シロナのシンオウ二人旅   作:にわとりくん

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ジムへの対策

「…………」

 

「あのー?」

 

「……………………」

 

「シロナさーん?」

 

「…………………………何」

 

「お昼ご飯にしませんか?」

 

「却下」

 

「……はあ」

 

 午前の挑戦を終えてポケセンに帰ってきた俺は現在ソファーにてシロナさんと向かい合う姿勢になっている。目の前のシロナさんは一目でわかるほど機嫌を悪くしていた。まあその理由は俺なんだが。

 

「機嫌を直していただけませんか?」

 

「それも却下」

 

 答えは予想通りだな。これは話すまで逃げさせてはくれなさそうだな。

 

「なんでジムリーダーと戦うのだめなのよ」

 

 話そうと思ったらそっちから聞いてきた。

 

「今は不確定要素が多すぎる。全力をとしても勝てるかどうか分からない相手ならまだしも、出来ることを全てやった訳じゃない。お前はしないとは思うがそれで心の中で言い訳でもし始めたら、一生勝てなくなる。対策打てば勝てるバトルで対策しないままでチャンピオンなんて夢のまた夢だ」

 

「………………許す」

 

 そう言って解放される。ずっと固定されていたから首や肩が重い。軽く回しながらやっと昼ご飯の準備に移る。といっても材料を切って味を調えてあとはパンにはさむだけだ。ちなみにシロナにこれを説明した後にやらせたら、何故かコッペパンを二つ重ねたものが出てきたときは頭を抱えてしまった。

 

「ほい。あとこの後はまたジムに行くぞ。言っておくが挑戦はしないぞ」

 

 皿に盛り付けたサンドイッチをテーブルに置きながらそう言っとく。

 

「えー? 挑戦しよーよ」

 

「却下だ。理由はさっき言ったろ」

 

 また不貞腐れるシロナ。なんとなく未来が心配になってくる。

 

「じゃあ何でジムに行くのよ」

 

「そりゃあ観戦して情報を集めるためだ」

 

 そういうとさらに不貞腐れるシロナ。

 

「なんで一緒に行かなくちゃいけないの」

 

「ここで待ってるか?」

 

「…………行く」

 

 なんというか……すごい単純なやつだな。パパッと飯を食い終えてまたジムに向かう道を歩く。

 

 午前ほどでもないがそれなりに賑わっていたためかなりの情報をため込むことができた。もちろん初挑戦のトレーナーだけでなくある程度バッジをとった人の戦いも撮影したため戦い方の参考にしようと思う。

 

「疲れたわ……」

 

「だろうな。だって一時間近く座りっぱなしだし」

 

 午後4時に始まる挑戦はどちらかというとある程度猛者が多かったようで40人近くいる挑戦者のうち13人がバッジをゲットした。そのうち3人は一つ目のバッジのためジムリーダー突破のための動きが参考になる。ホクホクした顔でポケセンへの道を歩くと前からだいぶ大柄の男二人が声をかけてきた。

 

「おう!! 一日ぶりだな! 満足気な顔しやがって。勝てたのか?」

 

「ん? おお、昨日話していたのはこの子たちか」

 

 目の前に現れたごつい二人は見たことがある。というか片方は会いたくもない人だ。

 

「あ、どうも! トウガンさんと……」

 

「ここのジムリーダーしているエゴノキというものだ。よろしく」

 

 ごつごつリーダー二人組がそこにいた。

 

 ~ポケセン~

 

「グハハハハ! そうかそうか、ジムトレーナーは余裕綽々で突破したのか」

 

「そうだな。そこでいざ迎え打とうと思ったらまさか次回に持ち越しだからな」

 

「あ、それ俺の指示です」

 

「む? いやいや、むしろ褒めてあげてもいいくらいだ。その判断力は武器になるぞ」

 

「グハハハハハ! 初見でジムトレーナー突破した奴にそんな頭脳枠が出てきたら止められねえなあ!」

 

 トウガンさんが嬉しそうに大声で笑う。その声にびっくりしたほかの客たちがこっちを見てくる。ああ……胃が痛い……。それに比べてエゴノキさんは落ち着いた人だ。見た目はそう変わらないが。

 

「そうですねえ……私としては挑戦したかったんですけどねえ……」

 

「普通に考えて一回目の挑戦で突破できるわけないだろ。つっても来週くらいにはまたやる予定だけど」

 

「ほお。勝算はあるのか?」

 

「変なことがない限り勝ちますね」

 

 そういうとトウガンさんとエゴノキさんは顔を見合わせてにやりと笑った。

 

「グハハハハハハ! こいつら思っていたよりもすごいやつかもしれんな!!」

 

「そうだな。これは金の卵を発見してしまったな」

 

 やはり若手を導く立場の人間だと俺たちのような人材の出現はかなり嬉しいらしい。語尾が少し上がり気味になっている。

 

「よし、次世代への期待も込めてここは俺がおごろう。ジャンジャン注文してくれ」

 

「おおっ! エゴノキ太っ腹だな!! よっしゃ酒もってこい!!」

 

「お前は自腹だ」

 

 エゴノキさんとトウガンさんのコントを見ているとこんなのがジムリーダーでいいのかと疑いたくなる。まあそんなことは気にしないで俺は適当に目についたグラタンを注文した。

 

 ~温泉ofポケセン~

 

「いやーいい湯だなー」

 

 ポケセン内にある大浴場にて俺はいま羽を伸ばしている。ここはポケモンとの入浴もありなので本当に伸ばしている鳥ポケモンもちらほらいる。ちなみにミニリュウは膝の上にちょこんと乗っかって顔だけ出していて、イーブイはのぼせ気味なため頭の上で休憩している。リラックスしすぎて溶けてしまいそうだが今は明日からの予定を頭の中で組み立てていく。

 

「んー攻略するためには水か草が必要なんだよな」

 

 ジム戦を見た限り、そんな難しくない。恐らくはタイプ相性を付けるポケモン……それも最初に貰ったのではない新規で手に入れたポケモンを連れていくことで、明らかにジムリーダーの立ち回りに差が生まれた。

 

 新たなポケモンを手に入れる。

 タイプ相性を理解する。

 主にこの2点がジム突破の鍵だ。

 

 窓の外の夜空を見上げながら今まで録画してきた映像を頭の中で想像する。その中のジムリーダーを突破した挑戦者の試合だけを思い浮かべる。エゴノキさんの使ったポケモンとそれに相対するポケモン。

 

「はあ…………」

 

 今になって過去の自分を責めたい気分になる。普通に考えて変なことが起きなければと言ったら敵は自発的に変なことを起こすに決まっている。それが対策法を知っていれば裏も書きやすい。食堂から出る際にエゴノキさんは「楽しみにしているよ」と言って肩をたたいた。おそらく俺の采配を見るのだろう。どんなポケモンを使ってどう攻めるのかを。

 

「何とかするしかないか……」

 

 今までより大きくため息を吐いて俺は湯船から上がった。

 

 

 

「ただいま」

 

「あ、おかえりー」

 

 部屋に戻るとシロナがすでに寝間着で布団に突っ伏していた。そこから顔だけあげて挨拶を返してくる。

 

「一先ずこれからの予定を決めるぞ」

 

 そういって冷蔵庫からお茶とコップをとって布団に座る。その動きに合わしてシロナも向かい合うように座る。

 

「俺は早めにここを出てやりたいことがある。だから今ここでやりたいこととかあるか?」

 

「ううん。特にないわ」

 

「じゃあ適当に準備した後に明日出かけるか。早めがいいか?」

 

「そうね早いほうがいいんだったらそれでも大丈夫よ」

 

「うい。じゃあ準備したらさっさと行くぞ」

 

「で、どこに行くの?」

 

「ソノオタウンだな。正確には204と205番道路だけど」

 

「そこで何するの?」

 

「新しいポケモンをゲットするんだ」

 

 そういったとたんにシロナの目がギランと輝いた。あ、これ地雷踏んだパターンだ。

 

「新しいポケモン!? 本当に!!??」

 

 ぐいぐいと迫って肩を掴んでくる。うわあ面倒くさい。あと怖い。

 

「はいはい本当です。だから離してください」

 

 がっしりと掴んでいた肩を離して解放される。

 

「でもなんで新しいポケモンなの? トレーナーは結構楽に突破できたと思うけど」

 

「トレーナーとリーダーを比べるな。俺の見立てが正しければ今じゃ100パー突破できない」

 

「むう……あなたがそう言うんだったらそうなんだろうけど」

 

 物分かりが早くて大変によろしい。

 

「で、どんな子にするの?」

 

「草か水タイプのポケモンだな。ついでだし俺も何か手に入れるか」

 

「ふふふふ、新しい子……。どんな子かしら? かわいい子かな? ふふふふふ…………」

 

 なんかアカン人がいるが気にしない。テンションどうなってんだあいつ? 

 

「おーい、明日から出るんだから早めに寝るぞ」

 

 そういいながら目の前で手を振る。よだれ垂らしているからついでに拭いてやる。

 

「……っは!! そうね。早く寝ましょ」

 

 なんか早口でさっさと布団に入ってしまった。まだ口角が上がっているため相当うれしいんだろう。時計を見ると9時半。明日は早い予定ではないがシロナにも言った通り早く寝ることにする。早々と自分の布団に潜り込むと風呂上がりで火照ってたせいか心地いい眠気が襲ってきた。

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