えたんだね~」

 

八幡「そういうこと」

 

宇佐美「·····あ、修君にお客さんが来てるよ。今、千佳ちゃんと遊真君と、2階の応接室で待ってる」

 

修「分かりました(きっと未来さんについてだろうな·······千佳もってことは、麟児さんまで辿り着いたか)。じゃ、兄さんは先行ってて」

 

八幡「おお分かった」

 

修は、2階の応接室に向かった。

 

那須「さっき三雲君が比企谷君を〈兄さん〉って言ってたけど······」

 

宇佐美「修君はハチ君の弟だよ〜」

 

那須「え!?」

 

八幡「何故お前が言う······」

 

宇佐美「こういうのは驚かしたくなるでしょ!」

 

宇佐美は、何故か嬉々として言う。

 

八幡「すげぇ理論······じゃ、俺林藤さんとこ行ってくるから。陽乃案内したげて」

 

陽乃「分かった〜、八幡、林藤さんに説明してないんでしょ」

 

八幡「あ、バレた?」

 

陽乃「八幡は何かはぐらかしてる時ポケットに左手を突っ込んだまま出さないからね。ずっと」

 

八幡「マジか、じゃあ案内しといて」

 

陽乃「オッケー、着いてきて」

 

八幡は支部長室、陽乃達は訓練室に向かった。

 

 

 

玉狛支部、応接室。

 

修は扉を開けて中に入る。中には、千佳と遊真、そして、今回の客である二宮隊隊長・二宮匡貴がいた。

 

千佳「·······修君!」

 

修「二宮隊隊長の二宮匡貴さんですね?」

 

二宮「話が早い。突っ立ってないで座れよ、三雲」

 

遊真「ニノミヤ隊?」

 

修「次、僕達が当たるかもしれない部隊だ」

 

二宮「······長居するつもりはない。手短に用件を言おう。·······雨取麟児。この男の名前を知ってるな?」

 

千佳「!·······私の、兄です」

 

修「家庭教師をしてもらっていました。それが何か?」

 

二宮「········なら、この女に見覚えは?」

 

千佳「いえ·····知りません·····」

 

修「元二宮隊スナイパー 鳩原未来。あなたの元部下ですね。名目上、重要規律違反でボーダーを追われた」

 

二宮は修の発言に驚く。

 

二宮「!·····貴様····どこまで知っている!」

 

修「彼女が、トリガーを民間人に横流しして、そのまま門の向こうに行方を晦ました·····ってところまでですかね」

 

千佳「······修君····?」

 

二宮「チッ······そこまで知っているなら話が早い。この冴えない作り笑いが顔に張り付いた女の 協力者 について調べている。雨取麟児はその候補者の一人だ」

 

修「(······冴えない作り笑いが顔に張り付いた女、か。酷い言われようだな未来さん·····)」

 

遊真「·····もしチカの兄さんがその 協力者 だったら、ニノミヤさんはどうするの?」

 

二宮「別にどうもしない。今更捕まえようがないからな。これは、あくまで俺個人で調べているだけだ。·····俺にはこの馬鹿がそんな大それたことをしでかすとは思えない。唆した黒幕を知りたいだけだ」

 

修「······そうですか。なら、僕はこれで失礼します」

 

二宮「何?」

 

千佳「修君?」

 

遊真「オサム?」

 

修「·········一つ言っておくとすれば、そもそも黒幕はいません」

 

二宮「何故そう言いきれる!」

 

修は扉を開けるが、そこで立ち止まる。

 

修「さあどうでしょうね。いずれ帰って来るかもしれない未来さんにでも聞いてみて下さい。僕は那須さんに特訓をつけることになったので、これで失礼します」

 

修は、開けた扉から出て行った。

 

 

二宮「·······邪魔したな」

 

遊真「あれ?もう帰るの?」

 

二宮「もうここにいても情報は得られんだろう。じゃあな」

 

二宮もそのまま出て行った。

 

 

 

那須「?·······二宮さんどうかしましたか?」

 

二宮「いや、何でもない。じゃあな」

 

 

 

支部長室。

 

八幡「失礼しま〜す」

 

林藤「お、八幡か。聞いたぞ。那須隊が玉狛預かりになったって。俺を通してくれよ~?」

 

八幡「あ、すんません」

 

林藤「まあいいや。それで、何でこうなったんだ?」

 

八幡「あ、それはですね。

 

 

 

··················というわけです·」

 

八幡は、碧也や葵達のことは最小限に留めて説明した。

 

林藤「話は分かった。·····次からは俺にも話を通してくれよ」

 

八幡「それは本当にすいません」

 

 

 

 

 

 

訓練室。

 

那須「川の上にあるのに地下が·····」

 

陽乃「これもトリガーだよ。今、千佳ちゃんとレイジさんがスナイパーの特訓してるから、こっちは殺風景なんだけどね」

 

茜「私は何の特訓をすれば·····」

 

陽乃「さっき八幡が言ってたように、接近戦をやるよ。スナイパーの特訓は本部で奈良坂君とやってね。スナイパーは接近されたら終わりなのは分かってると思うけど、ROUND3で茜ちゃんは、遊真君に近寄られてあっさりやられちゃったでしょ?」

 

茜「はい······」

 

陽乃「そこを私がメインで補っていくよ。大丈夫。う~んそうだね〜·······10本勝負で風間さんから3本取れるくらいには強くしてあげる!」

 

茜「そんなにですか!?」

 

陽乃「鍛えておいて損はないよ」

 

熊谷「なら私は?」

 

陽乃「そうだね。オールラウンダーの戦い方を教えようかな。くまちゃんは片手になると、接近戦が一気に不利になっちゃうから。スコーピオンも教えようか?」

 

熊谷「······お願いします」

 

陽乃「玲ちゃんだけど、これは修君次第だね。頑張ってね〜、修君はバイパーを砂粒サイズまで分割することもあるから」

 

那須「砂粒ですか!?」

 

陽乃「風間さんと模擬戦した時だったかな〜。あれは凄かったね~」

 

熊谷「三雲って何者·····?」

 

そこで、訓練室のドアが開き、修・遊真・双葉の3人が入ってきた。

 

修「義姉さん、その話はしないように言ったじゃないか」

 

遊真「あれ?ナス隊の人だ。何で?」

 

双葉「どうしたんですか?」

 

そこに、八幡も来た。

 

八幡「·······その3人はわけあって俺達の弟子になった。お前らの妹弟子ってとこだ。前から教えてはいたけど」

 

遊真「なるほど」

 

双葉「私が言うのもなんですけど、急ですね」

 

八幡「まぁ事情があるってことは理解しといてくれ」

 

双葉「分かりました」

 

陽乃「じゃあ、早速始めよ〜!」

 

陽乃が手を叩きながら言う。その後、修は那須と、陽乃は茜と、違う訓練室に行った。そのまま残ったのは、八幡、遊真、双葉、熊谷である。

 

遊真「俺達は残っていいの?」

 

八幡「ん?ああ。お前らにも協力してもらうからな」

 

双葉「具体的に何をすれば?」

 

八幡「簡単だ。熊谷は、攻撃手としての立ち回りの見直し······それと、空閑と相打ちになった時みたいに、射手用トリガーと攻撃手用トリガーの併用を教える。お前らは、熊谷をボコせ。熊谷には 2対1 で戦ってもらう」

 

熊谷「はぁ!?いきなり!?」

 

八幡「あ、黒江は韋駄天、空閑はグラスホッパーは使わないでくれ。勝負にならないからな」

 

遊真「いいよ」

 

双葉「分かりました」

 

八幡「というわけだ。宇佐美~」

 

宇佐美『りょ〜か~い』

 

八幡「仮想戦闘モードにしたから、とりあえず10本勝負だ。熊谷頑張れ。······よし、勝負開始」

 

八幡が言うとともに、熊谷に遊真と双葉が攻撃を仕掛けた。

 

熊谷「え?ちょっと待って!?」

 

 

 

 

 

修「那須さんはバイパーの弾道を何個までリアルタイムで引けますか?」

 

修も、那須と訓練を始めていた。

 

那須「64個、かしら」

 

修「分かりました······それだけ引けるなら、個人の練習でももっと増やしていけます」

 

那須「そうなの?」

 

修「はい。あ、合成弾は作れますか?」

 

那須「作れるけど·····まだ時間がかかるわね」

 

修「なるほど。なら、合成弾の合成の練習をしましょう。現段階の目標は········太刀川隊の出水さんと同じくらいで、2秒切るくらいですね」

 

那須「三雲君はどれくらいかかるの?」

 

修「そうですね····ちょっとやってみます」

 

修は、アステロイドとバイパーを展開。展開と同時にコブラに合成した。

 

那須「え?いつ合成したの?」

 

修「展開と同時です。仕組みさえ理解出来れば、すぐに時間を縮められますよ」

 

那須「仕組み?」

 

修「······僕がボーダー抜ける前なんですけど、射手用トリガーの弾丸を合成して、片方の弾丸にもう片方の弾丸の効果を付加させるプログラムを仕込んでおいたんですよ。とりあえず説明します」

 

那須「·········(これは、想像以上ね······)」

 

 

 

 

 

 

陽乃「スコーピオンの扱いは分かった?」

 

茜「はい、一応·····」

 

陽乃は、茜にスコーピオンを教えていた。近寄られた時、弧月やレイガストでは、使い慣れない茜では対処が遅れると考え、奇襲用とも言われるほど軽く、形も自由自在で、体の何処からでも出し入れが可能なスコーピオンが一番いいと判断した結果だった。ただ、一つ言うとすれば、サイドエフェクト頼りで戦闘を行うこともある陽乃に、茜はついていけないと早々思ってしまっていた。

 

陽乃「ついていけないと思ってるでしょ~?」

 

茜「!!?」

 

陽乃「そこはゆっくりといこ?大丈夫。ちゃんと教えてあげるわ。打倒風間さんよ!」

 

茜「ハードルが上がってる!?」

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

熊谷「疲れた·····」

 

茜「私も疲れました······」

 

遊真「クマガイ先輩も最初よりだいぶ動きがよくなったよ。··················そう言えば、ニノミヤさん昔の仲間をボロクソに言ってたな」

 

修達は、レイジの作った夕飯にあやかっていた。

修達の他に、茜と熊谷もいる。レプリカは指輪の中である。那須は、体力的な問題であまり長くいられなかった。八幡と陽乃は、日が暮れ始めた頃に祐夜と柚稀菜を愛でるべく、残っていた熊谷と茜の訓練を修に押し付けて帰った。尚、帰った2人が先ず目にしたのは、祐夜と柚稀菜(主に柚稀菜)に振り回されて、家の中なのに汗だくで、くたくたになっていた小町である。

 

レイジ「二宮隊は鳩原の隊務規定違反の責任を取ってB級に降格させられたことになってるからな」

 

遊真「なってる····?」

 

レイジ「実際には、鳩原は 近界 に密航した責任を取ったってことだ」

 

遊真「レイジさん詳しいね」

 

レイジ「俺も鳩原も、東さんの弟子だからな。妹弟子だ。上層部以外だと、比企谷隊、俺、東さん、二宮隊、あとは、追手だった風間隊だけがこの件を知ってる」

 

熊谷「それ、私達がいて言ってもいいんですか?」

 

レイジ「あ~····他所では喋るなよ。鳩原のやったことが広まれば、同じようなことしでかす人間が出てくるからな」

 

日浦「は、はい」

 

熊谷「わ、分かりました」

 

レイジ「そう言えば、修は何て言ったんだ?」

 

修「いえ、帰って来た未来さんに直接聞いてくださいとしか、言ってませんね」

 

レイジ「·······お前、全部知ってたな」

 

修「そうですね。全部」

 

千佳「········修君。兄さんは、何で密航したの?」

 

修「そうだな·······一言で言っちゃえば千佳のため、かな。僕や兄さんにも一因があるとも言えるけど」

 

実際、麟児が密航したのは、千佳のようにトリオン能力が桁違いに多い者のトリオン反応を、一時的にステルス状態にするための機器を作る研究を、近界にしに行ったためである。

 

千佳「私の、ため····?」

 

修「······僕や千佳みたいに、トリオン能力が高くて近界民に狙われるやすい人間をステルスにする研究をするためだ。向こうで、その機器を作ってるよ。千佳が心配しなくとも、すぐに帰ってくる。麟児さんは僕よりずっと強いから」

 

遊真「オサムがそこまで言うのか。戦ってみたいな」

 

修「本当に何も出来ないまま終わるぞ」

 

遊真「····マジか」

 

修「あ、未来さんは僕のスナイパーの師匠ですよ。密航したのは、麟児さんについて行っただけですから、そのうち帰って来るんじゃないですかね?」

 

レイジ「どうりで······修はスナイパーなんて、全くやってなかったのにあれだけの技術があったわけだ。東さんの弟子になる必要ないだろ」

 

修「まぁ、ボーダーのトリガーなら東さんの方が慣れてるって思ったんじゃないんですかね」

 

レイジ「そういうものか?」

 

修「そういうものなんじゃないですかね」

 

茜・熊谷「「(会話についていけない········)」」

 

そこで、書類整理をしていた宇佐美が自室のある2階から降りてきた。

 

宇佐美「レイジさんのご飯だ〜!あ、修君達の次の相手が決まったよ!」

 

修「何処ですか?」

 

宇佐美「1位二宮隊、2位影浦隊、7位東隊、そして我らが玉狛第2!

四つ巴だよ!」

 

遊真「お、ニノミヤ隊か。いきなりか」

 

修「いきなり2トップ部隊か······」

 

 

 

 

 

翌日。本部狙撃訓練場。

 

千佳は、夏目とともに合同訓練に訪れていた。

 

夏目「はぁ!?チカ子もうB級7位!?早くない!?」

 

夏目の驚く声が響く。千佳は、玉狛の大砲として既に、多くの隊員の中で有名になりつつある。尤も、修や遊真もとっくに有名人になっているのだが。

 

千佳「そんなことないよ。チームの人が凄いだけだから······」

 

夏目「いやいや~あんたも大概でしょ。アタシはまずB級に上がれるかどうかも怪しいもんだわ。師匠がいないとだめかね·····」

 

 

千佳「そんなことない。出穂ちゃんは頑張ってるよ」

 

夏目「ありがとチカ子。········あれ?もう2つ並びで空いてるとこないね。下いく?」

 

千佳「そうだね」

 

その時、端の方で訓練をしていた男の子-影浦隊スナイパーの絵馬ユズルが隣のスペースの荷物を一番端·····自分の左隣に放り投げた。

 

ユズル「····空いたからどうぞ」

 

千佳「いいの?その荷物······」

 

ユズル「知り合いのだから大丈夫」

 

夏目「マジで?サンキュー!」

 

千佳「ありがとう」

 

ユズルは手を突き出して、別にいい、とジェスチャーをした。

 

茜「あ〜っ!にゃんこだ~!」

 

千佳「こんにちは日浦先輩」

 

夏目「猫好きなんすか?」

 

茜「こんにちは千佳ちゃん。猫大好きだよ!」

 

茜は、夏目の頭の上に乗っかった猫を見て、かなりテンションが高くなっていた。

 

茜「ぐむむぅ····」

 

夏目「どうかしたんすか?」

 

茜「撫でていいのかダメなのか······この子の表情が読めない!」

 

夏目「大丈夫だと思うっすよ······?」

 

そこで、夏目の頭に乗っていた猫が、入ってきたリーゼント·····もとい、冬島隊のスナイパー-当真勇の頭に飛び乗る。

 

当真「お?なんだネコ助。積極的だな」

 

茜「いいな~当真先輩!」

 

夏目「どうもっすリーゼント先輩。すんませんウチの猫が」

 

当真「俺のリーゼントに乗っかるたぁ違いが分かってんじゃねぇか。なあユズル?」

 

ユズル「·······訓練始まるよ当真さん」

 

当真「······?俺、荷物ここ置いたっけ?」

 

訓練はつつがなく進んだ。

 

 

 

 

 

千佳「出穂ちゃん凄く上がったね」

 

夏目「1位は······ナラサカさんと、ヒキガヤさん?何これ·····バケモンだわ」

 

八幡は、A級3バカとランク戦をしようと本部をブラブラしていたところを荒船に捕まり、狙撃訓練場に連れ込まれていた。

 

茜「奈良坂先輩は私の師匠だよ」

 

夏目「そうなんすか?」

 

茜「あ、奈良坂先輩~!」

 

奈良坂を見つけた茜は、奈良坂を呼ぶ。

 

奈良坂「茜か。どうした?」

 

茜「流石ですね奈良坂先輩!今回も1位ですね!」

 

奈良坂「そうでもないよ。今回は比企谷がいたし·····当真さん達の的も見てみるといい」

 

奈良坂にそう言われた3人は、ユズルと当真の的を見る。ユズルの的には星が、当真の的にはニコニコした顔のマークが描かれていた。

 

夏目「何これ!?無駄に正確!」

 

茜「最初から点を取る気なかったんだ·····」

 

奈良坂「点数だけで実力は測れない。型にはまらない『自由な才能』があるからな」

 

 

 

当真「いや~頭にネコ助乗っけて狙撃すんのは初めてだぜ。新鮮な体験じゃね?奈良坂もやるか?」

 

奈良坂「遠慮しておこう」

 

茜「絵馬君凄〜い。いつも順位が低いのはこういうことだったんだね!」

 

夏目「マジテクいわ!」

 

ユズル「(テクい········?)別に、こんなの遊びだし」

 

千佳「ううん、凄いよ。ホントに自由自在だね!」

 

当真「お?モテモテだな~。こいつは絵馬ユズル 14歳。お嬢さん方仲良くしてやってね」ペシペシ

 

当真はユズルの頭を叩きながら紹介する。

 

夏目「うちらと同い年じゃん。年下かと思った。アタシは夏目出穂。よろしく」

 

千佳「雨取千佳です。よろしく」

 

ユズル「······どうも」

 

茜「雨取ちゃんはあれだよ。玉狛の大砲娘」

 

ユズル「大砲娘?」

 

茜「試合の記録とか見ない?」

 

ユズル「あんまムービー見ないから······」

 

夏目「ユズルってリーゼント先輩の弟子なわけ?」

 

当真・ユズル「「そうだよ(違うよ)」」

 

当真とユズルが同時に答える。

 

夏目・千佳「「???」」

 

ユズル「この人が勝手に師匠面してるだけだから」

 

当真「悲しいぜ~。切ねーこと言ってくれるじゃねーの」

 

ユズル「何回も言わせないでよ。俺の師匠は鳩原先輩だけだ」

 

千佳「·······!(鳩原先輩·····兄さんと一緒に近界に行った人·····)」

 

夏目「はとはら先輩·····?」

 

その後、奈良坂と茜が帰り、4人で自主練することになった。千佳とユズルは少し休憩を取っていた。

 

千佳「ユズル君」

 

ユズル「···········?」

 

千佳「えっと、その·······鳩原先輩ってどんな人?」

 

ユズル「もうボーダーにはいないよ。上層部に干されて辞めたんだ」

 

千佳「干されて······?」

 

千佳は、昨日のレイジと修の会話を思い出した。口には出さないが。

 

ユズル「鳩原先輩は選抜部隊を目指してて、選抜試験もちゃんと通った。けど······上層部が後から鳩原先輩の合格を取り消した」

 

鳩原が再び近界へ行ったことは、奇しくも、二宮隊の降格材料にさせられてしまっていた。

 

ユズル「鳩原先輩が、人を撃てなかったから·····」

 

千佳「······!」

 

ユズル「勿論、役に立たなかったってわけじゃない。二宮隊は、元々A級4位だったから、狙撃は超上手かった。人は撃てなかったけど、相手の武器を狙撃したりして、チームを勝たせてた。ポイントは当真さんとか奈良坂先輩より全然低かったけど·····俺は、鳩原先輩が一番上手かったって、今でも思ってる。·····雨取さんはどう思う?」

 

千佳「私も·····怖くて人が撃てないから······悪いことじゃないと思う」

 

ユズルはびっくりした。

 

ユズル「それ····喋っちゃっていいの?次当たるのウチの隊だよ。俺は、影浦隊のスナイパーやってる」

 

千佳「·········え?」

 

 

 

 

個人ランク戦ブース。

 

遊真と村上が、ランク戦をしていた。

 

遊真「攻撃手の1位がハチマン先輩で、2位がタチカワさん、3位がカザマさん。そんで、5位がムラカミ先輩でしょ?じゃあ、そのカゲウラ先輩が4位なわけ?」

 

村上『いや、カゲは20位とかそこらだな』

 

遊真「ムラカミ先輩より強いのに、20位なの?」

 

村上『強いよ。八幡に太刀川さん、風間さんとカゲ。·······あと、あんまり勝負したことないけど、陽乃さんと小南。俺が勝ち越せてない攻撃手はその辺だな』

 

遊真「ハルノさんって射手じゃないの?」

 

村上『あの人は、射手だけど、スコーピオンだったら風間さんより強いよ』

 

遊真「じゃあ、迅さんは?」

 

村上『迅さんとは戦ってないな。俺が入隊した時にはS級だったんだと思う』

 

遊真「なるほど。なら、カゲウラ先輩は何で20位なの?」

 

村上『多分·····会えば分かる』

 

 

 

 

 

 

ブースを出た2人は、影浦との待ち合わせ場所に来ていた。

 

村上「悪いカゲ。待たせたな」

 

影浦「·······鋼。遅ーよ!目立ってんじゃねえか!」

 

村上「俺のせいじゃない」

 

影浦「·····で?誰だこいつは」

 

影浦は遊真を指差す。

 

遊真「どうも初めまして。玉狛第2の空閑遊真です」

 

影浦「空閑って言やぁ······鋼と荒船が負けた奴か!?おめーらこんなのにやられたのかよ!帰ったら久々に記録見るわ!」

 

影浦は、遊真にしてやられた村上を見て笑い出す。

 

村上「見るなよ」

 

影浦「玉狛って言や、次のウチの相手か。B級上がりたてでもう上位入りたぁなかなか必死じゃねぇの。遠征でも狙ってんのか?」

 

村上「おいカゲ······」

 

遊真「知りたかったら、心でも読んでみたら?そういうサイドエフェクト持ってるって聞いたよ?」

 

影浦「·····ケッ、帰るわ」

 

村上「おい、来たばっかだぞ」

影浦「ここはギャラリーが多くてイライラすんだよ。········一つ言っとく。Aに上がりたきゃ、俺らに勝ってから行くんだな」

 

遊真「······ほぅ」

 

 

 

 

玉狛支部。

 

2人は、玉狛に戻っていた。因みに、修は小南と特訓をしたためである。小南が、修と那須の訓練を見て自分もメテオラ以外の射手用トリガーも使いたい、と言ったためである。

 

遊真「·······どうしたチカ?元気ないな」

 

千佳「それが·······」

 

 

 

 

修「········とうとう千佳が人を撃てないのがバレたか······」

 

千佳「ごめんなさい·····」

 

修「いや、別にいい。試合を見てたら、いずれ皆気が付くことだからな。······喋ったのはだめだけど」

 

遊真「ハトハラ先輩と似てるってことは、ニノミヤさんも、もう気付いてるかもな」

 

修「·····多分な。未来さんが東さんの弟子だったことを踏まえると、千佳の反撃がないと分かれば、他の部隊がガンガン千佳を狙ってくる。今まで以上に見つからないようにしないと·····」

 

遊真「撃てないと思わせないといて、撃つ!とか出来たらいいんだけどな」

 

千佳「うん····」

 

修「今回のMAP選択権は東隊にある。どんなMAPで来るかは分からないけど·····ある程度戦法は決まってる筈だから、記録を見直して対策を立て直すしかない。あとは、連携の確認と個人で腕を磨くこと」

 

遊真・千佳「「了解」」

 

 

 

 

 

 

 

 

とある場所。

 

迅「·····················!·····何だ?」

 

 

 

 

 





駄に文字数だけ増えた。·······ここでキャラ紹介です。

キャラ紹介

日浦碧也
茜の父。元ロドクルーンの国民だったが、その当時、アフトクラトルとロドクルーンの戦争で、ロドクルーンの敗戦を予想していた。茜を守るため、葵・茜(当時はまだ赤ん坊)とともに玄界に来た。玄界の情報はデータバンクから簡単に見つけることが出来た。その際、3人分の戸籍の偽装もした。

日浦葵
茜の母。碧也と同じく元ロドクルーン民。アフトクラトルの影響を恐れた碧也に連れられて、玄界に来た。尚、2人が逃亡先に玄界を選んだ理由は、トリガー以外の文明なら、戦争に巻き込まれにくいと判断したため。2つ年上なのに碧也より10歳ぐらい年下に見えるというボツ設定がある(葵が童顔で、碧也の雰囲気がより大人っぽいからという、ボツ設定があった)。


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