「とどめよ、突進」
フカマルがものすごい勢いで突っ込んでいく。
通常の体当たりよりも勢いが大きいがその反動も大きい諸刃の剣である。さらにコントロールも難しいのであらぬ方向へ飛んで行ってしまうこともある。だがそこは4年間の経験があるため問題なく命中する。
直撃を受けたビッパはごろごろと転がって倒れた。
念のため図鑑に表示されているHPを見る。この世界のポケモン図鑑はかなり高性能なためポケモンをスキャンして残っている体力を数値化している。今はゼロになっているためこれ以上戦うと命の危険があるということだ。
「ビッパの体力はゼロだ。残り手持ちはいるか?」
いまシロナの前に立っている少年に尋ねる。
「いません……」
「OK。勝負あり。まったく、不幸なもんだよ。いきなり初心者狩りに会うなんて」
~数分前~
マサゴタウンを出発して地図を確認しながら歩いている。
「最初はどこの町に行くの?」
「んー? まずはコトブキ経由でクロガネのジムかな」
とりあえず近場から行くことにする。
雑談をしながらのんびり歩いていると、目の前から走ってきた人にぶつかってしまった。
「あ、すみません」
「ごめんなさい!!」
とっさに誤った言葉にぶつけるような勢いで話してまた走って行ってしまった。
「どうかしたのかしら?」
「んー、ボールをずっと見ていたから勝負に負けたんじゃないか?」
「あーそれでマサゴに引き返しているのね」
ここはまだマサゴを出てだいたい5分程度の場所なので間に合わないということはないはず。
とりあえずポケモンの無事を祈っておく。
しかし、見た目的に俺たちとあまり離れていないように見えたな。
そんな関係のない方向に思考が飛んでいく。
そうしていると横から声が聞こえてきた。
「そこのお前たち!! 勝負しろ!!」
声のするほうを見ると自分たちと同年代か一つ上程度の少年がいた。
勝負しろとはもちろん物理でダイレクトアタックではなく、ポケモン勝負のことである。
この時期の12歳の少年にバトルを挑むことは基本的に御法度とされている。
要は温かく見守るか手助けてやってくれということだ。
しかしそれを無視して勝負を挑むということは、先ほど自分たちと同じタイミングでポケモンをもらって気持ちが舞い上がった新人トレーナーか、それとも……
「初心者狩り……か?」
「うっ…………」
そう一言つぶやくと一瞬ばつの悪そうな顔をした。ビンゴだ。
「はぁ……面倒くさいのに絡まれたな……」
「でもバトルの腕が通用するかもわかるかもしれないわよ?」
シロナが聞いてくる。確かにそれもできそうだが、たいてい初心者狩りをするような奴にまともな実力を持った奴がいない。ほぼ経験談であるため信憑性は高い。
「大方金ない、でも勝てない。だから時期的に待ち伏せて狙ったんだろうな。ここに来る途中で数人半泣きでマサゴに戻る奴らがいたしな」
「あーそういえばいたわね」
「う、うるさい!! 文句は勝負に勝ってからにしろ!! 行け! ムックル!」
「シロナ、任せた」
「わかった。じゃあ審判お願い」
審判に関しては4年も勝負していればなれたものだ。
すっかりおなじみの口上を述べて勝負を開始する。
~現在~
結果シロナがまあ見事にニタテを決めてくれた。
そして賞金をいただいて説教を食らわせてやった。
「結構お金持ってたねー」
シロナがにこにこしながら話している。確かに結構持っていた。
賞金はバッジが少ないうちはその相手の全額のうち1/8をいただくことになっている。
これからバッジが増えるにつれて割合が変化していくのだがそれは割愛する。
貰った賞金は1800円。最初のトレーナーにしてはなかなかの収入である。
膨らんだ財布を手にコトブキに向かう。時間は現在11時。コトブキまでは徒歩でだいたい2時間くらいかかる。ゲームなどではすぐ着くがやはり町から町へ行くのは時間がかかる。
最初からすでに気が重い……。
~コトブキシティ~
「着いた……」
「疲れるの早くない?」
「腹減っているのもある」
時間を見ると1時半。昼飯には少し遅めである。
「確かにお腹すいたわね。ポケモンセンターによる?」
「結構傷ついてるしな」
ここに来る最中に結構いろいろなポケモンと出会った。おかげで二匹とも傷ついているし、うっかり傷薬等を買うのを忘れていたため回復手段が気の実しかなかった。しかもボールもないため捕まることができなかった。なんてこったい、うっかりミス。
とりあえず最初はポケセンによることで話がまとまった。
軽くサンドイッチをつまみながら今後のプランを立てておく。
「んで、今日はどうする? 適当な買い物を済ましてさっさとクロガネにでも行く?」
「とりあえずこのあたりのポケモンを何匹か捕まえておきたいわね。あとその卵サンド一つ頂戴」
「却下だ。それと卵だったらそっちのハムマヨも寄越せ」
「えー何でよ」
「そもそもそこまで金銭に余裕があるわけでもないし、何より考えてみろよ。片っ端から捕まえたってその全部を育てられるわけじゃねえんだぞ。だったら必要なやつを選んで捕まえればいいだろう。そっちのほうが断然効率もいいし、省かれるポケモンもいなくなる」
実際は面倒くさいのもあるが、それを出すと怒られそうなので黙っておく。
「むー、わかったわよ。じゃあどうするの?」
「まずは、イーブイをクロガネに向かいながらイーブイを中心的に育てるか」
「そうね、それとクロガネシティのジムリーダーって何タイプを使うの?」
「岩だな。草や水がいるといいな」
「じゃあ向かう途中に丁度良い子がいたらゲットする?」
「まあ、いいか」
「じゃあ会計お願いね。たぶんそろっと回復終わるころだから」
「あいよ」
今後の方針は固まった。買い物してからクロガネに向かう。
道中でイーブイを育成し、その間に草か水のポケモンが出てきたらゲット。
だいたい6時過ぎごろにクロガネのポケセンにつくぐらいに調整するかな。
『54番の方は受け取り窓口でポケモンを受け取ってください。繰り返します…………』
ここでアナウンスが流れる。受け取りはシロナに任せているので俺は会計に向かう。
「あれ? 俺が全額支払うの前提なのか?」
気づいてはいけないところに気が付いてしまった。
~クロガネゲート~
「体当たりでおしまいっと。イーブイよくやったわね」
傷ついたズバットは泣きながら洞窟の奥にに飛んでいく。
それと同時にポケモン図鑑から電子音が鳴る。おそらくイーブイのlvが上がったのだろう。本当に便利な道具だ。スキャンして固定ポケモンとして登録すれば戦闘相手のポケモンをスキャンするだけで経験値が表示される。こんな風にlvアップを知らせてくれたり技の情報を見せてくれる。博士は偉大な人だ。
「えーと……lv14になったわね。そろそろいいんじゃないの?」
一応俺も一緒にlv上げしていたため思ったよりも時間がかかってしまった。すでに6時半になっているため今からクロガネに行くとなると8時を過ぎる計算になる。この時間にいどうすると余計疲れがたまったり、野生のポケモンの処理などで集中力の低下し、けがをする恐れがある。ならば……
「しょうがないな。ここらで一泊してから行くか?」
「えーでも準備とか大丈夫なの?」
もっともな理由だがそのあたりの準備はばっちりだ。
「大丈夫だな。とりあえずちょうどよさそうなところ探すぞ」
「はーい」
少し奥のほうにある小さな穴を見つける。別に穴とかに入らなくてもテントを持参しているためそこらに立ててもいいのだが外観と気分の問題だ。
そこであらかじめ集めておいた薪をのせて火をつける。もちろんライターのようなものはない。だがマッチがある。今度マッチ売っている少女がいたら全部買い占めておこう。
しかし火を起こして暖をとっているが……。
「いくらなんでも寒すぎるだろ!」
マジで寒い。さっきまでは動いていたので多少はましだったが活動を止めれば容赦なく二月の冷気が襲ってくる。そういやシンオウって北海道だな。そら寒いわ。はっはっは。
もうヤケクソ気味の思考回路に発展する。
「とりあえず飯作るがお前は……野菜切れるか?」
「失礼ね!! 流石にそのくらいならできるわよ!! …………多分」
「最後の言葉が不穏だが、まあ人参と玉ねぎ頼んだ」
「わかったわ」
そういって震える手で包丁を握るシロナ。……寒いからだと信じよう。
その間に近場から水を汲んできて火にくべてある鍋に入れる。軽く沸騰させるだけで飲める水は中々に便利なものだ。神様は偉大なお方。
「切れたわよ……」
「語尾を下げないでくれ、不安になる……」
振り返って切られたであろう野菜を見る。ついでに持ってみる。………………んん?
「シロナさん? これはアートでしょうか? 何故にすべての欠片が繋がっているのでしょうか?」
「うぅ……。ごめんなさい……」
素直に謝るのでこれ以上突っかかるのはやめておく。とりあえずこれから先の料理等はすべて俺がやろう。その間シロナは……ポケモンの世話を頼んでおく。
とりあえず形を整えながら一口大に切りそろえていく。それを出汁をとっておいたスープに入れる。程よい柔らかさになったら皿に盛り付けて適当な大きさのシートに乗せる。そこにバックから取り出したパンを添えて簡単な夕飯の出来上がり。一応生姜を入れてあるので体は冷えないはずだ。
「パンとスープだけだが許してくれ」
「ううん。私一人だったらたぶん餓死してるから構わないわ」
シロナが少しうつむき気味に話す。冗談に聞こえないな。
そんなことを思いながらスープに口をつける。うむ、生姜がきいてうまい。
「ふぁー暖まるわねー」
間延びした話し方でシロナが話す。ふと引っ張られる感覚を覚えたので横を見ると、ミニリュウが服の裾を引っ張っていた。後ろではイーブイたちが物欲しそうな顔で眺めいる。
「あ、お前らの分忘れてた。ちょっと待ってろ、持ってくるからな」
急いで新たに取り出した皿にスープを盛る。それを出してやるとみんな一斉に食べ始める。相当空腹だったのかもしれない。特にイーブイはさっきまで頑張っていたのもあるためか口周りがびしょびしょになっている。ちなみになぜポケモンフーズではないのかという質問の答えはずばり、売っていないからだ。まだ一般販売する前か、研究段階なのかもしれない。幸い好き嫌いはあるものの人の食べれるものは食べられるので文字通りポケモンたちも同じ釜の飯を食うことになる。
「イーブイ、こっち来い。口が大変なことになってるぞ」
二匹のイーブイズを持ち上げて膝に乗っける。口を拭いてやった後にスプーンで飲ましてやってるとミニリュウとフカマルが自分たちもとせがんできた。しょうがないから全員に少しずつ飲ませてやる。
ようやくイーブイたちの食事も終了して自分の食事に入るころにはすでにスープは冷めていた。
「冷めたスープほど虚しいものはないな」
半分涙目で苦笑いを浮かべてすする。目の前ではシロナたちが戯れている。中々に和む光景だ。
しかししばらくしたらいい加減眠くなってきたのか目がしょぼしょぼしていた。
「おーい……シロナー? もう寝たらどうだ?」
手を振って反応を確かめる。反応薄い。スリープモード突入ですね。
できるだけ平坦で石などを取り払った場所にシートを敷いて寝袋に詰め込んだシロナを上に敷く。
まだまだ寒いので火は消すが、ランプに火をつける。薄暗くするために黒いカバーをかぶせておく。
「おおう寒い」
思わず身震いする。火を消すとさすがに冷え込む。イーブイとミニリュウを引き寄せて寝袋の中に入れる。あったけぇ~。これからはこいつらと寝ようかな。隣に眠るシロナを見る。そういえば家族がいなかったせいで誰かと一緒に寝るのは地味にこっちでは初めてかもしれない。
「おやすみ」
今まで誰もいなかったから言う機会のなかった言葉を発する。これだけでも普通に幸せだ。なんとも単純なやつだなとすこし苦笑いが浮かぶ。
薄暗いランプの明かりに包まれて俺は目を閉じた。
クロガネシティまでの道のりです。
ちなみに岩砕きの技マシンは貰ってません。なぜいわくだきの変換がこれなのか→曰く炊き
まずそうな米になりそうですね。
それと技マシンをもらってないのは年代的に拾うのも貰うのも、「いったい何年あげている(放置されている)の!?」てなるのを防ぐためです。
なのでジム突破あたりに神様郵送をつかってパシるつもりdうわ何をするやめっ
ついでにジムリーダーと四天王と現チャンピオン様はほぼ全てオリキャラor1部原作でのたまに絡んでくるキャラなどを勝手に仕立てていたりします。例えばスモモは推測しやすいと思います。
まあネタバレはしませんが。
あとは、もちろんジムリーダー等の手持ちは結構いじってあります。そのあたりを考慮の上でブラウザバックをお願いいたします。