やはり俺達が世界の銃爪を引くのは間違っていない   作:シャルルヤ·ハプティズム

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39話:水面下で、戦いは進行する。

嵐山「········チームの戦術を見直したい?」

 

修「·······はい」

 

ROUND4から2日後。修は、嵐山隊の隊室を訪れていた。

 

嵐山「だが、君のチームは順調に勝ち上がっている。下手に戦術を変えるのはどうかと思うが」

 

修「それは分かっています。······ですが、一昨日の試合みたいにこのままだと、勝てなくなっていくと思います」

 

嵐山「流石にそれはないんじゃないか?君は十分強いと思うが?」

 

修「それは······傲慢かとも思いますけど、あくまで《僕が1人で戦っていたら》の話です。ですが、僕は今チームで戦っています。僕にはチームで戦うという経験はないんです。なので、連携に優れた嵐山さん達に無理を承知の上でお願いに参りました」

 

そう言って、修は立ち上がり頭を下げる。

 

嵐山「······分かった。なら、少し試して欲しいトリガーがある。綾辻」

 

綾辻「はい。トレーニングルームですね」

 

綾辻はそう言ってパソコンを操作し、訓練室を起動した。

 

 

 

 

 

修と嵐山は、訓練室に移動した。

 

嵐山「····君に試して欲しいトリガーはこれだ」

 

嵐山の右手の上に、左右から鏃が出たキューブが展開される。

 

修「·····これは?」

 

嵐山「これは«スパイダー»。ワイヤートリガーだ。藍が使っているものを見た事があるかもしれないが、それと同じものだ。藍のは巻き取り機能が付いた特注品だけどな」

 

修「なるほど······嵐山さん、ありがとうございます」

 

嵐山「まぁまぁ待て待て。これにはまだ機能があって··········」

 

 

 

 

修「嵐山さん、ありがとうございました」

 

あの後、30分ほどだが、嵐山さんにスパイダーのレクチャーをして頂いた。凄い分かりやすかった。

 

嵐山「気にしないでくれ。君には色々と恩があるからな。また何かあったら是非とも言ってくれ」

 

修「ありがとうございます。じゃあ、僕はこれで」

 

嵐山「ああ、またな!」

 

 

 

 

 

 

修が、嵐山にレクチャーを受けているのと同じ頃。

 

遊真「·········え〜っと·····」キョロキョロ

 

 

 

 

 

遊真は、

 

遊真「迷った」

 

ボーダーの基地内で迷っていた。

 

レプリカ『どうしたユーマ。ランク戦をしに行くのではなかったのか?』

 

レプリカは遊真の耳元まで体を細長く伸ばして、遊真に話しかけた。

 

遊真「参ったな·····修を待ってれば良かった」

 

遊真は、ランク戦をする約束があったため、嵐山隊の隊室に向かう修とは一旦別れたのだが、それは失敗だったようだ。

 

遊真「本部ってホント似たような道ばっかだな。エレベーターはどっちだ?」

 

「······どうした?道に迷ったか?」

 

1人(厳密にはレプリカがいるが)で迷っていた柿崎が見かねて、遊真に声を掛けた。

 

遊真「?·····うん。迷った」

 

柿崎「.どこ行きたいんだ?」

 

遊真「個人ランク戦のとこ」

 

柿崎「分かった。着いてきてくれ」

 

 

 

柿崎「ほら、着いたぜ。俺も昔はよく迷ったよ」

 

遊真「おぉ。どなたか存じませんがありがとうございました」

 

柿崎「おいおい。そりゃあねぇだろ」

 

遊真「ふむ?」

 

柿崎「うちの隊は次のお前らの対戦相手だぜ?」

 

遊真「なんと········これは大変な失礼を」

 

加古「あら柿崎君。あなた遊真君と知り合いだったのね」

 

2人がランク戦ブースの前で話していたところに、加古が絡んできた。

 

遊真「どうもカコさん」

 

柿崎「加古さんお疲れ様です」

 

影浦「おいこら空閑ァ!いつまで待たせてやがる!」

 

更に、元々ランク戦の約束をしていた影浦も来た。遊真を待っていた影浦は今日も順調に目立っていたため、普段より若干荒れていた。

 

加古「あら影浦君」

 

影浦「あ?ザキさんにファントムばばあじゃねえか」

 

遊真「ファントムばばあ·····?」

 

柿崎「気にしなくていいぞ」

 

加古「影浦君と待ち合わせしてたの?」

 

遊真「すまんね、カゲウラ先輩。迷ってた」

 

影浦「遅れんなら連絡しろボケ!」

 

加古「そうだわ。そんなことより、遊真君炒飯食べない?」グイ

 

影浦「おい、行くぞ空閑!」グイ

 

加古と影浦が、それぞれ遊真を引っ張る。

 

柿崎「おいおい、子供を引っ張るな!」

 

ワーワーギャーギャー

 

修「遊真、鬼怒田さんが読んで··········何やってるんだ·····?」

 

偶然鬼怒田に会った修は、遊真を呼びに来た所、騒ぎの中心で引っ張られる遊真というカオスに遭遇した。

 

 

 

 

 

開発室。

 

鬼怒田「やっと来おったか」

 

あの後、修は、加古と影浦に引っ張られ続ける遊真を何とか引き剥がし開発室に連れてきた。

 

修「すいません時間かかってしまって」

 

遊真「どうもキヌタさん」

 

鬼怒田「·······ふん」

 

 

 

 

 

エネドラ『だからもう全部教えたろうが』

 

3人は、エネドラへの尋問を開始していた。

 

エネドラ『ガロプラかロドクルーンか。あるいは、その両方が攻めてくる。こんだけでも十分だろうがよ』

 

修「(ロドクルーンか·······どれくらいの戦力だ?)」

 

鬼怒田『その両方の国の情報が足らんのだ。勿体ぶっとらんでさっさと教えんか!』

 

しかし、鬼怒田がそう言うとエネドラが沈黙を始めた。

 

鬼怒田「何とかせい雷蔵!」

 

雷蔵「はいはい」

雷蔵がエネドラに何やらぼそぼそと呟く。それによって、エネドラが口(?)を開いた。

 

エネドラ『教えたくても詳しくは知らねんだよ。外回りは雑魚共の役目だ俺の仕事じゃねえ·······ま、どっちも取るに足らねぇような国だ。ウチの攻撃を凌いだ玄界様がやられるこたぁねぇだろうよ』

 

修は、遊真に確認を取る。遊真は、「嘘ではない」と言う。鬼怒田は、それについて、今、上で会議中だと言った。

 

遊真「なら、レプリカがいた方がいいんじゃない?」

 

鬼怒田「レプリカには、八幡に小さいのを渡させてある。小さいのを介して会議に出ておる」

 

遊真「あれ?そうだったの?」

 

レプリカ『そうだ』

 

 

 

 

 

同時刻。本部第二会議室。

 

城戸「·······今回の迎撃作戦は、可能な限り対外秘で行う」

 

「「「「!!」」」」

 

城戸の発言に一同が騒然とする。

 

会議室では、アフトクラトルの従属国家であるガロプラ・ロドクルーンの侵攻の、緊急対策会議を行っていた。特別顧問であるレプリカは、八幡に持たせたちびレプリカで会議に参加している。そこで出たのが城戸のそれだ。先ほどまで、日浦茜の処遇についての議題もあがっていた。結局、比企谷隊に一任されたが。

 

ちびレプリカ『それがいいだろうな』

 

嵐山「対外秘!?市民には知らせないのですか!?」

 

修への指導を終え、会議に出席していた嵐山は、特に動揺していた。

 

城戸「そうだ。先の侵攻からまだ日が浅い。この期間に再度侵攻があるとなれば、市民の動揺がぶり返す可能性もある。敵の出方にもよるが、市民に襲撃があったとは気付かせないのが望ましい」

 

風間「気付かせない······となれば、ボーダー内部でも情報統制の必要が出てきますが」

 

忍田「そうだ。作戦を伝えるのは、B級以上の必要最低限の人員のみだ。ランク戦も防衛任務も通常通りに行う」

 

城戸「尚、一応大規模な侵攻である可能性も押さえつつ、基本的にはA級中心で警戒・迎撃に当たる。八幡、2国の情報があれば、追加で教えてもらえないか?」

 

八幡「それは······難しいっすね。ロドクルーンなら少しだけ立ち寄ったことありますけど、補給のためでしたから。せいぜい、トリオン兵が他より若干特殊なものを開発してるって噂で聞いたくらいです。レプリカは?」

 

ちびレプリカ『私の内部のデータバンクの情報でもほぼ同じだ。申し訳ない』

 

城戸「いや構わん。迅、今回はお前の予知が前提になっている。働いてもらうぞ」

 

迅「そりゃもちろん。実力派エリート、存分に働かせていただきます」

 

 

 

 

開発室。

 

エネドラ『···········おっと。一つ忠告しといてやる。ヒュースの奴には、このこと知られねー方がいいぜ』

 

遊真「······?」

 

修『·····それは、ヒュースが帰りたがってるってことか?』

 

エネドラ『察しがよくて助かるぜメガネ。今は大人しくしてるかもしんねぇが、あの犬っころのことだ。国に帰るチャンスをみすみす逃すわけがねぇ』

 

修『······その話、もう少し聞かせてくれ』

 

エネドラ『·········あ?』

 

 

 

 

 

 

 

遊真「いやはや。なかなか面白い話が聞けたな」

 

尋問を終えた2人は本部の廊下を歩いていた。

 

遊真「それにしても、随分とヒュースの話に食いついたじゃん」

 

レプリカ『······今回の侵攻で何らかの行動は起こすだろうが·····』

 

修「ああ。今日嵐山さんに会いに行ったのは、チームの戦術の相談だったんだけど······ヒュースをうちの隊に引っ張り込めないかな」

 

修は、ヒュースと利害が一致するなら、遠征部隊の目標に協力させるのもアリだと思っていた。

 

遊真「なんと!オサムは考えることは違いますな」

 

レプリカ『しかし、何故急にそのようなことに?』

 

修「一番は利害が一致してるってことなんだけど······」

 

遊真「?他にも何かあるのか?」

 

修「ああ。多分だけど、今回の侵攻で········

 

 

 

 

ヒュースは何をしようと帰れない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガロプラ遠征艇内。ここで、ガロプラの遠征部隊の会議が行われていた。

 

ガトリン「今回の任務について。決定を伝える」

 

それぞれご固唾を飲んでガトリンの言葉を待つ。

 

ガトリン「·······アフトクラトルからの指令は、玄界での《足止め》だ」

 

コスケロ「足止め?」

 

ガトリン「玄界の兵がアフトを追えないように打撃を与えるのが俺達の仕事だ。やり方は一任されている。で、今回は敵の基地への攻撃を行う」

 

レギー「基地っすか?街を狙うんじゃないんすか?」

 

ラタ「それは、基地のトリガー使いを狙うと?」

 

ガトリン「いや、人間は狙わない」

 

ウェン「雛鳥もなしってこと?」

 

ガトリン「そうだ」

 

コスケロ「何故です?トリガー使いを狙うのは、玄界にとって文字通り痛手·····アフトの注文通り足止めにもなる」

 

レギー「そうっすよ。アフトは20とか捕まえたんでしょ?戦利品くらいあったって······」

 

ガトリン「今、玄界の民に手を出せば、玄界の戦力は俺達に向く。ウチの方が軌道が近いからな」

 

ラタ「玄界の目をウチに逸らすのがアフトクラトルの狙いだと?」

 

ガトリン「少なくとも、俺はそう見てる。ロドクルーンもまた然りだ」

 

レギー「あの角野郎ども·····」

 

ガトリン「玄界は、黒トリガー4人を含むアフトの精鋭を退けている。戦術的有利があったとしても、相当な戦力だ。そんな相手に恨みを買う必要はない」

 

ラタ「そこで、基地への破壊工作というわけですね?」

 

ガトリン「そうだ。次に作戦の話に移る。ヨミ」

 

ヨミ「了解」

 

ヨミは、手元のコンソールを操作し、立体のディスプレイを表示させる。

 

ヨミ「今回、アフトから送られてきた情報から確認された玄界の実働部隊は、50人程度。総数はその倍から3倍ほどだと思われます。雛鳥については、戦力として数える必要はないでしょう。そして、最低でも3つ、多ければ5つの黒トリガーを持っています」

 

アフトクラトルが実際に確認した玄界の黒トリガーは、修、遊真、小町のものであり多ければ、の2つは八幡と天羽のそれである。学習型の黒トリガーなので、アフトクラトルは八幡のトリガーの識別を行えなかったのだ。

 

レギー「3つと5つじゃ全然違えだろ。適当な情報寄越しやがって」

 

ウェン「直接アフトに言いな」

 

コスケロ「こちらの戦力は、我々6人と手持ちのトリオン兵·····ロドクルーンと連携が取れないなら、戦力的に厳しいですね」

 

レギー「てか、何でロドクは不参加なんすか?」

 

ガトリン「不参加じゃない」

 

ヨミがコンソールを操作する。ディスプレイに情報が追加される。

 

ガトリン「ロドクルーンは、黒トリガー2個、ドグ200対にアイドラ150体を出すと言ってきた。これでは文句は言えん」

 

レギー「はぁ!?黒トリガー2個!?そもそも、あそこは黒トリガーは1つしかなかったんじゃ」

 

ガトリン「傭兵を雇ったと聞いている。詳しい話は俺も知らない」

 

レギー「マジすか······」

 

ラタ「向こうが雇ったのと、連携は取れるんですか?」

 

ガトリン「いや、向こうの黒トリガーは向こうでやるらしい。邪魔はしないとのことだ。ま、やりようはある。これからそれを詰めていく。玄界に着き次第、実地調査を行う。ロドクルーンからトリオン兵が届き次第、作戦開始だ」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2月19日。ROUND5当日。

 

『ズガッ!』

 

香取隊隊長の香取葉子がモールモッドをスコーピオンで両断する。

 

香取「·····アタシ達これからランク戦なのに防衛任務っておかしくない?うちが不利になんじゃん。不公平」

 

雄太「ホントだよね!俺もそう思う!」

 

若村「何処だってこういうことはある。不利だっつーなら少しは記録見ろよ」

 

香取「今日の相手って、柿崎隊と川崎隊と玉狛の中学生チームでしょ?柿崎隊にはずっと負けてないし、川崎隊は弱いし。玉狛だって上位あがってボコられたって言うじゃん。大したことないでしょ」

 

若村「柿崎隊と川崎隊と対戦したのはずっと前だろうが」

 

染井『········3人とも。仕事中よ。真面目にやって』

 

香取と若村が不満を言い合うなか、染井が半分呆れながら制す。

 

若村「········華さんに怒られたじゃねえか」

 

雄太「まあまあ落ち着いて」

 

香取「あんたのせいでしょ」

 

雄太「葉子ちゃんも」

 

香取隊の3人は任務を引き継ぎ、本部に戻っていった。

 

 

 

 

·····香取が倒したモールモッドの口の中から、犬のような姿のトリオン兵・ドグが現れた。

 

 

ガロプラ遠征艇内。

 

コスケロ「結構手際いいですね。玄界の兵は」

 

部隊の面々は、偵察モードのドグから送られてくる映像を見ていた。

 

ウェン「今のが玄界のトップなら楽なんだけどね」

 

コスケロ「真ん中ぐらいじゃないか?昨日の槍使いの方が強かったよ」

 

ヨミ「······探知トリガーは無効化していますが、これ以上は近づけません。監視の目に掛かります」

 

ガトリン「流石に、忍び込むのは無理か」

 

レギー「アフトから情報漏れてんじゃねぇの?」

 

ヨミ「·····この数日で、目標が地下にあるのは分かってます」

 

ラタ「強行突入でも問題ないでしょう。新型もありますし」

 

ウェン「そうね」

 

ガトリン「トリオン兵は?」

 

ヨミ「準備は完了しています」

 

ガトリン「よし。玄界よ部隊が交代する時間を狙う。日が沈んだら仕掛ける目標は······玄界の艇だ」

 

 

 

 

 

 

同時刻。警戒区域。

 

八幡「········迅さん、今香取が倒したモールモッドから、なんか犬みたいのが出てきました」

 

八幡はドグから見つからない程の距離から、ライトニングを構えてドグを監視していた。迅の予知により、夜以外本部にずっと居るのだ。

 

迅「そうか·······ッ!······敵が来る。八幡は本部の付近まで戻ってくれ」

 

八幡「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 




黒トリガー使いの傭兵はオリキャラの予定です。パロキャラは極力使いません。
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