旅立ち。
ジリリリリリリン!!
目覚ましがやかましく叫び始める。
手を伸ばして止めようとするが滑ってしまい時計が床に落ちてしまう。
もちろん止まるわけなく使命を果たすべく時計はなり続けている。
これを止めるには一旦布団から起きなければならない。
「はぁ……」
一つ溜息を吐いてガバっと飛び起きて時計を止める。
時間を見ると予定通り6時30分。
眠い目をこすりながら階段を下りていく。
まず冷蔵庫を開けて牛乳を取り出す。小さな鍋を火にかけて牛乳をゆっくり注ぐ。
温まるまで時間がかかるので今のうちにオムレツでも作っておく。
一人暮らしをするうちにあっという間に料理スキルが身についた。
卵の形を整えているうちに牛乳から湯気が立ってきた。
沸騰しないように気を付けながら静かにかき回して一呼吸おいてからほんのりと温めたコップに移す。最後にはちみつをスプーン一杯入れてホルト君特製ハニーホットミルクの出来上がり。
机に置いてあるボールからミニリュウを出して乾燥させた甘いオボンの実を出す。
ミニリュウと並んで温かく甘いミルクと一緒にオムレツをほおばる。
至福のひと時である。
テレビをつけてニュースを見る。
「皆さんおはようございます。さて今日はいよいよやってきました!! 二月のまだ寒さが残るこの季節、すべての地方にて新たなトレーナーがそれぞれの研究所からたくさんの夢と希望をもって旅立つ日です!!
そう、いまから約15年も前に第一回カントー地方ポケモンリーグ優勝者であるオーキド・ユキナリ氏が旅立った日に全国の新人トレーナーが旅を始めるのです!!」
いつもながらよくしゃべる人だ。いや、これが仕事だから仕方ないか。
「にしても…………今日……か」
このアナウンサーが言った通り今日は記念すべき門出の日である。
だからこそ無駄に遠い研究所に行くために早起きをしたのだ。いつもなんか8時過ぎても寝ることがある。………………生活習慣ズタボロだな。
自虐的な笑みがこぼれ出る。12歳の興奮したりするところだろうが、精神年齢的にはすでに20前後である。落ち着きが出てきて興奮がなかなか出てこない。それにはこの世界に慣れた影響もある。
最初は知らない世界観や設定でwktkしたがやはり時の流れは恐ろしい。ディアルガさん(ry
しかし落ち着いてばかりではせっかくの冒険が楽しめなくなってしまう。
「…………ぃよしっ!!!」
気合を入れて頬を叩く。時間は7時36分。9時に研究所集合のためそろそろ準備を始める。
あらかじめ栽培しておいたオボンの実やカゴの実などをリュックに詰める。もちろん腐らないように乾燥させている。火おこしの道具や持ち運びが楽なコンパクトな鍋なども詰め込む。
財布を確認して終了。時計を見たらすでに8時。そろそろ出ればバスに間に合う時間だ。
そこで庭にいるムックルとホーホーに目が留まる。
この四年間どんだけこいつらに癒されたことか。最後に頭を撫でてやる。これはあきらめるのがつらかったため思わず聞いてしまった。
「お前たち、やっぱ一緒に来るか?」
そう聞くとバサバサと飛び立ってしまった。遠く離れる影に軽く手を振ってやる。
ピンポーン
ここでチャイムが鳴る。時間を考えてシロナで間違いないだろう。
「ホルー? そろっと行くよ」
「あいよ。今行く」
そういって玄関に出てきちんと戸締りをする。
「ここともしばらく離れちゃうね」
「そうだな。まあそのうち帰ってくるだろ」
そういってカンナギタウンの平和な風景を目に焼き付ける。
「さ、行こう。早くしないとバス出ちゃうよ」
「そうか、そうだな。よし行こう!」
そういってシロナと共にカンナギタウンを出て行った。
▼side シロナ
~研究所~
「うっわあ……人多いね」
「シンオウってこんなに人いたんだな」
隣でホルが苦笑いを浮かべている。それもそうだ。子供たちは研究所のポケモンたちを放し飼いにしている庭に今集められているが、その数はだいたい100人前後である。正確な数でみれば、ここに来た時の順番で数字の書かれた紙を手渡されたが、その番号は98。あともう少しで百を超えてしまう。カンナギには精々大人が10人ちょっと、子どもなんか私とホルしかいなかったのでこの数に圧倒されてしまう。
そうしたらナナカマド博士がやってきた。
少しざわつくが、博士の一声で一瞬で収まる。さすがの貫禄だ。
「では、これよりこの場にいる全員にトレーナー認定式を始める。手順は私が認定証を渡してからこの庭にいるポケモンを一匹貰って行ってよい。その後は一つ儀式があるため残っていてもらう。では一番の紙をもらったものからやってきてくれ」
~数十分後~
「次は……君たちか」
「やっとだ~」
「本当に長かった~」
「はは、まあいいではないか。……ではホルト、シロナ。二人を今日からトレーナーとしてポケモンを持ち、旅をすることを認める。これはトレーナーカードとポケモン図鑑だ。では、好きなポケモンを選んでいいぞ」
「はぁ……しかし、ポケモンいませんよ?」
ホルが周りを見回して話す。
「え? あっ!? 本当だ!! どこにもいないよ?」
「……なぬ? 二匹以上持っている人はいるか?」
残っているみんなは一斉に首を横に振る。
「ふむ……少し待っていろ。確認してくる」
そういって博士が研究所に戻っていく。
しばらくすると戻ってきた。
「すまぬ。今年放していたポケモンは96匹であった」
「えーと……それってつまり、いないってことですか?」
「えー!? ちょっと博士! ポケモン貰えないんですか!?」
「大丈夫だ。今代わりのポケモンを二匹持ってきた。2人とも同じポケモンだがいいか?」
そういって二つのボールを差し出してくる。
「んー、別に構わないよな?」
そうホルが私に尋ねてくる。
「大丈夫よ」
特に問題はないためそう答える。
「ではよかった。出てこい、イーブイ」
そういって博士が出したのはよく知ったポケモンだった。
「おー! イーブイか!」
そうホルが言っている。
「イーブイ!! かわいい!!」
私は本能を抑えきれずにイーブイを抱きしめる。もふもふだ。
「まあとりあえず、ポケモン貰いましたし儀式? ってのをやりましょうよ」
「おおそうだったな。では、配ってくれ」
そういって研究員の方々がお猪口を待っている子供たちに一つ一つ渡していった。
なんだろうと首をかしげていると、
「ん!? この匂いお酒ですか?」
「よくわかったな。そうだ」
私も恐る恐る鼻を近づける。
「ん~!!?? ケホッケホッ……お酒だね」
思わずむせてしまった。
そこで博士がお猪口を掲げて叫んだ。
「では皆の旅の成功とこの中から新チャンピオンが生まれることを願い、乾杯!」
「え!? 飲むの? 酒を?」
「当たり前だ。ほれ、みんなも飲め」
この場にいる全員が渋々お酒を口にする。そして全員の顔が歪み、
「「「「「「「「「「まっじぃ」」」」」」」」」」
まったく同じ反応をした。
「ハッハッハ! この旅が終える頃には美味く飲める! では、認定式は以上だ。解散!」
その博士の合図とともにみんなはワー!! と走り去っていった。
「よし、認定式も終わったので行きますね」
「ああ、気を付けて旅をするようにな」
「わかりました!!」
私はびしっと敬礼をする。
その様子をみたホルは呆れながら一緒に行くぞと促してくる。
マサゴタウンから出発する。
それは本当の旅の合図だ。二月の寒さもある中私とホルはマサゴタウンを旅立った。
幼少期編終了!!
今回からジム編に突入します。
ちなみにお酒は設定でトレーナーになったものはみんな成人と同じ扱いと聞いたので飲ましてみました。
そのうち酔いどれシロナさん書いてみようかな。
・・・・・キャラ崩壊まったなしですね。すでにだいぶ壊れちゃってますが、今はまだ子供なので許してください。
ちなみに最初のポケモンをイーブイにした理由はただグレイシアをシロナの手持ちに加えたかったからです。だってかわいいんだもの。ついでにホルト君にも入れてみました。進化先は後のお楽しみです。